中国「米国の気球、領空侵入10回超」 米国は否定
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『【北京=羽田野主】中国外務省の汪文斌副報道局長は13日の記者会見で、2022年の1年間で、米国の気球が10回あまり中国の領空に侵入したと主張した。
汪氏は「米国がまずやるべきは反省することだ。(中国を)中傷して泥を塗ることではない」と批判した。米国の気球が今後も中国の領空に飛んできた場合「必要な手段をとる権利を留保している」として撃墜も辞さない考えを示した。
中国山東省青島市の海洋発展局は12日、山東半島沖で「正体不明の飛行物体が発見され、撃墜の準備をしている」と発表した。周辺の漁船に危険を回避するため注意を促す通知を出した。
海洋発展局は漁船の付近に物体が落ちてきた場合に、写真で撮って証拠を残すよう協力を要請している。市当局側は「飛行物体がどんなものかはまだ知らされていない」と説明している。正体不明の飛行物体が確認されたのは、山東半島南約60キロメートルの海域という。
米国との緊張緩和を探ってきた習近平(シー・ジンピン)指導部だが、ここにきて官製メディアが再び米国批判を強めるようになった。中国共産党の機関紙、人民日報は不定期の重要コラム「鐘声」で、13日まで3日連続で米国の「覇権」主義などを非難した。習指導部が対米姿勢を硬化させた可能性がある。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は13日の米MSNBCのインタビューで、米国の気球が不法侵入しているとの中国政府の主張を否定した。「やっていない。絶対に違う。米国は中国上空に気球を飛ばしていない」と断言した。
その上で「米国は中国とまだ外交関係を持っている。大使館があり、中国とのすべての意思疎通が途絶えたわけではない」と話した。
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川島真
東京大学大学院総合文化研究科 教授
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分析・考察
気球問題がここまで大きな問題になるとは中国側も思わなかっただろう。中国は宇宙、世界の空、海で盛んに観測を実施してきたが、これほどまでの反発を受けたことはなかった。しかし、西側勢力が「浸透」を工作し、カラー革命て中国での体制転覆を企てているという宣伝を国内向けに行なっている中国としては、気球問題を放置することはできない。中国こそが西側諸国に狙われているという話にすべく、気球が中国に飛来していることにした。そうしないと国内的に辻褄が合わなくなるからだ。ただ、今回の件は実態が必要なだけに、話を創出し続けるのは難しい。それだけに早めの幕引きを図るべく、アメリカのいう「意思疎通」に期待することになろう。
2023年2月14日 4:29
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説
10回も領空侵入されたのに、なぜ打たなかった?しかも、今まで、まったく公表すらしていなかった。相手に自分の気球を打ち落とされ、はじめて「事実」を公表するのは、外交上のエラといわざるを得ない。領空は主権であり、核心的利益である。外国の気球が領空侵入してきて、それを打ち落とさないというのは売国行為といえる。
2023年2月14日 7:26
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