【解説】 開戦1年、ウクライナでプーチン氏の戦争は失敗したのか ロシアは何を求めている

【解説】 開戦1年、ウクライナでプーチン氏の戦争は失敗したのか ロシアは何を求めている
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-64700796

『2023年2月20日

ポール・カービー、BBCニュース
Ukrainian troops in Bakhmut

画像提供, BBC/Goktay Koraltan
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ロシア軍が猛攻を続ける東部バフムートを防衛するウクライナ兵

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が2022年2月24日に兵20万人をウクライナに送り込んだ時、数日もすれば首都キーウを制圧し、ウクライナ政府を倒せるはずだと、間違った思い込みをしていた。

屈辱的な後退が相次ぐ状況で、その当初の侵略計画が失敗したのは明らかだ。しかし、ロシアはまだ戦争に負けたわけではない。

プーチン氏の当初の目標は

ロシアによるウクライナ侵攻は、第2次世界大戦以降の欧州で最大規模の侵略戦争で、1300万人以上のウクライナ人が国内外への避難を余儀なくされているが、プーチン大統領はいまだにこれを「特別軍事作戦」と呼ぶ。

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2月24日にウクライナの北部、南部、東部へ兵を派遣したプーチン氏は、目標は「ウクライナの非軍事化と非ナチス化」だと自国民に説明した。ウクライナ政府に8年にわたり威圧され、ジェノサイド(大量虐殺)行為を繰り返されてきた現地の人々を保護することが、目的なのだと。こうした主張はいずれも、客観的証拠の裏付けがない。大統領はこのほか、北大西洋条約機構(NATO)がウクライナに足掛かりを得るのを防ぐことも目的の一つに挙げていた。加えて、ウクライナの中立確保も、目的に付け加えられた。

動画説明,

プーチン氏、ウクライナ東部2地域の「独立」承認 現代の皇帝のように
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プーチン氏は公言こそしていないが、ロシアにとって特に優先順位が高かったのは、ウクライナ国民が選挙で選んだ大統領を失脚させることだった。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、「敵は私を標的その1に、家族を標的その2に指定した」と述べた。大統領顧問によると、ロシア軍は2度にわたり、首都キーウの大統領府を急襲しようとした。

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「私たちはここにいる、独立を守る」 首都からウクライナ大統領が政府幹部と(2022年2月25日)
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「ウクライナのナチスがジェノサイドをしている」というロシアの主張に、整合性はついぞなかった。しかし、ロシア国営リア・ノヴォスチ通信は4月初めの論考で、「非ナチス化とはすなわち、否応なく、非ウクライナ化でもある」と書いた。つまり、ロシアの目標は現代ウクライナ国家の抹消だというわけだ。

ロシアの大統領はもう何年も前からウクライナについて、独自の国家ではないと主張してきた。2021年7月に発表した長文では、9世紀末にさかのぼり「ロシア人とウクライナ人はひとつの民だった」と論じた。

プーチン氏の主張の変化

侵攻開始から1カ月たつころには、ロシアの戦役が予定通りに進んでいないのは明らかだった。プーチン氏は「第一段階」の完了を宣言し、その野望を劇的に縮小してみせた。ロシア軍はキーウとチェルニヒウの周辺から後退し、北東部で勢力を再編した。戦争の主な目標は「ドンバス解放」にすり替えられた。「ドンバス」とは、ウクライナの東部ルハンスクとドネツク両州にまたがる工業地帯を漠然と指す。

ロシア軍はさらに9月初めには北東部ハルキウ州から、11月には南部ヘルソンからも撤退した。ロシアの目標は変わっていないものの、ほとんど実現できずにいる。

そして9月21日、プーチン大統領はウクライナをめぐり国民向けのビデオ演説で「部分的な動員令」の発動を宣言した。ロシア国防省は、軍務経験がある予備役約30万人を段階的に招集すると明らかにした。しかしこの発表を受けて、戦争がいよいよ身近に迫ったロシア人の多くが、次々と国を逃れた。

劣勢に立たされたプーチン氏は9月30日、ウクライナ東部と南部の4州を一方的にロシアに併合すると宣言した。東部のルハンスクとドネツク、そして南部のヘルソンとザポリッジャの各州がその対象だったが、いずれもロシアの支配は部分的にしか及んでいなかった。それでもプーチン氏は、4州は「永遠にロシア」だと宣言した。

Vladimir Putin speaks to crowds in Moscow, with the words “Together forever” at the top of the screen.

画像提供, Getty Images
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併合宣言を祝うコンサート会場では、スクリーンの上に「永遠に一緒」の文字が表示された(9月30日、モスクワ)
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今では、長さ850キロにわたる戦線で消耗戦が続いている。ロシア側の勝利は珍しく、勝っても小規模だ。あっという間に終わるはずの軍事作戦が、今では長期化した戦争となった。そして西側諸国の首脳は、ウクライナがこの戦争に勝たなくてはならないと、意を固めている。ウクライナの中立確保など、現実的な可能性ではとっくになくなっている。

プーチン氏は昨年12月、「長引くプロセスになるかもしれない」と述べつつ、「軍事紛争の円盤を回し続ける」ことがロシアの目標ではなく、戦いを終わらせることこそ目標だと述べた。

プーチン氏はこれまでに何を達成したのか

プーチン大統領が主張できる最大の成果は、ロシアからクリミアまで陸路を確保したことだろう。2014年にロシアが違法に併合したクリミア半島まで、以前はケルチ海峡にかけた橋を利用しなくてはならなかったが、今では陸路でクリミアに行き来できる。

ウクライナ南部のマリウポリやメリトポリといった都市を制圧したことで、ロシアはこの陸路を確保した。これをプーチン氏は「ロシアにとって重要な結果」と呼んでいる。ケルチ海峡内のアゾフ海は「ロシアの内海になった」とプーチン氏は宣言し、ロシア帝国のピョートル大帝にさえできなかったことだと指摘した。

maps
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失敗したのか?

クリミアへの陸の回廊を奪取したことを除けば、ロシアが一方的に引き起こした戦争はロシア自らと、その相手となった国に、悲惨な流血の事態をもたらした。これまでのところ、ロシア軍がいかに残虐で能力が低いかを露呈した以外、成果と呼べるほどのものはほとんどない。

マリウポリなどの都市は廃墟と化し、キーウ近郊ブチャなどでは民間人に対する戦争犯罪の詳細が明らかになっている。こうした事態を受けて、ロシア国家そのものが、国家的なジェノサイド(民族虐殺)を画策・扇動したと糾弾する第三者報告も出ている。

しかし、ロシアの弱さを何よりも明るみに出したのは、相次ぐ戦場での失態だった。

昨年11月にロシア兵3万人が南西部ヘルソンからドニプロ川の対岸へ後退したのは、戦略的な失敗だった
開戦直後にキーウ近くで全長64キロの装甲車列が立ち往生したのは、補給上の失敗だった
東部ドネツク州マキイウカで新年早々、動員間もない兵士がウクライナのミサイル攻撃で大勢死亡したのは、情報活動の失敗だった
昨年4月に黒海艦隊の旗艦モスクワが沈没したのは、防衛上の失敗だった。同様に、昨年10月にケルチ海峡大橋が攻撃され、数週間も閉鎖を余儀なくされたのも、防衛上の失敗だった

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クリミアとロシアを結ぶ唯一の橋、爆発の瞬間
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ロシアは西側に対して、ウクライナに武器を提供しないよう、再三警告しているが、西側は構わずウクライナを支援し続けている。むしろ、「必要な限りずっと」支援し続けると、欧米諸国は繰り返している。

この結果、ウクライナは攻撃力に優れたハイマース(高機動ロケット砲システム)を入手した。さらに、ドイツ製のレオパルト2戦車の供与約束もとりつけている。

しかし、この戦争は終わっていない。ドンバスをめぐる攻防は続く。ロシアは今年に入り、東部ソレダルの街を制圧し、東部バフムートも抑えようとしている。バフムートを掌握し、さらに西の主要都市への足がかりにして、昨年秋に失った地域を再び奪おうというもくろみだ。

プーチン・ウォッチャーたちは、大統領が昨年4月に併合を宣言した4州すべてを支配しようとするはずだと見ている。そこにはドンバス地域だけでなく、主要都市ザポリッジャも含まれる。

必要となれば、プーチン氏は動員対象を拡大し、戦争を引き延ばすこともできる。ロシアは核保有国だ。そして、プーチン氏は必要となれば核兵器を使ってロシアを守り、すでに占領したウクライナの領土にしがみつく用意があると、その姿勢を示している。

「ロシアと国民を守るため、我々は持てるあらゆる手段を使う。これは、はったりではない」と、プーチン氏は昨年9月の時点で警告している。

ウクライナ政府はこれに加えて、隣国モルドヴァについても、ロシアがその欧州寄り政権を転覆しようとしているとみている。親ロ派が実効支配するモルドヴァ東部トランスニストリア地域には、ロシア軍が駐留している。

プーチン氏の立場は弱くなったのか?

70歳になったプーチン氏は、ロシア軍の失敗から距離を置こうとしている。しかし、少なくともロシア国外では、その権威は完全に失墜しており、大統領が国外に出ることはほとんどなくなった。

国内では、ロシア経済は表向きは西側の相次ぐ経済制裁にも耐えたかのように見える。しかし、財政赤字は急拡大し、石油と天然ガスの売り上げは激減している。

こうした中でロシア国民がどれだけプーチン氏を支持しているのか、実態を把握するのはきわめて困難だ。

ロシアで政府に異を唱えるのは、きわめて危険な行為だ。ロシア軍に関する「偽情報」を広めたとされれば、誰でも刑務所に入れられる。ロシア政府に反対しようとする人は、国外に逃れたか、あるいは野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏のように、投獄されている。
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SNSで反戦表明し、自宅軟禁に……ロシアの大学生
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ウクライナ、西側へシフト

この戦争の発端となったのは2013年のことだ。欧州連合(EU)との政治経済関係を強化する「連合協定」をウクライナが結ぶかどうかという事態の渦中、ロシア政府は協定締結をやめるようウィクトル・ヤヌコヴィッチ大統領(当時)を説得した。

これにウクライナ国民の多くが大いに反発し、大規模なデモが続いた。ヤヌコヴィッチ氏は失脚してロシアへ亡命。ロシアは2014年2月にクリミア半島を併合し、ウクライナ東部の領土を奪った。

その8年後にロシアの今回の侵略が始まってから4カ月後、EUはウクライナに加盟候補国の立場を与えた。ウクライナ政府は、加盟手続きを加速するよう強く求めている。

プーチン氏は、ウクライナのNATO加盟も何としても阻止しようとした。しかし、NATOの東方拡大が今回の戦争の原因だと非難するその言い分は、事実と異なる。

開戦前にウクライナは、NATOに加盟しないとする暫定合意をロシアと交わしていたと言われている。そればかりか昨年3月の時点でゼレンスキー大統領は、ウクライナを非同盟・非核化の国にすると発言。「(NATO加盟は)できないと聞いている。これが事実で、認識しなければならない」と述べていた。

戦争はNATOのせいなのか?

