上院軍事委員長が「ウ支援」や中国気球を語る

上院軍事委員長が「ウ支援」や中国気球を語る:東京の郊外より・・・:SSブログ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2023-02-09

 ※ 今日は、こんな所で…。

『民主党の重鎮で米国軍事政策のキーマンの一人
F-16など今後の軍事支援の考え方や気球への「?」
軍事予算10%カット(2022年規模への縮小)には否定的

Reed.jpg2月7日、民主党の重鎮で上院軍事委員会委員長であるJack Reed議員が軍事記者団とのオンライン懇談を行い、ウクライナ支援の今後の考え方や中国気球事案、更にウクライナ支援で急膨張する軍事費を抑制する声が高まっている件に関しかなり率直に語りました

ウクライナ支援に関しては、F-16戦闘機より、弾薬や長射程地上火砲や情報&ノウハウ&ソフト支援等が当面の重要項目だと述べ、併せてウクライナで浮き彫りになった弾薬不足と軍需産業基盤問題を最大の教訓だと表現し、中国気球に関しては誰が何のために何をしたかったのか等々の基本的な疑問から解決する必要があると語っています

Reed2.jpgオンライン懇談会の全体を把握しているわけではありませんが、7日付米空軍協会web記事が上記内容を報じていますので、様々な思惑や意見が交錯して情報が混乱している事象に関するキーマンの発言でもあり、頭の整理にご紹介しておきます

ウクライナ支援について

●ウクライナからの軍事支援要望への対応を考える際、米国は戦いの現状と何が違いを生み出すかに基づいて判断する必要がある。今の段階では、F-16戦闘機の要望は最も緊急性が高いものとは考えられず、既存兵器の弾薬や戦車を含む戦闘車両、HIMARSなど長射程ロケットシステムが、よりインパクトを与え、かつウクライナ軍が迅速に円滑に受け入れ可能な兵器だと考える
F-16 Ukraine.jpg

●ロシア側の強固な防空体制を勘案すれば、ウクライナ軍はF-16戦闘機を有効に使用できる状態には無い。現状でウクライナ軍戦闘機等は、ロシア防空網の脅威でほとんど活動できていないし、飛行しても超低空を這うように侵攻し、目標直前で安全な範囲で高度を上げ爆弾等を投下する程度の極めて限定的な作戦しかできていないし、それでも操縦者を失っている

●ウクライナ空軍は胸に手を当ててよく考えるべきだ。F-16の提供を受けて何が変わるのか? 現状の強固な露防空網を前にしてF-16を生かすことができるのか? 長期的な視点でF-16の有効性を否定することはできないが、現時点では優先度は低い
ATACMS Ukraine.jpg

●米議会では、すでに提供済のGMLRS(Guided Multiple Launch Rocket System)より射程の長い、ATACMS(Army Tactical Missile Systems)を推す声がある。既にGMLRS投入でロシアは前線指揮所を後退させざるを得なくなっており、ATACMS導入が更なる効果を生むとの期待からである。また米だけでなく、NATOや西側諸国からの様々な軍事的助言やインテル提供やソフト改修支援なども、極めて重要な役割を果たしている

●(ロシアが反撃準備を進めているとの一部の分析に関し、)ウクライナ軍は優秀で士気が高く、露の攻撃に耐え、西側提供の戦闘車両等々を巧みに使用&維持整備して反撃できると考えている。ウクライナ軍は電子戦にも優れた能力を発揮している
●(一方で、ロシアが大規模に後退を迫られるような事態になった場合、)特に、2014年にロシアが併合したクリミア半島にウクライナ軍が迫るようなことになれば、ロシアによる核兵器投入の危険性が高まるのではないかと懸念している

ウクライナの教訓と米国防費への影響
GMLRS Ukraien.jpg

●ウクライナから得た最も大きな教訓は、弾薬の緊急調達や緊急製造に対応できない軍需産業の問題であり、議会として今後取り組まねばならない大きな課題である
●(ウクライナ支援を含め国防費が急膨張していることへの懸念から、)一部共和党議員からでている、国防予算を約10%カットして2022年予算レベルを上限に押さえる案については、8-10兆円の削減を意味するが、紛争が進行中であることや中国軍事行動が活発化している中では、多くの支持を得ることは難しいと思う

米本土に進入した中国の気球に関して

Chinese Balloon2.jpg

●米国は大統領の指示に基づき、適切に対応して撃墜した。
●多くの米議員が疑問を持っているように、既に活動している中国の偵察衛星で、気球より多くの情報を得ているはずなのに、なぜ? 何の目的で? 何がきっかけで? あんな気球を送り込んだのか理解に苦しむ。習近平を含む中国指導部の政治的判断が絡まない、下層レベルの判断で行われた可能性も高いと思う

●いずれにしても、気球を回収して調査しており、中国にとって不都合な結果が出る可能性もある。米議会は来週(13日の週)に調査報告を受ける予定になっている
●いかなる結果になろうとも、米議会は中国に限らず、領空侵犯を許さないし、今回の事案で明らかになった領空監視能力等のギャップを見極め対処していく

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Chinese Balloon.jpgウクライナのF-16要求を、米国として受け入れがたい理由は、Jack Reed委員長の発言や戦いのエスカレーションを望まない米国の思惑、そして現実的な面からは先日ご紹介した米空軍大佐による軍事メディア寄稿に表現された「戦闘機では露にかなわない論」など、様々に表現されており、実現は難しいのでしょう

中国の気球に関しては、2月8日に米国防省報道官が記者会見を行い、数年前から世界中で同様の気球偵察活動を行っていると説明し、2月13日の週の米議会への国防省報告が注目されます

ロバート・ゲーツ語録75

→中国の文民と軍人の間にはすき間の兆候がある。2009年の音響測定艦インペカブルへの対応や2007年の衛星破壊実験を中国文民指導者は事前に知らなかったようだし、私が訪中間の2010年1月のステルス戦闘機J-20初飛行も→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-14

弾薬量の圧倒的不足問題
「CSISも弾薬調達&提供問題レポート」→
「米空軍の弾薬ロードマップ検討」→https://holylandtokyo.com/2023/02/09/4208/
「米軍は弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/
「賛否交錯:輸送機からミサイル投下」→https://holylandtokyo.com/2022/11/15/3936/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
「Stand-inとoffのバランス不可欠」→https://holylandtokyo.com/2020/07/01/562/

ウクライナでの戦い
「ウクライナでイラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「アジア太平洋への教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/

タグ:中国 ウクライナ 上院軍事委員長 上院軍事委員会委員長 Jack Reed 気球 F-16 ATACMS Army Tactical Missile Systems 』

ベトナム、インドネシアが南シナ海で反中資源開発協力で合意

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:ベトナム、インドネシアが南シナ海で反中資源開発協力で合意
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5410049.html

『東南アジアの人口大国インドネシアが、南シナ海の排他的経済水域(EEZ)に対する本格的な開発に入ったことで、中国との外交的・物理的衝突の可能性が高まっている。右のように、各国の200海里了解の上を中国の赤い9段線が跨(また)がっている。

https _imgix-proxy.n8s.jp_DS

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は2022年12月下旬、ベトナムのグエン・スアン・フック主席(当時)と首脳会談を行い、両国の最大の懸案だったEEZ確定交渉を妥結させた。

FireShot Webpage Screenshot #598 – ‘インドネシア、中国を警戒

両首脳はこれとともに、インドネシア側のEEZ内にあるナトゥナ諸島Natuna Islands付近の大陸棚「トゥナ・ブロック」開発プロジェクトを巡っても最大限協力することで合意した。インドネシアが計30億ドル(現在のレートで約3900億円)を投じてこの地域のガス田を開発し、2026年からこの天然ガスをベトナムに輸出することとした。トゥナ・ブロックには原油や天然ガスなど、エネルギー資源およそ1億バレル(原油換算基準)以上が埋蔵されているものと推定されている。
 
