[FT]「ロシアは戦争目的を果たせず」 英国軍参謀総長

[FT]「ロシアは戦争目的を果たせず」 英国軍参謀総長
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『ウクライナ戦争ではロシアの敗勢が強まり、自由世界は勝利を収めつつある。ロシア軍は弾薬が不足するなどの困難に陥っている――。英国軍の制服組トップが14日、こう語った。
英国のトニー・ラダキン国防参謀総長=ロイター

トニー・ラダキン国防参謀総長はロンドンで講演し、「ロシアは戦争の目的を何一つ達成できておらず、今後も実現できない」と述べ、ウクライナ侵攻は「ロシアにとって不利になる一方だ」と強調した。
ロシア軍の弾薬庫は底を突きつつある

ラダキン氏はロシアの弾薬庫を「空っぽだ」と表現した。50カ国以上の同盟国、友好国が「政治的決意をもってウクライナに資金や弾薬、兵器を支援している」のに対し、ロシア軍の弾薬庫は底を突きつつあり、地上攻撃作戦の遂行能力が「低下している」と指摘した。

ロシア軍は数カ月にわたってウクライナ軍の最前線を集中砲撃してきた。ここにきて攻撃の勢いが止まったのは弾薬不足が原因とみられるものの、在庫がすぐに払底すると考える軍事アナリストはほとんどいない。

エストニア軍の情報機関による最新の推計では、ロシア軍は年初時点で1700万発あった砲弾のうち、これまでに1000万発を使い果たした。

英王立防衛安全保障研究所(RUSI)での講演は全体的に悲観的な内容が多かった中で、ラダキン氏のコメントはとりわけ楽観的だった。数々の世界的脅威を取り上げ、それらの問題を「将来の世界秩序構築に向けた同世代人の闘争」と表現した。

イランが攻撃用ドローン(無人機)をロシアに供給し、北朝鮮が「平時なら世界を仰天させたであろう」60発以上もの弾道ミサイルを発射し、中国はますます権威主義に傾いているとして、ラダキン氏は「今や並外れて危険な時代になった」との認識を示した。

「いずれの問題もそれぞれが無関係に存在しているわけではない。世界の安全を保障し、生涯にわたる広範な繁栄と機会を享受してきたルールに対し、それぞれの問題が試練を課している」
さらなる国防支出が必要

ロシアの脅威に対し西側が共同で対応したのは朗報だったと同氏は指摘した。これにより「真の勝利が手の届くところまできた」とし、他の権威主義国家に対する強力なメッセージにもなったと述べた。一方悪い知らせとして、こうした脅威に立ち向かうためにさらなる投資が必要な点を挙げた。

英政府はウクライナ戦争が始まる前の2021年にまとめた外交・安全保障政策の方針「統合レビュー」の改定作業を進めている。ラダキン氏はそのさなかで国防支出の増加を訴えた。

英政府は国防費を国内総生産(GDP)比2%にするという北大西洋条約機構(NATO)の目標の達成を確約しているが、ウクライナ戦争を受けて同3%へ引き上げるとしたトラス前首相の公約とは距離を置いている。

「弱体化したとはいえ報復の手を緩めないロシアに長期的にどう対処するのか。我々が今後も世界の平和と繁栄に貢献し続けるとすれば、どれだけの追加投資が必要なのか」。ラダキン氏はこう問いかけ、「統合レビューの改定作業でその答えが明らかになるだろう」と述べた。

By John Paul Rathbone

(2022年12月15日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

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