中国、不動産支援に転換 「3つのレッドライン」緩和

中国、不動産支援に転換 「3つのレッドライン」緩和
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM132JG0T10C23A1000000/

『【上海=土居倫之】中国政府は不動産企業への資金調達制限などを緩め、支援政策に転換する。大手に対して定めた財務指針「3つのレッドライン」を緩和する。同指針は企業の資金繰りを悪化させ、住宅市況失速の要因となっていた。業界再編に向けた資金計画も支援する。3期目に入った習近平(シー・ジンピン)指導部は構造改革より安定成長を重視する姿勢を鮮明にする。

13日に記者会見した中国人民銀行(中央銀行)金融市場局…

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『13日に記者会見した中国人民銀行(中央銀行)金融市場局の鄒瀾局長が明らかにした。政府の関係部門が優良不動産会社に関して「貸借対照表(バランスシート)改善行動計画」を策定。負債額に厳しい上限を設けるなどした財務指針「3つのレッドライン」の数値目標を主要30社を対象に緩和する。』

『対象は、経営規模が大きく、広範囲で営業するなど「一定の制度的な重要性を持つ優良企業に絞る」(鄒局長)という。新たな数値目標の水準などは明らかにしていないが、負債比率基準などを緩和するとみられる。』

『同指針は将来の金融危機を防ぐことを目的に、20年夏に人民銀などが中心となって策定した。

具体的には①総資産に対する負債(前受け金を除く)の比率が70%以下②自己資本に対する負債比率が100%以下③短期負債を上回る現金を保有していること――を求めた。不動産会社は守れなかった指針の数に応じて4段階に分類され、銀行からの借り入れ規模などが制限される。

これによって銀行が不動産融資を相次いで縮小、貸し渋りに直面した不動産大手の中国恒大集団などが、経営危機に陥る主因となった。』

『中国国営の新華社によると、同計画では、1000億元の賃貸住宅向け融資やM&A(合併・買収)による業界再編を加速するために設立する金融資産管理会社向け資金計画、不動産会社のバランスシート改善のため株式調達なども支援する。

中国政府は、共産党大会後の22年11月に不動産市場に対する包括的な金融支援策をまとめ、従来の厳しい不動産政策を調整していた。銀行にマンション開発資金の融資期間を1年延長するよう促したほか、地方政府に住宅ローン金利の下限引き下げを求めた。

中国は大都市を含めて住宅購入の需要が伸び悩む。22年11月の主要70都市の新築住宅価格は、前月比で7割超で価格が下落した。中国の不動産業は関連産業を含めると、国内総生産(GDP)の3割を占めるとの試算がある。

住宅不況の長期化は、経済成長だけでなく地方財政や金融システムにも悪影響を与えている。昨年夏には、不動産会社の建設資金不払いで工事が中断、物件引き渡しのめどがたたないことに不満を強める住宅購入者のローン支払い拒否が続出していた。

不動産政策の緩和は、中国経済の課題となっている債務問題の解決を先送りすることにつながりかねない。国際決済銀行(BIS)によると、経済規模と比べた中国の債務残高の比率は295%と昨年6月末に過去最高を更新した。

人口減少社会を迎えるなかで、中長期的な住宅需要の先細りが確実視されており、不動産支援への転換が住宅市場の回復にどこまで奏功するかは不透明な面もある。』

『習指導部は党大会後、経済・社会の安定重視を明確にしている。不動産と並ぶ経済統制の象徴だった巨大IT(情報技術)企業の締め付けも転機を迎えている。

市場監督部門を訪れた李克強(リー・クォーチャン)首相は9日、プラットフォーマーと呼ばれるIT大手に対して「雇用と消費の促進、イノベーション(技術革新)の創出などの作用を発揮してもらうため、健全で持続的な発展を支援する」と述べた。

IT大手を巡っては、中国の金融会社アント・グループが7日、アリババ集団の創業者、馬雲(ジャック・マー)氏が、経営権を持つ実質支配株主から外れる企業統治(コーポレートガバナンス)体制の刷新を発表。中国の金融監督トップ、郭樹清氏がIT大手の金融業務について「基本的に是正が完了した」との見解を示していた。』