トルコがアルタイに韓国製変速機を採用、韓国製パワーパックで生産開始

トルコがアルタイに韓国製変速機を採用、韓国製パワーパックで生産開始
https://grandfleet.info/european-region/turkey-adopts-south-korean-transmission-for-altai-starts-production-with-south-korean-power-pack/#comment_headline

『韓国のSNT Dynamics社は「トルコの主力戦車アルタイに変速機を供給する契約を締結した」と発表、当該戦車を製造するBMC社は「2023年5月に2輌のアルタイを引き渡す予定で、初期ロットの100輌は月8輌のペースで生産する」と述べている。

参考:Turkey picks South Korean transmission for Altay tank
トルコ側はフィールドテストを通じて「韓国製パワーパックがアルタイ開発時に使用したドイツ製パワーパックを完璧に代替できる」と確認したらしい

トルコの主力戦車「アルタイ」は当初、ドイツからパワーパックを輸入して使用する予定だったのだがシリア内戦への関与を問題視され入手が困難になり、日本に戦車用エンジンの共同開発を打診するも輸出条件(トルコは自由に輸出する権利を日本は事前同意を主張)で折り合いがつかず、韓国企業が開発したK2向けパワーパックの輸入を打診するも話がまとまらなかったため国産パワーパックの開発して搭載する方針を固めたと報じられていた。

#GüneyKore savunma sanayiinde önemli bir ortağımız. Savunma Tedarik Programından (DAPA) sorumlu Bakan Kang Eun-ho, Altay Tankı motoru tedarikine ilişkin niyet beyanını bugün imzaladığını söyledi. Proje bağlamında önemli bir adım.🇹🇷🇰🇷 pic.twitter.com/CNJ8qY8Eii

— Mevlüt Çavuşoğlu (@MevlutCavusoglu) October 22, 2021

しかし2021年に韓国企業との交渉がまとまり、アルタイを製造するBMC社は「韓国企業のHyundai Doosan社(現代斗山)やSNT Dynamics社(S&T重工業)とエンジン及び変速機供給に関する契約を結んだ」と明かし、韓国製パワーパックを搭載したアルタイのフィールドテストを実施していたのだが、SNT Dynamics社は「現地の険しい地形で1日200kmもの走行を完了するなど過酷なフィールドテストをパスして変速機供給に関する契約を締結した」と発表。

BMC社が予定しているアルタイの生産は初期型のT1と発展型のT2に分かれており、250輌の生産が予定されているアルタイT1の初期ロットの100輌には韓国製パワーパック(DV27KとEST15Kの組み合わせ)が搭載され、アルタイT2には国産エンジンの採用が予定されている。

出典:SNT Dynamics EST15K

アルタイT1の残り150輌分やアルタイT2の変速機をどうするのかは明かされていないが、BMC社とSNT Dynamics社との契約はオプション行使を含めると2030年までの変速機供給をカバーしているため、恐らくアルタイT1とT2の変速機を全て韓国から入手するつもりなのかもしれない。

因みにトルコはアルタイT1とT2を最終的に計1,000輌調達する予定で、その後に無人砲塔を採用したT3(計画段階)の生産を計画しており、コロンビア、サウジアラビア、カタールなどの国がアルタイに関心を示している。

