ロシアがウクライナ東部に数万人派遣か 15日以降の攻撃に向けた準備とルハンスク州知事
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『ウクライナ東部ルハンスク州のセルヒィ・ハイダイ知事は7日、ロシアが15日以降に計画しているとされる攻撃の一環として、数万人のロシア人をウクライナ東部に派遣していると指摘した。
ロシア軍が3方向からの前進を計画していると予測しているハイダイ知事は、「我々の側に向かって、さらに多くの予備軍が配備されていることを確認している」と述べた。
ウクライナはロシアの新たな大攻勢が迫っていると、繰り返し警告している。
しかし、ロシアが大きな成功を収めることに懐疑的な見方が広まっている。
英国防省の報告によると、ロシアの狙いはほぼ間違いなく、ウクライナ東部ドネツク州で占領できていない地域を手に入れることだという。
ただ、「ロシアが今後数週間のうちに、戦局に実質的な影響を与えるのに必要な戦力を増強できる可能性は依然として低い」としている。
ドネツク州の戦況は
ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は、ここ数週間でウクライナの7つの町が「解放」され、ドネツク州のバフムートとヴフレダルで作戦が「成功裏に」進行していると述べた。
開戦前は人口約7万人だったバフムートをめぐっては、6カ月前からロシアの雇い兵が占領を試みてきた。雇い兵は現在、ロシア正規軍に加わっている。
ウクライナ軍のデニス・ヤロスラウスキー司令官によると、バフムートに残っている民間人はわずか2000人。ロシア軍は街の東部と北部の一部を占領し、前進を続けている。
ロシアの民間雇い兵組織「ワグネル・グループ」の創設者エフゲニー・プリゴジン氏は5日、ウクライナ軍は市内のどこからも撤退しておらず、あらゆる通りや住宅、階段の吹き抜けで激しい戦闘が繰り広げられていると述べた。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は6日夜、バフムートを囲しようとするロシアの試みに、ウクライナ軍は細心の注意を払っていると述べた。「我々は彼らに対抗している」。
ゼレンスキー氏は、国境や前線地域には、現在のロシア軍の脅威に対して「自身の能力を発揮できる」軍務経験のある指導者が投入されていると発表した。
ウクライナ軍は7日、バフムート上空でロシア軍の戦闘機撃墜したと発表した。これが事実かどうかは独自に検証できていない。
昨年11月に南部の主要都市ヘルソンから撤退して以降、ロシア軍にはほとんど進展がみられていない。先月、激しい戦闘の末にバフムートの北に位置する町ソレダルを制圧した。
東部のウクライナの前線を突破するため、ロシアはこれまでに軍務経験がある予備役約30万人を動員してきた。バフムートを制圧すれば、ロシア軍はより大きな都市のクラマトルスクや スラヴャンスクに向けて前進することが可能になる。
ルハンスク州のハイダイ知事は、ロシアが2カ月間にわたる訓練を終えた予備役を新たな攻勢に向けて前線に移すのには10日ほど必要だと指摘。ロシア軍がルハンスク州ではビロホリウカ、クレミンナ、スヴァトヴェの3つの町を標的にしていることを示唆した。
ゼレンスキー大統領は、予想されるロシアの攻勢を撃退するためにウクライナに早急に重火器を送るよう西側諸国に訴えた。アメリカは3日、ウクライナの攻撃範囲を倍増させる長距離ロケット弾を供与すると発表した。
ロシアのショイグ国防相は、西側諸国による重火器の供与は北大西洋条約機構(NATO)加盟国を紛争に引きずり込み、「予測できないレベルのエスカレートにつながる可能性がある」と警告した。
(英語記事 Russians seen reinforcing east ahead of offensive)