米国は本土のチタン鉱山が2020年までにすべて閉山してしまっている
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『David Brennan 記者による2023-1-28記事「The Battle for Ukraine’s Titanium」。
米国は本土のチタン鉱山が2020年までにすべて閉山してしまっているので、チタニウム合金の原材料を海外に依拠している。
そしてウクライナは、チタンのスポンジ(原鉱石)を産出する7大国のひとつである。
2022年の統計。最大のチタニウムスポンジ採掘国は中共で23万1000トン。これは世界の57%である。
次が日本で17%、その次がロシアで13%と続く。
カザフスタンは1万8000トン。
ウクライナは4000トンだ。
ロシアの「VSMPO-Avisma」は世界最大のチタン輸出企業で、ボーイング社とJVの関係を結んでいた。
ボーイングは対露制裁の一環として新規輸入を止めたのだが、エアバス社はまだVSMPOからの輸入を続けている。
米国やNATOの工業国は、モスクワはいずれ、チタン原材料の輸出を禁止することで西側を揺さぶりにかかると見ている。それに備える必要があるだろう。
ロシアはチタンの産地でありながら、自国内にはスポンジの在庫はない。近年は、スポンジをウクライナから輸入していたという。だからウクライナのスポンジ在庫に無関心のわけがない。それなしでは航空機やミサイルは製造できないのだ。
2022-2-24の開戦から数ヵ月にして露軍は、ウクライナ国内の2箇所のチタン鉱石の集積所を占領した。
だがその前から確保作戦は進んでいた。
富豪の鉱山主、ドミトリー・フィルタシュは今、オーストリアへ逃れ出ているが、2021年に、ザポリッジアにあるチタンとマグネシウムの工場(欧州で唯一のチタンスポンジ精錬工場)の株式の49%を売り払うことを強いられた。この工場は開戦前から露軍のためにチタンを納入していた。
2022-1にはフィルタシュは、クリミアに保有していたチタニウム工場を、ロシアのチタン関連会社に売却している。
戦後のウクライナ再建には1兆ドルかかるだろうと見られている。
この事業は外国にとっては飯のタネにもなり得る。
ゼレンスキーは、国内のチタン鉱やリチウム鉱を餌にしてなんとか西側から復興事業を誘引したいと思っている。』