W杯コンテナハウスを被災地に カタールから海上輸送―トルコ大統領

W杯コンテナハウスを被災地に カタールから海上輸送―トルコ大統領
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023021500123&g=int

 ※ 今日は、こんな所で…。

 ※ ホルムズ海峡-バブ・エル・マンデブ海峡-スエズ運河、と名うての「チョーク・ポイント」を、通ることになる…。
 
 ※ 海洋(海域)で言えば、ペルシャ湾-アラビア海-紅海-地中海、という航路だ…。

『【イスタンブール時事】トルコのエルドアン大統領は14日夜の演説で、大地震で家を失った被災者向けの仮設住宅として、昨年のサッカーワールドカップ(W杯)カタール大会で観戦者の宿泊施設として使われたコンテナハウス1万棟を活用する方針を示した。

【写真】コンテナ型の宿泊施設「ファンビレッジ」の内部

 エルドアン氏は、コンテナはカタールから段階的に船で輸送され、「第1陣は既に向かっている」と述べた。地中海に面する南部ハタイ県などの港を経由し、被災地に運ばれるという。』

小野寺元防衛相「日本の国防に大きな穴」気球型の飛行物体で

小野寺元防衛相「日本の国防に大きな穴」気球型の飛行物体で
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230215/k10013980991000.html

『過去に日本上空で目撃された気球型の飛行物体について、防衛省が中国の偵察用の気球だと推定されると発表したことを受けて、自民党の小野寺元防衛大臣は「日本の国防に大きな穴があるのではないか」と懸念を示し、政府に説明を求めていく考えを強調しました。

防衛省は、14日夜、
▽2019年11月に鹿児島県薩摩川内市などで、
▽2020年6月に仙台市などで、
▽2021年9月に青森県八戸市などで確認された気球型の飛行物体について、「中国が飛行させた無人偵察用気球であると強く推定される」と発表しました。

これについて自民党の安全保障調査会の会長を務める小野寺・元防衛大臣は、15日朝に開かれた自民党の会合で「いままで中国のものということを把握できていなかったのであれば、大変大きな問題だ。仮に把握していたのにいままで抗議していなかったということであれば、さらにもっと大きな問題だ」と指摘しました。

その上で「わが国の防衛にとって、もしかして大きな穴があるのではないかと心配をもたらす事例だ。浜田防衛大臣は今後必要な処置をとるとしており、アメリカと同じように撃墜を含めたきぜんとした対応をとると受け止めているが、今後の対処のことも政府側から話を聞きたい」と述べ、政府に説明を求めていく考えを示しました。』

防衛省 武器使用のルール見直す方針 中国の偵察用気球めぐり

防衛省 武器使用のルール見直す方針 中国の偵察用気球めぐり
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230215/k10013981091000.html

 ※ インテリジェンスの「イ」の字も、ねー国家だな…。

 ※ 「正当防衛」≒急迫不正の「侵害」に対して、自己または近傍の人の身体・生命・財産を守るために、反撃する行為

 ※ 「緊急避難」≒現在生じた「危難」を避けるために、やむを得ず、他人の身体・財産を損じてしまった行為。ただし、避けようとした害>損じてしまった損害、であることを要する。

 ※ 重要な安全保障に関わる「機密情報」を、好き勝手に収集されてしまったら、いざ「開戦」「武力衝突」と言う時に、どーするつもりなんだ…。

 ※ そもそもが、「正当防衛」「緊急避難」で包摂できるような、「事態」「状況」じゃ無いだろうが…。

 ※ それだからこそ、各国ともに、平時から「防諜活動」の組織を整備し、予算も十分配分して、おさおさ怠り無く「警戒」「警備」しているわけだよ…。

『中国の偵察用気球への対応をめぐり、防衛省は今後、日本の領空に侵入した場合に備えて、現在は領空侵犯に対する措置として正当防衛や緊急避難に該当する場合に限られている武器使用のルールを見直す方針を示しました。

気球は国際法上、航空機に位置づけられ、外国の気球が許可なく日本の領空に侵入した場合は領空侵犯に当たるとして自衛隊法で必要な措置を講じることができるとしていて、浜田防衛大臣は撃墜することも排除しない考えを示しています。

15日朝に開かれた自民党の会合では、防衛省が14日に過去に日本上空で目撃された気球型の飛行物体を中国の偵察用気球だと強く推定されると発表したことをめぐり「撃墜するべきだ」とか「無人機に対する武器使用の検討を進めるべきだ」といった意見が相次ぎました。

これに対し防衛省は、今後、日本の領空に侵入した場合に備えて、現在は領空侵犯に対する措置として正当防衛や緊急避難に該当する場合に限られている武器使用のルールを見直す方針を示しました。

自民党は防衛省の方針を踏まえ、今後、中国の偵察用気球への武器使用のあり方を協議していくことにしています。

日米 中国への課題 連携して対応で一致

外務省の森事務次官は、アメリカのシャーマン国務副長官と会談し、アメリカ軍が、中国の気球を撃墜したことについて説明を受け、中国に関係するさまざまな課題に緊密に連携して対応していくことで一致しました。

外務省の森事務次官とアメリカのシャーマン国務副長官の会談は、日本時間の15日未明、ワシントンでおよそ1時間行われました。

この中でシャーマン副長官は、アメリカ軍が、先に南部サウスカロライナ州の沖合の上空で中国の気球を撃墜したことについて、自国の主権や国民の安全を守るため、慎重かつ合法的に対処したと説明しました。

これに対し森次官は、アメリカの立場を支持するとしたうえで、過去に日本上空で目撃された気球型の飛行物体について防衛省が中国の偵察用の気球だと推定されると発表したことも念頭に、中国が十分な説明責任を果たすことが重要だという認識を伝えました。

そして、両氏は中国に関係するさまざまな課題に緊密に連携して対応していくことで一致しました。

また、ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、引き続きG7=主要7か国をはじめとする国際社会とともにロシアへの制裁とウクライナ支援を続けていく方針でも一致したほか、5月のG7広島サミットの成功に向けて緊密に連携していくことを改めて確認しました。

松野官房長官「中国政府に事実関係の確認求める」

松野官房長官は午前の記者会見で、「外交ルートを通じて中国政府に事実関係の確認を求め、今後このような事態が生じないよう強く求めるとともに、外国の無人偵察用気球による領空侵犯は断じて受け入れられないと申し入れた。今後とも外国政府の無人偵察用気球を含め、同盟国や同志国と緊密に連携しつつ、これまで以上に情報収集、警戒監視に努めていく」と述べました。

また、記者団が2020年に宮城などで白い球体が目撃された際に、「安全保障に影響はない」としていた当時の河野防衛大臣の対応が妥当だったか質問したのに対し「飛行物体の所属を含めた詳細について所要の分析を経る必要があることや、国民の生命や財産に直ちに危険が及ぶような事象が確認されなかったことを受けてのものだと承知している」と述べました。』

大量の金を産む、エモーションという商売

大量の金を産む、エモーションという商売
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/30834039.html

『現在進行形で、トルコやシリアで震災被害が広がっている中、多少不謹慎かも知れませんが、起きている事実に目を瞑るのは、何か違うと思うので、敢えて書いていこうと思います。今回のトルコ・シリア大震災で、大量のデマ投稿がSNSにされています。過去に起きたビルの倒壊映像や、自然災害を映した動画、それにいわゆる、画像素材として、画像販売サイトで売っている、災害に遭って絶望する人々みたいなシチュエーションの画像を、現地で撮影したものとして投稿しているのです。

