なぜ日本の情報機関は世界に劣るのか 歴史から見る

なぜ日本の情報機関は世界に劣るのか 歴史から見る
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/29257

 ※ 今日は、こんな所で…。

 ※ kindle版が出ている…。

 ※ kindle版のサンプル本をDLして、そこからキャプチャした画像を、貼っておく…。

 ※ ざっと目次を見たが、参考になりそうだったので、購入した(kindle版)。

 ※ ただし、kindle版と言っても、kindle端末で読むわけではない…。

 ※ kindle for PCソフトで、もっぱらディスプレイで読む。

 ※ ちょっと、気になる事項は、直ぐにググったりできるから、しごく便利だ…。

 ※ kindle端末の方は、引き出しに入ってる…。充電切れで、死んだ状態で…。悲しげに、パッテリー切れの表示を出しながらな…。

『インテリジェンスという言葉に接する時、どんなイメージが浮かぶだろうか。スパイ映画やサスペンス小説での情報合戦を連想される向きも多いだろう。本書『日本インテリジェンス史―旧日本軍から公安、内調、NSCまで』(中公新書)によると、国家の安全保障に寄与して政策決定を支援する機能を持つのがインテリジェンスの本質である。こうした基礎概念の確認を含めて、日本のインテリジェンスを深く考える本である。戦後史の中で日本のインテリジェンスにおける議論がどのような道をたどってきたのかを丹念に記している。
(AlexLinch/gettyimages)

世界情勢とともに変わる日本のインテリジェンス

 本書を一読すると、日本のインテリジェンス・コミュニティの模索は、戦後すぐから始まっていることがわかる。旧軍出身者が連合国軍総司令部(GHQ)参謀第二部(G2)に協力する形で米国に近づいていくが、真の動機は旧陸軍の復活だった。

 G2の支援を受けて、有末精三・元陸軍中将らが暗躍する様子が示される。著者はこう記す。
 有末らは表面上、G2に協力していたものの、その本心は日本軍の再建にあり、利用できるものは何でも利用する方針のようであった。そのためG2と競合関係にあったCIAは、有吉らの情報は不正確で役に立たず、組織も中国に浸透されていると警告を発していた。

 その後、マッカーサーの退任や関係者の異動で米側の支援がなくなると、こうした動きも立ちゆかなくなる。一方でGHQは日本国内の共産主義活動に関心があり、G2が日本国内の共産主義活動の調査に並々ならぬ意欲を示していたことが本書に記される。そうした中で、吉田茂政権の下で公安調査庁ができる。

 当初の任務はソ連から引き揚げてくる日本人の調査で、京都の舞鶴に拠点を設け、調査官が聞き取り調査を行うというものであった。当時は少なからぬ日本人がソ連への協力を誓約させられて帰国してきたので、そのようなソ連側協力者の選別と、ソ連国内の状況、特に軍事や経済に関する情報を収集したようである。これが公安調査庁の活動の原点となった。

 その後も吉田茂と盟友の緒方竹虎が日本のインテリジェンスに並々ならぬ関心を持ち、中央情報機構を作ろうと試みる。そこには世界的な動きがあった。著者はこう記す。
 当時の世界的な潮流は、東西冷戦を戦い抜くために、政治指導者に直結する独立した中央情報機関の設置にあった。

 米国では1947年に大統領傘下の組織として中央情報庁(CIA)が創設されている。同じ敗戦国のドイツでも、1946年には元独軍の情報将校ラインハルト・ゲーレン率いるゲーレン機関が設置されていた。そうなると、日本政府内にも独立した情報機関が構想されたのは自然の成り行きであろう。』

『こうした時勢を受けて、49年春頃に設置されたのがZ機関で、日本国内で反共的な秘密工作を行うようになった。さらにZ機関の長だった米陸軍中佐のジャック・キャノンから米CIAのような政治指導者直属の情報機関の設置を薦められたこともあり、「日本版CIA」調査室が設置される。

 しかしこうした動きがありながら、当時のインテリジェンス・コミュニティ構想は他国並みには発展しなかった。なぜなら組織が各省出身者の「寄り合い所帯」であり、官庁間の争いが先鋭化していたためである。その後、「日本版CIA」調査室は内閣調査室(内調)となり、内閣のための情報組織という色彩が強くなる。

浮き彫りになる根本的な問題

 そうした中で冷戦期は日本がサンフランシスコ講和会議で独立し、防衛庁・自衛隊が発足して再軍備を果たすと、警察がインテリジェンスの中心になっていく。ソ連を始めとする共産圏の情報収集やソ連から帰国してくる引揚者の聞き取りなどを行い、他省庁との情報共有も行うようになる。しかし、秘密保護法制やスパイ防止法などは整備がなされないままで、旧ソ連のスパイが日本で情報戦を展開するなど、重要な情報が流出する結果を招いている。

