米バージニア州知事、フォード電池工場の建設を却下…中国共産党の「隠れ蓑」と指摘

米バージニア州知事、フォード電池工場の建設を却下…中国共産党の「隠れ蓑」と指摘
https://www.epochtimes.jp/2023/01/132969.html

 ※ 今日は、こんな所で…。

『米バージニア州のヤンキン知事は12日、国家安全保障の懸念を理由に、中国企業と提携した米自動車大手フォード・モーターのバッテリー工場の候補地から同州を外した。中国共産党の「隠れ蓑」として機能することは容認しない姿勢を示した。一方で、民主党からは雇用創出を損なったと批判する声も上がっている。

米ブルームバーグによると、フォードと中国の電気自動車(EV)用電池大手、寧徳時代新能源科技(CATL)がバージニア州に共同で電池工場を建設すれば、CATLは米インフレ抑制法の下で生産税額控除を受けられたという。工場はインフラを含めフォードが100%保有、CATLは工場を運営する予定だった。』

(※ 無料は、ここまで。)

T-14 (戦車)

T-14 (戦車)
https://ja.wikipedia.org/wiki/T-14_(%E6%88%A6%E8%BB%8A)

『この項目「T-14 (戦車)」は途中まで翻訳されたものです。(原文:en:T-14 Armata)
翻訳作業に協力して下さる方を求めています。ノートページや履歴、翻訳のガイドラインも参照してください。要約欄への翻訳情報の記入をお忘れなく。(2016年1月)』

『T-14(テー・チェティールナッツァチ、オブイェークト148、ロシア語: Т-14 Объект 148)とは、ロシアの戦車である。

ロシア連邦軍(以下ロシア軍)の次世代装甲戦闘車両シリーズ、「アルマータ」(Армата)共通戦闘プラットフォームを構成する車輛のひとつで、第4世代主力戦車に相当する(ただし、第4世代主力戦車の定義はまだ正確には定まっていない。「第5世代主力戦車」とすることもある[2]等諸説あり)。無人砲塔を採用し、乗員の生残性や市街戦を考慮した構造となっている。

2015年モスクワ戦勝記念日パレード(英語版)において初めて公開された[11]。2017-18年に量産を開始予定で[12]、2020年までにロシア軍はT-14を2,300輌取得する計画である[13][14]。近い将来遠隔操作が可能になるとされている[12]。

なお、「アルマータ」とは前述のようにT-14をはじめとする装甲戦闘車両シリーズの総称なので、T-14自体を指す名称が「アルマータ」というわけではない点には注意が必要である[15]。

開発の経緯

T-95。T-14の最大の特徴ともいえる無人砲塔はT-95ですでに採用されていた。

ソ連時代から続くロシアの現用主力戦車といえばT-64/T-72/T-80及びT-72の改良発展型であるT-90だが、これらの戦車は西側の第3世代主力戦車に対してやや見劣りした。2008年のグルジア戦争を機に予備保管となったT-64はともかく、1980~1990年代から(後述のチョールヌィイ・オリョールなど)T-72やT-80の近代化計画は存在したものの、ソビエト連邦の崩壊のあおりや予算不足によりこれらの計画は頓挫するか、近代化が施されても少数の戦車にとどまった。だが2000年代にウラジーミル・プーチンがロシア大統領に就任すると国防予算も増加傾向に転じたため、2004年には(実質的にT-72の近代化版である)T-90の中でもさらなる発展型であるT-90Aの配備が可能となった[16]。

これと並行してロシアではソ連末期から「西側の第3世代主力戦車にも対抗可能な新型戦車」として次世代主力戦車の開発が進められていた。T-80UM2「チョールヌイ・オリョール」とT-95(オブイェークト195)である。のちにチョールヌイ・オリョールは2000年に製造メーカーのオムスク輸送機械が倒産したことから開発が中止され、次世代主力戦車はT-95に一本化されることとなる[17]。T-95は135mmまたは152mm滑腔砲を搭載した無人砲塔を採用し、乗員は車体前部の装甲カプセルに乗せ、自動装填装置はロシア戦車では比較的採用事例が多かったものの、誘爆の危険性が高かったカセトカ式を改めるなど、生残性を重視した設計となっていた。2000年代末の時点でロシア軍はT-90Aを配備しつつ、T-95の実用化を急ぎ、T-72やT-80の近代化は行わない方針をとっていたが、2010年、T-95は「冷戦時の計画に基づくT-95はコンセプトが古い[18]」「費用対効果が低い」などの理由で開発中止となってしまった。また2011年、T-90Aも所詮は「(湾岸戦争で惨敗した)T-72の17番目の改良型」であり、世界の水準に達していないとして新規の生産・配備の中止が決定、5年間は戦車の新規調達を行わず、当面は圧倒的に配備数の多いT-72の近代化改修により戦力の底上げを図る方針となった(2017年現在、既存のT-72Bを順次最新型のT-72B3及びT-72B4に改良している)。

しかし同時に、2015年をめどに新型戦車の調達を開始するという方針も打ち出され、翌2012年にロシア軍装甲車輛体系の近代化計画が発表された。この計画は複雑化していた(ロシア軍で装甲戦闘車輛の調達・運用を担当する国防省装甲車輛総局(GABTU)(英語版)の管轄だけで20車種55タイプの装甲車輛が存在した[16])ロシア軍の装甲戦闘車輛を4つの共通車体によるファミリー化で整理するという計画である[15]。その4つの共通車体とは、

軽量級プラットフォーム「タイフーン」(装甲兵員輸送車・MRAPなど)
装輪式軽型プラットフォーム「ブーメランク」(装甲兵員輸送車など)
装軌式中型プラットフォーム「クルガーニェツ-25」(歩兵戦闘車など)
装軌式重型プラットフォーム「アルマータ」(戦車・自走砲・歩兵戦闘車など)

ブーメランク (装甲兵員輸送車型)

ブーメランク
(装甲兵員輸送車型)
クルガーニェツ-25 (歩兵戦闘車型)

クルガーニェツ-25
(歩兵戦闘車型)
アルマータ (自走砲型2S35)

アルマータ
(自走砲型2S35)
アルマータ (歩兵戦闘車型T-15)

アルマータ
(歩兵戦闘車型T-15)

であり、T-14はこのうち、「アルマータ」の車体を利用して製作された主力戦車である。開発には5年を要した。[19]

構造

T-14は無人砲塔を採用し、3名からなる乗員は全員車体に搭乗する。砲塔にハッチが見られないことに注目。

T-14の最大の特徴として、無人砲塔を採用し3名からなる乗員は全員車体に搭乗していることがあげられる。これはT-14が最初というわけではなく、T-95やアメリカもMCS(車載戦闘システム)で無人砲塔の導入を検討していたが、両車とも開発中止になっている。

従来の戦車では戦車長は砲塔の上からおもに肉眼や聴覚により周囲を索敵していたが、T-14ではこれができないので、テレビジョンや赤外線暗視システム等をはじめとする電子光学的手段で周囲を索敵することになる。しかし果たして戦車長が「五感」無しに周囲の状況を把握しきれるのかなど、実戦に投入しなければ分からない部分もある[20]。

武装

T-14の主砲は、かつてのソビエト/ロシア戦車が採用していた125mm滑腔砲2A46に代わり、125mm滑腔砲2A82-1Mが採用された[6][21]。これは排煙器(エバキュエーター)がないこと(T-14は無人砲塔なので発射ガスの砲塔内への逆流を考慮する必要がない)、発射速度が10 – 12発/分と高いこと、有効射程8kmであることが特徴である。公式発表によれば戦車サイズの目標捕捉距離は光学照準器を使った昼間で5km以上、熱画像装置を使った夜間で3.5kmほどとされる。砲手用光学照準器は倍率4倍と12倍の切り替えが可能[3]で、 レーザー測距儀の有効射程は7.5kmとされる[10]。これらのシステムは重複して搭載され、その他に乗員の車外視察用に360度旋回の高解像度カメラが用意されている[22]。

2A82-1Mの主砲弾として開発された「ヴァキューム1」装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS)は90cm長の貫徹体からなり、射程2,000mからRHA換算で100cm相当の貫徹力を有する[23][24]。
また、砲塔内には45発のすぐに使用可能な弾薬を搭載できるという[25]。

また爆発モード切り替えが可能な「テリンク」榴弾が用意されている。主砲発射型対戦車ミサイルとして2A82-1M専用に開発された3UBK21「スプリンター」[26]は対空目標にも使用が可能である[10]。砲弾搭載総数は45発で、うち32発を自動装填装置に格納する。

T-14の副武装として12.7mmKord(6P49)重機関銃(パレードの際には搭載されていない)と7.62mmPKTM(6P7К)機関銃があり、弾数はそれぞれ300発と1,000発が装填される[3][26][27]。これらは2つとも遠隔操作により使用される[26]。また再装填用に(おそらく7.62mm)銃弾が1,000発搭載される[19]。12.7mm機関銃は砲塔上に装備され、砲塔前面にもおそらく 7.62mm機関銃を積載するためと思われるスリットがある。

機動性

T-14はディーゼルエンジンであるChTZ 12Н360 (A-85-3A)を使用しており、1,200馬力での走行時間は10,000時間である。

T-14は12段階の出力を出す事が可能な自動変速機を使用している。最高速度は時速80kmから90kmで、行動可能距離は500kmである。

防御力

直接防御力

T-14はSTANAG 4569レベル5相当の防護力を有する[28]。また、車体正面に装甲カプセルを持ち、この中に全乗員が搭乗する。

装甲カプセルのアイデアは、以前に計画されたT-95戦車から考案されていた。これは鋼板・セラミック・合成材料でできた複合装甲である[29]。このうち鋼板は『44S-SV-SH』と呼ばれるものが使われており、必要な防御力を損なう事なく15%の軽量化に成功している。また、車体の側面前部には爆発反応装甲、側面後部にはケージ装甲を装備し、対戦車ミサイルなどの成形炸薬弾に対する防御を図っている(ただしケージ装甲はHEAT弾の炸裂を防ぐものであるため徹甲弾などに対しては殆ど意味がない。)

間接防御力

上述したように、車体前部の装甲カプセルのみに全乗員が搭乗することで弾薬誘爆時の乗員の生存性を高めている[29][30]。

また、砲塔に「アフガニト」と呼ばれるこれはハードキル型(物理的に迎撃する)のアクティブ防護システムを装備しており、砲塔側面下部に固定式の発射機がある。これは15~20mの距離で対戦車擲弾の他、1,700m/s以内であればAPFSDSも迎撃可能である。将来的にはZaslon(英語版)アクティブ防護システムを装備する予定である。これにより迎撃可能速度は2,500~3,000m/sまで増えるという[30](ただしZaslonには徹甲弾を迎撃する能力はない)。

これとは別に、砲塔上部左右にNIIスターリ社製のソフトキル型(攻撃を撹乱する)のアクティブ防護システムを持ち[28]、こちらは煙幕を展開する。
通信およびセンサー

電子機器は全て、摂氏-40℃から104℃の環境に耐えるよう設計されている[30]。

また、T-14には将来的にAESAレーダーを搭載し[30]、多目的な車両として運用される予定である。このレーダーは半径100km以内の、40個の移動目標・25個の空中目標を検出可能であるという。

前面

前面

斜め後ろ。車体前面のハッチは戦車長用のものである。
排気口のアップ

排気口のアップ
車体前面のドーザー・地雷ローラー取り付け部

操縦手(奥の人物)用にリクライニングシートと、操縦手用ハッチの後ろに潜望鏡が用意されている

操縦手(奥の人物)用にリクライニングシートと、操縦手用ハッチの後ろに潜望鏡が用意されている

砲塔にある機関銃プラットフォームと戦車長用センサーのアップ。

比較

歴代主力戦車の比較 T-14 T-90 T-80U T-80

画像 Alabino22042016-31.jpg 2011 Moscow Victory Day Parade (358-11).jpg T-80U, Engineering Technologies 2010 international forum.jpg ParkPatriot2015part2-39.jpg
世代 第3.5世代 第3世代
全長 10.8 m 9.53 m 9.55 m
全幅 3.5 m 3.78 m 3.6 m
全高 3.3 m 2.23 m 2.2 m
重量 55 t 46.5 t 46 t 42.5 t
主砲 2A82-1M
125mm滑腔砲 2A46M/2A46M-5
51口径125mm滑腔砲 2A46M-1/2A46M-4
51口径125mm滑腔砲
装甲 複合+爆発反応+ケージ
(外装式モジュール) 複合+爆発反応
(外装式モジュール)
エンジン 液冷4ストローク
X型12気筒ディーゼル 液冷4ストローク
V型12気筒ディーゼル ガスタービン
or
液冷2ストローク
水平対向6気筒ディーゼル ガスタービン
最大出力 1,350 – 2,000 hp 840 – 1,130 hp 1,000 – 1,250 hp 1,000 – 1,250 hp
最高速度 80 ? 90 km/h 65 km/h 70 km/h 70 km/h
懸架方式 不明 トーションバー
乗員数 3名
装填方式 自動
T-72 T-64 T-62 T-55 T-54
画像 ParkPatriot2015part2-21.jpg T-64A – Moscow Suvorov Military School (1.0).jpg T-62D, Moscow Suvorov Military School (1).jpg T-55 skos RB.jpg RaceofHeroes072016-60.jpg
世代 第2.5世代
(B型以降第3世代) 第2.5世代 第2世代 第1世代
全長 9.53 m 9.2 m 9.3 m 9.2 m 9 m
全幅 3.59 m 3.4 m 3.52 m 3.27 m
全高 2.19 m 2.2 m 2.4 m 2.35 m 2.4 m
重量 41.5 t 36~42 t 41.5 t 36 t 35.5 t
主砲 2A46M/2A46M-5
51口径125mm滑腔砲 2A21
55口径115mm滑腔砲
2A46M
51口径125mm滑腔砲
(A型以降) U-5TS(2A20)
55口径115mm滑腔砲 D-10T
56口径100mmライフル砲
装甲 複合
(B型以降爆発反応装甲追加) 通常
エンジン 液冷4ストローク
V型12気筒ディーゼル 液冷2ストローク
水平対向5気筒ディーゼル 液冷4ストローク
V型12気筒ディーゼル
最大出力 780 – 1,130 hp/2,000 rpm 700 hp/2,000 rpm 580 hp/2,000 rpm 520 hp/2,000 rpm
最高速度 60 km/h 65 km/h 50 km/h
懸架方式 トーションバー
乗員数 3名 4名
装填方式 自動 手動
世界の第3.5世代主力戦車の比較表 フランスの旗ルクレール イギリスの旗チャレンジャー2 イスラエルの旗メルカバ Mk 4 中華人民共和国の旗99A式
画像 Leclerc-openphotonet PICT6015.JPG SETC 18 UK CBRNE (41870155094).jpg IDF-Merkava-Mk-4M-2016-Zachi-Evenor.jpg ZTZ-99A tank front right 20170902.jpg
開発形態 新規 改修
全長 9.87 m 11.55 m 9.04 m 11 m(推定)
全幅 3.71 m 3.53 m 3.72 m 3.70 m(推定)
全高 2.92 m 3.04 m 2.66 m 2.35 m(推定)
重量 約56.5 t 約62.5 t 約65 t 約55 t(推定)
主砲 52口径120mm滑腔砲 55口径120mmライフル砲 44口径120mm滑腔砲 50口径125mm滑腔砲
副武装 12.7mm重機関銃×1
7.62mm機関銃×1 7.62mm機関銃×1
7.62mm機関銃×1 12.7mm重機関銃×1
7.62mm機銃×2
60mm迫撃砲×1 12.7mm重機関銃×1
7.62mm機関銃×1
装甲 複合 複合+爆発反応+増加 複合+増加
(外装式モジュール) 複合+爆発反応
(外装式モジュール)
エンジン V型8気筒ディーゼル
+
ガスタービン 水冷4サイクル
V型12気筒ディーゼル 液冷4サイクルV型12気筒
ターボチャージド・ディーゼル 水冷4サイクル
V型12気筒ディーゼル
最大出力 1,500 hp/2,500 rpm 1,200 hp/2,300 rpm 1,500 hp 1,500 hp/2,450 rpm
最高速度 72 km/h 59 km/h 64 km/h 80 km/h
乗員数 3名 4名 3名
装填方式 自動 手動 自動
C4I SIT BGBMS BMS 搭載(名称不明)
日本の旗10式 大韓民国の旗K2 ロシアの旗T-14 アメリカ合衆国の旗M1A2 SEPV2 ドイツの旗レオパルト2A7
画像 10式戦車 (8465388990).jpg K2 black panther3.jpg 9may2015Moscow-04.jpg Joint Readiness Training Center Rotation 140929-A-IN756-459.jpg Leopard 2 A7.JPG
開発形態 新規 改修
全長 9.42 m 10.8 m 10.8 m 9.83 m 10.93 m
全幅 3.24 m 3.60 m 3.50 m 3.66 m 3.74 m
全高 2.30 m 2.40 m 3.30 m 2.37 m 3.03 m
重量 約44 t 約55 t 約55 t 約63.28 t 約67 t
主砲 44口径120mm滑腔砲 55口径120mm滑腔砲 56口径125mm滑腔砲 44口径120mm滑腔砲 55口径120mm滑腔砲
副武装 12.7mm重機関銃×1
7.62mm機関銃×1 12.7mm重機関銃×1
7.62mm機銃×1 12.7mm重機関銃×1
7.62mm機関銃×1 12.7mm重機関銃×1
7.62mm機関銃×1
RWS×1 7.62mm機関銃×2
装甲 複合+増加
(外装式モジュール) 複合+爆発反応
(モジュール式) 複合+爆発反応+ケージ
(外装式モジュール) 複合+増加
エンジン 水冷4サイクル
V型8気筒ディーゼル 液冷4サイクルV型12気筒
ターボチャージド・ディーゼル 空冷ディーゼル ガスタービン 液冷4サイクルV型12気筒
ターボチャージド・ディーゼル
最大出力 1,200 ps/2,300 rpm 1,500 hp/2,700 rpm 1,500 hp/2,000 rpm 1,500 hp/3,000 rpm 1,500 ps/2,600 rpm
最高速度 70 km/h 70 km/h 80?90 km/h 67.6 km/h 68 km/h
乗員数 3名 4名
装填方式 自動 手動
C4I ReCS・10NW B2CS YeSU TZ FBCB2 IFIS
輸出

エジプト

デニス・マントゥロフロシア産業貿易大臣は2015年5月26日のカイロ訪問において、通信社「ロシアの今日」に対してT-14をエジプトに輸出する準備ができていると話している[31]。また、T-14の製造元であるウラルヴァゴンザヴォート社はロシアの軍事装備や武器博覧会にエジプトからの代表団を招待した[32]。

その他の国々

ロシア大統領補佐官ウラジーミル・コージン(英語版)は2015年の戦勝パレードに出席した中国やインド、ベトナム、アルジェリアといったロシアの友好国や第三世界の国々はT-14などのロシア製軍事装備に興味を示した、と語った[33]。』

ロシア、最新鋭戦車の投入検討か アルマータ、英国防省が分析

ロシア、最新鋭戦車の投入検討か アルマータ、英国防省が分析
https://www.47news.jp/world/8834559.html

『2023年01月20日 共同通信

【キーウ、ワシントン共同】英国防省は19日、ロシアが最新鋭戦車T14アルマータのウクライナ投入を検討しているとみられるとの分析を公表した。昨年12月下旬に、ウクライナでの作戦に関連しているロシア南部の演習場に出現しているのが衛星画像で確認されたとしている。