多くは単なる目立ちたがりが、アクセス数を稼ぐ為に行っているのですが、中には、こうした多くの人々の耳目を集め、共感を呼びやすい事柄を、コンテンツとして利用して、大金を産む商売として仕掛けるエモーション・ビジネスというものが存在します。皆様も何か大きな事故が起きると、その件を象徴する特定の画像やら動画が目に浮かぶと思います。もちろん、多くは本物なのですが、中には特定の社会運動を起こす為に、捏造されたのではないかと言われているものがあります。

例えば、EUで中東で発生した難民の対応を巡って、まだ確たる方針が出ていなかった頃、方向性を決めたのは、イタリアの海岸で見つかった密航を試みて、ボートから転落し、浜辺に水死体で揚がった少年の死体画像でした。イタリアの警官とおぼしき人物が、遺体を抱えあげて、泣き叫ぶ画像が大きな反響を呼び、後に「超法規的」な難民受け入れ運動に繋がります。この報道写真の力は凄まじく、この時は、「難民には慎重に」なんて、発言しようものなら、「このレイシストめ」「人間のクズ」とか言われて、社会的な立場を失う勢いでした。実際、職を失う有名人も出ました。政治家は敏感に反応して、各国で難民優遇策を巡って、競争をする状態になりました。特に、メルケル政権だったドイツが目立っていて、ほぼ難民審査の条件を無くした為、大量の難民が流入し、今では社会問題になっています。

この問題の写真なんですが、少年の遺体が本物なのは、確認されています。ただし、この写真を巡っては、流れ着いた遺体に対して、シチュエーション設定をして撮影された疑いが出ています。撮影された場所は、砂浜と言っても、海水浴場のような遠浅の浜辺ではなく、岩も確認される場所なのですが、それにしては、水死体が綺麗過ぎるのですね。密航しようとした少年の家族も確認されているので、ボート転落事故が起きて、その死体がイタリアの海岸に流れ着いたのは、確かなのですが、漂着後に遺体を動かして、ストーリーを付けて撮影したのではないかと言われています。

これでEUの方針が確定した為、難民の審査というのは、大甘のままなのですが、今では難民ビジネスは、送り出す現地や、受け入れる国のギャングの一大収入源になっています。というのは、もちろん、本当に貧乏で、着の身着のままで祖国を脱出した人もいますが、多くの難民は、現地の資産を処分して、現金を貴金属に替えて、身につけて祖国を出ています。もちろん、先の生活の保証は無いわけですが、難民になったタイミングでは、高価な物品を持っているのですね。まぁ、それを、弱みにつけこんで、ギャングが没収するわけです。

一応、密航の手助けはしますが、その扱いは貨物並に酷く、たまに欧州の道端に、コンテナに死体を満載したトラックが遺棄されているのが見つかります。それは、密航難民の成れの果てで、途中で何らかの理由で死亡して出た死体を、コンテナに詰め込んで、トラックごと道端に捨てるのです。情報というのは、遅れて伝わるものですから、欧州が押し寄せる難民の波に悲鳴を上げて、一部の国で封鎖が始まった頃でも、中東では欧州で難民は歓迎されると聞いて、密航希望者は途切れませんでした。ギャングにとって、最高に儲かるビジネスの一つになりました。

海洋汚染のマイクロプラスチックが、世界的な問題になったのも、一枚の写真が原因です。ウミガメの鼻に突き刺さった、ブラスチック製のストローが、海洋汚染問題が深刻である事を世界に知らせました。もちろん、海洋汚染問題自体は、実際に深刻ですし、マイクロプラスチックが重大な汚染問題である事は事実です。しかし、政策として、プラスチックのストローを紙のストローに変える事が、本当に問題の解決に繋がると考えている人は、どれだけいるのでしょう。この問題は、ストローの材質問題に矮小化されて、それをやる事が、環境意識が高いという人物評価と直結してしまいました。そこで、各国の政治家は、プラスチック製のストローを禁止にして、紙ストローにする法案を通します。

オキアミなどの小魚を、海水ごと飲み込んで消化するクジラなどの胃の中から、大量のゴミが見つかっているので、ゴミの海洋投棄が深刻な問題なのは、事実です。しかし、ストローのようなゴミは、まともな行政が機能している国であれば、海洋投棄されるより、ゴミ焼却場で燃やされて、海洋ゴミにならないと考えるのが自然です。むしろ、ポイ捨てが常識になっている後進国のゴミ処理状況を、改善するのが先決でしょう。これも、政治が「やってます感」を出す為のパーフォーマンスと、言わざるを得ません。ストローがターゲットになったのは、件のウミガメの画像が世界中に報道されたからです。

エモーション・ビジネスに利用される画像や動画には、必ずストーリーが付加されています。人々の憤慨や共感が、そのビジネスの肝で、そういう感情を引き起こす必要があるからです。手を加えていない、事実のままというのは、得てして、そういう感情に結びつきません。なので、脚光を浴びるには、悲惨・哀れ・悲しみなどの感情を引き起こす、構図が必要です。そして、それを閲覧した人々の合意形成がされると、巨大なビジネスと利権を生みます。感情で動くので、採算とか合理的な判断は、無視されて、通常では許されないような事が実行されます。そこに関わる産業には、莫大な資金が流れる事になります。

良く、世界の危険な紛争地に入って、真実の報道を行う欧米のジャーナリストと比して、日本には真のジャーナリストはいないなどと、したり顔で言われます。それは、真実の一面を捉えているかも知れませんが、全てではありません。欧米には、ビジネスとして、仕掛ける為の素材探しをしているジャーナリストを名乗る人達もいます。彼らは自ら考えたストーリーに人々をノセて、ビジネスを生み出す事を目的にしています。実際、うまくいけば、あらゆる制限や法規制を受けず、大量の資金や寄付が流れ込むので、恐ろしいほど儲かります。 』

英と伊国防相が日本を恫喝「逃げるなよ!」

英と伊国防相が日本を恫喝「逃げるなよ!」:東京の郊外より・・・:SSブログ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2023-02-13

『英伊国防相が2国協議後の共同記者会見で3月の3か国戦闘機共同開発GCAP協議を前に釘差し

In for a penny, in for a pound:一度決めた以上、やり通せ
開始後におじけ付いて(get cold feet)逃げるな・・・とも
F-1レースでは英伊日は完璧なチーム力発揮実績ありと

UK Italy3.jpg

2月9日、ローマを訪問したBen Wallace英国防相がGuido Crosetto伊国防相と会談後に共同会見し、昨年12月に英伊日3か国で合意した次世代戦闘機共同開発(GCAP: Global Combat Air Programme)に関し3月に日本で予定の3か国協議を前に、途中で計画から逃げ出すことは破滅的結果をもたらすことになり許されないと強調し、日本に釘を刺しました

UK Italy2.jpg

日本での3月の協議に臨む前に英国とイタリア国防相が事前に話し合い、その会見後に第3の相手(日本)に「In for a penny, in for a pound:一度決めた以上、やり通せ」「開始後におじけ付いて(get cold feet)逃げるな」「政治的にも、協力体制の重要性から、誰かが抜けることはできない」等々と、改めて本合意への決意を示せと迫るような恫喝的な言いぶりに、まんぐーすは「背筋の凍る」思いがいたしました

