ウクライナ国防省「ロシアが3月の制圧指示」 東部2州

ウクライナ国防省「ロシアが3月の制圧指示」 東部2州
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR038RB0T00C23A2000000/

『【ロンドン=中島裕介】ウクライナ国防省の情報総局は2日、ロシアのプーチン大統領が3月中にウクライナ東部のドネツク、ルガンスク両州の全域を制圧するよう軍に指示を出したとの見解を明らかにした。ロシア側に、新たな大規模攻撃や2州の完全な占領に向けた準備をしている兆候があるとしている。

情報総局の高官がウクライナメディアのインタビューで語った発言を伝えた。高官は「ロシアの占領軍が(2州制圧に向けた)追加…

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『高官は「ロシアの占領軍が(2州制圧に向けた)追加の部隊、装備を再配備していることを注視している」と警告した。

ロシア軍の兵士が隣国ベラルーシの領土内で訓練を受けているとも指摘した。一方で数週間以内にベラルーシ方面から大規模な攻撃が始まる戦力は整っていないとも分析。「現段階ではベラルーシがウクライナへの全面的な侵略に関与する脅威はないが、考慮に入れるべきリスクでもある」との見方を示した。

ウクライナでは軍事侵攻1年となる2月24日にあわせてロシアが大規模な攻撃をしかけるとの警戒感が強まっている。

レズニコフ国防相は1日、フランスのテレビ局のインタビューでロシアが侵攻1年の節目に「何かを試みる可能性がある」と述べた。ロシアが動員した予備役は公式には30万人とされているが、実際には50万人にのぼる可能性があるとの見解も示した。

ロシアは軍事会社ワグネルとともにドネツク州ソレダルを制圧したが、それ以降は支配地域は広がらず戦況は膠着している。ロシア軍の攻撃は続いており、ウクライナ軍参謀本部の2日夜の発表によると、ウクライナ東部と南部でロシア軍による5回の空爆を受け、学校などの民間施設に被害が出た。

欧州連合(EU)とウクライナは3日に同国の首都キーウで首脳会談を開く。EUのミシェル大統領らとウクライナのゼレンスキー大統領との会談では、同国のEU加盟問題も議題になるとみられる。これに先立ちEUのフォンデアライエン欧州委員長は2日、キーウでゼレンスキー氏と会談し、新たな追加制裁パッケージでロシアに打撃を与えると約束した。制裁の対象や詳細は明らかにしなかった。

EUのフォンデアライエン欧州委員長(右)を出迎えるウクライナのゼレンスキー大統領(2日、キーウ)=AP

プーチン大統領は2日、ロシア南部ボルゴグラードでの演説で「ナチズムが現代的な装いで現れ、ロシアの安全保障に直接的な脅威を再び生み出している」と述べ、ウクライナ侵攻の正当性を改めて訴えた。ボルゴグラードは第2次世界大戦の独ソ戦の激戦地。ロシアによる今回の侵略をかつての祖国防衛にすり替えて、欧米のウクライナへの軍事支援を非難した。』