 英国防省は、開発の遅れや製造上の問題が指摘されるアルマータの投入は「高リスクな決定」と指摘。配備されても、宣伝目的のごく少数にとどまるとの見方を示した。』

「年内のロシア駆逐は困難」 ウクライナ戦況で米軍制服組トップ

「年内のロシア駆逐は困難」 ウクライナ戦況で米軍制服組トップ
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023012100221&g=int

『【ベルリン時事】米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は20日、ロシアが現時点でウクライナの多くの領土を支配下に置いていることを踏まえ、「今年中に、ウクライナの隅から隅まで軍事的にロシア軍を駆逐することは極めて難しいだろう」と述べた。ウクライナ支援の国際会議が開かれたドイツ南西部ラムシュタイン米空軍基地で記者会見した。

ドイツ製戦車は協議継続 大規模な武器供与へ―ウクライナ支援国会議

 また、この日議論された米欧などの大規模な武器や訓練の提供を念頭に、「ウクライナ軍が前線の守備を安定させる可能性は大いにある」と指摘。ロシア軍の攻勢にも持ちこたえることができると分析した。 』

ロシア、安全操業の交渉応じず 北方領土周辺、日本に伝達

ロシア、安全操業の交渉応じず 北方領土周辺、日本に伝達
https://nordot.app/989403916970541056?c=302675738515047521

『北方領土周辺水域での日本漁船の安全操業を定めた日本とロシアの間の漁業協定に関し、ロシア側が現時点で今年の操業条件を決める政府間交渉に応じない方針を日本政府側に伝えたことが21日、分かった。ウクライナ侵攻に伴う制裁を巡る日ロ関係の悪化が要因とみられる。例年1~3月が漁期となるスケトウダラ刺し網漁などの操業に影響が出そうだ。
 この取り決めは「安全操業協定」と呼ばれ、1998年に結ばれた。2023年の操業に関しては22年中に交渉入りできないまま初めて越年。在ロシア日本大使館の関係者が19日、ロシア外務省に呼ばれ、政府間交渉には入れないと伝えられたという。

c 一般社団法人共同通信社 』

民主党政権の検証 (再掲)

民主党政権の検証 (再掲)
― 迷走の3年を総括 ― 平成24年8月
https://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/067_01.pdf

 ※ 過去の投稿を表示させている人がいて、自民党のサイトに行って、サイト内検索したら、ヒットした…。

 ※ 最近は、邪魔されていないもよう…。

 ※ 『政党支持率では立憲民主党が昨年12月の5.5%から2.5%となり、2020年9月の旧国民民主党との合流以来の最低値を更新した。半減を超える下がり方で、日本維新の会との「共闘」継続を打ち出したものの、有権者の期待になお応えられていない格好だ。

 自民党は前月比1.8ポイント増の24.6%。維新3.6%(同0.2ポイント減)、公明党3.4%(同0.3ポイント減)が続いた。5番手以下は、共産党1.8%、国民民主党1.5%、れいわ新選組と参政党が0.7%、NHK党0.4%、社民党0.1%。「支持政党なし」は58.7%だった。
 調査は全国18歳以上の2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は60.5%。』( https://www.jiji.com/jc/article?k=2023011900738&g=pol )

 ※ まあ、この体たらくではな…(自公以外全部足しても、8.8%。消費税率以下だ)。

 ※ テキスト抽出したものを貼っておく…。

『 参議院自由民主党

目次

はじめに ・・・ 1
Ⅰ 民主党政権の根源的問題

1.国家運営能力の欠如
(1)法治主義の欠如 ・・・ 2
(2)誤った政治主導 ・・・ 5
(3)政策決定一元化の失敗 ・・・ 8
(4)発言の軽さ ・・・ 10
2.党運営能力の欠如 ・・・ 11
3.経済運営能力の欠如 ・・・ 12
4.危機管理能力の欠如 ・・・ 14
5.予算管理能力の欠如 ・・・ 17
6.情報管理能力の欠如 ・・・ 19
7.外交能力の欠如 ・・・ 20
8.皇室の軽視 ・・・ 23
9.その他 ・・・ 25

Ⅱ 国民への裏切り
1.マニフェストの破綻 ・・・ 26
2.国民への説明の欠如 ・・・ 28
3.基本政策の方針転換
(1)普天間問題 ・・・ 30
(2)消費税増税 ・・・ 31
(3)TPP ・・・ 32
(4)温暖化対策 ・・・ 33
(5)原発政策 ・・・ 34
4.年金問題 ・・・ 36

Ⅲ 不祥事の続出
1.総理の不祥事 ・・・ 38
2.閣僚の不祥事 ・・・ 40
3.民主党議員の不祥事 ・・・ 42
4.不適切な人事 ・・・ 43

1
はじめに

本報告書は、平成 21 年 9 月の政権交代の後、現在まで 2 年 10 カ月にわたり
政権を担い、我が国の国政史上に大きな汚点を残してしまった民主党政権の失
敗について、事例をもとに検証するものである。
民主党政権の失敗は、政権交代以前からの、さらに遡れば結党当初からの、
政党としての本質的な欠陥に起因するところが大きい。「政権交代」だけを目標
に、政策理念もバラバラな政党・議員が集合して誕生したのが民主党である。
そして、国家観・憲法観を共有できず、党の綱領も作成できないまま、実現不
可能な政策を並べたマニフェストを掲げて選挙を戦い、国民を欺いて政権を取
ってしまった。その経緯をみても、民主党政権は、最初から失敗が運命付けら
れていたといってよい。
政権交代後は、その国家運営能力の絶対的な欠如によって、内政・外交上の
数々の失敗を引き起こし、国益を損ない続けてきた。また、都合の悪い事実を
隠蔽し、約束を簡単に反故にする体質によって、国民を裏切り続けてきた。さ
らに、総理・閣僚をはじめとする所属議員の度重なる不祥事によって、国民の
政治に対する信頼を失い続けてきた。
この 2 年 10 カ月間で、我が国が置かれた状況はますます厳しさを増しており、
再びこのような失敗を犯せば、即、国を滅ぼすことにもなりかねない。今後、
二度とこのような亡国政権が誕生することのないよう、本報告書において、民
主党政権の失敗を総括したい。

2
Ⅰ 民主党政権の根源的問題

民主党政権の根源的問題は、絶対的な能力不足である。国家運営・党運営を
はじめ、予算編成、国会運営、各種政策の遂行能力など、あらゆる面において、
政権党として求められる能力が絶対的に欠けている。
これは、民主党の政党としてのあり方そのものに端を発する問題であり、民
主党が民主党である以上、解決不可能な本質的な問題だと言わざるを得ない。

1.国家運営能力の欠如

(1)法治主義の欠如

民主党政権は、法治主義に対する理解が著しく欠けている。自らに都合の
いいように行政を動かすためには、法律の定めであっても無視して構わない
という考え方で政権を運営した。結果、法的根拠のない組織の乱立、法定の
手続を無視した人事や行政執行が横行し、行政に多大な混乱をもたらした。
○法的根拠のない組織の乱立
民主党政権では、国家の基本政策に関わる議論や危機管理に関わる事務
を、法的根拠のない本部・会議で行うことが常態化している。これらの本
部・会議の決定には法的拘束力がないため、政府・民主党内で容易に結論
が覆されてしまう状況にあり、意思決定過程が不明確となっている。
特に、東日本大震災に際しては、緊急災害対策本部、原子力災害対策本
部、安全保障会議といった、法令上の根拠と権限を持った組織を活用せず、
法的根拠のない本部・会議を乱立させたことにより、指揮命令系統が麻痺
した。その結果、迅速な事態対応や国民への適切な情報提供ができず、戦
後最大の「人災」を引き起こした。

【法的根拠のない本部・会議の例】

・国家戦略室(H21.9 総理大臣決定)
・新成長戦略実現会議(H22.9 閣議決定)
・国家戦略会議(H23.10 閣議決定)
・行政刷新会議(H21.9 閣議決定)
・行政改革実行本部(H24.1 閣議決定)
・行政改革に関する懇談会(H24.5 内閣府特命担当大臣(行政刷新)決定) ・震災・原発事故対応で設置された各種本部・会議
・福島原子力発電所事故対策統合本部(東電内に設置)(H23.3 設置根
3
拠なし)
・政府・東京電力統合対策室(H23.5 原子力災害対策本部の下に設置)
・原発事故経済被害対応チーム(H23.5 総理大臣決裁)
・原子力発電所事故による経済被害対応本部(H23.4 総理大臣決裁)
・原子力被災者生活支援チーム(H23.3 原子力災害対策本部長決定)
・被災者生活支援チーム(H23.3 緊急災害対策本部長決定)
・被災者生活支援各府省連絡会議(H23.3 設置根拠なし)
・電力需給に関する検討会合(H23.3 総理大臣決裁)
・電力改革及び東京電力に関する閣僚会合(H23.11 設置根拠なし)
・除染及び特定廃棄物処理に関する関係閣僚会合(H23.11 設置根拠な
し)
・エネルギー・環境会議(H23.6 新成長戦略実現会議決定)
・共済年金職域部分と退職給付に関する有識者会議(H24.4 設置根拠なし)

○法律・手続を無視した人事

民主党政権は、法令の根拠がない大臣・副大臣を任命したり、国会法に
違反して国会議員を仕分け人にしたりするなど、組織と人事のルールを理
解していない。
また、個人的な友人・知人を顧問・参与に任命する、民主党の職員を大
量に内閣官房職員に任命するなど、公私の区別がついていない。

【具体例】

・枝野法令解釈担当大臣(法的根拠なし、内閣法制局との関係も不明)
・松原拉致問題担当副大臣(内閣府の副大臣としての任命なし)
・国会議員を仕分け人に採用(国会法違反)
・友人・知人を政府職員に採用
内閣特別顧問:稲盛和夫氏など
内閣官房参与:平田オリザ氏など。震災後には原子力関係者が急増。
内閣官房専門調査員:民主党職員 27 人
内閣府本府参与:湯浅誠氏など
(※既に離職している者を含む。)

○法定の手続を無視した政策遂行

・浜岡原発の停止、大飯原発の再稼働
菅総理は、法律の根拠なく、民間企業である中部電力に対して浜岡
原発の停止を命じた。指示や命令ではなく要請だと言うが、中部電力
4
が要請を断ることは困難であり、事実上の命令に他ならない。
大飯原発の再稼働については、野田総理が、安全委員会を無視して
閣僚会合で再稼働を決定した。もちろん、安全委が現行法制上の職務
を放棄していることも問題である。

・八ツ場ダム建設中止
法律に基づいた建設基本計画では、(当然ながら)ダムを建設するこ
とになっている。それを変更せずに、前原大臣が勝手に中止を宣言し
た。計画の変更には地元自治体との事前協議が義務付けられており、
これを無視した形である。結局、H23.12 に建設再開を決定した。

・「地域主権」という語の使用
「地域主権」という、現行憲法と相反する政治的スローガンを、内
閣提出法案の題名にまで使用した(地域主権改革の推進を図るための
関係法律の整備に関する法律案)。
結局、自民党の指摘で法案名から「地域主権」を削除した(「地域の
自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の
整備に関する法律」に修正して成立)。
5

(2)誤った政治主導

政務三役等として政府の構成員となった政治家は、党の政権公約に基づき、
政治主導による政策運営を行うことが最大の課題である。そのためには、政
策決定の責任者として重要な決定を自ら行うだけでなく、必要に応じて官僚
を適切に使いこなす「官僚の管理・監督者」としての役割も求められる。
決定された政策について国民に説明責任を果たすとともに、それによる結
果責任を負うのは、当然のことながら、官僚ではなく政治家である。
民主党政権は、これらの仕組みを全く理解せず、「政治主導=官僚の排除」
だという誤解に基づいて、政府内の意思決定プロセスを機能停止させた。そ
の結果、意思決定は錯綜し、政と官の信頼関係は崩壊し、行政執行は停滞し
てしまった。

○官僚を敵視・排除し、業務の停滞・質低下を招く

・事務次官会議の廃止

事務次官会議は官僚主導の象徴として批判されたが、同時に政府全
体の情報共有機関でもあった。そのため、民主党政権による廃止後は、
各省の官僚が職務遂行に必要な他省庁の情報すら得られない「情報の
タコツボ状態」となった。
結局、民主党政権も、震災対応の「各府省連絡会議」という形で、
事務次官会議を復活せざるを得なかった。

・政務三役会議からの官僚の排除

各省の最終的な意思決定を政務三役会議で行うこと自体には意義が
あるが、その場からサポート役としての官僚を排除することは、意思
決定に必要な情報の取得、意思決定過程の記録、円滑な政策実施のた
めの意思疎通などを欠くことになり、行政の質を低下させてしまった。

・官僚の国会答弁禁止(特に内閣法制局長官)

国会質問は、国会議員の中核的な活動であり、国民主権を具現化す
るための憲法上の要請である。したがって、国会議員が、誰に対して、
どのような質問をするかは、国会議員の自由な裁量に委ねられる必要
があり、政府が制限すべき事柄ではない。
また、特に政治的恣意による安易な憲法解釈の変更を防止するため、
準司法的な性格を持った内閣法制局長官に対しては、国会議員の自由
な質問の機会が確保されるべきである。
民主党政権は、こうした内閣法制局長官答弁の意義を理解せず、た
6
だ官僚であるということだけで答弁を禁止し、法的根拠のない「法令
解釈担当大臣」の答弁という無責任な事態を招いた。

・官僚の記者会見禁止

記者会見は、各府省の政策責任者たる政務三役が原則として行なう
べきものであるが、技術的事項や細かなデータについての説明を官僚
が行うことは、国民の知る権利を保障する観点からも認められるべき
である。
民主党政権は当初、こうした事項を含む官僚の記者会見を一律に禁
止しようとしたため、混乱を生じさせた。

・総理や閣僚の独断・思いつきを止められない体制

民主党政権では、総理や閣僚が、将来に禍根を残す決定を独断で行い、
誰もそれを止められないという体制があったことは大きな問題である。
しかも、その責任は部下に取らせて恥じない態度は、政治家として無責
任と断ぜざるを得ない。

【具体例】

・朝鮮王朝儀軌引渡し(菅総理の独断)
・尖閣事件の船長釈放(仙谷官房長官の独断)→ 那覇地検の責任に ・運用3号通知(長妻大臣の独断)→ 担当課長の責任に ・国家公務員採用の大幅減(岡田副総理の独断)
・閣僚間の不一致が常態化
民主党政権では、菅総理と海江田大臣、岡田副総理と小宮山大臣など、
明らかに異なる方向性の発言や国会答弁が常態化した。自民党政権時代
であれば閣内不一致として問題化し、閣僚の罷免にもつながる事態であ
るが、民主党政権では、これを問題視するという感覚すら持たない。
憲法66条3項の「内閣は、行政権の行使について、国会に対して連
帯して責任を負う」という義務を果たせていない状況である。
・自ら「事業仕分け」を行いながら、その結果を無視・軽視
民主党政権の事業仕分けは、その法的根拠がないという致命的な問題
のほか、仕分け人の選定、対象事業の選定などに透明性を欠いており、
仕分けの結果には何ら正当性がなく、単なるパフォーマンス以外の何物
でもない。
そのため、仕分けの結果は、当然ながら政権内でも無視・軽視された。
野田総理自身が財務大臣時代に決定した朝霞公務員宿舎の建設再開はそ
の象徴である。ついには、仕分け結果が無視された事業の「再仕分け」
7
という、それ自体が無駄な作業まで発生した。

・ビジョンのない政策決定

民主党政権の政策決定は、中長期的なビジョンに欠けており、どうし
たらその場の喝采を得られるかというポピュリズム的視点に支配されて
いる。そのため、公務員採用の大幅減、科学技術の軽視(はやぶさ2の
予算激減)など、国益の観点からはあり得ない決定が次々となされてい
る。自ら国の衰退を招き寄せていると言っても過言ではない。

・違法交渉

現行法上、公務員には労働協約締結権がないにも関わらず、総務大臣
と組合が、自律的労使関係の「先取り」と称して、違法な「合意」を行
った。これにより、給与削減と労働基本権付与の引き換えが合意された。
現在は違法なものを、将来合法化される(という希望的観測)から「先
取り」で行ってもいいという論理は理解不能であり、明らかに法治主義
を逸脱している。

・情報の隠ぺい体質(都合の悪い情報は隠す)

民主党政権には、自らに都合の悪い情報は隠ぺいするという体質が染
みついている。それが、国民の政府に対する不信感を招いたばかりでな
く、原発事故対応に際しては不要な被ばくも引き起こすという、犯罪に
も等しい行為となって表れた。

【具体例】

・原発事故対応(SPEEDI、米実測値の非公表、議事録不作成など) ・温暖化対策の家計負担、年金改革の財政試算
・尖閣ビデオ、北朝鮮ミサイル発射への対応
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(3)政策決定一元化の失敗

マニフェストの「5原則」の一つとして「政府と与党を使い分ける二元体
制から、内閣の下の政策決定に一元化へ」と明記していた。これは、イギリ
スの制度を模倣したものであった。

しかし実際には、政権発足当初から、党幹事長が入閣しないなど「不完全
な一元化」に過ぎなかった。そればかりか、逆に政策調査会を廃止したこと
で幹事長に党の権力が集中した。その結果、鳩山総理と小沢幹事長の二元体
制が定着することとなった。

結局、菅政権では政策調査会を復活させ、マニフェストの公約であった政
策決定の一元化は一度も実現することなく破綻することとなった。

○党政調の廃止

日本の国会議員は、英国の政府外与党議員(いわゆる「バックベンチャ
ー」と異なり、それぞれが「全国民を代表する」(憲法43条1項)存在と
して、個々の案件に関して自主的・自立的に判断することが求められてい
る。
民主党が行った党政調の廃止は、各議員が党内での「平場」の会議にお
いて自由闊達な議論を展開させる場や、与党が党内での議論を通じて政府
の活動を監視する場を奪うものであり、政府外の与党議員を、政府の意思
決定に無条件に従う単なる「採決要員」に貶めるものであった。

○請願・陳情窓口の一元化

憲法第16条は、何人も「平穏に請願する権利を有す」るものと規定し、
請願法第5条は、「請願は、官公署において、これを受理し誠実に処理しな
ければならない」と規定している。
陳情は、請願を補完するものであり、憲法・請願法の趣旨に照らせば、
国民が政府に対して陳情する権利は、保障されるべきものである。
民主党が行ったように、一政党が何らの法的根拠もなく、国民が陳情の
ために政府に接触することを制限するのは、憲法の趣旨に反するものと言
わざるを得ない。
特に、地方自治体や地方議会からの要望の途が狭められ、国民全般の声
を国政に届けることが大幅に制約されたことは、政権専横・政治の私物化
に他ならず、国政に大きな混乱をもたらす原因となった。
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○超党派議連の停止

超党派議連は、国会議員が党派を超えて個々の自由な立場から政策を研
究し、議論する場であり、国政の活性化と、その可能性の拡大のために不
可欠の場と言える。民主党政権は自党の議員がこれに参加することを禁止
し、結果として超党派議連が有する効果の発揮を妨げ、国政への不利益を
もたらした。
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(4)発言の軽さ

総理・閣僚等の発言が軽く、間違ったら取り消せばいい、謝ればいいと思
っている。自民党政権の場合であればすぐに罷免となるような事例ばかりで
あり、発言自体が国益を損なう、社会に影響を与える、ということに全く考
えが及んでいない。
民主党政権は、守るべきモラルを持っていない、責任を取る文化がない、
という点が、自民党政権との大きな違いであると言える。

