防衛力強化 その財源は?

防衛力強化 その財源は?
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221012/k10013855341000.html

 ※ 今日は、こんな所で…。

『ロシアによるウクライナ侵攻に台湾海峡をめぐる緊張、そして北朝鮮の相次ぐミサイル発射。日本の安全保障を取り巻く環境は急速に変化している。政府が5年以内の防衛力の抜本的強化を掲げる中、防衛省は敵基地への「反撃能力」を念頭にした武器の量産を盛り込んだ過去最大規模の予算要求を行った。9月30日に始まった政府の有識者会議では、従来の防衛費の枠組みを見直すという議論も浮上。日本の防衛が大きく変わろうとする中、防衛費、そしてその財源の負担はどうなるのか、水面下で進む政府・与党内の議論を取材した。(経済部記者 白石明大 政治部記者 瀬上祐介)

過去最大の概算要求

毎年恒例の来年度予算案の概算要求。

ことし最も注目されたのは、防衛省だった。
政府はことし6月に公表した骨太の方針に「防衛力を5年以内に抜本的に強化する」と明記した。

これに基づき防衛省は概算要求で、過去最大となる5兆5598億円(デジタル庁との重複計上分を除く)を要求。

敵の射程圏外から攻撃できる「スタンド・オフ・ミサイル」の量産をはじめ金額を明示しない「事項要求」を多数盛り込むという異例の要求方式をとった。

防衛費の増額議論

先月30日、総理大臣官邸で「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」の初会合が開催され、政府内での防衛力強化の議論が本格的に始まった。

有識者として選ばれたのは、元防衛事務次官など防衛の専門家のほか、金融機関や科学研究、メディア関係者など以下の10人だ。

・上山隆大 総合科学技術・イノベーション会議・議員
・翁百合 日本総合研究所理事長
・喜多恒雄 日本経済新聞社顧問
・國部毅 三井住友フィナンシャルグループ会長
・黒江哲郎 三井住友海上火災保険顧問(元防衛事務次官)
・佐々江賢一郎 日本国際問題研究所理事長(元外務事務次官)
・中西寛 京都大学大学院法学研究科教授
・橋本和仁 科学技術振興機構理事長
・船橋洋一 国際文化会館グローバル・カウンシルチェアマン
・山口寿一 読売新聞グループ本社社長

この会議で、政府は抜本的な防衛力の強化のあり方や防衛費の増額の規模、財源の方向性などについて議論する。

防衛関係費の大幅な増額を検討するにあたって政府が参考にしているのがNATO=北大西洋条約機構の「国防関係支出」の算定基準だ。

NATOは2014年のロシアのクリミア半島の併合を受けて、加盟国間で10年以内に「国防関係支出」を対GDP比で少なくとも2%の水準まで引き上げることを目標に掲げた。

さらに、ことし2月のロシアによるウクライナ侵攻を機にドイツは1000億ユーロ、日本円で約14兆円規模の基金を新設して国防費を増額するほか、NATOへの加盟を申請しているスウェーデンも対GDP比2%規模まで防衛費を増額する方針を示している。

ただ、NATOの「国防関係支出」には、日本の防衛費には含まれていない沿岸警備費や国連平和維持(PKO)関連費、退役軍人らの年金なども含まれている。

日本の対GDP比は1%

一方、日本の防衛費は2022年度の当初予算で5兆4005億円。

対GDP比で0.96%となる。

さらに、NATO基準を参考に政府が算定した日本の「国防関連支出」は、海上保安庁の予算2231億円などを含めて約6兆1000億円、対GDP比で1.09%となる。

対GDP比で「2%以上」とするには、さらに5兆円以上、防衛費を上積みする必要があり、こうした観点からも防衛省は財務省に大幅な増額を求めている。

防衛の新たな枠組み検討へ

財務省といえば予算を厳しく査定し、歳出をできるだけ抑えることが職務だ。

ただ、防衛費の増額要求についてある幹部は「防衛力を抜本的に強化するために必要な予算をつけることにためらいはない」と述べ、安全保障をとりまく厳しい環境を踏まえ、一定の理解を示した。

