インド企業のアダニ・グループ、不正会計疑惑で13兆円が吹っ飛ぶ。

インド企業のアダニ・グループ、不正会計疑惑で13兆円が吹っ飛ぶ。 : 机上空間
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/30760705.html

『インドの財閥で、アダニ・グループというコングロマリットがあります。創業者で現会長のゴータム・アダニ氏が、1988年に創業した会社で、当初は貿易会社でした。その後、事業の多角化を積極的に進めて、現在の主力事業は、港湾管理・運営、発電・送配電などの電力事業、太陽光発電などの再生可能エネルギー事業、天然ガス、不動産等、インドのインフラ事業を押さえています。アメリカの経済誌フォーブスの世界長者番付では、2022年に一時、世界二位まで昇りつめています。

直近の5年間で、2500%も株価が上昇していて、一気に事業を成長させていました。現在、アダニは、タタ財閥、リライアンス・インダストリーズと並んで、インドの三大財閥の一つに数えられています。この背景には、インドの首相であるモディ政権が進める政策と、二人三脚で事業を請け負ってきた関係があります。悪い言い方をすれば、モディ首相の政商として機能して、インドのインフラ発展に合わせて政府からの受注を受けてきた結果です。

今回、アダニ・グループに巻き起こった不正会計疑惑は、アメリカにあるヒンデンブルク・リサーチという投資会社のリサーチによるリポートが告発した内容によります。この会社は、10名程の小さい会社で、いわゆるヘッジファンドのように顧客の資産を預かって、投資・運用しているわけではありません。あくまでも、空売り投資家グループとして、会社の資産を運用しています。

その告発によりますと、アダニ・グループは、モーリシャスなどのタックスヘイブンに、ペーパーカンパニーを持っていて、汚職やマネーロンダリングを行っているとしています。2年に及ぶ調査の結果は、100ページに及ぶ報告書になっていて、88の問題提起が行われています。この結果、アダニ・グループの株価は急落し、時価総額で13兆円が吹き飛びました。このまま、信頼が回復しないと、資金繰りが悪化する可能性があります。アダニ・グループの負債は、2兆ルピー(245億ドル)で、国内銀行が40%、海外投資家からの調達資金が60%になります。これが不良債権化すると、少なからず世界経済に影響が出るはずです。

この告発を行ったヒンデンブルク・リサーチという会社は、空売り投資を専業とする集団で、その性格から企業スキャンダルや不正をリサーチするのが業務になります。

その結果、何がしかの問題が明るみになると、予め空売りを仕掛けておけば、株価の暴落で、大儲けができます。それゆえ、ハゲタカと呼ばれているのですが、ある意味、企業の不正行為を公に晒す自警団的な役割も担っています。

創業者は、ネーサン・アンダーソン氏という人物で、アメリカの電気自動車メーカーが自動車の性能を偽っているというリポートを出し、証券取引等監視委員会が調査に乗り出した事で、名前が知られるようになりました。つまり、こうしたリサーチに大きな実績を持つ会社なので、リポートが出た時点で、これだけの影響が市場に出たわけです。

ちなみに、社名のヒンデンブルクは、火災事故を起こしたドイツの大型飛行船・ヒンデンブルク号に、ちなんで名付けられていて、空売り投資家には、なかなか皮肉の入った名前になっています。』