ウクライナ侵攻331日目の戦況、ロシア軍がバフムート包囲に向けて前進

ウクライナ侵攻331日目の戦況、ロシア軍がバフムート包囲に向けて前進
https://grandfleet.info/european-region/331st-day-of-ukraine-invasion-russian-forces-move-forward-to-besiege-bakhmut/

『331日目が経過したウクライナ東部戦線の状況は「ロシア軍がバフムート包囲に向けて前進」「これと並行してシヴェルシク方面にも突破を図っている」というのが最大のポイントで、ザポリージャ方面でもロシア軍が動き出している。

参考:Генеральний штаб ЗСУ Situation update as of 6 a.m., January 21, 2023

ロシア軍は動員した兵士への訓練が完了する2月に向けて何かを企んでいるのかもしれない

331日目を経過したウクライナ東部戦線の状況はロシア軍がバフムート包囲に向けて前進、これと並行してシヴェルシク方面にも突破を図っており、ウクライナ軍参謀本部が21日に発表した戦況報告を反映した戦況マップ(推定)は以下のようになる。

出典:GoogleMap バフムート周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

参謀本部が「敵の攻撃(砲撃ではなく地上部隊による接触)を撃退した」と発表した拠点は円で囲んだ6拠点で、攻撃を受けていた「クラスノポリフカ」と「クリシェイフカ(露国防省は20日に占領したと発表)」に触れなくなったためロシア軍に奪われた可能性が高く、逆に「ヴァシュキフカ」と「ヤヒドネ」への攻撃が新たに登場した。

ヴァシュキフカ付近まで敵地上部隊が到達しているということは「ソレダル北西にある高台の防衛ラインが破られた」と解釈するのが妥当で、シヴェルシク方面は幹線道路「T0513」によるアクセスを失っているためヴァシュキフカからライ・オレクサンドルフカ方向に突破されるとウクライナ軍にとっては不味いことになる。

出典:Сухопутні війська ЗС України

さらに「バフムートの西に位置するヤヒドネ付近で戦闘があった」という言及をどの解釈すればいいのか難しいが、ピドロドネ方向からの攻撃が「バフムート市内のT0513まで到達している」としか言いようがなく、バフムートへのM03経由によるアクセスは厳しくなっているのだろう。

クリシェイフカを突破したロシア軍がどこまで到達しているのかは謎だが「Predtechyneで敵地上部隊の攻撃を撃退した」と参謀本部が言及しているため、クリシェイフカの北西に広がる高台(クルデュミフカ~チャシブ・ヤールを繋ぐ道路沿い)もロシア軍に押さえられた可能性があり、この地域に関してはウクライナ軍にとってポジティブな要素(個々の交戦シーンの動画は沢山見つかる)が全く見つからない。

出典:GoogleMap ザポリージャ州の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

比較的平穏だったウクライナ南部戦線でもロシア軍が動き出しており、ザポリージャ方面におけるウクライナ軍の防衛ライン(T0812~オレホボ~T0815)で両軍が交戦して「マリ・シェルバキーをロシア軍が占領した」という報告があるものの、この地域の情報は殆どがロシア側の情報源に基いているので「ザポリージャ方面でロシア軍の攻勢が始まった」と判断するには時期尚早だ。

ただ「ドネツク近郊のパブリフカ方面でもロシア軍が攻勢に出た」という報告があり、ウクライナ軍参謀本部も「敵がクピャンスクに対する攻撃を強化している」と指摘しているため、ロシア軍は動員した兵士への訓練が完了する2月に向けて何かを企んでいるのかもしれない。

因みにクレミンナについては専用のマップを作成中だが特に大きな動きは観測されていない。

追記:ロシア軍元大佐のイゴール・ガーキン氏は「ザポリージャ方面で大規模な攻勢が始まった。ザポリージャ(州都のこと)に向けて前進することは可能だが、ザポリージャやドニプロに配備されている敵予備戦力をバフムート方面に引っ張りだせなかったため戦いは長引くだろう」と予想し、戦争全体の主導権を巡る第二ラウンドが「予想よりも少し早く始まった」と述べている。

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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
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投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 21 』

『 たら
2023年 1月 22日

返信 引用 

一気に戦線が動くとすれば、一日でどのくらいの距離、面積の動きがあり得るのでしょう?今見ている状況はウクライナがコントロールし得ているのでしょうか?それとも、戦線崩壊と評価した方が良いのでしょうか?
3

    ため息
    2023年 1月 22日
    返信 引用 

はっきり書いてしまいますが、私は諸処の事情から心情的にロシア寄りですが、
それでも戦線が全面崩壊してるとは思えません。ザポリージャにはウクライナの
予備役が向かっているので、まもなく食い止められるでしょう。

ウクライナにとって最も問題なのはバハムトの北、シヴェルシクの南です。
ここの前線は部分的に崩壊していると言っていいと思います。ロシアの進軍を
止められていません。

一気に戦線が動くとすれば管理人さんが記載しているように、ロシアが残りの
追加動員兵20万をどこに投入するか?で変わりますね。
現状攻勢をかけている所に追加投入するのか、要塞化されていない他の地域か。
それによって、前線がいつどのくらい動くかは全く変わると思います。
今ゲラシモフとスロヴィキンはじっくり作戦を練っているはずです。