まぁ・・これまで米国製兵器一辺倒だった日本が、いろんな意味で大きな戦闘機プロジェクトを欧州諸国と組んで進めると言うのですから、英国やイタリアが不安を持つのも致し方ないと思います。以下では共同会見で率直に語った両国国防省の発言をご紹介いたします

Ben Wallace英国防相は・・・
UK Italy4.jpg
●政治的にも、誰かが脱落することができない重要な共同開発だ。3か国は皆、10年後には新型戦闘機を必要としており、皆が誰も脱落しない「no dropping out」が求められる

●(脱落すれば、)我々は永久に我々自身で我々の将来の能力を否定することになる。途中で誰かがおじけづき、脱落するようなことになれば、外交政策的にも、戦略的にも、産業政策上も、極めて3か国にとって悪い状況に至る

●日本は車や鉄道車両を輸出してきたが、憲法や政治的な制約から国防装備品の輸出は無かった。伊と英はトーネードやタイフーン戦闘機を輸出してきたが、今後は財政的にも成り立つように大きなグループで取り組む必要がある。この点で日本とともに取り組めることに興奮している

UK Italy6.jpg

●この3か国の協力は、F-1レースで既に最大の貢献をしている実績から驚くにはあたらない。最新技術分野で、我々3か国は新参者ではないのだ

●政治家と、軍人と、軍需産業関係者が共に協力して取り組むことが不可欠である。(3月に日本で3か国協議を行うことに関し、)最も重要なことは、この3者(政軍民)が共に次のステージに進むことであり、あらゆる機会をとらえて3者が一堂に会して協議することである。一堂に会して議論することこそが、今後立ちはだかる課題や官僚的問題を断ち切る唯一の方法である

Guido Crosetto伊国防相は・・・

UK Italy5.jpg

●この3か国共同開発は、世界が変化していることを示すものである。日本が変われば、それは世界が変化しているということだ

●この共同開発を通じて日本と国防協力同盟を形成することは、イタリアにとって将来に備えた堅実な判断である。我々の脅威はロシアでなく中国であり、共通の脅威に対峙する国との関係を深化することはますます重要になってきている

●日本は新型戦闘機を最も緊急に欲している国である。初号機を2035年までに完成させる必要があるが、私はこの期限に間に合わせることが可能だと確信している

////////////////////////////////////////////////

UK Italy7.jpg

読めば読むほど・・・この戦闘機プロジェクトが、ただならぬ意味合いを持っていることがわかります。日本の地理的な位置取りを考える時、戦闘機にこんなに資金や人材や労力をかける必要があるのか・・・と繰り返し言い続けてきましたが、改めて問いたいです。
「本当に戦闘機がそんなに大切なの? 日本の有事に役立つの?」

Wallace英国防相は「政治家と、軍人と、軍需産業関係者が共に協力して取り組むことが不可欠である」と強調していますが、安倍総理亡き後、これが可能なんでしょうか?

UK Italy.jpg

それからもう一つ、欧州での戦闘機開発は、英スウェーデン伊グループと、独仏スペインの2グループが競っていますが、その行く末と英伊日の共同開発はどう絡んでいくのでしょうか? 英と伊だって大丈夫か?・・と聞いてみたいです

英国や伊の関連話題
「伊空軍トップ来日で協議」→https://holylandtokyo.com/2022/09/27/3699/
「2027年までにデモ機を作成発表」→https://holylandtokyo.com/2022/07/22/3480/
「英国がTyphoonレーダー換装推進」→https://holylandtokyo.com/2022/06/10/3303/
「英空軍トップが語る」→https://holylandtokyo.com/2021/05/19/1493/
「138機のF-35購入計画は多くて60-72機へ!?」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/

欧州の戦闘機開発バトル
「英戦闘機開発にイタリアも参加へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-11
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/

タグ:Ben Wallace Guido Crosetto GCAP Global Combat Air Programme 英国 イタリア 日本 』

NATO事務総長が露の大規模攻撃開始に言及と朝鮮半島式和平?

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:NATO事務総長が露の大規模攻撃開始に言及と朝鮮半島式和平?
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5411283.html

『NATOのストルテンベルグ事務総長(Jens Stoltenberg、1959年3月16日 – )は2023年2月13日、ブリュッセルで記者会見し、ロシアによる大規模な攻撃がすでに始まっているとの認識を示した。A new major Russian offensive in Ukraine has started

また14日から開催されるNATO国防相会合で、戦闘機の供与について議論される見通しだと明らかにした一方、「今必要なのはウクライナへの緊急支援だ」としてすぐに供与できる武器を優先すべきとの考えを強調した。

ウクライナに対する「すでに始まっている」との認識について、「、、なぜならプーチン大統領が、犠牲になる確率が非常に高いとわかっていながら、何千という軍隊を送り込んでいるからだ」と述べた。
belarus-gty-ml-220210_1644507309165_hpEmbed_19x11_992indexmmm

左のS-400防空ミサイルシステムS-400 air defense system は、2月9日にロシアが公開したベラルーシBelarusでの共同演習のビデオで登場した。NATO側の戦闘機支援を意識した物だろう。

中国の偵察気球など飛行物体がアメリカ上空で見つかっていることについては、「中国とロシアがNATO加盟国に対し監視活動を強化していることを示す典型的な例だ」と述べて、警戒の必要があるとの見解を示した。 参照記事 英文記事 英文記事 
FireShot Webpage Screenshot #617 – ‘ウクライ 

英国防省は、現在のロシアの作戦上の焦点は東部ドンバス地方中央部に向けられているにもかかわらず、同国は、以前同様、伸び切っている前線の重要地点の防衛を懸念していると指摘している。

同省は、ザポリッジャ州とルハンシク州 Zaporizhzhia oblast、Luhansk(Lugansk) Oblast の継続する防衛地点強化、人員の投入がそのことを示していると伝え、英国防省は2月13日、ロシア軍は、いずれの防衛を優先するかを決めることができずにいると指摘した。

現在激戦が伝えられるバフムトBakhmutやウフレダルVuhledar( ウグレダルUgledar) はドネツク州Donetskにある。参照記事 過去ブログ: 2023年2月ウクライナ東部戦線の戦況 2月2023年2月11日ウクライナの戦況と次期国連総会決議案 2022年10月破壊が目的と化した露軍に明日はあるのか? 、、、

戦闘の長期化を考慮すれば、戦術に戦闘機の導入が避けられないのは各国がすでに暗黙の了解をしていると思える。プーチンもそれを承知で、クレムリンはすでに防空体制を構築していると言われている。

800x-1「ロシア軍は始めたと言わないだけで、既に大攻勢に出ている」と、ウクライナのダニロフ(OleksiyDanilov)国家安全保障・国防会議書記:左 は2月11日、地元テレビでこう述べた上で「われわれは撃退している」と説明。

朝鮮半島分断のようなシナリオを念頭に、プーチン政権で「二つ目のウクライナをつくる計画が進行中だ」と警戒を促し、同氏はロシアが、戦闘を停止する代わりにロシアに実効支配されている東部・南部地域の占領をウクライナが受け入れる案として「朝鮮半島方式を提案されている。いわゆる38度線のようなものだ」と発言していた。参照記事 参照記事 映像記事:Russia tables ‘Korea-style’ peace proposal 
images コレアン、、、