 76年9月の旧ソ連の戦闘機「ミグ25」が北海道の函館空港に強行着陸し、パイロットのヴィクトル・ベレンコ中尉が米国に亡命する事件が起きる。一定の年代以上の人の中には「ベレンコ中尉亡命事件」として記憶している人も多いだろう。当初は地元の北海道警が対応を行い、本来すぐに対応すべき航空自衛隊が関与するのは後になってからである。著者はこう指摘する。
 ベレンコ事件は警察が国内事件として処理していた。日本における対外情報機関の空白と、軍事情報の領域を警察がカバーするという特殊性を際立たせるものになった。

 その後、83年9月に起きた大韓航空機撃墜事件の際にも、日本側が通信傍受を行い、その内容を米国側に提供したにもかかわらず米国側が主導して発表し、しかもそれが発表のわずか1時間前に伝達されるという日本の立場をないがしろにされるような事例も起きている。これについて著者はこう分析する。
 冷戦期における日本のインテリジェンスの根本的な問題は、日米同盟の下で日本が独自の外交・安全保障政策をとる必要性がなかったことと、さらに構造的な問題として日本のインテリジェンス・コミュニティが米国の安全保障政策に組み込まれていたことである。冷戦期の日本のインテリジェンスは、米国の下請けとして機能してきたといえる。

 さらにこうも指摘する。

 冷戦期の日本のインテリジェンス・コミュニティは、他国のように、恒常的に政治指導者の政治判断に有益な情報を提供できていなかった。また政治指導者の側もインテリジェンスにあまり期待していなかったのではないだろうか。その根本的な原因はやはり内調の規模や権限があまりにも限定されており、有益な情報活動が行えなかったことだろう。』
『必要性高まる情報機関へのリテラシー

 こうした経緯から、情報機関の重要性が認識された結果、その後平成、令和と時代を経る中で、政府はインテリジェンス・コミュニティの整備を行ってきた。そして第二次安倍晋三政権での特定秘密保護法や国際テロ情報収集ユニットの整備につながる。

 著者があとがきで記すように、日本のインテリジェンス・コミュニティの形成過程を歴史的に踏まえた書物はこれまでなかった中で、本書は詳細な調査や関係者への取材を重ねて丁寧にまとめられている。情報機関に関する日本国民のリテラシーを向上させてくれる貴重な力作であり、公務員や企業関係者も含めて必読の一冊である。』

国連安保理決議違反で終末に向かう金正恩政権

国連安保理決議違反で終末に向かう金正恩政権—誤算の可能性高まる
https://www.epochtimes.jp/2023/01/134342.html

『北朝鮮は2022年、年明けと同じように、国連安全保障理事会の決議に反してミサイルを発射して年を終えた。 そして、昨年、今までにない頻度でミサイル発射を行った北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)は、2023年の年明けに核弾頭の保有量を「幾何学級数的」に増やすことを命じた。

もしそれが現実となり、金政権が核攻撃を命じたなら、韓国と米国の軍隊は、同盟・提携国とともに金政権を終わらせることを誓っている。

AP通信によると、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領はビデオ会議で軍高官に対し、「新年を迎えたが、わが国の安全保障の状況は非常に厳しい。 わが軍は、敵からのあらゆる挑発に対し、一戦を辞さないという確固たる決意をもって断固として制裁しなければならない」と述べた。

フランス通信は、北朝鮮が2023年1月1日に、日本海(韓国名:東海)に向けて短距離弾道ミサイルを発射したと報じた。 韓国の統合参謀本部によれば、ミサイルは400キロ飛んで海に落下した。 専門家らは、北朝鮮は国連決議違反を繰り返すことで誤算のリスクを高め、北東アジアおよびその他地域の平和と安全の安定を脅かしているとみている。

韓国政府系報道機関の聯合ニュースによれば、韓国統合参謀本部は声明で、「わが軍は、北朝鮮の挑発に対し、圧倒的な対応能力をもって万全の準備態勢を維持する」と述べた。
日本は元旦に行われたミサイル発射に対し、北朝鮮に抗議した。 このような軍事活動は、「日本の安全保障にとって重大かつ切迫した脅威であり、地域および国際社会の平和と安全を著しく損なうものである」と日本の2022年国防白書は述べている。

日本は朝鮮半島の緊張が高まる中で、弾道ミサイル防衛を強化している。 ジャパンタイムズ紙によると、日本海上自衛隊は2022年11月、ハワイでSM -3ブロックIBとSM -3ブロックIIA迎撃ミサイルで短距離および中距離弾道ミサイル目標を撃墜する演習を行った。 日本と米国が開発した先進兵器であるSM-3ブロック IIAを日本の軍艦が発射したのはこれが初めてとなる。

