米国、北朝鮮の核実験警戒 高官「3月の全人代前も」
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『【ワシントン=中村亮】バイデン米政権は9日、北朝鮮が新たなに公開した新型ミサイルに懸念を示した。中国で3月上旬に開く全国人民代表大会(全人代)の前に北朝鮮が核実験に踏み切るシナリオを排除せず、さらなる挑発に警戒を強めている。
米国務省のプライス報道官は9日の記者会見で北朝鮮が実施した8日夜の軍事パレードについて「北朝鮮の宣伝活動だ」と断じた。軍事力を誇示する北朝鮮を批判するものだ。国防総省の報道…
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』
『国防総省の報道担当者は声明で「韓国や日本の防衛への我々の関与は揺るぎないものだ」と重ねて表明し、北朝鮮に警戒を緩めない立場を強調した。
朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は軍事パレードで片側9輪の発射台に搭載した未公開のミサイルの写真を掲載した。固定燃料を使う新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の可能性がある。
固定燃料型は燃料を積んだまま隠しておき、迅速に発射できるため米本土に対して奇襲攻撃をしやすくなる。既存のICBMは発射前に燃料を注入するため、米国から探知されやすい。
米国はミサイル技術開発の進展を警戒する。北朝鮮は2022年の1年間に過去最多の60発を超える弾道ミサイルを発射した。
米国防当局高官は日本経済新聞の取材で北朝鮮の狙いに関し、日米韓に不満を示すメッセージに加えて「研究開発が目的の大部分を占めた」と分析した。
さらなる挑発に身構える。同高官は3月5日に始まる中国の国会に相当する全人代より前に北朝鮮が核実験を実行する可能性について「過去数年であれば『それはない』と言ったが、22年の活動の範囲やミサイル発射の回数を踏まえると現状は極めて予測できない環境だ」と指摘。全人代前の核実験がありえるとの認識を示した。
中国が重要な政治イベントを控えると北朝鮮は挑発行為を控えるのが一般的で、核実験をすれば異例だ。今年は全人代で首相が李克強(リー・クォーチャン)氏から、22年10月に中国共産党の最高指導部に入った李強氏に交代するとみられている。バイデン政権は北朝鮮がいつでも核実験を実施する準備が整っていると公言してきた。
バイデン米大統領は22年11月、インドネシアで開いた中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席との会談で、北朝鮮に核実験をすべきでないと明確に伝えるよう求めた。米国防当局高官は「中国は確かにいくらかの影響力を持つが、その程度はかなり判断が難しい」と話した。中国の協力を得ても効果は不透明だとみている。
米外交問題評議会のスコット・シュナイダー上級研究員は「当面は北朝鮮が公表済みの意図に沿って戦力を実験して配備していく」と指摘。北朝鮮を挑発から対話に向かわせるため「日米韓は抑止力を強化して北朝鮮の戦力を無力化する措置を追求する必要がある」と話した。
米韓は2月上旬に米軍の戦略爆撃機「B1B」が参加する共同訓練を黄海の上空で実施した。オースティン米国防長官は1月末、ソウルで韓国の李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防相と会談し、春に実施する定例の合同軍事演習で5年ぶりに野外訓練を再開すると合意した。
米国務省は8日、日米韓の外務次官が米首都ワシントンで会談すると発表した。声明で「3カ国の安全保障協力を向上させるための計画を話し合う」と強調した。会談は22年10月に都内で開いて以来となり、北朝鮮への対処が主要議題になる。 』