アメリカ上空に中国の「スパイ気球」 米政府が追跡中

アメリカ上空に中国の「スパイ気球」 米政府が追跡中
https://www.nippon.com/ja/news/fnn20230203480733/

 ※ 今日は、こんな所で…。

『アメリカ政府は、中国が偵察用に飛ばした気球「スパイバルーン」がアメリカ上空で発見され、日本時間3日午前現在も飛行中だと発表した。

アメリカ西部のモンタナ州で1日に撮影された、偵察用の気球とみられる映像。

国防総省は、数日前から、アメリカ上空に偵察用の気球が飛行し、「厳重に追跡・監視を行っている」と発表した。

気球は、日本時間3日午前現在も飛行中だが、「地上への危険はない」としている。

国防総省高官は、「気球は中国のものであると確信している」と断言したうえで、「機密性の高い地域」を飛行しているとしている。

アメリカ政府は、複数のルートを通じて、中国に対応を求めていて、週末にも予定されるブリンケン国務長官の中国訪問を控え、米中の新たな火種になる可能性がある。

(FNNプライムオンライン2月3日掲載。元記事はこちら)https://www.fnn.jp/articles/-/480733 』

台湾有事が引き起こす第2次朝鮮戦争 米日の助けなしで韓国軍は国を守れるのか

台湾有事が引き起こす第2次朝鮮戦争 米日の助けなしで韓国軍は国を守れるのか
https://www.dailyshincho.jp/article/2023/02011700/?all=1

『韓国人が「見捨てられ」を恐れ始めた。台湾有事となれば北朝鮮が韓国を挑発する可能性が一気に高まる。その時、米国と日本は台湾支援にかかりきりになっているのだ。「一人で戦え」と突き放される隣国は核武装に走ると韓国観察者の鈴置高史氏は読む。

【写真】1955年の「台湾海峡紛争」

奇襲で空軍機の半数が壊滅

鈴置:韓国で台湾有事がようやく話題になりました。

――やっと、台湾を助けるつもりになったのですか?

鈴置:いいえ。韓国人は台湾が中国の支配下に入ることは気にもとめません。半導体産業で競合関係にある台湾が攻撃されれば、韓国の得になる――と考える人さえいます。

 韓国人がハタ、と気付いたのは台湾有事の際、北朝鮮が韓国に挑発を仕掛ける可能性がぐんと増すことです。北朝鮮をそそのかして第2戦線を開かせれば、米国の台湾支援がおろそかになると中国が考えるからです。でも、その時は米国の韓国防衛が手薄になっている。韓国は単独で北朝鮮に対峙することになります。

 韓国の「新たな危機」を訴えたのが朝鮮日報の楊相勲(ヤン・サンフン)主筆の「[楊相勲コラム]我が国の戦闘機の50%が消滅した後に戦争が始まるだろう」(1月19日、韓国語版)です。

 米CSIS(戦略国際問題研究所)が1月9日に発表した中国による台湾侵攻ウォー・ゲーム「The First Battle of the Next War」を参考に「第2次朝鮮戦争」では、米韓側の優勢を担保してきた空軍力が封じ込められる、と警告を発しました。ポイントを訳します。

・[このウォー・ゲームでは]中国軍は侵攻時、最初にグアムと日本の米空軍基地にミサイルの洗礼を浴びせる。米空軍は平均200機内外の戦闘機を失うが、その90%が離陸もできず地上で破壊される。

・台湾空軍は初回のミサイル攻撃でほぼ半分の戦力を失う。台湾空軍の基地の防衛は韓国軍よりも堅いという。北朝鮮の奇襲・南侵も中国と同様に韓国の空軍基地に対する大量のミサイル攻撃で始まる。今のままなら、被害は台湾以上であろう。

・我が空軍は最大の対北抑止力だ。その半分が最初のミサイル攻撃で失われるとすれば衝撃的で恐ろしいことだ。北朝鮮はそんな攻撃が可能なミサイルを育て上げた。

米空母も対艦ミサイルで撃沈

人民解放軍

1955年、台湾の一江山島を占領する人民解放軍(中华人民共和国未知名摄相师, Public domain, via Wikimedia Commons)(他の写真を見る)

――米空母による航空優勢は期待できませんか?

鈴置:空母も頼れなくなった、と楊相勲主筆は訴えました。このウォー・ゲームでは、第7艦隊の空母2隻が中国のミサイル攻撃で撃沈されます。

 第2次朝鮮戦争の際も、中国が衛星情報を使って北朝鮮に米空母の位置を教え、北朝鮮は現在開発中の対艦ミサイルで攻撃する、と楊相勲主筆は予想しました。

 「第1次朝鮮戦争」では空母艦載機による国連軍地上部隊への近接支援が功を奏しました。これがなければ国連軍は共産軍によって朝鮮半島から追い落とされていた、というのが通説です。ところが、ミサイルの発達によって「第2次」ではその手が効かないのです。

 なお、楊相勲主筆は中国が台湾に侵攻した場合、韓国は中立を守る、との前提で記事を書いています。それはCSISのウォー・ゲームも同様です。

 ただ、台湾有事が朝鮮半島有事を引き起こす可能性が高いと見る軍事専門家が多い。在韓米軍が台湾支援に回れば、中国にそそのかされなくとも北朝鮮は対南挑発への動機をぐんと増すからです。

 楊相勲主筆も台湾有事の際に、在韓米軍が手薄になることを懸念しています。このウォー・ゲームの以下のくだり(61ページ)を「米軍は韓国内の戦闘機の半数を他の地域に動かして運用するのが最善としている」と要約して引用しました。

・The project assumed that because of the pressing nature of the conflict with China the United States would release two of its four squadrons in South Korea. However, because of the continuing threat from North Korea, the other two squadrons would remain in South Korea for deterrence.』

『日本に空軍機を退避させたい

――他の地域とは?

鈴置:日本でしょう。いかなる形であれ、半島に緊張が走った瞬間、在韓米空軍は戦闘機などほぼすべての航空機をいったん日本に移すと見られています。

 2017年に米朝間で戦争の危機が高まった際にも、在韓米軍に所属する多数の戦闘機が日本に飛来したことが確認されています。当時、米軍は韓国に住む米国籍の非戦闘員の日本への避難訓練を実施しましたが、退避が必要なのは市民だけではありません。

 北朝鮮は大型多連装ロケット砲――日米韓は短距離弾道ミサイルと分類しますが――の大量配備を進めています。一度に多数のロケットを発射するだけに、米軍も全てを撃ち落とすのは不可能です。

 在韓米空軍の主力基地である烏山(オサン)は北朝鮮が実戦配備済みの300ミリロケット砲の射程に入ります。それ以上の射程を持つロケット砲の開発も終えた模様で2022年12月31日、金正恩(キム・ジョンウン)総書記は同日に発射した超大型のロケット砲に関し「南朝鮮全域を射程に収め、戦術核まで搭載可能だ」と豪語しました。

――韓国も空軍機を日本に退避させたいでしょうね。

鈴置:もちろんです。ソウル五輪(1988年)ごろまで、韓国空軍は航空自衛隊に対し、緊急退避の受け入れを非公式に打診していました。当時、北のロケット砲の射程は短かったのですが、空軍機による航空基地への奇襲を韓国は恐れていたのです。

 もちろん、日本は戦争に巻き込まれたくないので拒否。そのうちに経済難による北朝鮮空軍の弱体化が明らかとなり、緊急退避案は立ち消えになっていました。が、北のロケット砲の開発進展で再び韓国にとって必須となったのです。

韓国ではなく台湾を選んだ日本

――日本は韓国空軍機の緊急退避を受け入れるのでしょうか。

鈴置:受け入れません。まず、それを可能にする法的な取り決めがありません。それに、台湾救援で手一杯な時に「第2次朝鮮戦争」への巻き込まれは迷惑至極です。

 そもそも国民感情が許さないでしょう。日本の足を引っ張り続けてきた韓国から、都合のいい時だけ助けてくれと言われるのです。普通の人なら怒りだすはずです。韓国空軍機を受け入れれば、日本が北朝鮮の攻撃の的になるのです。

 すでに、日本は中国に立ち向かうためのパートナーとして、韓国ではなく台湾を選びました。台湾の半導体メーカー、TSMCは熊本県に工場を建設中です。日本政府が積極的に誘致した結果で、この工場を中核に高性能のロジックの生態系を作るのが目的です。誘致のため、5000億円近い補助金も出します。

 韓国のサムスン電子のロジック部門も、TSMCに次ぐ世界2位の技術水準を誇ります。でも、サムスン電子を誘致しようとの声はまったく起きなかった。韓国という国が中国側に付く可能性が台湾と比べ、はるかに高いからです。

 実際、ここに至っても米国が画策する対中半導体封鎖網にも韓国は参加を渋っています(「半導体戦争で板挟みになる韓国 米国の圧迫と中国の嫌がらせ…頼みの綱は日本の輸出管理撤廃」参照)。

――韓国は日本との協力が必要不可欠なのに……。

鈴置:それを知らない日本人が多い。「半島有事の際、日本人退避に自衛隊機を送ろうにも今のままでは韓国が許可しない。だから『徴用工』問題などで韓国に譲歩して関係を改善すべきだ」と主張する日本の専門家がいます。

 これはまったくの事実誤認です。韓国にとってこそ、日本との協力が死活的に必要なのです。有事の際に自衛隊機の受け入れを拒否するなどという傲慢な選択肢は韓国にはありません。それどころか、その自衛隊機に韓国人も乗せてくれ、と言い出しかねない。』