「北朝鮮のミサイル実験は、米国とアジア同盟国に対する軍事的弱点を補うために核兵器を拡大しようとする北朝鮮の意図を示すもので、地域の緊張を高めるだけでなく、近隣諸国への脅威も高めるものだ。 しかし、北朝鮮はこれまで米国、日本、韓国の結束にくさびを打ち込もうとしてきたが、最新の動向を見ると、挑発を繰り返すことでかえって逆効果となっている」とジャパンタイムズは報じている。

2023年1月上旬の報道によると、日韓当局は、北朝鮮のミサイル発射をリアルタイムで捉えるレーダーデータを共有する方法を模索している。 NKニュースによると、情報共有の強化によりミサイル実験への対応改善が期待され、年内に合意に至る可能性がある。

東京大学先端科学技術研究センターの特任教授、山口亮氏(Ryo Hinata – Yamaguchi)氏はNKニュースに対し、「日本と韓国にとって最大の相互利益は、ミサイルの察知と追跡の精度が高まるということであり、それは迎撃と反撃の両方に不可欠だ」と語った。

2023年1月、韓国当局は、北朝鮮への共同対応を強化するために米国とも協力していると発表した。

2022年、北朝鮮は1日に23発を発射するなど、他のどの年よりも多くのミサイルを発射した。 CNNによると、北朝鮮は12月末までに90発以上の巡航ミサイルと弾道ミサイルを発射した。 2022年11月に韓国の李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防相は、ロイド・オースティン米国防長官と会談した後、両国は「戦術核兵器の使用も含め、北朝鮮によるいかなる核攻撃も容認できず、そうなれば同盟の圧倒的かつ断固とした対応で金正恩政権の終わりをもたらすだろう。 これは北朝鮮に対する強い警告だ」と述べた。

北朝鮮の挑発と地域の安定を脅かす行為に対して、オースティン米国防長官は米韓同盟は「堅固」なことを確認し、

「米国は引き続き韓国の防衛を全面的に約束し、 拡大抑止強化に対するコミットメントに揺るぎはない。 それには、核・従来型ミサイル防衛を含むあらゆる防衛能力が含まれる」と述べた。

金政権、「深刻な結果」に直面

米国国家防衛戦略(NDS)は、北朝鮮の脅威は中国やロシアの脅威とは比較にならないものの、米国とその同盟・提携国にとって抑止上のジレンマであるとしている。 NDSは、「北朝鮮は、化学兵器の備蓄も含め、核弾道ミサイルや核以外の戦闘能力を拡大、多様化、改善しており、米国本土とインド太平洋地域に持続的な脅威と危険の増大をもたらしている。 朝鮮半島で危機や紛争が発生すれば多数の核武装勢力が関与することになり、紛争拡大のリスクが生じるだろう」との見解を示している。

また、NDSは金政権が核兵器を使用すれば「深刻な結果」に直面することを明確に示し、韓国の李国防相と同じく、そうした攻撃は金政権の終わりになるとのメッセージを打ち出している。

NDSは、「核兵器を使用した場合、金政権が生き残る道はない。 核兵器を使わなくても、北朝鮮は東アジアで迅速な戦略的攻撃を行う可能性もある。 米国の核兵器は、引き続きそのような攻撃の抑止力となる」と述べている。

報道によると、クリスマスの翌日、北朝鮮は韓国領空に5機のドローンを5時間飛行させ、韓国軍は戦闘機、攻撃ヘリコプター、その他の航空機を緊急発進させた。 そのうち1機のドローンはソウルに到達し、その後韓国軍のレーダーから消失した。 韓国中央日報によれば、ドローンは大統領府には近づかず、韓国当局は「重要な施設近辺ではさらに優れた防衛システムが使われている」と述べた。

北朝鮮のミサイル精度に疑問

北朝鮮が、核実験とミサイル実験の停止を求める国連安全保障理事会決議に違反して無責任で無謀なミサイル発射を続ける中、誤算のリスクは依然として高い。

これまでのところ、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル (ICBM)実験は、近隣諸国への着弾を避けるために急角度で発射されている。 AP通信によると、ICBMは標準的な軌道による発射が行われておらず、北朝鮮の核兵器の信頼性は依然として疑問視される。 金正恩総書記の妹である金与正氏は、北朝鮮の兵器精度とスパイ衛星開発に対する疑念に反論した。 AP通信によると、北朝鮮は最近、最初の軍事偵察衛星をテストしたと主張、宇宙から撮影した韓国の都市の低解像度の写真を2枚公開している。 2022年12月下旬のスパイ衛星の主張が疑問視されていることに対し、金与正氏は、北朝鮮がその実行可能性と精度を証明するために太平洋に向かってミサイルを発射することもできると示唆した。

