米国、世界で中国の監視強化 外交戦へ国務省・CIA両輪

米国、世界で中国の監視強化 外交戦へ国務省・CIA両輪
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『バイデン米政権は「唯一の競争相手」とみなす中国との外交戦に総力を結集するため、世界で中国の動向を追跡・監視する機能の強化を急いでいる。国務省と中央情報局(CIA)の組織を改革し、国内外の人材や資源を集中投入できる体制をめざす。

「中国が突きつける挑戦の規模と範囲は米国外交が経験したことのない試練をもたらすだろう」。かねて対中競争に備えて米外交を「現代化」する必要を訴えてきたブリンケン国務長官は2…

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
ひとこと解説

これこそ新冷戦である。これまでの10年間、米中の相互信頼は完全に崩れてしまった。むろん、中国は大国であり、制裁に屈することはない。2022年12月、中国の外交部長は交替し、駐米大使秦剛が外交部長に就任。同氏はアメリカとの関係改善に意欲を示しているが、信用が崩れるのは一瞬で、再建するには何十年もかかる。とくに価値観を共有できない両大国は国益を巡って対立している。5年ないし10年後の両国関係を展望すれば、勝負がみえてくるのでは
2023年1月18日 7:31 (2023年1月18日 7:37更新)
関連トピック』

『バイデン米政権は「唯一の競争相手」とみなす中国との外交戦に総力を結集するため、世界で中国の動向を追跡・監視する機能の強化を急いでいる。国務省と中央情報局(CIA)の組織を改革し、国内外の人材や資源を集中投入できる体制をめざす。

「中国が突きつける挑戦の規模と範囲は米国外交が経験したことのない試練をもたらすだろう」。かねて対中競争に備えて米外交を「現代化」する必要を訴えてきたブリンケン国務長官は2月5~6日に中国を訪問する計画を詰めている。

バイデン政権は、中国について国際秩序を再構築する意図とそれを実現する経済力、外交力、軍事力、技術力を併せ持つ唯一の国とみなす。誤解や誤算による衝突が起きないよう競争を管理する考えを示しつつも、先端半導体の輸出規制など中国の競争力をそぐ手を緩めるつもりはない。

今後10年をカギとみる対中競争に総力を挙げるため、バイデン政権は中国に的を絞った外交展開と情報収集への体制強化を急いでいる。両輪は国務省とCIAだ。

国務省は2022年末、ブリンケン長官が主導して「チャイナ・ハウス(正式名称、中国調整室)」を創設した。シャーマン国務副長官とクリテンブリンク国務次官補(東アジア・太平洋担当)が直接指揮する。国家安全保障会議(NSC)の中国・台湾担当チームや米連邦議会とも連携し、外交、安全保障、経済を網羅した戦略の司令塔となる。

従来は東アジア・太平洋局内の約20人の「チャイナ・デスク」が中国とモンゴルを担当していた。「ハウス」は中国に特化し、国防総省や財務省、商務省といった国務省以外の専門人材も受け入れ、まず60~70人の陣容に拡充する。

特に世界中の在外公館にいる中国専門家も「ハウス」の傘下に置くのが特徴だ。国務省は「ハウス」創設の前から「地域別中国担当者(RCO)プログラム」と称し、世界各地に中国専門家を「監視役」として派遣してきた。中国がアフリカや中南米、東欧など各地で対外プロパガンダを強化していることへの警戒感が背景にある。』

『中国共産党は党員に加え、党外の知識人やメディアなど様々な勢力を巻き込んで協力態勢を敷き、敵を孤立させる「統一戦線工作」を重視し、習近平(シー・ジンピン)指導部はその海外展開に注力してきた。米国務省の「ハウス」は世界各地での中国の動向を組織的に追跡し、政権の戦略策定に効果的につなげることをめざす。』

『もう一つの柱がバーンズ長官の率いるCIAだ。21年秋に人材や情報、技術、資金を重点投入する「中国ミッションセンター(CMC)」を立ち上げた。実は米国の対中情報網は10年ごろに「壊滅的打撃を受けた」(元米情報機関職員)。元工作員が中国に情報を売り渡し、中国国内のCIA協力者が中国当局に芋づる式に排除されたためだ。

中国との競争は国境を越え、サイバー空間にも広がる。CIAは対中情報網の再建策の一環として従来の東アジア・太平洋地域の担当の一部ではなく、「中国問題の最前線」(バーンズ長官)となるCMCを発足させ、資源や技術を集中投下できるようにした。

対中外交は気候変動への対応やサプライチェーン(供給網)の再構築といった多国間にまたがる関係も左右する。スパイ活動に目を光らせる司法省、経済制裁を担う財務省など、各省庁の枠を超えた連携も欠かせない。人権、自由、民主主義といった価値観にかかわる情報発信を含め、バイデン政権は対中競争に総力戦で臨む。』