[FT]中国ゼロコロナ緩和失策、旧正月で拡大も(社説)

[FT]中国ゼロコロナ緩和失策、旧正月で拡大も(社説)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB2214F0S2A221C2000000/

 ※ パブロンや葛根湯を飲んだところで、症状が緩和されるだけで、何らの「ウイルス対策」になるものでも無い…。

 ※ 水際対策、しっかりやってくれ…。

『中国政府が「ゼロコロナ」からの出口政策に失敗したことで、国民の間に混乱と健康リスクが広がっている。それと同時に、多数のテクノクラート(技術官僚)を擁し独裁的に決断を下すことができる中国の体制自体が危機対応では西側の民主主義体制より優れているという神話も崩壊しつつある。

北京でコロナ検査を受ける女性=ロイター

中国の大都市では新型コロナウイルスの感染が急速に広がり、厳格な感染防止策を緩和するにあたり、備えが不十分だったことが無残にも露呈した。上海や深圳などでは住民が薬局で解熱剤や検査キットが品切れになっていると訴え、血液バンクは供給不足と闘っている。

北京の街は閑散とし、店舗や会社は大半が営業していない。非公式の推定によると北京の人口2200万人のうち40%がオミクロン型に感染したという。他の多くの大都市では感染者や感染を恐れる人々が自宅にこもり、学校は子どもたちと教員を感染拡大の波から守るためオンライン授業に切り替えている。

国民を苦しめる状況は、国営メディアで「コロナとの人民の戦いの最高司令官」と称賛された習近平(シー・ジンピン)国家主席の威厳に傷を付けるばかりでなく、賢明でタイムリーな決断を下す政権の能力にも疑問が投げかけている。

世界の安定性におけるリスク要因に

これは机上の問題ではない。歴史の中で不当に虐げられたという深い遺恨をてこに西側への競争意識を駆り立ててきた世界の新興超大国が、権力集中の結果、視野狭窄(きょうさく)に陥れば、中国政府が世界の安定性にもたらすリスクが高まる。

中国は、朝鮮半島、台湾海峡、南シナ海、ヒマラヤのインドとの国境地帯など、地政学的に紛争の発火点になり得る複数の地域の中心に位置する。世界が中国の意思決定の質に関心を寄せるのはもっともなことだ。

これは外交政策上の懸念にとどまらない。11月に中国の20を超える都市で抑圧的なゼロコロナ政策に反発して抗議デモに参加した人の一部は、言論の自由や法の支配、民主主義、人権を求めるスローガンを唱えた。

これまで3年近く、新型コロナの感染対策として、各都市で様々なレベルのロックダウン(都市封鎖)を実施するなかで、中国には厳しい規制の解除に備える時間が十分にあった。にもかかわらず、最もリスクが高い年齢層である60歳以上の2億6700万人に適切なワクチンを受けさせることをしなかった。公式のデータによると、この年齢層の32%が十分な予防接種を受けていない。

健康や経済より国のプライドを優先

中国政府は、米ファイザーや米モデルナなど外国企業が製造するmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンを導入して、自国製のワクチンを補うべきだと繰り返し指摘されていたが、これも拒否した。外国製の医薬品の高い効果を認めないことで、中国政府が国民の健康や経済的な豊かさよりも国家のプライドを優先していることがあからさまになった。

確かに、新型コロナが武漢で初めて感染拡大した後の2020年前半には、中国の力ずくの社会統制が感染の抑止に目覚ましい効果を発揮した。公式発表による中国の新型コロナ死亡者数は5235人で、他の大国に比べて非常に少ない。だが、ゼロコロナからウィズコロナへの拙速な方針転換は、中国政府が掲げる「人民第一」主義の土台を揺るがせている。

急速に増えつつある死亡者数を伏せたところで、迫りくる人道危機を隠すことはできない。1月21日から始まる春節の休暇で10億人の移動が予想される。現状の感染拡大の波は深刻化が避けられないだろう。

(2022年12月20日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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益尾知佐子
九州大学大学院比較社会文化研究院 教授
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別の視点

日本は中国への医療支援の提供を表明すべきだと思います。ゼロコロナ中は風邪薬の販売すら禁止されていたので(コロナ患者が自分で治さないようにするため)、中国ではこの3年、一般的な薬の生産すら滞ってきました。そのためいまは、重症患者の症状緩和のために投与する薬も足りないそうです。このままでは隣国で百万単位の人が犠牲になります。それを座視しておくのは「普遍的価値」を唱える政府としてはいかがなものかと。
しかも日本の人道支援は、もし中国政府に受け入れられれば日本の評判を高めるでしょうし、受け入れられなかった場合は中国の人民が自国政府に憤るだけ。どちらに転んでも日本は損しないのです。やるべきだと思います。
2022年12月23日 0:01』