ロシアが一貫しているのは、要塞化されている都市を時間をかけても包囲して
いっているので、そこから考えると個人的には電撃戦はないように思えますが。
26
     
    2023年 1月 22日
    返信 引用 

距離で言えば1日で数キロも動くようであれば防御側の戦線は崩壊したと見ていいでしょう。
第二次大戦中のソ連だとドイツ前線を完全に撃滅せしめて5週間で700キロ前進した例もありますが、市街の増えた現代でこの前進速度はまあ無理な気がします。
現在の状況で言うと、東部は相当マズいです。
この方面の都市は要塞化されているのでそうそう簡単に落ちませんが、どうやらロシアの郊外から包囲する動きに対応出来る機甲戦力がウクライナにはもはや残されていないようで、都市の要塞に籠もっては包囲殲滅される状況に近づいているように見えます。
南部はまだ動きがあった段階なのでなんとも言えませんが、ロシアから見て首尾良くザポロージェを陥落せしめたとしても他の戦線に利することはあまりないので、これは助攻でやはり主攻は東部だと思います。
ただしこの方面の部隊がザポロージェに拘らず北東に進出する場合には東部と連携される可能性があるのでこちらが主攻の可能性もあります。
ドニプロから東部への大動脈となっているE50が遮断された場合ウクライナが東部に展開する全軍の補給に深刻な悪影響が出ます。
もっとも、E50までの縦深は深いのでそこまで短期で進出を許すことはないとは思いますが。
13
    TKT
    2023年 1月 22日
    返信 引用 

まずウクライナ軍の損害は公表されておらず、またソルダルのウクライナ空挺旅団の兵士の証言のように、もはや死傷者の正確な人数はわからない、というのはこの戦況では当然と思われ、またそうであるなら、なおさらウクライナ軍の発表する死傷者の人数も不正確であると考えるべきでしょう。

そもそも戦争、特に野戦などは、敵味方の正確な死傷者の数や人数、残存兵力など、わからないままで戦うしかない、というのが普通なのです。

しかしロシア軍の方についていえば、ロシア軍の死傷者の人数がたとえ何人であろうとも相当な数の予備の兵力や武器、弾薬、装備を持っていると考えるべきでしょう。そうでなければ、これほど各地で攻勢を行えるわけがありません。

クレミンナでは、第76赤旗親衛空挺師団が、バフムトでは第106赤旗親衛空挺師団が投入されていると言われますが、ロシア空挺軍のこれらの師団が最精鋭の戦略予備兵団であることは間違いありません。ロシア軍はそれらを投入し、クレミンナではウクライナ戦車部隊の突撃を阻止し、また一方でバフムトではウクライナ軍を包囲しつつあります。

あとはウクライナ軍の方にどれだけの戦略予備の精鋭と言える部隊が残っているかということに、総崩れの崩壊なのか、予備の精鋭を投入しての阻止が可能であるかが左右されます。

クレミンナでは戦車が主力の部隊を突撃させましたが、これは結局阻止されたと言われ、おそらく戦車の損害も多いでしょう。

ソレダルに投入された空挺旅団の損害はよくわかりませんが、いずれにしてもかなりのものでしょう。

バフムトには、フォーブス紙の記事では、戦車旅団、空挺旅団などを中心とする最精鋭の数個旅団が投入されていたと言われ、今どれくらい残っているかわかりませんが、下手をすると完全包囲されて壊滅します。

またさらにそれら以外のどんな部隊、旅団が残っているかですが、領土防衛隊などは素早い移動は難しく、トヨタや日産のピックアップなどで移動しているとも言われますが、砲撃により移動中に相当の損害を出しているともいわれ、ブラッドレーやストライカーなどを供与しようというのもそのため、つまりウクライナ軍の損害が多いからです。

ポーランド軍はT-72を装備する戦車旅団をこれから編成すると言われますが、それはウクライナ軍の戦略予備が少ないからで、西側諸国が戦車が足りないと連呼するのもそのためです。

もしも、クレミンナやバフムトで、ウクライナ軍の戦車旅団が壊滅していて、もはやほとんどウクライナ軍に戦略予備の精鋭部隊が残っていない場合は、文字通りウクライナ軍は総崩れ、戦線崩壊となる可能性もあります。昔のファレーズを突破した後のパットン大戦車軍団のように
「燃料が切れるまで突っ走れ!」
となるかもしれません。ガスタービンのエイブラムス戦車と違って、小型軽量でディーゼルのT-72の燃費はいいのです。

もともとドネツク州は地形が兵站で、障害になる場所が少なく、そうであるからこそ地下鉱山のあるバフムトやソレダルが重視されていました。バフムトなどはNATOの支援で数年かけて要塞化されたとも言われます。

またいくら要塞化しても、敵を阻止するのは火線、火網の構成であり、砲弾がないとか、またそれ以前に砲身がないとか、砲撃ができない状態では、たとえ穴だけあっても隠れることしかできません。

ロシア軍としては、チャレンジャー2とか、チェコのT-72とか、ブラッドレーや、ストライカーが前線に来る前に行けるだけ行っとこう、というような気分になっているかもしれません。

ザポロジェなども、様子見しながら進んでいる状態だと思いますが、アメリカのミリー参謀総長が今年中の失地奪回は無理と言ったり、米軍がしばらく攻撃するなとか、とか言っているので、メリトポリ奪回のためにウクライナ軍が南下することは当分ないとロシア軍は判断しているのでしょう。
9
        日出超
        2023年 1月 23日
        返信 引用 

    状況の分析というよりも、自分の思い描くロシア大進撃のシナリオに酔いしれている感じがする。事実としての情報に希望的な観測が侵食して大戦末期の旧陸軍の分析みたいだ。
    3