これがウクライナの言う、到底受け入れれないロシアの提案なのだろう。当然だがウクライナは、プーチンの「韓国スタイルの和平協定korea-style peace deal」案を拒絶rebuffしている。

東部ルガンスク州のガイダイ知事は2月13日、交流サイト(SNS)を通じ、同州で「近く露軍の大規模攻撃が行われる」との観測を示した。ウクライナは、露軍が2~3月に計画しているとされる東部ドネツク州での大規模攻勢を既に開始したとの見方を示しており、ルガンスク州でも露軍が攻勢を強めることを警戒している。参照記事』

北鮮はロシアに労務者集団を送りましょうと約束しているのだが、まだ動いていない。

北鮮はロシアに労務者集団を送りましょうと約束しているのだが、まだ動いていない。
https://st2019.site/?p=20885

『ストラテジーペイジの2023-2-14記事。

   北鮮はロシアに労務者集団を送りましょうと約束しているのだが、まだ動いていない。というのは、その労務者集団を護衛・監視する役の武装警備兵部隊を編成しているところなのだ。それに手間取ってしまっている。

 しかし今から1ヵ月ぐらいすれば、北鮮人集団がドンバスかクリミアに姿を現すだろう。

 監視部隊が必要な理由は、最前線で露軍が負けて、ウクライナ軍が前進してきたとき、北鮮労務者が政治亡命を求めて脱走するかもしれない。それを平壌としては恐れるのである。』

イルクーツクは巨大ガス田「コヴィクタ」に近いのに、住民は、石炭と薪ばかりを使っている。

イルクーツクは巨大ガス田「コヴィクタ」に近いのに、住民は、石炭と薪ばかりを使っている。
https://st2019.site/?p=20885

『Vadim Shtepa 記者による2023-2-6記事「The Russian Far East Is Becoming a Raw Material Colony for Beijing」。

   イルクーツクは巨大ガス田「コヴィクタ」に近いのに、住民は、石炭と薪ばかりを使っている。各家庭で消費する天然ガスは、消費エネルギーのうちのせいぜい1%でしかない。
 ロシア政府は、これを3.22%にひきあげなさいと言っている。

 2022年にロシアは、原油の対支サプライヤーとしては、サウジアラビアを抜いた。

 2019-9時点で、中共の複数の企業が、シベリアに数千ヘクタールの森林を保有している。「長期リース」の体裁だが。そこで伐採した材木はぜんぶ、支那へ送られている。

 それらの材木は高級建材か何かに加工するようだ。というのも、そこに直結するパルプ工場は見当たらないのだ。

 シベリアは経済的には中共の裏庭となりつつある。しかし現地自治体はそうなることを必ずしも歓迎していない。2021にハバロフスク州の「アヤノ・マイスキー」郡に中共企業が世界最大級のメタノール工場を建設しようとした。しかし住民投票で9割が反対し、この企画案は同年4月に葬られた。環境汚染が予測されたという。

 こうしたシベリア地方自治体の独立性はモスクワを喜ばせなかったらしい。ロシア国会は2021-12-14に、《住民投票で勝手なことを決めることは許さん》という法律を成立させてしまった。だからこれからは、支那資本がどんどん誘致され得る。』

総人口8300万人のドイツには今、500万人以上ものムスリムが暮らしている。

総人口8300万人のドイツには今、500万人以上ものムスリムが暮らしている。
https://st2019.site/?p=20882

『Christoph Strack 記者による2023-2-12記事「Germany sees shortage of graves for Muslim immigrants」。

   総人口8300万人のドイツには今、500万人以上ものムスリムが暮らしている。とうぜん、毎日、死者も出るわけだが、土葬ができる墓地を見つけ難いため、難渋するという。

 ドイツには墓苑は3万箇所以上ある。三分の一はキリスト教会の所有地。のこりは市営墓地だ。

 連邦を構成する16州すべてにそれぞれの「埋葬法令」がある。

 ユダヤ教とムスリムは、棺は使わず、屍衣にくるんで土葬する。火葬は宗教的に禁止されている。集合墓への改葬も認めない。ドイツ当局はそれに妥協してきた。

 数週間前、ベルリン市は、市営の墓地はもはや満杯になりつつあると警告した。

 テンペルホフのトルコ系モスクでは、ほぼ毎日、葬送の儀がある。ここでは信者の遺体を棺桶に入れてトルコまで空輸するのである。

 戦後の経済成長期に「ゲスト・ワーカー」として旧西ドイツに招き入れられた多くのトルコ系労働者1世は、死んだら生地に葬られたいと願っているのである。

 トルコイスラム宗教問題ユニオン(DITIB)というドイツ国内の団体が「葬式保険」を運営している。団体は、加入者が死んだらその遺骸をトルコへ空輸し、埋葬してやる。

 ベルリンのトルコ人墓地の歴史は古く、ドイツが1871年に統一されるより前の1866年から存在する。

 だからトルコ人の埋葬問題は大きな課題にはなっていないのだが、今、浮上している問題は、2015年~2016年に大量にやってきたシリア人難民たち。彼らがドイツ国内で死亡した場合は、遺体を出身地へ空輸することなど、事実上、不可能だ。

 ※トルコももっか、場所によっては作法にしたがった埋葬が不可能になっているであろう。ところでタイムリーな本が出た。鈴木貫太郎氏著『ルポ 日本の土葬』(23年1月pub.)。版元は、小川寛大さんの「合同会社宗教問題」だ。同書によれば、日本のイスラム教徒は23万人。うち日本人は6万人弱という。認識をあらたにさせられたのは、大分のトラピスト修道院などではカトリックの土葬が今でも実施されているという話。しかるに「ムスリム墓地」を新設しようとすれば、過疎村であっても必ず近隣市町村から反対されるそうだ。これは命名が下手じゃないかと思った。「一神教信者墓苑」等を標榜するなら、住民をいたずらに刺激することもないであろう。』

ウクライナ軍が動員対象者を力ずくで連行、追加動員が始まっている可能性

ウクライナ軍が動員対象者を力ずくで連行、追加動員が始まっている可能性
https://grandfleet.info/european-region/ukrainian-army-forcibly-takes-away-those-targeted-for-mobilization/

『ウクライナ軍の採用官がオデーサ市内で動員対象者を力ずくで連行する様子を収めた動画が流出、南部司令部も「オデーサで起こったことは事実で正式な調査が行われている」と発表した。

参考:Одессита жестко задержал военкомат посреди улицы: ОК “Юг” говорит, что виновных накажут

ロシアも同じ問題に悩まされており、この我慢比べに勝つには再び戦場で勝利を収めて国全体の士気を高めるしかない

オデーサ市内のプリヴォス市場付近で軍の採用官は動員対象者の腕や足を掴んで入隊事務所に力ずくで連行しようとしたが、この過程で「採用官は動員対象者に暴行(動画には映ってないが対象者を蹴り飛ばしたらしい)を加えた」と現地メディアと報じており、南部司令部も「オデーサで起こったことは事実で正式な調査が行われており、この地区の採用責任者は懲戒処分を受けた。動員対象者への通知に関わる軍人に弁護士や心理士を交えた追加研修を実施している」と発表した。