「自分は疑問を払拭できる。 我々が通常軌道でICBMを発射すればそれがすぐにわかるだろう」と朝鮮労働党中央委員会副部長の肩書を持つ金与正氏は述べた。 同氏は兄に次いで最も影響力のある高官とみなされている。

制裁と非核化を求める国際的圧力にもかかわらず、北朝鮮は防衛を強化することを誓っている。 金正恩氏は2022年9月、同政権は「核兵器を決して放棄せず、非核化も交渉も絶対にありえず、その過程で取引するための交渉の切り札もない」と述べた。

高まる脅威への対応強化

2022年10月、在韓米軍はソウルの南200キロメートルに位置する終末高高度防衛ミサイル(THAAD)システムに新たな装備を導入した。 韓国当局は、今回の強化について詳細は明らかにしなかったが、「北朝鮮のミサイル脅威から韓国国民を守り、中核資産の防衛能力をさらに強化するために、既存のTHAADシステムの防衛能力を向上させるもの」と述べた。

THAADは短距離、比較的短い中距離、中距離の弾道ミサイルを撃墜できる。 弾頭は装備していないが、高速で標的を攻撃し、破壊する。

米軍はまた、北朝鮮の弾道ミサイル発射を察知するために韓国で宇宙軍部隊を立ち上げた。 2022年12月に発足したこの新部隊は、ミサイル警告や位置・航法・時刻、地域内の衛星通信など、宇宙での活動とサービスを担当する。

CNNによれば、在韓米宇宙軍の指揮官ジョシュア・マッカリオン中佐は、「私とガーディアン(宇宙軍要員)は昼夜を問わず出撃する準備ができている」と表明し、 「敵がどの国であれ、(このメッセージを)受け止めてほしい」と述べた。

また、12月には、米国空軍のB-52爆撃機とF-22ステルス戦闘機が、F-35とF-15戦闘機を含む韓国の戦闘機と飛行し、済州島の南西部で軍事演習を行った。

Indo-Pacific Defence Forum 』

米国務長官、中東歴訪へ 安全面での事態悪化を懸念

米国務長官、中東歴訪へ 安全面での事態悪化を懸念
https://www.epochtimes.jp/2023/01/134348.html

『[ワシントン 26日 ロイター] – 米国務省は26日、ブリンケン国務長官が29日─31日にエジプト、イスラエル、ヨルダン川西岸を歴訪すると発表した。ロシアのウクライナ侵攻やイスラエル・パレスチナ間の緊張の高まりなどについて協議するという。

この日は、イスラエル軍がヨルダン川西岸ジェニンにある難民キャンプで過激派「イスラム聖戦」のメンバーを急襲。パレスチナ当局によると、民間人2人を含む9人が死亡した。一回の事件での死者数は過去最悪で、事態の悪化が懸念されている。

米国務省のバーバラ・リーフ次官補(中近東担当)は電話会見で記者団に対し、民間人の死者が出ていることに遺憾の意を示し、安全面での事態悪化を懸念していると表明。26日朝にトーマス・ナイズ駐イスラエル米大使のほか、イスラエルとパレスチナの当局者と複数回、協議したと明らかにした。

パレスチナ当局は、今回の急襲を受けイスラエルとの協力を打ち切ると表明。リーフ氏は、米国はイスラエルとパレスチナの双方に鎮静化を呼びかけている述べた。

ブリンケン氏の今回のイスラエル訪問は、昨年11月の総選挙を経て首相に返り咲いたネタニヤフ氏が率いる政権が発足してから初めて。

国務省のプライス報道官によると、ブリンケン長官はネタニヤフ首相のほか、パレスチナ自治政府のアッバス議長とそれぞれ会談する。エジプトではシシ大統領や政府高官らと会談し、両国の戦略的パートナーシップ強化などについて協議する見通し。

サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)も先週イスラエルを訪問し、ウクライナでの戦争のほか、イランが無人機供給を通じロシアの侵略を支援していることへの懸念について話し合った。

Reuters

Tweet 』

世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦に直面するウクライナ

世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦に直面するウクライナ:東京の郊外より・・・:SSブログ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2023-01-26

『最新戦車の次はF-16など戦闘機提供ではない
戦闘機での航空優勢狙いは非効率でロシアの思うつぼ
ロシアの航空優勢拒否戦略の継続が追求すべき道
防空弾薬の枯渇がロシアの狙いであり、それを防げ!