『「一人で戦え」が米国の本音

――韓国人には「嫌われている」との自覚はあるのでしょうか。

鈴置:楊相勲主筆にはあるようです。彼の記事には「有事の際に日本が韓国を助けるだろうか」と韓国人に問いかけるくだりがあります。

・中国の台湾侵攻ウォー・ゲームで最も革新的な変数は日本である。日本が米国とともに戦争に全面的に介入すれば、最高に楽観的なシナリオが描かれる。

・しかし、日本が自国内の米軍基地を中国との戦争に使えないようにしたり、その基地が中国の空襲を受けても自衛隊が中立を守れば、米国は相当に苦戦する。

・朝鮮半島有事には日本内の米軍基地も同じ役割を遂行することが求められる。もし、日本が自国の安全のために米国の基地使用を断れば、深刻な状況に陥る。

 中国が在日米軍基地を攻撃すれば、そこは日本ですから当然、自衛隊が守ります。米国の基地使用を断る可能性も低い。台湾防衛は日本にとっても必要だからです。韓国が夢想する「米中戦争での中立」という選択を日本がとることはまずないのです。

 では、半島有事の際に日本が在日米軍基地の使用を認めるか――。形式的には事前協議の対象ですが、これまでは事実上の自動承認事項と考えられてきました。

 しかし、それは朝鮮有事が単独で起きた時の話。台湾と半島の有事が同時に起きた際は分からない。そもそも、米国が半島有事に介入しない可能性が高いのです。日本のある専門家は以下のように解説しました。

・台湾有事の際に米国は韓国に対し、台湾への支援までは求めない。しかし、付随して起きる半島有事は単独で対処せよ、と通告するだろう。これが米軍の本音だ。

日本を騙すのに忙しい外交部

――韓国は厳しい状況に追い込まれますね。

鈴置:ただ、楊相勲主筆のように厳しい現実認識を持つ韓国人は多くない。典型的なのが外交部です。「徴用工」問題ではまだ、日本政府に謝罪させようとか、日本企業にカネを出させようとか、どさくさにまぎれて「日本の植民地支配は違法だった」と認めさせようと小細工を弄しています。

 日本政府も「植民地支配を痛切に反省する」村山談話の継承を表明して応える方向と1月29日に日本経済新聞が報じました。が、これには日本の保守層から早くも反対の声が上がっています。安倍晋三・元首相の打ち立てた「もう二度と韓国には謝らない」とのドクトリンを打ち砕くからです。

 韓国紙はしきりに「日本政府が徴用工らの求償権の放棄を求めているが、これには韓国政府が難色を示している」と書きます。これも罠です。韓国側に求償権を放棄させるということは、とどのつまり、日本側に一時は債務が存在したことを日本政府が認めたことになるのです。

 そうなれば、韓国側が「日本は植民地支配の違法性を認めた」と言い出すのは確実です。争点となっている2018年10月と11月の韓国・最高裁判決は「違法な植民地支配の下で働かされた韓国人に対し、日本企業は賠償責任がある」と断じたのですから。日本政府は「求償権を放棄させた」と国民の前で勝利宣言するつもりかもしれませんが、実は墓穴を掘るだけなのです。

 韓国政府は外相時代の岸田文雄氏を2度も騙した実績があります。岸田政権が発足した瞬間、韓国紙は「チャンス到来」と張り切りました(「尹錫悦はなぜ『キシダ・フミオ』を舐めるのか 『宏池会なら騙せる』と小躍りする中韓」参照)。

 しかし、「キシダ」は騙せても日本の世論は誤魔化せません。それどころか、こんな猿芝居を演じ続ければ、日本人をますます怒らせてしまいます。

 韓国の外交部は狡猾な外交ゲームを展開しているつもりでしょうが、朝鮮半島有事を考えると、国を亡国の道に追い込んでいるとしか思えません。』

『核武装に動く韓国軍

――韓国軍はどう考えているのでしょうか。

鈴置:軍人の中には危機的な状況を十二分に認識している人もいます。そして、彼らの答は核武装です。北朝鮮への切り札である航空優勢も失われる。米国の直接支援も日本の後方支援も期待しにくい。そのうえ、北朝鮮は核を持っている。ならば、核を持つしかない、との論理です。今のところ、その本音は隠していますが。

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は1月2日付けの朝鮮日報(韓国語版)とのインタビューで「米国と核に関する共同企画、共同演習を議論しており、米国もかなり積極的だ」と述べました。NATO同様の米国との核共有を検討中と明かしたのです。

 J・バイデン(Joe・Biden)大統領は「核共有」発言を直ちに否定しました。しかし、尹錫悦大統領はひるみません。1月11日、外交部・国防部の業務報告の席で「[北朝鮮の核]問題がさらに深刻になったら、[米国の]戦術核兵器を配備したり、我々独自の核を持つこともありうる」と語りました。韓国の大統領が公の席で自前の核開発・保有に言及したのです。史上初の事件でした。

 保守は支持しました。朝鮮日報は社説「韓国大統領の史上初の『独自の核』言及が持つ意味」(1月13日、韓国語版)で「核は核のみで防ぐことができる」として、いつでも核兵器を持てる準備を進めよう、と国民に呼びかけました。

「大隊長以上は読んで欲しい」

 大統領の発言はもちろん、軍の「振り付け」があってのものでしょう。朝鮮日報の楊相勲主筆も一貫して「核を防ぐのは核だけ」「米国の核の傘をどこまで信用できるのか」と主張してきました。

 冒頭で引用した「[楊相勲コラム]我が国の戦闘機の50%が消滅した後に戦争が始まるだろう」の最後の段落が以下でした。

・米国の軍関連の分析は悲観的であることが多い。だが、このウォー・ゲームには重要なファクトと観点が含まれている。今や、古い安保戦略は通じないということだ。ミサイルの時代に、伝統的な軍隊の形態に安住してはいけないのだ。

・ウォー・ゲームは150ページと短くはないが、わが軍の大隊長級以上の将校の、できる限り多くに読んで欲しい。

 この記事のどこにも「核を持とう」とは書いていません。しかし、読んだ人の多くは「第2次朝鮮戦争を自前の核無しで戦えば、負けるしかない」と思ったことでしょう。

 全ての「大隊長級以上の将校」が読めば、軍は声高に核開発を叫び始めるかもしれません。楊相勲主筆の呼びかけがどこまで届くのか、注目です。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)
韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95~96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『韓国民主政治の自壊』『米韓同盟消滅』(ともに新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

デイリー新潮編集部 』

バイデン政権のアキレス腱を中国がひそかに攻撃

バイデン政権のアキレス腱を中国がひそかに攻撃 次期大統領選の争点になる可能性も
https://www.dailyshincho.jp/article/2023/02030601/?all=1

『米国は「国際秩序の再構築を目指す意志と力を持つ唯一の競争相手」と位置づける中国に対し、圧力を日に日に強めている。

【写真を見る】ミス学習院からセクシー女優、覚せい剤で逮捕… “転落と懺悔”告白

 米国から一方的な「攻撃」を受ける中国も黙ってはいない。米国のアキレス腱を狙ってひそかに反撃に出ている。

 米国社会は銃乱射を始め様々な問題を抱えているが、最も深刻なのは薬物中毒だ。

 薬物で最も問題になっているのは医療用麻薬フェンタニルだ。

 モルヒネの50~100倍の強度を持つ鎮痛剤であるフェンタニルは、末期のがん患者の苦痛を緩和するために開発されたが、過剰摂取による死亡事故が多発している。

 米国では2021年、薬物の過剰摂取で死亡した約10万7000人のうち、3分の2の原因がフェンタニルだ。通常の麻薬より安価であることに加え、医療用とされていることから、依存性が強いにもかかわらず安易に手を出してしまうと言われている。

 米国では7分に1人がフェンタニルで命を落としている計算だ。18歳から49 歳までに限れば、死亡原因の第1位はフェンタニル中毒だ。

 米国政府はフェンタニルの取り締まりに躍起になっているが、フェンタニルの違法な流入は止まらない。

生産はメキシコ、供給は中国

 アリゾナ州当局は1月19日「違法に輸入されたフェンタニルの原料とみられる粉末を大量(約200キロ)に押収した」と発表した。

 米麻薬取締局によれば、昨年に押収されたフェンタニルは粉末で4.5トン以上、錠剤で5060万錠に上った。3億7900万人分の致死量に相当し、約3億3000万人の米国人全員の命を奪うのに十分な量だ。

 米国で蔓延するフェンタニルの直接の生産者は国境を接するメキシコの麻薬マフィアだが、その原料を供給しているのは中国だ。

 中国の化学企業はフェンタニルの原料を世界で最も多く生産している。これをメキシコに輸出し、マフィアが既存の麻薬密売ルートを通じて米国に運び込むという構図だ。

 フェンタニル原料の中国最大の生産地は武漢市だ。2020年初頭に武漢市で新型コロナのパンデミックが起きると供給が激減し、米国のフェンタニル価格が高騰したという。

 中国企業とメキシコのマフィアは、米国の中国系ネット銀行を利用して仮想通貨などで代金のやりとりを行っているため、フェンタニル流入の追跡が難しい。

 トランプ前政権は2018年から中国政府に対し、フェンタニルの米国への輸出を規制するよう、働きかけを強めた。この問題が重視されたのはトランプ氏の支持者が多い「ラストベルト」が全米で最も深刻な被害を受ける地域の1つだったからだ。

 中国政府も米国との貿易摩擦の緩和を狙って2019年からフェンタニルの輸出規制を強化した。これによりメキシコ経由での流入は続いているものの、中国からフェンタニルが米国に直接輸出されることはほとんどなくなった。』

『米大統領選挙の争点に?