【具体例】

○鳩山総理
・「私は愚かな総理かもしれません」と自ら認める(H22.4) →平野官房長官が「総理の謙虚さの表れ」と擁護
○仙谷官房長官
・「自衛隊は暴力装置」と発言(H22.11) →本人が撤回・謝罪
→菅総理:御本人が謝罪し訂正して変えられたわけでありますから、そ
れはそれで良かったのではないかと思っております
→菅総理:私からもおわびを申し上げたいと思います
○柳田法務大臣
・「国会答弁は2つだけ覚えておけばいい」と発言(H22.11) →辞任
○細川厚労大臣
・年金の運用3号通知について「当時は知らなかった」と発言(H23.3) →担当課長を更迭するが、自らは辞任せず(部下に責任を押し付け)
○丹羽中国大使
・東京都の尖閣購入は「日中関係に重大な危機をもたらす」と発言(H24.6) →本人が謝罪
→玄葉外相:深い反省の意を表していることを踏まえなければならない
(処分せず。注意のみ。)
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2.党運営能力の欠如

民主党は、基本的な国家観を異にする議員の寄せ集めであり、綱領すら定
めることができていない。また、党内の意思決定手続が明文化されていない
ため、同じ議論が何度も蒸し返されて、物事を決めることができない。党運
営の基本的な能力を欠いているといえる。

○国家観・憲法観の不在

民主党は、保守系から旧社会党系まで党内がバラバラであり、未だに、
党としての国家観・憲法観をまとめることができていない。
そのため、国会での憲法論議にも非常に消極的であり、衆参両院の憲法
審査会に対しては、名簿提出を遅らせるなどして開催に抵抗した。
また、民主党内の憲法調査会は、昨年12月に政権交代後初の総会を開
催したが、出席者が所属議員の 1/10 に留まるなど、党内議論は低調である。

○綱領を持たない

民主党は、そもそも綱領を持っておらず、基本的な政策理念すら定まっ
ていない。これでは、全ての政策がその場しのぎの対応に留まり、大局観
を持ったブレない政策判断を行うことは無理である。これは、鳩山、菅、
野田という各総理の責任もあるが、民主党の成立過程に端を発する根源的
な問題であり、改善は不可能である。

○内部手続の不備

民主党の党則では、部門会議、調査会、政調役員会など、政策を議論す
る会議の意思決定方法(多数決、全会一致など)が決まっていない。また、
党議拘束についての定めもない。そのため、党議の決定方法や党議拘束に
違反した場合の措置などを、その時の執行部が恣意的に運用できてしまう
状態となっている。実際、困った時は強引に「一任」とする運用がまかり
通り、民主的な意思決定ができる状況ではない。

○国会運営の慣例無視

民主党は、与党になった途端、慣例を無視した一方的で強引な国会運営
を行い、国会審議を停滞させた。与野党一致が慣例であった事項を多数決
で決めようとする事態が続出したが、与野党の不要な摩擦を生じさせただ
けで、結局は国会審議を遅らせる原因となった。
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3.経済運営能力の欠如

○成長戦略の欠如

成長戦略という名の文書は毎年のように発表するが、中身は変わり映え
がしない。実際には競争力を削ぐ政策ばかりで、国内企業は六重苦と言わ
れる状況。

【「六重苦」と言われる要因】

①極端な円高
②高すぎる法人税
③自由貿易協定の遅れ
④厳し過ぎる労働規制(派遣規制、最低賃金)
⑤環境規制の強化(CO2の25%削減)
⑥電力不足

○マクロ政策欠如で国富の喪失

マクロ経済政策の欠如により、民主党政権になってから50兆円のGD
Pが失われた。また、デフレ時にも関わらず事業仕分を行い、必要な公共
事業等を削減したことにより、経済を悪化させた。 「コンクリートから人へ」
という誤った政策は、地域社会までをも破壊した。

○円高・デフレ対策

民主党政権は、歴史的水準にまで達した円高を放置し、デフレを加速さ
せた。一方で、景気対策には全く関心を示さず、ただ「イノベーション」
を唱えるだけで、それ以外の成長戦略を持っていない。
国内的には無策である一方で、IMFへの出資(600 億ドル)、日韓通貨
スワップ協定(130 億ドル→700 億ドルへ拡充)、中国国債の買い入れ(100
億ドル)等、世界経済の下支え役ばかりをやらされ、失ったものは大きい。

○貿易赤字とエネルギー政策の不在

唐突な脱原発でエネルギー輸入が拡大し、平成23年は31年ぶりに貿
易赤字を記録した。貿易赤字は、震災から一年以上経っても改善していな
い。このままでは、慢性的な貿易赤字が定着しかねない状況である。
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○国家戦略なきTPPの参加表明

TPP交渉に関しては、米国への配慮ばかりが優先され、国民や各業界
への説明が全く不足している。また、参加した場合の具体的な影響や、現
在の交渉状況についても、十分な情報開示は行われていない。
一方で、実際の協議は難航しており、カナダ・メキシコに先行されてい
る。これに焦った民主党政権が、国益をかえりみずに勝手な譲歩をする恐
れもあり(特に、自動車、保険、牛肉の分野)、注視が必要である。
交渉参加には前のめりである一方、参加した場合に大きな影響を受ける
農業の強化策は示されていない。デフレ時の自由貿易は、雇用喪失により
デフレを悪化させるという懸念にも、何も答えていない。
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4.危機管理能力の欠如

○その場しのぎの対応

何かあると官邸に会議をつくり、マスコミの前でしゃべる、という対応
を繰り返して、それだけで仕事をしたつもりになっている。しかし、実際
には全く問題解決にはなっていない。その結果、官邸には、使い捨てられ
た不要な会議が多数残されている。
また、目標を決め、それに向けたスケジュール・工程表を作るという能
力がない。そのため、復興や原発事故対策も遅れに遅れている。

【具体例】
・復興庁設置の遅れ・不十分な指令塔機能
・補正予算の執行遅れ(15兆円中、5兆円繰越し・1兆円不用)
・被災者の生活再建・被災地の事業再建の遅れ
・がれき処理の遅れ
・原子力規制委員会の設置遅れ

○災害への備えの欠如

「コンクリートから人へ」という誤ったスローガンを掲げ、災害対策を
疎かにした結果、人命を含む重大な被害が生じている。また、そもそも民
主党政権は、通常業務の執行も覚束ない状態であるが、平常時を管理でき
ない政権が、非常時の管理などできるはずがない。

・ダム建設延期による人災

先日の九州豪雨で、大分県竹田市の災害現場では、ダム建設済みの
河川は氾濫していない。一方、民主党の事業仕分けによってダム建設
が延期になっている場所が氾濫した。

・緑のダム構想の誤り

民主党は「緑のダム」構想を打ち出しているが、これは整備に数十
年を要するし効果は不明である。昨今の大雨による洪水は従来の統計
では全く予想できない激しいものであり、民主党の悠長な治水対策が
既に国土に甚大な生命、財産の被害をもたらしている。

○原発事故対応の責任

国会事故調が「人災」と断定した福島第一原発事故については、規制当
局の体制や過度の安全神話など、自民党政権時代から継続した責任がある
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ことは否定できず、我々も深く反省すべき点はある。

しかし、実際の事故対応に当たっての官邸の過剰介入や、情報の隠ぺい
(SPEEDI の予測結果、米エネルギー省の実測値)など、民主党政権の危機
管理能力の欠如が、事態をさらに悪化させ、不必要に被害を拡大させたこ
とは明らかであり、その責任は重大である。また、汚染水を事前の通告な
く海に放出し、諸外国から非難を受けるなど、国際的な信頼も失墜させた。
現在でも、賠償の遅れ、除染の遅れなど、民主党政権に対応能力がない
ことは明らかである。特に除染については、細野大臣は平成25年度末ま
でに終えると約束したが、現状では大幅に遅れており、地元に大きな失望
感と挫折感を抱かせている。現地の安全対策も、環境省が国民、地方自治
体用に作成した対策例は実現が困難なことが明らかになりつつあり、除染
が進むにつれ、かえって環境悪化が拡大する危険性が生じている。

○原発の再稼働

大飯原発の再稼働をめぐっては、政府の発言が二転三転し、住民や地元
自治体を混乱させた。
【大飯原発をめぐる混乱の例:いずれも枝野大臣の発言】
4/2 現時点での再稼働に反対だ 4/3 (積極的な反対とは)違う。今日は昨日の段階とは違う 4/13 原発への依存をゼロにしたい 4/14 今後とも引き続き重要な電源として活用する
再稼働の判断に当たっても杜撰な点が多く、国民の大きな不信を招いた。
その結果、再稼働に反対する大規模なデモを引き起こし、政権の正当性そ
のものが問われる事態が生じた。

【大飯原発再稼働の問題点】

・安全基準の甘さ(時間のかかる対策は、計画ができていればOK)
・福井県以外の避難計画が出来ていない
・専門家ではなく政治家が再稼働を判断
・夏の直前まで問題を放置
・再稼働してから活断層の調査を実施

○北朝鮮のミサイル発射

北朝鮮のミサイル発射時に、官邸が司令塔の役割を果たさず、防衛大臣
が官邸より先に記者会見をするなど、政府内が混乱し、有効な対応ができ
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なかった。また、発射情報を速やかに国民に知らせなかったばかりか、「発
射を確認していない」という情報を流し、混乱を増幅させた。
なお、麻生政権時には、発射から2分で政府が発射を発表しており、当
時との対応の違いは歴然としている。
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5.予算管理能力の欠如

○バラマキ政策による歳出額の膨張

自民党政権時代には、当初予算は80兆円台で推移していたが、民主党
政権になってから、90兆円台まで拡大してしまった。

【当初予算額の推移】
年度
総額
(兆円)
構成比(国債費除く)
社会保障
(%)
交付税
(%)
公共事業
(%)
文教科学
(%)
防衛
(%)
H19(自民) 82.9 34.1 24.1 11.2 8.5 7.8
H20(自民) 83.1 34.6 24.8 10.7 8.4 7.6
H21(自民) 88.5 36.4 24.3 10.4 7.8 7.0
H22(民主) 92.3 38.4 24.6 8.1 7.9 6.8
H23(民主) 92.4 40.5 23.7 7.0 7.8 6.7
H24(民主) 90.3 38.6 24.3 6.7 7.9 6.9

○国債発行額

国債発行に44兆円の枠を設定したが、守れないことがわかると、粉飾
工作を実施(補正予算への前倒し計上、交付国債への「飛ばし」)。
民主党政権になってから、当初予算の段階で国債発行額が税収を上回る
という異常事態が継続している。(平成22~24年度)

【国債発行額と税収の比較】

年度 国債発行(兆円) 税収(兆円)
H19(自民) 25.4 53.5
H20(自民) 25.3 53.6
H21(自民) 33.3 46.1
H22(民主) 44.3 37.4
H23(民主) 44.3 40.9
H24(民主) 44.2 42.3

○予算編成プロセス

スケジュール管理ができておらず、予算編成の準備が間に合っていない。
昨年度は、震災対応の補正予算が大幅に遅れたほか、本予算の概算要求も
1ヶ月後ろ倒しとなった。今年度も、未だに中期財政フレームの策定が行
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われておらず、来年度予算へ向けた概算要求も形骸化して、国民生活のた
めの実のある予算編成が行われないおそれがある。

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6.情報管理能力の欠如

○尖閣諸島中国漁船衝突事件ビデオの漏えい

事件現場を撮影したビデオの公開を民主党政権が拒んでいたが、海上保
安官によって動画投稿サイト(YouTube)に流出した。映像は、海上保安庁
のサーバの共有フォルダに保存されており、海上保安庁職員なら誰でも見
られる状態であった。

○GDP速報値の漏えい

直嶋経済産業大臣が、GDP速報値を会議の冒頭挨拶で正式発表より前
に漏らしてしまった。GDP速報値は、株価などにも影響を与える重要な
数値であり、発表時間より前に漏らすことはあり得ないが、大臣は「公表
の時間が決まっているということを、私自身がよく理解していなかった」
と無知をさらけ出した。

○農水省機密情報の漏えい

筒井農水副大臣が主導する対中輸出促進事業に関する文書が外部に流出
した。文書は、事業を手掛けている一般社団法人「農林水産物等中国輸出
促進協議会」の代表理事 (民主党衆院議員秘書)に渡っており、最も機密
性が高い「機密性3」の文書も含まれていた。

○原子力規制委員会人事の漏えい

原子力規制委員会の委員長・委員の人事案が事前にメディアで報道され
た。政権交代前、民主党が強く主張して、事前報道された人事案は国会へ
の提示を認めないというルールが形成されたが、民主党政権は自らそのル
ールを無視する形となった。
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7.外交能力の欠如

民主党政権は、国の基本的な外交スタンスが定まらないまま、拙劣な外交
を繰り返した。その結果、最も重要な日米の信頼関係を大きく損なうととも
に、周辺諸国とのトラブルも頻発させた。
唯一、一貫した外交姿勢は、「言うべきことを言わず、言うべきでないこと
を言う」というものであり、これが全方位に適用されている。その結果、こ
れまで国益に与えた損失は計り知れない。

○日米関係

・インド洋での補給活動中止(H22.1) 対テロ戦争における重要な抑止力であり、我が国の国際的地位向上
にも大きく資する活動であったインド洋での燃料補給活動を中止。
・普天間問題の迷走(~H22.5) それまでの経緯を無視して県外・国外移設を主張し、散々迷走した
挙句、元の辺野古案に戻るという大失態を演じ、沖縄の信頼や米国の
信頼を大きく損なった。
・オバマ大統領放置(H21.11) 鳩山総理は、来日したオバマ大統領を日本に残したまま、シンガポ
ールのAPEC首脳会議に出発。来日中の外国首脳を残して総理が海
外に行くのは、極めて異例で失礼な対応である。
・野田訪米時に仕返し(H24.5) 野田総理が訪米し、オバマ大統領と会談したが、オバマ大統領はそ
のままアフガンを電撃訪問。オバマ大統領が訪日時に置き去りにされ
たことに対する仕返しをされた形になった。
・TPPをめぐる発表の齟齬(H23.11) TPP協議入りをめぐり、米側は「全ての物品・サービスを貿易自
由化交渉のテーブルに載せる」と野田総理が発言したと発表。日本側
はそれを否定したが、訂正は求めないという不可解な対応。
・オスプレイ配備に見る弱腰外交(H24.7) 国民から安全性を不安視されているオスプレイの配備をめぐり、「日
本側に配備を拒否する権限はない」として米側に対し何も言えず。一
方で森本防衛大臣は「地元を説得できる自信はない」とも発言。民主
党政権に当事者能力がないということを自ら示した。
21
また、先行きの展望のないまま岩国基地への陸揚げを行い、問題の
火の手を拡大させた。

○日中関係

・尖閣沖漁船衝突事件への対応

法に則って粛々と対処すべきところを、中国側の脅迫や報復措置に
屈して、船長を釈放、不起訴としてしまった。さらには、釈放の責任
を地検に押し付けた。また、証拠となるビデオの公開を拒否し、映像
がインターネットに流出するという不祥事を起こした。
あらゆる面で将来に禍根を残し、我が国の国益に甚大な影響を与え
る、歴史に残る外交失策である。
・立ち話で通訳なしの「首脳会談」(H22.10) アジア欧州会議(ASEM)の場で、菅総理と温家宝首相が立ち話
で「首脳会談」を行った。中国側には通訳がついていたが、日本側に
は通訳はなく、明らかに日本側に不利な形となった。

・丹羽中国大使の不適切発言

丹羽大使が、東京都の尖閣購入は「日中関係に重大な危機をもたら
す」と発言。国益を損なう重大発言であるにも関わらず、更迭しなか
った。

・尖閣諸島国有化の迷走

東京都が尖閣諸島購入を表明した直後、政府が国有化を検討すると
したものの、すぐにトーンダウン。後日再び国有化を表明するなど、
方針が迷走した。

・領海侵犯の頻発

中国の漁船や漁業監視船による領海への接近・侵犯が頻発している
にも関わらず、形式的な抗議を繰り返すのみで、何ら実効的な対策を
取らなかった。

○日韓関係

・竹島の不法占拠

韓国国会議員の訪問、海洋基地の建設など、韓国が着々と不法占拠
を強化する一方、民主党政権は有効な措置を取れていない。自民党政
権時代には明確に表現していた「不法占拠」という言葉さえ言えない
弱腰の態度は、現状を黙認しているに等しい。
22

・慰安婦問題

ソウルの日本大使館前への慰安婦像設置など、韓国側が攻勢を強め
るのに対して、野田総理は弱腰の対応を続け、押され続けるばかりで
あった。また、日韓首脳会談で「知恵を絞っていきたい」と発言し、
日本が譲歩するかのような誤解を与えてしまい、韓国側をさらに勢い
づかせる結果となった。

・不用意な譲歩

民主党政権は、朝鮮王朝儀軌の引渡し、通貨スワップ協定など、相
手を一方的に利する不用意な譲歩を重ねた。通常の外交であれば、相
手を利する場合は、引き換えにこちらも利益を得るのが当然であるが、
そうした発想が欠けていた。

○日ロ関係

民主党政権は、北方領土へのロシア大統領・閣僚の相次ぐ上陸を黙認
し、軍備・空港等の強化に対しても打つ手がないなど、弱腰の外交姿勢
を続けた。これによって、ロシア側の北方領土の不法占拠を強化し、返
還を遠ざけてしまった。

○北朝鮮問題

そもそも民主党は、北朝鮮関係団体と不適切な関係(献金・秘書派遣
等)にあり、北朝鮮問題に取り組む資格がなかった。実際に、民主党政
権になってから、拉致問題は全く進展しなかった。
一方で、延坪島砲撃事件やミサイル発射への稚拙な対応により、危機
管理体制のぜい弱さをさらけ出した。
23
8.皇室の軽視

民主党政権は、皇室行事での居眠り、野次、欠席など、皇室への非礼が相
次いでいる。また、皇室日程や慣例を無視し、皇室を政治的に利用して恥じ
ない。これだけ皇室軽視の事例が続出するのは、個々の議員の問題ではなく、
民主党としての体質の問題であるとしか考えられない。

○菅副総理が居眠り(H21.11) 国立劇場で開催された、「天皇陛下ご在位20年記念式典」で、式典実
行委員会副委員長だった菅副総理が居眠りをしていた。
○中国副主席との特例会見(H21.12) 天皇陛下と外国要人との会見は1カ月前までに申請するという慣例を
無視して、習近平副主席との会見をセット。小沢幹事長が鳩山総理に要
請したとされる。同時期に小沢幹事長は民主党議員 140 人を引き連れて
訪中し、胡錦濤国家主席と会談した。
○ご静養中に認証式を強行
菅総理の内閣改造に伴う認証式を、天皇陛下の葉山御用邸でのご静養
中に強行。陛下はご静養を一時中断して皇居に戻られ、お身体に負担を
かけることになった。
○中井議員が野次(H22.11) 中井前国家公安委員長が、国会で行われた議会開設120年記念式典
で、秋篠宮ご夫妻に「早く座れよ」と野次を飛ばした。
○仙谷官房長官が居眠り(H23.1) 皇居で行われた「講書始の儀」で仙谷官房長官が居眠りをしていた。
○天皇陛下を携帯で撮影(H23.9) 民主党会派(当時)の平山誠議員が、国会の開会式に出席する天皇陛
下を携帯電話で撮影した。
○宮中晩餐会の欠席(H23.11) 一川防衛大臣は、ブータン国王を招いた宮中晩餐会を欠席し、民主党
議員の政治資金パーティーに出席。パーティーの場で、「こちらの方が大
事だと思って来た」と発言した。
また、山岡国家公安委員長、川端総務大臣、細野環境大臣も同晩餐会
に欠席。蓮舫行政刷新担当大臣は、同晩餐会前のカクテルパーティー中
に携帯電話を使っていた。
24
○天皇陛下のご入退場時に不起立(H24.3) 東日本大震災一周年追悼式において、天皇陛下のご入退場時に「着席
しているように」という場内アナウンスを流した。国のトップの入退場
時に起立しないのは、世界の常識に反する。
また、この式典では、世界最多の 200 億円の義援金を拠出した台湾代
表を、2階席に座らせ、指名献花にも参加させないという非礼もあった。
25
9.その他