Ukraine Air defense3.jpg1月25日付Defense-Newsが、米空軍大佐とシンクタンク研究員の寄稿を掲載し、米国とドイツがウクライナに最新戦車提供に合意したことを受け、世間では次はウクライナに戦闘機を提供すべきとの意見があるがそれは完全な誤りであり、ロシアが戦術転換でミサイルや無人機攻撃によるウクライナ民間インフラ攻撃を激化させる中でも、ウクライナは犠牲を耐え忍んでも防空兵器枯渇を防止する選択的使用に舵を切り、防空兵器によりロシアの航空優勢確保を拒否し続けるべきだと主張しています

Bremer.jpg2名の寄稿者は、過去1年間の露によるウクライナ侵略の教訓は、現代の航空戦には、高価な戦闘機などよりも機動力を備えた地上配備の防空装備が適しているとの一つの現実であり、ウクライナにF-16などの戦闘機を提供して航空優勢を確保しようとする手法は、ロシア軍の航空アセット数量からしても完全な誤りだと指摘しています

しかし同時に筆者は、米軍をはじめ西側諸国が長年にわたり防空ミサイル等の防空システム投資を軽視してきた付けは大きく、ウクライナに提供できる防空ミサイル等の弾薬類は底をつきかけており、厳しい状況に直面しつつあると指摘し、例えば米軍はパトリオット防空ミサイル1個大隊程度しか支援できない状況だとしています

Grieco stimson.jpg弾薬不足に苦しむロシア側も、似た状況にある米軍や西側の状況に気付き始めて作戦を転換し、無人機や長射程ミサイルでウクライナの発電所など社内インフラを攻撃し、厳しい冬を迎えたウクライナ国民の交戦意志を削ぐ作戦を重視すると同時に、ウクライナ軍が貴重な防空兵器を消費せざるを得ない環境を作為して、弾薬枯渇状態による防空無効化で航空優勢を確保しようとしていると筆者は分析しています

従来の航空優勢確保は、敵の防空兵器を味方の戦闘爆撃機などで物理的に破壊するSEAD(suppressing enemy air defense)を通じてでしたが、ウクライナでロシア軍は史上初めて、無人機や長射程ミサイルを敵国民や社会インフラに向けて発射し、「敵の防空兵器を強制的に消耗させることによる航空優勢の獲得」を狙っているとも表現しています

Ukraine Air defense.jpg寄稿者の主張は厳しい選択をウクライナに迫っています。弾薬在庫が限られた西側各国からの防空兵器支援は今後あまり期待できない現状を踏まえ、ロシア軍によるウクライナ国民や重要社会インフラに対する攻撃にも、防雨兵器の使用は選択的に抑制し、少しでも長く防空兵器を温存してロシアの完全な航空優勢確保を拒否する「air-denial strategy」を継続すべきとの提案です

そして、極めて非効率な戦闘機による無人機や長射程ミサイルの要撃などに乗り出し、数量で勝るロシア航空アセットを戦場に駆り出したり、最前線のウクライナ地上部隊の防空能力を犠牲にしてはならないと寄稿者は訴えています
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Ukraine Air defense2.jpg寄稿者は、輸送機パイロットのMaximilian Bremer米空軍大佐(空軍輸送コマンド特殊計画部長)と、スティムソンセンター上級研究員でジョージタウン大学教員のKelly Grieco客員教授の2名です。ウクライナでの戦況や戦闘機提供の狙いを十分把握していませんが、この寄稿の提言はオプションとして議論に値するものだと考えご紹介しました

なお1年前にも、ウクライナに関するご両名の寄稿「ウクライナで戦闘機による制空の時代は終わる」をご紹介しております

Ukraine Air defense4.jpg先日、ウクライナ空軍の戦闘機パイロットがロシアの無人機や巡航ミサイル要撃任務に従事し、厳しい緊張感に苦悩しているとの外国メディアの報道を見ましたが、実態としては、ウ空軍の戦闘機パイロットは戦いにほとんど貢献できず、高価なアセットとこれまでの訓練経費を生かせないまま、軍内で「肩身の狭い」思いをしているということでしょう・・・

これは、「ウクライナ」と言う環境での戦いだからでしょうか? まんぐーすは必ずしもそうだとは思いません。現代の、そして将来の航空戦の厳然とした現実だと思います。

同コンビによる別寄稿
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/

CSISやCSBAの台湾への提言:非対称戦略へ
「CSISが台湾軍に非対称戦術を迫る」→https://holylandtokyo.com/2023/01/16/4160/
「CSBAは2014年に同要求」→https://holylandtokyo.com/2020/11/08/381/

嘉手納基地からのF-15撤退関連
「第1陣の8機米へ帰還」→https://holylandtokyo.com/2022/12/06/4021/
「米空軍幹部発言から大きな流れを学ぶ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
「衝撃、11月1日から段階的撤退」→https://holylandtokyo.com/2022/10/31/3817/

ウクライナでの戦い
「ウクライナでイラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「衛星通信へのサイバー攻撃で始まっていた」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「アジア太平洋への教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「SpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
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タグ:ウクライナ Kelly Grieco Maximilian Bremer air-denial strategy air superiority by attrition 』