 だが、バイデン政権の圧力強化に不満を募らせる中国政府は、その報復として2019年に強化したフェンタニルに関する輸出規制を緩めている(2022年12月27日付ウォールストリートジャーナル)。バイデン政権が新疆ウイグル自治区での人権弾圧や台湾への軍事的圧力を非難するたびに、米国でのフェンタニルの流通量が急増するパターンが相次いでいるという。

 特に中国側の動きが顕著だったのは、昨年8月にペロシ連邦下院議長(当時)が台湾を電撃訪問した直後だ。

 中国政府はフェンタニル規制関連の交渉窓口を閉鎖した。米国政府は駐米中国大使館などを通じて対話を求めているが、中国側は没交渉の姿勢を貫いている。

 昨年11月にバイデン大統領と習近平国家主席が首脳会談を行い、両国の関係改善の兆しが出ているものの、中国側は米国の検察当局が指名手配したフェンタニル関連企業の取り締まりに応じておらず、事態改善の目途は立っていない。

 米国からの度重なる抗議に対し、中国外交部は「米国人による過度の薬物依存が問題だ。なぜ中国のせいにするのか」とけんもほろろだ。

 ホワイトハウスで薬物問題を担当するグプタ国家薬物管理政策局長は1月24日付英フィナンシャルタイムズのインタビューで「中国とメキシコの犯罪集団が(米国での)フェンタニルの取引を拡大するのは時間の問題だ」と危機感を露わにしている。

 米国の圧力強化に反発する中国がフェンタニルに関する規制を再び強化しなければ、米国社会のさらなる不安定化は避けられない。

 この問題が2024年の米大統領選挙の争点の1つに浮上する可能性が生じている。

 トランプ前大統領は1月28日、次期大統領選挙に向けて本格始動した。

 ニューハンプシャー州で演説したトランプ氏は「バイデン政権の移民政策が麻薬流入などによる治安悪化を招いた」と酷評し、「麻薬取引の撲滅」を最重要公約に掲げた。移民の流入が拡大し、メキシコ国境での薬物管理にまで手が回らなくなっているバイデン政権の無能ぶりをクローズアップするのが狙いだろう。

 トランプ氏は中国に対しても2019年の時以上の厳しい規制を求める可能性が高い。

 人気に陰りが出ているトランプ氏だが、バイデン政権が一向に改善することができない薬物問題を争点化すれば、次期大統領選挙でリベンジを果たすことができるのかもしれない。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部 』

存立危機時に反撃力行使も 首相、具体例は説明せず

存立危機時に反撃力行使も 首相、具体例は説明せず
https://news.yahoo.co.jp/articles/c2fc3f03abf268760492b0e4beb683b09d4d01cf

『1/30(月) 19:00配信

岸田文雄首相は30日の衆院予算委員会で、集団的自衛権行使が可能となる「存立危機事態」の際、反撃能力(敵基地攻撃能力)を発動できるとの認識を示した。

立憲民主党から想定しているかどうかを問われ「個別具体的な事案に即して考えなければいけない」と述べた。

ただ、具体的な事例に関しては「細かく説明するのは手の内を明かすことになり、控えなければならない」と説明を拒否した。立民は反発を強めた。

 首相は防衛費増額に伴う増税の開始前に衆院を解散する可能性に関し「解散時期は適切に判断する。増税の前に選挙がある可能性は理屈上、排除されない」と語った。』

ワグネルより正規軍、ロシアが精鋭「空挺軍」集中投入…総司令官交代で積極攻勢に

ワグネルより正規軍、ロシアが精鋭「空挺軍」集中投入…総司令官交代で積極攻勢に
https://news.yahoo.co.jp/articles/f4391722a35bc26ed1af814b8c30ce04739ac90b

『ロシア軍が年明け以降、精鋭の空挺(くうてい)軍を、ウクライナ東部ドネツク州の要衝バフムトなど激戦地に投入している。制服組トップのワレリー・ゲラシモフ参謀総長の総司令官就任を機に、戦況を好転させるための集中投入のようだ。これまでの主戦力だった露民間軍事会社「ワグネル」の雇い兵に代わり、正規軍を再び重視し始めたとの指摘も出ている。

【動画】道路に置かれた地雷に気づかなかった?…ロシア軍の戦車が爆発
ワグネル依存 転換

(写真:読売新聞)

 バフムト防衛にあたるウクライナ軍部隊の報道官は25日、露軍がバフムト市内に侵入しようと試みており、1日に40回近い戦闘があったと指摘した。露軍はここへ来て、バフムト攻防戦での積極攻勢が目立つ。

 その背景にあるのが、空挺軍の投入とみられている。地元ニュースサイト「ウクライナ・プラウダ」は今月下旬、「1月2日に空挺軍の兵士がバフムトに入ってから砲撃の質が一変した」と伝え、露軍の戦法が効率的になったと指摘した。

 露軍はドネツク州の全域制圧への足がかりをつかむため、バフムト攻略を約半年前から試みてきた。本来はパラシュート降下などによる緊急展開が専門である空挺軍を歩兵として、カギとなる戦闘に従事させているとみられる。空挺軍は陸海空軍から独立した存在で、侵略前は4万5000人規模とされてきた。陥落させたばかりの近郊ソレダルの攻略にも加わり、投入は効力を発揮している模様だ。

 米政策研究機関「戦争研究所」は25日、露軍指導部が、兵員補充のため依存してきたワグネルよりも正規軍を重視した用兵を進めていると指摘。今月11日に総司令官にゲラシモフ氏が就任したことが関係しているとの分析を明らかにした。

 露軍は、ドネツク州との州境に近くウクライナ軍が領土奪還を目指すルハンスク州クレミンナの戦線にも最近、空挺軍の兵士を派遣している。重要な戦場には空挺軍を投入する方針を鮮明にしているようだ。

 ゲラシモフ氏の就任と同時の、セルゲイ・スロビキン前総司令官ら3人の副司令官の任命は大規模攻撃に向けた布陣とみられている中、戦争研究所は露軍の大規模攻撃はドンバス地方(ドネツク、ルハンスク両州)の制圧を最優先するとの見方を示している。』

『ただ、空挺軍主体の用兵が今後も効果を上げるかどうかは不透明だ。英国防省は24日、空挺軍で経験豊富なミハイル・テプリンスキー司令官が最近、解任されたとする分析を明らかにした。空挺軍の展開を巡るゲラシモフ氏との意見対立が原因とみられている。

 露軍では、昨年秋に実施した予備役の部分的動員で招集した30万人超のうち、約15万人は最前線に未投入とされている。ただ、露軍は兵員と装備の不足で侵略当初のような大隊戦術グループ(BTG=推計900人規模)を中心とした大規模な攻撃は不可能になっている。空挺軍の集中投入も効果は限定的とみられる。』

引きこもりで40歳超え…宮台真司教授を襲撃した男の敗北感と一発逆転への願望

引きこもりで40歳超え…宮台真司教授を襲撃した男の敗北感と一発逆転への願望
https://biz-journal.jp/2023/02/post_332451.html

 ※ 世の中には、こういう「闇」も潜んでいる…。

 ※ どこで、誰が、「密かに、恨みの刃(やいば)を研いでいる。」のか、知れたモンじゃ無いんだ…。

『昨年11月に東京都立大学・南大沢キャンパスで同大学教授で社会学者の宮台真司さんが男に刃物で切りつけられ重傷を負った事件で、容疑者とみられる男性が昨年12月に自殺していたことがわかった。1日付NHK NEWS WEB記事によれば、死亡時に41歳だった男性は高校を中退した後は家に引きこもりがちで、外部との接触や職歴は確認できず、両親が用意した別宅で過ごしていたという。

 著書やメディア出演の機会も多い著名な社会学者として知られる宮台さんは、容疑者とされる男性の死亡を受け、1日配信のインターネット放送局「ビデオニュース・ドットコム」の番組内で

「気持ちのふんぎりがつきにくい。動機がわからないので釈然としない気持ちで、問題を解決できたという気持ちにならないまま先に進むのが残念だ」

と語っているが、全国紙記者はいう。

「犯行が無差別的なものだったのか、宮台さん個人を狙ったものなのかは不明であり、動機はわからない。

その前提で話をすると、宮台さんの著書『終わりなき日常を生きろ―オウム完全克服マニュアル』『世紀末の作法』『まぼろしの郊外』がベストセラーとなり気鋭の社会学者として宮台さんのメディア露出が増え始めた当時、容疑者の男性は中学・高校生だった。この世代には宮台さんの本を読んで大きな影響を受けた人も少なくなく、男性もその一人だった可能性はゼロではないだろう。

 宮台さんはイベントなどでかなり過激な表現を使うこともあり、著書では徹底的にロジックを突き詰めて冷徹な目線で社会現象を分析して斬っていき、人々や事象を類型化したり、ときに実名をあげて人物や組織、特定のカテゴリーの人々を批判することもある。

そのため、読んだ人のなかには、自分が批判されたと思い込んだり、反論の余地がないほどに的を射る批判をされたと思い込んで宮台さんに勝手な恨みを抱く人もいるかもしれない」

 事件を受けて警視庁は公開捜査に乗り出し、昨年12月12日に初めて防犯カメラの映像を公開したが、前出NHK NEWS WEB記事によれば、その映像公開の頃から男性は食事をとらなくなるなど様子が変わり、同月17日に別宅内で遺体で発見されたという。また、2日1日付「集英社オンライン」記事によれば、男性の母親はキリスト系の宗教の信者で近隣住民などを熱心に勧誘していたといい、男性の国民年金も親が負担していたという。

