中国経済、需要減で再失速 ゼロコロナ・海外減速で

中国経済、需要減で再失速 ゼロコロナ・海外減速で
11月、生産・投資伸び鈍化、大都市雇用悪化で消費マイナス拡大
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM153MS0V11C22A2000000/

『【北京=川手伊織】中国経済が再び失速している。2022年11月の小売売上高は減少率が拡大し、サービス業の生産指数はマイナスに転じた。工業生産も伸びが鈍り、10~12月は前期比でマイナス成長になるとの予測もある。新型コロナウイルスを抑え込む「ゼロコロナ」政策で雇用が悪化した内需に加え、米欧経済の減速で外需も落ち込んでいる。

中国国家統計局は15日、11月の主な経済統計を発表した。消費動向を映す小売売上高は前年同月比5.9%減で、減り幅は10月の0.5%から広がった。サービス業の生産指数も1.9%下落し、5月以来6カ月ぶりに前年同月を割り込んだ。

企業の生産活動もさえない。工業生産の増加率は2.2%に減速。自動車やスマートフォンの生産量はマイナスに転じ、パソコンは減少幅を広げた。

主要な経済指標の低迷の要因は、国内外の需要が落ち込んでいることだ。「消費者の購入意欲の低下が心配だ。在庫が適正水準より増えることは避けたい」。日系メーカーの中国法人幹部は打ち明ける。

ゼロコロナ政策に伴う厳しい移動制限で、消費を左右する雇用が打撃を受けた。11月の都市部失業率は5.7%と10月を0.2ポイント上回った。北京や上海など直轄市や省都など主要31都市に限ると6.7%で、0.7ポイントも上がった。サービス業の比率が高い大都市ほど雇用が悪化し、家計は節約志向を強めている。

米欧経済が急激な利上げで減速した影響も大きい。11月のドル建て輸出は前年同月比8.7%減少した。新型コロナの流行初期で4割減った20年2月以来の大きなマイナスとなった。

野村ホールディングス傘下の野村国際(香港)は、10~12月の実質国内総生産(GDP)が季節調整済みの前期比で0.3%減ると予測する。確認できる11年以降で前期比マイナス成長を記録したのは、20年1~3月(10.1%)と22年4~6月(2.7%)だけだ。夏場に持ち直しかけた景気が再び落ち込む「二番底」の様相を呈している。

過去2回は、ロックダウン(都市封鎖)などサプライチェーン(供給網)の混乱が足を引っ張った。

一方、足元の景気失速は供給網の混乱というより需要不足の色が濃い。製造業購買担当者景気指数(PMI)を構成する、部品などの配送時間を示す指数をみると、11月は前月比1%弱の低下にとどまった。20年2月は4割、22年4月は2割下がっていて、物流の混乱による配送時間の長期化が顕著に表れていた。

今後の経済動向を占ううえで関心を集めるのは、ゼロコロナ政策の緩和による内需の回復だ。中国政府は7日に緩和策を発表し、省をまたぐ国内移動がしやすくなった。中国の証券会社、中信証券によると、5~11日の航空旅客輸送量は前の週と比べて7割近く増えた。

23年は1月下旬に、大勢の中国人が帰省や旅行を楽しむ春節(旧正月)休暇に入る。過去2年は、政府が感染拡大を防ぐため帰省などの自粛を求めたが「23年はその可能性がとても小さい」(感染症専門家の鍾南山氏)。旅客数が増えて、観光などサービス業が持ち直すとの期待が大きい。

サービス業の回復が雇用の改善につながるかが、GDPの4割を占める個人消費復調のカギを握る。一方、春節休暇での移動によって北京など大都市の感染拡大が医療資源の乏しい地方都市や農村に広がり、経済に混乱をもたらすリスクも残る。

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