1月の寒波 上空と海の温度差60度近く 雪雲の発達強まり大雪に

1月の寒波 上空と海の温度差60度近く 雪雲の発達強まり大雪に
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230204/k10013970281000.html

『この冬一番の寒気が流れ込んだ1月の大雪の際、日本海では上空と海面の温度の差が60度近くもあったことが海上の観測でわかりました。研究グループは、比較的暖かい海の上空に、非常に強い寒気が流れ込んだことなどで雪雲の発達が強まったと分析しています。
1月24日から25日にかけて、日本の上空にこの冬一番の非常に強い寒気が流れ込んで各地で大雪となり、JR京都線などが立往生したほか、道路での車の立往生も相次ぎました。
このとき、三重大学などの研究グループは兵庫県沖の日本海に船を出して観測を行い、気球なども使って上空の気温や風向き、海面水温などを調べました。

当時、日本海にはJPCZ=「日本海寒帯気団収束帯」による発達した雪雲が次々と流れ込んでいましたが、▽上空5000メートル付近の気温がマイナス45度だった一方、▽海面水温は14度となっていて温度の差が最大で59度もあったことがわかりました。

周辺では、比較的暖かい水面から蒸発した水蒸気が冷たい空気で冷やされて発生する「蒸気霧」という現象も確認されました。

研究グループは、比較的暖かい海の上空に非常に強い寒気が流れ込んだことで海面から大量の水蒸気が発生して雪雲の発達が強まり、大雪につながったと分析しています。

海面水温が比較的高かったのは、対馬海峡から日本海に流れ込む「対馬暖流」の影響のほか、地球温暖化の影響も考えられるということで、研究グループは、今後も水温の上昇が続くと寒気が南下した際の雪の量が増える可能性もあると指摘しています。

観測を行った三重大学の立花義裕教授は「“線状降雪帯”とも言える現象に海が及ぼす影響について貴重なデータが得られていて、今後も観測を行って気象予測の精度の向上につなげたい。まだ今シーズンは強い寒波が来る可能性があり、安心しないでほしい」と話しています。』