“8050問題”への不安と焦り

 なぜ男性は犯行におよんだのか。精神科医の片田珠美氏は次のようにいう。

「宮台真司さんを襲撃した容疑者として警視庁が行方を追っていた男が自殺したため、動機の解明は極めて難しくなりました。

 ただ、この男が無職で、引きこもりがちだったという報道がありますので、そういう患者さんを数多く診察してきた精神科医としての長年の臨床経験から申し上げると、『今に見ていろ、俺だって』と思っている方は一定の割合で存在します。もちろん、みながみなそう思っているわけではありません。

 なぜこんな気持ちになるかというと、やはり鬱屈した日々を送っているからですね。

この男も、野球の強豪校で有名な私立高校に進学したものの、その頃から引きこもりがちになったということですので、何らかの挫折体験があったのかもしれません。

その後、就労できないまま年齢だけ重ね、気づいたら40歳を超えていたわけです。両親とも70歳を過ぎているそうですから、“8050問題”に直面するのは時間の問題です。そのことに対する不安と焦りがあったとしても不思議ではありません。

 当然、敗北感にもさいなまれますので、一発逆転させて見返したいという願望が生まれやすいのです。だからこそ、『今に見ていろ、俺だって』という心境になり、世間をあっと驚かせるような大きな事件を起こしてやろうと考えることがあります。

どんな事件を起こそうとするかは、だいたい2つの流れに別れるようです。無差別殺傷、もしくは有名人襲撃で、宮台さん襲撃犯は後者を選んだのでしょう。

 なぜ宮台さんを襲撃したのかについては、容疑者が死亡している以上推測するしかないのですが、宮台さんが有名な社会学者で、若い頃から常に注目を浴びる存在だったということは大きいと思います。宮台さんの何らかの発言に怒りと反感を覚えたのかもしれません。

 だからといって宮台さんを刃物で襲って重傷を負わせていいわけでは決してないのですが、容疑者本人が『あいつはあんなけしからんことを言っているのだから、成敗してもいい』と正当化した可能性は十分考えられます。

 こういう事件が起きると、『自分も宮台さんと同じ目に遭うのは嫌だから、発言を慎もう』と考え、萎縮する言論人が出てくるのではないかと危惧します。しかも、容疑者の自殺という形で幕引きとなり、動機の解明もできないでしょう。本当にいたたまれない事件です」

(文=編集部、協力=片田珠美/精神科医)

片田珠美/精神科医:外部執筆者

広島県生まれ。精神科医。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。人間・環境学博士(京都大学)。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。DEA(専門研究課程修了証書)取得。パリ第8大学博士課程中退。京都大学非常勤講師(2003年度~2016年度)。精神科医として臨床に携わり、臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。社会問題にも目を向け、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析学的視点から分析。

Twitter:@tamamineko

ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2023/02/post_332451.html
Copyright © Business Journal All Rights Reserved.』

中露で手一杯の米国 だが中東は無視するには重要すぎる

中露で手一杯の米国 だが中東は無視するには重要すぎる
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/29233

 ※ 安全保障の観点からは、「地中海ダイアローグ(7か国)」と「イスタンブール協力イニシアティブ(4か国)」という枠組みで、影響力を保持する体制だ…。

『米バード大学のミード教授が、1月9日付け米ウォールストリートジャーナル紙掲載の論説‘The Peril of Ignoring the Middle East’で、米国の中東における影響力が低下しているが、中東は無視するには重要すぎるとし、米国が影響力を回復するためには、米国が武力に訴えてもイランの覇権主義や核開発を阻止する用意があるというメッセージを伝えるべきであると主張している。要旨は次の通り。

 中東地域全体が流動化している。エネルギー価格の高騰により膨大な資金が域内に流れ込み、その結果、産油国の指導者達は自信を深め、その一方で中国は中東地域での経済的、政治的なプレゼンスを高めている。

 アラブ首長国連邦(UAE)、トルコ、ロシアは、シリアのアサド政権を強化する方向で米国のシリア政策を妨げている。また、長年のイランに対する欧州の憧憬は、イラン国内での残酷な弾圧で冷めてきており、イランによるロシアのウクライナ侵攻への支援は、欧州のイランとの平和的かつ有益な関係を築くという期待を打ち砕いている。他方、カタールの欧州議会に対する大がかりな贈賄スキャンダルは、欧州連合(EU)を驚愕させた。

 この15年間、米国の中東地域に対する影響力が低下し続けており、イスラエル、アラブ諸国、イラン、トルコは、昔ほど米国を重く見ていない。オバマ政権の優柔不断さとトランプ政権の支離滅裂な政策の後、域内の指導者達は米国の知恵や一貫性に疑問を持っている。

 バイデン政権はジレンマに陥っている。米国は、ロシアのウクライナ侵攻とインド太平洋地域での中国の野心により、既に手一杯になっており、中東方面への関与は最小限にしたい。しかし、中東は無視するには重要すぎる。米国が中東から手を引けば、それだけ米国の世界的な影響力も低下する。

 バイデンが中東で米国の影響力を回復したいのであれば、まだ可能である。米国は、アラブの隣国を脅かすイランの能力を妨害するための断固とした効果的な政策と、イスラエルとその友好国がイランの核開発計画を阻止するために軍事行動をとれるようにするための措置を組み合わせることで、再び中東の秩序の中心に戻れるだろう。

 影響力回復のコストは高いが、無気力は長期的にはより高くつく。バイデンが以上のラインで真剣に協議する用意があるとのメッセージを伝えることができれば、イスラエルとその他諸国は米国の懸念により大きな注意を払うだろう。

 そうでなければ、イスラエルとその近隣の諸国は米国の利益に構うことなく決定をし続け、バイデン政権はその結果の管理に苦闘することとなろう。

*   *   *

 中東地域に関する時宜を得た論説である。確かに「米国は、ロシアのウクライナ侵攻とインド太平洋地域での中国の野心により、既に手一杯になっており、中東方面への関与は最小限にしたいところである」というのが米国の本音であろうが、同時にミードが指摘する通り、中東地域は無視するには重要すぎる。

 脱炭素化が進んでいるが、しばらくの間、化石燃料への依存は続き、ペルシャ湾地域はその間、石油・天然ガスの安価かつ安定した、代替のきかない供給源であり続ける。

 米国は世界最大の石油・天然ガスの生産国になり、米国にとってはペルシャ湾地域の石油・天然ガスの戦略的価値はなくなった。しかし、日本を初めとした米国の同盟国の多くは、中東の石油・天然ガスに依存しているので、米国が中東への影響力を失うことはこれらの諸国の失望を招くことになる。その結果、米国が中東から手を引けば、それだけ米国の世界的な影響力も低下する。』

『しかし、ロシアのウクライナ侵攻や中国の台頭に目を奪われて中東が視野の外に追いやられているのは米国だけではない。

いつの間にか日本のホルムズ海峡依存度(日本のエネルギー源の37%を占める原油の内、中東のホルムズ海峡を通る割合)が過去最高の95%に上昇しているのにも関わらず、日本で中東に対する関心は全くと言って良いほどない。しかし、ペルシャ湾地域からの石油の安定供給が止まれば、日本経済に致命的なダメージを与えるのは間違いない。

武力行使以外のカードがそもそもあるのか?

 ミードの主張は、パレスチナ問題や中東の人権や民主化の問題も含め、まずはこの地域における米国の影響力を回復させることが先決であり、そのためには、イランの覇権主義、とりわけ核武装の危険性を孕むイランの核開発を、武力を使ってでも阻止するということである。

 しかし、「イランが近隣のアラブ諸国を脅かすことを断固として止めさせなければならない」と言うのは易しいが、米国は、既に制裁カードを切ってしまっており、軍事力の行使しか残されていないのではないか。

 イラン核合意(JCPOA)再開交渉は、昨年夏前、米国の中間選挙後まで中断されたが、その後、イラン国内の反政府デモ、イランのロシアへのドローンを供与から、バイデン大統領自身、「JCPOAは、ほとんど死んだ」と発言しているように、とても交渉を再開出来る状況とは思われない。

 イランの核問題の外交的解決が米国の一貫した立場だが、既にイランは、核爆弾製造に必要な濃縮ウランを手に入れている。米国に何か良い手立てはあるのだろうか。ミードは、「オバマ政権の優柔不断さ」と書いているが、同じ民主党政権のバイデン政権も手をこまねいて、ますます事態を悪化させるのであろうか。

 その場合、直接の脅威を受けるイスラエルやアラブ諸国は納得するとは思われない。やはり、「不作為はもっと高くつく」ことになろう。』

米下院議員、中国「最恵国待遇」取り消す法案提出 人権弾圧を非難

米下院議員、中国「最恵国待遇」取り消す法案提出 人権弾圧を非難
https://www.epochtimes.jp/2023/02/135106.html

『米国の下院議員らは1月31日、ウイグル人などへの人権弾圧を理由に中国の最恵国待遇を取り消す法案を提出した。先月には上院でも同様の法案が発表されたばかり。

法案は、中国問題に関する米国連邦議会・行政府委員会(CECC)の議長を務めるクリス・スミス議員とトム・ティファニー議員が提出した。中国からの輸入関税などに関する優遇措置を認めた「恒久的正常貿易関係(PNTR)」の地位を取り消し、中国共産党の非人道的な犯罪行為に対抗する。そのほか、中国の人権状況を毎年精査するよう大統領に義務付ける。』

(※ 無料は、ここまで。)