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南シナ海を間に挟んでいる両国は、過去およそ10年間、EEZの範囲を巡って対立を繰り広げてきた。インドネシアはナトゥナ諸島付近で操業するベトナム漁船数十隻を拿捕(だほ)し、時には漁船をめちゃくちゃにすることもあった。2017年には、インドネシアがベトナム漁船5隻の拿捕に乗り出すや、ベトナム海軍の艦艇が出動して救出するという一幕もあった。
 
インドネシアがベトナムとの過去のわだかまりを解いてEEZ交渉を妥結させ、大陸棚開発に乗り出したことで、中国に立ち向かう対抗勢力としての存在感も大きくなる見込みだ。
日経新聞は「インドネシアがベトナムとのEEZ交渉を妥結させたことで、中国対応に弾みがつくことになった」とし「インドネシアはロシアのウクライナ侵攻を教訓とし、(中国の挑発など)南シナ海における予想外の事態を警戒し、備えている」と伝えている。

、、、インドネシア、ベトナムの強い反中政策の裏には、米国もナトゥナ諸島の戦略的重要性を認め、そこに空港を作る2fe4347aプロジェクトへの関心を表明しており、ナトゥナ諸島開発を巡っては、日米で戦略的方向性などを含めた意見交換・情報交換を実施し、実際上、日米インドネシアの三カ国の間の共同プロジェクトのような様相を呈している事がある。参照記事
04670b54

一方で、中国と長年領海問題を抱えるフィリピンのマルコス新政権は、中国へはドゥテルテ(Rodrigo Duterte)前政権で失敗と批判の強い宥和政策に舵を取り、初の来日も行い、地政学的理解を求めているようだ。参照記事 参照記事 過去ブログ:2023年1月中国に、領海問題で嘆き吼えるしかないフィリピンの状況  』

さよならグローバル化? 欲しいものが手に入らなくなるのか

さよならグローバル化? 欲しいものが手に入らなくなるのか
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230209/k10013975771000.html

『香ばしい香りあふれる淹れ立てのコーヒーを1杯。出勤前の楽しみだ。

スーパーに並ぶ食料品からファッションや電子機器、そして海外に行けば多く見かける日本車まで、私たちの暮らしや勤める会社の業績はグローバリゼーションの恩恵を大きく受けてきた。

しかし、激化する米中の対立、ロシアによるウクライナ侵攻、そして台湾有事のリスクなどが幾重にも重なり、知らない間に世界経済をつなぐ仕組みが土台から崩れようとしている。
(NHKスペシャル シリーズ混迷の世紀「“貿易立国”日本の苦闘~グローバリゼーションはどこへ」取材班)
経済が飲み込まれる
「本来、政治と経済は別物という形が望ましいが、安全保障という問題が、経済を確実に飲み込もうとしている」

こう話すのは大阪市に本社を置く産業機械メーカー・テクノスマートの柳井正巳社長だ。
このメーカーはパソコンやスマートフォン、EV向けの蓄電池などに使われるフィルムに特殊な薬品を塗る機械を製造し、国内外に出荷している。

従業員は200人余り、ことしで創業111年を迎える。ミクロンレベルの薄さで均一に薬品を塗る高い技術力で受注を広げてきた。

足元の売り上げ高は、中国向けの輸出で8割を占めている。
テクノスマート 柳井正巳社長

「中国は大事な顧客先の1つだが、去年のロシアによるウクライナ侵攻で、台湾有事への懸念というものが大きくなっていると思う。以前から、中国への輸出割合は高すぎるという意識は持っていたが、分散する必要性をより感じるようになった」

気球撃墜 対立深まる米中

柳井社長が懸念する事態が起きた。

2023年2月、アメリカ南部サウスカロライナ州の沖合、高度およそ1万8000メートルでアメリカ空軍のF-22戦闘機がミサイルを発射。

撃墜したのはアメリカ軍が中国の偵察用と分析する気球だった。

アメリカは「明確な主権の侵害だ」と中国を批判。

中国も猛反発し、米中の対立は一段と鮮明化した。

米中対立だけではない。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻とエネルギー危機。

明確な国際法違反の軍事侵攻であってもロシアへの非難決議を巡っては、国連の場で反対や棄権する国が多数出て、世界が分断していることが浮き彫りになった。

経済と安全保障が一体に

軍事的な緊張は歴史の教科書を取り出すまでもなく、過去にも数多く存在した。

冷戦終結後も、旧ユーゴスラビア紛争、チェチェン紛争、2001年に起きたアメリカ同時多発テロ事件など。

しかし、冷戦後、経済政策と、軍事や安全保障政策は別もので、切り離されたものという認識が広がり、世界はグローバリゼーションの恩恵を大きく受けた。

軍事的な緊張があっても経済関係はそれとは別に発展、拡大することが可能な時代が長く続いてきた。

しかし、今、経済と安全保障は混然一体となり、切り離せない状態になってきている。

これが柳井社長が冒頭、「安全保障が経済を飲み込もうとしている」と懸念した点だ。

アメリカ超える「強国」目指す中国

深まる米中対立。

中国は、独自の経済圏を構築し、アメリカをも超える強国を目指している。
習近平国家主席は2020年、「国際的なサプライチェーンの中国への依存度を高めることで外国による供給網の遮断に対し、強力な反撃と抑止力を形成する」という方針を打ち出した。

つまり、アメリカをはじめ各国のサプライチェーン=供給網を中国に依存させることで国際的な影響力を高める、いわば“武器”として使うねらいだ。

この方針の下で進められているのがさまざまな分野の製品の「国産化」だ。

国内産業を強化することで供給網の川上から川下までを握ろうというものだ。

その象徴が、EV=電気自動車。

中国メーカーのEV

電池に使われるリチウムなどの重要鉱物から、それを精錬する工程、そしてモーター関連の部材まで押さえつつある。

中国は、すでにEVの年間の販売台数は500万台を超える世界最大の市場に成長し、巨大市場をテコに世界をリードしようとしている。

“唯一の競合国”と対抗心あらわに

米国家安全保障戦略

対するアメリカは危機感を強めている。

2022年10月に発表した国家安全保障戦略。

中国を「国際秩序を変える意思と能力を兼ね備えた唯一の競合国」と位置づけ、軍事だけでなく、経済、科学技術などで総合的な抑止力を構築するとしている。

サプライチェーンを強化する方針を示しているのは、半導体・蓄電池・重要鉱物・医薬品の4分野。
さらに特定の中国企業を指定。

これらの企業との取り引きが判明した場合、アメリカ政府は制裁を科す可能性も表明している。
“露骨な中国外し”
特に際立っているのが2022年8月に成立したインフレ抑制法だ。

EVの普及など気候変動対策に3700億ドル・50兆円近くの巨費を投じる。

柱の1つが、EVの購入者に多額の税額を控除する優遇策。
インフレ抑制法 税額控除の条件 イメージ

控除を受けるためには以下のような条件が掲げられている。

▽蓄電池の原料となる重要鉱物はアメリカ国内と、FTA自由貿易協定を結ぶ国
▽蓄電池の生産や車両の組み立てが北米3か国で行われること

サプライチェーン全体で、中国を外そうとする露骨な戦略だ。

「トランプ前政権と同じような政策をとるバイデン政権」との指摘があがっている。
蓄電池産業を取り戻せ
なかでもバイデン政権が巻き返しに力を入れているのが蓄電池の分野だ。

