米国務長官 気球飛行の中国非難も外交的関与の継続を強調

米国務長官 気球飛行の中国非難も外交的関与の継続を強調
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230204/k10013970551000.html

『中国の気球がアメリカ本土の上空を飛行しているのを受けて、中国への訪問を延期したアメリカのブリンケン国務長官が記者会見し、中国側を強く非難する一方、外交的な関与を続けていく考えを強調しました。

中国の気球がアメリカ本土の上空を飛行しているのを受けて、中国外務省は3日夜、気象などを研究する民間の飛行船だとしたうえで「不可抗力によってアメリカに迷い込んだことを遺憾に思う」と発表しました。

これについて、アメリカ国防総省のライダー報道官は3日、記者会見で、気球は偵察用のものだという認識を改めて示し、中国側の発表に反論しました。

国防総省によりますと、気球は進路を変更し、現在、アメリカの中央部の上空を東に移動しているということです。

この問題を受けて、予定していた中国への訪問を急きょ延期したアメリカのブリンケン国務長官が記者会見し、「中国が偵察用の気球を飛ばしたことは容認できないし無責任だ」と述べて、中国側を強く非難しました。

一方で「開かれた意思疎通が引き続き重要だ。状況が整えば中国に行くつもりだ」と述べ、外交的な関与を続けていく考えを強調しました。

バイデン政権としては、両国の意図しない衝突を避けるため、対話を継続したい考えで、中国側の反応が注目されています。

気球の扱いをめぐっては、ブリンケン長官が「領空から追い出すことが第1の課題だ」と述べる一方、野党・共和党などからは撃墜すべきだという声も出ています。

米国防総省 “別の中国の偵察用の気球 中南米を飛行”

アメリカ国防総省のライダー報道官は3日、声明を発表し、アメリカ本土の上空を飛行しているものとは別の中国の偵察用の気球が中南米を飛行していると明らかにしました。

中国外務省「不可抗力が引き起こした不測事態」

アメリカのブリンケン国務長官が中国への訪問を延期したことについて、中国共産党で外交を統括する王毅氏は、ブリンケン長官と電話会談し「われわれは根拠のない臆測や大げさな宣伝は受け付けない。不測の事態に直面して双方は冷静さを保ち適切にコミュニケーションをとることで判断の誤りを避けて意見の相違をコントロールすべきだ」と述べたということです。

また、中国外務省は4日、報道官の談話を発表し「不可抗力が引き起こした不測の事態で、中国は一貫して国際法を順守し故意に主権国家の領土や領空を侵犯したことはない。アメリカの一部の政治家やメディアがこの問題を利用して中国を攻撃し中傷することに断固として反対する」としています。

そのうえで「訪問は米中双方が正式に発表したものではなく、アメリカが関連した情報を発表するのはみずからの事情によるもので、われわれはそれを尊重する」としました。』