米下院、中国特別委を年初設置 新委員長「共産党は敵」

米下院、中国特別委を年初設置 新委員長「共産党は敵」
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『【ワシントン=坂口幸裕】米議会下院は2023年1月に始まる新議会で、中国問題を集中的に扱う「中国特別委員会」を創設する方針だ。11月の中間選挙を受けて多数派となる野党・共和党が主導し、安全保障や経済などを巡るバイデン政権の対中政策を監視する。24年に次期大統領選を控え、超党派で対中圧力を強める議会の姿勢が政府の対中外交に影響する可能性がある。

特別委は次期下院議長候補で、下院共和トップのケビン・マッカーシー院内総務が設置を表明していた。同氏は「中国共産党は地政学上の最大の脅威だ。同党がもたらす経済や安全保障の課題に確実に対処できるようにする」と話した。

特別委の委員長に就く予定である、共和のマイク・ギャラガー氏は18日の米CNNのインタビューで「中国共産党を米国の敵とみなしている」と明言した。新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策による行動制限や新疆ウイグル自治区での人権弾圧を批判し「同党は中国国民の敵だ」と断じた。

ギャラガー氏は元米海兵隊の情報将校で、外国政府・組織によるスパイ活動など機密情報を扱う部門に所属した。対中強硬派のひとりで、委員会について中国との「長期的な競争に勝利する最良の政策を議会がワンボイスで発信できる場にしたい」と抱負を語った。

同氏は今月、中国発動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」などの米国での使用を禁止する法案を超党派の有志議員と提出した。18日のCNNではティックトックを「国家安全保障上の懸念」と断言した。

「ティックトックを所有する中国の字節跳動(バイトダンス)は中国共産党に支配されている」と強調。ティックトックを通じてニュースに触れる米国の若者らを対象にした世論操作に利用される可能性にも言及した。

24年大統領選を見すえる与野党はともに対中圧力の強化に傾きやすい。特別委は台湾政策のほか、かねて米国が問題視してきた中国の知的財産権の侵害なども取り上げるとみられる。特別委での議論を踏まえた対中政策を米政府に迫る構えだ。

11月の中間選挙を踏まえ、米議会で共和が下院を4年ぶりに過半数を奪還し、与党・民主党が多数派を維持した上院と多数派が異なる「ねじれ議会」になる。共和の発言力が増すのは確実で、政府の中国政策にも波及する公算が大きい。

民主は9月に台湾の防衛力強化を支援する「台湾政策法案」を超党派でまとめた際、原案に盛り込んでいた内容が対中関係悪化につながると懸念したホワイトハウスの要請を受けて修正した。ねじれ議会ではこうした修正の余地は狭まり、2年後の大統領選を見すえる与野党にとって「弱腰」に映りかねない譲歩は一段と難しくなる。

米中は11月にインドネシア・バリ島で実施した対面の首脳会談を受け、行きすぎた関係悪化に歯止めをかけ、対話を優先する局面に入った。23年初めにもブリンケン米国務長官が訪中し、気候変動、世界経済の安定、食料など両国が協力できるテーマを話し合う。

米国にはウクライナ侵攻を巡る対ロシア政策で中国を取り込みたい思惑がある。核兵器の使用を辞さないロシアに中国とともに反対し、紛争に米欧が直接巻き込まれる事態に発展しないよう圧力をかける狙いだ。

米国務省は16日、対中国政策を調整する「チャイナ・ハウス」を新設。情報共有や政策調整をしやすくする「省内全体の統合センター」と位置づける。他の省庁からも経済、技術政策の担当者らが加わり、60~70人規模の陣容にする。

米国が強硬に振れれば中国の反発を招き、対話機運に変化が出ることもあり得る。共和を支持する保守派団体の幹部は「対中政策で与野党の対立点は少なく、議会がより結束できるテーマだ」と指摘。中間層を意識すれば貿易問題などを含め「民主も対中強硬にならざるを得ない」と分析する。

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

2023年、米中関係は新たなフェーズに入っていく可能性が高いようだ。国務省にChina houseと呼ばれる専門部署が設置される。共和党が主導権を握る下院には中国特別委員会が作られる。当初、トランプ政権のときに問題視されていた貿易不均衡など、誰もそれを問題視していない。それよりも、ハイテク技術、イノベーション、情報、地政学リスクなど高度の分野で対立が鮮明になっている。名実とも米中の新冷戦がすでに始まっているようだ

2022年12月20日 7:44 』