再生可能エネルギーやEVの普及など、脱炭素社会実現のためには蓄電池が重要だ。

しかし、高性能な蓄電池に欠かせないリチウムは中国に握られている。
リチウムは、中国が生産量3位、鉱石からリチウムを取り出す精錬のシェアは約60%近くのシェアを占める。

これに対し、アメリカ国内の生産量はごくわずかだ。

生産開始を目指すノースカロライナ州の鉱山

インフレ抑制法や政府融資などを受けてアメリカ国内では、巨大プロジェクトが次々と動き出している。

国内で唯一稼働する鉱山を手がけるアメリカ企業が新たにノースカロライナ州の鉱山で事業調査を始めた。

4年後の生産開始を目指し、将来的には、年間10万トン、EV160万台分のリチウムを供給する計画。

また、ネバダ州の別の鉱山では、別の企業が新たな開発を進める。
リチウム
この企業は、アメリカ国内で年間EV100万台分のリチウムを生産する計画だ。

この企業の筆頭株主はもともと中国企業だったが、会社を分割する方針を発表した。

アメリカ政府から巨額の融資を受けやすくするねらいがあると見られている。

そして2023年1月、最大手の自動車メーカー、GM=ゼネラル・モーターズが850億円近い、投資を発表した。

GMがこの会社の筆頭株主となり、優先的、独占的にリチウムの供給を受けることになる。
リチウムアメリカズ ティム・クロウリー副社長

「私たちはこれまで、他国に製品やサービスを供給してもらうというぜいたくを享受してきたが、それを当然と考えることはできない時代に入っている。アメリカ政府の産業への支援策は、アメリカに投資をもたらし、国内でサプライチェーンを完結させる門戸を開いた」

AI分析で浮かび上がる日本の立ち位置

アメリカ・中国はそれぞれの経済圏を強固なものにしようと躍起になっている。

こうした時代に直面した日本企業はどういった立場に置かれているのか。

東京大学 坂田一郎教授

私たち取材班は、東京大学でAI=人工知能を活用した経済研究を行っている坂田一郎教授とともに、全世界の貿易データを分析した。

およそ200の国と地域の間で、過去およそ40年で輸出入がどう行われているか、4億3000万のデータをAIに読み込ませた。

浮かび上がったのは経済面で日本が置かれている難しい立場だ。

それぞれの国がどの国と関係が近いのか、貿易額だけでなく、関係性の深さなどをAIが判別。グループ分けをした。

(※円の大きさは貿易額・色はグループの違いを表す)

2000年はアメリカ中心の青色のグループ、ドイツ中心の緑、日本を中心とした黄色のグループだったが、2003年に日本のグループが赤色、つまり中国を中心とするグループに代わると、その後も日本は中国グループの中に置かれていることが分かった。

東京大学 坂田一郎教授

「われわれは、同盟国であるアメリカと一番強くつながっていると感じてしまうが、日本企業からすると、中国を中心としたアジアの貿易圏にしっかり組み込まれた存在になっている。そこから距離を置くことは、非常に難しい状態になることを示している」

不安抱える日本企業

中国向けの輸出が売り上げの8割を占める産業機械メーカー・テクノスマート。

米中対立、地政学リスクの高まりを警戒し、中国への依存度を減らそうと2022年、およそ10億円をかけて、新たな実験棟の建設を決めた。
リスクを分散させ、欧米への販路拡大に向け、顧客のニーズにより柔軟に応えられるようにするねらいだ。

しかし、国ごとに定められた規格などの違いもあり、これまでと同じようにビジネスを展開できるのか、不安を感じているという。

テクノスマート 柳井正巳社長

「今の時代は何が起きるか分からない。分断が進み、中国は中国、アメリカはアメリカという形ですべてが進んでいくのがビジネスを展開する上で最も怖い。何かが普通に起きうると日々構えている」

歴史の針を巻き戻すような動き

大国が経済のブロック化をはかろうとし、脱グローバリゼーションの色合いが濃くなる今日。

過去、世界には苦い経験がある。
世界恐慌をきっかけに各国が自国の産業を立て直そうと保護主義に走ったことで、ブロック経済化が進み、それが第2次世界大戦へとつながっていった。

その反省にたち、戦後、GATT=「関税および貿易に関する一般協定」が発足。今のWTO=世界貿易機関に引き継がれた。

「囲い込むのではなく、つながること」で経済成長を目指す仕組みができたのだ。

日本もグローバリゼーションの進展、自由貿易の恩恵を受けて経済発展をとげた。

しかし、今、世界は「つながるのではなく、囲い込むこと」に奔走し、まるで歴史の針を巻き戻すような動きになっている。

欠点を修正するのは政治の役割

グローバリゼーションにはいい点と悪い点がある。

悪い点として企業の海外移転と産業の空洞化が起き、賃金減少や雇用喪失が起きることがよくあげられる。

また、格差拡大、賃金の安い外国人労働者の流入とそれを拒否する移民排斥運動などもある。

こうした弱点が政治を動かし、特にアメリカでは内向きな政策へとつながっている。

悪い点があるからと放置したり、諦めたり、保護主義的な政策を打ち出すのではなく、それを修正していく。

これこそが各国の政治の役割であり、脱グローバリゼーションの治療方法ではないだろうか。
コーヒー豆をほぼ輸入に頼っている日本。

ブルーマウンテンコーヒーをゆったりした気分で飲むことができるのは自由な人、モノ、カネ、サービスの行き来を支えているグローバリゼーションのおかげだ。

どうすればあすも、来月も、来年もおいしいコーヒーを飲むことができるのか。

最後にそのヒントとなる言葉を著名な経済史家であるコロンビア大学アダム・トゥーズ教授に尋ねた。

コロンビア大学 アダム・トゥーズ教授

「EU=ヨーロッパ連合の拡大やRCEP=地域的な包括的経済連携など地域ごとの経済的な連携の枠組みは進展している。地域化を通じてグローバリゼーションを実現していくのだ。80億人が暮らす惑星がほかの方法で機能していくと想像するのは難しい。私たちはお互いが関係をむすびながらグローバルに生きていくしかないのだ」

混迷の世紀 第8回 「“貿易立国”日本の苦闘~グローバリゼーションはどこへ~」
総合 2月12日(日)午後9:00~

ワシントン支局記者
小田島拓也
2003年入局
甲府局 経済部 富山局などを経て現所属
中国総局記者

伊賀亮人
2006年入局
仙台局 沖縄局
経済部などを経て現所属
経済部記者

渡邊功
2012年入局 
和歌山局から経済部
国交省、外務省、銀行業界、経済安全保障の取材を担当 』

岸田首相、11日に慢性副鼻腔炎で手術=全身麻酔、松野官房長官が臨時代理に

岸田首相、11日に慢性副鼻腔炎で手術=全身麻酔、松野官房長官が臨時代理に
https://www.nippon.com/ja/news/yjj2023021000384/

『岸田文雄首相は11日、鼻茸(はなたけ)を伴う慢性副鼻腔(びくう)炎のため、内視鏡による手術を東京都内の病院で受ける。同日中に退院する。手術は全身麻酔下で行うため、その間は松野博一官房長官が首相の臨時代理を務める。首相は週明けの13日に公務へ復帰する。

松野氏が10日の記者会見で発表した。首相の状態について、松野氏は「慢性的な鼻づまりなどの症状がある」と説明。術後には複数回の検査通院を行うことも明らかにした。

首相は視察先の埼玉県戸田市で「鼻づまりを感じて薬をもらっていたが、万全を期すため、内視鏡による手術を受け、体調を完全にしたい」と記者団に語った。』

★《続・読書余論》Richard W. Bulliet著『The Camel and the Wheel』1975年刊

★《続・読書余論》Richard W. Bulliet著『The Camel and the Wheel』1975年刊
https://note.com/187326mg/n/n021827d862e7