○エネルギー政策

民主党政権は、各総理の思いつきで、行き当たりばったりのエネルギー
政策を展開している。その結果、総理が変われば以前の方針はうやむやに
なってしまい、政策の一貫性を著しく欠いている。
【具体例】
・CO2 の 25%削減 鳩山総理は、国連気候変動サミットの場で、CO2 の 25%削減を突如国
際公約化した。しかし、実現のための方策は全く決まっていないまま
の見切り発車であった。当時の直嶋経産大臣は、「(実現のための方策
は)まだ具体的にまだ提示できるようなものにはなっていない」と明
言した。
・太陽光パネル 1000 万戸
菅総理は、G8の場で、太陽光パネルを 1000 万戸に設置すると突如
国際公約を行った。担当大臣との調整もなく、実現の見込みも全くな
いままであった。当時の海江田経産大臣は、「報道で知った。聞いてい
ない。」と絶句した。

○生活保護問題

H21.12 に「速やかな保護決定」を求める通知を発出。以後、受給者の際
限ない増加に歯止めがかからなくなってしまった。

○JAL再生

JAL再生支援をめぐっては、航空政策不在の、不公平・不透明な企業
再生が行われた。
まず、中小企業を支援するはずの企業再生支援機構に、真っ先にJAL
を支援させるという強引なやり方が問題である。さらに、100%減資という
株主の犠牲、5,200 億円の債権放棄という債権者の犠牲のもと、3,500 億円
の資金投入という過度な優遇を行った。健全に運営を行っているANAと
比較すると、潰れた会社の方が得をするという不公平がまかり通っている。
こればかりか、不透明な第三者割当増資で、京セラ、大和証券ら8社が、
再上場の際に濡れ手で粟のキャピタルゲインを得られる仕組みになってお
り、民主党が特定企業に利益供与を行っているに等しい。
26

Ⅱ 国民への裏切り
民主党は、政権担当能力が欠如しているばかりでなく、国民に嘘をつき、都
合が悪くなるとすぐに方針を転換する体質がある。
政権交代時に大々的に掲げたマニフェストは、最初から実現不可能な項目が
並んでおり、事実、ほとんど達成できていない。また、普天間問題・消費税問
題に象徴されるように、大きな方針転換を簡単に行い、国民を裏切り続けてい
る。

1.マニフェストの破綻
民主党が政権交代の際にマニフェストで掲げた項目は、ほとんど達成されて
おらず、そもそも財源の見込みが甘かったことは民主党自身が認めている。マ
ニフェスト全体が破綻していることは既に客観的事実であるにも関わらず、頑
なに破綻を認めない姿勢は、真実を語らない民主党の姿勢の象徴とも言える。

①撤回済み・マニフェスト違反が確定した項目
・子ども手当、高速道路無料化:撤回(三党合意)
・暫定税率廃止:撤回
・八ツ場ダム建設中止:再開(前田大臣が表明)
・最低保障年金・後期高齢者医療制度廃止:事実上不可能
・消費増税

②明らかに破綻した項目
・16.8 兆円の財源捻出(事業仕分け):約 7 兆円のみ(ただし、大半は埋蔵
金から)
・温暖化ガス 90 年度比 25%削減:実現は絶望的 ・国家公務員人件費2割(約1兆円)削減:7.8%減のみ ・天下り根絶:日本郵政社長に元大蔵事務次官、現役出向は拡大
・幹部人事一元化(内閣人事局など):今国会での成立断念
・医学部定員 1.5 倍:8,486 人→8,991 人(505 人(6%)増のみ) ③検証・追及すべき項目(マニフェストの項目別)

(1)ムダづかい
27
・天下り根絶、企業・団体献金廃止、国会議員の世襲禁止(党内ルール)、
公務員の労働協約締結権の付与
(2)子育て・教育 ・出産一時金引き上げ(55 万円)、希望者全員に奨学金(大学・専門学校)、
「子ども家庭省(仮称)」の設置
(3)年金・医療 ・年金記録問題(2年間で集中対応、「年金通帳」を全員に交付)、ヘルパ
ー給与4万円引き上げ、歳入庁の創設、年金保険料は年金給付だけに充

(4)地域主権 ・国直轄事業負担金の廃止、「ひもつき補助金」廃止、畜産・酪農・漁業所
得補償制度、国の出先機関の原則廃止
(5)雇用・経済 ・中小企業の法人税引き下げ(11%)、「中小企業いじめ防止法」制定、最
低賃金引き上げ(時給 1000 円)
(6)消費者・人権 ・「危険情報公表法」の制定、危機管理庁(仮称)の設置
(7)外交 ・日米地位協定の改定を提起

④実施済みの項目
・高校実質無償化 → 政策効果を要検証、所得制限の必要性 ・農業者戸別所得補償 → 政策効果を要検証 ・扶養控除廃止 → 子育て家庭の負担増 ・生活保護/母子加算復活(※生活保護制度自体を見直す必要)
28
2.国民への説明の欠如

○公開質問状に対する回答拒否(政権交代前)
民主党の鳩山代表は、党首討論で「4500 の天下り団体に 2 万 5000 人の天下
りがいて、そこに国の予算が 12 兆 1000 億円流されている」と発言。
自民党がその根拠を問う公開質問状を発出したのに対し、民主党は明確に
回答できなかった。さらに、2回目の公開質問状に対しては回答しなかった。
H21.6.2
6.4
6.9
自民党(細田幹事長)から民主党(鳩山代表)宛に公開質問
状を発出
民主党(平野役員室担当)から自民党(細田幹事長)に回答
(「国会で議論すべき」という趣旨)
自民党(細田幹事長)から民主党(鳩山代表)宛に2回目の
公開質問状を発出
→ 民主党からの回答はなし(鳩山代表が 6.17 の党首討論で
「二度とこのようなことはなさらないでいただきたい」と
発言)

○国民に説明しないまま重要政策を国際公約化
歴代の民主党政権は、国内の意見が分かれる課題について、国民への説明
がないままに国際公約化する手法を連発している。国内の議論をまとめる能
力がないため、こうした手法に頼っているものと考えられる。
【具体例】
・温暖化ガス25%削減
鳩山総理は、国連気候変動サミット(H21.9)で、実現の方策もないまま
に温暖化ガスの 25%削減を国際公約とした。 ・太陽光パネル 1000 万戸設置
菅総理は、G8サミット(H23.5)で太陽光パネルを 1000 万戸に設置す
ると突如表明した。しかし、担当大臣との調整もなく、当然ながら実現の
方策も、そのための財源も未定である。
・消費税増税
野田総理は、G20首脳会議(H23.11)で消費税の10%への増税を国
29
際公約とした。しかし、一体改革大綱の閣議決定、法案の国会提出、民主
党内の調整、国民への説明は全て後回しであった。
・TPP協議参加
野田総理は、APEC首脳会議(H23.11)でTPP交渉参加に向けた協
議開始を表明した。その直前に記者会見を行ったが、とても十分な説明と
言えるものではなかった。

○沖縄への説明不足
民主党政権は、沖縄県に十分な説明がないままに在日米軍に関する重要な
政策決定・政策変更を繰り返し、政府と沖縄県との関係を決定的に悪化させ
た。
【具体例】
・普天間問題
政権交代前には「県外・国外移設」と言い、選挙の際も「最低でも県外」
と言っておきながら、結局、元の辺野古移設案に回帰した。その過程で、
鳩山総理は、「腹案がある」、「(最低でも県外というのは)党の考え方では
なく個人の発言」などと迷走した。一連の混乱や方針転換は、沖縄県民に
対する説明もないままに行われ、県民の激しい怒りと失望を買った。
・オスプレイ問題
オスプレイの普天間基地への配備について、沖縄県や山口県の反対にも
関わらず、全く意見を聞かずに決定し、実行しようとしている。これまで
の事故の原因やオスプレイの安全性について、政府から十分な説明はない。
○被災地への説明不足
野田総理は、所信表明演説で「震災復興が最大・最優先の課題」と言いな
がら、数カ月すると消費税増税に「政治生命をかける」として消費税問題に
集中し、復興は二の次という状況である。昨年度補正で計上した復興予算は
大量の使い残しが出ている(15兆円のうち、繰越が5兆円、不用が1兆円)
にも関わらず、復興の遅れについて政府からの説明はない。
30

3.基本政策の方針転換

(1)普天間問題

県外・国外移設が政権交代前からの民主党の方針であった。しかし、「最低
でも県外」と発言していた鳩山総理は、移設先の目処が立たずに方針転換、
結局は元の案に戻らざるを得なかった。一連の迷走で民主党政権が失った信
頼はもはや回復不能である。
①民主党・沖縄ビジョン(H20) ・米軍再編を契機として、普天間基地の移転についても、県外移転の道を
引き続き模索すべきである。言うまでもなく、戦略環境の変化を踏まえ
て、国外移転を目指す。
②マニフェスト2009(H21.7) ・日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方につい
ても見直しの方向で臨む。(※ 普天間について具体的言及なし) ③鳩山総理発言
・「最低でも県外」の方向で、われわれも積極的に行動を起こさなければな
らない。(H21.7.19 那覇市(政権交代前)) ・Trust me.(H21.11.13 日米首脳会談) ・私には今、その腹案を持ち合わせているところでございます。(H22.3.31
党首討論)
<方針転換>
④鳩山総理発言
・学ぶにつけ、沖縄に存在する米軍全体のなかで、海兵隊は抑止力が維持
できるという思いに至った(H22.5.4) →後にこの言葉は「方便だった」と語る。
・(最低でも県外というのは)党の考え方ではなく、私自身の代表としての
発言だ(H22.5.4) ・日米共同声明で辺野古沖移設を発表(H22.5.28) ⑤マニフェスト2010(H22.6) ・普天間基地移設問題に関しては、日米合意に基づいて、沖縄の負担軽減
に全力を尽くします。
31
(2)消費税増税

消費税増税について、政権交代時のマニフェストには言及がなく、鳩山代
表は政権を取っても4年間増税しないと明言していた。しかし、菅総理は1
0%への増税を表明、野田総理は消費税増税に「政治生命を賭ける」とまで
宣言して恥じない。
①鳩山代表発言(H21.6 国家基本政策委員会 両院合同審査会) ・四年間の間、我々が政権をとっても消費税の増税はしないということを
ここに明言をしておきます。
②マニフェスト2009
・消費税増税について言及なし
③野田議員演説(衆院選時)
・マニフェスト、イギリスで始まりました。ルールがあるんです。書いて
あることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないんです。
④マニフェスト2010
・早期に結論を得ることをめざして、消費税を含む税制の抜本改革に関す
る協議を超党派で開始します。
<方針転換>
⑤菅総理発言
・具体的な税率について自民党案の10%を参考にする。
⑥閣議報告「社会保障・税一体改革成案」(H23.7) ・まずは、2010 年代半ばまでに段階的に消費税率(国・地方)を 10%まで
引き上げ、当面の社会保障改革にかかる安定財源を確保する。
⑦閣議報告「社会保障・税一体改革素案」(H24.1) ・2014 年4月1日より8%へ、2015 年 10 月1日より 10%へ段階的に引
上げを行う。
⑧野田総理発言(TV出演)(H24.1) ・(一体改革を)この国を守るために、政治生命をかけてやりぬく
⑨閣議決定「社会保障・税一体改革大綱」(H24.2) ・2014 年4月1日より8%へ、2015 年 10 月1日より 10%へ段階的に引
上げを行う。
32

(3)TPP
マニフェストには全く言及のなかったTPPが、横浜でのAPEC首脳会
議を前に、突如として主要な政策課題に浮上。その経緯は、「菅総理の思いつ
き」という以外に説明できない。
①マニフェスト2009(H21.7) ・アジア・太平洋諸国をはじめとして、世界の国々との投資・労働や知的
財産など広い分野を含む経済連携協定(EPA)、自由貿易協定(FTA)
の交渉を積極的に推進する。その際、食の安全・安定供給、食料自給率
の向上、国内農業・農村の振興などを損うことは行わない。
②マニフェスト2010
・アジアをはじめ各国とのEPA・FTAの交渉などを積極的に進めると
ともに、投資規制の自由化・緩和などの国内制度改革に一体的に取り組
みます。
<TPPが急浮上>
③閣議決定「包括的経済連携に関する基本方針」(H22.11) ・環太平洋パートナーシップ(TPP)協定については、その情報収集を
進めながら対応していく必要があり、国内の環境整備を早急に進めると
ともに、関係国との協議を開始する。
④菅総理発言(横浜APEC CEOサミット)(H22.11) ・環太平洋パートナーシップ(TPP)については、国内の環境整備を早
急に進めるとともに、関係国との協議を開始します。
⑤閣議決定「新成長戦略実現 2011」(H23.1) ・環太平洋パートナーシップ(TPP)協定については、その情報収集を
進めながら対応していく必要があり、国内の環境整備を早急に進めると
ともに、米国を始めとする関係国と協議を続け、6月を目途に、交渉参
加について結論を出す。
⑥野田総理記者会見(H23.11) ・明日から参加するホノルルAPEC首脳会議において、TPP交渉参加
に向けて関係国との協議に入ることといたしました。
33

(4)温暖化対策
民主党政権は、マニフェストで温暖化ガス25%削減をうたい、政権交代
後、鳩山総理が国連で突如国際公約化した。震災後、目標達成が非現実的と
なったにも関わらず、一年以上目標撤回を認めず、今年6月になってようや
く方針転換を認めた。
①マニフェスト2009
・2020年までに温暖化ガスを25%削減(1990年比)するため、
排出量取引市場を創設し、地球温暖化対策税の導入を検討します。
・CO2等排出量について、2020年までに25%(1990年比)、2
050年までに60%超減(同前)を目標とする。
②鳩山総理演説(国連気候変動サミット)(H21.9.22) ・温暖化を止めるために科学が要請する水準に基づくものとして、1990 年
比で言えば 2020 年までに 25%削減をめざします。 ③閣議決定(地球温暖化対策基本法案)(H22.3.12) ・1990年比25%削減
<方針転換>
④エネルギー・環境会議決定(エネルギー・環境に関する選択肢) (H24.6.29) ・2020年:1990年比7~11%減
34

(5)原発政策
民主党政権は原子力発電を約5割にするという目標を立てたが、福島原発
事故により断念した。現在も、原発輸出は継続する姿勢であるが、それ以外
の方針は定まっていない。
①マニフェスト2009
・安全を第一として、国民の理解と信頼を得ながら、原子力利用について
着実に取り組む。
②新成長戦略(基本方針)(H21.12) ・安全を第一として、国民の理解と信頼を得ながら、原子力利用について
着実に取り組む。
③マニフェスト2010(H22.6)
・総理、閣僚のトップセールスによるインフラ輸出
政府のリーダーシップの下で官民一体となって、高速鉄道、原発、上
下水道の敷設・運営・海水淡水化などの水インフラシステムを国際的に
展開。国際協力銀行、貿易保険、ODAなどの戦略的な活用やファンド
創設などを検討します。
④2030 年のエネルギー需給の姿(H22.6) ・2030 年に原子力発電が発電電力量の約5割
⑤エネルギー基本計画(H22.6) ・電源構成に占めるゼロ・エミッション電源(原子力及び再生可能エネル
ギー由来)の比率を約70%(2020 年には約50%以上)とする。 (現状34%) ・原発の新増設(2020 年までに9基、2030 年までに 14 基以上)
<東日本大震災>
⑥菅総理記者会見(H23.5) ・2030 年に総電力に占める原子力割合が 50%以上としている現在のエネル
ギー基本計画はいったん白紙に戻して議論する必要がある
⑦閣議決定(質問主意書に対する答弁)(H23.8) ・諸外国が我が国の原子力技術を活用したいと希望する場合には、我が国
としては、相手国の意向を踏まえつつ、世界最高水準の安全性を有する
ものを提供していくべきであると考える。
35
⑧日本再生のための戦略に向けて(H23.8) ・原発への依存度低減へのシナリオを描く
・「反原発」と「原発推進」の二項対立を乗り越え国民的議論を展開
⑨ベトナムの原子力発電所建設に係る協力に関する日越政府間の文書
(H23.10) ・両政府は、両国の事業者による原子力発電所建設プロジェクトの円滑な
実施(注)のため、両国で必要な国内手続を完了した後に発効する日越
原子力協定や国内法令に従い、協力を実施する。
(注)原子力発電所の建設を日本の事業者が担うことも明記された。
36

4.年金問題

○消えた年金

マニフェストで大々的に掲げ、2年間で集中的に解決するとしていたが、
結局、満足に解決できていない。
マニフェスト2009の記述 進捗状況
「消えた年金」「消された年金」
問題の解決に、2年間、集中的
に取り組みます。(2009~2011) ・未達成。
・2年間で、「統合済」「一定の解決」
は 2,860 万件→3,174 万件(314 万
件増)。残りあと 1,922 万件。
「納めた保険料」「受け取る年金
額」をいつでも確認できる「年
金通帳」を、全ての加入者に交
付します。
・未達成。
・「年金通帳」は未だに交付されてい
ない。交付される予定もない。

○運用3号問題
国民の権利義務に関わる重要な問題を、安易に運用で解決しようとして、
かえって問題を大きくした。
【概要】
サラリーマンの配偶者(専業主婦)は、第3号被保険者(保険料納付が
不要)であるが、夫がサラリーマンを辞めた場合などには、第1号被保険
者(保険料納付が必要)に変わる。
しかし、この届出を行わなかった場合には、記録上は第3号のままにな
り、保険料を納めない期間ができてしまう。こうした人が多数存在してい
るという問題が判明した。
民主党政権は、周知が不徹底だったためとして、記録上の第3号の期間
をそのまま認める運用(課長通知)を行った。しかし、この措置が「不公
平だ」、 「正直者がバカを見る」などと批判されると、一転して運用を凍結。
現在、10 年分の追納を認める法案を提出しているが、未成立。
【経緯】
平成 21 年 11 月 社保庁職員へのアンケートで問題が判明
平成 22 年 12 月 「運用3号」通知発出
37
平成 23 年 1月 「運用3号」の取扱を開始
2月 「運用3号」の取扱を凍結
3月 「運用3号」通知の廃止
11 月 主婦年金追納法案閣議決定(現在未成立)
【問題点】
年金の加入・受給に関する問題は、国民の権利義務に関わる重要問題で
あるにも関わらず、立法ではなく課長通知で「運用3号」を認めてしまっ
た。
保険料を払った人と払わなかった人が同じ年金をもらえるというのは不
公平であり、運用で簡単に認められるべき話ではない。 結局、批判されて
方針転換したが、現在も、法改正による抜本的な解決はなされていない。
誤りを認めた以上、長妻大臣をはじめとする当時の政務三役は、誤った
判断をした責任を取るべきである。
38

Ⅲ 不祥事の続出

民主党政権の誕生以来、総理自身をはじめ閣僚からも問題が噴出しており、
問責決議や辞任が相次いでいる。
不祥事を起こしても、最初は極力隠ぺいしようとし、言い逃れできなくなっ
た後も、謝ればいい、一旦辞めればいいという発想が明らかである。

1.総理の不祥事

民主党政権になってからの3人の総理には不祥事が続いている。中には刑
事事件に絡むものもあり、辞任に値するものばかりであるが、誰一人として
責任を取っていない。
鳩山元総理、菅前総理については、総理を退いた後、事件自体をうやむや
にして逃げきろうとしているが、総理を辞めても追求すべき問題である。

○鳩山総理
・偽装(故人)献金問題(総額 2,117 万円)
・脱税問題(母親からの子ども手当:月額 1,500 万円)
・退任時「国民の皆様が聞く耳を持たなくなった」と発言
・退任時に任期限りの引退を表明。後に撤回。

