「インド太平洋」対「一帯一路」の戦略地政学と日本の役割 [1]

「インド太平洋」対「一帯一路」の戦略地政学と日本の役割 [1]
https://www.spf.org/iina/articles/yamaguchi_04.html

『2021/10/29 笹川平和財団 客員研究員 山口 昇

はじめに

 日米両国が実現を目指す「自由で開かれたインド太平洋(FOIP: Free and Open Indo-Pacific)」は、成長著しい「アジア」と潜在力溢れる「アフリカ」を繋ぐ「太平洋」と「インド洋」の交わりに生まれるダイナミズムに着目した考え方であり、この地域の発展を通じ新たな地平を切り拓くことが狙いだ。このために ① 法の支配、航行の自由等の基本的価値の普及・定着、② 経済的繁栄の追求、③ 平和と安定の確保を目指す[2]。一方、中国の「一帯一路」もアジアから欧州・アフリカにかけての地域をカバーする広域経済圏構想で、この地域の潜在力と域内に所在する経済を繋ぐことによる効果に着目している[3]。両者が展望する地域には重なりがあり、両者が協力し得る側面を持つ一方、利害が対立する場面もあり得る。また、安全保障上の危険を内包する地域を含んでおり、両者が目指す発展を実現するためには、まず平和と安定が前提となる。日米両国にとって、台頭する中国に向き合っていく上で、この広大な地域の戦略環境を的確に認識することが肝要だ。特に、日本は、自らが「インド太平洋」と「一帯一路」の交わる東北端にあって、両者にとって重要な海域のはじまりとなる東シナ海の戦略的意味を正面から捉え、その安定のためにできることを真剣に考えなければならない。

1.「一帯一路」対「インド太平洋」の戦略地政学

(1) 東シナ海と日本の南西地域の戦略的価値

 日本の南西地域から台湾およびフィリピンにいたる列島線を誰が支配するかという問題は、インド太平洋地域全体の戦略バランスを大きく左右する。第二次世界大戦末期を思い返せば、日本への影響は自明だ。1944年10月、レイテ沖海戦に引き続き、マッカーサー元帥率いる米反攻軍はフィリピンを、翌年4月には沖縄を攻略した。この時点で日本本土は完全に包囲されたと言える。米軍が海上・航空における圧倒的な優勢を確保した後、日本の海上交通は完全に遮断され、経済的に絶望的な状況に陥るだけでなく、軍事的には特攻という非人間的な手段に頼らざるを得ないこととなった。

 考えたくないことだが、南西地域が他者のコントロール下に陥ちれば、大戦末期のように日本が干上がるのは勿論だ。それだけではない。米国やその同盟国にとって、南シナ海からマラッカ海峡を経てインド洋に至る地域での戦略バランスが圧倒的に不利になる。南西地域を支配した側からすれば、西太平洋への進出が自由になるばかりでなく、敵対勢力が東シナ海に入ること、さらには南西地域に接近することすら拒否できる。また、台湾・フィリピンにも甚大な影響が及ぶ。南シナ海への入り口であるバシー海峡の門柱をなす両者、あるいはいずれかが中国の軍事力の影響下に置かれることになれば、南シナ海のバランスは大きく変化する。世界経済の動脈の一つであり、日本にとっては生命線でもある海上交通路を安全に使用することが困難になる。

(2) 南シナ海以西の戦略的な特性

 中国が推進する「一帯一路」構想と日本と米国が主唱する「自由で開かれたインド太平洋」構想が対象とする地理的範囲には重なりがあり、両者の利害が対立し衝突の危険がある地域と、中国との協力が可能かつ望ましい地域とが混在する。特に中国との利害が対立する地域で日本や米国がどう対応するか、という点は、深刻な問題だ。そもそもこの地域に不安定要因が数多く存在することを勘案すれば、局地的な火種が偶発的に中国との衝突にエスカレートする危険性が高いからだ。今世紀初頭、米国防省は中東から朝鮮半島にいたる地域を「不安定の弧」と表現した[4]。アフガニスタンが再びタリバーンの手に落ちた今、この地域が不安定の源となる懸念を払拭することはできない。