 ※ 『イスラム勢力の出発点はメッカです。そこには駱駝はあったのですが、車両(荷車や戦車)は一切、無かった。
 それなのに、イスラム軍は、先進文明大国であるペルシャ(イラン)を征服してしまった。同様にまた、アナトリア(トルコ)まで征服してしまいました。馬や馬車がゴマンとあった大国の軍隊を、ラクダだけで撃ち破っているのです。

 まさに謎です。』…、という部分が刺さったんで、購入した。

 ※ noteから買ったの、久々なんで、登録したクレジットカードの期限が切れていて、再設定の手続きに難渋した…。

 ※ 中東の問題を考える時、前にも言及したが、同じく「イスラム」で一括りにされがちな、ペルシャ、サウジアラビア、トルコの三大勢力を、区別して考察することが重要だ…。

 ※ そして、その三大勢力の各王朝の栄枯盛衰の原因を考察することが重要だ…。

 ※ この「駱駝」の問題は、そういう考察の鋭い視点を、提供している…。

最新の《note》 https://note.com/187326mg/  は、『The Camel and the Wheel』・ほか です。

最新の《note》 https://note.com/187326mg/  は、『The Camel and the Wheel』・ほか です。
https://st2019.site/?p=20862

『イスラム勢力の出発点はメッカです。そこには駱駝はあったのですが、車両(荷車や戦車)は一切、無かった。
 それなのに、イスラム軍は、先進文明大国であるペルシャ(イラン)を征服してしまった。同様にまた、アナトリア(トルコ)まで征服してしまいました。馬や馬車がゴマンとあった大国の軍隊を、ラクダだけで撃ち破っているのです。

 まさに謎です。敵国の内訌を利用したという説が有力ですが……。

 中世のイスラム教軍の強さを唯物的に究明したければ、アラビアの沙漠にまさしく特化順応していたヒトコブラクダの歴史を知らなくてはなりません。

 知れば知るほど、凄い動物です。反面、ヒトコブラクダが放牧状態で繁殖するには、常時「乾燥」した土地と、短期間の「雨期」とが必要で、そんな条件がないところでは、住民による利用も定着しませんでした。

 また人為繁殖のノウハウを握っていたのはベドウィン系の一部部族だけで、アラブの都市商人たちも、ラクダを繁殖させたりトレーニングする方法を知っていませんでした。彼らにとってラクダは、育てて増やすものではなく、買うものだったのです。

 20世紀のアラビア人たちは、ラクダはじぶんたちの後進性の象徴だと思っていました。それで、恥じるところがあり、誰ひとり、ラクダの歴史なんて研究をしていないのだそうです。そこで米国の東部名門大学の先生が乗り出した。

 膨大な手間隙をかけて、利用可能な資料をほぼ博捜して遂にまめられたのが、この本です。
 1975年に米国で出版された Richard W. Bulliet 氏の決定版的研究『ラクダと車両』(本邦未訳)。

 この書籍をPDFで貸し出している外国の図書館があること等について私に教えてくださった方、この場を借りまして御礼を申し上げます。どうもありがとうございました!

 軍隊と交通/運送手段の関係について、興味・関心がある方ならば、この1冊は必読だと思いました。
 その内容を、私訳によって摘録しました。 』

ゼレンスキー大統領、戦闘機提供に肯定的な決定が下されたが詳細は明かせない

ゼレンスキー大統領、戦闘機提供に肯定的な決定が下されたが詳細は明かせない
https://grandfleet.info/european-region/president-zelensky-confirms-positive-decision-to-donate-fighter-jets-but-does-not-give-details/

『ゼレンスキー大統領は欧州議会での演説後「欧米によるウクライナへの戦闘機提供に関して肯定的な決定がなされたが、これをロシアが知るべきではない」と明かし、英国による長距離攻撃兵器の供給についても「合意が成立している」と付け加えた。

参考:Зеленский: Есть положительные решения по истребителям

ロシアが政治的にも軍事的にも対応できないようまだ詳細は明かせない

ウクライナのイエルマク大統領府長官は「戦闘機と長距離攻撃兵器の供給問題は解決された」とTelegram上で明かしていたが、ゼレンスキー大統領は欧州議会での演説後「欧米によるウクライナへの戦闘機提供に関して肯定的な決定がなされたが、これをロシアが知るべきではない」と明かし、英国による長距離攻撃兵器の供給についても「合意が成立している」と付け加えた。

要するに「戦闘機と長距離攻撃兵器の供給について欧米は何らかの決定を下した可能性が高い」と示唆しており、ロシアが政治的にも軍事的にも対応できないよう「まだ詳細は明かせない」という意味だ。

何が決定されたのか見当もつかないが、もしかすると戦闘機と長距離攻撃兵器の提供はリンクしている可能性(航空機搭載の巡航ミサイル?)もある。

出典:U.S. Air Force photo by Senior Airman Luke Milano

追記:英国のウォレス国防相は9日「自国の安全保障を犠牲にしてまで戦闘機を提供する気はない」と明かし、NATO標準戦闘機を操縦するためのウクライナ人パイロットに対する訓練が完了するのは「恐らく戦後になる=英国政府は戦闘機パイロットの訓練には最短でも35ヶ月かかると主張していたことを反映した発言」と付け加えた。

追記:Bloombergは「ウクライナに戦闘機を提供すると約束したEU加盟国は1つもない」と報じている。

関連記事:英国がNATO標準戦闘機を操縦するための訓練をウクライナに提供、但し戦闘機提供は未定

※アイキャッチ画像の出典:PRESIDENT OF UKRAINE
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投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 11  』

SpaceXは無人機制御へのスターリンク使用を制限、ウクライナ側は問題ないと主張

SpaceXは無人機制御へのスターリンク使用を制限、ウクライナ側は問題ないと主張
https://grandfleet.info/european-region/spacex-restricts-use-of-starlink-for-drone-control-ukrainian-side-claims-there-is-no-problem/

『米SpaceXは「無人機制御にスターリンクを使用する行為は契約の範囲を越えているので制限を実施した」と明かしたが、ウクライナのフェドロフ副首相兼デジタル化担当相は「今のところスターリンクの運用に問題はない」と述べた。

参考:SpaceX’s Shotwell says Ukraine ‘weaponized’ Starlink network
参考:SpaceX forms ‘Starshield’ business unit to focus on national security
参考:Федоров о нововведении SpaceX: Проблем с работой Starlink не наблюдается

安全保障分野におけるスターリンクの使用を明確に禁止し、この分野の需要をスターシールドに誘導するのが狙いではないかと予想されている

SpaceXのショットウェル社長は8日「ウクライナ政府と締結した契約は侵攻で影響を受けた病院、銀行、民間人に高速通信を提供することを目的にしており、ロシアとの戦争に使用される無人機制御にスターリンクを使用する行為は契約の範囲を超えている。我々はスターリンクを兵器化する意図はなかったがウクライナは想定外の方法で、合意の一部ではない方法で無人機制御に使用した」と説明し、スターリンクを無人機制御に使用できないよう制限を実施したと明かした。

出典:Public Domain

SpaceXは国家の安全保障をビジネスターゲットにした新しい衛星通信サービス構想「スターシールド(サービス内容の詳細や開始時期などは不明)」を昨年12月に発表、最も厳しい政府の要求要件を満たすため高度な暗号化通信機能の追加提供や、軍事衛星と統合運用できるようシステムの相互運用性を確保すると説明しており、今回の措置は「安全保障分野におけるスターリンクの使用を明確に禁止し、この分野の需要をスターシールドに誘導するのが狙いではないか」と予想されている。