ロシアは、タリバンが確保している、旧米軍の装備類を、買い取ろうとしている。

ロシアは、タリバンが確保している、旧米軍の装備類を、買い取ろうとしている。
https://st2019.site/?p=20820

 ※ 大半は、米国が「政府軍」を支援するために、つぎ込んだものだろう…。

 ※ タリバン軍側が、「金を貰って、装備を引き渡すか、それとも、あの世へ行く方か、どちらかを選べ!」と脅した…。そしたら、「雪崩を打って」政府軍は壊滅した…、という情報をネットで見た記憶がある…。

 ※ まあ、「肩入れしていた政府」が崩壊すると、こういう問題も生じるわけだ…。

『Sakshi Tiwari 記者による2023-1-26記事「Russia Turns To Taliban For Weapons; Reports Claim After Iran & N.Korea, Moscow Eyes US Arms In Afghanistan」。

   ロシアは、タリバンが確保している、旧米軍の装備類を、買い取ろうとしている。
 たとえば暗視ゴーグルは1万6035個もあるはず。
 無線機は16万2043台。
 HMMWVは2万2174台。
 それ以外の各種トラックは8000台。
 M1117装甲車は634両。
 自動火器は54万9118梃。』

WSJによると米政府はトルコに警告した。

WSJによると米政府はトルコに警告した。
https://st2019.site/?p=20820

『※WSJによると米政府はトルコに警告した。トルコの航空会社が米国製の旅客機をロシア線に飛ばし続けているのは制裁違反である。これを続けるなら、企業には罰金、個人には懲役を課すぞと。』

ヘルソン港で、トルコの海運会社が傭船していた2隻のバヌアツ船籍の貨物船がミサイルまたは砲弾の攻撃を受けた。

ヘルソン港で、トルコの海運会社が傭船していた2隻のバヌアツ船籍の貨物船がミサイルまたは砲弾の攻撃を受けた。
https://st2019.site/?p=20820

『he Maritime Executive の2023-1-25記事「Video: Two Turkish Cargo Ships Hit by Possible Missile in Ukraine」。

   ヘルソン港で、トルコの海運会社が傭船していた2隻のバヌアツ船籍の貨物船がミサイルまたは砲弾の攻撃を受けた。火災発生。

 ロイズによると、今次ウクライナ戦争の開始からこれまで、19隻の商船が近くで被弾しているという。』

対支戦になったら米軍の対艦ミサイルはすぐに弾切れになるだろう

対支戦になったら米軍の対艦ミサイルはすぐに弾切れになるだろう
https://st2019.site/?p=20820

『The Maritime Executive の2023-1-25記事「 Study: U.S. Will Run Out of Anti-Ship Missiles in a Fight With China」。

    シンクタンクのCSISが警告。
 対支戦になったら米軍の対艦ミサイルはすぐに弾切れになるだろう、と。

 CSISの想定シナリオ。中共と3週間戦うと、米軍はどのくらいミサイルを射耗するか。
 JASSMを4000発。
 LRASMを450発。
 ハープーンを400発。
 対地攻撃用のトマホークを400発。
 プラス、かぞえきれないSM-6(駆逐艦から発射)。

 LRASMは開戦から1週間しないで、在庫が尽きてしまうだろう。
 JASSMは、開戦から9日目にして、在庫が尽きるだろう。

 大急ぎで製造させようとしても、間に合わない。それだけの数のミサイル在庫を元どおりにととのえ直すには、2年かかるであろう。

 提言のひとつ。製造能力のある同盟国と今から相談しろ。豪州、ノルウェー、日本と。
 メーカーに対しては、短期のブツ切り的な発注ではなくて、長期にわたってコンスタントにミサイルを納品させるような契約にすること。
 そうすることで、1発あたりのコストも下がるし、戦争に突入したときに工場ラインは確実に稼動中であるので、増産させやすい。

 ウクライナ戦争のおかげで、われわれは対支戦の始まる前に、こうした問題に気付くことができたのである。多謝、多謝……。』

北大西洋条約機構(NATO)について

北大西洋条約機構(NATO)について 令和4年7月 外務省欧州局政策課
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100156880.pdf

 ※ この資料、なんか前にも貼ったような気がするんだが…。

 ※ 自分の投稿、検索したが見つけられんかった…。

 ※ まあいい…。また貼っておこう…。

デンマーク国防相は、女子の義務兵役を始めると声明。

デンマーク国防相は、女子の義務兵役を始めると声明。
https://st2019.site/?p=20820

『Christian Wienberg and Frances Schwartzkopff 記者による2023-1-26記事「Denmark Calls for Mandatory Military Service for Women」。

