米国、中国企業に禁輸措置 ロシアの制裁逃れに関与
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2443C0U3A220C2000000/
『【ワシントン=坂口幸裕】米政府は24日、ウクライナへの侵攻を続けるロシアなどへの追加制裁を発表した。ロシアの軍需産業の制裁逃れにかかわった中国企業を含む約90社に対して、米国技術を活用するハイテク製品を輸出することを事実上禁止する。ロシアがこうした企業を通じて半導体などを入手し、武器生産に使うのを阻む。
米政府は高性能半導体やセンサーなどの対ロシア輸出を禁じており、部品不足で極超音速ミサイルなど…
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』

『米政府は高性能半導体やセンサーなどの対ロシア輸出を禁じており、部品不足で極超音速ミサイルなど高機能兵器の製造が困難になっていると分析する。ロシアがウクライナに侵攻を始めた2022年2月24日にロシアに輸出規制を発動した。米国外の製品でも米国の技術でつくったものであれば禁輸対象になる。
米商務省が約90社を新たに規制リストに加えた。ロシアを拠点とする企業が79社、中国が5社で、残りはフランスやカナダ、オランダなどで活動する中ロの関連企業も含まれる。ロシアの軍需産業に米国製品が流れるのを食い止める。
中国は武器支援を見送る一方、これまでロシア産原油の購入拡大や軍事と民生の両方に使える「デュアルユース」技術の製品などを提供してロシアを支えてきた。ブリンケン米国務長官は23日、米メディアに「中国企業を介して、中国政府が承認したとみられるデュアルユース型の支援があった」と明言した。
ロシア産の輸入品への関税も引き上げる。約28億ドル(約3770億円)相当の100以上の金属や鉱物、化学製品が対象になる。アルミニウム製品は3月10日から順次200%にする。高関税を課してロシアの輸出産業に打撃を与え、ロシアの戦費調達を絞り込む。
併せて欧州やアジア、中東で活動するロシアや第三国の200以上の個人・団体に制裁を科す。十数社のロシアの金融機関を含め、米国内で取引できないようにするとみられる。主要7カ国(G7)が発動している制裁の回避を狙うロシアに対抗するため、米国が主導して運用を厳格化する仕組みもつくる。
ウクライナへの追加の軍事支援も決めた。総額20億ドル相当で、ロシアによる攻撃に備えた防空能力を強化するため無人機システムや対無人機システムを新たに供与する。高機動ロケット砲システム「ハイマース」や155ミリりゅう弾砲の弾薬、地雷除去装置なども追加で送る。
電力インフラへのミサイル攻撃で深刻化するエネルギー不足にも対処する。送電網機器や移動式の発電機を3月上旬までに追加で提供する。ウクライナの10万世帯に電力を供給できるようになる。このほか、送電網を強化するため最大2億5000万ドルの緊急支援も実施する計画だ。
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益尾知佐子
九州大学大学院比較社会文化研究院 教授
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分析・考察 ウクライナをめぐる国際情勢は見通しが暗そうです。中国の動向次第では今後、国際的な東西対立に発展するかも。
中国外交部が本日24日に出した「ウクライナ危機に関する中国の立場」という文書は、各国の主権・領土保全の重要性を確認し核兵器の不使用を訴えましたが、原則的立場を繰り返すばかりで解決案は全く提示していません。むしろ「冷戦思考」や「一方的な経済制裁」に反対を表明し、実質的に西側を批判する内容になっています。最近、米中間で中国のロシアへの武器供与の可能性を巡って火花が飛び、中国によるロシアへのドローン提供の情報も流れているところを見ると、中国がより明確なロシア支援に乗り出す可能性が高まっています。
2023年2月24日 22:25 (2023年2月24日 22:28更新) 』