その一方で、防衛省が要求する戦車配備などの要求には疑問を呈した。

財務省幹部

「これまでの防衛の考え方の延長線上で予算を増額することが、果たして抜本的な防衛力の強化につながるのか。政府全体として『安全保障』という観点から他省庁の事業も精査し、総合的な防衛力・国力の強化につながる枠組みが必要だ」

有識者会議を取りしきる内閣官房は、人材や財源など国の資源が限られる中で防衛省以外の他省庁が所管する事業にも安全保障の視点を取り入れる必要があると考えている。

その1つが「科学技術研究」だ。

令和4年度の当初予算で、科学技術関係の予算は4兆2198億円。

このうち文部科学省が48.8%、経済産業省が15.2%を占めている。

一方で防衛省は3.9%の1645億円と省庁別では6番目の規模だ。

防衛省はこの研究予算の中で人工衛星を利用した宇宙空間での情報収集能力の強化や最先端のサイバー攻撃に対応する技術研究を行っており、今回の概算要求でも研究予算の大幅な増額を求めている。

一方で、宇宙開発やAI=人工知能、量子コンピューターなどの最先端技術の研究開発は日本の大学などの研究機関や民間企業も行っている。

文部科学省や経済産業省はこうした先端技術の研究を支援する事業を行っているが、これらの研究分野での防衛省との連携はほとんどない。

政府はアメリカが国家安全保障の観点から巨額の国防予算を最先端の技術研究に投じ、軍事研究が民間の経済成長を促した仕組みを、日本でも導入できないか検討している。

たとえば、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大した2020年に当時のトランプ大統領が打ち出した「ワープ・スピード作戦」だ。

ワクチンの研究開発に国防費から巨額な研究予算を投じ、アメリカの製薬会社が異例の早さで新型コロナ用ワクチンを開発することに成功した。

アメリカは国内で感染症が拡大したり、化学兵器が国内で使われたりした際に迅速なワクチンや治療薬の開発ができなければ、国民の生命・財産を守れず治安や軍事面での対応にも支障をきたすとしてこうした薬の研究開発なども安全保障の一部としてとらえている。
政府は日本も安全保障分野の枠組みを科学技術に広げて大学や民間企業の研究開発が相互に連携できれば、防衛力の強化につながるだけでなく、最先端分野の科学技術の発展や派生してできた民生品の活用により日本の経済成長にもつなげられると考えている。

こうした考えは以前から政府内にあったものの、本格的な議論に発展することはなかった。

背景にあるのが軍事研究を忌避する学術機関の反対だ。

ことし7月、日本学術会議は、軍事にも転用可能な科学研究について「純粋な科学研究と軍事に転用が可能な研究について単純にわけることは難しく、扱いを一律に判断することは現実的ではない」という見解を示した。

これについて軍事研究への対応が変化したのではないかとの指摘があったが、日本学術会議は「1950年に公表した『戦争を目的とする科学研究は絶対に行わない』という声明を批判したり否定したりすることはできない」として、軍事目的の研究についての立場に変更はないという見解を改めて示した。

このように科学技術と防衛研究を隔てる壁は依然として高いままだ。

こうした分野に詳しい政府関係者も次のように話している。

政府関係者

「防衛と民間研究の相互活用は日本では決して簡単な議論ではなく、戦後以来の科学技術研究のパラダイムを変える議論だ。しかし、最先端分野の研究者と大量のノウハウを保有する大学や民間企業を活用せずに防衛力の抜本的な強化は考えられない。科学技術分野に限らず公共事業などの分野も有事を想定した公共インフラの活用など、安全保障という観点から再検討が必要で、抜本的な防衛力強化のためにすべての省庁でやらなければいけないことは何なのか、そういう議論を進めなければならない」