 朝鮮半島から東シナ海、南シナ海、インド洋、中央アジア・南アジアを経てアフリカ東岸にいたる地域を個別に見ていくと、それぞれに地政学的・経済的に大きく異なった特性を持っていることが分かる。また、地域ごとに異なったプレイヤーが影響力を行使できる体制にある[5]。東シナ海において中国は日本、米国及び韓国といった経済的・軍事的な大国と対峙しているのに対し、南シナ海では、はるかに国力が小さいASEAN諸国対中国という図式である。特に南シナ海においては、航行の自由を確保する上で域内諸国の能力を構築していくこと、また、英仏といった域外のパートナーの関与を求めることが重要になる。インド洋では、開かれた海洋という秩序を維持する上で米海軍の恒常的なプレゼンスに加え、インド及びオーストラリアの影響力を期待できる。さらに、中央アジア・南アジア以西では、伝統的な意味での軍事的脅威というよりは、破綻国家やテロの温床といった問題が深刻になる。

図:「インド太平洋」対「一帯一路」の戦略地政学図:「インド太平洋」対「一帯一路」の戦略地政学[6]

2.日本の対中政策と南西地域の防衛態勢

 さて、前項で論じた東シナ海が持つ戦略的な意味は、日本が米国とともに中国に向かい合うための方策を考える上で重要な要因となる。一方、東シナ海の現状は予断を許さない。日本が尖閣諸島の所有権を国に移管した2012年以来、日中両国は高いレベルでの緊張関係にあるからだ。以来、日本が領有し、施政権を行使している尖閣諸島周辺の領海に中国公船が侵入する事態が常態化している。最近の6ヶ月を見ても、海警局所属の船が接続水域に入らない日はほぼ皆無であり、月平均で4日、述べ11隻が領海内に侵入している[7]。
(1) 日本の対中政策の特徴

 このような緊迫感がある中で、安倍政権以降の対中政策は是々非々、両国間の緊張緩和を目指しつつ、協力関係を築くことができる分野を模索するとともに、安全保障や人権にかかる問題について主張が対立する分野では、妥協しないという姿勢を貫いてきたように見える。主張すべきことは主張し、守るべきものは守ることを明らかにしていくという姿勢だ。安倍首相は、2019年12月に中国で行われた日中首脳会談に臨むにあたって「中国には言うべきことは言ったほうがいい」と周辺に漏らしたという[8]。実際、首脳会談では、習主席の国賓訪日や「日中新時代」にふさわしい日中関係の構築に言及する一方、① 現下の緊張がエスカレートすること防止するために「防衛当局間の海空連絡メカニズム」などに基づく具体的な取り組みを進めること及び 「防衛・海上法執行機関の交流」を促進すること等について確認するとともに、② 「尖閣諸島周辺地域を含む東シナ海の問題」について中国側の対応を強く求めた上で、③ 香港情勢に関する「自制」や新疆ウイグル自治区の人権状況についての「透明性を持った説明」を求めた[9]。

(2) 南西地域防衛態勢の強化

 本稿冒頭で、東シナ海と日本の南西地域の戦略的価値を論じた。次に考えなければならないのは、南西地域の海空域における優勢を確保し、域内の島嶼を防衛するための方策である。自衛隊が近年進めてきた南西地域防衛態勢の強化は、この問題に対する答えの方向を示唆している。

 南西地域の防衛態勢強化が始まったのは、わずか十年ほど前のことだ。2011年版『防衛白書』によれば、当時、南西地域に配備されていた主要部隊は、陸上自衛隊の第15旅団、海上自衛隊の第5航空群、航空自衛隊の南西混成航空団であり、いずれも沖縄本島に所在する。沖縄本島以外では、沖永良部島、久米島及び宮古島に航空自衛隊のレーダーサイトが配置されているに過ぎなかった[10]。南西諸島は、九州南方から台湾の間約1200キロの広大な海域にあり、これは青森県から山口県までの本州とほぼ同じ地理的広がりに相当する。東日本大震災に際しては、岩手、宮城、福島の三県に自衛隊全体の約半分に相当する10万7千人が展開した。これらのことを考えると前述の部隊配置はあまりにも希薄と言える。第二次安倍政権は、誕生以来一貫して南西地域の防衛態勢を強化することを喫緊の課題と受け止め、装備の近代化と島嶼への部隊配備強化を図ってきた。
[島嶼防衛のための装備近代化]

 この広大な海域とそこに所在する島嶼を効率的に防衛するための装備近代化は、2018年に策定された「防衛計画の大綱」の中心的施策の一つだ。侵攻勢力の対空ミサイルの射程外を飛行する戦闘機から艦船などを攻撃できる空対艦・地スタンドオフ・ミサイルの導入、陸上自衛隊が保有している地対艦ミサイルの改善、島嶼防衛用高速滑空弾及び極超音速誘導弾の研究開発などがこれにあたる。戦闘機搭載のスタンドオフ・ミサイルについては数機種を海外から導入する計画で、射程は約300キロから800キロ以上のものを含む模様だ。また、2018年に、ステルス性の高いF-35の取得数を42機から147機に増やしたことも心強い。さらに、その内最大42機を短距離離陸・垂直着陸能力を持つF-35Bとし、出雲型護衛艦を改修した小型空母に搭載する計画は、列島線における航空防衛力に大きな柔軟性を持たせる効果がある。