因みにウクライナのフェドロフ副首相兼デジタル化担当相はSpaceXの制限について「数ヶ月前にジオフェンシングの機能に変化があったが、今のところウクライナのスターリンク運用に問題はない。イーロン・マスクは我々の勝利に貢献する最大の民間寄附者の一人だ。スターリンクは何千人もの命を救い、エネルギーインフラを稼働させ、複雑な手術を行う医師を助け、多くの一般市民にインターネットへの接続ポイントを提供している。SpaceXの貢献度は1億ドル以上で今後もスターリンクの安定した運用を期待している」と述べている。

出典:Public Domain

ウクライナ軍が戦いに使用するスターリンクの状況は不明だが、現在もウクライナ軍がスターリンクを使用して無人機を飛ばしているという報告もあるため、SpaceXの発表は表向きなものである可能性が高い。

関連記事:スターリンクに対するロシア軍の妨害、SpaceXが直ぐに対応して無効化
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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
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投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 2  』

シーモア・ハーシュ:ノード・ストリーム爆破は米海軍による秘密工作

シーモア・ハーシュ:ノード・ストリーム爆破は米海軍による秘密工作 | 《櫻井ジャーナル》 – 楽天ブログ
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202302080000/

『ロシアからドイツへ天然ガスを運ぶために建設されたパイプライン、「ノード・ストリーム(NS1)とノード・ストリーム2(NS2)が爆破されたのは昨年9月26日のことである。​この工作を実行したのはアメリカ海軍のダイバーだとする記事を調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは発表した​。

 ジョー・バイデンは大統領に就任した2021年1月からロシアに対して経済戦争を仕掛け、軍事的な挑発を繰り返した。バイデンは戦争を推進してきた過去のある好戦的な人物だが、彼が副大統領を務めたバラク・オバマ政権の政策を引き継いだとも言える。

 バイデン大統領はその年の後半にジェイク・サリバン国家安全保障補佐官を中心とする対ロシア工作のためのチームを編成した。その中には統合参謀本部、CIA、国務省、そして財務省の代表が参加、12月にはどのような工作を実行するか話し合っているという。2022年初頭にはCIAがサリバンのチームに対し、パイプライン爆破を具申している。

 その年の1月27日にビクトリア・ヌランド国務次官は、ロシアがウクライナを侵略したらノード・ストリーム2を止めると発言、2月7日にはバイデン大統領がノード・ストリーム2を終わらせると主張、記者に実行を約束した。

 爆破計画の拠点として選ばれたのはノルウェー。イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長の母国だ。ハーシュによると、3月にはサリバンのチームに属すメンバーがノルウェーの情報機関に接触、爆弾を仕掛けるために最適な場所を聞き、ボルンホルム島の近くに決まった。

 プラスチック爆弾のC4が使われたが、仕掛けるためにはロシアを欺くためにカムフラージュが必要。そこで利用されたのが​NATO軍の軍事演習「BALTOPS22」​だ。その際にボーンホルム島の近くで無人の機雷処理用の潜航艇を使った訓練が行われた。

 当然のことながら、爆破されるとパイプライン内の圧力が低下する。その事実をロシアのガスプロムは異常をアラームで知るのだが、詳しい状況は理解できなかった。

 ​そのアラームが鳴った1分後、イギリスの首相だったリズ・トラスはiPhoneでアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官へ「やった」というテキストのメッセージを送っている​。この情報は10月30日に報じられたが、その前日、ロシア国防省はこれらのパイプラインを破壊したのはイギリス海軍だと発表、トラスはその4日前に辞任している。

 トラスのメールは傍受されていた可能性が高いが、その事実をうかわせる出来事が10月18日にあった。​イギリスのベン・ウォレス国防相がアメリカを秘密裏に訪問​したのだ。アメリカでは国務省や情報機関の高官のほか、ロイド・オースチン国防長官やマーク・ミリー統合参謀本部議長と会談、ジェイク・サリバン国家安全保障補佐官と会ったというが、その際、なぜ電話でなく直接会いに行ったのかが話題になったのである。通信のセキュリティーに不安があったので直接会いに行ったと疑う人もいたが、それが事実だったようだ。

 トラスがメールを送った話が事実なら、イギリス政府もパイプライン爆破に関係していたことになる。アメリカ海軍、イギリス海軍、そしてノルウェーの合同作戦ということも考えられるだろう。

 ウクライナの内戦はオバマ政権が2014年2月、ネオ・ナチを利用したクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したところから始まる。「新バルバロッサ作戦」の一環としてNATOをウクライナまで拡大させようとしたこともあるが、ウクライナを植民地化することでEUとロシアを結びつけているパイプラインを抑える目的もあった。ポーランドもロシアからEUへの天然ガス輸送を妨害している。それを回避するためのノード・ストリームだった。

 それにもかかわらず、ドイツの首相だったアンゲラ・メルケルやフランス大統領だったフランソワ・オランドは2014年から8年間、ウクライナの戦力増強に協力している。ふたりともミンスク合意はウクライナの戦力を増強するための時間稼ぎに過ぎなかったと語っているのだ。アメリカやNATOは簡単にロシアを屈服させられると思っていたのだろうか?
 アメリカが仕掛けた経済戦争でロシアはダメージを受けず、EUは経済活動が麻痺、社会が崩壊しそうだ。軍事的には生産力の差が出てロシアの勝利は決定的で、ネオコンなど欧米の好戦派はパニック状態だ。

 アメリカの時代は終わったと判断したのか、友好国だったはずのサウジアラビアやトルコもロシアへ接近、​イスラエルのナフタリ・ベネット前首相はウクライナでの停戦交渉をアメリカ/NATOが壊したことを明らかにした​。

 ベネットの仲介でウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー政権とロシアのウラジミル・プーチン政権が交渉していたが、その山場だった昨年3月5日、​ウクライナ側の交渉団メンバーだったデニス・キリーエフはウクライナの情報機関SBUのメンバーに射殺された​。クーデターの直後からSBUは事実上、CIAの下部機関だ。

TWITTER

最終更新日 2023.02.09 13:06:14 』

「アメリカに追随して騒ぐべきではない」中国政府 気球問題で日本をけん制

「アメリカに追随して騒ぐべきではない」中国政府 気球問題で日本をけん制
https://news.yahoo.co.jp/articles/b346dfd4edaeb25a9c62e156d47cf2b7918c57f5

『アメリカ上空で撃墜された中国の気球をめぐる問題です。日本でも去年1月に同じような気球が確認されていたという発表に対し、中国政府は「日本はアメリカに追随して騒ぐべきではない」とけん制しました。

松野官房長官は9日の記者会見で、九州の西の上空で去年1月、今回アメリカで発見され、撃墜されたものと同じような所属のわからない気球が確認されていたと明らかにした上で、今後もアメリカなど同盟国と連携し、情報収集と分析に全力をあげるとしました。

これに対し、中国政府は…

中国外務省 毛寧報道官
「日本はアメリカに追随して騒ぎ立てるのではなく、客観的かつ公正な立場であるべき」
中国外務省の毛寧報道官は9日、このように述べ、日本をけん制しました。

また、アメリカ国防総省の報道官が、過去に4回確認された同じような気球は「数年前から続く中国の大規模な偵察気球計画の一部だ」との見方を示したことについては、毛寧報道官は「知らない」とした上で、「アメリカによる情報戦の一部かもしれない」と主張しました。

