――独政府は何故「レオパルト2」をおいそれと提供し得ないか……の理由を説明する。

――独政府は何故「レオパルト2」をおいそれと提供し得ないか……の理由を説明する。https://st2019.site/?p=20806

『消防出初め式における「梯子乗り」の妙技を思い出して欲しい。
 あのパフォーミングが、主役の「乗り手」1名では完結していないことは、日本人なら誰しも知っているであろう。

 乗り手は、垂直に聳立した竹梯子の先頭へ登り、人びとから注目される。

 而してその垂直梯子は、おおぜいの《支え役》が、下から支えているのだ。
 三種類の長さの鳶口を、上段、中段、下段に四方八方からひっかけて、集団で引っ張ることで、梯子の垂直を小揺るぎもさせずに保持しているのである。

 西側最先端の「主力戦車」や「マルチロール戦闘機」を機能させるためには、この、手練の鳶口係のような後方支援体制が、それこそピラミッド状に、ぶ厚く備わっている必要があるのだ。

 もしドイツ政府が、欧州諸国軍の装備品である「レオパルト2」の一部のウクライナ軍への供与を認めたとする。
 いったい、その整備は、誰がするのか?

 ウクライナ人には、どうにもならない。その専門教育を受けた整備兵が1人もおらず、スペアパーツもないのである。

 けっきょく、「ドイツが面倒を見ろ。近いんだから」という話になってしまう。蔵相を経験しているショルツには、迷惑だ。(ショルツは若いときにはINFの西独内配備に反対した。しかし2022-2-27には独国防費をGDPの2%超にすると声明。何度も要職に落選した経験のおかげで、風見鶏の才能はある。)

 1個大隊分のMBTを最前線で動かすためには、まるまる1個小隊の、整備専従の兵隊が、毎日、ガレージで働いている必要がある。
 それをドイツで負担しなければならない。果てしのない負担になる。専門技倆のある整備兵の人手は、不足することはあっても、余っている軍隊など、どこにもない。

 とうぜん、スペアパーツもドイツが自腹を切れという話になるだろう。
 エンジン部品くらいなら、しのぶこともできる。

 だが、サーマルセンサーやデジタル無線機やFCSとなると、軽量ではあってもバカ高い。えてしてタダで高性能兵器を貰ったユーザーは、そうした電装品を丁寧に扱わない。簡単に壊してしまう。

 電装品が壊れると、ハイテク兵器はパフォーミングが半減する。それはすべてウクライナ人の責任なのだが、けっきょく「ドイツ製戦車はダメだ」という責任転嫁の宣伝をされてしまうだろうことも、今からありありと目に見える。ドイツ人にとってはこれも大迷惑だ。

 「レオ2」のようなMBTを、垂直梯子の上の「梯子乗り」だとするならば、たとえば「パンツァーファウスト」のような使い捨ての対戦車ロケット弾は、「短い鳶口」に相当するだろう。そしてまた、カミカゼドローンのようなアセットは、「長い鳶口」だ。

 鳶口は、歩兵が一人でふりまわして操作ができる。
 長い梯子=後方支援体制は、まったく無用である。

 鳶口は、他者からの支援を必要としない。しかしみずからは他者を支援することができる。

 まず、多層的な「鳶口」の集団から形成させるのがよいのだ。
 ハイテク軍備先進国が、ハイテク軍備後進国に武器弾薬を援助するときは、「鳶口」だけを送れ。

 「長い鳶口」が今、足りてないのである。
 敵地、特に鉄道線路を片道攻撃できるカミカゼドローンが、必要とされている。

 その準備が、まったく、NATOには無かった。
 ウクライナにも準備はなかった。これほど効率的な対露戦備はないのに……。

 ウクライナ人は、NATOに文句を言うのを止め、露領の鉄道線路を攻撃できるカミカゼドローンを総力を挙げて国産するのが、筋だろう。ターボシャフトエンジンで定評のあるモトルシチ社は、それ専用のエンジンくらい、すぐに設計・製造ができるはずだよな? 都市民は、軍需工場に勤労奉仕の動員もされずに、何をやっているんだ?』