Одесита жорстко затримав в?йськкомат посеред вулиц?: ОК “П?вдень” каже, що винних покарають pic.twitter.com/gwUmp9YCSR

? Укра?нська правда ?? (@ukrpravda_news) February 14, 2023

今回は動画の投稿に加えて「連行の一部始終を多くの市民が目撃していた」ため表沙汰になったが、この問題は度々Telegram上で報告されており、軍の採用官が無理やり家から動員対象者を連れ去ろうとして母親が抵抗する様子なども流失済みで、動員を逃れるため国境を無断で越えようとして拘束されたというニュースはもはやウクライナの日常だ。

急増する軍紀違反を罰則強化で対処しようとしたゼレンスキー政権や軍上層部には末端の兵士、弁護士、人権団体から非難の声が上がっており、最近までバフムートで戦っていた将校も米メディアに「前線での逃亡は約束されたローテーションが守られていないためで罰則の強化は役に立たない」と主張、祖国防衛という大義で団結するウクライナ軍兵士は士気が高いという定説にも陰りが見え始めている。

??????Ukrainian recruitment officers kidnapped a boy in front of his mother to be used as cannon fodder.

The video stops when the military man starts swinging his first against the mum.

Now he will go to fight for “freedom and democracy” pic.twitter.com/xhsfIPA4JF

? AZ ???????? (@AZgeopolitics) February 6, 2023

だからといって戦争が終わるわけでもなくロシアも同じ問題に悩まされており、この我慢比べに勝つには再び戦場で勝利を収めて国全体の士気を高めるしかなく、ウクライナは一日でも早く反撃を開始したいところだろう。

因みにウクライナは昨年7月までに約100万人を動員、レズニコフ国防相は「一般人の追加動員は今のところ必要なく、軍が要求する専門技術を有した人々のみ招集を行っている」と述べていたが、バフムートでウクライナ軍も大きな損失を被ったことが明らかになり、ゼレンスキー大統領も今年1月「軍に追加の予備戦力を確保するよう指示した」と明かしたが詳細は伏せられたままだ。

出典:Zelenskiy Official

つまり動員対象者の不正な国境超えや力ずくの連行が横行しているのは、ウクライナでも静かに「一般人の追加動員」が始まっていることを示唆しているのかもしれない。

関連記事:兵士の逃亡に悩むウクライナ軍、原因は約束した交代が守られていないため
関連記事:激しいバフムート巡る戦い、ゼレンスキー大統領が追加動員を行うよう指示

※アイキャッチ画像の出典:Telegram経由
シェアする
ツイートする
Twitter で Follow grandfleet_info

Tweet Share +1 Hatena Pocket RSS feedly Pin it 

投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 36 』

『 技術系雇われ人
2023年 2月 15日

返信 引用 

有事になれば個人の意思に反して徴兵されることを前提に平時に生きるべきだなと思いました。
特別に秀でた技術や技能が無ければ、一歩兵となり消耗品扱いになってしまう。
私は戦場に出て死にたく無いので、頭と身体を使って機械を作って無人兵器で戦えるように技術を磨きます。
動画で徴兵されたウクライナ人が前線に送られると思うと残酷。
彼らには生き残ってほしいですね。
24

    名無し
    2023年 2月 15日
    返信 引用 

軍事訓練を全く受けていない民間人を即戦力に仕立て上げられる能力を自衛隊が有しているとは知りませんでしたw
11
        なな
        2023年 2月 15日
        返信 引用 

    予備の乏しい極めて貴重な反攻戦力の主力たる自衛隊を無駄に使う訳にはいかない
    大出血を伴う作戦に動員兵が使い捨て枠で
    バフムトの囚人兵的な使われ方をする可能性は高いですね
    10
        名無し
        2023年 2月 15日
        返信 引用 

    予備自衛官補知らないんですね
            なな
            2023年 2月 15日
            返信 引用 

        予備自衛官ってたいした人員いないですが、

        有事の役割として反攻戦力の主力たる自衛隊本体の温存を想定した肉壁的な役割を割り振られてるんですか?
        6 』

『 uhgarlph
2023年 2月 15日

返信 引用 

ウクライナの国内では、政府の偽善は広く知れ渡っているところです。人々は最初から信用していない。

むしろ、おかしいのは西側メディアの偏向報道ばかり見ている外国の人たちが、ウクライナの実情からかけ離れた正義像をいまだに真に受けていることです。政府と一丸となって抗戦したいと思ってる人など少数であり、大抵はあきらめているか、関わらずに日々を生きていく事だけを考えている
26

    戦略眼
    2023年 2月 15日
    返信 引用 

ウクライナも盛大な汚職社会なのは、報道されている。
16
    syamu
    2023年 2月 15日
    返信 引用 

格安のはずのガス代金すら未払いというロシアへの不義理や、パイプラインからの抜き取りという西側に対しての敵対行為など、
ウクライナ戦争始まってから触れている大手メディアを見たことがありませんね。
20 』

中国気球撃墜と習近平式「未来の軍隊」の危うい関係

中国気球撃墜と習近平式「未来の軍隊」の危うい関係
編集委員 中沢克二
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK120UX0S3A210C2000000/

『北米空域で繰り返し起きている気球などの撃墜が世界的に大きな話題になっている。米領空を侵犯した60メートル大の巨大気球は撃墜され、米側が残骸を回収した。この巨大気球に限っては中国政府が「自国の民用無人飛行船で気象観測用」と確認し、撃墜に強く抗議している。

実のところ米中の激しい軍事的なつば競り合いの焦点は、米国付近だけではない。アジアの安全保障関係者らは、極めて重要な視点として、中国の「未来の軍隊…

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

残り3653文字

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料 https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQODK120UX0S3A210C2000000&n_cid=DSPRM1AR07 』

『アジアの安全保障関係者らは、極めて重要な視点として、中国の「未来の軍隊」と南シナ海での米軍の攻防に関わる実態を明かす。

「(中央軍事委員会主席の)習近平(シー・ジンピン)の大号令で新たに編成された『未来の軍隊』が、最重点地域として、まず監視・警戒、情報収集していたのは南シナ海だ」
「南シナ海での米中の対峙には『気球』も大きく関係していた。これが今の米中間の気球問題にもつながっている」

今回の気球撃墜事件に至る経緯を考えるうえで示唆に富む指摘である。

5日、米南部サウスカロライナ州沖で、偵察気球の残骸を回収する米海軍の爆発物処理班(米海軍提供)=共同

折しも米第7艦隊は、気球問題で世界が騒然としていたさなかの11日に米空母ニミッツ、強襲揚陸艦などの艦隊、海兵隊などが南シナ海で合同演習を実施したと発表した。米海軍は、南シナ海で継続的に訓練を続けているのだ。

南シナ海から北米へ、進化する気球

これに絡む問題は、およそ2年前となる2021年初め、南シナ海で起きていた出来事だ。米空母セオドア・ルーズベルトなどの艦隊が「航行の自由」作戦をした際、南シナ海で既に複数の拠点を築いていた中国側も「対抗措置」をとった。

「それは(中国)軍が直接、運用する、より軍事色の強い『偵察気球』による超高空からの監視・情報収集だった。もちろん米艦隊側も探知しただろう」

南シナ海で演習する米空母ニミッツ(米第7艦隊ホームページから)