“増額”で食い違う認識

一方、こうした防衛費の増額を各省庁の取り組みも含めて議論するという考え方をめぐって「真水=歳出額を抑えたいという財務省の思惑だ」という反発も上がっている。

与党関係者

「有識者会議は財務省が防衛予算を増やさないためにつくったものだからつぶさないといけない」

防衛省関係者

「真水でどこまで増やせるかが重要であって、数字の寄せ集めとみられては元も子もない」
予算の“純増”をねらう防衛省も巻き返しに動くなど、政府内でも認識にずれが生じており、足並みをそろえるのは簡単ではない。

政府関係者

「防衛省は自分たちの予算を増やしたい、ミサイルを作りたい、それがすなわち防衛力だという考えが強すぎる。研究開発での民間との連携にも防衛省は自分たちの研究予算が増えないから乗り気ではない」

焦点となる財源論

防衛の「中身」の議論が進む中、最後に大きな焦点となるのが「財源」だ。

与党内では「赤字国債」や港湾整備などにあてる「建設国債」、あるいは将来の償還財源を決めたうえで発行する「つなぎ国債」という案も浮上している。

自民党の萩生田政務調査会長は、今月4日、記者団に対して防衛費増額の財源について「すべてをこれから先、国債で賄うのは非現実的だ」と述べている。

自民党 萩生田政調会長

「まさにこれから詰めていかなくてはいけないと思うが、防衛費の増額はことし1年の1ショットの話じゃないので、財源をすべて国債でまかなうというのは非現実的だと思っている。どういう形で恒久的な財源を確保するかということも含めて、党内や与党でしっかりと議論をしていきたい」

公明党の石井幹事長も先月30日の会見で防衛費増額のための増税も「選択肢の1つ」との考えを示すなど、今後財源のあり方をめぐって与党内で激論が交わされそうだ。

公明党 石井幹事長

「防衛力を着実に整備・強化していくことを今後、継続すると恒常的に予算が増えていく構造におそらくなる。それをすべて国債でまかなうことは、いまの国の財政状況からいっても難しく、一定の恒久的なしっかりとした財源が必要になる。増税を望ましいと考える人はあまり多くはないかと思うが、選択肢の1つではないか」

欧米では増税の動きも

世界を見ても国防費・防衛費の増額をめぐる財源確保の手法はさまざまだ。

スウェーデンは、酒・たばこ税の増税や大手金融機関に対して銀行税を導入することを決めたほか、アメリカはことし3月に公表した予算教書で国防予算を増額する一方、公的債務の拡大に歯止めをかけるために法人税率の引き上げや富裕層への増税などを実施して、財政赤字を今後10年で1兆ドル、日本円で140兆円以上、圧縮する計画を掲げている。

日本でも今後、有識者会議での議論に加えて自民党税制調査会でも財源のあり方について本格的に議論される見通しだ。

これについては法人税などの「基幹3税」やたばこ税などを引き上げる案も浮上しているが、このうち法人税引き上げ案については経団連や経済同友会が「国民全体で負担すべきものだ」として反発している。

関係者の利害が絡むだけに調整は難航しそうだ。

防衛費はいったん増額すると削減が難しい「恒常的経費」の側面が強く、大幅な増額分を国債でまかなえば、将来の国の予算編成への影響も大きい。

政府は何のために防衛費を大幅に増額するのか。

そして誰がそれを負担するのか。

こうした疑問に真摯に答え、国民に丁寧に説明しなければ理解や納得は得られないだろう。

終戦から77年。

日本の防衛費はこれまで目安としてきたGDPの1%を超えることになるのか。

いま大きな転換点を迎えようとしている。

経済部記者
白石 明大
2015年入局
松江局を経て現所属
金融庁や日銀担当を経て財務省を担当

政治部記者
瀬上 祐介
2005年入局
防衛省キャップ
長崎局、経済部、沖縄局での経験も 』

スロバキア外相が言及した第二次大戦前夜と英仏の宥和策

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:スロバキア外相が言及した第二次大戦前夜と英仏の宥和策
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5394644.html