ミャンマーの内戦2年経つも泥沼化、1月で避難民は百万人以上

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:ミャンマーの内戦2年経つも泥沼化、1月で避難民は百万人以上
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5408066.html

『ミャンマーで軍がクーデターを起こしてから2023年2月1日で2年になり、実権を握った軍はことし8月までに選挙を実施するとしているが、軍に抵抗する民主派勢力を排除する動きを見せていて、事態が収まる見通しはたっていない。

ミャンマーでは、アウン・サン・スー・チー氏率いるNLD=国民民主連盟が圧勝した2020年の総選挙で不正があったとして、軍がクーデターを起こしてからきょうで2年となる。過去ブログ:2022年1月ミャンマー国軍が住民30人殺害、国際支援者2名不明4 
karen_national_liberation_army-1536×1024

これに対して民主派勢力の一部が武装化して軍と戦闘を続け、ミャンマーの人権団体によると、軍の攻撃や弾圧でクーデター以降、死者は2023年1月31日までに2940人に上っている。映像:ゲリラ側がドローンで攻撃 地上攻撃 

軍に拘束され、汚職などの罪に問われたスー・チー氏に対しては有罪判決が出され、科された刑期は、あわせて33年となっている。また、軍は1月、政党登録に関する法律を制定し、NLDを事実上、非合法にするなど、排除する動きを見せている。

https_3A_2F_2Fs3-ap

京都大学東南アジア地域研究研究所の中西嘉宏准教授は、「戦闘は泥沼化していて、1月の時点で国内避難民は100万人以上に上っている。本来支援が期待される国連はミャンマー軍と関係が悪く十分に活動できておらず、欧米にとっては国益としてそれほど大きくないので、ウクライナ危機もあり次第に関心が低くなっている」と述べた。

アメリカ財務省は2023年1月31日、声明を発表し、ミャンマー軍の統制下にある選挙管理委員会など3団体とエネルギー関連の当局者など6人を資産の凍結などを科す制裁リストに追加し、軍が石油やガスの輸出によって、年間10億ドル以上の収入を得ているとして、エネルギー産業を管轄する当局や国営企業の幹部も制裁対象とした。

今回の制裁は、イギリスとカナダ、それにオーストラリアと協調して行ったとした上で「ミャンマー軍は2年にわたり、暴力と抑圧によって、ミャンマーの人たちが自分たちの指導者を選ぶことを否定している」と非難している。参照記事』

ジョンソン元英首相がNATOに苦言を呈す

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:ジョンソン元英首相がNATOに苦言を呈す
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5408034.html

『ジョンソン(Boris Johnson)元英首相は、西側諸国がウクライナを北大西洋条約機構(NATO)へ加盟させる勇気と一貫性を持っていたら、ロシアの対ウクライナ全面侵攻は回避できたであろうとの見方を示し、米ワシントンポスト紙への2023年1月30日の寄稿にて指摘した。

ジョンソン氏は、「数十年にわたり、私たちは、NATOとウクライナの題目につき、外交的二枚舌を利用してきたのであり、それは完全な災難の結果で終わった。

私たちは、ウクライナ人に対して、私たちはNATOにて『オープンドア』政策を採っており、彼らは『自らの運命を選ぶ』権利がある、ロシアは拒否権を行使すべきでないと伝えてきた。

その間ずっと、私たちは、ウクライナは決してNATOには加盟することはない、なぜなら非常に多くのNATO加盟国が自らの拒否権を自分に対して行使しているからだと、モスクワに対してはっきりと伝えていたのだ」と指摘した。

screenshot(12)

そして同氏は、その結果、欧州における過去80年間で最悪の戦争が生じたのだとし、プーチン(Vladimir Putin)露大統領が数え切れない人の命、家、希望、夢を破壊していることを喚起した。

さらに同氏は、「プーチンは、ウクライナがNATOに加盟しようとしていると考えたから侵攻したのではない。彼は常に、それが蓋然性(がいぜんせい:ある事柄が起こる確実性や、ある事柄が真実として認められる確実性の度合い)の低いことだと知っていた。

彼は、私たちがウクライナの防衛にあまり真剣に向き合っていないと思ったから、ウクライナを攻撃したのだ。それには多くの証拠がある」と述べ、「仮に私たちがウクライナをNATOへ入れるだけ十分に勇気があり、一貫していたら、仮に私たちが話していたことを本当に思っていたのなら、この完全な災難は回避できたであろう」と強調した。

同氏はまた、世論調査では、現在ウクライナにおけるNATO加盟支持は83%と非常に高いと指摘し、「現在、ウクライナの人々はNATO加盟国からの目の眩むような大量の多種多様な装備を極めて上手に、かつ勇気を持って利用している。

NATOがウクライナ人たちに戦争の戦い方について教えれることは全く何もないだろう。実際には、彼らが私たちに教えれるであろうことがたくさんあるのだ」と主張した。

そして「ウクライナ人は、この戦争をできるだけ迅速に終わらせるために必要なあらゆるものを与えられるべきだ」と強調した。参照記事 参考:プーチン氏から「ミサイル」の脅し ジョンソン元英首相が回想   

3b4c5b1-12putin、、、、

このような発言がこれまでNATO向けされなかったのは、ロシアという大国を背負ったプーチンの攻撃的な態度に、大方の政治家が委縮した結果だろう。

プーチンの独断的カリスマ性に、何をするか分からないと恐懼(きょうく)した政治家も多かっただろう。

実際、裏工作や暗殺に長けた相手であり、ジョンソン元首相にプーチンは、「ボリス、あなたを傷つけたくはないが、ミサイルならたった1分で済む」と脅したと回想録にある(ロシア側は嘘と言っているが)。

相手がそんな狂った妄想家であるからこそ、なんらかの先手を打つことが暴走を止める策だったのだが、多くはドイツのように、プーチンになびくことで対立を避ける策に出た。
それをジョンソン氏は今喝破した。思っていたように太っ腹で、明晰な人のようだ。
FireShot Webpage Screenshot #577 – ‘

プーチン氏から「ミサイ以前に同じような発言をしたのは、フィンランドのマリン首相Finnish PM Sanna Marin、ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領位だ。

マリン首相は過去に「容赦なく正直に申し上げる必要がある。今の欧州は力が足りない。、、欧州は長いこと対ロ戦略を築いていた(中略)ロシアからエネルギーを買って、経済関係を緊密にすれば、戦争が防げると思っていたものの、_127871466_882cf9d981e53f79f7eafeこの考えは、まったく間違っていたと証明されてしまった」と述べた。

またマリン首相は、プーチン氏には戦争を終結させる能力が無いとも語っている。

ジョンソン氏は回想録で述べたが、マリン首相は現職で述べ、覚悟をもって中立を捨てた。りっぱな人だ。

相手が勝手な被害妄想で攻めてくる中で、平和は、待っていても自ら歩いては来ないのだ、、。
446c17c6

世界は誰もロシアを取ろうなどと思っていない。浮き上がったロシア軍は、現代のドンキホーテよろしく、勝手に「大祖国戦争(防衛戦争)」とやらへ向かって行けばいい。

現実は一目瞭然、プーチンは防衛では無く、無謀にも21世紀に侵略を行っている。

 参照記事 過去ブログ:2022年12月フィンランド首相、欧州の防衛力強化の必要性を強調  12月ロシアによる送電網への攻撃は「ジェノサイド」 ウクライナ 11月:スウェーデンが国内への核兵器配備容認もありえると、、?? 過去ブログ:2022年9月プーチン大統領のリムジンに暗殺未遂と露の「汚い戦争」 7月黒海のイルカ5000頭が戦争が原因で死亡?とドンキホーテ 』

ロシア「青少年軍」加入式、祖国に忠誠

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:ロシア「青少年軍」加入式、祖国に忠誠
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5407927.html

『ロシア南西部ボルゴグラード(Volgograd)にある博物館で先週、8~18歳を対象にした愛国運動「青少年軍(Youth Army)」に加入した10代の子どもたちが祖国への忠誠を宣誓した。

ベージュ色のズボンに赤いベレー帽姿の子どもたちは、ソ連の赤軍(Red Army)がナチス・ドイツ(Nazi)軍と激戦を繰り広げたスターリングラードの戦い(Battle of Stalingrad)をテーマにした博物館に集まり、白い大理石と勝利のシンボルで飾られたホールに並んだ。指導者が「祖国に永遠の忠誠を誓うか」と問うと、子どもたちは「誓います!」と声をそろえた。その様子を、当局関係者や退役軍人、地元の指導者らに交じって親たちも見守っていた。
youth-army275988409_1869188783274571_

AFPの取材に応じた母親のダリアさんは、息子のスタニスラフさん(12)が「自発的な決断」で運動に加わったので「応援した」と語った。一家はロシアによるウクライナ侵攻とその後の展開を受けて、愛国心をより一層強めたという。

ダリアさんは、ロシア政府がウクライナ侵攻を指す「特別軍事作戦」という用語を使い、息子は「特別軍事作戦について理解している」と話し、Russia-girl-gun「ある意味、世界で起きていることがあの子の決断に影響した」と明かし、6歳の息子の加入も希望している。「男子にとって大事なことは、国を愛し祖国を守り、愛国者になることだと思う」と語った。写真左2枚は、露占領下のクリミア半島から:Russia can use children from the “youth army of Crimea”

 ロシアでは以前から愛国教育が強化されていたが、昨年2月のウクライナ侵攻開始以降、さらに重視されている。青少年軍のウェブサイトによると、2016年の結成以来120万人以上が加入したという。参照記事 英文記事 
hitlerjugendintrokriegskindtrommlergjpg102~_v-gseapremiumxl、、、