NATO加盟国は、ウクライナの防衛を支援するため、防空システムやミサイルシステム、大砲やドローンを相次ぎ提供した。これがロシアの侵略を押し返してきた。

しかし、この戦争が起きたのはNATOのせいではない。むしろ、スウェーデンとフィンランドが正式に加盟申請したのは、ロシアのウクライナ侵攻のせいだった。

NATO expansion
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この戦争はNATOの東方拡大のせいだというロシアの言い分は、欧州ではある程度、受け入れられている。開戦前にプーチン大統領はNATOに、1997年の状態に戻るよう要求し、中欧、東欧、バルト半島から軍備を引き上げるよう求めた。

プーチン氏の目線からすると、西側は1990年にNATOは「1インチたりとも東へ」拡大しないと約束したにもかかわらず、東へどんどん拡大してきたということになる。
動画説明,

「NATOは我々をだました」 プーチン氏、恒例の年末記者会見で不満あらわに(2021年12月)
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しかしそれはソ連が崩壊する前の話で、当時のソ連大統領ミハイル・ゴルバチョフ氏への約束は単に、ドイツ再統一の文脈から、東ドイツに限定された内容のものだった。

ゴルバチョフ氏はのちに、当時「NATO拡大の話題はまったく協議に上らなかった」と述べている。

対するNATO側は、ロシアが2014年に違法にクリミアを併合するまでは、東欧に部隊を派遣するつもりなどなかったと反論している。
動画説明,

スウェーデンとフィンランド、正式にNATO加盟申請

(英語記事 Has Putin’s war failed and what does Russia want?)』

“プーチンの戦争”が世界戦争に 国際政治学者の警鐘とは?

“プーチンの戦争”が世界戦争に 国際政治学者の警鐘とは?
https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2023/02/22/29581.html

 

 ※ 今日は、こんな所で…。

『「これから世界戦争が起きるのが必然だとは思わないが、その可能性はあると言わざるをえない」

ロシアによるウクライナ侵攻から1年となる中、そう警鐘を鳴らすのは京都大学大学院の中西寛教授です。

なぜウクライナでの戦争が世界に拡大するのか。これから世界はどこに向かっていくのか。国際政治学が専門で、安全保障の歴史に詳しい中西教授に話を聞きました。

(聞き手:井上二郎アナウンサー / 国際部記者 岡野杏有子)

※以下、中西教授の話

侵攻1年 ウクライナ情勢どう見る?

ロシアもウクライナも戦争を続ける意志と能力を失っておらず、「戦争が長期化する」というシナリオが今後も続くだろうというのが一番可能性が高いと思います。

2022年の早い段階では、仲介による停戦ということもある程度言われていましたが、ロシアの戦い方が非常に非人道的であるという印象が強くなって西側諸国はより強くウクライナの勝利にコミットメントするようになりました。

一方、ロシアは9月にウクライナの東部4州を国内法的に併合し、ロシアの国内法では占領した地域あるいは今戦闘しているドネツクなどはロシアの領土であるという位置づけになってしまったので、なおさら妥協が困難になってしまいました。

ウクライナは市民生活に対しても攻撃を受けて多大な被害を受けていますが、ゼレンスキー政権の下でロシアに奪われた領土を取り戻すということで結束しています。

安全保障の歴史に詳しい 京都大学大学院 中西寛教授

ロシアは、プーチン政権の内部である種の動揺や論争というようなものが見られないわけではないですが、政権を揺るがすような事態にはなっていません。また、ロシア軍は大きな被害を受けているものの、今のところ戦争を続ける能力に大きな支障が出るほどの損害は受けていないように見えます。

プーチン政権の動揺 崩壊の可能性はないか?

今のところそこまでの兆候は見えないというのが結論になると思います。

ロシアの中で保守派からは戦い方が手ぬるいという批判がありますし、リベラル派には戦争に対する潜在的な批判があったり徴兵を恐れて国外へ脱出したりする人もいます。

ロシアの隣国ジョージアへ向かう車の列(ロシア 北オセチア・2022年9月 )

全般的にロシアが経済制裁に苦しんでいることは間違いなく、ロシア市民の生活水準は低下してきました。

今後もそういう可能性が高いと思いますが、それがプーチン政権の打倒という方向になる可能性は今のところない、とりわけプーチン政権に代わる、受け皿となるような政治勢力がロシアにはないので、今のところプーチン政権は基本的には安定しているという状況だと思います。

プーチン政権を支持してきた中高年層からすると「現在の生活水準の低下は、西側がロシアを圧迫しているから起きている」というプーチン政権のプロパガンダ的メッセージを受け入れる素地が、やはりあるのだと思います。

現状は厳しいものの、プーチン政権を支えていこうという意識はそれなりにあり、大規模なデモがプーチン政権を揺るがすというような可能性は今のところあまり考えられないと思います。

有名なナワリヌイ氏のように反プーチンの政治勢力がいないわけではないですが、過去20年あまりのプーチン体制のもとでそうした勢力はほぼ無力化されていると言えます。

刑務所に収監されている ロシアの反体制派指導者 ナワリヌイ氏(2022年5月)

国外には反プーチンのロシア人勢力がそれなりにありますが、国内社会とは切れてしまっているので国内の状況に大きな影響力を及ぼせる存在ではないと思います。

プーチン政権崩壊すると国際的にも混乱するか?

最大の問題はプーチン政権が倒れた場合、それに代わる受け皿、安定した政治を営めるような政治勢力がないということです。

そうなるとプーチン政権が倒れたあと、分裂した政治勢力の間で権力闘争が生まれるでしょう。ロシアは世界最大の領土を持っており、その中に数千発の核兵器や原子力発電所、その他の非常に重要なものもありますので、国際社会としても放置することはできない。
ロシアの軍事パレードで公開されたICBM=大陸間弾道ミサイル(2021年)

各国が何らかの形でロシアの安定化のために影響力を及ぼそうとするでしょうが、西側と、長い国境を接している中国ではロシアのあり方についても考え方が大きく違うでしょう。

そうした各国のロシアに対する干渉というのは改めて国際的な対立を乱す可能性も高いと思います。

核兵器使用のリスクはあるか?

今のところロシアが核兵器を使用する兆候はないと思います。

2022年のある時期には、ロシアがウクライナの反攻を受けて厳しい状況になったという認識のもとで、ロシアがヨーロッパに対して牙を向けて、戦術核兵器も使うという可能性は一定程度はあったと思います。

しかしロシアとしてもやはりその道はプーチン政権にとって自滅の道であることは間違いないので、それは控え、ロシア国内で動員を増やしウクライナでの戦いを続けるという選択をとりました。

訓練を受けるロシアの動員兵(ウクライナ ドネツク州・2022年10月)

今のところそれが続いていますので、現時点でロシアが戦術核を使うという可能性は比較的低いと思います。

ただ、今後ウクライナでの戦況がロシアにとって非常に不利になり、プーチン政権の存亡にかかわるような事態になってきたときに、プーチン氏がどう考えるかはそのときになってみないと分からないのも実際のところだと思います。

ウクライナが徐々にロシアに対して攻勢をかけて奪還していくというのが今後、一番ありそうなシナリオで、西側なり国際社会にとって望ましい方向ではあります。

しかし、それがどんどん進んでいくと当然ながらプーチン政権としては追い詰められていくことになるので、追い詰められたプーチン政権が何をするか分からなくなってくる、よりリスクが高くなってくるということも率直に言って、あると思います。

ロシア プーチン大統領

ウクライナ侵攻前後で世界は変わったのか?

ウクライナ戦争ですべてが変わったわけではなく、2010年代を通じて徐々に国際社会は分裂の方向に進んでいたと言うことができると思います。

ロシアだけでなく中国も西側の秩序に対してある種の距離を取って自前の秩序を作ろうという傾向を示し始めていました。

また、トランプ政権に典型的に見られるように、西側でも従来のグローバリゼーションのやり方には問題があったと考え、ある種の保護主義や関係の制限に動きだしています。

アメリカ トランプ前大統領

それを加速したのが新型コロナによる国際的な動きの停止で、それによってグローバリゼーションの動きはいったん大きく停止しました。

そして、今回の戦争によって貿易や経済関係が政治的な目的のために使われるということを世界は改めて認識せざるをえなくなったのです。

ロシアはこれまでもエネルギーを他国にプレッシャーを与えるために使ってきましたが、今回は西側もロシアに圧力をかけるために従来の仕組みを乗り越えて、金融や貿易でも積極的に制裁をかけていくという方針を示しました。

経済関係を政治的手段のために使うという先例になりましたので、今後そうした傾向は簡単には元に戻らないと思います。

なぜ世界は分裂の方向に進んでしまったのか?

ある種の驕り、楽観主義というのが西側にあったと私は思います。

それは非常に大きな問題で、現代の世界が本当によく考えないといけない、反省しないといけないことです。

西側は冷戦に勝利したということで、自由民主主義の政治体制や市場経済がもはや唯一の正解になってしまい、それに従わない国や社会はどんどん力を失っていくだけで、気にする必要もないと考えるようになってしまいました。

ただ、そうした認識が現実とずれているということは、北朝鮮という国とずっと向き合っている我々はわかっています。

核開発やミサイル開発、そういうことを何とか止めようとアメリカもやってきましたが、結局今に至るまでできていない。

北朝鮮 キム・ジョンウン(金正恩)総書記

北朝鮮のような非常に経済的にも小さく人口も少ない国に対してすら、圧力で体制を変えて市場経済を採用させるということはできなかったわけです。

そんなに簡単に世界が自由主義という1つの価値観で塗りかえられるわけではなかったのだと思いますが、そのことについてとりわけ西側が直視してこなかった結果なのです。

ウクライナ侵攻 日本にはどう影響?

「戦争は過去のものではなく、未来のものでもありうる」と考えざるをえなくなったというのが今回の戦争の基本的な影響だと思います。

ロシアは日本とも海を隔てて国境を接しているわけで、現在の戦争が東アジアに波及してこないとも限りません。

また、北朝鮮のミサイルは常に日本に対してある種のプレッシャーを与えていますし、中国と台湾、そしてアメリカを巡る緊張もかなり高まっています。今のところそれがおさまっていく可能性というのはあまり見えませんので、日本としても安全保障という問題を真剣に考えざるをえないというのは間違いないことだと思います。

戦後日本は二度と戦争をしない、戦争への反省、平和主義こそがアイデンティティーだという認識が強かったと思います。

しかし2010年代に入って国際環境がしだいに厳しくなってくる、いわゆる大国間の競争というのが本格化していくにつれて、日本という国も、そうした国際、大国間競争から無縁ではいられないという感覚が強くなってきて、そうした状況に対応しないといけないという意識が徐々に強まっていたところだと思います。

日米韓3か国による共同訓練(2022年9月)

今日ではその方向にさらに踏み込んでNATO諸国、アメリカの同盟国であるヨーロッパやカナダのような国と足並みをそろえるということに、基本的に日本人はもう躊躇しなくなってきています。

そういう意味で、日本人が自分で思ってる以上に、日本人のアイデンティティーに対する認識はいま、変わりつつあるような気がします。

G7議長国 日本はどうすべき?

ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、日本は西側と歩調を合わせてロシアに制裁を行い、ロシアの侵略を非難して国際的にもそうした方向で結束を高めようと努力をしてきました。それ自体は国際的にも高く評価されているものだと思います。

また、日本が安保防衛政策を大きく転換して防衛力を強化するという方針に転じたこともとりわけ西側の中では歓迎されていることだと思います。

私自身、これはしかるべき政策だったと思いますが、軍事力だけでは国際秩序はできません。

現在の国際秩序を守るにしても軍事力は不可欠の要素ではあるけれども、それだけでは十分ではないのです。ですから、外交や経済やそうした面と軍事力をどういうふうに組み合わせていくかというのが、日本とりわけG7の議長国の日本として問われるところだろうと思います。

例えば、米中の対立でも論理的に考えると米中の間で妥協点はもうなくなってしまっています。
アメリカ バイデン大統領(左)中国 習近平国家主席

中国は「1つの中国だ」と言っていて、その中国は民主主義の国ではない。それに対してアメリカは台湾の民主主義は絶対守らないといけないと言っています。もう妥協点はないはずなんですが、その妥協がないところでどう妥協を作り出すかというのが発想力だと思います。

それは簡単なことではないですが、やはりそういうところで知恵を出すかどうかというのが日本の安全保障であったり、我々自身の生存、生活に関わってきますので、そこを頑張らないといけないと思います。

ウクライナ侵攻から学ぶべきことは?

やはり、現在の世界が大きな変化の時期にあるということだと思います。

変化の時期というのはやはり危険性をはらんでいて、我々の視野が狭いと、今回の戦争のような暴力、あるいは流血の事態が起きてしまうということだと思います。
攻撃を受けた病院から避難する人々(ウクライナ マリウポリ・2022年3月)

起きてしまったことに対してはできるだけその犠牲を少なくして収束させていく必要がありますし、起きそうな所ではできるだけそれが現実にならないように配慮していく必要があると思います。

少なくとも、人類が滅亡する選択を誰も望んでいないことは確かなので、その選択を回避しながらよりよい世界をつくっていくにはどうすればいいかということを、改めて根本から考え直すべき時期にきているということが、今回の戦争が我々に教えている最も重要なことではないかと私は思います。

我々が忘れてはいけないのは1930年代の末、1936年にスペインで内戦が始まり、それに対してファシズム国家や西側がそれぞれ介入して内戦が3年ほど続きました。

1937年には日本と中国の間で本格的な軍事戦争が始まりました。

そういうことの積み重ねのあとに1939年9月にヨーロッパで第2次世界大戦が始まり、1941年12月には日本がアメリカなどを攻撃して太平洋戦争が始まって最終的に第2次世界大戦という戦争になっていきました。

太平洋戦争(1944年撮影)

現在、ロシアとウクライナの間で起きていることがそうした世界戦争に向かう1つのステップであるという可能性も現段階では否定できないと思います。

これから世界戦争が起きるのが必然だとは思わないですが、正直、その可能性はあると言わざるをえません。

ですから我々は、その点について非常に自覚的であるべきで、いかにそれを回避しながら、よりよい秩序に変えていくかということを考えないといけない。

それが現代の我々が負っている課題であり、過去の教訓もそういう観点から学んでいくべきだと思います。』

米韓、北朝鮮の核想定で机上演習 抑止へ連携強化

米韓、北朝鮮の核想定で机上演習 抑止へ連携強化
https://nordot.app/1001251415972003840?c=302675738515047521

『【ワシントン共同】米国防総省は22日、米韓が北朝鮮の核使用を想定した合同机上演習をワシントン近郊の同省で行ったと明らかにした。弾道ミサイル発射を繰り返し、核実験強行も懸念される北朝鮮の抑止に向けて両国軍の対応手順を確認し、連携強化を図った。米国が核兵器と通常戦力で韓国を防衛する「拡大抑止」の強化も確認したとみられる。

 北朝鮮は18日、米本土を狙える可能性のある大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射。米韓両軍は19日、韓国上空で戦略爆撃機や戦闘機を投入した合同訓練を実施した。今回の机上演習に北朝鮮が反発し、さらなる挑発行為に出る恐れもある。

© 一般社団法人共同通信社 』

米軍が中国“偵察気球”を上空から撮影 画像公開 全長90メートル・重さ1トン

米軍が中国“偵察気球”を上空から撮影 画像公開 全長90メートル・重さ1トン
https://www.nippon.com/ja/news/fnn20230223490417/

 ※ こういうものが、何時間も上空に居座って(風に流されながら)、電波情報・通信情報を「収集する」わけだ…。

 ※ そして、おそらく、収集するだけでなく、その「収集したデータ」を、本国に「送信・蓄積」し、「解析・分析」するわけだ…。

 ※ いわゆる、「シギント(SIGINT、英語: signals intelligence)」だな…。

『アメリカ国防総省は22日、4日に撃墜した中国の偵察気球をアメリカ軍が上空から撮影した新たな画像を公開しました。

公開された画像は、Uー2偵察機のパイロットが気球を撃墜する前日の今月3日に、機内から撮影したものです。

米軍が上空から撮影した”偵察気球”の画像を公開(提供:米・国防総省)

アメリカ上空を飛行する中国の偵察気球

中国の偵察気球は、今月4日、撃墜された

気球を見下ろす形で撮影され複数の太陽光パネルの様なものが取り付けられている様子が分かるほか、機体の影も気球に映りこんでいます。

アメリカ軍は気球が全長90メートル、重さは1トン以上あり、偵察用の装置があったことを明らかにしています。

気球の残骸はすでに回収され、FBI=アメリカ連邦捜査局の研究所で分析が進められています。

(FNNプライムオンライン2月23日掲載。元記事はこちら)

https://www.fnn.jp/

[© Fuji News Network, Inc. All rights reserved.]』

ブリンケンの「中国がロシアに武器提供」発言は、中国の和平案にゼレンスキーが乗らないようにするため

ブリンケンの「中国がロシアに武器提供」発言は、中国の和平案にゼレンスキーが乗らないようにするため
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20230222-00338344

 ※ 「戦争に反対する。」のと、「戦争に備える。」のは、「別の話し」…。

 ※ 「戦争への備え」をすれば、「戦争のリスクが高まる。」というのも、「本末転倒」…。

『ブリンケン国務長官が「中国がロシアに武器提供を検討している」と発言したのは、それが、ゼレンスキーが中国を最も警戒する原因となり得るからだ。アメリカは常に停戦させない方向に動いてきた。開戦以来の証拠を列挙する。

◆ゼレンスキー大統領、初めて中国に警告

 もともと中国とウクライナは非常に仲が良く、プーチンがウクライナ侵攻を始める寸前まで、緊密な関係を維持してきた。ウクライナ戦争が始まってからも、中国は経済的にはロシアを支援しても、軍事的には侵攻に賛同しない立場を貫いてきた。それを「中立」とみなして、ゼレンスキー大統領は中国を高く評価する傾向にあった。

 ところが、今年2月18日、ドイツのミュンヘンで安全保障会議が開催される中、アメリカのブリンケン国務長官が「中国はロシアに殺傷能力のあるもの(=武器)の提供を検討している」と発言し始め、大きな問題になった。

 中国はもちろんすぐさま否定し、「武器の提供という意味では、アメリカほど戦場に武器を提供している国はなく、そのアメリカにはそのようなことを言う資格はない」と強く反発した。ミュンヘン会議においても中国の外交トップである王毅・中共中央政治局委員と会談した際に、ブリンケンは王毅に「もし武器の提供などをすれば、普通ではない制裁が待っている」と警告を発している。

 なぜブリンケンがこのような発言をしたかに関しては、ミュンヘン会議後のゼレンスキーの言葉から推測することができる。

 2月20日の「ドイツの声」や、SCMP(South China Morning Post)によれば、ゼレンスキーは複数のメディアの取材に対して、以下のように回答しているという。

 ●中国がロシアの戦争行動を支持しないようにすることがウクライナにとって非常に重要だ。本当は中国にウクライナ側に立ってほしいが、現時点ではその可能性は低いことは承知している。

 ●しかしもし、中国がロシアと同盟を結ぶならば、第三次世界大戦が起こるだろう。中国はそれを分かっているはずだ。

 ●90年代に署名されたブダペスト備忘録に、中国も署名している。そこにはウクライナの領土保全を保証するという文章がある。したがって中国は、現在のように単に中立を維持すべきではない。

 ●もっとも、ロシアに対する中国の軍事援助の兆候は見られない。中国はロシアの最も重要な支援国とみなされているが、北京はこれまでのところロシアに軍事的支援を提供していないと思われる。(ゼレンスキーの回答の概略は以上)

 このようにゼレンスキーは、ブリンケンが指摘するような兆候は見られないとしつつも、中国に対して「もし、中国がロシアと同盟を結ぶならば、第三次世界大戦が起こるだろう。中国はそれを分かっているはずだ」というような「警告を発する」類の発言をしたことは初めてのことで、この変化を見てハッとした。

 なるほど――。

 ブリンケンはゼレンスキーに何を言えば、ゼレンスキーが中国を最も嫌うかを心得ていたのか…。ウクライナの国民を殺戮する武器支援を中国がロシアに提供しているとなれば、絶対に王毅がミュンヘン会議で習近平の考え方として提唱した「和平論」には乗らないだろう。つまり、ブリンケンの発言は、ゼレンスキーが習近平が唱える「和平論」に乗らないようにすることが目的だったにちがいない。

◆アメリカは停戦になりそうになると、必ずそれを阻止してきた

 なぜそのような推論が成り立つかを証明するために、これまでウクライナ戦争を通して、アメリカが如何に「停戦」をさせないように動いてきたかを見てみよう。それが一目瞭然となるように時系列的な図表を作成してみた。

 以下に示すのは、「停戦」に関する米中ウ(米国・中国・ウクライナ)の言動である。赤色で示したのは、アメリカが「停戦させまいとして動いた言動」を指している。

筆者作成

 2月21日のコラム<習近平がウクライナ戦争停戦「和平案」に向けて動き始めた――そうはさせまいとウクライナ入りしたバイデン>でも書いたばかりだが、2022年2月24日にプーチンによるウクライナ侵攻が始まると、その翌日の25日に習近平はプーチンに電話し、「話し合いによる解決」を呼びかけた(No.1)。

 プーチンがそれに応じようとすると、すぐさまアメリカのプライス報道官が「停戦交渉のオファーなど無意味だ」として、ゼレンスキーに「騙されるな」と警告した(No.2)。

 それでも2月28日にベラルーシ国境付近で第一回の和平交渉が始まり(No.3)、和平交渉は少しずつ進み始み、3月10日から舞台はトルコに移っていったが(No.7)、3月17日にブリンケンが「中国がロシアに軍・装備品の支援を検討している」と大々的に言い始めた(No.9)。

 この和平交渉は「習近平が最初にプーチンを説得した結果」なので、それが成功すると習近平の評価が国際社会で高まるのを嫌ったのと、何よりも、このまま行くと、ひょっとしたら停戦してしまうかもしれないので、「停戦だけはさせたくない」と思ったからではないかと推測される。