   デンマーク国防相は、女子の義務兵役を始めると声明。
 デンマークはこれまでNATOから、軍備努力が不足じゃないかと非難されてきた。

 現状、女子は志願して国軍に入ることはできる。
 男子には徴兵があるが、現役で入営する者は、くじびきで選ばれている。しかもたったの4ヵ月。

 女子徴兵については、欧州の多数の女性団体が支持している。

 隣国のノルウェーはすでに2015年から女子徴兵を始めている。2021年時点でノルウェー兵の20%は女子である。

 スウェーデンは2017年に徴兵システムを復活させたさいに、女子も徴兵することにした。』

チャレンジャー2は、3月末にウクライナに搬入される。

チャレンジャー2は、3月末にウクライナに搬入される。
https://st2019.site/?p=20820

『2023-1-26記事「Britain plans to deliver Challenger 2 tanks by the end of March」。
   英国防省の発表。チャレンジャー2は、3月末にウクライナに搬入される。
 それまでは英国内で乗員の訓練が続けられる。』

西側製戦車がすくなくも105両は、夏までに渡されそうである。だが、それでじゅうぶんか?

西側製戦車がすくなくも105両は、夏までに渡されそうである。だが、それでじゅうぶんか?
https://st2019.site/?p=20820

『Lara Jakes and Thomas Gibbons-Neff 記者による2023-1-25記事「Western Tanks Are Coming to Ukraine, but Will They Be Enough?」。

   ポルトガルはレオ2を4両、ノルウェーは8両、提供できると言っている。

 西側製戦車がすくなくも105両は、夏までに渡されそうである。だが、それでじゅうぶんか?

 ウクライナ軍は、すくなくも300両の西側戦車が必要だなどとふざけたことをぬかしている。

 T-72に慣れているウクライナの戦車兵が、たんにレオ2を扱えるようにするだけなら4週間あれば足りる。

 重厚長大兵器のウクライナ戦線への搬入は、鉄道を使うのが最も安全。重量物輸送用トレーラーは、露軍の目を惹いてしまうので、よくない。

 ※スウェーデンも手持ちのレオ2(名前は変えている)を供出するという。ながらく、スウェーデンは、引退させた「S戦車」を大量に有事用に隠し持っているのだ――と思ってきたが、どうやらそれはもはや存在しないのか…………。敵を直接照準せず、ドローンの目に弾着修正をさせる用法になるなら、「無砲塔」のコンセプトは、とても合理的だと思うのだが……。』

M1エイブラムズを米軍仕様のままで輸出または援助することは、主要な同盟国相手であってもできない。

M1エイブラムズを米軍仕様のままで輸出または援助することは、主要な同盟国相手であってもできない。
https://st2019.site/?p=20820

『Joseph Trevithick 記者による2023-1-25記事「M1 Abrams Tanks In U.S. Inventory Have Armor Too Secret To Send To Ukraine」。

   M1エイブラムズを米軍仕様のままで輸出または援助することは、主要な同盟国相手であってもできない。最大の難点は、装甲鈑の中に劣化ウラン(減損ウラン=depleted uranium=DU)が使われていることである。

 この劣化ウラン装甲をサンドウィッチしていない、とくべつな、他国供与向け専用のM1バージョンを用意しなくてはならないのだ。

 だから、M1がじっさいにウクライナに届けられる時期は、早くて今年の後半。おそらく来年じゃないかという。

 DU装甲はM1A2型から標準だが、A1の一部にもレトロフィットでアップデート工事されている。

 DU装甲は、その素材には特に秘密はないが、どのように加工して装甲化しているかはデザイン上の秘密。したがってこの装甲がついたバージョンを外国軍に渡すわけにはいかないのだ。

 1988にさだめられた保秘指令では、もし戦場でM1の装甲の一部が破壊されて断面が見えるような状態になったら、すぐそこにカバーをかけ、誰かに撮影されないようにし、できれば臨時に何かを熔接して塞いで、戦車は回収しなければならぬとしていた。

 豪州、エジプト、イラク、クウェート、モロッコ、サウジに輸出されているM1のバージョンには当然、DUは使われていない。代わりにセラミックが入っているはずである。それも勿論、秘密だが。

 ストック品の砲塔からDUを外してセラミックに代える工事には600万ドル弱かかるんじゃないかという。最初のバッチの28両につき。

 時間もカネもかかる話なので、米政府は、エジプトかサウジに要請して、そこにある、すでに非DU化されているM1を転送するんじゃないかという想像も可能だ。
 エジプトは1360両ものM1A1をもっている。
 サウジは370両以上。しかもサウジ軍は人手が足りないため、2016年時点で、170両はガレージに入れたまま、動かしてないという。