 長射程ミサイルの導入に際して、敵地攻撃が話題になるが、射程の長さは前線から奥深い目標を攻撃できるということ以外にも大きな効用がある。南西諸島の主要島嶼間にある海峡の幅が150-250キロであることを考えれば、300キロのミサイルをいずれかの島に配備すれば隣接する海峡は射程下に入る。また、戦闘機が射程800キロのミサイルを搭載すれば、沖縄本島上空から種子島・与那国島にいたる全海域を火力でカバーできる。つまり、広大な南西地域を小規模な部隊で防衛する場合には、長い槍を横方向に向けることで作戦の効率があがるということだ。

[島嶼への部隊配備強化]

 第二に、この地域での自衛隊の部隊配備が、近年目覚ましく強化されていることは心強い。2016年に与那国島で陸上自衛隊の沿岸監視部隊が新編されたのに続き、2019年には奄美大島及び宮古島に新たな陸自部隊を配置、本年春には石垣島での部隊新編が決定された[11]。奄美大島、宮古島、石垣島に配置される部隊は、いずれも普通科(歩兵)中隊規模の警備隊、地対空ミサイル部隊及び地対艦ミサイル部隊が中心となり、それぞれの規模は500-700人ほどと報道されている[12]。

 これら3島に配備される部隊の編成には、大きな意味がある。沖縄本島を加えれば南西諸島の要地に約150-300キロの間隔で地対空ミサイルと地対艦ミサイルが配置されることになるからだ。例えば、宮古島と石垣島に配置された部隊は、両島を中心とする百数十キロの海域に接近する艦艇や数十キロの空域に接近する航空機を射程内に収める。これによって局地的な対空・対海上火力の網を構成すれば、その周辺で活動する自衛隊の航空機や艦船の活動と相まって、地域的な海上・航空優勢を巡る戦いの一翼を担うことができる。陸上防衛力は、これまで、海上・航空防衛力による防衛網をかいくぐって本土に届く脅威に対抗する最後の砦として扱われてきた。こと南西地域に限って言えば、島嶼に配置された陸上防衛力は、海上・航空優勢を巡る戦いの先駆けとして機能すると考えるべきだ。

3.米軍の態勢と日米陸上軍種の役割分担

(1) 米陸軍・海兵隊の太平洋指向

 近年、米陸軍及び海兵隊の関心が東アジアに移りつつある。本年7月、米陸軍は地対空誘導弾パトリオット部隊を奄美大島に展開して陸自の地対空ミサイルである中SAMを装備する部隊と共同訓練を行った。陸自と米陸軍が例年行っている共同訓練「オリエント・シールド(Orient Shield)」の一環としてのことだった。陸自は兵庫県青野ヶ原から、米陸軍は沖縄本島から防空部隊を奄美大島に展開した[13]。本演習では、別に、米本土から陸軍の高機動ロケット砲システム(HIMARS; High Mobility Artillery Rocket System)が北海道の矢薄別演習場に展開し、陸上自衛隊の多連装ロケット(MLRS: Multiple Launch Rocket System)とともに実弾射撃訓練を行った。HIMARSは、MLRSより軽量で島嶼への展開に必要な機動性に優れている他、対艦攻撃能力を有しており、南西地域の島嶼への展開に最適なシステムだ。米陸軍は、西太平洋地域での島嶼での作戦や沿岸部からの対艦戦闘能力に関心を高めている。今回防空部隊を奄美大島に展開し、また、HIMARSを共同訓練に参加させたのは、その証左と考えることができる。

 海兵隊も、日本国内あるいは周辺で作戦することの蓋然性を高く見ている節がある。本年4月、沖縄の海兵隊は、日本語を使用して訓練を行う様子をメディアに公開した[14]。次項で説明する海兵隊の作戦構想転換は、海兵隊が南西地域からフィリピンに至る列島線の中で海軍の作戦を支援するために先駆けとして行動することを求めており、そのためには自ずと南西地域の島嶼への展開が視野に入る。