『2022年12月8日、キーウを訪問したカーチェル・スロバキア外相Slovak Minister of Foreign and European Affairs Rastislav Káčer:写真左 は、クレーバ宇外相Ukrainian Foreign Minister Dmytro Kulebaとの共同記者会見時に、ウクライナは歴史の教訓をよく学んでいるとしつつ、現在ロシアとの協議(宥和)を求める人々に対し、ヒトラーとの合意が当時のチェコスロバキアの破壊と第二次世界大戦の開戦をもたらしたことを喚起した。

今も『私たちは平和を求めている、私たちは協議に賛成だ』と話している人々に対して、『それはヒトラーとの間ですでに経験したこと、かつて誰かが私たちの後ろで行おうとしていたことだ』と述べ、それが当時のチェコスロバキアの破壊と1939年勃発の第二次世界大戦、何千万人の人々の喪失をもたらしたことを知っていると強調した。参照記事 以下はその歴史経緯

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1938年にオーストリア併合したヒトラーのナチス=ドイツは、同年チェコの一地方であるズデーテン地方にドイツ系住民が多数を占めることを理由に、その地方の割譲をチェコ政府に迫った。この問題で1938年9月29日にミュンヘン会議(ミュンヘン協定):左 が開催されることとなったが、チェコスロヴァキア政府の首相ベネシュは参加が認められなかった。チェコスロヴァキア政府は英仏がドイツの要求を拒否することに期待をつないだが、宥和政策を採るイギリスのネヴィル=チェンバレン首相Neville Chamberlainはドイツの要求をのみ、ズデーテン割譲を認めてしまい、チェコスロヴァキア解体の第一歩がはじまることとなった。images

後にチャーチル 首相Winston Churchillは、チェンバレンによる宥和政策は、「ドイツに軍事力を増大させる時間的猶予を与えた」と非難した。

、、、この経過は、プーチンが、クリミア、ウクライナ東部にはロシア系住民が多く住むからロシアへ帰属させろと言い、強引にクリミアへ侵攻しロシアへ併合したのと瓜二つで、ミュンヘン協定は、筆者もプーチンの時価稼ぎと指摘したミンスク合意を彷彿とさせる。

1-3当時ヒトラーは、英仏がナチスードイツに恐怖して宥和策を取った事で調子づき、ポーランドへも一部領土のドイツへの割譲を要求した。

当時ソ連のスターリンJoseph Stalinは日本との軍事衝突であるノモンハン事件(1939年5月)があったので、東方進出を目論むドイツと戦端を開くことは不利と考えヒトラーと急接近し、1939年8月、独ソ不可侵条約を締結、世界を驚かせた。結局それはヒトラーに行動の自由を与えることとなり、同年9月1日、ドイツ・ソ連は東西からポーランドに侵攻し、両国は不可侵条約20220428ds12_p(秘密協定)に沿ってポーランドを2分し占領し、互いに防衛ラインを設定した。

これを機に第二次世界大戦が勃発し、ヒトラーはさらにフィンランドを狙う。その後ヒトラーは1941年6月22日に独ソ不可侵条約を破棄してソ連に侵攻(バルバロッサ作戦)して独ソ戦が始まった。参照記事 参照記事

、、、、仮にプーチンがヒトラーの東進を教科書にしているなら、プーチンにとって条約や合意など何の意味も持たない物だろう。

スパイとは、裏を掻くのが信条だから、、。img_3e4be49ac305ed2e911fee62dec2281e66772

外交が駆け引きで、先が読めない中で難しいことは分かる。その結果、仏マクロン大統領のように、ウクライナを支援しながら「ロシアの安全保障も考慮しなければならない」と、一見矛盾した発言が出てくる。

しかし、すでに国連でロシアを「テロ国家」と認定した今、ウクライナ支援の足並みを乱すような、彼の個人的政治信条とも思える発言はしない方が賢明だろうと思うのだが、、。

