米国でアジア系による銃乱射事件多発、何が原因でなぜ今なのか

米国でアジア系による銃乱射事件多発、何が原因でなぜ今なのか
カリフォルニアで暴走する老人の動機は憎悪か孤独か
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73691

 ※ ヤレヤレな話しが、語られている…。

 ※ 日本国においても、「経済成長するためには、もっと移民を受け入れる他はない!」というようなことを、声高に叫ぶ論者もいる…。

 ※ しかし、その「負の側面」として、こういう問題も背負い込む…、ということだぞ…。

『なぜ「模範的移民」が銃を手に取ったのか

 米ロサンゼルス郊外モントレーパークのダンススタジオで11人が死亡した1月21日夜の銃撃事件で、米捜査当局は翌日、容疑者のアジア系の男(72)が自らを銃で撃って死亡したと発表した。

 23日には、今度はサンフランシスコ近郊ハーフムーンベイ市のキノコ栽培農園で7人が射殺され、容疑者のアジア系の男(67)が逮捕された。

https://www.foxnews.com/us/california-mass-shooting-who-huu-can-tran

https://www.latimes.com/california/story/2023-01-23/half-moon-bay-shooting-multiple-victims

 容疑者は前者はベトナム系、後者は中国系だった。犠牲者はハーフムーンベイ市で射殺された2人のメキシコ系男性を除くとすべてアジア系の男女だった。

 1930年後半、雲霞のごとくカリフォルニア州に入り込んできたアジア系移民を白人たちは「イエローペリル」(黄禍)と呼んだ。

 低賃金で雇われ、次々と白人労働者の仕事を奪い、白人社会を侵食していく異文化のアジア系(特に日本人移民)をさげすみ恐れた白人たちがペリルと言い出した。

 そして日米戦争が勃発、日系移民は強制収容所にぶち込まれた。

 戦後もアジア系移民は差別に耐え、ただ黙々と働き、1965年の移民法改正で国別のクォータ制が撤廃され、中国、香港、台湾、などから中国人移民が津波のように押し寄せて来た。

 ベトナム戦争終結後は共産主義体制を逃れたベトナム難民の多くがモントレーパークに住み着いた。

 今回事件が起こったモントレーパークは、中国人の不動産業兼投資家の謝樹剛氏が1970年代、当時白人が所有していた土地をプレミア価格で買収。

 それを中国や台湾からやって来た新移民に売却して作り上げたニューチャイナタウンなのである。

 サンフランシスコやロサンゼルスのチャイナタウンから中国系が移り住み、謝氏の「中国系のビバリーヒルズ」構想が徐々に実現していった。

https://www.latimes.com/opinion/story/2023-01-23/monterey-park-shooting-los-angeles-asian-communities

 商業地区には中国系スーパーやレストランが建ち並び、高台には高級住宅が建ち、人口の65%はアジア系となり、首都ワシントンには中国系下院議員(ジュディ・チュウ氏=民主党)を送り込んでいる。

 乱射事件が起こったのは、その一角にあるダンススタジオだった。』

『このダンススタジオにやって来るのは60代、70代、80代の男女ばかり。社交ダンス、ルンバ、タンゴから中国式スクウェア・ダンス「広場舞」まで教える。

 中国系だけでなく、ベトナム系までやって来る。

「言ってみれば、アジア系高齢者のデートスポット。老いらくの恋を求めて孤独な年寄りが集まる、中国語が通じる社交場だ」(中国系メディアの記者、H氏)

 事件が起こった夜は、旧正月前夜。高齢者たちはみな誘い合って集まり、会費10ドルで飲み、踊って楽しんでいたのだ。

 それが一瞬にして地獄と化した。あたり一面血の海となったのだ。
ダンススタジオに通い詰めていた乱射魔

 事件発生直後、射撃犯は白人ではないか、という説が飛び交った。ここ2、3年、アジア系に対する白人によるヘイトクライムが急増している。

 旧正月の祝賀でにぎわうモントレーパークは、アジア系を狙うヘイトクライム常習者にとっては格好の場所だと思われたからだ。

 だが、ところがどっこい、乱射魔はベトナム系の72歳の高齢者、無職のフェ・カン・トランだった。

 ついこの間まで件のダンススタジオに、ほとんど毎日通っていた常連だ。中国系高齢者のオアシスになぜ、ベトナム系が通い詰めていたのか。

 前出の中国系ジャーナリストのH氏はこともなげにこう言う。

「ベトナム系移民と中国系移民の関係はラブ・アンド・ヘイト(愛憎相半ばする)の関係だ。米国内のどこのチャイナタウンにもベトナム人は進出してくる」

「それにベトナム移民の中には中国系が多く、生活環境も混ざり合っている。ちょうどジャパンタウンにコリアンが入り込み、商売をしているのと似ている」

「日本人と韓国人の関係もラブ・アンド・へイトではないのか」

 トランは、モントレーパークから140キロ離れたヘミト市のトレーラーハウス村に住んでいた。車で2時間はかかる。

 H氏が関係者から得た情報によると、トランは20年前にこのダンススタジオで知り合った女性と結婚したが、数年後に離婚。

 その後、ダンススタジオで知り合った別の女性と付き合っていた。ところが、一方的に関係が断たれ、ストーカーまがいでつきまとい、事件当日を狙って、殺害を企てていたともいわれる。

https://abc7.com/monterey-park-mass-shooting-suspect-possible-motive-investigation/12725931/

https://www.latimes.com/california/story/2023-01-23/jealousy-possible-motives-in-monterey-park-shooting) 』