南シナ海は、中国南部に位置する海南島の南側に広がっている。中国にとって海南島は空母、潜水艦、航空機、ロケットなど海、空、ロケット各軍の重要な軍事拠点となってきた。

01年には海南島付近の南シナ海上空で、米中の軍用機が衝突し、大きな国際問題に発展した。海南島には、中国の重要な衛星発射施設もある。ここに、先に紹介した「未来の軍隊」が大きく関係している。

「未来の軍隊」とは、15年の中国人民解放軍の大再編で新たに誕生した「戦略支援部隊」を指す。長い間、その真の任務が何なのか謎に包まれていた。その中で中国側が16年に半ば公式に示唆したのが、共産党機関紙である人民日報の国際情報紙、環球時報の電子版などが触れた説明である。

戦略支援部隊は3つの部門・機能で構成されていると読みとれる。

(1)ハッキングに備えるインターネット軍=(防御主体の)サイバー戦部隊

(2)偵察衛星や、中国が独自に構築した衛星ナビゲーションシステム「北斗」を管轄する宇宙戦部隊

(3)敵のレーダーシステム・通信をかく乱する(攻撃性の強い)電子戦部隊

残骸を回収した米側が既に断定した「中国の偵察気球」は、通信傍受などに関係するとみられるアンテナなどを備えていたという。仮に搭載機器が、中国紙が自ら言及した機能と関係しているなら、米側が強く反応するのは当然だ。

注目したいのは(2)である。偵察衛星を巡っては、南シナ海沿岸なら海南島の文昌に衛星打ち上げ基地がある。この周辺に戦略支援部隊の拠点が存在することは、中国のインターネット上に同部隊が要員を募集する公告を出している事実からも確認できる。

大卒以上ではなく、高卒、専門学校卒の募集もあり、比較的、低レベルのIT(情報技術)関連の任務を担う人材も集めている。驚くのは、一般の民間企業とさほど変わらない若手人材を堂々と募集していることだ。

「超限戦」実現する戦略支援部隊と偵察気球

これは機密などではない。戦略支援部隊は、まさに習の肝煎りで進めてきた「軍民融合」という大方針を体現する模範的な組織でもあるのだ。習自身も16年8月29日、新設した戦略支援部隊の視察に訪れ、大きく報道された。

「戦略支援部隊」を視察し、幹部一人一人と握手する習近平国家主席(2016年8月29日、国営中国中央テレビの映像から)

戦略支援部隊の創設に至る歴史をひもとくと1999年に遡る。中国軍幹部が発表した『超限戦』と題した論文が示す政治、経済、文化、思想、心理など社会に関わる全要素を非軍事戦力として動員する考え方が、その基本にある。

よく知られるのが、世論戦、心理戦、法律戦を合わせた「三戦」の概念である。万一、台湾有事の際には、サイバー戦部隊が台湾世論に影響を及ぼそうと心理戦を仕掛ける可能性がある。これが米側の見立てだ。確かにその兆候は昨年、当時の米下院議長、ペロシの台湾訪問の際に垣間見えた。

撃墜された中国の気球について、中国政府が気象観測が目的と説明したのには一定の根拠がある。「民用」という断言を除けば、ウソとは言えない。共産党政権下の中国でロケット打ち上げの成否、ミサイル発射・着弾の精度、砲撃の効果に絡む気象は、軍管轄のイメージが強い。

そもそも中国では「軍事気象工作管理規定」という厳格な法規などによって、軍事に関係する気象問題は、習をトップとする中央軍事委員会が担うと明確に規定されている。軍の大再編以降は、その任務を戦略支援部隊が担っていると考えられる。

南シナ海で中国が埋め立てにより築いた基地をイメージした絵画では、中国戦闘機が上空を飛ぶ(2019年、中国内の展示)

「大型ハイテク気球の運用も、軍の重要任務のひとつであるのは常識で、南シナ海周辺で(関係各国の船舶などに)目撃されてきた」という。

「台湾有事」という最近の話題に先立ち、長く大問題であり続けたのが南シナ海だったのだ。16年までに中国は南シナ海で埋め立てによる大規模な人工島造成をほぼ終えていた。
16年の中国側の戦略支援部隊に関する説明から既に7年。今回、米領空に侵入してしまったのは、超大型に進化を遂げた中国の言うところの「民用無人飛行船」だったのである。
センサーなど多領域の測定が可能な機器類を搭載した気球は、名目上、軍民両用だ。だが、安保に関わる各国の専門家らは「(軍民両用とされる)これも戦略支援部隊が背後で運用に関わっている」とみている。

日本や米国でこの3年余り、相次ぎ発見された気球は、海南島、内モンゴルなど中国各地に点在する衛星発射拠点の付近から、戦略支援部隊が関係する枠組みで飛ばされたとの見方も多い。

中国の空母「遼寧」から発進する戦闘機を描いた絵画(中国内の展示から)

内モンゴルの衛星発射拠点は、一番近い都市だった甘粛省の地名である酒泉を使い、「酒泉衛星発射センター」と呼ばれる。ところが実際の所在地は、内モンゴル自治区最西部のアルシャー盟のエジン旗だ。1970年、ここから中国初の人工衛星「東方紅1号」が打ち上げられた。

もし酒泉衛星発射センター付近から気球が飛ばされて超高空に至り、偏西風のジェット気流に乗れば、容易に日本上空から、アラスカ、カナダ、米国に到達できる。これは春先に黄土高原から西日本、そして日本全国に到達する「黄砂」のルートでもある。

このほか四川、山西、山東各省にも衛星発射センターがある。これら「五大発射センター」と呼ばれるいずれの施設付近から出発しても、気球が目視された宮城県仙台、青森県八戸、小笠原諸島父島、鹿児島県鹿児島などに達することが可能だ。例えば海南島と日本各地を結んだ場合、途中で必ず台湾上空を経由するのも興味深い。

古くは旧日本軍も第2次大戦中、焼夷(しょうい)弾などをぶら下げた気球を多数、米国に飛ばし、実際に火災を引き起こした実例があった。戦後、通称「風船爆弾」と呼ばれるようになる気球爆弾である。学徒まで動員して製造された兵器は、時限式で降下する仕組みだった。

第1号は1944年、千葉県九十九里から放たれ、その後、各地から9000発超が飛び立った。戦争中の米国は気球爆弾による被害について厳格な報道管制を敷いたため、日本側は戦術の効果を確かめる手段がなく、途中で中止してしまったといういわく付きだ。

無人が誘発しかねない偶発衝突

今回、一連の動きで明らかになった危うい事実がある。無人の気球、そして今後、有人の戦闘機にとって代わって軍事的な主役に躍り出るであろうハイテク化された無人機が、米中の偶発的な衝突を誘発する危険性である。

専門的な訓練を受けた軍人が搭乗していないため、どうしても安易な運用になりがちだ。相手国からは、かなり挑発的にみえてしまう。中国は、無人で、かつ撃墜が難しい超高空を飛ぶという安心感から、深い考えもなく世界ナンバーワンの軍事大国、米国の領空に気球を侵入させた可能性もある。

仮にミスであっても侵入時点で直ちに米側に通告する行動さえとっていない。これに関連し、中国外務省は13日、昨年来、米国の気球が10回以上、許可なく中国領空に侵入したと突然、発表した。現時点では真偽不明だが、米政府は直ちに全面否定した。このほか中国は山東省の沖合に正体不明の物体が飛来しているとも発表している。