 しかしどちらの政府も、もし手持ちのM1をウクライナに転送させることを認めれば、ロシアが怒る。それでも許可するのかという話になる。』

M1の燃料はジェット燃料であるため…。

M1の燃料はジェット燃料であるため…。
https://st2019.site/?p=20820

『Jon Jackson 記者による2023-1-25記事「Game-Changing Abrams Tanks Present One Glaring Problem for Ukraine」。

   カービー報道官によると、M1の燃料はジェット燃料であるため、専用のパイプラインをウクライナまで延ばして補給する必要があるという。

 退役陸軍少佐のジョン・スペンサーいわく。M1のエンジンはカタログスペック上ではマルチ・フュールということになっているけれども、自分が現役のときは、ジェット燃料(JP-8)以外の燃料が補給されたのを見たことがない。

 ウクライナ国内では露軍が絶え間なくインフラを攻撃・破壊し続けているため、長距離移動するときに、適宜の燃料が途中で手に入らない懸念は、去ることはない。それは軽油であろうと、同じである。

 M1エイブラムズの燃費はおそろしく悪い。1マイル進むために、1.5ガロンから3ガロンの「JP-8」を燃やしてしまう。』

ウクライナ国防省発表。露軍は55発のミサイルを発射してきた。

ウクライナ国防省発表。露軍は55発のミサイルを発射してきた。
https://st2019.site/?p=20820

『Mike Brest 記者による2023-1-26記事「Russia launches new salvo of missiles at Ukraine after tanks announcement」。

   ウクライナ国防省発表。露軍は55発のミサイルを発射してきた。宇軍はそのうち47発を途中で撃ち落した。
 47発のうち20発はキーウ近郊で撃墜している。

 敵が狙った主たるターゲットは、あちこちにある変電所であった。

 このミサイル空襲は、米独両国が戦車をウクライナに供与すると発表した翌日になされた。

 ※別報によると今回は地上で11人くらい死んだらしいが、WWII中の「V-1」とくらべても、異常に効率が悪そうだ。』

ウクライナへの最強戦車供与 玉突きで動く国際情勢

ウクライナへの最強戦車供与 玉突きで動く国際情勢
https://tanakaryusaku.jp/2023/01/00028286

 ※ もう一つ、注目しておくべきなのは、イスラエルの動きだ…。

 ※ 世界の注目が「一点に集中している時に」、いろいろ画策するのは、別にどっかの国に限った話しじゃない…。

『世界最強といわれる欧米の戦車がウクライナに大量に供与される。

 欧州各国は「レオパルト2」を、米国は「M1エイブラムス」を供与する。最終的には150台に上るものと見られる。

 泥濘期が終わる春以降は、戦闘員の訓練も済んでいるだろう。大戦車軍団がウクライナの大地に立ちはだかれば、ロシア軍にとって大きな脅威となる。

 田中は親米ではない。パレスチナ紛争の拙リポートを見ていただければお分かりいただけるようにコテコテの反米である。

 かといって親露派の御仁たちのように「ロシアは負けない。ロシアが勝つんだ」とも言わない。

 はっきり言えるのは、ウクライナ戦線でロシア軍の衰退が明らかになれば、他の地域で軍事力の均衡が崩れるということだ。

ロシア軍。平和維持部隊として進駐してきたはずだったが。=2020年、ナゴルノ・カラバフ 撮影:田中龍作=

 
 具体的に言えば、アゼルバイジャンとアルメニアの双方が領有を主張して衝突が絶えないナゴルノ・カラバフである。

 2020年のナゴルノ・カラバフ戦争で仲裁に入ったロシアが、平和維持部隊と軍を駐留させていた。

 ところが、昨年12月、片一方の紛争当事国であるアゼルバイジャンが、ナゴルノ・カラバフを軍事封鎖してしまったのである。封鎖は今も続き住民12万人が人道危機にさらされている。

 ロシア軍がウクライナ戦線で苦戦しているところに付け込んだのが、アゼルバイジャンだった。後ろ盾はトルコである。

 軍事封鎖に先立って、アゼルバイジャンはアルメニア本土を砲撃した。ロシアの出方を窺ったのである。

 アルメニアとロシアは軍事同盟を結んでいる。にもかかわらずロシアは動かなかった。いや動けなかった。面目丸つぶれである。ロシアはウクライナ戦線で手一杯なのだ。

 ナゴルノ・カラバフ出身のジャーナリストは「ウクライナでロシアが負ければヨーロッパ諸国は喜ぶだろうが、アルツァフ(=ナゴルノ・カラバフ)ではアゼルバイジャンによる虐殺が起きる」と悲壮な表情で語った。

 世界は玉突きのようにして動く。米国の陰謀論で動いているのではない。

ラチン回廊に配備されたロシア軍のロケットランチャーは、張り子の虎となってしまった。=2020年、ナゴルノ・カラバフ 撮影:田中龍作=

     ~終わり~

田中龍作の取材活動支援基金 』