個人的には、今回のロシア侵攻前後、マクロン氏が交渉にこだわった事で、重要な時期にプーチンに時間稼ぎをされ、彼を通じて西側のまとまりの無さが筒抜けだったと見ている。彼はその後態度を変えたが、筆者から見て、すでにイエローカード1枚なのだ。 参照記事 』

露軍オデーサへ攻撃とウクライナ軍メリトポリ近郊へ集中砲撃

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:露軍オデーサへ攻撃とウクライナ軍メリトポリ近郊へ集中砲撃
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5394892.html

『2022年12月11日:ロシア軍は10日未明、同国南西部オデーサ州の電力インフラを無人機を用いて攻撃している。これによりオデーサ州Odesa regionの電力インフラが著しい破壊を受け、何千人の消費者が停電被害に遭っていると報告された。また、ロシア軍の砲撃は、中部Dnipropetrovsk Regionドニプロペトロウシク州(州都ドニプロ)など各地で確認され、住宅など多数が被害に遭っている:写真右。参照記事 参照記事

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10日付ウクライナ記事は、ロシア軍はウクライナ南部の本拠地をヘルソンKhersonからザポリージャ州Zaporizhzhya regionsメリトポリMelitopolに移したが、そこにある教会が火災で炎上したと報じた。写真右
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ロシア軍が娯楽施設”recreation centre”として使用していたと見られ、ウクライナ側の精密砲撃ハイマースHIMARSによる可能性がある。左図は、ハイマースの射程範囲を色分けした図で、メリトポリはその範囲内にある。その他、メリトポリ近郊の多数のロシア軍の倉庫などが同じころ攻撃を受け破壊されたと報道されている。ウクライナ軍の組織的反撃と思える。 過去ブログ:2022年11月ウクライナの戦況と予測 11月露軍、メリトポリを巨大な軍事基地化 参照記事 参照記事 参照記事 

10日に公開した動画でウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアが南部オデーサ州でエネルギー関連施設を無人機で攻撃したことについて「オデーサ州はとても厳しい状況にある。イラン製の無人機による夜間の攻撃を受け、都市は暗闇に包まれた。現時点で州内の150万人以上が電気を得られない状況だ」と述べ、州の広い範囲で停電が起きていると述べ、そのうえで「ひと晩で、ロシアはオデーサ州に対し15機の無人機を使った。これが、州内で暮らす人々に対するロシアの真の態度だ。意図的ないじめであり、災難をもたらそうと企てている」と述べ、ロシアを非難した。参照記事

FireShot Webpage Screenshot #2397 – ‘Barrack With

ウクライナ南部クリミア半島北東部の町ソビエツキー(sovietskyi,sovietsky,Crimean peninsula、またはラジアンスキ村village of Radianskyi、FireShot Webpage Screenshot #2398 -newソベツキ村village of Sovetsky)で10日朝、ウクライナ侵攻のため、シベリアからの動員兵が集められたロシア軍の兵舎が火災に見舞われた。親ロシア派が通信アプリで伝えたところによると、2人が死亡したという情報があるほか、約200人が避難した。

ウクライナ人と先住民族タタール人のパルチザンを名乗る団体Partisan movement 「アテシ(アテシャ)ATESH」 (movement of Ukrainians and Crimean Tatars) が同日夜、声明を出し「計画に成功した」と主張。人為的に火を付けたと訴えた。

これに先立ち、ウクライナの一部メディアは火災について「ドローン(無人機)攻撃が原因」と報道。親ロ派は「フェイク(偽情報)」と否定していた。

アテシは「ロシア軍を内部から破壊し続ける」と警告した。図の赤い矢印は、ロシア軍の新たな南部の拠点となったメリトポリに、ジャンコイから兵士が動員された事を示している。パルチザンによるサボタージュかは明確ではなく、酔っ払ったロシア兵が火災を起こしたとの皮肉も言われている。 英文記事 英文記事 英文記事  参照記事 』

