ウクライナ軍はもっか、戦車を「野砲」のように運用している

ウクライナ軍はもっか、戦車を「野砲」のように運用している
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『※ここで読者は「常識」というものを働かせて欲しい。

ウクライナ軍はもっか、戦車を「野砲」のように運用している。敵の姿が見えない遠距離(数km)から、間接照準射撃を加えているだけなのだ。戦車砲には大きな仰角がかけられないから、地面へのインパクト角も浅い。爆発で生じた破片は、ほとんどが下の地面にめりこむか空中高く吹き上げられておしまいである。こんな火力発揮をさせるためだけに、高額な戦車を動かし、軽油を消費しているわけ。トータルするとこれはたいへんな「人と資源と機会と時間の無駄」、否「浪費」なのだ。

それに対して迫撃砲は、同じ口径であれば戦車砲よりも遠くに飛び、しかも弾丸の落角はほぼ垂直なので、破片は着弾点から四方八方へまんべんなく、水平に飛散して敵兵を殺傷し、物資・車両を着実に損壊する。弾丸を製造し、輸送し、発射するプロセスを通しての資源の実用効率、コストパフォーマンスが、桁違いに佳良なのである。

「レオパルト1」の105mm砲から発射する榴弾(最大射程3km)よりも、古い「107mm迫撃砲」から発射する迫撃砲弾の砲が、10倍は敵にとってのダメージを与えられると信じられる。おそらくは81㎜迫撃砲でも、105mm戦車砲の榴弾砲撃にひけはとらないだろう。つるべ撃ちをすれば弾量は遜色が無い。値段は迫撃砲の砲が「数十分の一」で済む。同じ比較は、現在の主流重迫たる120ミリ迫撃砲と、「レオ2」の120ミリ戦車砲(滑腔)から榴弾を発射した場合についても成り立つだろう。

各国陸軍が現有している120ミリ重迫をかきあつめるのは簡単ではないだろうと想像される。しかし、各国陸軍が使わなくなった107mm中迫をあつめることはむずかしくないはずだ。第三世界にもゴロゴロしているはずだ。

中迫や軽迫は、商用のトラックでも迅速に移動させることができる。ドローン観測と連動させれば、精密なヒット&ランもできる。その訓練は、戦車兵訓練とは比較にならず、早く可能である。

じっさい、ウクライナ軍はそのメソッドを自力で開発できているのだ。大量の中迫が宇軍陣内に展開すれば、露兵は全線でタジタジとなる。そこでほころびが見えた箇所に、手持ちのAFVを固めて突入させれば突破口が開ける。そこから両翼包囲にも移れる。

だがそれにはまず前段階として中迫の数で全線で露軍を圧倒する必要がある。それは、今の西側ならばじゅうぶんに可能なのだ。なのに、それを考えていない。

どうも今のNATO上層には、兵站と効率の計算から「決勝援助戦略」を組み立てられるプロが不在なのではないかという印象を受けてしまう。』