○菅総理
・二つの献金問題
・外国人献金:領収書を国会提出せず
・北朝鮮関係団体への献金
・不信任決議を逃れて延命工作
・「顔が見たくなければ法案を通せ」という発言

○野田総理
・民団の選挙協力に対するお礼発言
・在日韓国人からの献金
・脱税企業からの献金
・脱原発デモに対し「大きな音だね」と発言
・前後援会長の診療報酬不正請求疑惑
・政策秘書の架空領収書発行疑惑
39

○世論の不支持

世論調査(産経新聞ネット調査)では、「リーダーとして評価できない戦
後の首相」の1・2位は民主党政権の総理である(1位:鳩山総理 35.1%、
2位:菅総理 19.9%)。
40

2.閣僚の不祥事

民主党政権の閣僚には、以下のとおり不祥事が続出し、数え上げればきり
がないほどである。中には辞任した閣僚もいるが、多くの場合、内閣改造に
紛れて目立たないように交代させており、責任問題があいまいになったまま
である。

○千葉法務大臣(H22.9 内閣改造で交代)
・落選後も留任
○原口総務大臣(H22.9 内閣改造で交代)
・委員会に遅刻し、責任を部下になすりつけ
○川端文部科学大臣(H22.9 内閣改造で交代)(現総務大臣)
・家賃が不要の労組幹部宅等に事務所を置きながら、事務所費を計上。
・ニューハーフショーパブ、キャバクラなどの費用を政治資金で計上
○長妻厚生労働大臣(H22.9 内閣改造で交代)
・官僚と意思疎通ができず、職務が停滞
・「運用3号」を独断で決定
○中井国家公安委員長(H22.9 内閣改造で交代)
・銀座のホステスに議員宿舎の鍵を渡す
・金賢姫元死刑囚を豪遊をさせる
○荒井国家戦略担当大臣(H22.9 内閣改造で交代)
・家賃が不要の知人宅に事務所を置きながら、事務所費を計上。
・事務所費でキャミソール、マンガ本、CDなどを購入。
○柳田法務大臣(H22.11 辞任)
・国会軽視発言(答弁は二つ覚えておけば良い)
○仙谷官房長官(H22.11 問責可決、H23.1 内閣改造で交代)
・尖閣諸島中国漁船衝突事件(船長釈放、証拠ビデオ公開問題)
・「自衛隊は暴力装置」発言
○馬淵国土交通大臣(H22.11 問責可決、H23.1 内閣改造で交代)
・尖閣諸島中国漁船衝突事件(証拠ビデオ公開問題)
○岡崎国家公安委員長(H23.1 内閣改造で交代)
・北朝鮮による延坪島砲撃事件の際に登庁せず
41
○前原外務大臣(H23.3 辞任)
・在日韓国人からの献金
○蓮舫行政刷新担当大臣(H23.6 解任)
・自宅を事務所としながら、事務所費を計上
・尖閣諸島について「領土問題」と発言
・国会内でのファッション雑誌撮影
○松本復興担当大臣(H23.7 辞任)
・被災地で「知恵を出さないやつは助けない」と発言
○高木文部科学大臣(H23.9 野田内閣成立で退任)
・SPEEDI の予測結果、米エネルギー省の実測値の隠ぺい
○鉢呂経済産業大臣(H23.9 辞任)
・「死の街」「放射能をうつす」と発言
○一川防衛大臣(H23.12 問責可決、H24.1 内閣改造で交代)
・「安全保障に関しては素人」などと発言
・ブータン国王の宮中晩餐会を欠席
・少女「乱交」事件と発言
○山岡消費者担当大臣(H23.12 問責可決、H24.1 内閣改造で交代)
・マルチ商法業者のイベントで応援演説
・マルチ商法業者からの献金
・実態のないコンサルタント料の受領
○田中防衛大臣(H24.4 問責可決、H24.6 内閣改造で交代)
・防衛に関する知識の著しい不足
・委員会の無断退席
○前田国交大臣(H24.4 問責可決、H24.6 内閣改造で交代)
・公選法違反(告示前の投票呼びかけ)
○小川法務大臣(H24.6 内閣改造で交代)
・脱税疑惑、国会審議中に競馬サイトを閲覧
○鹿野農水大臣・筒井農水副大臣(H24.6 内閣改造で交代)
・対中不正輸出疑惑、機密漏えい疑惑
42

3.民主党議員の不祥事

○小沢元代表
・西松建設からの献金を関連の政治団体からの献金と虚偽記載したとし
て、公設秘書が逮捕され、有罪判決を受けた。
・小沢氏の資金管理団体「陸山会」に土地購入をめぐり、政治資金規正
法違反(虚偽記入)容疑で強制起訴された。現在も控訴審の手続が続
いており、小沢氏は刑事被告人である。
・平成24年7月、一体改革法案に反対し、結局、民主党を離党した。
○小林千代美議員
・平成21年の衆議院総選挙において、民主党公認の小林千代美議員陣
営の選対幹部(連合北海道札幌地区前会長)が公職選挙法違反で有罪
となり(買収の約束、事前運動)、議員には連座制が適用された。
・また、北海道教組からの違法献金が明らかになり、選対委員長を務め
ていた北教組委員長代理らが政治資金規正法違反で逮捕された。民主
党議員と支持母体である連合組織の違法な癒着の典型的な事例である。
・平成22年6月に議員辞職した。
○土肥隆一議員
・平成23年2月、日韓キリスト教議員連盟の日本側会長として、竹島
領有権の放棄を日本側に求める「日韓共同宣言」に署名するとともに、
韓国の国会で、韓国の議員らと竹島放棄を求める内容で記者会見を行
った。
・平成23年3月に民主党を離党した。
○横峯良郎議員
・賭けゴルフ、女性への暴行、恐喝事件への関与など、数多くの不祥事
が報道されている。ほとんどの事例は、関連する裁判で事実と認めら
れている、又は自ら事実と認めており、即刻議員辞職すべき事件ばか
りである。
・平山誠参議院議員とともに、実態と異なる住所を届け出て、東京・宮
崎間の航空券を不正受給していたが、故意ではなかったと釈明してい
る。
・平成23年12月に民主党を離党した。
43

4.不適切な人事

○政府・党ポストのたらい回し

問題を起こした閣僚をすぐに党幹部に起用するなど、特定の政治家で政
府・党の重要ポストをたらい回ししている。これは、民主党の「責任を取
らない文化」の象徴であるとともに、党内の人材不足を物語っている。
岡田克也氏
H21.9 外務大臣(鳩山内閣・菅内閣) H22.9 民主党幹事長(~H23.9) H24.1 副総理(野田改造内閣)
枝野幸男氏
H22.1 行政刷新担当大臣(鳩山内閣) H22.6 民主党幹事長 H22.9 民主党幹事長代理 H23.1 内閣官房長官(菅第二次改造内閣) H23.9 経済産業大臣(野田内閣)
前原誠司氏
H21.9 国土交通大臣(鳩山内閣・菅内閣) H22.9 外務大臣(菅第一次・第二次改造内閣)(~H23.3) H23.8 民主党政調会長
仙谷由人氏
H21.9 行政刷新担当大臣(鳩山内閣) H22.1 国家戦略担当大臣(鳩山内閣) H22.6 内閣官房長官(菅内閣・菅第一次改造内閣) H23.1 民主党代表代行(~H23.9) H23.3 内閣官房副長官(菅第二次改造内閣) H23.9 民主党政調会長代行
一川保夫氏
H23.9 防衛大臣(野田内閣) H24.1 民主党参議院幹事長(野田改造内閣)

○少子化担当大臣のたらい回し

民主党政権になってから、少子化担当大臣は既に9人目であり、野田政
権になってからも4人目である。民主党政権がいかにこの問題を軽視して
いるか、また、いかに適材がいないかを如実に表している。
44
歴代の少子化担当大臣(民主党政権)
1 福島瑞穂 H21.9.16~H22.5.28
2 平野博文 H22.5.28~H22.6.8(事務代理)
3 玄葉光一郎 H22.6.8~H22.9.17
4 岡崎トミ子 H22.9.17~H23.1.14
5 与謝野馨 H23.1.14~H23.9.2
6 村田蓮舫 H23.9.2~H24.1.13
7 岡田克也 H24.1.13~H24.2.10
8 中川正春 H24.2.10~H24.4.23
9 小宮山洋子 H24.4.23~

○問題を起こした総理・閣僚の再起用

これまで問題を起こした総理や閣僚を、問題を起こした分野で起用する
という、冗談とも本気ともつかない人事が次々と行われている。
・党最高顧問
・外交失策の鳩山元総理を、外交担当の最高顧問に任命
・原発失策の菅前総理を、新エネルギー政策担当の最高顧問に任命
・皇室会議
・皇室軽視発言で問責決議を受けた一川元防衛大臣を、皇室会議予備
議員に起用。
・皇室の伝統・文化を守る議員連盟
・秋篠宮ご夫妻に暴言を吐いた中井元国家公安委員長が、民主党の「皇
室の伝統・文化を守る議員連盟」の会長に就任。
・予算委員長
・国会軽視発言で辞任した柳田元法務大臣を参議院予算委員長に起用。

○自民党時代の人材を活用せざるを得ない状況
民主党内の人材不足により、重要な案件には自民党時代の人材を活用す
る手法が定着しつつある。

・与謝野経済財政担当大臣
・森本防衛大臣
・森元総理(ロシア特使) 』

2024年中華民国総統選挙

2024年中華民国総統選挙
https://ja.wikipedia.org/wiki/2024%E5%B9%B4%E4%B8%AD%E8%8F%AF%E6%B0%91%E5%9B%BD%E7%B7%8F%E7%B5%B1%E9%81%B8%E6%8C%99https://ja.wikipedia.org/wiki/2024%E5%B9%B4%E4%B8%AD%E8%8F%AF%E6%B0%91%E5%9B%BD%E7%B7%8F%E7%B5%B1%E9%81%B8%E6%8C%99

 ※ 「2024年(中華民国暦113年)1月」に向けて、激しい「情報戦」が、繰り広げられていくことになる…。

『2024年中華民国総統選挙(2024ねんちゅうかみんこくそうとうせんきょ、繁体字中国語: 2024年中華民國總統選舉)は、2024年(中華民国暦113年)1月に中華民国(台湾)で行われる予定の、総統、副総統(第16期)を選出する選挙である。

また、選挙原則(普通、平等、直接、秘密選挙)システムが採用されてから8回目の選挙である。

中華民国憲法(改正後)の「総統と副総統の任期は4年、再選は1度」という規定により、現職の蔡英文(第14、15期総統)はこの選挙に出馬できない。

選挙制度

選挙権は、台湾地区(自由地区)に6ヶ月以上在住する18歳以上の中華民国国民に与えられ、在外住民にも選挙権が有する。

被選挙権は、自由地区に6か月以上在住し、中華民国国民として15年以上経過した40歳以上が被選挙人として登録できる。

ただし中華民国国籍を回復、帰化した者、大陸地区(中華人民共和国や香港、マカオ)から移住してきた国民は被選挙人として登録できない。[1]

立候補する可能性のある人物

民主進歩党

立候補への関心を表明した人物

鄭文燦(てい ぶんさん)、桃園市長(2014年~現在)、行政院新聞局局長(2006年~2007年)[2]
桃園市長 鄭文燦
桃園市長
鄭文燦

潜在的に立候補する可能性のある人物

陳建仁(ちん けんじん)、中華民国副総統(2016年~2020年)、科技部部長(2006年~2008年)、衛生福利部部長(2003年~2005年)[3]
頼清徳(らい せいとく)、中華民国副総統(2020年~現在)行政院首相(2017年~2019年)、台南市長(2010年~2017年)[4]
林佳龍(りん かりゅう)、交通部部長(2018年~2021年)、台中市長(2014年~2018年)、行政院新聞局局長(2004年~2005年)[5]
元中華民国副総統 陳建仁
元中華民国副総

中国国民党

立候補への関心を表明した人物

趙少康(ちょう しょうこう)、立法院議員(1987年~1991年、1993年~1996年)、行政院環境保護署署長(1991年~1992年)[6]
立法院議員 趙少康
立法院議員
趙少康

潜在的に立候補する可能性のある人物

朱立倫(しゅ りつりん)、新北市長(2010年~2018年)、行政院副院長(2009年~2010年)、2016年総統選挙立候補者[7]
韓国瑜(かん こくゆ)、高雄市長(2018年~2020年)、立法院議員(1993年~2002年)、2020年総統選挙立候補者[8]
侯友宜(こう ゆうぎ)、新北市長(2018年~現在)、内政部警政署署長(2006年~2008年)[9]

台湾民衆党

立候補への関心を表明した人物

柯文哲(か ぶんてつ)、台北市長(2014年~現在)[10]

台湾民意調査「アメリカの対中対抗のために利用されたくない」

台湾民意調査「アメリカの対中対抗のために利用されたくない」
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20230120-00333655

『1月12日に発表された台湾の民意調査では「大陸への駒としてアメリカに利用されたくない」や「大陸と対立するのは台湾に不利」といった回答が多かった。日米が盛んに台湾有事を叫ぶ現状と乖離している。

◆民進党や国民党への支持率

 まず台湾人の(独立傾向の強い)民進党や(親中傾向の強い)国民党への支持率が現時点でどのくらいあるのかを見てみよう。以下に示すのは台湾民意基金会が2022年12月に最終調査をした政党支持率の結果である。あまりに横に長くこのコラムのページに入らないので、2019年2月からのみを日本語に訳して掲載する。

台湾民意基金会のデータの一部を筆者が和訳して作成

 緑が民進党、藍が国民党で、灰色は無党派だ。

 昨年11月26日に統一地方選挙で民進党が大敗したことからうかがえるように、民進党支持率が激減し、国民党支持率が激増している。

 無党派層が同じ値で拮抗しているので、この状況での民意調査は中立的民意を反映している傾向にあると判断できる。

 統一地方選挙は総統選と違い、「対中問題」が中心ではなく、各地方における民衆の生活に対する意思表明だったが、それでも筆者が台湾に戻っている複数の教え子たちに聞いてみたところ、「民進党の極点な対中強硬路線は台湾を幸せにしない」として、昨年8月のペロシ(元)米下院議長の訪台を挙げる者が多かった。

 たしかに政党支持率では、ペロシ訪台後の9月の調査以降から、国民党の支持率が増え、民進党の支持率が落ちている。

 これが来年1月の総統選に影響するか否か、誰もが気になるところだ。

 そこで、当然のように、今度は「対中問題」を中心とした民意調査が行われたので、その結果を分析してみることにしよう。

◆「アメリカは台湾を、大陸を挑発する駒として利用するな」という民意

 今年1月12日に、対中問題を中心とした民意調査が行われた。実施母体は民主文教基金会で、委託を受けたのはアポロ・マーケティング・リサーチだ。

 本コラムのページの関係上、質問事項を4つずつに区切って、番号に合わせて回答を円グラフで示すことにする。但し、たとえば「非常に賛成」と「まあ、賛成」は「賛成」にまとめ、「絶対反対」と「まあ、反対」は「反対」としてまとめた。

 では、最初の4つの質問とその回答結果を以下に示す。

 1.中共は以前と同じように、九二コンセンサスを前提として両岸交流対話を再開しようとしていますが、両岸関係を正常に戻すことに、あなたは賛成しますか?(筆者注:「九二コンセンサス」とは中国語で「九二共識」と書き、1992年に達成した合意で、中華人民共和国も中華民国も「一つの中国」を堅持し、その解釈に関しては各自の解釈を認めるということを指す。)

 2.執政党の民進党は、九二コンセンサスを認めず、いかなる前提も設けずに両岸交流対話をしようとしていますが、あなたはどう思いますか?

 3.中共と民進党では、両岸交流対話の立場と態度が完全に異なりますが、この状態で両岸交流対話の可能性は高くなると思いますか?

 4.もし両岸の衝突対立が継続し、交流対話がないとしたら、それは台湾に不利になりますか、それとも中国大陸に不利になりますか?

民主文教基金会のデータの一部を筆者が和訳して作成

 つぎの4つの質問と回答結果を以下に示す。

 5.中共は、民進党は様々な手段で台湾独立を進めようとしているとみなし、両岸の緊張が高まっていますが、あなたは民進党が局面を打開できると思いますか?

 6.「抗中保台(中国に対抗してこそ台湾を防衛することができる)」と言う人と、「抗中保台は戦争を招き、台湾を防衛することはできない」と言う人がいます。あなたは「抗中保台」を支持しますか?

 7.「和中保台(中国と良好な関係を保っていてこそ台湾を防衛することができる」と言う人と、「和中保台などしたら逆に統一されてしまう」と言う人がいます。あなたは「和中保台」を支持しますか?

 8.「抗中保台」と「和中保台」のどちらが台湾に有利ですか?

民主文教基金会のデータの一部を筆者が和訳して作成

 最後の3つの質問と回答を以下に示す。

 9.「アメリカは一つの中国政策を守り台湾独立を支持しないと言いながら、実際は台湾を利用して中国大陸を牽制しようとしている」という人たちがいますが、あなたは「アメリカは台湾を利用して中国をけん制している」と思いますか?

 10.「アメリカを信頼し、親米になってこそ台湾を防衛できる」と言う人がいますが、あなたはこの主張に賛成しますか?

 11.「アメリカを完全に信用してはならない。アメリカと距離を置かなければならない。そうしてこそ台湾は米中対立による衝突に巻き込まれないようにすることができる」と言う人がいますが、あなたはこの主張に賛成しますか?

民主文教基金のデータの一部を筆者が和訳して作成

 以上から、台湾人の多くは以下のように思っていることがわかる。

 ●多くの台湾人は、米中の覇権争いのために、アメリカが台湾を駒として利用していると認識している。

 ●アメリカが中国大陸を牽制するために、台湾人が戦争に巻き込まれることを台湾人は嫌がっている。だからアメリカに近づかない方がいいと思っている人が多い。

 ●中国大陸と対立し続けるのは台湾に不利なので、「抗中保台」より「和中保台」を望む人が多い。

◆日米が言うところの「台湾有事」のための備えは誰のためのものか?

 となると、いったい日米が進める「台湾有事」とそのための軍備増強は何のためにあるのかということになる。

 拙著『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』や『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』にも書いているように、中国は平和統一を望んでいる。ただし台湾が日米の支援などを受けて、中華民国政府として「独立」を叫ぶようならば、その時には武力攻撃を辞さない。そのために2005年に制定された「反国家分裂法」がある。

 中国が平和統一を望む理由はいくらでもある。

 ●武力統一などしたら、統一後に中国共産党を嫌悪する台湾人を大量に生み、一党支配体制を危機に追いやる。だから武力攻撃は避けたい。

 ●中国の軍事力はまだ十分ではないので、もしかしたら負けるかもしれないような戦に中国は絶対に挑まない。

 ならば、なぜ軍事演習をするかというと、アメリカが政府高官などを訪台させて、台湾の独立をそそのかしているからだ。その証拠に親中の馬英九政権の時には中国は一度も台湾周辺で軍事演習をしたことがなく、それどころか2015年11月には、習近平と馬英九は約70年ぶりの国共両党党首会談を行ったほどだ。

 日本が独立国家として軍事力を強化するのは悪いことではない。

 しかし、その口実に「台湾有事」を持ってきて、わざわざ戦争に巻き込まれるようなことをするのは賢明ではない。その意味では台湾人の方がずっと賢明で、事態を良く分かっている。

 日本も同様の民意調査をすると、日本の認識の甘さが浮き彫りになってくるかもしれない。

 戦争を起こして得をするのは誰か?