(2) 海軍戦略と島嶼における陸上軍種の役割

 本年4月、海兵隊は、『フォース・デザイン2030:年次改訂版(Force Design 2030 Annual Update)』を公表し、ハワイ以西に前方配置されている部隊、すなわち、沖縄に司令部を置く第III海兵遠征軍(III MEF: III Marine Expeditionary Force)を大幅に改編する計画を明らかにした[15]。これは、米海軍の作戦構想が、敵味方の勢力が拮抗する海域(contested area)において部分的に海上優勢を獲得することに焦点を置く方向に変化することへの対応と考えられる。海兵隊は、この新しい考え方を「遠征前進基地作戦(EABO: Expeditionary Advanced Base Operation)と名付けた。

 海兵隊の改編構想では、次の2点が核となる。

 第一に、西太平洋、特に中国大陸に近い海域においては、圧倒的な海上優勢を獲得した後に海兵隊が大規模な強襲上陸作戦を行うといった状況は考え難い。中国の海空軍と勢力が拮抗する中、海兵隊と共同して局地的な海上優勢を獲得し、相手の海軍力を漸減していくことを狙いとするのが現実的だ。いわば大規模な兵力を集中する強襲上陸作戦構想から脱却し、分散した作戦を機敏に遂行する方向に向かうということだ。

 第二に、このような作戦に適した編成に移行する。これまで歩兵もしくは砲兵の単一兵種部隊であった海兵連隊のうちまず西太平洋に所在する3個連隊が、混成型の海兵沿岸連隊(MLR: Marine Littoral Regiment)に改編される予定だ。それぞれのMLRは、① 歩兵大隊及び長射程対艦ミサイル中隊を基幹とする沿岸戦闘団(Littoral Combat Team: LCT)を中心とし、② 防空、対空監視警戒、航空管制、航空燃料・弾薬再補給を任務とする沿岸防空大隊(Littoral Anti-Air Battalion)及び③ 兵站大隊(Combat Logistics Battalion)から編成される[16]。MLRは、歩兵の汎用性の高い戦闘能力、対艦攻撃力、展開地域の防空能力を備えることで、柔軟かつ機敏に展開し、開設した施設を防護できる。さらに、飛行場を確保して周辺空域で作戦する航空機の発着を管制し、燃料・弾薬を再補給する施設を開くことも可能だ。2020年に公表された『フォース・デザイン2030:』は、このことを「海において、海から、また、地上から海に対して戦い」、かつ「敵の長射程火力の射程内で作戦し、残存し続ける」と表現する[17]。海兵隊司令部によれば、ハワイに所在する第3海兵連隊(歩兵)が嚆矢となり、2022年までに初期運用態勢を整え、実際の部隊活動などを通じて検証を進めつつ、引き続きIIIMEF隷下の2個連隊を改編する計画だ[18]。

(3) 日米の陸上軍種間における役割分担

 上述の MLRの考え方には、陸自と相通じるものがある。海空戦力による海上・航空優勢獲得のための作戦に陸上から寄与しようとする点と、対艦戦闘力と対空戦闘力とをパッケージにしているという点だ。異なるのは、海兵隊が機敏に機動してその能力を緊急展開することを狙いとしているのに対し、陸自は宮古島や石垣島に平素から位置して守りにつき、後続部隊を待つという点だ。水陸機動団や空挺団は、真っ先に増援する部隊であり、その後には軽量の装備などによって機動力を強化した機動師団・旅団が続く。その間、前方にあって対空・対海上の盾を提供すれば、艦艇や航空機での展開を援護することとなる。
 南西地域が焦点になる場合、米海兵隊のMLRが陸自部隊の間隙を埋め、あるいは、フィリピン方面まで守りの翼を広げることができれば、日米の海空戦力が東シナ海で行動するための援護を提供することになる。さらに、米陸軍のHIMARSがC-130など比較的小型の輸送機で展開できる体制にあれば抑止は万全となり、不要な紛争を防止できる。

結び

 中国との間で、南西地域で海上航空優勢を巡る戦いが起きるようなことになれば、日中両国に致命的な痛手をもたらす。これを防止するためには、相互に相手を圧倒して屈服させる能力には欠けるが、相手に屈服することはない、つまり勝てないが負けることもない手詰まりの状態を維持することが現実的であろう。日本としてできることは、まず、自衛隊が主要な島嶼に部隊を配置して、領域を断固として防衛するという毅然たる姿勢を示すことだ。同時に、米海兵隊や海軍がEABOによっていつでもその周辺に進出でき、米陸軍も来援する可能性があるという、相手にとっての不確実性を維持することも、そのような事態を抑止する上で極めて有益な手段となる。

