中国、2年3カ月ぶり資金流出 輸出減や対内投資低迷で

中国、2年3カ月ぶり資金流出 輸出減や対内投資低迷で
昨年10〜12月
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1366G0T10C23A2000000/

『【北京=川手伊織】中国で海外からの資金流入が細っている。2022年10〜12月は2年3カ月ぶりに流出が流入を上回った。輸出が減ったほか、海外からの債券投資も低迷したためだ。23年に入り国内景気は持ち直しているが、資金の流入が細ったままなら、人民元の国際化や中国主導の広域経済圏構想「一帯一路」の投資にも影響しかねない。

中国国家外貨管理局は毎月、銀行口座を経由した資金の流出入額を集計する。日本経済…

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『日本経済新聞社は四半期ベースの動向を調べた。帳簿上の取引でなく、企業や個人が中国の銀行口座を通じて実際に海外とやり取りした金額だ。

22年10〜12月は流出から流入を差し引いた純流出額が112億ドル(約1兆5000億円)だった。規模は19年7〜9月以来3年3カ月ぶりの大きさとなった。

過去の推移をみると、19年までは人民元の先安観などで流出が流入を上回っていた。20年初めに新型コロナウイルスが世界的にまん延すると、流入超過に転じた。

コロナの流行初期に徹底して感染拡大を抑え込み、早期に経済を正常化させた影響が大きい。他国より早く輸出が持ち直したほか、海外との利回り差を期待した外国勢による国債への投資も増えた。

22年後半はこのサイクルが逆転した。10〜12月の輸出は四半期ベースで2年半ぶりに前年同期比で減少に転じた。コロナ禍で傷んだ海外のサプライチェーン(供給網)も復旧し、中国からの出荷を一時的に増やすという代替需要も弱まってきた。

22年は中国景気の長引く低迷で先行き不安が強まり、海外からの債券投資も落ち込んだ。香港経由で中国の債券を売買できる「債券通(ボンドコネクト)」などを利用した外国人の元建て債券の保有残高は昨年12月末時点で3兆3872億元(約66兆円)だった。四半期でみると、4期連続で前期末を下回った。通年でも15%減と初のマイナスを記録した。

対照的に、帳簿上の取引も含む経常収支は22年10〜12月、1068億ドルの黒字だった。前年同期より1割減ったが、過去最高を記録した前期に続き1000億ドルを上回った。

帳簿上の黒字は大きいのに、なぜ実際は資金純流出になったのか。一因として、中国に進出する外国企業の収益悪化や新規投資の抑制が考えられる。外国企業の収益減少は、中国からみると経常黒字が増える要因だ。一方、中国での新規投資を絞り込み人民元への両替を減らせば、銀行経由の資金流入が減る。

23年は世界経済の減速で中国の輸出も伸び悩む公算が大きい。国内経済は「ゼロコロナ」政策の終了で持ち直しているが、半導体をめぐる米中対立の激化など中国への投資リスクは残る。

1月に銀行口座を通じてやり取りした資金は純流入となったが、規模は25億ドルと前年同月の1割だった。春節(旧正月)休暇の影響を考慮して22年2月と比べても4割少ない。1月末時点の外国人による債券保有残高も22年12月末から1065億元減った。

海外勢の債券投資など資金流入が細ったままなら、人民元の国際化や「一帯一路」の投資など米国に覇権争いを挑む中国の対外戦略にも影響を及ぼしかねない。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む https://asia.nikkei.com/Economy/China-sees-first-net-capital-outflow-in-more-than-2-years?n_cid=DSBNNAR