いずれにせよ、偶発的な衝突の危険性は、例に挙げた南シナ海での米空母と中国の偵察気球の対峙、そして台湾の周辺でも同じだ。米中両国は、世界に厄災をもたらす偶発衝突を避けるため、あらゆる努力をする義務がある。

それが22年11月の習と米大統領、バイデンが初めて直接、長々と会談した意義だったはずだ。近くドイツで中国外交トップ、王毅(ワン・イー)と、訪中を延期した米国務長官、ブリンケンが顔を会わせる可能性ある。緊張緩和に向けた本音の意思疎通に期待したい。(敬称略)

中沢克二(なかざわ・かつじ)
1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。 』

トルコ地震、衛星分析が示す断層のずれ

トルコ地震、衛星分析が示す断層のずれ
全長400kmの広域に影響
https://www.nikkei.com/telling/DGXZTS00003440T10C23A2000000/

『6日にトルコ南部で起きた地震の実態が衛星画像の分析から明らかになってきた。マグニチュード(M)7を超す2回の地震で2つの断層が動き、広範囲で甚大な被害が出た。約400キロメートルの範囲が影響を受けた。衛星データの解析手法を組み合わせて、トルコ・シリア地震の全容を探る。

TOPIC 1
電磁波で観測するSAR衛星画像で分析

地震による地表面への影響を調べるために、電磁波を使って地形を観測する合成開口レーダー(SAR)衛星の画像を分析した。6日の2回の地震は南北で合わせて2つの断層の破壊を引き起こした。同日4時(現地時間)のM7.8の本震では国土を縦断して約300キロメートルの断層が影響を受け、9時間後のM7.5の地震では北側で100キロメートル強の断層が動いたことが分かった。

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料 https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Ftelling%2FDGXZTS00003440T10C23A2000000&n_cid=DSPRM1AR07 』

「強く反対」:欧州列強がイスラエル入植地を非難

「強く反対」:欧州列強がイスラエル入植地を非難
https://www.aljazeera.com/news/2023/2/14/western-powers-say-strongly-oppose-israel-settlement-moves

『(※ 翻訳は、Google翻訳)

フランス、ドイツ、イタリア、英国の閣僚は、占領下のヨルダン川西岸で計画されている拡張は、イスラエルとパレスチナ間の緊張を高めるだろうと述べて米国に加わった。

航空写真は、2020 年 6 月 29 日、イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区にあるマアレ アドミムのユダヤ人入植地を示しています。

航空写真は、イスラエル占領下のヨルダン川西岸にあるマーレ・アドゥミムのユダヤ人入植地を示しています [ファイル: Ilan Rosenberg/Reuters]
2023 年 2 月 14 日に公開2023年2月14日

西側諸国 5 カ国の外相は、極右のイスラエル政府が占領下のヨルダン川西岸地区に何千もの入植地の建設を進める決定を下したことについて、「深く憂慮している」と語った。
火曜日、フランス、ドイツ、イタリア、英国の閣僚は、計画された拡大を非難することで米国に続いた。

読み続けます
4 項目のリスト
リスト 1/4
バルセロナ市長、パレスチナ人の権利を理由にイスラエルとの関係を断つ
リスト 2 の 4
イスラエル、占領下のヨルダン川西岸に 9 つの入植者の前哨基地を合法化
リスト 3/4
イスラエル人、ネタニヤフの司法計画に反対して5週間集会
リスト 4 の 4
イスラエルの家の取り壊しはパレスチナ人の「神経との戦い」
リストの終わり

「我々は、イスラエルとパレスチナ間の緊張を悪化させ、交渉による二国家解決を達成するための努力を弱体化させるだけのこれらの一方的な行動に強く反対する」と彼らは声明で述べた。

「私たちは、当事者間の直接交渉を通じて達成されなければならない、中東における包括的で公正かつ永続的な平和を引き続き支持します。」

ノルウェーのアニケン・ヒュイトフェルト外相も、イスラエルの計画を非難した。

「占領地に対するイスラエルの入植政策は国際法に反しており、止めなければならない」とハイトフェルトはノルウェー通信社NTBに語った。

イスラエルの入植計画は、イスラエルの隣国であるヨルダン、エジプト、サウジアラビアからも非難されている。

しかし、イスラエルの強硬派治安大臣イタマル・ベン・グビルは、ユダヤ人入植地をもっと見たいと語った。「イスラエルの地はイスラエルの人々のものです」と彼はビデオメッセージで語った.

「意見の相違は許される」

日曜日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の内閣は全会一致で9 つの入植地の前哨基地の合法化を承認し 、既存の入植地での追加建設を間もなく承認すると述べた。

Ben-Gvir は次のように付け加えています。これが私たちの教義です。集落が 9 つあるのはいいことですが、まだ十分ではありません。私たちはもっと多くのことを望んでいます。」
アルジャジーラにサインアップ
中東の週
すべて 1 か所で、この地域の報道に追いつくことができます。
メールを確認して、サブスクリプションを確認してください
サインアップすることにより、あなたは私たちのプライバシーポリシーに同意したことになります

イスラエルのベザレル・スモトリッヒ財務相は、約 10,000 戸の新築住宅が承認される予定であると述べた。

アントニー・ブリンケン米国務長官は月曜日、イスラエルの決定に「深く悩まされている」と述べたが、米国がイスラエルに対して行動を起こすという兆候は示さなかった。

スモトリッヒは、ブリンケンの叱責に対し、彼の政府は「アメリカ人に対する我々の立場を明確にした」「意見の相違は、たとえ友人同士であっても許されている」と述べた。

パレスチナの国家樹立に反対するウルトラナショナリストは、イスラエルの新政府の大部分を占めており、入植地建設を最優先事項としている。

宗教的な超国家主義者の入植者である Smotrich 氏は、彼と彼の同盟者は、占領された西岸地区で「建物に対する制限を完全に取り除くことにコミットしている」と語った。

長年の入植者指導者であるスモトリッチは、ネタニヤフとの連合協定の一環として、西岸地区入植地の建設を担当する防衛機関に対する権限を約束されています。

彼は、これらの権限を受け取ったら、ヨルダン川西岸に住む 50 万人以上のイスラエル人入植者の生活を「正常化」するために行動すると述べました。

「あまり気にしないで」

ボストンのハーバード・ケネディ・スクールのRami Khouriは、アメリカ人とヨーロッパ人が国際法をイスラエル人に適用することに「真剣に」取り組んでいるかどうかはまだわからないと述べた.

「それとも、イスラエルが違法で犯罪的なことをしたときに、彼らはただ声明を発表するつもりですか? イスラエルは 1947 年以来、パレスチナの土地を奪ってこれを行ってきました。これらは現在、実際に計算されている歴史的な傾向です」とKhouriは言いました.