 その証拠に、No.13にあるように、2022年4月20日にトルコの外相が「いくつかのNATO加盟国が、戦争が続くことを望んでいる」と発言した(これに関しては2022年4月24日のコラム<「いくつかのNATO国がウクライナ戦争継続を望んでいる」と、停戦仲介国トルコ外相>で詳述した)。

 するとトルコ外相の嘆きを証拠づけるように、4月24日にブリンケンとオースティン(国防長官)がウクライナを訪問し、戦争の継続を激励した(No.14)。

 それでも注目すべきはNo.15にあるように、5月25日にダボス会議でゼレンスキーが「中国の現在の中立的政策に満足している」と言ったことである(この詳細は2022年5月29日のコラム<ゼレンスキー大統領「中国の姿勢に満足」とダボス会議で>に書いた)。

 その後もゼレンスキーは中国に対して好意的で、中国に警告を発するようなことをしたことがない。

 ところが、No.22にあるように、王毅が、いわゆる「和平案」をウクライナ戦争1周年に合わせて中国(習近平)が発表すると言った瞬間、ブリンケンは又もや「中国がロシアを軍事的に支援しようとしている」と発言したのだ。

 ここで図表の「No.9」と「No.13」を見比べていただきたい。

 両者に共通するのは、「停戦が進みそうだ」というタイミングである。

 ということは、アメリカは「停戦させたくない」と思っていることの論拠になり得るということを意味する。

 決定的なのはNo.24にあるバイデンのウクライナ訪問で、その目的は2月21日のコラム<習近平がウクライナ戦争停戦「和平案」に向けて動き始めた――そうはさせまいとウクライナ入りしたバイデン>に書いた通りである。

 こうしてNo.25にあるように、本稿の冒頭に書いたゼレンスキーの「中国がもしロシアと同盟を結べば、第三次世界大戦が起きる」という中国への初めての警告の言葉が生まれてきたのである。

◆岸田首相よ、歴史をくり返すな!

 翻(ひるが)って、わが国の岸田首相は、バイデンのウクライナ電撃訪問に驚愕し、あわてて「自分もウクライナに行かなければ!」と咄嗟に思ったと報道されているが、それが真実なら、「日本よ、歴史をくり返すな!」と言いたい。

 1972年2月21日にアメリカの当時のニクソン大統領が、日本の頭越しに訪中し日中国交正常化共同声明を出し、「中華民国」(台湾)と国交断絶したのを知った日本は驚愕し、同年9月25日に、日本の当時の田中角栄首相はあわてて訪中し、アメリカのあとを追って日中国交正常化声明を出して「中華民国」と断交した。

 こうして、こんにちの台湾問題が生まれたというのに、その結果、今では中国の軍事力の脅威を受けているというのに、今度もまた「あ、あのアメリカ様がウクライナを訪問したのに、この日本が行かなければ大変な恥になる」とばかりに、あわてているのだろうか。今年は特にG7首脳会談の議長国として広島でG7首脳会談を開催する。G7メンバー国の中で、ウクライナを訪問してないのは日本だけになるのではないかということに関しても焦り始めたのかもしれない。

 政策なき日本は、本来ならば「非NATOメンバー国」として、まさに「中立」の立場を取り、ウクライナ停戦に向かって邁進すれば、岸田首相はノーベル平和賞を受賞する可能性さえ出てきて、「世界に冠たる日本」が誕生する芽が見えてくるかもしれない。

 しかし、アメリカに気に入られようと、唯々諾々(いいだくだく)としてバイデンの一挙手一投足に従うさまは、みっともないと言うか、情けない限りだ。

 かつて日本の半導体が世界一となって輝ていたとき、アメリカが何としても日本の半導体を脆弱化させ、アメリカを抜くことを許さなかったため、日本はアメリカの言いなりになって、「日の丸半導体」を沈没させしてしまった。

 以来、日本の発言力は世界から消えてしまったのは周知の通りだ。

 それでいいのか?

 日本は、自主独立の精神を以て、自国を守る戦略を持てと言いたい。

 言論弾圧をする中国が覇権を握るのは反対だが、世界戦略という意味では、日本は中国の比較の対象にさえならないほど貧弱だ。

 もちろんプーチンが自ら侵略をやめると決意すれば、それで停戦できることなのは自明だ。しかし誰もプーチンの狂気を是正させることはできない。ならば、せめて、ウクライナへの果てしない武器支援と軍資金支援が、結果的にプーチンの侵略を激化させ、ウクライナの庶民の命を限りなく奪っていくことにも目を向け、停戦に向かわせていく努力をするしかないのではないだろうか。

 そうでなければ、日本は台湾問題により第二のウクライナとなり、アメリカの餌食になっていく。

 ウクライナの犠牲者の中に少女がいたりすると、筆者は7歳の時に中国共産党軍により食糧封鎖され餓死体の上で野宿させられた『もう一つのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』を思い出す。あの時は恐怖のあまり記憶喪失になり、長いこと言葉を話す能力も失っていた。戦火に震えるウクライナ少女の姿は、消えたと思っていたPTSD(心的外傷後ストレス障害)を引き起こし、震えが止まらず日夜苦しんでいる。そこから逃れようと必死で執筆を続けている。

 いかなる理由であれ、戦争にだけは、どんなことがあっても反対する!

 絶対に戦争をやめさせようとしないアメリカは正しいのか否かを、読者の皆さまとともに考えたいと思い、本稿をしたためた。
記事に関する報告
遠藤誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』(2022年12月中旬発売。PHP新書)、『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』、『 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『「中国製造2025」の衝撃』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。』

MMT理論は、理論と呼べるモノではない。

MMT理論は、理論と呼べるモノではない。 : 机上空間
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/30911476.html

『今、話題になっているMMT理論ですが、簡単に言ってしまうと、「自国の発行する通貨で借金をするのであれば、いくら借金をしても構わない。なぜなら、自国の通貨は、いくらでも発行できるから」という話です。いやいや、そんな単純なものではないよと、ここで反論が出てくるのは判っています。しかし、端的に言ってしまえば、そういう話である事は、MMT推進論者の方でも、異論は無いでしょう?

このブログで、何回も言っているように、通貨の価値を支えるのは、「それに価値があると信じる人々の信頼」です。法定通貨は、発行国の経済や安全保証、宗教、文化的に安定している事が、その価値の担保になっています。仮想通貨は、まさに単なる誰も価値を保証しないデジタル・トークンですが、それに価値があると信じて所有する人々に支えられて、価格がついています。つまり、根拠になるものが、その通貨に対する人気だけなので、価値が上昇するのも下落するのも、青天井です。

少しでも、自分で市場に参加して、相場を張った経験のある方なら、おおよそ同意していただけると思いますが、そもそも経済に「理論」なんてものは存在しません。理論で何かかが大丈夫である事を保証する事もできないし、逆に何かが絶対に危ない事を証明する事もできません。これは、嫌でも経済に関わらないといけない人々が、願望として「経済に理論がある」と信じたがっているというだけの話です。例えば、各国の財務省やら中央銀行やらです。なので、何理論であろうと、それを奉じていれば、その国の経済が安定するなんて事は、そもそも無いです。

そして、自国発行通貨であれば、いくら借金しても大丈夫というMMT理論が、その国の政治家や財務省あたりから歓迎されるのは、考えれば理解できます。何しろ、予算が使い放題という事ですから、何でも好き放題にできますからね。しかも、増税という国民から嫌われる議論をしなくても済みます。MMT理論が成り立つなら、これほど素晴らしい事はありません。

しかし、ここでシツコイようですが、通貨というのは、それを使う人々が価値があると考えるから、価値が発生しているだけで、それ自体は、コンピューター上の数字、もしくは、ただの硬貨、複製しにくい紙切れです。つまり、信用が価値を支えています。大量に自国通貨を発行した結果、何よりも、我々日本人が自国通貨に対する信用を失った時、円は紙くずになります。そんな事があるかと言えば、最近の円安と、長期間に渡る賃金上昇率の停滞で、早くも「海外で1ヶ月、働いただけで、80万貰えるよ。日本を脱出して、海外で働こう」みたいな動きが出てますよね。実質的に自分が受け取るサラリーに興味があっても、日本円の価値に固執して働いている人は少ないでしょう。なので、価値に差額が生まれれば、とっとと海外に出て働き始める日本人は、決して少数派ではないです。

そもそも、移民の主な原因は、自国で食い詰めた国民が、豊かな外国へ生きる為に出国する事でした。日本も、貧しい時代には、ブラジルやアルゼンチンへ移民しました。未開拓の土地があり、移民の受け入れに熱心だったからです。つまり、日本人が円の価値を信じている限りは、早々に円が紙切れになる事はありませんが、信用を失った場合、恐らく数年で円の価値が喪失する事もあり得ます。

戦後の日本も、戦費で膨らんだ借金をチャラにする為、インフレ誘導した事もありますし、預金封鎖をした事もあります。これは、国の借金をチャラにする為、負債を国民の財産と相殺したという事です。結果、現金で資産を持っていた国民は、資産価値が半分以下になりました。通貨切り替えという禁じ手を使えば、合法的に、こういう事はできます。つまり、「日本国が破綻しない」というのは、こういう強制力を持った国民財産の没収も含むのです。国が破綻しない事は、我々国民の財産が安泰である事とバーターでは、ありません。

よく言われる、「日本の持つ資産と借金を相殺すれば、まだ日本は黒字だ。日本には、まだ経済的な余力がある」的な議論がありますが、これも、定形モデル化できない事に、無理矢理理屈をつけた話以上のものではありません。この程度の理論武装は、円に対する信頼が崩れた瞬間に、吹っ飛びます。円に対する信頼とは、端的に言えば、日本の発行する国債を誰かが買っているうちは、いくら借金しても大丈夫という事です。日本人が円に対する信用を無くすという事は、国債の引き取り手が誰もいなくなるという事です。

自国発行通貨を、信用していない代表と言えば、中国です。中国人は、元の価値を信用していません。富裕層であれば、あるほど、外貨に替えようとします。その為、中国共産党は、法律で縛って、元の流出を止めなければ、国の経済が傾くほどです。これが、世界第二位のGDPの経済大国の実情です。他の国でも、自国の通貨を、まったく信用していない国は、数多くあります。ハイパーインフレで有名になった、ジンバブエでは、一度自国の通貨発行を停止して、ドルで決済する事態にまでなりました。国の経済が、通貨の価値を担保できないので、外国の通貨を決済に使わざるを得ないのです。

国の経済は、何かの理論に沿って運用しているから、大丈夫という事は、ありません。究極的には、その国の未来について、国民が希望を持ち、信じているかどうか? それぐらい、抽象的な話なのです。』

ロシア海軍、南アフリカ海軍、中国海軍の合同射撃演習は2023年2月25日~27日にインド洋南西部で実施される

ロシア海軍、南アフリカ海軍、中国海軍の合同射撃演習は2023年2月25日~27日にインド洋南西部で実施される | ロシア海軍情報供給部
http://rybachii.blog84.fc2.com/blog-entry-7890.html

『 2023/02/23 09:38.45 カテゴリ:フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」の地中海・インド洋遠征(2023年1月-)