ナチスの「ヒトラーユーゲント:(Hitlerjugend、略称 HJ、英: Hitler Youth)設立: 1926年7月4日」を思い出す。個人的には、絶対的に正しいものや絶対的永遠が存在しないのに、その判断も付かない子供に忠誠を誓わせることが大きな間違いだと思うからだ。唯一無二の国家がロシアとすれば、この子らにとってその他の国は取るに足らないものになるだろう。
introhitlerjugendgjpg100~_v-gseapremiumxlimages じゅh

世界の在り方はそうではない。共存が願いである。一気に100年遡って、プーチンロシアという国のカルト教信者にさせられる子供たちが哀れだ。

そして盲目的に個人崇拝導かれ、危険な全体主義に組み込まれていく彼らに危うさを感じる。記録映像』

ウクライナ「欧州のパンかご」直撃 世界的食料価格が高騰

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:ウクライナ「欧州のパンかご」直撃 世界的食料価格が高騰
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5408026.html

『ロシアのウクライナ侵攻は、世界的な食料価格の高騰を引き起こし、国連食糧農業機関(FAO)によると、2022年の世界の食料価格指数は前年比で約14%上昇し、1990年の統計開始から最高となった。

ちなみに、旧ソ連は、1980年代までは、穀物相場を左右する「大輸入国」であった。小麦とトウモロコシを合わせた年間の輸入量は、平均3500万トンあったが、2000年代からは、市場経済の下で生産性を向上させて、ウクライナを含む旧ソ連圏の穀物が7000万トン近く輸出に向けられるようになった。ここでは、ロシア、ウクライナ、カザフスタンが生産の主力で、中近東、北アフリカへ、次いで、サブサハラのアフリカなどへ輸出。日本にも2018年産で1万8000トンを輸出している。参照記事
FireShot Webpage Screenshot #576 – ‘Edit Image – Handy Screens

大半の地域がチェルノーゼムと呼ばれる肥沃な黒土(くろつち)に覆われていウクライナは「欧州のパンかごThe Breadbasket of Europe」と呼ばれる小麦やトウモロコシなど穀物の生産大国だ。侵攻前の小麦の生産量は世界6位、輸出量は5位だった。

ところが黒海がロシア軍に封鎖されると、主要輸出港の南部オデッサに穀物が滞留。FAOの穀物価格指数(14~16年の平均=100)は、侵攻が始まった2022年2月以降に上昇し、ピーク時の5月には173・5ポイントを記録した。その後、国連などの仲介で、7月に黒海からウクライナ産穀物の輸出が可能になり供給不安は後退したが、価格は侵攻前より高い水準で推移している。

ウクライナ産穀物への依存度が高いアフリカは、深刻な食料危機に直面する。国連世界食糧計画(WFP)によると、世界で切迫した食料危機に直面している人は22年、記録のある中で最も多い3億4900万人に上った。WFPはウクライナ侵攻が「既に危機的だった世界の食料状況を一層悪化させた」と指摘している。参照記事 』

【パレスチナ発】水は国防である 水道民営化という自殺行為

【パレスチナ発】水は国防である 水道民営化という自殺行為
https://tanakaryusaku.jp/2023/02/00028322

『ヨルダン渓谷まで足を延ばした。フェンスの外側にあたるパレスチナの領土を農業用水がサラサラと流れていた。

 水路の川幅は1メートル足らず。水量はお世辞にも豊かとは言えない。それでも土漠と砂漠に強烈な日差しが照り付ける中東にあって水はこのうえなく貴重な天然資源である。

 映画『アラビアのロレンス』で他民族の井戸の水を飲んだ男が撃ち殺される場面があるが、水は命なのだ。

 話を農業用水に戻そう。用水路はオスマントルコの時代に建設された。水源は渓谷の山である。

 水をコントロールしているのは、イスラエルだ。パレスチナ農家も使うことが可能だが、あくまでもイスラエル本位である。

 冬場はご覧のように水は滔々と流れているが、夏はほとんど流れなくなる。イスラエルが上流で水を止めるからだ。

 車を走らせていると、白茶けた土漠に突如として緑の森が出現する。イスラエルのナツメ椰子畑である。農業用水をふんだんに使える御蔭だ。木一本で年収100万円にもなるという。

青々と茂った森が土漠に出現する。イスラエル側のナツメヤシ畑。=1月、ジェリコ付近 撮影:田中龍作=

 第3次中東戦争(1967年)勃発の遠因にヨルダン川の水利用の問題があった。イスラエルが水を独占しようとしているのではないか、とヨルダン川沿いのシリア、ヨルダンが疑念を募らせ反発したのである。

 だが第3中東戦争はイスラエルが圧勝。ヨルダン川西岸を軍事占領した。パレスチナ住民はヨルダン川にアクセスできないようになってしまったのである。

 パレスチナ住民がヨルダン川にアクセスするには、ヨルダンまで出る他ない。

 ジェリコ(パレスチナ)で出国手続き→イスラエルの許可を得て→ヨルダン川の橋を渡り→ヨルダンで入国手続き。片道2日の旅である。

 水は国防に密接に関わってくる。東アジアの某国で進む水道民営化は国を危うくする。海外資本に運営を任せるなどという計画もあるようだが、自殺行為に等しい。

 イスラエルとパレスチナのどちらの民が聞いても「日本という国はまったく危機感がない」と呆れるだろう。

イスラエルの強力なポンプ。地下水もイスラエルが事実上支配する。=1月、ジェリコ付近 撮影:田中龍作=

     ~終わり~

田中龍作の取材活動支援基金 』

[FT]ウクライナのEU加盟 期待と現実のギャップ

[FT]ウクライナのEU加盟 期待と現実のギャップ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB0154T0R00C23A2000000/

『欧州連合(EU)加盟各国は、EUとウクライナの首脳会談に先立ち、同国に早期のEU加盟という非現実的な期待を抱かせないよう、EU指導部にくぎを刺している。ウクライナの首都キーウ(キエフ)で開かれる首脳会談では、同国のゼレンスキー大統領がEU加盟や復興支援について協議の進展を求めるとみられる。

ゼレンスキー氏は3日、フォンデアライエン欧州委員長とミシェルEU大統領をキーウに迎えて会談に臨み、ウクライ…

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

残り2281文字

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料! https://www.nikkei.com/promotion/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOCB0154T0R00C23A2000000&n_cid=DSPRM1AR07 』

『ゼレンスキー氏は3日、フォンデアライエン欧州委員長とミシェルEU大統領をキーウに迎えて会談に臨み、ウクライナのEU加盟、ウクライナ復興費用へのロシア凍結資産の活用、ロシア人を戦争犯罪で訴追するための法的仕組みの構築について働きかける見通しだ。
EU指導部が実現不可能な期待を助長

EU諸国の上級外交官らは、ウクライナが抱く実現不可能な期待(2026年までのEU加盟など)をEU指導部が抑えるどころか助長していることに懸念を示している。

「どんな政治指導者も、歴史の間違った側には立ちたくない。誰だって対応が不十分だと非難されたくはない」とEUのある上級外交官は語った。「だから(EU指導部は)すべてが可能だと(ウクライナに)伝えている」

22年2月のロシアによる侵攻開始を受け、EUはウクライナへの軍事、人道、財政面での支援を急いだ。その一環である対ロ制裁は域内経済に打撃を及ぼしている。EUはまた、ウクライナが加盟基準を満たしていないにもかかわらず、正式な加盟候補国に認定するという前例のない対応にも踏み切った。

ただ、中・東欧の一部加盟国がウクライナの要求を支持する一方で、北欧や西欧の加盟国は、ウクライナが抱える多くの貧困層や巨大な農業部門をEUに統合する方法について懸念している。

フランスのマクロン大統領は、ウクライナの加盟のスピードにとりわけ慎重で、正式に加盟候補国となる前の22年5月には、加盟手続きに「数十年」はかかる可能性があるとけん制している。

一方、EU指導部は楽観的な論調を打ち出している。フォンデアライエン氏は22年9月にキーウを訪問した際、「加盟プロセスは順調に進んでいる」との見方を示し、「進展のスピード、決断力、適正さに感銘を受けた」と話した。

EU大統領「早期加盟のための努力は惜しまず」

ミシェル氏は1月、ウクライナ議会で演説し、「この約束(EU加盟)を可能な限り早期に実現する」ために「いかなる努力」も惜しんではならないと強調した。「ウクライナはEUであり、EUはウクライナだ」とまで述べた。

こうした発言が、ウクライナは特権を持ち、早期のEU加盟に値するという期待を生み出している。ウクライナのシュミハリ首相は、加盟まで2年のスケジュールを想定していると明らかにした。

別のEU外交官は「ウクライナのEU加盟手続きが迅速に進むことはないだろう」と話す。「(EU側の)発言と現実に齟齬(そご)が生じる恐れがある」

フィナンシャル・タイムズ(FT)の取材に応じた複数の加盟国関係者は、欧州委員会はウクライナに対し、正式な加盟交渉を始めるにあたっては大きなハードルがあり、交渉を始めるだけでも10年以上はかかる可能性があることをはっきり知らせる必要があると語った。

さらに別のEU外交官は「(約束と現実との)ずれはすでに広がっており、もはや埋めることができないようなところまできている」と述べた。「(ウクライナは)あすにも加盟できると考えているようだ。もちろんそんなわけはない」

フォンデアライエン氏をはじめとする欧州委員は、キーウ訪問の一環としてウクライナ政府当局者と会合を開き、同氏とEU加盟27カ国を代表するミシェル氏が3日にゼレンスキー氏との首脳会談に臨む。