出典:CeeGee/CC BY-SA 4.0 AltayT1

追記:トルコ側はフィールドテストを通じて「韓国製パワーパックがアルタイ開発時に使用したドイツ製パワーパックを完璧に代替できる」と確認したらしい。

関連記事:トルコ、主力戦車「アルタイ」へのパワーパック供給で韓国と合意
関連記事:トルコ外相、韓国の防衛事業庁と主力戦車「アルタイ」へのエンジン供給契約を締結

※アイキャッチ画像の出典:トルコ国防省
シェアする
ツイートする
Twitter で Follow grandfleet_info

Tweet Share +1 Hatena Pocket RSS feedly Pin it 

投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 27  』

『774rr
2023年 2月 04日

返信 引用 

韓国国内の問題で?不必要なまでに信頼性が高まってるらしいので
採用出来たトルコは嬉しいでしょうね

韓国製パワーパックがアルタイ開発時に使用したドイツ製パワーパックを完璧に代替できる
トルコはレオパルド2を採用してるし 本当なんだろうなぁ
14

    大同特殊鋼元社員
    2023年 2月 04日
    返信 引用 

重機の核心的性能を示すものは、トランスミッション変速機歯車の歯先の耐久性であり、歯車を形作る特殊鋼の製鉄技術。
日本は韓国へ製鉄所の建設運営協力を行い、ポスコなどの企業は定年退職した日本人製鉄技術者を高給で再雇用し、さらに日本の商社を通じて日本の製鉄メーカーより安価で売る条件の見返りとして技術情報を入手しています。
現在訴訟中の日本製鉄と三井物産、トヨタ裁判だけでなく、表沙汰にならない証拠不十分で起訴までたどり着けない事例があります。
韓国が戦車用変速機を国内生産できるようになったことに驚きはありません。
日本こそ製鉄企業の売上減少による研究開発費等の減少によって、技術の陳腐化や製造設備の更新が難しくなっている現実を心配すべきだと思います。
残念ですが、シアン流出事件は企業体力が落ち余裕が失くなった証です。
35 』

『AH-X
2023年 2月 04日

返信 引用 

やりようによっては日本が得られた市場なのに残念だったとしか言いようがない。ここで変速機やパワーパック売り込みに成功してたら10式も開発した意義がもう少しあったと思うんですがね。
日本人は交渉とかに関して「引き際が肝心」とかいう考えするけど今回の件見てると果たしてどうなのか?
韓国には「10回斧を入れて倒れない木はない」って言葉がありますがこういう韓国人の交渉に関する忍耐強さは日本企業も少し見習ってもいいのでは?
18

    hiroさん
    2023年 2月 04日
    返信 引用 

企業の問題というより日本政府の方針じゃないかな?
46
        引退した元酸味
        2023年 2月 04日
        返信 引用 

    武器関連品を輸出する担当者の身柄保護を政府が保証する能力とやる気が無いのは問題だなと現役時代に感じていました。
    顔と名前さらには勤務地と所属を交渉の場で晒す危険があるにも関わらず、危険に見合った保護を受けられない。
    日本国内にいても安倍元総理大臣のように暗殺対象者になってしまえば殺されてしまう。
    まずは、不安を取り除くために身辺警護や保護体制から改善すべきと思います。
    日本は交渉の以前に環境が整っていない。
    30
            A
            2023年 2月 05日
            返信 引用 

        取り越し苦労が度を過ぎているように思います
        防衛装備関連の輸出では
        ・問題を起こすと国内、国外で反響が大きい
        ・外為法により経産省の許可が必要
        という状況があるわけで、企業側も慎重に臨むはずです
        従って
        1.まず輸出先の身元確認をしっかり取れない限り交渉はスタートすらしないでしょう
        2.何の為に交渉担当者に危害を加えるのでしょうか?
        脅迫のためですか?それなら担当者の一存でコトが動くような企業はないですよ、普通は法務含めた社内の関係箇所、場合によってはそれに加えて経営トップの了解が必要になります
        1
                higashi
                2023年 2月 05日
                返信 引用 

            ご指摘されている2項目について、実体験に基づいて表現してみます。参考にしてください。
             第1.輸出先企業ないし組織の身元確認が取れない限り交渉はスタートすらしない。
             
