死活的に重要な兵器弾薬を受注できる国内企業が、1社しかない、という事態は、まずい。

死活的に重要な兵器弾薬を受注できる国内企業が、1社しかない、という事態は、まずい。
https://st2019.site/?p=20760

『Tim Fernholz 記者による2023-1-4記事「This chart explains why the US is running low on missiles」。

 米国は1600基以上のスティンガーSAMをウクライナに送った。ところが、レイセオン社はこのミサイルの製造を2003年で終らせていた。つまり倉庫から古いストックを渡したのはいいが、その補充は現状、できないのである。レイセオン社は、製造ラインの再立ち上げにはこれから2年以上かかると言っている。

 米国の軍需工業構造の問題は、企業統合が進みすぎてしまっていること。
 1990年代はじめ、米国内には51の主要な軍需企業が存在した。それが今は、たったの5社にまとめられてしまっているのである。この構造が今日の発注と調達の弾撥性を阻害しているのだ。

 企業統合の背景には、冷戦終了による米国防費の急減があった。
 ウィリアム・ペリー国防長官が、軍需工業の社長たちをあつめて「最後の晩餐」を催し、その場で、企業統合を強く勧めた。業界はそれに従ったのである。

 目下、ペンタゴンは、軍需産業の統合には反対する立場に立つ。

 死活的に重要な兵器弾薬を受注できる国内企業が、1社しかない、という事態は、まずい。その企業が「できませんな」と返事したなら、ペンタゴンにはどうにもできない。独占企業の政府に対する立場が、危険なまでに強くなってしまったのだ。

 ジャヴェリンATGMの米国内ストックは、ウクライナへ大量に供給したために、開戦前の三分の二に減っている。これを元のストック量に戻すには、これから何年もかかるという。もしそのあいだに別な大戦争が発生すると……? 祈るしかない。

 じつは、スティンガーとジャヴェリンには、共通部分がある。それはロケット・モーターの材料。製造供給しているメーカーは、「アエロジェット・ロケダイン」社である。そして同社はなんと、NASAのすべての衛星打ち上げロケットのモーター供給者でもある。

 たった1社しかないがゆえに、ここが大ネックとなって、ミサイルやロケットをおいそれと大増産することが、米国内では、不可能になってしまっているのだ。

 ペンタゴンは「反トラスト」に舵を切っている。2022にFTCは、ロックマートがアエロジェットを買収する話を阻止しようとし、ペンタゴンもFTCを支持した。

 西暦2000年には固体ロケットモーターを生産する会社が7社もあったのだが……。
 どうもいまの流れだと「L3ハリス」社がエアロジェットを吸収しそうだ。「L3」という名称がそもそも合併の歴史をあらわしていて、そのひとつのLは「リーマンブラザーズ」だというのは豆知識だ。』