黒海の重要性から見たウクライナ戦争と日本海海戦

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:黒海の重要性から見たウクライナ戦争と日本海海戦
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5394530.html

『ロシアとウクライナの戦争は、世界の政治に深く影響している。多くの国々と国境を接する黒海で、非常に重要な権力闘争が起きているのだ。ロシアはこの戦争で、黒海での支配権を失い、最大の敗北を喫しようとしている。しかし、なぜ黒海がそれほど重要なのか?なぜロシアは黒海を支配したいのか。

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この問いに答えるには、ロシアの地図が必要だ。ロシアは1700万km2以上の面積を持つ、世界最大の国である。ロシアの北と東は完全に海に覆われている。しかし、ロシアはこれらの港を海上貿易に利用することができません。なぜなら、ロシアは非常に寒冷な気候で、冬になると海が凍結してしまう部分があるからです。ロシアが港を利用するためには、海へのアクセスが必要なのだ。そのために利用できる海は2つある。ひとつはバルト海、もうひとつは黒海である。

FireShot Webpage Screenshot #2389 – ‘Russia Loses C

まず、バルト海について見てみよう。バルト海に面しているのは、このような国々である。
スウェーデン、フィンランド、デンマーク、ドイツ、ポーランド、ロシア、エストニア、ラトビア、リトアニアです。この中でNATOに加盟していない国は3つだけです。ロシア、スウェーデン、フィンランドである。

しかし、スウェーデンとフィンランドはNATO加盟に向けた手続きを開始している。この2カ国は、まもなくNATOに加盟すると見られています。その場合、バルト海はNATOの内海となる。ロシアがこの港を通じて軍事活動を行うことはまずあり得ない。この場合、ロシアが使える海は黒海Black Seaしかない!」と。

しかし、ここでもロシアにとっては不利な状況が待っている。ロシアがウクライナに侵攻した大きな理由のひとつは、黒海での支配力を強化することだった。では、この戦争に黒海がどう関係するのか。この疑問は多くの専門家が見落としているが、実は戦争の大きな理由の一つである。

世界の最北端に位置するロシアは、南とつながるために黒海を利用しなければならない。黒海はロシアの工業都市から非常に近い。また、黒海の後背地はかなり広い。

ロシアの船は、地中海諸国、アフリカ、中東、インドに行くには黒海を利用する必要がある。また、ロシアが協力しているイランやシリアに行くにも、ロシアの船は黒海を通らなければならない。しかし、ロシアは非常に重要な障害に直面している。

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それを見るために、黒海の地図を少しさかのぼって見てみよう。黒海から出るには、トルコが支配する海峡を通るしかない。黒海から地中海に出るには、ボスポラス海峡Bosphorus straitを渡り、さらにダーダネルス海峡Dardanelles straitを渡る必要がある。かつて、これらの海峡はオスマン帝国Ottoman Empireの支配下にあった。ロシアはこの海峡を攻略するために、何度もオスマン帝国に攻め込んだ。

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そして、第一次世界大戦では、ついにダーダネルス海峡Dardanelles straitで大きな戦いが繰り広げられた。しかし、オスマン帝国軍は歴史的な抵抗を見せ、この戦争(17 February 1915 – 9 January 1916) に勝利することができた。ロシアの計画はまたもや失敗に終わったのである。参照記事

FireShot Webpage Screenshot #2394 – ‘The WORST defeat

これ以前にロシアは1904年~1905年の日露戦争での日本海海戦で日本に敗れている。この時のロシアの第二太平洋船隊2nd Pacific Squadron:バルチック艦隊は、当時ロシア領だったバルト海に面するラトビアLatviaから1904年10月日本海に向かい、出港してから8ヶ月の1905年5月、バルチック艦隊は大韓海峡(※ 日本慣用名:対馬海峡)に到着した。