西側諸国による声明は、イスラエルの強硬派にはほとんど影響を及ぼさないだろう、と彼はアルジャジーラに語った。

「彼らは実際の制裁や説明責任を負ったことがないので、あまり気にしていません…イスラエル人は圧力を受けたことがないので、彼らは自分たちがしていることをやり続けています。」

イスラエルは、1967 年の中東戦争で東エルサレムとガザ地区と共にヨルダン川西岸を占領しました。パレスチナ人は、将来の独立国家のためにそれらの領土を求めています。

国際社会のほとんどは、イスラエルの入植地は違法であり、平和への障害であると考えています。占領下のヨルダン川西岸地区と東エルサレムには、約 70 万人のイスラエル人入植者が住んでいます。

出典:アルジャジーラと通信社
アルジャジーラ・メディア・ネットワークのロゴ
c 2023 アルジャジーラ メディア ネットワーク 』

米政府、中国への気球飛行否定 人民解放軍が「偵察関与」と断定

米政府、中国への気球飛行否定 人民解放軍が「偵察関与」と断定
https://www.47news.jp/world/8939307.html

『2023年02月14日 共同通信

【ワシントン共同】米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は13日の記者会見で、米国の高高度気球が昨年以降、10回を超えて中国領空を飛行したとする中国の主張を否定した。「米国は中国領空で偵察用の気球や航空機を飛ばしていない」と述べた。中国人民解放軍が偵察気球を使った情報収集に関与していると米政府が断定したことも明らかにした。

 カービー氏はMSNBCテレビのインタビューで、偵察気球が米領空を侵犯したへの懸念を中国に非公式に伝えたと述べた。

 中国外務省は、米国が世界中に気球を飛ばして通信傍受もしているとし「世界最大のスパイ常習犯だ」と批判している。』

植田日銀、10年緩和の出口担う 市場のゆがみ限界に

植田日銀、10年緩和の出口担う 市場のゆがみ限界に
岐路の異次元緩和㊤
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB110YO0R10C23A2000000/

※ ここら辺の「異次元緩和(アベノミクス、第一の矢)」の功罪については、「金融と社会」第15回(最終回)が詳しい…。

『【この記事のポイント】
・政府、日銀総裁に植田和男氏を起用する案を国会に提示
・債券市場は「売り」で反応 異次元緩和の修正を予想 
・どう動く植田氏 昨年は「出口に向けた戦略必要」と指摘

政府は14日、経済学者で元日銀審議委員の植田和男氏を次期日銀総裁に起用する人事案を国会に提示した。10年続いた異次元緩和は発行済み国債の半分を日銀が買い占めるという異常事態を招き、市場のゆがみも限界に近づいてきた。市場…

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

残り1626文字

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料 https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOUB110YO0R10C23A2000000&n_cid=DSPRM1AR07 』

『10年続いた異次元緩和は発行済み国債の半分を日銀が買い占めるという異常事態を招き、市場のゆがみも限界に近づいてきた。市場や経済へのショックを避けつつ、どう政策を修正していくのか。金融政策の正常化に向けた「軟着陸」が新体制に託される。

【関連記事】日銀総裁に植田氏、政府提示 副総裁に氷見野・内田氏
歴代最長の10年間、日銀総裁を務めた黒田東彦氏の後継に、政府は初めて学者出身である植田氏を選んだ。異次元緩和の10年で日銀の国債保有額は4倍超となった。上場投資信託(ETF)購入で、日銀が多くの企業の主要株主になるというひずみも生まれた。

植田氏に期待されるのが、膨れあがった副作用を取り除くための異次元緩和の修正だ。だが、投機筋はそのタイミングを見計らって国債を売り浴びせようと構えている。植田氏は就任初日から市場との戦いに身を投じることになる。

「植田氏は経済情勢を見極め、就任後は長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の撤廃に踏み切るだろう」。日本国債の空売りを進めてきた英ヘッジファンド、ブルーベイ・アセット・マネジメントのマーク・ダウディング氏は取材にこう話した。日銀の緩和修正を見越し、国債売りを継続する姿勢を崩していない。

植田氏の起用が伝わると、債券市場は売りで反応した。長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは14日、連日で日銀が上限とする0.5%を付けた。英投資会社、Abrdnのジェームズ・エイシー氏は「信じられないほど金融緩和に積極的な黒田総裁ですら(昨年12月に)政策を修正した」と指摘し、植田日銀はさらなる政策修正に踏み込むと読む。

修正観測が高まっているのは、市場のゆがみが広がり、日銀も放置はできないと踏んでいるためだ。昨年12月の日銀の政策修正の直前には、これまで金利低下の恩恵を受けてきた財務省でさえ「市場機能の阻害が大きくなっている」との懸念を日銀に伝えた。

長短金利操作による10年物国債の利回り抑制が20年物や30年物国債の入札不調を招いていた。20年物など超長期債を買うときは10年物国債や先物を売って損失リスクを避けることが多い。流通する国債が少なくなり、10年債や先物の値動きが不安定になった結果、リスクヘッジできなくなった証券会社や投資家が超長期債を買い控えるようになった。

ゆがみは債券市場にとどまらない。昨年10月には日米の金利差の拡大を反映して円安・ドル高が止まらなくなり、円相場は1ドル=151円台と32年ぶりの安値を付けた。

市場の経済・物価見通しを映すはずの長期金利を無理やり固定しようとすると、マネーの圧力は外国為替市場に集中する。景気を支えるはずの金融緩和が、円安加速と物価上昇の連動を通じて経済を不安定にした。

植田氏はどう動くのか。昨年7月の日本経済新聞「経済教室」では「日銀は出口に向けた戦略を立てておく必要がある」と指摘。「多くの人の予想を超えて長期化した異例の金融緩和枠組みの今後については、どこかで真剣な検討が必要だろう」と記した。短期金利はゼロ近辺に据え置きながら、長期金利の柔軟性を高める方向で政策修正を探るというのが市場参加者の相場観だ。

もっとも軟着陸は簡単ではない。日本経済研究センターは昨年12月、日銀が長短金利操作を廃止した場合、長期金利は最大で1.1%まで上昇するとの試算を公表した。企業の利払い負担が増し、経常利益を最大で年3%程度、設備投資を9%程度押し下げる可能性がある。

金利上昇は財政の持続性への懸念も高めかねない。いまや日銀の国債購入は「日本国債の格付けを支える要因のひとつ」(大手格付け会社フィッチ・レーティングスの担当者)だ。財政健全化の道筋がみえないままに日銀の緩和が出口に向かえば、格下げと金利上昇の負の連鎖に入り込むリスクも否定はできない。

問われるのは、植田氏の対話力だろう。当面は緩和的な金融環境を維持していくと約束しながら、持続性の乏しい政策は修正し、サプライズに翻弄されてきた市場参加者に安心感を与えられるかどうか。金融政策だけでこの国の経済構造を変えられない以上、時には政府に必要な改革を求めていく大胆さも求められるはずだ。

【関連記事】

・サプライズの「植田日銀総裁」 国際性・専門性、世界の潮流
・「拙速な引き締め避けよ」 植田語録で占う日銀の針路

多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

柯 隆のアバター
柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
コメントメニュー

分析・考察 まだ総裁に就任していないから、ほとんど記事はこれまでの植田氏の発言を踏まえ、推察したものである。実際に総裁に就任して、今の経済状況を鑑みて、単なる黒田政策を継承するだけでいいとは思えない。どれほど利上げするのではなく、金融政策の柔軟性を確保することで政策の正常化からスタートしなければならない。そして、中央銀行の独立性も確保する必要がある。あとは黒田時代の負の遺産をどのように処理するかである。負の遺産とはこれまで買い込んだ証券である
2023年2月15日 7:56 』