米当局、中国企業の監査確認可能に 上場廃止リスク低下

米当局、中国企業の監査確認可能に 上場廃止リスク低下
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN15EA70V11C22A2000000/

『【ニューヨーク=斉藤雄太】米上場企業会計監視委員会(PCAOB)は15日、米株式市場に上場する中国企業の監査状況を確認するため、中国本土と香港の会計監査法人を検査できるようになったと発表した。中国企業は監査の「質」を担保できずに米国で上場廃止となる懸念がくすぶっていた。今回の進展はそうしたリスクの低下につながりそうだ。

PCAOBは8月の米中証券規制当局の合意に基づき、9~11月に国際会計事務所のKPMGの中国法人とプライスウォーターハウスクーパース(PwC)の香港法人に試験的な検査を実施した。中国国営企業を含む8つの契約案件について、監査状況を調べた。

米国側は検査にあたって①対象案件の選定で中国当局や監査法人に事前通知せず、干渉も受けない②改ざんのない完全な監査報告書を含め、必要な情報を保持できる③案件の担当者に直接面談し、証言を得られる――の3点を重視した。一連の作業を踏まえ、中国・香港企業の監査状況を検査するための「完全なアクセス権を確保した」(PCAOBのエリカ・ウィリアムズ委員長)と判断した。

今回の検査では、監査状況について多数の潜在的な問題点が見つかったものの、そうした点を発見できたこと自体が検査プロセスが正常に機能した証拠だと前向きに評価した。2023年以降も定期的な検査・調査を実施する計画という。今後、中国当局による妨害などがあった場合は、現在の評価をただちに変更する考えも示した。

米証券取引委員会(SEC)の監督下にあるPCAOBは投資家保護の観点から、米上場企業の監査を担当する監査法人を定期的に検査している。米上場の海外企業も対象で、世界で50以上の国・地域の監査法人を検査・調査しているが、中国政府は国家安全保障にかかわる情報が流出しかねないとして拒んできた。

米中対立の激化や中国企業の不正会計問題の続発を受け、米議会では20年12月、外国企業説明責任法が成立した。3年連続でPCAOBの検査を拒んだ場合、その監査法人が担当する企業を米国で上場廃止にするもので、24年にも多くの中国企業が米市場から締め出される可能性が出ていた。

米議会の超党派諮問機関の米中経済安全保障再考委員会によると、ニューヨーク市場に上場する中国企業は9月末時点で262社ある。このうち過半はSECが監査状況を検査できていないとして社名を公表しており、ネット通販大手アリババ集団や検索大手の百度(バイドゥ)などを含む。資本市場を舞台にした米中の摩擦が和らぐ方向に向かっていくのかが今後の焦点になりそうだ。
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蛯原健
リブライトパートナーズ 代表パートナー
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米中のディカップリングは資本市場においても急速に進んでいたところ何とか本件に関しては繋ぎ止めた形である。当然に株価も反応している。本件が報道された先月ころから中国銘柄により構成されるナスダックゴールデンドラゴンインデックスは、本国のコロナ政策転換の影響もあるだろうがこれまでの下落から底を打って上昇に転じている。
2022年12月16日 8:57

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

公正な監査を行うのは、いうまでもなく投資家を保護するためであるが、同時に、上場企業経営の健全化を促す措置でもある。さらに他の上場企業を保護する効果もある。それができなければ、投資家は安心して投資できなくて、その影響は上場企業に大きな影響を及ぼす。こういう問題は外交問題とみなすと、話は混乱してしまう。そうすると、いわゆる陰謀論が出てきて、議論の本質がみえなくなる
2022年12月16日 8:37』