TBSテレビ 』

「中国はヤバい国という感情に」「議会はブチ切れ状態」気球襲来で米中に亀裂? 安保専門家「言い訳も準備していたはず」

「中国はヤバい国という感情に」「議会はブチ切れ状態」気球襲来で米中に亀裂? 安保専門家「言い訳も準備していたはず」
https://news.yahoo.co.jp/articles/c865e0e7f072ada23d8029bfb1f5ed02a7db75cf

『先週、アメリカ上空で丸い物体が相次いで目撃された。米政府は、中国の「偵察用気球」だとして4日、大西洋上空に入ったところでミサイルを発射。一発で撃ち落とした。

【映像】中国「偵察用気球」墜落までの進路(画像あり)

 一方の中国は「気象観測用だ」と主張。撃墜に対し「武力を使って民間の無人飛行船を攻撃した。明らかに過剰反応だ」として、厳正に抗議すると非難した。

高高度偵察用気球

 この一件は、米中関係にどのような影響をもたらすのか。ニュース番組「ABEMA Prime」では、専門家と考えた。

 防衛研究所・防衛政策研究室長の高橋杉雄氏は「他国の気球が飛ぶのは領空侵犯だ」と解説する。

「主権の侵害だ。『空だから』と軽く見られがちだが、陸と同じように勝手に通ってはいけない。はっきりとした態度で見せたアメリカの選択は理解できる。サイバー攻撃を受けた時もやり返している。再発防止のために必要だと考えているはずだ」

今後の米中関係は

 気球が辿った経路を見ると、アラスカ側からアメリカに入り、カナダを通って再びアメリカに入っている。中国が遠隔操作していたのだろうか。

「拡大された映像をみると、小さいプロペラが付いている。ジェット気流に逆らって進むものではなく、ある程度の高さやコースの操作ぐらいはできると思うが、最終的には“風任せ”という部分はあるだろう」(高橋氏)

 アメリカは破片を回収し、分析を進めている。

 高橋氏は「もし衛星通信用のアンテナがあれば、リアルタイムで情報を取っていたことになる。それがない場合は、どこかでメモリを回収し、データを解析する予定だったのではないか」と話す。

 気球は「バス3台分の大きさ」で、飛行高度24~37km(戦闘機:約20km、民間航空機:約12km)の高高度偵察用と見られている。

 タレントでエンジニアの池澤あやか氏が「アメリカはドローン1台を飛ばすにもさまざまな法律がある。『飛行物が入っちゃった。てへぺろ』では済まないはず」と指摘すると、高橋氏は「中国は言い訳の準備もしていたはずだ」という。

「冷戦期にはソ連もアメリカも領空侵犯をやっていた。高高度を飛ぶアメリカの偵察機が撃墜されたこともあった。それは覚悟を持ってやっていて、もちろん“てへぺろ”じゃ済まない話だ。今回、中国にはどうしても取りたい情報があったのだと思う。すぐに言い訳できるよう、準備していたはずだ。だから反応が早かった。『見つかったらヤバい』とある程度わかった上でやっていた。ただ、これまで大騒ぎになると思っておらず、油断していた部分もあると思う」

 日本でも東北地方で同じような目撃情報がある。一連の出来事は、今後アメリカや日本にどのような脅威となるのだろうか。

「中国がさまざまな情報を持つことになる。例えば、核ミサイルの基地や新兵器の実験場、特殊部隊の基地など、あらゆる情報が取られてしまう。台湾で何かがあったときにそれを使って、安全保障上の弱点を突くかもしれない」

 気になるのは、今後の米中関係だ。高橋氏は「アメリカ議会がブチ切れ状態だ」と話す。

「共和党と民主党の超党派から非難声明も出ている。中国が嫌がる下院議長・マッカーシー氏の台湾訪問も早い段階で行われる可能性が高まった。もう1つは、普通のアメリカ市民の中国に対する感情を変えていく可能性が高い。元々の情報はSNSだったが、その後テレビでも撃墜するまでリアルタイムで流れていた。例えとしていうと、日本の『寿司テロ動画』『特集詐欺事件のルフィ』のような感じで、気球を見ている。これまでは気にしていなかった人たちも『中国はヤバい国だ』と思うようになっている。感情は一度嫌いになってしまうと、なかなか好きには戻れない。中国自身が後になって事の重大さに気づくことになるだろう」

(「ABEMA Prime」より)』

「プーチン氏は諦めず」 前米駐ロ大使、長期戦の覚悟を

「プーチン氏は諦めず」 前米駐ロ大使、長期戦の覚悟を
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN072LH0X00C23A2000000/

『ロシアのウクライナ侵攻から24日で1年がたつ。2022年9月まで3年近く米国の駐ロシア大使を務めたジョン・サリバン氏は日本経済新聞のインタビューに答え、国際社会にさらなる長期戦への覚悟を促した。

――開戦前、米国はロシアのウクライナ侵攻の可能性を世界に警告していました。

「私が米国に一時帰国していた21年10月末、米情報機関の評価でロシアがウクライナ侵攻を計画しているとの警戒感が強まった。バイデ…

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『バイデン大統領は米中央情報局(CIA)のバーンズ長官の派遣を決め、私は一緒にモスクワに戻った。バーンズ氏がロシア政府高官に『そちらの計画はわかっている』と告げた11月初め、前哨戦が始まった」

「その年末、ロシア外務省は私とドンフリード米国務次官補(欧州・ユーラシア担当)に2つの条約案を示した。ロシアへの安全保障を求める内容だ。ロシア語だけで英訳はなかった。通常は礼儀として翻訳をつける。数日以内に交渉官をスイスのジュネーブに寄越せという。ロシアは真剣に交渉する気などなく、見せかけだけだった」

「22年2月初め、ロシアのウクライナ侵攻を確信した。ベラルーシでロシア軍がかつてない規模に増強されたからだ。侵攻が起きると確信しているのに展開が読めず、恐怖を感じた。国連安全保障理事会の常任理事国による征服戦争。歴史の転換点だ」

――なぜロシアのプーチン大統領を抑止できなかったのですか。

「プーチン氏はいわゆる『特別軍事作戦』の目的を数週間か数カ月で達成できると信じ込んでいた。実際は戦場で挫折し、22年9月に部分動員を発令する修正を迫られたが、ウクライナの『非ナチス化』と『非軍事化』、つまりゼレンスキー政権を排除し、ウクライナ国民を服従させるという目標は変えていない」

「多くの人がロシアによる侵攻を『非合理的』と感じたが、プーチン氏の視点から見ることが大事だ。彼はソ連崩壊を共産主義の終わりではなく、ロシアの分離とみる。その世界観ではウクライナを屈服させることが合理的で犠牲を払う価値がある」

――戦争はいつまで続くとみますか。

「プーチン氏の時間軸は長い。24年のロシア大統領選のためといった話ではない。彼は絶対に達成できないと身にしみるまで目標を諦めず、25年、26年になろうと西側を出し抜き、ウクライナを消耗させられると考えている。ロシア上層部は『第2次大戦と比べれば、今の犠牲など微々たるもの』と話しているという」

――プーチン氏が本気で停戦交渉に応じることはないと。

「装備を整えて戦争を続けるために一時停戦に応じることはあっても、(北緯38度線の軍事境界線で休戦した)朝鮮戦争のような『恒久的な停戦』はありえない。 停戦しても数週間から数カ月の一時的なもので、ウクライナへの脅威は続くだろう」

――中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が今春にもロシアを訪問する可能性があります。

「中ロは両国の友好は無制限としたが、習氏はその限界に言及した。核の脅威についてだ。ロシアが中国への依存を強めても日米同盟のような一体の関係とは異なる。ロシアの指導者たちの本音は『求める支援を中国からすべて得られているわけではない』だろう。習氏は非常に注意深く一線を画している」

