バイデン氏「対中競争勝利へ結束を」 一般教書演説
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『【ワシントン=坂口幸裕】バイデン米大統領は7日午後9時(日本時間8日午前11時)、連邦議会の上下両院合同会議で内政・外交方針を示す一般教書演説に臨んだ。 「中国との競争に勝つには我々全員が結束しなければならない」と述べ、与野党が一致して中国に対峙すべきだと促した。政府債務の上限引き上げ問題でも野党・共和党に協力を求めた。
バイデン氏は7日の演説で1月開会の連邦議会下院で過半数を握った野党に対し「…
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『「共和党の友人へ、前議会で協力できて新議会でできない理由はない」と強調した。「戦いのための戦い、権力のための権力、対立のための対立はどこにも行き着かない」と唱えた。
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演説では「米国の魂や根幹となる中間層を立て直し、国を統合するのが目指す国家像だ。我々はその仕事をなし遂げるためにここに送り出された」とも言及した。21年1月6日の連邦議会襲撃事件を念頭に「米国の民主主義は南北戦争以来、最大の脅威に直面した」と指摘しつつ「米国の民主主義は不屈だ」と表明した。
24日でロシアによる侵攻から1年になるウクライナへの支援継続を約束した。共和内に米国経済を優先するためウクライナへの巨額予算を見直すべきだとの意見がある。会場に招いたウクライナのオクサナ・マルカロワ駐米大使に「米国は結束してあなたの国を支援する。我々は必要な限り、あなたとともに立ち向かう」と述べた。
バイデン氏は米国の国益につながるなら中国と協力する意向を示した。一方、米軍が4日に中国の偵察気球を撃墜したことについて「先週明確にしたように、もし中国が米国の主権を脅かせば国家を守るために行動する。我々はそれを実行した」と強調した。
バイデン氏が2021年1月に就任した後の2年間で「民主主義国家は弱くなるどころかより強くなった。独裁国家は弱体化し、強くなっていない」と指摘した。
経済政策では1月から1%の税率で始めた企業の自社株買いへの課税を4倍にする方針を打ち出した。富裕層増税をめざす意向を改めて示した。バイデン氏は「誰も取り残されない経済を築いている」と力説した。インフレ率の低下や堅調な雇用情勢など政権の実績も訴えた。
上下両院の多数派が異なる「ねじれ議会」のもとで初めての一般教書演説になる。下院で過半数を握った共和はバイデン政権の政策を厳しく精査する構えだ。
一般教書演説は米大統領が1年間の内政・外交など政策全般にわたる方針を連邦議会で表明する場になる。予算教書、大統領経済報告と並ぶ「三大教書」のひとつで、国民に政権の成果や政策を直接訴える。大統領就任1年目は「施政方針演説」と呼ばれる。主要テレビ局がそろって生中継する。
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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
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分析・考察 見事なほど、内政に時間を割き、外交が語られない演説でした。来年の大統領選挙の勝敗のカギを握る中間層、特に、一時はトランプ氏に投票した高卒層にターゲットを絞り込んでいます。バイデン外交は「中間層のための外交」が一つの柱となってますが、それは端的にいえば「保護主義」ということになります。「バイ・アメリカン」と「国際貿易のルール」は矛盾しないと強調したり、新しく米国に誘致される(おそらく半導体)工場の求人は大卒者を求めていない、と強調したり、かなり露骨に来年の大統領選挙を意識したものでした。短い外交演説の中で中国に対抗することで超党派で一致をみせていたのも予想はしていましたが印象的でした。
2023年2月8日 15:21いいね
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今村卓
丸紅 執行役員 経済研究所長
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分析・考察 米国の議会では野次は珍しいのですが、昨日のバイデン大統領の一般教書演説は例外でした。一部の共和党議員が何度も野次を飛ばし、たびたび演説が中断しました。といっても、バイデン氏は余裕があり、うまく沈黙をつくって受け流していたようにみえました。バイデン氏の演説での話しぶりや表情と共和党議員の反応をみていると、債務の上限引き上げ問題も今後両者の激しい攻防が続くのではなさそうに思いました。バイデン政権と民主党の方は覚悟と念入りな準備で動かない一方、共和党は指導部が保守強硬派と内部でもめて戦略をまとめ切れず、結果として議論が進まず時間を浪費して期限が迫るという展開になる予感がします。
2023年2月8日 20:09いいね
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前嶋和弘
上智大学総合グローバル学部 教授
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ひとこと解説(記事が演説後のものに差し替えでしたので、演説前に書いていたコメントも演説後のものに全面的に差し替えます)
予想していたよりもかなりマイルドな感じの演説でした。1月6日の議会襲撃の話はありましたが「トランプ」も「MAGA」もなし。間もなく行われるマッカーシー訪台の混乱を考えてか「台湾」もなし。プーチン批判も思ったほどはなかったです。
昨年の演説はロシアの侵略に、一昨年(一般教書演説ではなく「議会演説」)は議会襲撃に、それぞれに向けて猛烈な怒りが込められていました。成果を強調し、国内外の協調路線を前面に出したのかと思いますが、バイデンは元々「感情の人」。演説は作りこまれすぎた感もありました。
2023年2月8日 7:54 (2023年2月8日 18:22更新)
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中空麻奈
BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部 副会長
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ひとこと解説 地政学的リスクの高まりもさることながら、債務上限の引上げの可否は特にねじれ議会となっている今年は気にしておくべきである。1月19日、法定上限に達し、イエレン財務長官は公務員退職基金などへの追加投資停止など、緊急措置を講じたばかり。この措置は6月5日までは有効だが、その後は引上げへの合意が重要となる。これまで通り、おそらくは合意に至ると思われるも、民主党側は少なくとも6月までは切り札に取って置き、他の交渉を進めると考えるのが普通だとすれば、成り行きには不透明感も残る。また、そもそも法定債務上限という債務増加に歯止めをかけるツールがツールになっていないのではないか、との懸念もある。
2023年2月8日 8:44 』