フィリピン大統領、台湾有事なら「我々も巻き込まれる」

フィリピン大統領、台湾有事なら「我々も巻き込まれる」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM033U70T00C23A2000000/

『フィリピンのマルコス大統領は12日、東京都内で日本経済新聞の単独インタビューに応じ、台湾海峡での有事の際に「フィリピンが巻き込まれないシナリオは考えにくい」と述べた。明言は避けたが、台湾防衛を表明している米国にフィリピン軍基地の使用を認める可能性を示唆した。

台湾有事を巡ってマルコス氏は「そのような紛争が起こらないことを祈る」とした一方で、「我々は最前線にいると感じている」と語った。首都マニラが…

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『首都マニラがあるルソン島北端から台湾の最南端までは約350キロメートルしか離れていない。

フィリピンと米国は軍事同盟を結んでいる。2014年の防衛協力強化協定(EDCA)により米軍の巡回駐留が可能になった。米軍はフィリピン軍と共同訓練を実施したり、同国内で弾薬や燃料を備蓄したりできる。2日には米軍が巡回駐留できる拠点を4カ所増やし計9カ所にすることで合意した。台湾有事をにらみ、ルソン島北部の拠点の利用も検討しているとみられる。

マルコス氏は台湾有事の際の米軍への基地提供について「EDCAは戦闘の勃発という事態を含んでいない」との原則を示したうえで、実際に紛争が始まった場合には「フィリピンにとって何が良いのかを見極める必要がある」と語った。フィリピンとして安全保障面でなんらかの対応が必要になるとの認識を示した。

フィリピンにはかつて南シナ海に接するスービックなどに米軍基地があった。1990年代初めにフィリピン上院が米軍の基地利用を延長する条約の批准を拒否し、米軍は撤退した。地域での米軍の存在感低下につながり、中国の海洋進出を許した。中国は南沙(英語名スプラトリー)諸島などで軍事拠点化を進めている。

フィリピンは米国と軍事同盟を結ぶ一方で、中国との通商面での結びつきも強い。マルコス氏は中国を念頭に、フィリピンの対応が「(事態を)挑発しないよう気をつけなければならない」と語った。マルコス氏は「誰も戦争は望んでいない。軍事的にではなく外交的なプロセスを通じて問題を解決する方法を見いださなければならない」と強調した。

地域安保では、南シナ海問題を念頭に日本との協力を強化する。マルコス氏は日本の自衛隊と「合同演習を強化する」と述べた。岸田文雄首相との9日の首脳会談で防衛協力の強化で合意しており、東・南シナ海で海洋進出を続ける中国に対抗して連携を深める。

マルコス氏は日本について「我々が領海を守ることができるよう船舶や装備などあらゆる資材を提供してくれている」と語った。日本とフィリピンの間でより踏み込んだ合同訓練を可能にする「訪問軍地位協定(VFA)」を締結するかについては、マルコス氏は「研究中だ」と述べるにとどめた。

(志賀優一)

この記事の英文をNikkei Asiaで読む https://asia.nikkei.com/Editor-s-Picks/Interview/Marcos-says-hard-to-imagine-Philippines-can-avoid-Taiwan-conflict 』