――米中の対話が重要になる局面で、中国偵察気球問題を受けてブリンケン米国務長官は訪中を延期しました。

「1960年、ソ連は領空を飛行していた米偵察機U2を撃墜した。米ソ首脳会談が中止になり、その後のキューバ危機につながった。今回の事件も『気球事件』として記憶されるだろう。習体制下の中国と中国共産党の攻撃性への懸念を象徴するものだ」

――日本がウクライナから学ぶべき教訓は。

「日本の近隣には中国という巨人に加え、北朝鮮もロシアもいる。米国や日本に加え、アジアだけでなく世界の民主主義諸国が太平洋の安全保障に注力し、自由や民主主義という価値を共有しない国々からの脅威に対して団結することが大切だ」

(ワシントン支局長 大越匡洋)

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説 「彼はソ連崩壊を共産主義の終わりではなく、ロシアの分離とみる」「プーチン氏の時間軸は長い」「装備を整えて戦争を続けるために一時停戦に応じることはあっても、朝鮮戦争のような『恒久的な停戦』はありえない」など、サリバン氏の一言一言が重い。

そうした世界観やタイムフレームを抱いている核保有国の指導者が引き起こした戦争は、どのようにすれば終わりに持っていけるのだろうか。

ウクライナが勝利すれば、と言う人もいるが、本欄で筆者が何度かコメントしてきたように、ロシアは負けそうになると、ウクライナに対して核兵器を使用する恐れがある。NATOとの全面戦争も辞さないだろう。勝者不在の戦争が長く続くしかないのだろうか。
2023年2月9日 14:06いいね
49 』

米下院、中国偵察気球の非難決議を可決 超党派で

米下院、中国偵察気球の非難決議を可決 超党派で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN09E4F0Z00C23A2000000/

『【ワシントン=中村亮】米議会下院は9日、中国の偵察気球が米本土に飛来したことを非難する決議を全会一致で可決した。「中国が傲慢に米国の主権を侵害した」と断じた。与野党対立が深まるなかでも、対中国政策を超党派で推進する立場をアピールした。

賛成は419票で、反対は出なかった。決議は中国が情報収集活動に関する虚偽の主張をして国際社会を欺いていると糾弾した。気球を含めて「上空からの外国の偵察を防ぐため迅速かつ断固として行動することが米国の政策であるべきだ」と明記した。

気球を含めた過去の領空侵犯の事案に加え、中国が偵察気球で収集した可能性のある情報について説明するようバイデン政権に求めた。最近の気球飛来への対応をめぐり、米軍がバイデン大統領に伝えた助言やそのタイミングの詳細を開示するよう訴えた。気球をめぐる米中外交当局のやり取りに関しても説明を要請した。

与野党は財政や社会保障、移民政策などをめぐり激しく対立しているが、対中国政策では協力姿勢を示した。野党・共和党にはバイデン氏が中国に弱腰だとの見方が根強いが、決議ではバイデン氏を直接批判する文言を盛り込まなかった。

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・中国気球40カ国超で 米国「通信傍受用のアンテナ搭載」
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中国気球40カ国超で 米国「通信傍受用のアンテナ搭載」

中国気球40カ国超で 米国「通信傍受用のアンテナ搭載」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN09DA60Z00C23A2000000/

『【ワシントン=坂口幸裕】米国務省は9日、中国がこれまで40カ国以上の領空に偵察気球を飛来させているとの分析を明らかにした。米軍が4日に米領空で撃墜した気球の解析を踏まえ、傍受する機器を備え「情報収集活動が可能だった」と結論づけた。関与した中国人民解放軍と取引のある団体への対抗措置を検討する。

【関連記事】米下院、中国偵察気球の非難決議を可決 超党派で

国務省高官は9日、気球に通信傍受や位置情報の特定ができるアンテナと電力を生成する太陽光パネルが搭載されていたと指摘。「装備が偵察用なのは明らかだ」と述べ、「民間の気象研究用」とする中国の主張を否定した。偵察活動は中国人民解放軍の指示でなされるケースが多いとも語った。

米軍がアリューシャン列島付近の米領空に気球が侵入したのを最初に確認したのは1月28日だった。米アラスカ州を横断して同30日にカナダ領空を通過後、同31日に西部アイダホ州の上空で再び米領空に入った。

その後、飛行したモンタナ州には大陸間弾道ミサイル(ICBM)を運用するマルムストロム米空軍基地がある。4日に撃ち落とした偵察気球は南部サウスカロライナ州の沖合6マイル(約10キロメートル)ほどの米領海に落下した。残骸を回収し、中国の偵察能力と意図を分析する方針だ。

国務省高官は気球が米領空を飛行中も機密を保護したと強調。「中国による主権侵害を容認できないという明確なメッセージを中国に送った」と訴えた。気球の飛来を受けてブリンケン米国務長官は2月上旬に計画していた訪中を延期した。

気球を製造したのは人民解放軍の公認取引先だと明言した。「米領空への侵入を支えた中国共産党と関係がある団体への措置を検討する」とも語った。団体名は明かさなかったものの、ウェブサイトで公開している飛行映像が米領空を飛行した気球に酷似しているという。

米政府は中国の偵察気球に関する情報を同盟・有志国などに共有した。米メディアによると、中国は過去に偵察気球を使って日本やインド、ベトナム、フィリピン、台湾などの軍事関連の情報を集めていた。

国務省高官は9日、米国や同盟・有志国の安全保障に脅威をもたらす中国の大規模な偵察活動を公表し、対処する取り組みを強化すると説明した。

【関連記事】

・米国、中国気球の情報共有開始 国務長官「数十カ国と」
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・米国、気球分析で「中国の能力と意図明確に」 返却否定

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益尾知佐子
九州大学大学院比較社会文化研究院 教授
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別の視点

ひとつ恨み言を申し上げてよろしいでしょうか。

今回の気球は、中国が進める国土空間長期計画の一部とみられます。中国が新型インフラとして、宇宙・空・陸・海(深海含む)を結びつけた情報収集ネットワークを構築中ということは、私も過去数年、あちこちでご報告し、日本が安全保障を考えるなら国としてもっと組織的に情報分析すべきだと主張してきました。しかし、誰も真剣に取り合ってくれませんでした。

米国の報道を見ると、やはりまずは中国の公開情報から読み解きを進めているようです。
日本はこうしたことすらやっていません。中国に懸念があるのなら、そろそろ自分の身の処し方を考え直す時です。組織的に中国分析を行ってください。
2023年2月10日 9:39 (2023年2月10日 9:40更新)

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バイデン政権

アメリカの「バイデン政権」に関する最新ニュースを紹介します。その他、日米関係や米中対立、安全保障問題なども詳しく伝えます。

米国防総省高官、中国の台湾侵攻「阻止できる」(8:01)
米議会 』

米国、北朝鮮の核実験警戒 高官「3月の全人代前も」

米国、北朝鮮の核実験警戒 高官「3月の全人代前も」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN098XR0Z00C23A2000000/

『【ワシントン=中村亮】バイデン米政権は9日、北朝鮮が新たなに公開した新型ミサイルに懸念を示した。中国で3月上旬に開く全国人民代表大会(全人代)の前に北朝鮮が核実験に踏み切るシナリオを排除せず、さらなる挑発に警戒を強めている。

米国務省のプライス報道官は9日の記者会見で北朝鮮が実施した8日夜の軍事パレードについて「北朝鮮の宣伝活動だ」と断じた。軍事力を誇示する北朝鮮を批判するものだ。国防総省の報道…

