M1エイブラムズを米軍仕様のままで輸出または援助することは、主要な同盟国相手であってもできない。

M1エイブラムズを米軍仕様のままで輸出または援助することは、主要な同盟国相手であってもできない。
https://st2019.site/?p=20820

『Joseph Trevithick 記者による2023-1-25記事「M1 Abrams Tanks In U.S. Inventory Have Armor Too Secret To Send To Ukraine」。

   M1エイブラムズを米軍仕様のままで輸出または援助することは、主要な同盟国相手であってもできない。最大の難点は、装甲鈑の中に劣化ウラン(減損ウラン=depleted uranium=DU)が使われていることである。

 この劣化ウラン装甲をサンドウィッチしていない、とくべつな、他国供与向け専用のM1バージョンを用意しなくてはならないのだ。

 だから、M1がじっさいにウクライナに届けられる時期は、早くて今年の後半。おそらく来年じゃないかという。

 DU装甲はM1A2型から標準だが、A1の一部にもレトロフィットでアップデート工事されている。

 DU装甲は、その素材には特に秘密はないが、どのように加工して装甲化しているかはデザイン上の秘密。したがってこの装甲がついたバージョンを外国軍に渡すわけにはいかないのだ。

 1988にさだめられた保秘指令では、もし戦場でM1の装甲の一部が破壊されて断面が見えるような状態になったら、すぐそこにカバーをかけ、誰かに撮影されないようにし、できれば臨時に何かを熔接して塞いで、戦車は回収しなければならぬとしていた。

 豪州、エジプト、イラク、クウェート、モロッコ、サウジに輸出されているM1のバージョンには当然、DUは使われていない。代わりにセラミックが入っているはずである。それも勿論、秘密だが。

 ストック品の砲塔からDUを外してセラミックに代える工事には600万ドル弱かかるんじゃないかという。最初のバッチの28両につき。

 時間もカネもかかる話なので、米政府は、エジプトかサウジに要請して、そこにある、すでに非DU化されているM1を転送するんじゃないかという想像も可能だ。
 エジプトは1360両ものM1A1をもっている。
 サウジは370両以上。しかもサウジ軍は人手が足りないため、2016年時点で、170両はガレージに入れたまま、動かしてないという。

 しかしどちらの政府も、もし手持ちのM1をウクライナに転送させることを認めれば、ロシアが怒る。それでも許可するのかという話になる。』