大量の金を産む、エモーションという商売

大量の金を産む、エモーションという商売
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/30834039.html

『現在進行形で、トルコやシリアで震災被害が広がっている中、多少不謹慎かも知れませんが、起きている事実に目を瞑るのは、何か違うと思うので、敢えて書いていこうと思います。今回のトルコ・シリア大震災で、大量のデマ投稿がSNSにされています。過去に起きたビルの倒壊映像や、自然災害を映した動画、それにいわゆる、画像素材として、画像販売サイトで売っている、災害に遭って絶望する人々みたいなシチュエーションの画像を、現地で撮影したものとして投稿しているのです。

多くは単なる目立ちたがりが、アクセス数を稼ぐ為に行っているのですが、中には、こうした多くの人々の耳目を集め、共感を呼びやすい事柄を、コンテンツとして利用して、大金を産む商売として仕掛けるエモーション・ビジネスというものが存在します。皆様も何か大きな事故が起きると、その件を象徴する特定の画像やら動画が目に浮かぶと思います。もちろん、多くは本物なのですが、中には特定の社会運動を起こす為に、捏造されたのではないかと言われているものがあります。

例えば、EUで中東で発生した難民の対応を巡って、まだ確たる方針が出ていなかった頃、方向性を決めたのは、イタリアの海岸で見つかった密航を試みて、ボートから転落し、浜辺に水死体で揚がった少年の死体画像でした。イタリアの警官とおぼしき人物が、遺体を抱えあげて、泣き叫ぶ画像が大きな反響を呼び、後に「超法規的」な難民受け入れ運動に繋がります。この報道写真の力は凄まじく、この時は、「難民には慎重に」なんて、発言しようものなら、「このレイシストめ」「人間のクズ」とか言われて、社会的な立場を失う勢いでした。実際、職を失う有名人も出ました。政治家は敏感に反応して、各国で難民優遇策を巡って、競争をする状態になりました。特に、メルケル政権だったドイツが目立っていて、ほぼ難民審査の条件を無くした為、大量の難民が流入し、今では社会問題になっています。

この問題の写真なんですが、少年の遺体が本物なのは、確認されています。ただし、この写真を巡っては、流れ着いた遺体に対して、シチュエーション設定をして撮影された疑いが出ています。撮影された場所は、砂浜と言っても、海水浴場のような遠浅の浜辺ではなく、岩も確認される場所なのですが、それにしては、水死体が綺麗過ぎるのですね。密航しようとした少年の家族も確認されているので、ボート転落事故が起きて、その死体がイタリアの海岸に流れ着いたのは、確かなのですが、漂着後に遺体を動かして、ストーリーを付けて撮影したのではないかと言われています。

これでEUの方針が確定した為、難民の審査というのは、大甘のままなのですが、今では難民ビジネスは、送り出す現地や、受け入れる国のギャングの一大収入源になっています。というのは、もちろん、本当に貧乏で、着の身着のままで祖国を脱出した人もいますが、多くの難民は、現地の資産を処分して、現金を貴金属に替えて、身につけて祖国を出ています。もちろん、先の生活の保証は無いわけですが、難民になったタイミングでは、高価な物品を持っているのですね。まぁ、それを、弱みにつけこんで、ギャングが没収するわけです。

一応、密航の手助けはしますが、その扱いは貨物並に酷く、たまに欧州の道端に、コンテナに死体を満載したトラックが遺棄されているのが見つかります。それは、密航難民の成れの果てで、途中で何らかの理由で死亡して出た死体を、コンテナに詰め込んで、トラックごと道端に捨てるのです。情報というのは、遅れて伝わるものですから、欧州が押し寄せる難民の波に悲鳴を上げて、一部の国で封鎖が始まった頃でも、中東では欧州で難民は歓迎されると聞いて、密航希望者は途切れませんでした。ギャングにとって、最高に儲かるビジネスの一つになりました。

海洋汚染のマイクロプラスチックが、世界的な問題になったのも、一枚の写真が原因です。ウミガメの鼻に突き刺さった、ブラスチック製のストローが、海洋汚染問題が深刻である事を世界に知らせました。もちろん、海洋汚染問題自体は、実際に深刻ですし、マイクロプラスチックが重大な汚染問題である事は事実です。しかし、政策として、プラスチックのストローを紙のストローに変える事が、本当に問題の解決に繋がると考えている人は、どれだけいるのでしょう。この問題は、ストローの材質問題に矮小化されて、それをやる事が、環境意識が高いという人物評価と直結してしまいました。そこで、各国の政治家は、プラスチック製のストローを禁止にして、紙ストローにする法案を通します。

オキアミなどの小魚を、海水ごと飲み込んで消化するクジラなどの胃の中から、大量のゴミが見つかっているので、ゴミの海洋投棄が深刻な問題なのは、事実です。しかし、ストローのようなゴミは、まともな行政が機能している国であれば、海洋投棄されるより、ゴミ焼却場で燃やされて、海洋ゴミにならないと考えるのが自然です。むしろ、ポイ捨てが常識になっている後進国のゴミ処理状況を、改善するのが先決でしょう。これも、政治が「やってます感」を出す為のパーフォーマンスと、言わざるを得ません。ストローがターゲットになったのは、件のウミガメの画像が世界中に報道されたからです。

エモーション・ビジネスに利用される画像や動画には、必ずストーリーが付加されています。人々の憤慨や共感が、そのビジネスの肝で、そういう感情を引き起こす必要があるからです。手を加えていない、事実のままというのは、得てして、そういう感情に結びつきません。なので、脚光を浴びるには、悲惨・哀れ・悲しみなどの感情を引き起こす、構図が必要です。そして、それを閲覧した人々の合意形成がされると、巨大なビジネスと利権を生みます。感情で動くので、採算とか合理的な判断は、無視されて、通常では許されないような事が実行されます。そこに関わる産業には、莫大な資金が流れる事になります。

良く、世界の危険な紛争地に入って、真実の報道を行う欧米のジャーナリストと比して、日本には真のジャーナリストはいないなどと、したり顔で言われます。それは、真実の一面を捉えているかも知れませんが、全てではありません。欧米には、ビジネスとして、仕掛ける為の素材探しをしているジャーナリストを名乗る人達もいます。彼らは自ら考えたストーリーに人々をノセて、ビジネスを生み出す事を目的にしています。実際、うまくいけば、あらゆる制限や法規制を受けず、大量の資金や寄付が流れ込むので、恐ろしいほど儲かります。 』