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『インテルファクス軍事ニュース出張所』より
2023年2月22日配信
【ロシア連邦、中国、南アフリカ共和国の艦はインド洋の演習で射撃を実施する】
モスクワ、2月22日、インテルファクス

極超音速ミサイル「ツィルコン」を装備するロシアのフリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は、中国及び南アフリカ共和国海軍の艦と共にインド洋での合同演習で砲射撃を実行する。
水曜日にロシア連邦北方艦隊広報サービスは発表した。

「演習の活動部門は2月25日から27日まで行なわれます。
海上で合同砲射撃、戦術操艦が行なわれます」
声明では、こう述べられた。

3ヶ国の船員は、乗っ取られた船を臨検、解放する臨検グループの行動、遭難した船への援助、敵の空中攻撃手段からの攻撃の撃退へ取り組む事が指摘された。

「ロシア連邦から演習を代表するのは北方艦隊のフリゲート”アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・ゴルシコフ”と中型海洋給油船カーマです。
中国海軍を代表するのはフリゲート日照、駆逐艦淮南、支援船可可西里湖、南アフリカ共和国海軍はフリゲート”メンディ”です」
艦隊は伝えた。

北方艦隊によると、演習にはオブザーバーとしてブラジル海軍の代表が参加する。

水曜日に南アフリカのリチャーズ・ベイ港で、3ヶ国海軍演習の開始式典が開催された事が伝えられた。

「開始式典には、ロシア海軍総司令官ニコライ・エフメノフ大将、中国海軍副総司令官李玉杰中将、南アフリカ共和国統合司令部副司令官ブベレ・ムラナ少将と特別なゲストが出席しました」
声明では、こう述べられた。

ロシア北方艦隊の1等多目的フリゲート・プロジェクト22350の1番艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・ゴルシコフ」(ソ連邦海軍元帥ゴルシコフ)(2018年7月28日就役)は、極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」を搭載して大西洋、地中海、インド洋への遠距離航海に出発しました。

[極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」を搭載するロシア海軍北方艦隊のフリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は大西洋、地中海、インド洋への遠距離航海へ出発した]

「アドミラル・ゴルシコフ」に随伴するのは、プロジェクトREF-675中型海洋給油船「カーマ」(1982年9月29日就役)です。
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「カーマ」は、2019年2月~7月に行なわれた「アドミラル・ゴルシコフ」の世界一周航海にも同行しています。
[ロシア海軍北方艦隊の給油船カーマは世界一周航海を終えてムルマンスクへ帰投した]

出航後、「アドミラル・ゴルシコフ」はノルウェー海を南下し、1月9日頃に対空防衛演習を行ないました。
[ロシア海軍北方艦隊のフリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」はノルウェー海で対空防衛演習を実施した]

1月11日には北海を通過しました。
[ロシア海軍北方艦隊のフリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は北海へ入った]

1月12日にはラ・マンシュ海峡(英仏海峡)を通過しました。
[ロシア海軍北方艦隊のフリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」はラ・マンシュ海峡(英仏海峡)を通過した]

1月19日に大西洋上で艦載ヘリコプターの飛行訓練を行ないました。
[ロシア海軍北方艦隊のフリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は大西洋上で艦載ヘリコプターの飛行訓練を実施した]

この間、ポルトガル海軍のフリゲートが「アドミラル・ゴルシコフ」の動向を監視していました。
[ポルトガル海軍のフリゲートは大西洋上でロシア海軍北方艦隊のフリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」を監視した]

2022年1月下旬の時点で「アドミラル・ゴルシコフ」は大西洋の真ん中(フローレス島の西方1300キロメートル付近)まで進出しました。
(この頃、「カーマ」はアゾレス諸島沖に居た)
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[ロシア海軍北方艦隊のフリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」はアメリカ本土へ接近する?]

「アドミラル・ゴルシコフ」は1月25日に大西洋西部で極超音速ミサイル「ツィルコン」の模擬発射訓練を行ないました。
[ロシア海軍北方艦隊のフリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は大西洋西部で極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」の模擬発射訓練を実施した]

一方、大西洋中部に居た給油船「カーマ」は、1月31日に遭難したフランスのヨットを救助しました。
[ロシア海軍北方艦隊の中型海洋給油船カーマは大西洋上で遭難したフランスのヨットを救助した]
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2月8日には大西洋上で対潜/対魚雷複合体「パケート-NK」の模擬発射訓練を行ないました。
[ロシア海軍北方艦隊のフリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は大西洋で対潜/対魚雷複合体パケート-NKの模擬発射訓練を実施した]

2月10日には大西洋南部で130mm単装砲の砲撃訓練を行ないました。
[ロシア海軍北方艦隊のフリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は大西洋南部で130mm単装砲の砲撃訓練を実施した]

「アドミラル・ゴルシコフ」は、2月13日に南アフリカのケープタウンへ到着しました。
[ロシア海軍北方艦隊のフリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は南アフリカ共和国のケープタウン港へ到着した]
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2月15日にケープタウンを出航し、ダーバンへ向かいました。
[ロシア海軍北方艦隊のフリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は南アフリカ共和国のケープタウンを出航し、ダーバンへ向かった]
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2月17日にダーバンへ到着しました。
[ロシア海軍北方艦隊のフリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は南アフリカ共和国のダーバンへ到着した]

その後にダーバンを出航し、2月21日にリチャーズ・ベイ港へ到着しました。
[ロシア海軍北方艦隊のフリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は南アフリカ共和国のリチャーズ・ベイへ到着した]

「アドミラル・ゴルシコフ」は、2023年2月25日~27日まで南アフリカ東部沖(インド洋)で行なわれる南アフリカ海軍及び中国海軍との合同演習へ参加します。
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南アフリカ海軍からはフリゲート1隻が参加します。

・フリゲート「メンディ」(2007年3月20日就役)
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中国海軍からは駆逐艦1隻、フリゲート1隻、補給艦1隻が参加します。

・駆逐艦「淮南」(2021年1月23日就役)
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・フリゲート「日照」(2018年1月12日就役)
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・総合補給艦「可可西里湖」(2019年7月29日就役)
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この他、艦は派遣していませんが、ブラジル海軍もオブザーバーとして参加します。
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ロシア 中国・南アフリカと合同軍事演習開始 結束をアピールか

ロシア 中国・南アフリカと合同軍事演習開始 結束をアピールか
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230223/k10013988641000.html

『ロシアと中国、それに南アフリカの3か国は22日、合同軍事演習を開始し、ロシアはウクライナ侵攻をめぐり欧米と対立を深める中、友好国との結束をアピールするねらいもあるとみられます。

ロシア国防省は22日、南アフリカで、中国と南アフリカとの海軍の合同軍事演習を開始したと発表しました。

ロシア軍からは先月、実戦配備されたばかりの海上発射型極超音速ミサイル「ツィルコン」を搭載したフリゲート艦も参加し、25日から27日にかけてダーバン沖のインド洋での演習に加わる予定です。

「ツィルコン」は核弾頭も搭載でき、音速の9倍の速さで変則的に飛行するため迎撃が極めて難しいミサイルとされています。

ロシアは、欧米との対立を深める中、中国、南アフリカ、それにブラジルとインドが参加するBRICS=新興5か国の枠組みを重視しています。

ウクライナへの軍事侵攻から1年と重なるタイミングで中国や南アフリカとの合同演習を行うことで軍事力を誇示し、友好国との結束をアピールするねらいがあるものとみられます。

一方、南アフリカは、これまでロシアのウクライナ侵攻については中立の立場だとしてきましたが、野党勢力などからは「軍事演習を行うことで政府はロシア寄りの立場を鮮明にした」との批判が出ています。

南アフリカの思惑は? 国内外から批判が噴出

ロシアによる軍事侵攻から1年となるタイミングに南アフリカがロシアや中国と軍事演習を行うことには、アメリカ政府が懸念を表明し、国内からも最大野党を中心に批判の声が噴出しています。

これについてアフリカ諸国の外交や国際関係論が専門の南アフリカの研究者リーザ・ジェーンバーグ博士は、欧米諸国との関係に影響を与えかねないと指摘しています。

ジェーンバーグ博士によりますと、南アフリカの現政権にはアパルトヘイト=人種隔離政策の撤廃運動を行っていた当時、ソビエトから手厚い支援を受けた歴史もあることからロシアに同情的な傾向があるということです。

また、あえて欧米に同調しない姿勢を見せることでアフリカを代表する国としての存在感を示そうという思惑もあるとみられるとしています。

ただ、このタイミングでロシアや中国と軍事演習を行うことのインパクトは強く、「今回の演習によって、最大の貿易相手でもある欧米諸国の信頼や友情を失う危険性もある」と指摘しています。』

何の実績も信用も無い中国が仲介? ウクライナ情勢悪化?

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:何の実績も信用も無い中国が仲介? ウクライナ情勢悪化?
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5413269.html

『中国で外交を統括する王毅(ワン・イー Wang Yi)政治局委員はロシアの首都モスクワを訪れ、2023年2月21日にパトルシェフ(Nikolai Patrushev, 1951年 7月11日 – )安全保障会議書記と会談た。(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差がある。、、最近NHKのウクライナ報道が随分早くなった気がする。良い事だ。)

会談の冒頭、パトルシェフ氏は「ロシアと中国の封じ込めを目指す欧米側に対し、国際舞台において両国の協力と関係をさらに深めることはとりわけ重要だ」と述べ、ウクライナ情勢や米中対立を念頭に中国との戦略的な関係強化の必要性を強調した。一方、王氏は「中国とロシアの関係は成熟した性質を持っている。強固なもので、変化する国際情勢の中でもあらゆる試練に耐えるだろう」と述べた。

こうした中、アメリカの有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルは21日、関係者の話として、中国の習近平国家主席が数か月以内にロシアを訪問し、プーチン大統領と会談する計画を準備していると伝た。ロシアによるウクライナ侵攻の終結に向けて、中国が和平交渉を後押しするねらいもあると伝えている。王氏とは22日、ラブロフ外相が会談する予定のほか、プーチン大統領が会談するとも伝えられ、中ロ両国の首脳会談に向けて調整を行う可能性もある。参照記事より抜粋 

33835794-sきいいdc583530、、、

意地悪く書けば、息子をプーチンの後釜に狙っている強欲な政商パトルシェフとマウントを取るだけの国際的な恐喝屋・王毅が裏工作を始めた。

パトルシェフに「シロビキ、シロヴィキ:Silovik」(諜報、軍、警察など)を説得する政治力があるのか?クリミア半島完全奪還を主張するウクライナと、意地でも英雄として余命を終えたいプーチーンを、どのように折り合いつけるのか?

