宇宙能力「死活的に重要」 ウクライナ紛争でも浮き彫り―多国間連携、日本出遅れ

宇宙能力「死活的に重要」 ウクライナ紛争でも浮き彫り―多国間連携、日本出遅れ
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022122001081&g=int

『人工衛星を使った通信や位置情報サービスは市民生活だけでなく、安全保障分野でも「死活的に重要」(日本の国家防衛戦略)になっている。情報収集から精密誘導爆撃、ミサイル防衛に至るまで、米軍の活動のほとんどは宇宙システムに依存。物量で劣るウクライナ軍が現在の紛争でロシア軍と互角に渡り合えるのも、米国が衛星通信サービスや衛星画像を提供していることが大きな理由とされる。

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 ロシア軍はウクライナ侵攻開始の約1時間前、米通信衛星サービス企業にサイバー攻撃を仕掛けた。大規模な接続障害が発生し、同企業のサービスを利用していたウクライナ軍は混乱した。この危機的状況を救ったのは、米実業家イーロン・マスク氏が提供する衛星インターネット通信サービス「スターリンク」だった。

 米国はまた、民間企業から大量の衛星画像を調達し、各地に展開するロシア軍部隊の構成や位置情報をウクライナに提供。ウクライナ軍はこれを基にロシア軍に的確な打撃を与えている。

 安全保障専門家は「ロシアのウクライナ侵攻では作戦運用から情報戦に至るまで、あらゆる局面で宇宙システムが不可欠であることが証明された」と指摘。政府や軍が保有する衛星だけでは不十分で、民間企業の協力が重要だと語る。

 多国間協力も欠かせない。日本は宇宙ごみ(デブリ)などを追跡する「宇宙領域把握(SDA)」に力を入れるが、単独で監視できる範囲は限られている。米軍が主導し多国間で情報を共有する連合宇宙運用センター(CSpOC)に連絡官を派遣しているものの、正式参加はしておらず、高度な機密情報は共有されていないのが現状だ。

 米国や英国、オーストラリアなど7カ国による宇宙協力の枠組み「連合宇宙作戦構想」にも日本は未参加。情報流出につながりかねないサイバーセキュリティー上の課題などが障壁になっているとされるが、中国が急速に宇宙開発を進める中、日本の出遅れが鮮明になっている。 』