 唯一、アメリカだ。

 アメリカの軍事産業が潤い、さらに中国に制裁をかけることができるので、中国の経済発展を阻止させ、アメリカがいつまでも世界一でいられる。

 この事実を見極め、「命を失うのは日本人なのだ」ということを直視してほしい。第二のウクライナはごめんだ。

追記:そもそも中国を強大化させる原因を作ったのは日本だ。

   1989年の天安門事件後の対中経済封鎖を日本は最初に解除して中国の経済繁栄を招いた。その結果、中国は軍事大国にもなってしまった。

   1992年には中国が領海法を制定して、「日本の領土である尖閣諸島」を「中国の領土領海と定めた」のに、それには全く抗議せず、それどころか天皇陛下訪中まで実現させたではないか?だから中国船がどんなに尖閣諸島周辺海域に侵入しても「遺憾である」としか言えないではないか。

   遡れば1972年には日中国交正常化のために「中華民国」と喜んで断交したのは日本ではないのか?だからこそこんにちの台湾問題が生まれている。

   戦略もなく前後の見境もなく、中国共産党が支配する中国大陸に貢献し続けたのは日本だ。その根本原因を直視せずに台湾有事を語る日本の曖昧性と矛盾には、危険が詰まっている。しかも日本の最大貿易相手国は中国という、動きが取れない状況を抱えながらアメリカの利害にのみ従う日本の姿勢が、日本国民をどのような結末に追い込んでいくかを、日本は考えるべきではないのか。

   歴史の過ちをくり返すなと言いたい。

記事に関する報告

遠藤誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』(2022年12月中旬発売。PHP新書)、『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』、『 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『「中国製造2025」の衝撃』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。』

中国 ゼロコロナからのハードランディングを可能にしている中国政治・社会の“怖さ”

中国 ゼロコロナからのハードランディングを可能にしている中国政治・社会の“怖さ”

https://blog.goo.ne.jp/azianokaze/e/347d67562af0b1028d90b72488c30902

 ※ 一部を抜粋して、紹介する。

『【政府の欺瞞を承知していながら受け入れる社会 多数派の人々は少数派の苦しみをなかったことにして生きていくことに慣れている】

強権的なハードランディングに伴う犠牲者・混乱は非常に大きなものになっていますが、それでも表面上は春節を迎える華やかさで覆われています。

多くの国民も政府発表の数字のいい加減さには気付いているとは思いますが、それでも中国社会では大きな問題とはなっていないようです。

****コロナ感染拡大でドタバタでも中国世論が荒れない事情****

(中略)
それでも中国共産党の危機にならない
では、(デマが飛び交うような世論統制の)この緩みは中国共産党にとっての危機になるのだろうか? 

ゼロコロナを貫くと宣言した舌の根も乾かぬうちの手のひら返し。その後の準備不足が招いたドタバタ。そして、今現在進行しているであろう大量の高齢者の死。いずれも政権の正当性に疑念を抱くに十分な材料に思えるが、それが体制危機にはつながらないというのが筆者の見立てだ。

というのも、中国のソーシャルメディアのリサーチや、中国人からの情報収集でも、怒りよりもあきらめを感じるからだ。ゼロコロナ対策に対する抗議活動「白紙運動」のような怒りは間欠泉のようなもので、一時は盛り上がっても持続させることは難しい。

ましてや、今の中国では若く健康な人にとっては一度感染すれば、後はゼロコロナ対策よりもよっぽど自由で快適となる。高齢者や基礎疾患を持つ人、そしてその家族にとっては不安な日々が続くが、そうした少数派の苦しみに寄り添うムードは社会にはない。

神戸大学の梶谷懐教授との共著『幸福な監視国家・中国』(NHK出版新書、2019年)では、現在の中国の統治思想が功利主義に親和性を持つことを指摘した。監視国家化に傾斜する中国だが、それは多くの人民が日々苦しみにあえぐ強圧的な社会ではなく、少数の人々の犠牲には目をつぶることで大多数の人々は豊かで秩序だった幸福が与えられる社会である。

ゼロコロナ解除後の中国もまさにこの構図にあてはまりそうだ。高齢者や基礎疾患を持つ人々を排除することによって、大多数の健康な人々は長いコロナ禍から脱出し日常を取り戻す。この状況が社会不安につながるかどうかは損をしない大多数の人々が、苦しむ少数派の人々に共感するかどうかにかかっている。

しかし、今の中国では少数派の悲哀は検閲によって覆い隠されている上、多数派の人々は少数派の苦しみをなかったことにして生きていくことに慣れている。ここに中国共産党の統治の強靱さがあるのだろう。【1月18日 WEDGE】
******************

“少数派の悲哀は検閲によって覆い隠されている上、多数派の人々は少数派の苦しみをなかったことにして生きていくことに慣れている”・・・非常に怖い政治・社会体制です。』

『【密かに力でねじ伏せられる抵抗者】

春節に浮かれるその陰では、抵抗者への国家権力による厳しい報復が進行しています。

****ゼロコロナデモの女性、失踪状態に 助け求める動画****

ユーチューブに投稿された動画で助けを求める曹?馨さん(共同)

昨年11月に中国各地で相次いだ「ゼロコロナ」政策に対する抗議デモを巡り、中国当局が参加者を相次いで拘束していると告発する動画がインターネット上で拡散している。参加者の一部が公然と習近平政権を批判したため、態度を硬化させた当局が水面下で取り締まりを進めているもようだ。

ツイッターで20日までに、当局に拘束されたとみられるデモ参加者の女性の動画が出回った。中国の人権問題を扱うウェブサイト「維権網」などによると、女性は北京大学出版社で編集の仕事に従事している曹?馨(そう・しけい)さん(26)。曹さんは「皆さんがこの動画を見ているとき、私は既に警察に連行されている」と述べ、自分が行方不明になったら動画を公開するよう友人に頼んだと説明した。

曹さんは、ゼロコロナ政策に基づく封鎖措置で被害が拡大したとされる新疆(しんきょう)ウイグル自治区ウルムチ市の火災の犠牲者を追悼するため、昨年11月27日に北京市中心部で行われたデモに友人と参加。その後、警察に拘束されて取り調べを受けた。その際は解放されたが、12月18日に複数の友人が逮捕され、曹さんは24日に消息を絶ったという。

曹さんは動画で「私たちは現場で秩序を守り、警察との衝突も一切なかった」と強調。「私たちは、いわれもなく消え去りたくない」と助けを求めた。

動画は、曹さんら計13人のメディア関係者らが昨年12月10日から今年1月7日にかけて連絡が途絶えたと指摘している。中国当局は、デモ参加者に対する対応について明らかにしておらず、拘束の実態は不透明となっている。【1月20日 産経】

*********************** 』

米FBIレイ長官、中国のAI技術は「盗んだ知的財産で作られている」

米FBIレイ長官、中国のAI技術は「盗んだ知的財産で作られている」
https://www.epochtimes.jp/2023/01/133029.html

『米連邦捜査局(FBI)のレイ長官は19日、スイスのダボスで開催されている世界経済フォーラムで中国共産党の人工知能(AI)プログラムに「深い懸念」を示した。法の支配を無視する中国のプログラムは、国家安全保障を損なう事態を加速させると警鐘を鳴らした。

レイ氏は中国のAI技術は他国から盗んだ「知的財産と機密データで構築されている」と指摘。こうした事態を野放しにすれば、中国はAIを利用してハッキング、知的財産の窃盗、国内外での反体制派の弾圧をさらに加速させる可能性があると述べた。』

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欧州委員会、TikTokがEU規則順守しなければ「禁止する」

欧州委員会、TikTokがEU規則順守しなければ「禁止する」
https://www.epochtimes.jp/2023/01/133089.html

『欧州委員会のティエリー・ブルトン氏は19日、中国動画投稿アプリ「TikTok」が利用者の基本的権利を保護するEU・デジタルサービス法(DSA)順守しなければアプリを「禁止する」と言明した。

TikTokの周受資・最高経営責任者(CEO)とのビデオ会談で、ユーザーが「有害で、時には生命を脅かすコンテンツ」に数秒でアクセスできることは「容認できない」と強調。EU規則を順守しなければ「市民を守るためにあらゆる制裁措置を取る」と発言した。』

(※ 無料は、ここまで。)

ネパール,今も計画停電が続くことに驚く

ネパール,今も計画停電が続くことに驚く
http://blog.livedoor.jp/adachihayao/

『【日刊 アジアのエネルギー最前線】 ネパール,今も計画停電が続くことに驚く,氷河湖決壊など,インドによる大規模ダムの開発必須
http://www.adachihayao.net

2023年1月21日 土曜日 晴れ

ネパール,先日の生田さんのYTで平将明先生が語っておられた水力開発,私も退役してから月日が経つので調べてみた,相変わらず電力不足に悩み,日12時間の計画停電が続く,我々以降のインドや中国の介入はどうなっているのか,ネパールは約15万平方キロの国土に約3000万人が暮らす

ネパールは豊富な水力資源を持ちながら何故電力不足が続くのか,それはピーク需要が僅か100万KW,日調整ダムはあるが,国内需要では大規模ダムは開発困難,国土の地形上,ヒマラヤからの土砂や氷河湖決壊を呑み込むためにも,大貯水池がなければ,乾季と雨季の季節調整は困難の故である

JICA,Jパワー,日本工営も,ネパールの大規模ダム開発には努力したが,インドとの売電問題があって国際間調整は難しかった,中国はただ大ダムを開発したいだけだが,インドはネパールからの送電を強く希望し,開発コンサルタントを送り込んでいる,親中政権の誕生で調整が困難なのか? 』

プーチンは「3月までにドネツク州を制圧しろ」と命じた

プーチンは「3月までにドネツク州を制圧しろ」と命じた
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5404980.html

『以下は、2023年1月19日の記事「ロシア・ウクライナ最終決戦」の予兆…! 歴史の教科書に載るであろう「大きな戦い」が近づいている・国際関係アナリスト 北野 幸伯(きたの よしのり)」からの抜粋である。

、、大きな流れでは、ウクライナ軍が優勢だ。「自国領を侵略から守っている」ウクライナ軍の士気は、「他国の領土で戦う侵略者」ロシア軍より高い。さらに、ウクライナは、欧米から資金、武器、情報の支援を大量に受けている。一方、ロシアは、北朝鮮から武器、弾薬を買い戻し、イランからドローンを購入している。中国は、ロシアから原油、天然ガスを安く輸入しているが、武器支援は行っていない。国際社会を味方につけたウクライナが、孤立しているロシアを、徐々に押し戻しているのが現状なのだ。

 4しゅうプーチンは2022年10月頃から、「停戦交渉する準備がある」と、発言するようになった。ただ、「ウクライナがロシアの新たな領土を認めるという前提で、話し合う用意がある」という条件がついている。要するにプーチンは、9月に併合したルガンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州を、「ロシア領と認めれば、停戦交渉に応じてやる」と主張しているのだ。これをウクライナが受け入れるはずはなく、戦闘はつづいていく。

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プーチンは2023年1月11日、ゲラシモフ(Valery Gerasimov)参謀総長:プーチンの左 を、ウクライナ軍事作戦の総司令官に任命した。日本ではむしろ、国防トップのショイグ(Sergei Shoigu)国防相:プーチンの右 の方が知られている。しかし、実をいうとショイグは、「軍事の素人」だ。 彼は、1991年から2012年まで、21年間も「非常事態省」のトップだった。非常事態省は、自然災害や大事故の際に、国民を救出、支援する役割を担っている。2012年国防相に抜擢された。だが、軍事の知識はない。
FireShot Webpage Screenshot #525 – ‘一方、ゲラシモフは、ロシア連邦軍参謀本部軍事アカデミーで学んだ生粋の軍人だ。実戦経験もある。

彼は、第2次チェチェン戦争で、チェチェン独立派鎮圧の指揮をとった。2012年にはロシア軍参謀総長に任命され、2014年にはウクライナ内戦で、「親ロシア派」を支援した。ゲラシモフは、日本や欧米の軍人の間では、「戦略家」として知られている。彼は、ロシアのハイブリッド戦争理論「ゲラシモフ・ドクトリン」の提唱者だ。2014年3月、ロシアは無血で、ウクライナからクリミアを奪った。「ロシアは、ゲラシモフ・ドクトリンによって、クリミアを無血で奪った」ともいえる。2016年5月、ゲラシモフはプーチンから、「ロシア連邦英雄」の称号を授与された。

劣勢のロシア軍では、総司令官が頻繁に代わっている。そしてついに、ゲラシモフが総司令官になった。彼の後ろには、プーチン以外、誰もいない。ゲラシモフの敗北は、すなわち「ロシア軍の敗北」なのだ。当然彼は、ロシア軍の威信をかけて戦いを挑んでくるだろう。事実上の「最終決戦」の日が近づいている。

FireShot Webpage Screenshot #526 – ‘

「ロシア・ウクライナ最終決戦もう一つ注目したいのは、ロシアの西、ウクライナの北の隣国ベラルーシの動きだ。ウクライナ侵攻後、旧ソ連諸国におけるロシアの求心力は、急速に低下している。そんな中でも、ベラルーシだけは、ロシアと良好な関係を維持してきた。同国の大統領は、ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)。彼は、1994年から現在まで29年間大統領の座にある。欧米は、ルカシェンコを「欧州最後の独裁者」と呼び、嫌悪している。要するに、彼には「ロシアに引っ付く以外の選択肢」がないのだ。

だが、ベラルーシ軍自体はこれまで参戦していない。ルカシェンコは、「国民の大部分は反戦で、ベラルーシが参戦すれば、政権は維持できない」とプーチンに言い訳している。
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だが、ルカシェンコがプーチンに抵抗するのが困難な状況が生まれてきている。理由は、2022年11月26日に、マケイ( Vladimir Makei 64)外相が急死したことだ。死因は、心臓発作といわれている。2022年まで外相を務めたマケイは、ルカシェンコの「側近中の側近」だった。しかもマケイは、ベラルーシでは珍しく、「欧米とパイプのある大物政治家」として知られていた。

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ニューズウィーク2022年12月1日を見ると「、、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領が最近、ロシア政府に暗殺されるのではないかと疑心暗鬼に陥っているという。11月末にベラルーシ政府No.2の外相が急死したからだ」。暗殺を恐れるルカシェンコは、プーチンの圧力に屈し、ベラルーシ軍をウクライナに送るかもしれない。そして1月16日、ロシア軍とベラルーシ軍は、合同軍事演習を開始した。

ゲラシモフとベラルーシ、最終決戦の予兆を二つ挙げたが、大きな戦いが起こるとして、それはどこで起こるのか? 

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中央日報2023年1月17日には、〈 「3月までドンバス(ドネツク・ルハンシク)を完全に占領してほしい」。ロシアのプーチン大統領がウクライナ戦争の総司令官に新たに任命されたワレリー・ゲラシモフ露参謀総長に対し、このように命じた 〉とある。

ロシア軍は昨年7月時点で、ルガンスク州を制圧している。しかし、ドネツク州は50%程度しか支配できていない。ベラルーシ領からロシア軍(とベラルーシ軍?)がキーウに南進し、東の軍はドネツク州制圧を目指す。2ec133d1-sウクライナ軍は、北と東で「二正面作戦」を強いられるので、ロシア軍はドネツク州を完全制圧しやすくなるということなのだろう。

思えばこの戦争は、「ルガンスク、ドネツクでジェノサイドされているロシア系住民を救済する」という大義名分で開始された。ロシア軍がルガンスク、ドネツク州を完全制圧できれば、プーチンの面目が立つということなのだろう。だからプーチンはゲラシモフに、「3月までにドネツク州を制圧しろ」と命じたのだ。、、、

これまでにもプーチンは、遅れている飛行機の調達など春先までに用意しろと厳命するなど、春先に大作戦を行う素振りを見せている。この事で想像できるのは、大量な兵員の移動だが、、。  過去ブログ:2023 年1月今になって前言を翻したキッシンジャーとダボス会議 1月CNNの露軍分析:内部の手柄争いで乱れ?プーチンは権威失墜 1月ロシア国内で高まる内戦の危機は本当か? 2022年12月高まるベラルーシ、ウクライナ国境の軍事緊張とミンスク会談 12月ベラルーシ軍、ウクライナ国境沿いへ部隊配備』

カール・グスタフ・ユング

カール・グスタフ・ユング
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%A6%E3%83%B3%E3%82%B0#%E3%83%A6%E3%83%B3%E3%82%B0%E5%BF%83%E7%90%86%E5%AD%A6%E3%81%AE%E7%89%B9%E5%BE%B4

『カール・グスタフ・ユング(Carl Gustav Jung、1875年7月26日 – 1961年6月6日)は、スイスの精神科医・心理学者。ブロイラーに師事し深層心理について研究、分析心理学(ユング心理学)を創始した。

生涯

幼少期

1875年:スイス、トゥールガウ州ボーデン湖畔のケスヴィルでプロテスタント(改革派)牧師の家(ドイツ系)に生まれる[1]。少年期は己の内面に深い注意が向けられ、善と悪、神と人間についての思索に没頭する。「生涯忘れられない夢」を1879年または1880年に見られたとされる[2]。

1886年、バーゼルの上級ギナジウムへ通う。かつて言語を研究していた父にラテン語の準備をしてもらってから入学した[2]。この時期に内なる性格としての「NO.2」が現れる。またバーゼル大聖堂に神が排泄する夢を見る。更に母親の示唆によって『ファウスト』が必読書となる[2]。また『ファウスト』は後々に衝動や無意識の認識の意味をテーマに扱ったと述べている[3]。

バーゼル大学時代

1895年バーゼル大学医学部に入学。学生時代はゲーテ、カントやニーチェの著作に感銘を受け、後の心理学者としての著作に、ゲーテの『ファウスト』やニーチェの『ツァラトゥストラはかく語りき』への言及も多くみられる。内的な基盤を持たない形式的な信仰というものに疑問を感じ、牧師という職を継ぐことを特には望まず、同名の祖父と同じ名門バーゼル大学で医学を、特にクラフト=エビングの影響で精神医学を学んだ[4]。この同名の祖父には、ゲーテの私生児だと言う伝説があった[5]。

1896年には父親が亡くなり、学費を払うのが困難になり工面に苦労する。卒業後クリニックに勤めたのも資金を得るためである側面もあるとされる[2]。

ニーチェとの関係

ユング入学の15年程前にニーチェはバーゼル大学で講師をしていたため、ユングが入学した時も、当時公務を退いておりニーチェの先輩であり友人でもあったブルクハルトによるニーチェの批判的批評を筆頭として、哲学の高尚な学生はニーチェに対して批判的な議論を行っていたという。また、ニーチェの思想をあまり理解できていない学生内でもかつてのニーチェの所作などに関して噂していた[6]。そんな中、ユングは『ツァラトゥストラ』や『反時代的考察』に感銘を受ける。No.2はツァラトゥストラがモデルとなったという[2]。また後に「ニーチェによって近代心理学を受け入れる準備」をしたと語っている[3]。『無意識の心理』(1916) ではフロイトとアドラーとの分岐点をニーチェの「自己保存の衝動(性衝動に対する)」として紹介している。更には『心理学的類型』(1921) ではニーチェの「アポロン」と「デュオニソス」がユングの類型と連関していると明記。『心理学と宗教』(1940) では「神が死んだ時代」を論じ、またニーチェの精神障害は無意識に呑み込まれて分裂症的(自分をデュオニソスと署名した)になったという分析を行っている。1934年から1939年にかけてはチューリッヒの心理学クラブにて英語にてのゼミナールで『ニーチェのツァラトゥストラの心理学的分析』を行っている。