個人的には、クレムリンでクーデターでも起きないと方向転換は難しいと思うが、、。

一方で、こうなれば、その時点で軍事的に優位に居る方の主張が強くなるから、戦闘が激化する可能性がある。 過去ブログ:2023年1月プーチン後の人物は? ある考察:

G7=主要7か国の外相は2月21日、共同声明を発表し「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を可能なかぎり最も強いことばで非難する。ドネツク州、ルハンシク州、ヘルソン州、ザポリージャ州をロシアの領土に編入しようというプーチン大統領の取り組みは、露骨な国際法の無視であり、ウクライナの主権の侵害だ」と述べている。 参照記事 
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21日、ウクライナは「敵はかなりの数の人員、武器、軍事装備を戦闘に投入し、防御を突破しようとし、大きな損失を被っているが、計画をあきらめていない。

戦いの激しさは増し、現在、ドンバスでは、兵士と武器の数における彼らの優位性に対して、私たちの優位性は軍事指揮のプロフェッショナリズムと戦闘機の勇気にある。」と述べ、バフムトBakhmut、ウフレダルVuhledar(ウグレダルUgledar)で戦闘が激化している報道が多い。参照記事 』

プー之介は、次の国民動員令では「教育学部」の学徒を徴兵するらしい。

プー之介は、次の国民動員令では「教育学部」の学徒を徴兵するらしい。
https://st2019.site/?p=20917

 ※ 「学徒出陣」は、まず、「教育学部生」からか…。

『Defense Express の2023-2-21記事「Ukraine’s Intelligence Find Evidence That russia Prepares to Massively Call Full-Time Students to the Colors」。

   プー之介は、次の国民動員令では「教育学部」の学徒を徴兵するらしい。

 ノヴォシビルスク州立教育大学、トムスク工科大学、トムスク州立教育大学は、学徒出陣兵の応召人数を割り当てられようとしている。

どうやらロシア政府は、現役の全日制の学部学生を、まずは教育学部から徴兵しようとしている。』

 ※ 敗戦の2年前くらいの、日付のようだ…。

 ※ こういうことをやるハメに追い込まれると、ほぼ、「末期症状」だ…。

 ※ まあ、ウクライナ側も「同じようなもの」、なんだろうが…。

 ※ いや、もっと苦しいハズだ…。

 ※ 人口差が、甚だしいからな…。

 ※ 「それにしては、善戦している…。」というのが、冷静な評価だろう…。

2022-2-24の開戦から三日後、商用偵察衛星は、ウクライナ北縁に、長径10マイル〔BBCはわざわざ、15.5km だと併記している。〕AFV渋滞を発見した。

2022-2-24の開戦から三日後、商用偵察衛星は、ウクライナ北縁に、長径10マイル〔BBCはわざわざ、15.5km だと併記している。〕AFV渋滞を発見した。
https://st2019.site/?p=20917

『Claire Press and Svitlana Libet 記者による2023-2-22記事「How Russia’s 35-mile armoured convoy ended in failure」。

   2022-2-24の開戦から三日後、商用偵察衛星は、ウクライナ北縁に、長径10マイル〔BBCはわざわざ、15.5km だと併記している。米式陸マイルとも長さが異なっているようだ。こんなデタラメな単位を英米人はいつまで使う気なんだ? インターオペラビリティにさしつかえるだろう〕のAFV渋滞を発見した。

 2022-2-28には、この渋滞長径は35マイル(BBCは56kmと付記)に成長し、そのまま数週間、動かなかった。露軍がベラルーシに退却するさい、この渋滞は一晩で消えてしまった。

 チェルノブイリ近郊で守備していたウクライナ兵の証言。

 開戦劈頭、まず「グラド」(122ミリ多連装ロケット弾)が斉射されたと認識した。もちろん真っ暗闇の中。

 次に装軌車両の大集団が押し寄せてきた。こちらは、あらゆる橋を爆破して、隣の市「イヴァンキウ」まで退がった。

 露軍は、渡河点でいちいち重門橋を準備することを強いられ、こちらは退却時間を稼ぐことができた。

 後知恵では、ベラルーシ国境で防戦することは十分に可能であっただろう。だがそれは政治的に避けられた。ベラルーシ軍を巻き込むことになるからだ。

 ウクライナ軍の説明によれば、35マイル(BBCは56kmと注記)の渋滞の正体は、それぞれ別個の10個のBTG(大隊戦術グループ)だったのだそうだ。

 この10個BTGこそが「斬首作戦」を実行する役だから、他戦線とは重みが違う。

 回収された作戦文書から、最初のBTGは2月24日の0400に国境を越えたあと、1455までにキーウに到達するよう、命令されていたこともわかっている。

 ホストメル空港の確保にあたる数個BTG以外は、キーウまでノンストップのはずだった。

 英シンクタンクによれば、キーウ北方で露軍は「12対1」の兵力優勢を得ていたという。

 どうしてつまづいたか。

 プー之介は開戦を秘密にしておくために、攻勢発起の24時間前まで、ほとんどの部隊指揮官に開戦日時を予告していなかった。

 このため侵攻部隊は、糧食、燃料、地図の用意ができぬままに、行軍を開始するしかなくなった。
 他に、通信装備、砲弾、冬季被服にも遺憾なところが生じた。

 トラックのタイヤは泥濘シーズンにふさわしくなかった。

 路外の利用はまったく不可能だったので、1本の舗装道路に戦闘部隊も段列も行李もあつまるしかなかったのである。

 35マイル(BBCは56kmと注記)の中味は、戦車×1000、歩兵戦闘車とAPCが1万、糧食・燃料・弾薬の補給トラックが数十台。

 年金生活老人ら12人からなる、ある郷土防衛部隊が、開戦3日目にしたこと。道標を片端から倒して回った。
 武器は機関銃×1だけだったので、道路障害の構築と、火炎瓶製造に励んだ。

 彼らは火炎瓶投擲によって確かに車両×2を炎上させたという。

 そのかわりに全員が負傷し、味方の病院に収容された。

 ウクライナ正規軍の証言。

 露軍の末端部隊はかならず、大きな金属の箱を携行していて、そこには「機密」と書かれていた。待ち伏せ攻撃によってその箱を奪い、中を開けてみると、えらく詳細な作戦説明図が出てきた。

 しかし村落の地図は1960年代から70年代のものだった。彼らは「手旗信号」用の旗も揃えていた。

 地図が古いことと、橋を爆破されること、路外地面が泥田化することによって、露軍末端部隊は、次にどうしたらよいかが、わからなくなったのだ。

 ※《プリゴジン干上がらせ運動》は、プーチンに軍事科学の素養がないことを立証している。

ソ連時代に確立しているドクトリンでは、攻勢局面では、前線でいちばん成功している部隊に全補給品を与えるべきなのだ。

バフムトではそれはワグネルなのだから、ロシア人が科学を信奉するのなら、正規軍の砲弾もぜんぶワグネルに回すのが正しい。

しかるに露軍は組織を挙げてそれに抵抗し、役に立たない正規軍部隊が砲弾を抱え込んでいる。これで攻勢が成功するわけがない。

露軍のショイグ・ラインは、「科学」に背を向けたのだ。

参謀総長ゲラシモフはもちろん、軍事科学的には何が正しいのかは分かっている。しかし発言権は無い。

科学的ドクトリンがプーチンに共有されていれば、このようなスキャンダルは生じない。ロシアは、体制全体として、科学と縁を切ることにしたようだ。』

ロシア元大統領、我々を打ち負かすつもりなら核兵器を含む手段で自衛する

ロシア元大統領、我々を打ち負かすつもりなら核兵器を含む手段で自衛する
https://grandfleet.info/russia-related/ex-russian-president-defends-himself-with-means-including-nuclear-weapons-if-he-intends-to-defeat-us/

『メドヴェージェフ元大統領は「もし我々を打ち負かしたいなら核兵器を含むあらゆる手段で自衛する権利がロシアにはある。これが戦略兵器削減条約を停止をプーチン大統領が決断した理由だ」と述べて注目を集めている。

参考:Дмитрий Медведев

欧米が最も懸念する核兵器の使用をチラつかせて「戦争を直ぐに終わらせたければ武器支援を止めろ」と脅している格好だ

ウクライナを訪問したバイデン大統領は次の訪問先であるポーランドで「私達のウクライナに対する支持が揺らぐことはない。NATOの結束が乱れることもなく(支援に)疲れることもないだろう。プーチンの権力と領土への野望と欲望は破綻する。決してウクライナはロシアに負けることはない」と語ったが、メドヴェージェフ元大統領は「もし我々を打ち負かしたいなら核兵器を含むあらゆる手段で自衛する権利がロシアにはある」と反論して注目を集めている。

出典:President of Russia

メドヴェージェフ元大統領はプーチン大統領が戦略兵器削減条約の停止を発表したことについて「米国やNATOが我が国に対して宣戦布告したことに対する結果だ。米国はウクライナでの戦争とロシアとの戦略安全保障(戦略兵器削減条約)を別の問題だと考えているが、この結論は米国にとって重大な過ちだ。もし米国が我々を打ち負かしたいのであれば兵器を含むあらゆる手段で自衛する権利がロシアにはある」と述べ、プーチン大統領は年次教書演説の中で「戦場でロシアを打ち負かすのは不可能だ」と述べた理由こそが戦略兵器削減条約を停止した理由だと説明した。

さらにバイデン大統領が「ロシアが侵略を止めれば戦争は直ぐにでも終わる」と語ったことについても反応し、我々が勝利を得ることなく特別軍事作戦を止めれば「ロシアは存在しなくなり引き裂かされることになる。米国がウクライナへの武器供給を止めれば戦争は終わる」と反論したのが興味深い。

出典:ПРЕЗИДЕНТ УКРАЇНИ

つまり西側が支援するウクライナとの戦争でロシアが負けそうになれば「核兵器の使用も厭わない=絶対に戦場でロシアを打ち負かすのは不可能だ」という意味で、欧米が最も懸念する核兵器の使用をチラつかせて「戦争を直ぐに終わらせたければ武器支援を止めろ」と脅している格好だ。

関連記事:プーチン大統領の年次教書演説、戦争を先に始めたのは西側諸国とウクライナ
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※アイキャッチ画像の出典:President of Russia
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投稿者: 航空万能論GF管理人 ロシア関連 コメント: 32 』

『 xyz
2023年 2月 22日

返信 引用 

こいついつも言ってんな。
こいつを記事する意味ってあるのかな。
23

    hiroさん
    2023年 2月 22日
    返信 引用 

プーチン政権内での地位低下は否めないものの、お咎め無しに好き勝手言っているということは何がしかはプーチンの意向を代弁しているかもしれませんね。
ロシアの情勢分析の一要素としては報道しても良いのでは。
11
        STIH
        2023年 2月 22日
        返信 引用 

    元々ロシアの国家運営って、議員にヤバい奴ら集めて好き勝手言わせて、それを穏健派プーチンが嗜めるという構造ですから、やっぱり参考になんない気がします。
    9
        paxai
        2023年 2月 23日
        返信 引用 

    メドベージェフって昨年12月に「軍事産業委員会の第1副委員長」に就任したらしいから実は復権してきてるのでは?
    委員長はプーチンだからこれ以上は出世できないし。
    3 』

『 キジトラ
2023年 2月 22日

返信 引用 

ただの素人意見でスミマセン。私はロシアの核使用は可能性が低いと考えています。

去年、「クリミア橋への攻撃は核で報復する」と発言しながら核を使用せずに、インフラ攻撃で代替したのが象徴的で、もし核使用の本気度が高かったら、無人地帯への威嚇的な核使用や、自軍の核警戒レベルを上げるなど、(冷静な目から見ると)イカれた行動に出てもおかしくなかったような気もします。