しかし、英国の妨害でスエズを通れず、アフリカ南端を経由で地球一周の4分の3である3万500kmをぐるりと回ってきたバルチック艦隊は、体力的にも既に力尽きた状態で黄海で第一太平洋船FireShot Webpage Screenshot #2395 – ‘The WORST隊と合流した。当時、当時世界屈指の戦力を誇ったロシア帝国海軍バルチック艦隊を迎え撃ったのが旗艦戦艦「三笠」で連合艦隊の指揮を執った東郷平八郎で、艦隊に対し、「皇国の興廃この一戦にあり、各員一層奮励努力せよ」とZ旗を掲げて全軍の士気を鼓舞し勝利した。この海戦でのロシアの人的損失は、209 人の士官を含む 5,045 人の兵員に達した。ルーズベルトが米国大統領に就任すると、米国は日露間の仲裁に入った。そして、1ヶ月の時間を要して、1905年9月5日ポーツマス条約が締結され、これにより当時無力だった朝鮮半島は日本の保護、指導圏に入り、日本は領土として南樺太も得た。当時は帝国主義全盛だった。 参照記事

Bosporus現在ロシアはこの海峡の利用をめぐって、トルコと常に対立している。NATOの一員であるトルコは、ロシアの侵略的な政策を阻止するために多大な努力を払っている。この点で、ロシアは非常に深刻な危機に直面している。ロシアの軍艦は、何ヶ月も前からこの海峡を通って黒海に到達しようとし、トルコ政府に対し、艦船の通航を許可するよう大きな圧力をかけた。しかし、トルコ外務省は、これらの船の通航は決して許可されないと述べた。記事と映像  参考:US thanks Turkey for shutting down Black Sea straits for warships、、、、

この記事では指摘していないが、黒海の重要性は独立国家ウクライナにとっても同じで、また、世界の穀物倉庫と呼ばれるウクライナは、EU,中近東、アフリカにとっても食料資源の観点から非常に重要である。

露産天然ガスに注目されがちだが、見方によってはそれ以上に重要な視点であり、ロシアがウクライナの輸出用穀物を略奪し、輸出を妨害した事実からみても単なる地域紛争では無い事は明らかで、大国主義プーチンロシアの一方的軍事侵略が非難される根拠であり、世界にとっても危険な行為なのだ。日本のTVは軍事評論家ばかり担ぎ出すが、国際経済の視点も重視すべきで、首相の談話にも常に織り込むべきだろう。』

日本、英国、イタリアが次期戦闘機共同開発 米国も協力

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:日本、英国、イタリアが次期戦闘機共同開発 米国も協力
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5394507.html

『日本、英国、イタリアの3カ国は2022年12月9日、次期戦闘機について、共通機体を共同で開発する「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP:Global Combat Air Programme)」を発表した。防衛省は航空自衛隊F2戦闘機(約90機)の後継として、2035年ごろの配備を目指す。3カ国首脳は共同声明で「長年にわたる防衛協力関係を一層拡大する」と強調。各国で開発主体となる企業は、機体が三菱重工と英BAEシステムズ、伊レオナルド、エンジンはIHI(7013)と英ロールス・ロイス、伊アヴィオ、電子機器は三菱電機(6503)と英レオナルドUK、伊レオナルドで、各プロジェクトを統括していく。イメージ映像

FireShot Webpage Screenshot #2388 –

米国防総省も防衛省と9日に共同発表を出し、米国は「日本の次期戦闘機の開発に関する英国及びイタリアという日米両国の緊密なパートナーとの協力を含め、日本の安全保障及び防衛協力について、志を同じくする同盟国及びパートナーとの協力を支持する」と、日英伊による共同開発を支持する考えを示し、次期戦闘機を支援する無人機の開発を視野に、5年から日米で研究に着手すると表明した。