            これは正規の商取引で企業から購入しようと意思のある組織であることが条件になります。
            非合法に取得する意図がある集団が存在することを思い出していただきたいのです。
            具体的な事例としてあげるとすれば、不正競争防止法違反ソクトバンク基地局機密漏洩事件です。
            技術情報を欲していて現物が手に入ればなお良いと考えている組織の場合は、交渉の方法と交渉する人間関係が一般商取引とは異なります。言わば脅迫や強要です。
            この場合、そもそも組織同士の表向きの交渉すら必要とはしません。
            国際展示会などの行事で参加企業の担当者の名前、所属部署と業務内容から勤務地から居住地といった個人情報を調べられます。そして、配偶者の有無、子供の有無、負債の有無、趣味嗜好思想信条、弱みを調べ挙げられます。様々な揺さぶりをかけられて、最終的に重要情報を持つ人間や保管サーバーまで芋蔓式に探り出されて盗まれてしまう。
            ご指摘の
            第2の交渉担当者に危害を加えるでしょうか?

            この問いについては交渉担当者によります。
            交渉担当者が技術者である場合に保有する情報の価値が高いと判断されれば、接触工作が起こり得ます。
            交渉担当者がただの文系セールスマンであれば価値がないので、組織構成員の情報収集等に利用されます。
            情報とは些細な事で人から漏れます。
            外為法には重要機密情報の漏洩について罰則規定は有っても機密保有者のプライバシーと生命保護について記述はありませんし、スパイ防止法がありません。
            この状況は、極めて良くないと私は思います。
            日本国内ならまだなんとか有耶無耶にできるでしょうが、海外で機密保持者が拉致失踪した時にどのように対処するのか。かつて日本人石油掘削技師がロンドンで拉致未遂にあいましたが、運良く逃げ切れたから良かったものの、同じような事件が起きることを法律は想定していない事に不備があるのではないでしょうか。
            2

『 ネコ歩き
2023年 2月 04日

返信 引用 

何度も書いててもう気が引けるくらいなんですが、
日本は防衛装備品・技術移転協定を締約した相手国でないと防衛装備品の輸出や国際共同開発はできない政策をとっているんですよ。防衛協力事業は政府間管理が本邦の原則で、企業が勝手に商談等を進めたり応札することはNGです。

トルコとのPPの件は防衛装備移転三原則策定前にトルコからMHIに打診があった話で、具体交渉に入る前に日本政府から待ったが掛かりました。その事情をトルコ政府も了承し交渉を停止したというのが経緯です。
その後日土政府間で協議を行いましたが、恐らく第三国移転関連の条項でトルコ政府の合意を得られず、現在まで締約に至っていません。
22 』


折口
2023年 2月 05日

返信 引用 

第3世代MBTが登場して40年、1500馬力級のエンジンとそれに対応する動力系統の技術も今や一部の先進国の独占領域ではないということですね。逆に、戦車王国の双璧を張っていたはずのロシアがT-14向けの新型エンジン開発に10年間費やしてなお不具合を解消できないなど、軍事技術の地図が書き換わるタイミングに立ち会っているのかもしれないですね。

三菱の水陸両用車研究で派生した3000馬力級パワーパックの例もある通り、小型大馬力のエンジンを作る技術の優位性は今でも死んでないと思いますが、第三世代MBTに使う技術はどんどん拡散していくんでしょう。ロシアにしてもいつまでもT-14を試作戦車にしておくはずもなく、西側の技術も柔軟に取り入れて改良を進めていくでしょう(動力系の不具合や量産問題が解消してしまえば、T-14は大きな脅威になります)。そうなると西側としても悠長に構えていられない訳で、次世代の装甲戦闘車に関する研究が加速していくのかもしれませんね。
6 』

『 hihi
2023年 2月 05日

返信 引用 

以前もコメントしましたが、DV27KはMT-883のパクリかパテントで作ってるんでしょう。両者ともV12で90度バンク、排気量は27000ccでエキゾーストからタービンへの取り回しや配置も同じ、他の補器類の配置もほぼ同じです。これ程露骨にパクるなんて韓国人らしいですね。国産とやらのEST15Kトランスミッションの中身は殆どドイツ製ですよ。
4 』