米国務長官「中国制裁ちゅうちょなく」 対ロ武器供与で

米国務長官「中国制裁ちゅうちょなく」 対ロ武器供与で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN010420R00C23A3000000/

『【ワシントン=坂口幸裕】ブリンケン米国務長官は2月28日、中国がロシアに殺傷力のある武器を供与すれば中国の企業や個人を対象に「ちゅうちょなく」制裁に踏み切ると表明した。対ロ支援を実行すれば「米中だけでなく中国と世界中の国との関係において深刻な問題になる」と述べた。カザフスタンの首都アスタナでの記者会見で語った。

米国は中国が殺傷力のある武器支援を検討していると分析する。ブリンケン氏は中国に対し「武器供与する影響と結果について明確に警告した」と強調した。「我々の制裁に違反したり、ロシアの軍事行動を支援したりする中国の企業や個人を標的にすることをちゅうちょしない」と話した。

米国は2月24日、ロシアの軍需産業の制裁逃れにかかわった複数の中国企業へのハイテク製品の輸出を事実上禁止すると決めた。重要国際犯罪組織に指定したロシアの民間軍事会社「ワグネル」に衛星画像を提供した中国企業にも制裁を科し、米国内にある資産などを凍結した。

ブリンケン氏はロシアとウクライナに「停戦」を促した中国独自の仲裁案を念頭に「平和的な提案をしながら、他方でロシアが引き起こした戦火を大きくすることはできない」と指摘。「中国が両方を選択するのは不可能だ」とクギを刺した。

クリテンブリンク米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は28日、米連邦議会下院の外交委員会に出席し「中国は当初からプロパガンダを流布したり偽情報を使ったりして、米国や北大西洋条約機構(NATO)を批判してロシアを支援してきた」と証言した。

下院共和党のマコール外交委員長は同委で、米軍が2月4日に領空で撃墜した中国の偵察気球に関し「この気球に欧米製の部品が含まれていたと報じられている」と指摘。中国による極超音速ミサイル実験についても「中国に売却された米国の技術によって可能になった」と述べ、対中輸出規制を強化する必要性を唱えた。

クリテンブリンク氏も「中国は人民解放軍の近代化を進めるために我々の最先端技術を利用しようとしている」と警戒感を示した。「中国国内で抑圧を強め、国外でより攻撃的になる中国の挑戦は米国外交にかつてない試練を与えるだろう」と提起した。』