なにより、核使用は西側諸国に対して最大の政治ボーナスを渡す事になり、NATOの全面介入や、英米によるモスクワへの核報復のリスクも出てきます。国内の反乱をおそれて動員になかなか踏み切れなかった事からも、プーチン氏は予測不能な事態を避ける傾向が強いので、ウクライナの部分的な土地の為に核という大博打を打つ事は出来ないのではないでしょうか。

因みに、個人的には「失敗した時のリスクよりも、確実な前進」という意味でも、キーウの再攻略は可能性が低く、東部の制圧を落としどころに設定しているように感じます。
14

    キジトラ
    2023年 2月 22日
    返信 引用 

何だか完全に的外しになってしまいました。お恥ずかしい!失礼しました。
4
    7743
    2023年 2月 23日
    返信 引用 

ロシアと言う国はソ連が崩壊してから30年間、一度も核実験を行ったことが無いんですよね。
まあ、他の国も核実験は禁止しているのですがロシアの場合、中国の30倍近い数の核兵器を保有しているのに、開発・管理に掛ける予算が中国よりも少ないと言う体制が続いてきました。
この低予算で核兵器の管理だけはまともになされているとは考えづらく、勇ましい口先とは裏腹に、実際に使用に耐えうる核兵器はかなり限定されてるのではないかと思います。

もし、本気で核兵器を政治アピールに使うのなら、一度くらい核実験をして見せると思います。
ロシア国内で核実験をすれば、抗議はされると思いますが、NATOが参戦する理由にまでは発展しないでしょう。
2 』

『 折口
2023年 2月 22日

返信 引用 

北朝鮮の道ですね…。ロシアにとって利益の大きかった新STARTも破棄しちゃって、ほんとどうするんだろう。

バイデン政権が核軍拡をはじめる可能性は万に一つもないにしても次の政権は分からないですし、今までは新STARTの手前米国も多少遠慮していた弾道ミサイル防衛網の配備拡大は今政権下からでも進みかねないですよね。

北欧諸国がイージス・アショアの設置を求める可能性は高いですし、日進月歩で開発が進んでいる次世代型のBMDが続々ヨーロッパに入っていけば核の効能、特にロシアが一番示唆したい限定核使用シナリオの恫喝力は封殺されてしまいますからね。

ミサイル防衛を突破できるHGVを作ったとして、HGVも防げるBMDを構築されてしまったら、その時ロシアは次の一手を出す体力が残っているのでしょうか。
28 』

『 月虹
2023年 2月 22日

返信 引用 

>我々が勝利を得ることなく特別軍事作戦を止めればロシアは存在しなくなり引き裂かされることになる

ロシアはウクライナでの敗戦により「旧ソ連の様にロシア連邦も崩壊してしまう」と想定しているのでしょう。

困るのはロシアの後ろ盾で独立している沿ドニエストル(モルドバ)、アブハジア・南オセチア(ともにジョージア)、ナゴルノ・カラバフ(アゼルバイジャン)といった国々。
またチェチェンもカディロフ首長がベラルーシの様に独立後も現在の独裁政権を維持できる可能性もありますが現在、ウクライナ義勇兵として参戦しているチェチェン独立派が帰国して現政権に戦いを挑む可能性が高く、予断を許さない状況になると思います。シリアのアサド政権もロシアが無くなるとトルコやアメリカが支援する反体制派が盛り返す可能性があります。

さらに旧ソ連崩壊時と違い、中国が成長して力をつけておりロシアから沿海州の取得(中国は清朝の時代にアロー戦争の結果、北京条約により約100平方キロメートルにわたる外満州<現在のロシア沿海地方>をロシア帝国に割譲した。この結果、清は日本海への出口を失った)にとどまらずロシアの後任として「一帯一路」でロシアの後ろ盾を失った国々に注目して接近するでしょう。
7

    STIH
    2023年 2月 22日
    返信 引用 

もうすでにロシアの勝ち負け関係なく、中央アジアあたりは中国に接近してますよね。一部は中華帝国の冊封国だった時期もありますから中国もニッコリ。
これで中国が支援のバーターに沿海州よこせって言うだけでも面白いですね。
3 』

『 XYZ
2023年 2月 23日

返信 引用 

どれくらいちゃんと機能する核兵器があるか分かりませんが、どのような出力だろうと使用した時点でロシア寄りな中国やインドなども完全にロシアから離れるでしょうね。

その他、核保有国にとってはNPT体制の崩壊のきっかけになる可能性が高くなり、自国の優位性が消えてしまいます。

日本付近でも韓国や台湾は核兵器保有に走りそうです。
もちろん、日本でも議論になると思います。

更に離れなければ自国が制裁や輸入規制を受ける事になるでしょう。
4 』

中国の王毅が2月22日にモスクワを訪問、中露の強固な関係を示した

中国の王毅が2月22日にモスクワを訪問、中露の強固な関係を示した | 《櫻井ジャーナル》 – 楽天ブログ
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202302230001/

 ※ この地図は、秀逸だ…。

 ※ 北極から見ると、一目瞭然だな…。

『中国の外交部門で中心的な役割を果たしている王毅が2月22日にモスクワでウラジミル・プーチン大統領と会談、両国の連携強化を印象付けた。王毅は外交部長(外相)を経て中央外事工作委員会弁公室の主任に就任している。会談の中でプーチンは習近平国家主席のロシア訪問を期待していると伝えたという。

 2月21日にプーチン露大統領は連邦議会で年頭の演説を行い、その中で「新START条約(戦略兵器削減条約)」の履行を停止、アメリカやNATOによる核施設の査察を許可しないと宣言した。アメリカ/NATOが長距離兵器をウクライナへ供給すれば、それに合わせてロシア軍は攻め込むともしている。

 アメリカのバラク・オバマ政権は2014年2月22日、ウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ政権をクーデターで倒した。クーデターの主力はネオ・ナチで、暴力的なものだったが、EUは話し合いでの解決を模索、そうした姿勢に怒ったビクトリア・ヌランド国務次官補はウクライナ駐在のアメリカ大使だったジェオフリー・パイアットとの電話による会談の中で「EUなんかくそくらえ」と口にしている。話し合いで解決したならヤヌコビッチを排除できないからだろう。ふたりの会話の音声は2月4日にインターネットで流されている。
 ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部の住民はクーデターを拒否し、ドンバスでは内戦が始まるのだが、反クーデター軍はクーデター軍より強かったことからアメリカ/NATOはクーデター政権の軍事力強化に乗り出した。

 それに対し、プーチン政権は話し合いでの解決を試み、ドイツやフランスの仲介でミンスク合意を実現するが、これは時間稼ぎが目的だったと昨年12月7日に​アンゲラ・メルケル元独首相​が語っている。その直後に​フランソワ・オランド元仏大統領​はメルケルの発言を事実だと認めている。

 その前にロシア政府はアメリカやEUと話し合いで問題を解決することが不可能だと悟り、昨年9月21日に部分的動員を発表した。軍事的に解決するしかないと腹を括ったわけだ。その決断を中国も支持、両国は経済だけでなく軍事的にも結びつきを強めていくのだろう。

 ネオコンが仕掛けたウクライナでの戦争はアメリカ/NATOの敗北で終わりそうで、中露の同盟強化は米英を中心とする帝国主義体制を崩壊させる可能性が高い。その沈みゆく帝国に日本の「エリート」はしがみついている。

TWITTER

最終更新日 2023.02.23 03:46:26 』

ウクライナ戦争、「プーチン失脚でも終わらない可能性」 小泉悠氏

ウクライナ戦争、「プーチン失脚でも終わらない可能性」 小泉悠氏
https://www.nikkei.com/video/6320852386112/

 ※ これは、非常に参考になる…。

 ※ 是非とも、見といた方がいい…。

『ロシアのウクライナ侵攻から1年。ロシアの軍事・安保戦略が専門の小泉悠氏に、「どうすれば戦争は終わるのか」「この先1年の戦況のカギ」「日本の安保戦略への影響」について聞いた。

関連:ウクライナ侵攻、小泉悠氏「国家間戦争の脅威を可視化」』

中国、ChatGPTの利用停止 アリババやテンセントに指示

中国、ChatGPTの利用停止 アリババやテンセントに指示
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA226Z40S3A220C2000000/

『【香港=周衛】米新興オープンAIが開発した対話型人工知能(AI)「ChatGPT(チャットGPT)」について、中国の規制当局がアリババ集団など国内の主要IT(情報技術)企業にサービスを提供しないよう指示したことが分かった。利用者の質問に対し、習近平(シー・ジンピン)指導部に批判的な回答をしかねないと警戒しているとみられる。

チャットGPTは2022年11月に公開された。AIが膨大な文書データなど…

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『AIが膨大な文書データなどを読み込み、利用者の質問に巧みな文章で答える。米マイクロソフトも検索エンジンにオープンAIの技術を導入するほか、米グーグルも高度な対話型AIの開発を進める。IT分野の新たな技術革新を象徴するサービスの一つとなっている。

中国政府はインターネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)やアリババ系でフィンテック事業を手がけるアント・グループに対し、自社のプラットフォームでチャットGPTを使えなくするよう指示した。関係者が日本経済新聞に明らかにした。

チャットGPTに類似した独自サービスを提供する際にも、事前に規制当局に報告する必要があるという。

チャットGPTは中国では公式には利用できないが、一部のネット利用者はVPN(仮想私設網)を通して使っている。中国で利用者の多いテンセントの対話アプリ「WeChat(ウィーチャット)」では、チャットGPTの機能を提供するとうたう他の企業によるサービスが多く公開されている。

関係者によると、テンセントは中国当局の圧力でこうしたサービスの一部提供を中止した。

中国では、米国で開発された対話型AIへの警戒感が高まっている。AIが質問に答えるために分析する大量のデータは、米欧の資料が中心だ。中国に批判的な言論も多い。AIは論文や記事、書籍、SNS(交流サイト)上の投稿などから学習する。

対話型AIは検閲など人為的な操作を加えない限り、習指導部や中国共産党の一党独裁などに批判的な回答を導き出す可能性がある。中国当局はネット上での指導部批判を厳しく取り締まっており、対話型AIにも対応が必要と判断したとみられる。

中国政府系の英字紙チャイナ・デーリーは、対話型AIを使ったサービスが「米国による偽情報の拡散や世界規模の世論操作」を助けかねないと批判する。

ある中国IT大手の幹部は「チャットGPTは検閲のために中国市場に進出できず、中国は独自の対話型サービスをつくることになる」と語る。

別の企業の幹部は当局の警告とは関係なく、チャットGPTの利用には慎重な考えを示す。「チャットの反応が制御できないので、我々のプラットフォームには追加しない」という。中国の現体制に批判的な対話が見つかった場合、IT企業が責任を負わされかねないとの懸念がある。

チャットGPTが世界で注目を集めるなか、テンセントやアリババ、百度(バイドゥ)など中国のIT大手も相次ぎ対話型AIの開発計画を発表している。ただいずれもチャットGPTそのものを自社サービスに組み込むことには否定的だ。