超心理学

1895年に従妹であるヘリーから降霊術に興味を持つ。そして後々の論文「いわゆるオカルト現象の心理と病理 」に「S.W.嬢」としてヘリーをモデルとして執筆している。但し論文では親族であるということを隠ぺいするためか、1899年から翌年に研究が行われたと記している。この時期、カントの『ある霊視者の夢』も読んでいる[2]。

エービングの教科書

1899年10月国家試験に備えるためにリヒアルト・フォン・クラフト=エービングの精神医学の教科書(1890)を読んで、「自然と精神の衝突が出来事になる場所」「対立し合うものの合一」としての精神医学から衝撃を受ける。当時絶望の場として認識していたユングにとって「人格の病」と捉え「妄想観念や幻覚が精神病に特有の症状であるだけでなく、人間的な意味をもっているということを示すことであった」という部分に意味を見出したようだ[2]。

1900年7月にバーゼル大学を卒業し、「ブルクヘルツリ」病院に勤めることを決め、12月には義務である兵役として初年兵学校に行き、アールガウで歩兵としての訓練を終えてから勤める。

バーゼルでは祖父あっての孫ユングとして見られることが多く、また母と妹のしがらみもあり、バーゼルを抜け出せることはユングの喜びでもあった[2]。
「ブルクヘルツリ」時代

1901年からは、チューリヒ大学精神科クリニックの「ブルクヘルツリ」でオイゲン・ブロイラーの元で助手を務める。

オイゲン・ブロイラーは「ミュンヘンのエミール・クレペリンと並んでブロイラーは彼の専門分野においては指針を与える代表的存在」[2]であった。また1898年にオーグスト・アンリ・フォレル(1848-1931)から精神医学の教授を引き継いでおり、「フォレルの弟子として精神分析をスイスに移住したブロイラーは、この発生途上の仕事と、それゆえフロイトの夢研究にもユングの注目を促したはず」[2]。

ブロイラーは「人道主義と親切さで患者に感銘を与えた医者として、また若い医者たちを完全に傾倒させるまでにたきつけ、激励する教師として称賛されていた…人間として価値を剥奪された患者を人格として尊敬する」[7]。また患者たちと一つ屋根の中で住むことや禁酒・更に私的な自由区間がほとんどない中で勤務することを戒律としていた[7]。

ユング自身は勤務を通して「わたしたちが精神病患者に見出すものは、何ひとつ新しいもの、未知のものはない。むしろわたしたちは自分自身の存在基盤に出会うのである。」[6]と述べている。ブロイラーと同じく真摯に患者と向き合うことを行い、当時の「病んだ人格から疾患をいわば抽象し、診断と症状記述と統計で足りていた」[6]状況を超えようとしていた。また「人間の精神がその自己破壊に直面したときにどのように反応するかを知りたかった」[6]とも語っている。

1902年にブロイラーの勧めで、学位論文を書き、霊媒現象を考察した「いわゆるオカルト現象の心理と病理 (Zur Psychologie und Pathologie sogenannter occulter Phanomene)」を執筆。「E・ブロイラー教授閣下の承認を得て」と書かれていて、周りはオカルト的側面を批判する人もいたらしい一方、ブロイラー教授はユングのその側面を認めていたと言われる[2]。また「遺伝的負因者における夢遊病の一症例」、「ブルクヘルツリ病院の第一助手」という記述もある[7]。

1902年秋から1903年にかけて、ブロイラーの信任を得てパリに留学する。かつてフロイトも留学していた「力動的精神医学の新しい体系の最初の樹立者」ジャン・マルタン・シャルコーのもと改革されたサルペトリエール病院でおしていたこともあったピエール・ジャネ (1859?1947) の元で留学する。「ヒステリー」と「神経衰弱」という2つから出発する視点は後のユングの類型に影響に繋がる。また留学週に出版されたアルフレド・ビネ (1857?1911) の『知能の実験てき研究』が出版され、その「内観」と「外観」という類型論的な鍵概念から詳しく取り扱われていたのも、後のユングの「外交的なヒステリー」と「内向的な分裂病」と類型論に影響を与える。また留学中に婦人帽子制作職人となっていたヘリーに驚き、パリの街で会っている[2]。

1905年、言語連想法の研究から認められ、医長になり、精神医学の教授の資格をとり、さらにチューリッヒ大学の私講師(学校からでなく生徒からお金をとるスタイル)になる[7]。1906年「早発性痴呆の心理」、1908年に「精神病の内容」と題された論文を発表。1909年には、大学を離れて個人開業を開始する[8]。

フロイトとの関係

1900年には、ジークムント・フロイトの『夢判断』に触れるものの、当初は特に影響がなかった[9]。

ブロイラーの病院ではゲマインザーメという一般会議において所長のブロイラーが議長を行っていて、受け持ちの患者についてや論文についての議論もなされたようである。そこで「ユングに任されたこの種の最初の仕事の一つは、ちょうど出版されたばかりのジークムント・フロイトの『夢判断』に関するレポートであった」[2]。1907年からは、フロイトとの間に親交が生まれた[10]。

生理学的な知識欲を満たしてくれる医学や、歴史学的な知識欲を満たしてくれる考古学に興味を抱き、友人と活発に議論を交わし、やがて人間の心理と科学の接点としての心理学に道を定めた。精神疾患の人々の治療にあたるとともに疾患の研究も進め、特に当時不治の病とされた分裂病(統合失調症)の解明と治療に一定の光明をもたらした。ヒステリー患者の治療と無意識の解明に力を注いでいたフロイトと、親しく意見を交わした。

1911年には国際精神分析協会を設立し、その初代会長になる。フロイトでなくユングなのは、ユダヤ人以外を会長に選ぶ目的があったためである[11]。

ところが、フロイトとは別に神話研究に励むユングは、次第にフロイトとの理論的な違いを表に出し始め、1914年には国際精神分析協会を辞して、フロイトらと袂を分かつことになり[12]、チューリヒ大学医学部の私講師の職も辞任した[13]。フロイトと別れた時期から精神的不調をきたし、数々の幻覚に出会う。スイスの街並みが水没し多数の市民が溺死する幻覚を見て慌てふためき、また天上より降りてきたキリストと思しき男性が教会を破壊しつくす幻覚に出会っていたことが『赤の書』によって明らかになっている[14]。

フロイトと親交を結ぶ3年前の1904年、勤務先のチューリヒ大学に入院してきた患者のザビーナ・シュピールラインと治療を通して親しくなり、不倫関係となった。ザビーナはユングと別れた後にフロイトに師事し、精神分析家となる[15]。

その後

精神分析の運動から離れ一人研究を進め、1916年には石油王ジョン・ロックフェラーの四女イーディス・ロックフェラー・マコーミック(en, 1872年 – 1932年)の助力で「心理学クラブ」を設立して、分析心理学の確立に努める[16]。このクラブには、ヘルマン・ヘッセも訪れている[17]。このマコーミック夫人の縁でジェイムス・ジョイスを知り、『ユリシーズ』の批評も書いている[18]。

1922年にはスイスのボーリンゲンに土地を得て、塔の建設を開始する[19]。この塔は瓦焼き職人に教わったやり方で造られており、この作業によって自身の精神的不調が安定化したとしている。

1921年には代表作『心理学的類型』(『タイプ論』『元型論』とも)を公開する。

1928年、ユングはリヒャルト・ヴィルヘルムの手による中国道教の錬金術のドイツ語訳を入手し、曼荼羅に夢中になる。これにコメントを付けて、1929年に『黄金の華の秘密』というタイトルで出版した[20]。ユングは、精神的不調の回復期にあって、曼荼羅に描かれるような幾何学模様を描くことが多くなり、その折、チベットの仏僧の描く曼荼羅と自分の絵との偶然の一致に感嘆し、ここに意味を見出した。

ユング研究所

1948年に共同研究者や後継者たちとともに、スイス・チューリッヒにユング研究所を設立し、ユング派臨床心理学の基礎と伝統を確立した。また1933年からは、アスコナでエラノス会議において、主導的役割を演じることで、深層心理学・神話学・宗教学・哲学など多様な分野の専門家・思想家の学際的交流と研究の場を拓いた。開催をしたオルガ・フレーベ・カプタインは、ユングに強く協力を求め、ユングが参加できない場合は廃止も辞さない構えであった[21]。これには1951年まで出席する[22]。ここで、鈴木大拙、ミルチャ・エリアーデ、ハーバート・リードらと親交を結ぶ。

1946年に『転移の心理学』、1951年に『アイオーン』、1955年と1956年には『結合の神秘』の第1巻と第2巻が出版されている。これらは、70歳を過ぎての著作であった[23]。

1961年6月6日逝去。チューリッヒ州のキュスナハト改革派教会に葬られた。スイスでは晩年のユングは気味悪がられたが、世界的に精神病の理解には一石を投じるものとして価値づけられている。

死の直前まで、ユング唯一の一般向け著書『人間と象徴(英語版)』をマリー=ルイーズ・フォン・フランツ、ジョゼフ・ヘンダーソン、アニエラ・ヤッフェ、ヨランド・ヤコビーの4人と分担して英語で執筆し、ユング自身は担当する第1章を死の10日前に書き終えた[24]。

著作の大半は、下記のようにドイツ語でなされた。

ユング心理学の変遷

精神科医であったユングは、ピエール・ジャネやウィリアム・ジェームズらの理論を元にした心理理論を模索していた。フロイトの精神分析学の理論に自説との共通点を見出したユングはフロイトに接近し、一時期は蜜月状態(1906年 – 1913年)となるが、徐々に方向性の違いから距離を置くようになる。

ユングがそのキャリアの前半において発表した「連想実験」は、フロイトの「自由連想」法を応用して、言葉の錯誤と応答時間ずれ等を計測し、無意識のコンプレックスの存在を客観的な形にしたということで、科学的な価値を持ち、フロイトもそのために初めは喜んでユングを迎え入れた。両者の初めての邂逅において交わされた対談は10時間を超し、以後両者は互いに親しく手紙で近況や抱負、意見を伝えあった。しかし数年の交流のうちに、両者の志向性の違いが次第に浮き彫りになってきた。フロイトは無神論を支持したが、ユングは神の存在に関する判断には保留を設けた。またユングはフロイトとアルフレッド・アドラーの心理学を比較・吟味し、両者の心理学は双方の心性の反映であるとし、外的な対象を必要とする「性」を掲げるフロイトは「外向的」、自身に関心が集中する「権力」に言及するアドラーは「内向的」であるといった考察をし、別の視点からの判断を考慮に入れた。

ユングは歴史や宗教にも関心を向けるようになり、やがてフロイトが「リビドー」を全て「性」に還元することに異議を唱え、はるかに広大な意味をもつものとして「リビドー」を再定義し、ついに決別することとなった[注 1]。ユングは後に、フロイトの言う「無意識」は個人の意識に抑圧された内容の「ごみ捨て場」のようなものであるが、自分の言う無意識とは「人類の歴史が眠る宝庫」のようなものである、と例えている。

ユングの患者であった精神疾患者らの語るイメージに不思議と共通点があること、またそれらは、世界各地の神話・伝承とも一致する点が多いことを見出したユングは、人間の無意識の奧底には人類共通の素地(集合的無意識)が存在すると考え、この共通するイメージを想起させる力動を「元型」と名付けた。また、晩年、物理学者のウォルフガング・パウリとともに共時性(シンクロニシティ=意味のある偶然の一致)に関する共著を発表した。
ユング心理学の特徴

詳細は「分析心理学」を参照

ユング心理学(分析心理学)は個人の意識、無意識の分析をする点ではフロイトの精神分析学と共通しているが、個人的な無意識にとどまらず、個人を超え人類に共通しているとされる集合的無意識(普遍的無意識)を視野に入れた分析も含まれる。ユング心理学による心理療法では能動的想像法(英語版)が行われる場合もある。能動的想像法は文字通り意識的に無意識のイメージを掘り下げる手法であり、無意識が活性化する場合があるため、経験を積んだセラピストの元で行われない限り、危険な手法である。

また、ユング心理学は、他派よりも心理臨床において夢分析を重視している。夢は集合的無意識としての「元型イメージが日常的に表出している現象」[25]でもあり、また個人的無意識の発露でもあるとされる。

夢の分析はフロイトが既に重視していたことであった。しかしユング心理学の夢解釈がフロイトの精神分析と異なる点は、無意識を一方的に杓子定規で解釈するのではなく、クライアントとセラピストが対等な立場で夢について話し合い、その多義的な意味・目的を考えることによって、クライアントの心の中で巻き起こっていることを治癒的に生かそうとする点にある。

ユングはフロイトとの決別以後[26]、自らの無意識から湧き出る元型的イメージと真摯に対峙しながらも患者への治療を続けた。これら元型的イメージは統合失調症の患者のイメージにおいても同様なパターンが見られるため、ユングは統合失調症患者であり、オカルティストであるという誤解を受けることもある。しかしその時期においても、ユングが医師として患者への治療を行い、多くの患者を癒やし、現実に導いていたことはユング心理学の理解の上で重要なことである。

ユングは人間の心の成長過程を「個性化の過程」と呼び、健常者、統合失調患者を含めた全ての人間が経験するものとした。従ってセラピー(心理療法)が終了しても、人間の個性化の過程は継続する。ユング派のセラピーでは、セラピー終了後もクライアントをサポートするためにカウンセリングを継続する場合もあり、この場合のセラピーを、「個性化」と呼ぶ場合がある。ただし、これは他の心理療法と同様、クライエントの「生き方」に介入したり指示を与えたりするものではないし、いたずらにセラピーを長引かせるためのものでもない。

また、日本においてユング心理学が隆盛を極めたのは、その心理臨床において箱庭療法を積極的に取り入れ、多くの著書を発表した河合隼雄の影響が大きい。

ナチズムや反ユダヤ主義の勃興に対する姿勢

ナチスが政権を取った1933年、ドイツ精神療法学会が改編されることになりヒトラーに反対したユダヤ人のエルンスト・クレッチマーがその会長を辞任。新たに設立された国際精神療法学会の会長にユングが就任した[27]。そのためユングはナチスに加担してクレッチマーを追い落としたと一部に言われた[注 2]。後にユングは精神療法という学問分野を守りたかったので非ユダヤ人である自分が会長職を引き受けたと述べている。実際ナチスからの影響を逃れるために国際精神療法学会の本部をスイスのチューリッヒに移し、ドイツ国内で身分を剥奪されたユダヤ人医師を国際学会で受け入れ、学会誌にユダヤ人学者の論文が掲載されるように図ってもいる。ユングはユダヤ系の師フロイトにも支援の意図について打診[注 3]しており、長年にわたってユングの秘書を務めたユダヤ人のアニエラ・ヤッフェによれば、「ナチスへの対応には甘いところがあった」が、ユングはナチスの反ユダヤ人政策には明確に反対し、ユダヤ人のドイツ脱出支援活動にも関与していたとのこと[28][29]。

ユングと超心理学

ユングはその学位論文『いわゆるオカルト的現象の心理と病理』において、従妹ヘレーネ・プライスヴェルクを「霊媒」として開かれた「交霊会」を扱ったこと(ただしこの論文では神秘的要因ではなく精神の病理的状態に帰されている)、また錬金術や占星術、中国の易などに深くコミットしたことにより、オカルト主義的な傾向を見て取られ、また新異教主義的な人々からその預言者とみなされる傾向がある。これにはおそらく母方のプライスヴェルク家が霊能者の家系として著名だった出自も影響していると思われる。また「集合的無意識」や「元型」などの一般の生物学の知見とは相容れない概念を提起することによって、20世紀の科学から離脱して19世紀の自然哲学に逆戻りしてしまったという批判がある[30]。またフロイトもユングとまだ訣別する前に、「オカルティズム」を拒絶するよう強く求めた[31]。

一方で、ユング自身は、夢に見られる元型に関して、遺伝に関連づけて言及していたくだりがある(『分析心理学』)。無意識に蓄えられている遺伝情報は莫大であり、人の心性がそれを基礎にしているからには、その生み出すものも、その起源をはるか過去に遡ることができるとする解釈も可能であり、遺伝情報内の大量の経験データの中には、人に平均して訪れる体験の体系も含まれていると考えた場合、元型の普遍性も説明できるであろう。また、そうした無意識内容を生み出す傾向、というユングの説明の付与は、人間が普遍的な基盤に立脚しながらも、決して固定された構造ではなく(これが生物学的な本能にしばられた動物と違う点である)、変化の可能性を秘めていることを示唆している。無意識と意識の調停作業はユングの言う「個体化」に結実する。

ただし19世紀末から20世紀初頭の状況は、一方では精神医学を極めて機能主義的に捉えることのみが科学的であり「心の治癒」といったものを語ることは出来ないという流れがあった一方で、アカデミズム以外でオカルティズムの大流行があったのみならず、ウィリアム・ジェームズのような学者も心霊主義の実験に乗り出すなど、心の問題に関するアプローチは現在以上に定まらないところもあった[32]。こうした問題に関してユングに批判的であったフロイトも、そもそも性理論を打ち立てるのはオカルトの「黒い奔流」に対する「堅固な城塞」を築かねばならないからだという動機を口にしており[6]、こうした問題に必ずしも安定した姿勢で臨んでばかりいたわけではなかった。またユング自身はきわめて厳格に学問的な方法論を意識して研究を進めていたという主張もあり[33]、こうした点について決定的な評価を下すことはまだ難しいといえる。

著作

ユングの著作は、『ユング全集』にほぼ全ての重要な論文(単行本を含む)が網羅されている。全20巻の構成となっている。ドイツにおいて『Gesammelte Werke von C. G. Jung』 (Walter Verlag) として出版されている(「GW」 と略する)。英語版は、ユングの監修の元に翻訳が行われている(『 The Collected Works of C. G. Jung 』)。 代表的な著作としては、以下のものがある。

『転換のシンボル』 Symbole der Wandlung, 1912, /1950, GW Bd.5.
『心理学的類型』 Psychologische Typen, 1921/1950, GW Bd.6.
『心理学と宗教』 Psychologie und Religion, 1940/1962 (GW Bd.11).
『アイオーン』 Aion, 1950, GW Bd.5-2.
『心理学と錬金術』 Psychologie und Alchemie, 1944/1952, GW Bd.12.
『ヨブへの答え』 Antworf auf Hiob, 1952/1967 (GW Bd.11).
『結合の神秘』 Mysterium Coniunctionis, 1955/1956, GW Bd.14.

