ドイツのランブレヒト国防相が来週中にも辞任か、ウクライナ支援で功績

ドイツのランブレヒト国防相が来週中にも辞任か、ウクライナ支援で功績
https://grandfleet.info/european-region/germanys-defense-minister-lambrecht-may-resign-next-week-after-helping-ukraine/

『残念な新年の挨拶動画で批判にされていたランブレヒト国防相について「来週にも辞任を発表する」と複数の独メディアが報じている。因みに同氏は在任期間中、米国に次ぐ約21億ドルものウクライナ向け軍事支援を成立させた。

参考:Pannen-Ministerin will hinschmeißen
参考:Lambrecht will offenbar zurücktreten

ランブレヒト国防相は在任期間中、欧州諸国の中で最大となる約21億ドル(国家単位で見れば米国に次ぐ規模)もの軍事支援を成立させている

ランブレヒト氏はウクライナ侵攻が危惧されていた2021年12月に国防相に起用されたが、就任直後から「ロシアを刺激したくないショルツ政権の方針」と「ロシア軍の侵攻リスクに晒されるウクライナ支援」との間で板挟みになり、武器を要求されたウクライナにヘルメット(5,000個)のみを提供したためキエフ市長「次は枕でも送ってくるのか?」と批判され、独海軍のシェーンバッハ総監が「クリミア半島は二度と戻ってこない」と発言してしまいウクライナを怒らせてしまう。

出典:Steffen Hebestreit

流石にロシア軍の侵攻が始まるとドイツも武器供与に乗り出したが、ショルツ政権が複雑で手間がかかる「旧ソ連製装備をもつ国との装備交換」に拘ったため、ランブレヒト国防相は対外的に苦しい立場に追い込まれたが、これは彼女が直面した苦難の序章に過ぎない。

ランブレヒト国防相は「安全保障やNATOの義務を果たすのに支障が出る」という反対を押し切って陸軍備蓄からPzH2000×14輌、MLRS×5輌、IRIS-TSL×4基、ゲパルト×36輌、偵察用ドローン×26機、マルダー×40輌、パトリオット×1基、155mm砲弾×1.8万発、40mmグレネード弾×6万発、パンツァーファウスト3×3,000発、対戦車地雷×14,900個、スティンガー×500発、ストレラ2×2,700発、拳銃用弾薬×2,200万発、手榴弾×1万個などをウクライナに提供したが、今度はドイツ軍の弾薬備蓄量が危機的なレベルまで低下していることが問題化。

出典:Hans-Hermann Bühling / CC BY-SA 3.0

直ちにランブレヒト国防相は「弾薬を購入するための資金を供給してほしい」と財務省に要請したが、リンドナー財務相に「過去数ヶ月の予算審議でランブレヒト国防相は追加弾薬の必要性に一切言及していなかった」と、連立を組む緑の党からも「なぜ侵攻直後から弾薬補充に取り組まなかったのか」と指摘されてしまい、ウクライナ支援で備蓄量が減ったのに「弾薬補充を蔑ろにしていた」と批判されてしまう。

さらにドイツ連邦軍の極秘報告書がメディアに流出し「リトアニアに派遣した戦闘旅団は砲兵装備なしで派遣され、海軍は国連やEUの海上ミッションに派遣する艦艇の用意が間に合うか微妙な状況で、空軍は旧式のレーダー、無線機、ソフトウェアが足を引っ張り2023年以降の領空保護が提供できるかも怪しい」と暴露され、ドイツ連邦軍のフォン・バトラー司令官も「演習に参加したプーマ歩兵戦闘車が全部故障した」と訴えていたことも発覚。

出典:Dirk Vorderstraße/CC BY 2.0

結局、大金を投じて導入したプーマ歩兵戦闘車の信頼性に疑問が生じたためランブレヒト国防相は「マルダー歩兵戦闘車でNATO派遣に参加する」と苦渋の決断を下すことになったが、国防相が慣例的に行っている新年の挨拶で「花火や爆竹が鳴り響きく中でウクライナ侵攻について語る」という無神経さを発揮、「政治的なコミュニケーションには政治的なセンスが求められるが彼女の動画はそれが欠落している」「耐え難いほどの無神経な動画」「無粋極まりない」「狂気の動画で風刺なら何をしても許されるのか?」など批判が殺到。

要するに新年を祝う花火や爆竹が鳴り響く中で「欧州の真ん中で戦争が起きている」と真剣に語っても「本物の戦争に晒されているウクライナを馬鹿にしているようにしか見えない」という意味で、野党のドイツキリスト教民主同盟は「爆竹の爆発音を背景にした戦争に関する彼女の演説は、昨年に見せた一連の恥ずべき行為を締めくくるものだ。首相が彼女に執着すればするほど我が国の信用は傷つき、その責任を首相は問われることになるだろう。彼女の挨拶を見て『ドイツが真剣に欧州の安全保障を考えている』と誰が思うだろうか?」と声明を発表。

世論の批判を受けて国防省の報道官も「この挨拶は大臣が自身の機器を使用して撮影したもので国防省の機器は一切使用されていない」と主張、さらに「あの挨拶はロシア軍と戦うウクライナに配慮したと言えるのか?」という記者の質問に「彼女が映像中に述べたことが全てでそれ自体に我々がコメントすることはない」と答え、ランブレヒト国防相が個人的に撮影したもので「国防省とは関係ない」と突き放してしてしまう。

ドイツ社会民主党や緑の党と連立を組む自由民主党のツィンマーマン国防委員長も「問題の動画は彼女と撮影担当者の問題だ」と距離を置いた上で、個人的には動画の内容を残念に思っていると遠回しに批判しており、国内ではランブレヒト国防相の辞任を要求する声が高まっていたが、複数の独メディアは「来週にもランブレヒト国防相が辞任を発表する」と報じている。

出典:Bundeswehr/Maximilian Schulz

恐らく新年の挨拶動画がランブレヒト国防相に止めを刺した可能性が高く、後任には元国防委員長のエヴァ・ヘーグル氏が有力視されているらしい。

因みにランブレヒト国防相は在任期間中、欧州諸国の中で最大となる約21億ドル(国家単位で見れば米国に次ぐ規模)もの軍事支援を成立させているので、現在のウクライナ軍を支えたという点だけは評価されるべきだろう。

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 ※アイキャッチ画像の出典:NATO
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投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 16  』