英紙から見た日本の防衛強化計画、子供が思いついたことを羅列しただけ

英紙から見た日本の防衛強化計画、子供が思いついたことを羅列しただけ
https://grandfleet.info/european-region/japans-defense-strengthening-plan-seen-from-the-british-newspaper-just-listing-what-a-child-came-up-with/

『Times紙は海上自衛隊元海将の発言を引用して「日本の防衛強化計画は子供が思いついたことを羅列しただけのように見える。国防戦略上の必要性を判断する前に予算を配分すれば非効率な意思決定の誤りを招く」と報じている。

参考:Japan begins to throw off its pacifist shackles

物理的な防衛力強化も重要だが、政治家も軍事力によって裏打ちされた外交力の扱いに慣れなければならない

英国を訪問した岸田首相は11日、両国が互いの国に訓練目的で自衛隊や英軍を派遣する際の手続き簡素化など定めた円滑化協定(RAA)に署名、スナク首相は「日英の軍事協力において決定的な一歩だ」と日経新聞に寄稿した中で述べたが、Times紙は岸田政権が昨年末に発表した防衛体制の強化計画について「巨額の財源配分だけで安全保障に染み付いた制限を変えることはできないし、短期間でまとめられた装備調達の数々は必要を精査したとは考えにくく、子供が思いついたことを羅列しただけのように見える」と報じている。
出典:海上自衛隊

Times紙は「日本の安全保障政策がアジア戦略のバランスにどのような変化をもたらすか」というテーマで報じた記事の中で、長い戦争に疲れ果てていた戦後日本にとって平和憲法は宝物であり、冷戦時代において「在日米軍が抑止力を提供し自衛隊がバックアップする」という取り決めは理に適っていたものの中国や北朝鮮の台頭を受けて方針を転換、日本はGDP比2.0%水準まで国防予算を引き上げ、イージス艦、極超音速兵器、巡航ミサイル、無人機などの取得やサイバー防衛能力の拡張などに資金を投資する予定だと紹介。

しかし平和主義からの脱却に積極的な岸田首相が率いる自民党と世論に間には熱量に差があり、依然として多くの日本人は「命の危険を伴う軍事的な役割の拡大」に慎重で「戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を定めた憲法の第9条改正はブレグジットのような激しい対立を引き起こし国を二分するだろう」と指摘、さらに短期間でまとめられた装備調達の数々は必要を精査したとは考えにくく「国防戦略上の必要性を判断する前に予算を配分すれば非効率な意思決定の誤りを招く」と主張している。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Jonathan Sunderman/Released

さらにTimes紙は「まるで日本政府の計画は子供が思いついたことを羅列しただけのように見える。この計画は自衛隊内部で積み上げられた現場の声を反映しているようには見えず、ここ数ヶ月間に繰り広げられたことは『突然あらわれた砂糖の山=GDP比2.0%水準まで国防予算を引き上げるという前提』から少しでも分け前を得ようとする蟻の群れのようだ」という香田元海将の発言を紹介しているのが興味深い。

中国や北朝鮮の脅威に対する防衛力強化は依然から叫ばれていたものの、岸田政権は昨年末に発表した防衛体制の強化計画が「周到に練られたものか」と言われれば「2023年度予算に間に合わせる感が強い」という側面が強く、例えばUCAVの運用経験がないにも関わらず「陸自のAH-64DやAH-1Sを廃止して無人機で置き換える」と発表したのは非常に冒険的で、攻撃ヘリによる火力支援をUCAVに一本化した国は今のところ存在せず、通常ならUCAVを試験導入して「攻撃ヘリの役割を代行できるか」を精査したのちに発表するべき内容だ。

出典:GA-ASI MQ-9

まぁ岸田政権の防衛強化計画は他国と同じで「ロシア軍によるウクライナ侵攻による安全保障環境の激変」がトリガーになっており、時間をかけて計画の細部まで周到に精査するのが正解かというと違う気もするので判断が難しいが、Times紙の記事はもっと踏み込んだことも書いている(多分ありのまま書くとアレがアレ)ので興味のある方は原文を読んで見てほしい。

因み米メディアは「攻撃兵器を運用する専門的な能力が日本には欠けている」と過去に指摘したこともある。

出典:首相官邸

攻撃能力による戦争抑止は政治力、外交力、軍事力の3つで構成されているため「自衛隊に専門的な能力が欠けている」という話ではなく、日本の政治と外交は何十年も攻撃能力を扱ってこなかったため「扱い方を一歩間違えれば逆に地域の安定を損なうだけ」とThe National Interest紙は指摘しており、物理的な防衛力強化も重要だが「政治家も軍事力によって裏打ちされた外交力の扱いに慣れなければならない」という意味だ。

関連記事:日本、米巡航ミサイルを調達する前提の敵基地攻撃議論は危険か
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 ※アイキャッチ画像の出典:首相官邸
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投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 65 』