ユングが登場するフィクション

映画

『危険なメソッド』
『フルメタル・ジャケット』

テレビドラマ

『インディ・ジョーンズ/若き日の大冒険』

コンピュータゲーム

『ノスタルジア1907』
『ペルソナシリーズ』

小説

『ゆめにっき あなたの夢に私はいない』(ユングの思想に触れている)

親族

父方の曾祖父であるフランツ・イグナツ (1759?1831) はナポレオン戦争のとき、野戦医師を勤め、マンハイムに移る。その際、マンハイム劇場の近くで、ゲーテを取り巻く多くの詩人と交友。後妻となるゾフィー・ツィーグラーも詩人らと交友していてゲーテと関係を持ち私生児としてユングの祖父であるC.G.ユングを生んだという伝説がある[2]。
父方の祖父であるC.G.ユング(1794?1864:ユングと同名)はハイデルベルクで医学を勉強。その際、ベルリンの神学者フリードリッヒ・ダニエル・エルンスト・シュライエルマッハーの影響からカトリックからプロテスタントに改宗される。1817年ドイツ統一のためのデモに参加し投獄(時代のパラダイムとしてはナポレオンのくびきを落とし統一ドイツに繋がる1848年の革命「フォアメルツ」に繋がる)。その後、パリに行きアレクサンダー・フォン・フンボルト (1769?1859) と知り合いになり、スイスのバーゼル大学に紹介され後々には教授となり更には総長になる。また1848年の肖像画は今もバーゼル大学の昔の玄関にかかっている[2]。市民病院を拡大させ、精神薄弱児たちの住む家「希望の施設 (Anstalt der Hoffnung)」を作る。またバーゼル市長の娘ゾフィー・フライと三度目の結婚をし父パウルを出産。
父のパウルはアラビア語に関する研究で哲学博士を得るが、経済的な理由で教授になる道を断念しボスヴィルの牧師になる。この側面がニーチェを受け入れる準備となる[2]。
母方の祖父であるザムエル・プライスヴェルク (1799?1871) はバーゼルのレオンハルト教区の説教師。改革派の牧師仲間ではいわゆるアンティスティス(牧師長)として通っていてた。ヘブライ語の私講師として学位を得ており、アメリカにまで普及したヘブライ語の文法書の著者と見なされていた。彼によって発刊されていた月刊雑誌『モルゲンラント(朝の国)』で彼は、ユダヤ人がパレスチナに再び定住することに対して関心がある事を公言した(シオニズムに先駆ける発言)[2]。』

ユング心理学を分かりやすく解説!フロイトとの違いもご紹介

ユング心理学を分かりやすく解説!フロイトとの違いもご紹介
https://seminars.jp/media/444

 ※ 3大巨人は、フロイト、ユング、アドラーか…。

 ※ ペルソナとか、シャドウとか、ユングの概念だったんだな…。

 ※ 「ペルソナ4」とか、Steam経由で落として、喜んで遊んでいたのに、知らんかった…。

『目次[非表示]

1 ユング心理学とは?
    1.1 ユングにとっての無意識とは?
    1.2 ユングにとっての「人の心の動き」
2 ユング心理学の代表的な思想
    2.1 集合的無意識
    2.2 タイプ論
    2.3 元型論
    2.4 アニマ・アニムス
    2.5 ペルソナ
    2.6 コンプレックス
    2.7 影(シャドウ)
3 ユングとフロイトの違いは?
    3.1 無意識に対する解釈の違い
    3.2 リビドーに対する考えの違い
    3.3 診療者・治療のやり方の違い
4 まとめ

臨床心理学に大きな影響を与え、心理学の分野で活躍した言われている精神科医の「ユング」。

ユングは、フロイトの精神分析学に心を惹かれ、それまで以上に心理学を深求していました。しかし、その後に二人は意見が対立したことで決別しています。

今回は、ユング心理学を分かりやすく解説すると共に、心理学の三代巨匠といわれているフロイトとの違いについても解説していきます。
ユング心理学とは?
引用:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ユング心理学とは、スイスの精神科医・心理学者のカール・グスタフ・ユング(Carl Gustav Jung)が提唱した心理学のことを指します。

ユングは、『分析心理学』の創始者でフロイトと共に精神分析学を発展させていました。しかし、フロイトとは「無意識」についての意見が相違したことで距離を置くようになりました。

ユングは、「集合的無意識」といった新しい概念を生み出し、“無意識”の領域を明らかにしています。
人の心の働きは意識のコントロールや認識を超えた“無意識”の働きが大きく影響する。

このように、自分自身でも意識ができない部分が大半を占めているという考え方に基づく心理学、それがユング心理学です。
ユングにとっての無意識とは?

ユングにとっての無意識とは、「個人的無意識」と「集合的無意識(普遍的無意識)」の2つの要素に区別しています。

まず、人の心の構造を「意識」「無意識」の2つの領域に分類することができると考え、その2つの領域が対になることで『心』のバランスを保つことができると説いています。

ユングは、意識(自分の知り得る意識)と知り得ない意識(無意識)のバランスが崩れた際に、精神疾患を生じると考えています。
■ 結論
ユングにとって無意識とは、精神疾患の発生を説明する時に不可欠な要素。
ユングにとっての「人の心の動き」

ユングにとっての「人の心の動き」は、「思考」「感情」「感覚」「直観」の4つの機能があると解説しています。

4つの機能で「どれが最も働くか?」で人の心の動きをタイプ別に分けています。
意味 具体的に
思考 物事を理に適った捉え方をする心の機能。
“理屈で考えようとするタイプ” 「それを証明する根拠は?」
「この作品はいつ・どんな意図で作られた作品なんだろう?」
感情 好きか嫌いかで判断する心の機能。
“快・不快で物事を捉えるタイプ” 「この仕事はそもそも好きなことか?」
“思考”と正反対の機能をしている。
感覚 物事を「そのまま」捉える心の機能。
“あるがままで感じ取るタイプ” 「このギターのニュアンスは○○の曲と似ているかな」
「〇〇の味付けのおかげで〇〇の料理が美味しいと感じる」
直観 物事を思いつきで判断する心の機能。
“ひらめきで物事を捉えるタイプ” 「この出来事は〇〇を予知している」
“感覚”と正反対の機能をしている。
ユングにとっての「人の心の動き」

人は、「なんとなく好き・嫌い」で付き合う人を選別したり、「〇〇がこうだから好き」などのこだわりで食事を選んだり、「今でなければ後悔する」という“勘”で行動をする人とさまざまです。

ユングは、人の心の動きに注目したことにより、人間の心の特徴に気づくことができ治療や研究に役立てていました。
ユング心理学の代表的な思想

ここからは、ユング心理学の代表的な思想について解説していきます。
集合的無意識

ユング心理学の代表的な思想1つ目は、集合的無意識です。

集合的無意識は、普遍的無意識とも呼ばれていて、昔から現代まで変わらない、人間の無意識の根底となる心理構造のことを指します。

例えば、“ふくよかな体型の女性を象った土偶”があったとします。

この土偶を見たときに「優しい母親的なものを感じる」とイメージが浮かぶ場合、古代から伝わる神話・伝説、芸術、個人が見てきた夢などが影響しています。

ユングは、物事を捉えるとき『人類の心の中で脈々と受け継がれてきた“何か”がある』と説いています。

このように、想像力の原点となる無意識の領域のことを『集合的無意識』といいます。
タイプ論

ユング心理学の代表的な思想2つ目は、タイプ論です。

タイプ論とは、人間の気質を「外向的な人間(外向型)」「内向的な人間(内向型)」に分類する思想のことを指します。

外向型|意識(心のエネルギー)が外側に向いている人
内向型|意識(心のエネルギー)が内側に向いている人

外向型の人は、とても社交的で世の中の流行に敏感であり人に左右されやすい傾向があります。

一方、内向型の人は控えめで我慢強く自身の気分に左右されやすい傾向があります。(気質なので、必ず上記のような性格になるという訳ではありません。)

※ どちらが「良い・悪い」などはなく、人の性格を定義するためのものでもありません。
■ タイプ論を知るメリット
・相手がどっちのタイプかを見極めることができれば、人付き合いに役立てることができる。
?? 相手の反応を少しでも予想することができる。
元型論

ユング心理学の代表的な思想3つ目は、元型論です。

集合的無意識で“根底に想像力の原点となる出来事がある”と解説したように、それにより人間の無意識が従うこと(パターンがあること)を「元型(アーキタイプ)」といいます。

代表的な元型には、『グレートマザー』『老賢人』などがあります。

『グレートマザー』『老賢人』は、日本の縄文土器、世界の古代文明の遺跡などで表現されています。

このような土偶は、形はさまざまもので表現されていたとしても、「命を生みだす母親」「権威性があり男の成長の最終点」と、共通するイメージがあります。

人によってイメージはさまざまですが、人類の心の中は「母親元型」「父親元型」が存在しているというユングの考えです。
アニマ・アニムス

ユング心理学の代表的な思想4つ目は、アニマ・アニムスです。

アニマ・アニムスとは、集合的無意識における元型のひとつです。

「アニマ」は、男性の集合的無意識のなかの一人の女性が影響されていて、「アニムス」は、女性の集合的無意識のなかの一人の男性が影響されている思想のことです。

例えば、普段の日常のなかで、とても穏やかで大人しい男性が意外にロマンチックに憧れていたり、反対に可愛らしい顔立ちの女性が男前な発言をするといった人を見たことはありませんか?

ユングは、このような人間には「アニマ」と「アニムス」の元型があると提唱しています。

成長していく過程で元型ができ、何かの出来事のイメージが強いことで「アニマ」と「アニムス」が成熟していると説いています。
■ アニマ・アニムスとは?
アニマ:男性のなかの「女性像」「女性的」な部分のこと。
アニムス:女性のなかの「男性像」「男性的」な部分のこと。
ペルソナ

ユング心理学の代表的な思想5つ目は、ペルソナです。

ペルソナとは、人間の外的側面の心理的な“仮面(顔)”のことを指しています。

自分達が生活していくうえで、「職場での顔」「家族といる時の顔」「商談の時の顔」「〇〇会社の営業担当の顔」と場面や地位など、人によってさまざまな仮面があります。

ユングが提唱したペルソナは、人間は仮面を被って暮らしているという考えのことです。
■ ユングの教え
① 本当の自分に合ったペルソナを理解すること。
② 仮面をうまく着脱できるようになること。
 ?? 上記の2つが大切であると説いています。
コンプレックス

ユング心理学の代表的な思想6つ目は、コンプレックスです。

心理学・精神医学用語で「コンプレックス」とは、記憶・衝動・欲求などのさまざまな心理的な感情が複雑に絡み合ってできた劣等感(観念)のことを指します。

ユングが提唱しているコンプレックスは、「感情に色をつけた心的複合体」です。

簡単に解説すると、「自分は〇〇が劣っている」という劣等感を通り越して、さらなる複雑ないろんな感情が入り混じることで生じる感情のことを指しています。

なぜか自分自身でも感情をコントロールできないほど怒りが生じたり、感情的になってしまったりする複雑な心のことを、ユングが提唱する“コンプレックス”の概念に含まれます。
影(シャドウ)

ユング心理学の代表的な思想7つ目は、影(シャドウ)です。

影(シャドウ)とは、無意識の領域のなかに歪んだ形で存在するものを指しています。

例えば、下記のように思っている人がいたとします。

お金なんて汚い
稼いでる人は、なにか裏がある
お金持ちは性格が悪い

このように思っている人は「お金」に対して、なんらかの“影(シャドウ)”があると考えられます。

本当は「お金が大好き」「経営を成功させてお金を稼ぎたい」など、本当の望み(本当は生きたかったもう1人の自分)が隠れているかもしれません。

このように、ユングは無意識のなかに隠れている不健全な“心の暗部”が日常のなかで影響を及してしまうと説いています。
ユングとフロイトの違いは?

ユングとフロイトは、人が行動する時は無意識の力によって決定されるといった「精神分析学」の考え方に共通点があり緊密な関係を結んでいました。

そもそもユングは、精神分析学の創始者のフロイトから教えを受けていたが、考え方に違いが生まれたことでフロイトから離れたと言われています。

ここからは、同じ心理学(無意識)の研究をしていたユングとフロイトの違いについて解説します。

また、心理学の三大巨匠のなかに入る「アドラー」について詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
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無意識に対する解釈の違い

ユングとフロイトの違い1つ目は「無意識」に対する解釈に違いがあることです。

ユングにとっての無意識は、“個人的無意識”と“集合的無意識(人類が普遍的に持つ無意識の領域)”の2つの領域が存在すると言います。

一方フロイトにとっての無意識は、“個人の持つ領域”だけだと言います。

このように、ユングとフロイトは無意識に対する考え方が異なっています。
■ ユング
・意識と無意識は互いを補っている関係。
・無意識には意識とは正反対の別の自分が隠れている。

■ フロイト
・意識と無意識は対立的な関係。
・無意識は過去の記憶や衝動を入れる領域。
リビドーに対する考えの違い

ユングとフロイトの違い2つ目は、リビドーに対する考えに違いがあることです。

リビドーとは、精神分析学で用いられる用語で簡単に言えば「性欲」の衝動を生む本能的なエネルギーのことを指しています。

ユングはリビドーを“一般的な生命の一部”として使用しているが、フロイトは“人間の行動エネルギーの動機は、すべてリビドーから来ている”と説いています。

例えば、恋愛のパートナーを選ぶ際にユングは「人間は性生活も重要視しているが価値観や話し方、経済面も含めて選ぶ」、フロイトは「人間は性生活の観点のみで選んでいる」と言います。

このように、精神分析を行う時に”性”に対する考え方、重点の置き方に違いがあります。
■ ユング
・『性』は生きていくうえでの1部に過ぎない。
・ポジティブなもの。

■ フロイト
・リビドーは、ただの性的なものに過ぎない。
・ネガティブなもの。
診療者・治療のやり方の違い

ユングとフロイトの違い2つ目は、診療・治療のやり方の違いがあることです。

同じ精神分析学を研究していましたが、診療していた患者に違いがあったと言われています。

ユングは主に“統合失調症”を患っている患者を診療していました。一方フロイトは、“神経症患者”を多く診療していました。

それによって、2人の治療のやり方に大きな違いが生まれました。
ユング「夢分析」、フロイト「自由連想法」

フロイトも夢分析を用いて治療を行なってはいたが基本的には「自由連想法」を好んでいたといいます。

ユングが用いていた「夢分析」とは、日ごろ眠っている時に見た夢を語ってもらい分析していく方法のことです。

ユングにとって、夢分析は“無意識”の領域にある情報を把握することができ、患者が「何を考え」「どんなことを伝えたいのか」が把握できると言います。

フロイトが用いていた「自由連想法」とは、無意識の領域を把握するために、心に浮かんだ感情や事柄を言葉にするように促す技法のことです。
■ ユング
・夢こそが未知なものを伝えてくれる。

■ フロイト
・夢はただの願望充足である。
まとめ

ユング心理学は、「集合的無意識」といった新しい概念を生み出し、“無意識”の領域を明らかにしています。

人間の無意識こそが、意識や心を分析するためには重要な要素だと提唱し、「意識」と「無意識」のバランスが崩れた際に、精神疾患を生じると考えています。

フロイト・ユングともに心理学を追求していたが、意見が分かれたことで独自の異なる理論を提唱し治療に役立てています。

こうした研究結果をもっと自社のビジネスに活かして売上を上げたり、チームでよりよい結果を残すための学びを一緒にしませんか?』

NYとハリウッドで80年代に心理学応用の演技コーチを開拓したサンドラ・シーキャット氏が86歳で死去。

NYとハリウッドで80年代に心理学応用の演技コーチを開拓したサンドラ・シーキャット氏が86歳で死去。
https://st2019.site/?p=20803

『Peter McLaren-Kennedy 記者による2023-1-20記事「Hollywood legends Johnny Depp and Michelle Pfeiffer acting coach dies」。

  NYとハリウッドで80年代に心理学応用の演技コーチを開拓したサンドラ・シーキャット氏が86歳で死去。老衰。

 ユング心理学にヒントを得た「ドリーム・メソッド/ドリーム・ワーク」を唱えた。役者各人のそれまでの人生、および夢を、感情表出のための助燃剤とする技法。

 マーロン・ブランドー、ロバート・デニーロ、ジョニー・デップ、ニコラス・ケイジらがこのメソッドの世話になってきたという。』

イスラエルのIAI社が、…X翼の自爆ドローンを開発した。

イスラエルのIAI社が、…X翼の自爆ドローンを開発した。
https://st2019.site/?p=20803

『Emma Helfrich 記者による2023-1-19記事「Israeli X-Wing-Looking Loitering Munition To Be Tested By U.S. Special Ops」。

 イスラエルのIAI社が、兵隊が手持ちした状態から、クォッドコプターと同様の仕組みで垂直に浮上させておいて、そこから空中にて水平飛行に遷移してそのままATGMとなる、X翼の自爆ドローンを開発した。出来がいいので米特殊部隊でテストしているところ。商品名は「ポイントブランク」という。

 ポイントブランクは、垂直着陸による回収も簡単にできるので、弾頭部を偵察キットに交換することで、繰り返し飛ばしてやれる偵察機となる。

 上昇限度は1500フィート。滞空18分。最高速力178マイル/時。

 西側のロイタリングミュニションには「アボート・オプション」がついていないと、売り物にならない。急降下して行く途中で、標的の車両に民間人が乗っているのが見えたような場合、無線指令によって、その攻撃を中断させて呼び戻すことができないといけないのだ。これは製品価格を大きく押し上げるが、しかたがない。

 ポイントブランクは、2kgの弾頭重量を運ぶ機体として開発された。これには「近接信管」も用意される。』

ポーランドのCPK=ソリダリティ・トランスポート・ハブは、UZ=ウクライナ国鉄と、合意文書に署名した。

ポーランドのCPK=ソリダリティ・トランスポート・ハブは、UZ=ウクライナ国鉄と、合意文書に署名した。
https://st2019.site/?p=20803

『Robert Preston 記者による2023-1-19記事「Cooperation agreement signed for Poland ? Ukraine high-speed line」。

 ポーランドのCPK=ソリダリティ・トランスポート・ハブは、UZ=ウクライナ国鉄と、合意文書に署名した。1435ミリの標準軌の高速鉄道を、ワルシャワ~リヴィウ間に建設することで。18日。

 この件についてはワルシャワで合議が重ねられていた。

 ワルシャワ郊外の新空港に接続している「ワルシャワ~ルブリン」新線を、ウクライナまで延長する。
 列車の最高時速は250km/時になるであろう。

 1-18には、ウクライナとルーマニアの鉄道も1本、直結した。ただしこちらは1520ミリ軌間である。ラキウ駅から、ヴァレ・ヴィセウルイ駅まで。15年間、廃線だったのを、改築した。もっか、1日2列車が走っている。※写真を見ると単線だ。』

米軍の南方コマンド(中南米担当)は、ラ米の6ヵ国に対して、それぞれ手持ちの旧ソ連系の兵器・弾薬を…。

米軍の南方コマンド(中南米担当)は、ラ米の6ヵ国に対して、それぞれ手持ちの旧ソ連系の兵器・弾薬を…。
https://st2019.site/?p=20803

『2023-1-20記事「US urges Latin American countries to supply arms to Ukraine」。
   米軍の南方コマンド(中南米担当)は、ラ米の6ヵ国に対して、それぞれ手持ちの旧ソ連系の兵器・弾薬をウクライナへ供与するように呼びかけている。供与した分は、米国製の兵器で穴埋めしてやるから、と。

 たとえばペルーの持っている「ミル17」ヘリコプター。
 他に、メキシコ、アルゼンチン、コロムビアも。
 ブラジルは「ミル35」ヘリコプターを持っている(AH-2と改称している)。』

ホンモノの海外戦争に戦車部隊を率いて作戦させた経験のある将兵/元将兵は今日、米国内には、すくない。

ホンモノの海外戦争に戦車部隊を率いて作戦させた経験のある将兵/元将兵は今日、米国内には、すくない。
https://st2019.site/?p=20803

『Daniel Davis 記者による20223-1-20記事「Giving Ukraine Modern NATO Weapons Is No Game Changer」。

   ホンモノの海外戦争に戦車部隊を率いて作戦させた経験のある将兵/元将兵は今日、米国内には、すくない。
 そのため、ビデオゲームの皮相的な知識だけで戦場を想像している者ばかりだ。

 戦車(のみならず装甲車、野砲、SAM、戦闘機)を、戦場で機能させるのは、簡単なことじゃない。それがカタログスペックを裏切らぬパフォーマンスをちゃんと示してくれるのは、次の条件が前提だ。
 ユーザーがその用法について十全に訓練されていて、経験もあること。
 燃料と弾薬が最前線まで絶え間なく推進補給され続けること。
 整備が正しく行なわれていること。また日常的に整備が行なわれていること。

 乗員各個人、戦車小隊(3~4両)、戦車中隊(3~4個小隊)、戦車大隊のすべてのレベルで、しっかり練成ができていること。

 今のウクライナ軍にこの条件が、あるわけがないのである。
 そこに高性能なオモチャだけを送り込んでも、すぐにスクラップになるだけ。ゲームチェンジャーにはなり得ないと思って可い。』