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『国防総省の報道担当者は声明で「韓国や日本の防衛への我々の関与は揺るぎないものだ」と重ねて表明し、北朝鮮に警戒を緩めない立場を強調した。

朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は軍事パレードで片側9輪の発射台に搭載した未公開のミサイルの写真を掲載した。固定燃料を使う新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の可能性がある。

固定燃料型は燃料を積んだまま隠しておき、迅速に発射できるため米本土に対して奇襲攻撃をしやすくなる。既存のICBMは発射前に燃料を注入するため、米国から探知されやすい。

米国はミサイル技術開発の進展を警戒する。北朝鮮は2022年の1年間に過去最多の60発を超える弾道ミサイルを発射した。

米国防当局高官は日本経済新聞の取材で北朝鮮の狙いに関し、日米韓に不満を示すメッセージに加えて「研究開発が目的の大部分を占めた」と分析した。

さらなる挑発に身構える。同高官は3月5日に始まる中国の国会に相当する全人代より前に北朝鮮が核実験を実行する可能性について「過去数年であれば『それはない』と言ったが、22年の活動の範囲やミサイル発射の回数を踏まえると現状は極めて予測できない環境だ」と指摘。全人代前の核実験がありえるとの認識を示した。

中国が重要な政治イベントを控えると北朝鮮は挑発行為を控えるのが一般的で、核実験をすれば異例だ。今年は全人代で首相が李克強(リー・クォーチャン)氏から、22年10月に中国共産党の最高指導部に入った李強氏に交代するとみられている。バイデン政権は北朝鮮がいつでも核実験を実施する準備が整っていると公言してきた。

バイデン米大統領は22年11月、インドネシアで開いた中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席との会談で、北朝鮮に核実験をすべきでないと明確に伝えるよう求めた。米国防当局高官は「中国は確かにいくらかの影響力を持つが、その程度はかなり判断が難しい」と話した。中国の協力を得ても効果は不透明だとみている。

米外交問題評議会のスコット・シュナイダー上級研究員は「当面は北朝鮮が公表済みの意図に沿って戦力を実験して配備していく」と指摘。北朝鮮を挑発から対話に向かわせるため「日米韓は抑止力を強化して北朝鮮の戦力を無力化する措置を追求する必要がある」と話した。

米韓は2月上旬に米軍の戦略爆撃機「B1B」が参加する共同訓練を黄海の上空で実施した。オースティン米国防長官は1月末、ソウルで韓国の李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防相と会談し、春に実施する定例の合同軍事演習で5年ぶりに野外訓練を再開すると合意した。

米国務省は8日、日米韓の外務次官が米首都ワシントンで会談すると発表した。声明で「3カ国の安全保障協力を向上させるための計画を話し合う」と強調した。会談は22年10月に都内で開いて以来となり、北朝鮮への対処が主要議題になる。 』

米政府、中国の経済圧力に対抗措置 法整備へ議会と協力

米政府、中国の経済圧力に対抗措置 法整備へ議会と協力
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN100G80Q3A210C2000000/

『【ワシントン=飛田臨太郎】バイデン米政権は9日、議会と協力し、中国による経済的な威圧行為に対抗するための法整備を進めると明らかにした。シャーマン国務副長官が上院外交委員会の公聴会で言及した。主要7カ国(G7)が一致して取り組むとも表明した。

中国は巨大な経済力を利用し、威圧する動きを強めている。新型コロナウイルス問題で関係が悪化したオーストラリアに関税を引き上げ、台湾と関係を強化したリトアニアに輸入制限をかけた。シャーマン氏は「豪州やリトアニアなどの状況から多くを学んだ」と説明した。

上院外交委は中国が経済的な圧力をかけた場合に対抗措置を導入する法案を検討している。シャーマン氏は「我々は非常に緊密に連絡を取り合いながら、法案に取り組んでいる」と述べた。「岸田文雄首相がG7議長国として、この問題に優先的に取り組むことを評価する」と語った。

米議会下院は野党・共和党が多数派を握る。上下両院で多数派が異なる「ねじれ議会」にあるものの、対中強硬路線は双方の意見が合いやすい。米政府は議会の動きに歩調を合わせ、省庁横断の組織で経済的威圧への対抗策をまとめる。日本や欧州連合(EU)などの同盟国・地域と協議しながら戦略を練る。

経済的威圧には各国で協力して対峙するのが有効だ。中国の巨大な経済力に1カ国では太刀打ちできなくても、多国間連携の枠組みがあれば対応しやすい。G7が共同で取り組む措置を決めれば、中国への抑止力になる。

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バイデン政権』

米議会、日米韓で経済版2プラス2創設を 中国対抗へ協力

米議会、日米韓で経済版2プラス2創設を 中国対抗へ協力
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1007B0Q3A210C2000000/

『【ワシントン=坂口幸裕】米連邦議会の上院外交委員会は9日に公表した報告書で、日本、米国、韓国が経済安全保障問題を話し合う外務・経済閣僚協議「経済版2プラス2」の創設を検討すべきだと提起した。サプライチェーン(供給網)強化などを念頭に、3カ国が協力して中国に対抗すべきだとの認識がある。

インド太平洋地域に関する報告書は上院で多数派を握る与党・民主党がまとめた。メネンデス上院外交委員長は9日の公聴会で「インド太平洋の政権ビジョンを実現するために何が必要かをまとめた。中国の課題は世界のあらゆる地域に影響を与えるため、より効率的に予算を投じる必要がある」と述べた。

報告書では2022年7月に初会合を開いた既存の日米の枠組みに韓国が参加するか、特定の課題を話し合う形式の会合を設けるよう促した。「米国、日本、韓国の3カ国連携を有意義で弾力的にする方法を模索する」と強調した。「協力拡大の可能性は北朝鮮にとどまらず、より広いインド太平洋地域におよぶ」と記した。

対中国を念頭に置く日米の経済版2プラス2では人権やインフラ投資に関する秩序づくりを重視する。半導体や電池、重要鉱物のサプライチェーンの強化、監視システムなど新興技術の輸出管理で連携する。

国務省には対中国への抑止力を高めるため、台湾への安全保障支援の予算を大幅に増やすべきだと求めた。米国が主導する新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を巡っては「将来的に台湾が加わる可能性を排除してはならない」と指摘した。日本を含む14カ国が参加するIPEFに台湾は入らなかった。

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バイデン政権』

米国防総省高官、中国の台湾侵攻「阻止できる」

米国防総省高官、中国の台湾侵攻「阻止できる」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN100HM0Q3A210C2000000/

『【ワシントン=坂口幸裕】ラトナー米国防次官補(インド太平洋安全保障担当)は9日の米連邦議会の上院外交委員会で「中国が台湾に大規模な侵略をせずに、今後10年を終えることは可能だ」と述べた。中国抑止へ「同盟国やパートナーと協力し続ける」と述べた。

米空軍高官が内部メモで台湾有事は2025年に起こると予測して準備を急ぐよう指示したことが1月下旬に明らかになった。ラトナー氏は「国防総省は台湾への侵攻が差し迫っているとも不可避だとも考えていない」とも話した。

シャーマン米国務副長官は同委員会で「台湾が十分な自衛能力を維持できるよう支援を続けていく」と明言。「台湾の防衛と抑止のためにどの装備品が必要か理解するため、台湾との意思疎通を重視している」と述べた。

中国について「国際秩序を再構築しようとする意図と手段を持つ唯一の競争相手だ。南シナ海での中国の挑発行為、人権侵害、経済的威圧、台湾への威嚇行動などで証明されている」と話した。「中国は国内でより抑圧的になり、海外ではより攻撃的になった」と訴えた。

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バイデン政権 』