さらなる改革の必要性が浮き彫りに

あるEU高官は一連の会合に先立ち「我々は皆、ウクライナで改革の機運が続いていることに注目している」と述べ、法の支配や汚職防止への取り組みを例に挙げた。キーウでの協議では、さらなる改革の必要性が浮き彫りになる一方、EUとの経済協力や貿易障壁の削減にも話が及ぶとみられる。

ミシェル氏とフォンデアライエン氏は、欧州の銀行が凍結したロシア中央銀行の資産の運用益をウクライナの復興に活用する方法を検討するよう加盟国に呼びかけており、この点でも注目を集めている。

EU外交官の1人は「フォンデアライエン氏とミシェル氏は、どちらの方がウクライナ寄りの姿勢を示せるか競い合っているのかもしれない」と話す。

ウクライナ政府とEU、世界銀行は22年9月時点で、復興・再建にかかる費用が3500億ユーロ(約50兆円)近くにのぼると試算した。それ以降、ロシアが繰り返すミサイルやドローン(無人機)攻撃で重要インフラが損傷を受けるなか、復興費用は増加の一途をたどっている。

凍結資産の活用については、欧州委の内部で実現可能性を巡って大きな疑問が生じているにもかかわらず、求める声があがってきた。

レインデルス欧州委員(司法担当)は今週、FTに対し、ロシア政府の資産を利用するという考え方は「非常に複雑な問題」をはらむと述べた。これは「法的側面においてだけでなく、通貨制度を正常に機能させるうえでも言えることだ」という。

EU内では、ウクライナでの戦争犯罪疑惑でロシア人を調査・訴追するための特別法廷を設ける案についても、その形式を巡って意見が分かれている。

By Henry Foy and Sam Fleming

(2023年2月1日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2023. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation. 』

欧州委員長がウクライナ訪問、軍事・経済支援確約 連帯表明

欧州委員長がウクライナ訪問、軍事・経済支援確約 連帯表明
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-eu-idJPKBN2UC1MN

『[キーウ 2日 ロイター] – 欧州委員会のフォンデアライエン委員長は2日、欧州連合(EU)とウクライナの首脳会談を控え、数十人の代表団を率いて首都キーウ(キエフ)を訪問し、軍事、経済、政治支援を確約した。

フォンデアライエン委員長は到着後、直ちにウクライナのゼレンスキー大統領と会談。ゼレンスキー氏は3日にEUのミシェル大統領と会談を行う。

フォンデアライエン氏はキーウで行った共同記者会見で「欧州は(ロシアによる侵攻の)初日からウクライナの側に立っている。欧州大陸の未来はウクライナで描かれている。これは権威主義体制に対する民主主義国家の戦いだ」とし、「われわれはウクライナに欧州の主要なプログラムへの参加を提案している。これにより、ウクライナは多くの分野で加盟国に近い恩恵を享受できる」と述べた。ただ、具体的な時期については明言しなかった。

ゼレンスキー氏は、EUの対ロシア制裁第10弾について協議したと述べた上で、「欧州による制裁のペースがやや鈍っている一方、テロ国家(ロシア)の制裁に適応するペースは上がっている」と指摘した。

ただEUは、EUとして訓練するウクライナ兵の数を年内に3万人に倍増させるほか、ウクライナがロシアから奪還した地域の地雷除去に2500万ユーロ(2750万ドル)を拠出すると確約している。

この日にキーウを訪問したEU代表団には外交、移民、農業、経済、司法担当の高官も含まれており、EU関係者によると、ウクライナへの兵器や資金の提供、ウクライナ製品のEU市場へのアクセス拡大、首都キーウのエネルギー支援のほか、侵攻を巡るロシア指導者の告発などについて協議した。

ウクライナのEU加盟について、EU当局者はこれまでに政治、経済の安定からさまざまなEU規則の採用に至るまで、多くの要件を挙げている。

ロイターが入手した共同声明案は、EUは昨年6月にウクライナを加盟候補国とした後、「一段の欧州統合」を支持するとの確約を強調し、全ての条件が「完全に満たされた」後にさらなる措置を決定するとしている。』

現地メディア、ウクライナ軍を支えてきたレズニコフ国防相が近日中に辞任

現地メディア、ウクライナ軍を支えてきたレズニコフ国防相が近日中に辞任
https://grandfleet.info/european-region/ukrainian-defense-minister-reznikov-to-resign-soon-reports-local-media/

『複数のウクライナメディアは「レズニコフ国防相が近日中に辞任する」と報じており、キエフ・ポスト紙の取材に応じた同氏は辞任報道について肯定も否定せず「地位や立場に関係なくウクライナ勝利のため戦う」と述べている。

参考:Defense Minister Vows to Fight for Ukraine ‘Regardless of Position’ Amid Resignation Rumors

レズニコフ国防相の辞任はインパクが大きく、一部のウクライナメディアは法務相に再登用されるのではないかとも報じている

ゼレンスキー政権は今年に入って大規模な政府関係者の汚職や権力乱用に直面、発電機調達で40万ドルの賄賂を受け取ったインフラ省のロジンスキー副大臣、厳戒令を無視して家族とスペイン旅行に出かけたシモネンコ副検事総長、寄贈された高級SUVを私的に乗り回したティモシェンコ大統領府副長官、兵士向けの食料を市価の約3倍で契約したスキャンダルに巻き込まれたシャポワロウ国防副大臣など1月だけで10人以上の政府高官を解任(辞任も含む)した。

出典:Defence of Ukraine / CC BY 4.0

レズニコフ国防相も食料や装備品の調達に関連したスキャンダルに巻き込まれて調査対象になっており、複数のウクライナメディアは「レズニコフ国防相が近日中に辞任する」と報じている。

キエフ・ポスト紙の取材に応じたレズニコフ国防相は自身の辞任報道について肯定も否定せず「公職者は終身雇用されていると考えるべきではない。私の主な仕事はウクライナが勝利するため近代的な武器を最大限調達してくることだ」と述べ「地位や立場に関係なくウクライナ勝利のため戦う」と付け加えた。

出典:Oleksii Reznikov

今のところレズニコフ国防相の辞任理由は明らかになっていないが、キエフ・ポスト紙は「昨年の夏頃にレズニコフ国防相は辞任を申し出たがラムシュタイン会議を控えていたための許可されなかった」と報じているので、スキャンダルの責任を取る形で国防相を辞任したいのかもしれない。

因みにレズニコフ氏の本職は弁護士で、ゼレンスキー政権の国防相として資金の透明性を確保した国防調達改革に取り組んでいたが、ウクライナ侵攻後はザルジュニー総司令官に「勝つため必要なものを教えてくれ、同盟国を説得してそれを調達してくるのが私の仕事だ」と述べ、ウクライナへの武器支援を話し合うラムシュタイン会議を主導し榴弾砲、自走砲、HIMARS、防空システム、歩兵戦闘車、戦車の調達を実現してきた。

占領された北方領土は日本のものです。

Had a very constructive meeting with Ambassador of 🇯🇵 Kuninori Matsuda. We greatly appreciate 🇯🇵 financial&humanitarian assistance to 🇺🇦 in this difficult time.I sent greetings to the 🇯🇵 #DefMin Yasukazu Hamada &invited him to visit 🇺🇦
🇺🇦🤝🇯🇵 pic.twitter.com/RnQ7tGGzKV

— Oleksii Reznikov (@oleksiireznikov) October 27, 2022

それだけにレズニコフ国防相の辞任はインパクが大きく、一部のウクライナメディアは法務相に再登用されるのではないかとも報じている。

追記:露ワグナーがミコライフカを占領したという報告(視覚的な確認はまだ)がある、、、

出典:GoogleMap バフムート周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

関連記事:ウクライナのレズニコフ国防相、我々への武器支援を妨害するなとドイツ批判
関連記事:ゼレンスキーが軍に南部奪還を命じる、問題は100万人の兵士に必要な武器
関連記事:組織の腐敗で武器を失うウクライナ軍、支給されたのはマキシム機関銃¥

※アイキャッチ画像の出典:Oleksii Reznikov
シェアする
ツイートする
Twitter で Follow grandfleet_info

Tweet Share +1 Hatena Pocket RSS feedly Pin it 

投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 5 』

首相、比に年間2千億円超支援表明へ

首相、比に年間2千億円超支援表明へ
https://news.yahoo.co.jp/articles/ea8af6ddb91df46e7829e90f2bf4fecc7e73bf4e

 ※ 広域強盗の指示者と見られる人物たちの引き渡し問題なんかも、こういう文脈の中で処理されていく…。

『 岸田文雄首相は、8日に来日するフィリピンのマルコス大統領との会談で、年間2千億円を超える支援を表明する方向で調整に入った。複数の政府関係者が2日明らかにした。』

南シナ海の埋め立てを知るための本

南シナ海の埋め立てを知るための本
https://geopoli.exblog.jp/24601630/

『2015年 06月 18日

今日の横浜北部は一日曇りでして、午後は強烈なにわか雨がありました。梅雨まっただ中です。

さて、現在大きな注目を集めている南シナ海について少し。

私がいま住んでいるところにはテレビがないのですが、聞くところによると、本日のNHKの1900からのメインの報道番組であう「ニュース7」で、南シナ海埋め立て問題について、海外取材も交えて扱われたとか。

本ブログや生放送などをご覧の方にとっては、この中国の埋め立て問題というのは取り立てて珍しい話ではないかもしれませんが、個人的には(まだ足りないながらも)大手メディアがここまで取り上げるようになったかというのは、なんというか不思議な気持ちになります。

