サイバー防衛に新勢力図 日本「5つの目」と急接近

サイバー防衛に新勢力図 日本「5つの目」と急接近
編集委員 下田敏
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD093U00Z00C23A2000000/

『ロシアによるウクライナ侵攻の長期化など地政学リスクが増大するなか、サイバー攻撃に備えた国際連携が加速している。インフラやシステムの乗っ取り、偽情報の拡散などのサイバー攻撃は匿名性が高く、攻撃者優位であるため、技術やノウハウの共有で抑止力を高める狙いがある。サイバー防衛の合従連衡からは米英、欧州、ロシア、中国を軸とする新たなパワーバランスが浮かんでくる。

連携強化に動いた日英

「国益を守るうえでは…

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『サイバー攻撃は誰が、何を目的に、どこに仕掛けてくるのかがわからない。ロシアや中国などが実行しているのか、ハッカー集団が勝手に動いているのか、サイバー犯罪組織による金銭目的の攻撃なのかも読みにくい。日本政府関係者は「サイバー攻撃を受けたと認識できるケースさえ実は少ない。事前に攻撃の兆候をとらえ、情報を収集し、リスクの大きさを見積もり、対策の精度を高めるために国際連携が重要になる」と話す。

ロシアによるウクライナ侵攻以降は、まさにサイバー防衛の国際連携ラッシュだ。日本は22年5月に米国・オーストラリア(豪州)・インドで構成する「Quad(クアッド)」の枠組みでサイバーセキュリティー・パートナーシップを立ち上げ、11月にNATOサイバー防衛協力センターに正式参加し、12月には英国とサイバー防衛を含むデジタルパートナーシップを結んだ。国家安全保障戦略の改定をふまえ、年明け1月には米国との一段の協力拡大に向けてサイバー防衛の覚書を締結している。』