ロシアの原油の欧州における最良のバイヤーは、ブルガリアである。

ロシアの原油の欧州における最良のバイヤーは、ブルガリアである。
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『Margarita Assenova 記者による2023-2-2記事「Bulgaria: Russian Oil and Perpetual Elections」。

   ロシアの原油の欧州における最良のバイヤーは、ブルガリアである。全世界でも、支那、インドに次ぐ量を買っている。すなわちトルコよりも多い。

 黒海の港「ブルガス」には、ロシア原油を精製する石油プラント。これを所有するのはロシア企業の「ルコイル」である。原油タンカーはノボロシスクからやってくる。処理能力は19万6000バレル/日。

 ブルガリアには選択肢は他にもあるのに、ロシアの工作員にすっかりやられていて、政府が動けない。
 すなわち、カザフスタン原油をカスピ海パイプラインでノボロシスクで積み取ることは可能なのである。同じくジョージア原油をスプサ港で積み取ることも。

 ようやく1月、暫定ブルガリア政権は、ギリシャとの間で、げんざい機能していない「ブルガス~アレクサンドロポリス」原油パイプラインの再建について相談する覚書を交わした。このパイプラインを使えばブルガリアは、トルコ海峡を迂回してギリシャ経由で原油を輸入できるようになる。

 その場合でも、露企業保有の精油所は問題だ。ドイツ政府はすでに、ロシアのロスネフト社がドイツ領内で保有していた精油プラントをドイツ政府の管轄下に置いた。それと同様の措置をブルガリア政府も早く取ることが西欧諸国から期待されている。

 しかしブルガリア国会内にロシアが操縦するロビイスト議員が多数混じっているため、話は前に進まぬ。

 ブルガリアは2022年のなかば、いちど、ロシア産の天然ガスの代金をルーブルで支払うことを拒否。そしたらプーチンがガスを止め、結果、内閣が崩壊してしまった。ポーランドは、同じ目に遭っても乗り切れているのだが、ブルガリアの政権は4党連立なので、外から揺さぶられると、はなはだ脆い。

 アゼルバイジャンおよび米国からガスを調達しようとした内閣は、ガスプロムの手先の国内企業によって倒壊させられた。

 また、ウクライナに、迂回的に武器と弾薬を提供しようとした内閣も、親露派の議員たちによって、やはり倒された。
 このように、めまぐるしく短命内閣が入れ替わってしまう。ブルガリアでは。

 現在、ロシアからの妨害にもかかわらず、ロシア原油を精製したガソリン、軽油(diesel oil)、エンジン潤滑油(motor oil)が、ブルガリアからウクライナへ有償で輸出されている。その額はブルガリア経済の1%を占める大きさ。
 ということはロシアは、「プライスキャップ」に加わる国へは原油は売らぬ、とイキリながら、淡々と、プライスキャップに加わっているブルガリアへ原油を届け続けているわけだ。

 とはいえ、ウクライナ軍の車両が、元をたどるとロシア原油を精製したブルガリア軽油だとプー之介が知ったら、どうなるだろうか。それは誰も知らない。』