もちろんこの問題は、今後の国際政治の流れだけでなく、日本の今後の安全保障環境にも決定的な影響を与える可能性が大きいので目を離せないわけですが、日本のメディアは(その善し悪しは別として)総じて安全保障問題には関心が低めです。

そのような中で、当然ながらこの問題に最も関心をもつべきであろう防衛省から、非常に参考になるプレゼン資料(PDF)が公開されました。そのいくつかのキャプチャ画像は以下の通りです。

南シナ海の埋め立てを知るための本_b0015356_21354790.png
南シナ海の埋め立てを知るための本_b0015356_2136854.png

南シナ海の埋め立てを知るための本_b0015356_21363134.png

この資料を見て最初に感じることは、なんというかその独特なプレゼンのスタイルの「匂い」でしょうか。一枚に情報が凝縮されて「テンコ盛り」という感じが(笑

このような資料はとくにこれまでの経緯を知る上で重要なのですが、孫子の頃から言われているように、戦略を考える上で重要なのは「相手がどのようなことを考えているのか」という点です。

ご存知の方は「いまさら」と感じるかもしれませんが、私は昨年の10月末に、この南シナ海問題について、とりわけ中国側の視点を教えてくれるような本を、ほぼ同時に2冊出版しております。
南シナ海の埋め立てを知るための本_b0015356_22191240.jpg
一冊目はもちろんシカゴ大学教授のジョン・ミアシャイマーの『大国政治の悲劇』(改訂版:脚注付き)でありまして、この中の最終章となる第10章の中で、「中国の台頭は平和的にはならない」という自らの主張を論じる中で、中国にとっての南シナ海の問題について触れております。

ところがそれよりもさらに中国の南シナ海についての見解を教えてくれるのが、もう一冊のロバート・カプランというジャーナリストの書いた『南シナ海:中国海洋覇権の野望』という本です。

南シナ海の埋め立てを知るための本_b0015356_21455065.jpg

この本は日本版のタイトルがテーマそのものずばりを言い表しているのですが、南シナ海周辺国の安全保障問題を旅行記のような形で説明しつつも、その歴史的な経緯や現地の政府高官へのインタビューなども交えるという、独特のスタイルで書かれております。

その中で、実際にカプランが北京の安全保障セミナーに参加した時の様子が書かれていてとても参考になる部分があります。以下にその部分を要約した形で書き出してみます。

===

●北京には怪しい「特効薬」があふれていた。それは「中国は守りに徹している間に、アメリカは侵略している」というものだ。その核心にあるのが南シナ海の問題だ。

●北京では、タカ派もハト派も関係なく「中国が近代に入ってから西洋の列強に大きな被害を受けた」という感情が深く共有されており、彼らは南シナ海の問題を、例外なく「国内問題である」とみなしている。

●なぜなら彼らは単純に「南シナ海は、海洋に伸びた中国の領土である」と認識しているからだ。

●ある晩、私が中国の学生向けに開催したセミナーでは、緊張に震えながら恥ずかしそうにしていた若者が、「なぜアメリカは我々の調和と慈愛に対して覇権で対抗しようとするのですか?アメリカの覇権は中国の台頭に直面すれば混乱を招くだけです!」と吐き捨てるようにコメントしていたほどだ。

●北京の理屈からいえば、アメリカの権益はまたして「覇権的なもの」と映る。北京の理屈から言えば、アメリカこそが「アジアを支配下におさめて、その莫大な戦力投射能力を、野蛮な形で発揮している」ということになる。

●つまりワシントン政府こそが南シナ海の紛争を「煽る」存在であり、中国ではなくアメリカこそが「抑止されるべき存在」であることになるわけだ。

●結局、中国は東アジアにおいて儒教の価値観を基礎とした冊封体制を2000年近くも維持してきたのであり、ヨーロッパの勢力均衡体制よりはるかに調和がとれて、戦争の少ない状態を維持してきたということになる。

●したがって平和の維持に関して言えば、「欧米諸国は中国に何も教える資格はない」というのが彼らの言い分なのだ。このような独特な感覚は、彼らの地理観によってもうかがい知ることができる。これについては究極の解決法のようなものは存在しないといえよう。

●したがって、われわれは再び「封じ込め」という概念に戻ってしまう。

(pp.234-35)

===

うーむ、なんというか、彼らにとっては南シナ海の問題というのはただ単に(国家の神話によって)「取り返しにきている」という感覚があるわけですから、彼らにとっては「完全に正義」な問題となってしまっているわけです。

もちろん彼らの狙いは、この海域で戦争を起こすことにあるわけでなく、あくまでも地政学的なパワーバランスを修正するためのポジションの修正にあるわけですから、必ずしも周辺国との軍事衝突を必要としているわけではありません。

ただ問題なのは、それを実現するためには軍事衝突が手っ取り早い、と勘違いしてしまう人間が北京や軍人たちの中に出てくる可能性を否定できない部分かと。

まあとにかくこれからもこの問題はダラダラと続きそうです。

ビジネスと人生に活かす『クラウゼヴィッツ理論』CD

▼ビジネスと人生に活かす『クラウゼヴィッツ理論』

※詳細はこちらから↓

http://www.realist.jp/clausewitz-business.html

奥山真司のアメリカ通信LIVE

http://ch.nicovideo.jp/strategy
奥山真司のアメリカ通信LIVE

https://www.youtube.com/user/TheStandardJournal 』

フィリピンで米軍使用基地4か所増へ 対中国抑止力を高める

フィリピンで米軍使用基地4か所増へ 対中国抑止力を高める
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230202/k10013968771000.html

 ※ 画像は、ネットで拾った。

『アメリカのオースティン国防長官は、訪問先のフィリピンでマルコス大統領と会談し、アメリカ軍がフィリピン国内で使用できる基地を新たに4か所増やすことで合意しました。アメリカとしては、南シナ海などで軍事的な活動を活発化させる中国への抑止力を高めるねらいがあります。

フィリピンを訪れているアメリカのオースティン国防長官は2日、首都マニラでマルコス大統領やガルベス国防相とそれぞれ会談しました。

会談後の発表によりますと、両国は2国間の協定に基づき、アメリカ軍がフィリピン国内で使用できる基地を、現在の5か所から新たに4か所増やし、合わせて9か所にすることで合意したということです。

新たな4か所の場所は明らかにされていませんが、アメリカとしてはフィリピン国内での拠点を増やすことで、南シナ海や台湾海峡の周辺で軍事的な活動を活発化させる、中国への抑止力を高めるねらいがあります。

アメリカのオースティン長官は、記者会見で「フィリピン周辺の海域での、地域を不安定化させる活動に対処するための行動について協議した。われわれの同盟は両国の民主主義をより安全なものにし、自由で開かれたインド太平洋を維持するのに役立つ」と述べました。

また、マルコス大統領も「フィリピンとアジア・太平洋地域の将来は、米国を常に必要としているように私には見える。両国のパートナーシップは互いにとって利益しかない」と述べて両国の合意を歓迎しました。

中国「アメリカに利用されないようにすべき」

アメリカのオースティン国防長官が訪問先のフィリピンでマルコス大統領と会談し、アメリカ軍がフィリピン国内で使用できる基地を新たに4か所増やすことで合意したことについて、中国外務省の毛寧報道官は、2日の記者会見で「国家間の防衛や安全保障の協力は地域の平和と安定に資するものでなければならず、第三者の利益を損なったり対象にしたりすべきではない」と反発しました。

そのうえで「アメリカは私利私欲からこの地域で絶えず軍備を増強して地域情勢の緊張を高め、平和と安定に危害を及ぼしている。地域の国々はこれを警戒し、利用されないようにすべきだ」と述べ、アメリカとフィリピンをけん制しました。』

中国の偵察気球、米本土上空を飛行 米国防総省発表

中国の偵察気球、米本土上空を飛行 米国防総省発表
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN030CU0T00C23A2000000/

『【ワシントン=中村亮】米国防総省のライダー報道官は2日、記者団に偵察用気球が米本土上空を飛行していると明らかにした。国防総省高官は中国の気球であると確信していると説明した。「現在の飛行経路は機密に関わる多くの場所を通る」と指摘し、軍事施設の偵察を試みている可能性を示唆した。

国防総省高官によると、気球は民間機の一般的な飛行高度よりも高い位置を飛行している。数日前から米本土の領空に侵入しているという。偵察気球の情報収集能力について「中国が低軌道の人工衛星で得られるであろう情報より大きな付加価値を生むものではない」と分析した。

過去数年間で似た事案が数件あったが、今回は米本土を飛行している時間が以前より長いと指摘した。在米中国大使館に対してだけでなく、北京にある米国大使館を通じて中国側に「問題の深刻さ」を伝えた。

フィリピンを訪問していたオースティン国防長官は1日、米軍高官と緊急会議を開いて対応を協議した。米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長らは撃墜すれば残骸が居住地域に落下するリスクがあると指摘し、撃墜すべきでないと進言した。

1日に西部モンタナ州の人口密集度が低いエリアの上空を飛行した際に撃墜を検討したが、一般市民へのリスクを排除できないとして見送った。バイデン米大統領は気球に関する状況の説明を受けた。

【関連記事】

・米国務長官、今月の中国訪問で習主席と会談へ FT報道
・米下院議長、台湾訪問めぐり「中国の指図受けない」
・「台湾侵攻」の前提は新統一戦略、習氏が指名した書き手

ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料! https://www.nikkei.com/promotion/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGN030CU0T00C23A2000000&n_cid=DSPRM1AR08 』