 本項で論じた自衛隊の能力整備や米軍の作戦構想の転換は、そのような手詰まり状態を作為する上で有効な方向を目指している。自衛隊が射程の長い火力で広大な南西地域をカバーすることを試みていることは好例だが、日本の情報態勢がアキレス腱になることを見逃してはならない。長期にわたって継続的に広範囲を監視して情報を蓄積し、日頃と異なる事象を見逃すことなく探知し、必要であればそれを目標として伝達する能力がなければ長い槍は役に立たない。射撃の効果を判定して、次のアクションを決定するまでのサイクルも不可欠だ。

 MITの日本専門家リチャード・サミュエルズは、近著で今日に至るまでの日本のインテリジェンスの歴史を論じた上で、これからの選択肢として、① 米国との同盟関係を中心とする現状維持、② 自主防衛、③ 中国という勝ち馬に乗ることを挙げ、いずれの場合にも大きなリスクとコストを伴うことを示唆している[19]。日本が、現状維持を選択する場合のコストも小さくはない。米国の能力を補完する上でコスト感度の良い分野・領域に集中して資源を投入して、米国にとっても日本との情報共有が有益であるような環境を作り上げることが肝要になる。ようやく手にした長い槍を無駄にしないため、そのコストを払う覚悟が必要だ。

(2021/10/29)

*この論考は英語でもお読みいただけます。
【Shaping the Pragmatic and Effective Strategy Toward China Project:Working Paper Vol.3】The Geostrategy of BRI vs. FOIP and the Role for Japan

脚注

1 本稿における主張の一部は、下掲、著者による最近の研究成果の一部をアップデートして再掲したものである。米海軍海兵隊の新作戦構想に関しては前者を、我が国防衛態勢の台湾へのインプリケーション及びいわゆる台湾有事の我が国に対する影響については後者を参照されたい。

山口昇「米海兵隊の作戦構想転換と日本の南西地域防衛」(2021/8/2)、笹川平和財団 国際情報ネットワーク分析IINA。; Noboru Yamaguchi, “Japan’s New Security Posture and Its Implications for Taiwan,” Asan Forum (April – June 2021, Vol 9, No. 2) September 24, 2021.

2 外務省「日米首脳ワーキングランチ及び日米首脳会談」2017年11月6日。
3 「一帯一路とは中国と欧州つなぐ広域経済圏構想」日経新聞2021年2月7日。
4 US DoD, Quadrennial Defense Review Report 2001, p. 4.
5 山口昇「提言1-3 日本はインド太平洋地域内の各地域の特性に応じた地域戦略を構築すべきだ」笹川平和財団安全保障研究グループ『積極的平和主義実現のための提言II』(2020年2月)、6-11頁。
6 米国防省が中国の接近阻止・地域拒否構想を説明するために公表したもの“First and Second Island Chains. PRC military theorists conceive of two “chains” as forming a geographic basis for China’s maritime defense perimeter.” をベースに筆者作成。
7 海上保安庁「尖閣諸島周辺海域における中国海警局に所属する船舶等の動向と我が国の対処」。
8 ANN News 「日中首脳会談始まる”l尖閣””香港”で対応要請へ(19/12/23)
9 外務省「習近平・国家主席との日中首脳会談・夕食会」2019年12月23日。
10 防衛省『防衛白書2011年版』、「主要部隊などの所在地(平成22年度末現在)」。
11 「石垣島陸自配備 隊庁舎建設、新年度に着手 宿舎の用地取得も進む」『八重山日報』2021年3月17日。
12 稲葉義泰「なぜ島に駐屯地を作るの? 奄美、宮古、石垣…進む陸自の南西諸島配備 その現状と意義」『乗りものニュース』2019年4月10日。
13 「日米、中露にらみ新戦術:陸自と最大規模の共同訓練」『産経新聞』2021年6月30日。
14 「米海兵隊、日本語で初訓練」『共同通信』2021年7月15日。
15 U.S. Marine Corps Headquarters, “Force Design 2030 Annual Update (April 2021).”
16 Marine Corps Head Quarters, “Marine Littoral Regiment (MLR),” August 2, 2021.
17 Marine Corps Headquarters, “Force Design 2030 (March 2020).”
18 Marine Corps Head Quarters, “Marine Littoral Regiment (MLR),” August 2, 2021.
19 リチャード・J・サミュエルズ著、小谷賢訳『特務:日本のインテリジェンス・コミュニティの歴史』日本経済新聞出版、2020年、402-409頁。』