パンデミック(世界的大流行)の歴史

【医療コラム】パンデミック(世界的大流行)の歴史
https://kawakita.or.jp/aisafetynet/airoken/news/column/

『みなさん、こんにちは。施設長の佐藤です。

全世界が新型コロナウイルスのパンデミックの元におかれて2年間が経過しました。人類は紀元前の昔からさまざまな感染症と戦ってきました。最古のパンデミックの記録は、紀元前430年のギリシャの感染症です。疾患名は不明ですが、死者数7万~10万人といわれています。感染症のパンデミックは歴史を変えるほどの影響を及ぼしてきました。

天平の日本では、天然痘の大流行で藤原四兄弟が相次いで病死し、橘諸兄への政権交代が起きました。社会復興策として「墾田永年私財法」が施行され、土地の私有が認められるようになりました。

14世紀、ヨーロッパではペストが大流行し全人口の4分の1から3分の1が死亡しました。教会をはじめとする封建的な権威の失墜、労働力の急激な減少、人材の払底が起こり、労働者の地位の向上、農奴解放がもたらされました。限界を迎えていた中世ヨーロッパ世界の社会構造の変化を加速させ、近世への変革の一因になったと考えられています。

以下に、パンデミック(世界的大流行)の歴史を示します。

【挿絵】死の舞踊(ヴォルゲムート 1493年)

天然痘

紀元前 エジプトのミイラに天然痘の痕跡がみられる。

6世紀 日本で天然痘が流行、以後、周期的に流行。

735年~737年 天平の疫病大流行では藤原四兄弟が相次いで病死。社会復興策として、土地の私有を認める「墾田永年私財法」が施行。

15世紀 コロンブスの新大陸上陸。アメリカ大陸で大流行。50年で人口が8,000万人から1,000万人に減少。

1980年 WHOが天然痘の世界根絶宣言。人類が根絶した唯一の感染症。
ペスト

540年頃 ヨーロッパの中心都市ビザンチウム・コンスタンチノープルで流行。最大で1日1万人の死者が出たといわれている。

14世紀 ヨーロッパで「黒死病」と呼ばれるペスト大流行。ヨーロッパだけで全人口の4分の1~3分の1にあたる2千500万人が死亡。
コレラ

19~20世紀 地域を変えながら7回の大流行。

幕末から明治 日本ではコロリと死ぬからコロリと呼ばれた。

1961年 インドネシアのセレベス島に端を発した第7次世界大流行は、現在も世界中に広がっていて、終息する気配がない。

新型インフルエンザ

1918年 スペインかぜが大流行。世界で4,000万人以上が死亡したと推定。 (当時の世界人口18億人)

1957年 アジアかぜの大流行。世界で200万人以上の死亡と推定。

1968年 香港かぜの大流行。世界で100万人以上の死亡と推定。

2009年 新型インフルエンザ(A/H1N1)の大流行。世界の214カ国・地域で感染を確認、1万8,449人の死亡者(WHO、2010年8月1日時点)。

新興感染症

1981年 エイズ(後天性免疫不全症候群:HIV)

過去20年間で6,500万人が感染、2,500万人が死亡。

1996年 プリオン病

イギリスでクロイツフェルト・ヤコブ病と狂牛病との関連性が指摘。

1997年 高病原性鳥インフルエンザ

人での高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)発症者397人、死亡者249人(2009年1月20日時点) 。

2002年 SARS(重症急性呼吸器症候群) 9ヶ月で患者数8,093人、774人が死亡。

【パンデミック死者数】

1位
1347-1351年 ペスト・黒死病 2億人
2位
1520年 天然痘 5,600万人
3位
1918年-1919年 スペインかぜ 4,000万人-5,000万人
4位
541年-542年 ペスト・東ローマ帝国 3,000万人-5,000万人
5位
1981年-現在 エイズ 2,500万人-3,500万人
6位
1855年 ペスト・19世紀中国とインド 1,200万人
7位
165年-180年 ペスト・ローマ帝国の疫病 500万人
8位
1600年 ペスト・17世紀の大疫病 300万人
9位
1957年-1958年 アジアかぜ 110万人-200万人
執筆者プロフィール

あい介護老人保健施設 施設長 佐藤 清貴(さとう・きよたか)

医学博士
・日本内科学会認定内科医
・日本循環器学会認定循環器専門医
・日本医師会認定産業医
・日本総合健診医学会 日本人間ドック学会認定 人間ドック専門医
・日本人間ドック学会認定 人間ドック健診情報管理指導士
・日本老年病学会老人保健施設認定医 』