『乱射に使われた銃は、コブライM11短機関銃(市価919ドル=約12万円)。自家製の消音装置が施されていた。銃弾は約40発発射されていたという。

 死亡した11人は中国系女性が9人、ベトナム系女性が1人、メキシコ系男性が1人。年齢別では50代が1人、60代が6人、70代が4人だった。

(トランが標的にしていた女性がベトナム系だとすれば、ホーチミン市出身のミー・ミー・ニャンさん=65=と思われる)
高齢のアジア系移民独身男性に逃げ場なし

 ロサンゼルスの日系メディアで記者活動を数十年続けてきたN氏は、アジア系移民が置かれている生活環境についてこう分析している。

「母国語が英語でないアジア系移民男性の暮らしは一筋縄ではいかない。人種差別、仕事、貧困などに直面するだけでなく、同じ境遇にある女性との比率では大きな差がある」

「上昇志向のある女性は白人男性を結婚対象者に選ぶ傾向が強い」

「孤独感が強くなる。異性の話し相手を探そうとすれば、カラオケとか、趣味のグループとか、教会や寺院に行くことになる」

「しかし、色艶のあるところとなると、ダンススタジオなどは格好の場所となる。今回の乱射犯もまさにこの典型的なパターンだったのだろう」

 米国における銃乱射事件は、1966年から2022年までに185件。

 これまで高齢者が乱射して複数の犠牲者を出したのは1981年ケンタッキーで起こった70代の乱射事件だった。

 近年、高齢者の殺人が急増しているが、通常標的になるのは身近にいる妻やパートナーだ。

 アジア系による乱射事件は07年、南部のバージニア工科大学で韓国籍の20歳の学生が33人を射殺した事件がある。

 最後は警官隊に射殺されたが、遺書などで分かったのは、孤独感と米社会への憎悪だった。

https://www.theviolenceproject.org/mass-shooter-database/)』

『日本でも「高齢者による犯罪」が増えている。

 暴走老人が犯罪に走るのはカネの問題が多い。高齢者が貧困に陥った場合、働こうとしても仕事がない。健康上の問題もある。

 短絡的なカネ目当ての犯罪に走る。介護疲れから寝たきりの妻を殺すケースも後を絶たない。

参考:『暴走老人・犯罪劇場 (新書y) 』、 高橋ユキ著、2017年

 だが、さすがに孤独感や社会に対する憎悪から人を殺したり、ナイフを振り回すといった例はあまりない。

 元妻や女友だちを他の男に「寝とられた」といって銃を乱射するようなことはない。

 銃で撃とうとしても銃は米国のように自由に手には入らない(最近福岡で起きたメッタ差し殺人事件も言ってみれば、まだ30代の男の犯行だった)。

 その点では、モントレーパークの乱射事件は、まさに「アメリカン・トラジディ」(アメリカの悲劇)としか言いようがないのだが、移民によって築き上げられてきた(しかも今もそのプロセスにある)アメリカ合衆国としては、銃規制とともに避けては通れないアジェンダと言える。
ニューサム知事:「Tragedy upon tragedy」

 1月23日には、今度はサンフランシスコ近郊ハーフムーンベイ市のキノコ栽培農園で7人が射殺され、容疑者のアジア系の男(67)が逮捕された。

 男は、チュンリー・ツァオ(67)。中国系の農園従業員だった。

 犠牲者全員、同じ農園で働いていた同僚や上司で、事件前に職場でパワハラや暴行を受けていたといった情報が流れている。

 その報復に銃を取ったということも考えられる。またモントレーパークの乱射事件に触発されたのではないか、といった見方も出ている。

 警察は容疑者の身柄を拘束したから本人の口から動機については明らかになってくるはずだ。

 事件のあったハーフムーン氏はサンフランシスコから南へ46キロ。車で40分のところにある風光明媚な土地だ。

 人口は1万2000人。白人59%、ラティーノ34%、アジア系は5.4%。これといった産業はなく、ツァオが働いていたキノコ栽培や野菜栽培が主な産業ということになる。

 いずれにせよ、これまで銃乱射事件とは程遠かったアジア系の、しかも高齢者による乱射事件がなぜ起こったのか。

 銃規制では全米で一番厳しいカリフォルニアでなぜ立て続けに起こったのか。

 2024年の民主党大統領候補指名を秘かに狙っているとされるギャビン・ニューサム州知事(民主党)は、モントレーパークで行われていた犠牲者追悼集会に出席していたその瞬間、ハーフムーンベイの事件を知り、絶句した。

「悲劇が起きたと思ったら、また新たな悲劇が起こった」(Tragedy upon tragedy)とツイッターに投稿した。

 カリフォルニア州は民主党の金城湯池。

 ジョー・バイデン大統領は、議会に新たな銃規制強化の必要性を訴えた。1月25日にはカマラ・ハリス副大統領がモントレーパーク入りする。』