ドイツが主力戦車を供与決定 米国も提供、欧州安保強化

ドイツが主力戦車を供与決定 米国も提供、欧州安保強化
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『【この記事のポイント】

■ドイツ製主力戦車「レオパルト2」は欧州内に2000両
■ポーランドなどによる保有車両提供も承認表明
■米国も主力戦車「エイブラムス」を31両供与へ

【ベルリン=南毅郎、ワシントン=坂口幸裕】ドイツ政府は25日、ウクライナに独製主力戦車「レオパルト2」を供与することを決めた。ショルツ首相はこれまで供与に慎重だったが、欧州安全保障の強化に向けて方針を転換した。ポーランドなどが保有する戦車の提供も承認する。米国も同日、主力戦車「エイブラムス」の供与を決定した。

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ドイツ政府は自国が保有する14両の提供を決定するとともに、他国が保有する同戦車の供与も承認する方針を表明した。各国と協力して2個大隊を編成させたい方針で、これには88両程度が必要とされる。

独国内でウクライナ兵の訓練を速やかに実施し、弾薬などの提供も進める。ショルツ氏は声明で「国際的に緊密に調整し、協調して行動する」と説明した。独政府は追加の戦車供与も視野に入れている。

レオパルト2は欧州内に計2000両ほどあるとみられる。ポーランドやフィンランドはウクライナへの供与を表明しているが、供与には製造国であるドイツ政府の承認が必要で、焦点になっていた。ロイター通信によると、スペインも25日、供与の用意があると明らかにした。

米ABCニュースはウクライナ高官の話として、ドイツが承認すれば12カ国がおよそ100両を供与することになっていると報じた。

米政府は「エイブラムス」を31両供与すると決めた。バイデン米大統領は25日、ドイツのショルツ首相、フランスのマクロン大統領、英国のスナク首相と電話協議し、ウクライナ支援を巡って協議する。

ウクライナでは融雪を終える春にかけ、ロシアが大規模な攻撃を仕掛けるとの懸念が高まる。国土の奪還に向けて地上戦で有利に運ぶには高精度かつ高機動の西側諸国の戦車がカギを握る。今後は、欧米による主力戦車の受け渡し時期やその規模などが焦点になる。

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前嶋和弘
上智大学総合グローバル学部 教授
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ひとこと解説

アメリカがエイブラムスを提供することで、ドイツの戦車支援がようやく決まりました。エイブラムスを使いこなすには2か月の訓練が必要だといわれていますが、レオパルトの方はそんなに時間がかからないのでロシアの攻勢に対応するにはこちらも不可欠。
2023年1月25日 21:13

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岩間陽子
政策研究大学院大学 政策研究科 教授
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分析・考察

今出ている情報では、欧州全体で2個戦車大隊、それぞれ40両。ドイツ自身は14両1個中隊を供与。米のエイブラムスを加えると、100両超。ウ兵の訓練はドイツ国内でやる。この数日の間に、欧州全体でのパッケージをまとめ、かつ米国にエイブラムスを供与するよう迫った。レオパルトにいくつか型があるのだが、なるべく最新鋭の2A6で揃うように各国に根回しした。バイデンとは合意があったが、米国防総省の説得に時間がかかった、というようなことのようです。いずれにせよ、社民党首班のドイツが先頭に立って米欧のパッケージをまとめたというのは、多少もたついたものの、独が安保でリーダシップを取った歴史的瞬間と評価できるのでは。
2023年1月25日 22:49

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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察

ドイツにおける議論は、戦車の提供によるウクライナ側の優勢を獲得することと、それが戦線を拡大し、ロシアの過剰な反応を引き出す可能性がある、という間でのバランスだった。こうした「仮定」に基づく議論は、日本でも共通する。「もし○○が起きたらどうする」という心配から反対するというのは、過去に痛い目に遭った国々ならではのことだと思うが、同時に、そうした「仮定」に基づく反対は国際社会において賛同を得ることは難しい。それが結果としてドイツへの批判となっていた。今回の一連の流れは日本にとっても学ぶところが多い。
2023年1月26日 9:56

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菅野幹雄
日本経済新聞社 上級論説委員/編集委員
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ひとこと解説

これまでのドイツの逡巡は、歴史的にも経済的にもロシアとの「特別な関係」があったからこそ、といえます。

米国を動かしてでも実現するドイツ製戦車のウクライナへの供与は、ロシアの兵力にドイツが物理的に直接対峙する覚悟を示したという意味で、今回のウクライナ危機の世界史的な一里塚です。

これが戦況、そして長い目でみた世界の平和構造にどんな波及をするか。まだ、誰も正確に予測できないのではないでしょうか。

ロシアは色々と強がって言っていますが、プーチン大統領にはかつてないプレッシャーになると思います。それが彼の狂気をいたずらにかき立てないことを、祈るばかりです。
2023年1月26日 0:07

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ウクライナ侵攻 https://www.nikkei.com/promotion/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGR257U60V20C23A1000000&n_cid=DSPRM1AR08 』