中国当局はこれまでにも米国発のサービスを規制してきた。VPNなど特殊な手段を使わない限り、グーグルやフェイスブック、ツイッターなどを使えないようにしている。

AIの水準が急速に高まるなか、中国がAIでも規制を強めれば同国のネット空間は一段と世界から切り離されて世論が操作されることになる。社会の統制を強める習指導部のもとで世論が先鋭化するリスクがある。

【関連記事】

・ChatGPT「AIの転換期」「精度は改善の余地」 識者分析
・対話型AI、サイバー攻撃に悪用の恐れ 米政府が警鐘

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西村友作
中国対外経済貿易大学国際経済研究院 教授
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ひとこと解説 中国国内でChatGPTは正式にサービスは始まっていません。中国の携帯番号に対応していないので、タオバオなどで20元ほど払えば業者が代理でアカウントを取得してくれるそうです。なお、先ほど試しましたが、現時点ではホームページにはVPNを使用しなくてもアクセスできます。

現在、中国国内でVPNを使わずに直接アクセスできる検索エンジンは限られています。Google、Yahooは使えない一方で、Bingは直接利用可能です。中国版Bingでは、現在はChatGPTは搭載されていないようですが、搭載されたらアクセス禁止されそうですね。
2023年2月22日 22:23 (2023年2月22日 22:24更新)
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28

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堀越功
日経BP 日経クロステック副編集長
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別の視点 中国は長年、認知領域の影響力工作に力を入れているとの指摘があります。中国のような強権国家が独自にチャットGPT的なサービスを開発・運用するようになると、人々の認知領域をより効果的にコントロールできる絶好のツールを手に入れることになります。検索エンジン以上に人々の依存度を高めやすい対話型AIは、人々の潜在意識を左右する悪魔のツールになる恐れがあります。強権国家は躊躇なく「ダークサイド」に落ちるでしょう。恐ろしい局面に差し掛かっていることに気付かされます。
2023年2月22日 21:06 (2023年2月22日 21:06更新)
いいね
66』

ロシア、支配地半分失う 20万人死傷も「戦果」なく焦り

ロシア、支配地半分失う 20万人死傷も「戦果」なく焦り
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR21DD10R20C23A2000000/

『【リビウ(ウクライナ西部)=久門武史、林英樹】ロシアはウクライナ侵攻で、2022年3月までに占領した土地のおよそ半分を春以降に失った。欧米の武器供与を受けたウクライナが奪還した。ロシア軍と民間軍事会社の死傷者は20万人規模との推計があり「戦果」を示せぬプーチン大統領には焦りもにじむ。

侵攻は24日に1年を迎える。ロシア軍による支配・侵攻面積は現在、ウクライナの東部・南部を中心に全土の18%を占め…

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『侵攻前はクリミアなど7%だったので、1年間で11ポイントしか拡大していない。米シンクタンク「戦争研究所」の地図データをもとに計算した。

侵攻開始から1カ月の22年3月下旬にロシアの支配面積は27%まで拡大していた。侵攻後にウクライナの20%分の国土を追加で占領したものの、ウクライナの反攻を受けて、およそ半分の9%分を手放した計算になる。

ロシア軍は22年4月には首都キーウ(キエフ)近郊から退いたほか、9月には東部ハリコフ州の要衝イジュームも失った。11月には南部ヘルソンも明け渡した。バイデン米大統領は21日のポーランドでの演説で「プーチン氏は自らが予測した勝利の代わりに、焼け焦げた戦車と乱れたロシア軍を残した」と皮肉った。

英国防省は17日、ロシアの軍と民間軍事会社の死傷者数が計17万5千〜20万人と分析した。このうち死者は4万〜6万人とし、昨年9月以降に大幅に増えたとみる。兵員不足のロシアは22年9月に部分動員を発令し、30万人を追加徴兵した。

プーチン氏は侵攻を続ける姿勢を崩さない。22日、モスクワ中心部に近い競技場で開かれた大規模集会に出席した。「万歳」を連呼して参加者を鼓舞し「我々が一緒になれば対抗できるものはない」と団結を訴えた。「国全体が(特別軍事作戦に参加する兵士を)支持している」と主張した。

集会は1年を迎えるウクライナ侵攻や、23日の祝日「祖国防衛者の日」にちなんだものとみられる。政権を支持する若者らが参加した。

ウクライナはロシア軍への反攻を続けている。ウクライナ軍は22日、前日から激戦地バフムトを含む東部ドネツク州とルガンスク州の7地域においてロシア軍が攻撃をかけたが、すべて撃退したと発表した。侵攻1年の節目となる24日を前にロシア側は支配地の拡大を目指してきたが、戦線は膠着状態が続いている。

ただ長引く消耗戦にウクライナ側の犠牲も膨らんでいる。ウクライナ政府は22年12月、軍の死者数を1万〜1万3千人と推定した。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は2月時点で民間人の死傷者数を2万1293人と発表したが「実際の死者数はもっと多い」とみている。

戦死したウクライナ兵の葬儀(21日、リビウ)
【関連記事】

・リビウ市長、避難15万人受け入れ「病院不足」 支援訴え
・ロシア化進むマリウポリ 見せかけの「復興」』

ロシア「脱ドル・ユーロ」進む 制裁受け決済9割→5割

ロシア「脱ドル・ユーロ」進む 制裁受け決済9割→5割
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB17D0W0X10C23A2000000/

『【この記事のポイント】
・ロシアが「脱ドル・ユーロ」の動きを加速している
・米欧日の制裁で輸出決済に支障がでているのが理由
・影響緩和へ、人民元やルーブル建てにシフトしている

ロシアが「脱ドル」の動きを強めている。欧米日の金融制裁を受けて、輸出決済ではドルやユーロ建てが9割から5割に低下した。制裁の影響を受けにくい人民元やルーブル建てへのシフトが顕著だ。基軸通貨ドルの使用制限は貿易や資金調達に打撃となり…

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『基軸通貨ドルの使用制限は貿易や資金調達に打撃となり、中国依存を強めながら影響緩和を図っている。ウクライナ侵攻から1年、マネーでも世界の「分断」が進んでいる。

銀行間の国際送金網である国際銀行間通信協会(Swift)は2022年3月、米欧日の要請を受けてロシアの大手銀行を排除した。この制裁により、ロシアでは「かなりの割合の銀行が制裁下にあり、ドルやユーロ建ての輸出入決済の遂行能力が妨げられている」(ロシア中央銀行)。

制裁後、ドルやユーロ建ての輸出決済の割合は急低下した。ロシア中銀によると、22年1月はドルが52%、ユーロは35%だった。9月はそれぞれ34%、19%に低下した。

原油などの取引では制裁対象ではないロシア国内外の銀行などを通じてドルなどの支払いを続けている。国営ガスプロム傘下のガスプロムバンクはSwift制裁対象外で日本を含めガスはドルやユーロ建てでの決済が続いている。西側諸国の銀行のロシア内現地法人を使った支払いもあるようだ。ただ全体には比率が大きく下がった。代わって増えたのが人民元建てやルーブル建てで9月に合計で47%となった。

ガスプロムは中国向けガス輸出での決済を従来のドル建てから人民元とルーブル建てに切り替えた。欧州の輸入業者の一部でもユーロ建てからルーブル建てに切り替えたとした例もある。世界のエネルギー取引はドル建てが支配的だが、中ロの2国間中心に慣行を崩そうとしている。欧州連合(EU)などによるロシア産原油や石油製品の禁輸措置を背景に、ロシア産がアジアなどに向かったことも人民元建てなどの拡大につながった。

Swiftに対抗する送金網の活用にも弾みがついた。中国の国際銀行間決済システム(CIPS)の1月の取引件数は1日平均で2万1000件と侵攻前の約1.5倍だ。大和総研の中田理恵氏は「CIPSは基本的には中国元の決済しか対応しておらず、Swiftを代替できる範囲は限定的」とする一方、「将来的に米欧などの制裁対象となることを懸念する国では利用が広がる可能性」があると指摘する。

輸出によるドルやユーロの獲得が減った分、ロシア国内の外貨は不足気味だ。昨年10月の外貨による法人融資は同3月比13%減った。一方、ルーブル建ては11%増やし、全体では融資額を増やした。外貨融資の減少をルーブルで補い「信用収縮を回避した」(ロシア中銀)格好だ。ロシア当局は銀行の引当金や自己資本に関する規制の緩和などで後押ししており、銀行にリスクが蓄積している可能性がある。

海外からの資金調達は難しくなった。ロシア国債の取引では海外投資家の割合は侵攻前の約1割からほぼ消滅。ルーブル建て国債の海外勢の保有比率は2割から1割に減った。ロシア政府は侵攻後は国債発行をルーブル建てのみとしている。SMBC日興証券の秋本翔太氏は「米国を中心に多くの国がロシア国債の取引を禁止しており、ロシア国内で資金調達せざるをえない状況」とみる。

ロシアとの貿易や金融取引は日本企業にとっても難しくなっている。国内大手銀はロシアの現地法人への送金などで、制裁に抵触しない範囲でロシア内の取引先とのお金のやりとりを続ける。

ただ、送金ルートは狭まっている。みずほ銀行のロシア現地法人は22年10月、顧客などに対し「米ドル以外の通貨を利用するか、他行での送金をお願いする」と通知した。ロシアと国外の送金を中継する海外銀行がドル建て送金の取り扱いを停止したためだ。

第一生命経済研究所の西浜徹氏は「ロシア経済と中国経済の一体化が進んでいる」と指摘する。マネーでも権威主義国の経済圏を形作ろうとする「金融ブロック化」の動きが強まる。西側の制裁が効きにくくなるとともに、世界経済の効率を低下させる恐れがある。

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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分析・考察 ロシアは積極的に脱ドルを進めているというよりも、経済制裁を受け、ドル建て収入が激減したため、人民元やルーブルに切り替えざるを得ない。ロシア人に聞いてみれば、やはりドルがほしいと答える。ドル決済のウェイトは低下すればするほど、ロシア経済が窮地に追い込まれる証拠になる。ロシアは人民元を受け取っても、中国から商品を輸入するしかない。とくに、人民元は準備通貨としての機能が十分に強くなっていないため、ロシア人は金融資産を人民元建てで持つことに抵抗があるかもしれない
2023年2月23日 8:44いいね
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田中道昭
立教大学ビジネススクール 教授
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ひとこと解説 ロシアの「脱ドル」の動きに呼応して、中国は「ペトロ人民元」、即ち人民元での石油取引及び同通貨決済取引を拡大しようと目論んでいます。米国と距離を置き始めたサウジとの間で同取引を拡大。米国がロシアへの経済制裁にドル建外貨準備を「武器」として使用したことから、リスク対策として他通貨も決済手段としておきたいグローバルサウス諸国でも取引が拡大しています。BRICS、上海協力機構、東南アジア、さらに中東でも人民元取引を拡大させている中国。真の基軸通貨には国家への信頼が不可欠ななか、人民元にその資格はありませんが、少なくともロシアへの経済制裁効果低減と金融面での分断には威力を発揮していることに要注意です。
2023年2月23日 6:36 』