ロシアのエネルギー収入大きく落ち込む。一方、歳出が急増

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:ロシアのエネルギー収入大きく落ち込む。一方、歳出が急増
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『ロシア財務省が2023年2月6 日に発表した1月の財政収支(速報値)は、赤字額が1兆7600億ルーブル(247億8000万ドル:約3兆3千億円)に拡大した。エネルギー収入が落ち込む一方、歳出が急増した。

1月の石油・ガス収入は前年比46.4%減の4260億ルーブル(7904億円)だった。石油・ガス以外の収入は28%減の9810億ルーブル(約1兆8226億円)だった。付加価値税と所得税の税収が減少した。

1月は歳入が35.1%減少する一方で、歳出は58.7%増の3兆1200億ルーブルに達し、通年の歳出計画の10%を超えた。露政府は予算の多くを石油・ガス収入に頼っている。昨2022年の石油・ガス収入は11兆6000億ルーブル(約1619億ドル、約21兆7000億円)だった。

ウクライナ戦争に伴い歳出が拡大する中、赤字補填のために外貨準備の売却を余儀なくされている。(円換算は、2023年2月7日レートで筆者計算 正確ではないので参考程度に見てください 1ルーブルは1.85円)参照記事 

中露は、すでに合意済みの経済・貿易分野での協力拡大や深化を、対露制裁とは関係なく進め、制裁前にロシアが欧州へ優先的に供給してきた物資は、中国やインド向けに振り替わっており、2021年に約1470億ドル(約18兆円)だった中露貿易の総額は、厳しいとみられていた24年までに2000億ドルへ拡大する目標を容易に実現するだろう。中露の経済・貿易協力の前途は明るいとの見方も在り、今後は人民元とルーブル決済が確実に拡大するだろうと言われている。参照記事  
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ウクライナへの軍事侵攻開始後、ロシアは貿易統計を国家機密扱いとし、一切公表しなくなった。したがって、露中貿易の動向を知るには、中国側の統計を紐解くしかない。左表を参考に見れば、開戦時に落ち込んだものの、確実に中国の対露貿易は急増している。参照記事 

ロシアがウクライナ侵攻を開始すると、米国はすぐにロシアからの石油輸入を禁止し、欧州もロシア石油からの脱却を打ち出した。行き場を失った石油のはけ口となったのが、インド市場と並んで、中国市場であった。

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中国も一時、国営石油大手が制裁を食らうのを恐れ、ロシアからの石油購入を見合わせたが、しばらくすると、対応を変えた。ロシアのウラル原油は国際価格から1バレル当たり30ドルほどもディスカウントされて売られるようになり、中国としても価格の安さに抗(あらが)えなかった。

結局、2022年通年では、中国によるロシア産原油の輸入は8625万トンに上り(日量172万バレルに相当)、前年から8%拡大、輸入先として首位のサウジアラビアの8749万トン(日量175万バレル)に次いで、ロシアは僅差の2位となった。

ロシアから中国向けには、2019年12月に天然ガスパイプライン「シベリアの力」が稼働し、ロシアの対中輸出量は、2022年に155億立法メートルとなり、ロシアのパイプラインガス輸出全体の15%ほどを占めるまでになっている。このほか、2022年にはロシアから中国への石炭および液化天然ガス(LNG)の輸出も顕著に拡大した。過去ブログ:2023年2月ロシア天然ガス独り占めの中国の大国化に世界は警戒 
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しかし、2022年の露中貿易の拡大は、国際石油価格が高騰する中で、中国が割安になったロシア産原油、ガスを積極的に買い増したという要因にほぼ尽きると言ってよく、中国はプーチン・ロシアに救いの手を差し伸べているわけではなく、経済協力を進めるにしても、自国にとっての利益を最優先しているだけだ。

今後、頼みの中国が積極的に支えてくれない場合、ロシア経済が中長期的に衰退に向かうことは、やはり不可避であろう。

ただし、もしも近いうちに中国が台湾に軍事侵攻するような事態となれば、話は20221230BTRRS2まったく違ってくる。

その場合、中国はロシアとのより強固な同盟関係を構築するはずなので、経済面で相互補完性の強い中露が支え合って、ロシアが息を吹き返す可能性が出てくる。

そうさせないために米国は、ロシアのアキレス腱になりつつある中国に硬軟混ぜて揺さぶりをかけるだろう。

つまり、ロシアをウクライナで優位にさせないことは、回りまわって中国の勢いに水を差し、日本、アジアの安定に大いに関係してくる事になるだろう。

逆の流れで、中国の不安定化、経済進出の包囲もまた、別のならず者の算段を大いに狂わせる結果に繋がるだろう。ならず者は3人居る。ペテン師と国際貨物の運送屋(副業で風船売り)と花火師である。 参照記事 過去ブログ:2023年2月ロシア天然ガス独り占めの中国の大国化に世界は警戒 』