 防衛省によると、米国以外との防衛装備品の共同開発は初めて。完成品輸出も模索しており、今月に改定する「国家安全保障戦略」など安保3文書に、輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の運用指針の見直しを明記する方向だ。3カ国共同声明では、共同開発について防衛産業の基盤強化や、経済的利益をもたらすと指摘。戦闘機開発の技術維持にも役立つとの認識を示した。

アメリカのF35、ヨーロッパのユーロファイター。3カ国は、これらの機種の能力を超える戦闘機の開発に向けて努力し、自由で開かれたルールに基づく国際秩序を守る決意を固めると述べ、「民主主義、経済、安全保障を守り、地域の安定を守ることが重要であるため、信頼できる抑止力を備え、強化された、防衛と安全保障の分野における強力なパートナーが必要だ」と声明は付け加えた。参照記事、、、防衛意識も結構だが、大事なのは誰を、何を守るかだ。露中韓のように、国威発揚の道具にしてはならない。むしろ、持たざるを得ない情勢を憂(うれ)うべきだ。』

バフムートを巡る戦い、ロシア軍が市街地に向けて前進している可能性

バフムートを巡る戦い、ロシア軍が市街地に向けて前進している可能性
https://grandfleet.info/european-region/fighting-over-bakhmut-russian-forces-may-be-advancing-towards-cities/

『ウクライナ軍とロシア軍の戦いは泥濘んだ土地の影響で全体的に低調なもののバフムート周辺の戦いだけは例外的で、ロシア軍は兵士の犠牲を厭わない攻撃でバフムートの市街地にじわじわと迫っている可能性が高い。
ウクライナ軍とって有利なのか、ロシア軍にとって有利なのか、兵士の命の価値が等価ではないため判断がつかない

ウクライナ側の情報が全くないのでロシア側の情報を常識的な範囲で取り入れるとバフムート周辺の戦い以下のようになり、まずスラビャンスク方面と接続する幹線道路「M03」と立体交差する鉄道橋の架橋崩落(ロシア軍の攻撃によるものかは不明)を視覚的に確認、M03経由でバフムートにアクセスするには迂回しなければならない。

出典:GoogleMap ドネツク州バフムート周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

さらにバフムート郊外のピドロドネにロシア軍が到達したという報告や、ソレダルの西に位置するヤコヴリフカをワグナーの部隊が制圧したというロシア側の報道(映像付き)があり、激戦地のオプトネを迂回してロシア軍がバフムート市街地に向け前線を押し上げようとしているらしいが、これが事実かどうかは不明だ。

クルデュミフカから川沿いにビラ・ホラへ向かっているロシア軍は砲撃とドローンによる攻撃で前進出来ずにいるため、幹線道路「T0513」の防衛ラインを貫通したロシア軍による西への突破=アルテーモヴェの側面に回り込む試みは成功していないが、ロシア軍は根本的に兵士の犠牲を厭わない攻撃でウクライナ軍に消耗を強いているので現状がウクライナ軍とって有利なのか、ロシア軍にとって有利なのか、兵士の命の価値が等価ではないため判断がつかない。

出典:Генеральний штаб ЗСУ

ヘルソン州やザポリージャ州でも微妙な動きが観測(反攻に繋がる動きか判断がつかない)されているが、ウクライナのレズニコフ国防相は「まだ大地が泥濘んでるので車輌の移動が難しく、気温が低下して大地が凍結後に積極的な反撃を再開する」と述べており、ヘルソン州からドネツク州やルハンシク州に部隊が移動しているという報告もあるため「ウクライナ軍の反攻は東部戦線で行われるのではないか」と予想する声がある。

関連記事:ウクライナ軍、スバトボとクレミンナを結ぶ幹線道路に迫っている可能性
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 ※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
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投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 5 』

トルコ大統領、プーチン氏にウクライナ穀物合意拡大訴え

トルコ大統領、プーチン氏にウクライナ穀物合意拡大訴え
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB112PU0R11C22A2000000/

『【イスタンブール=時事】トルコのエルドアン大統領は11日、ロシアのプーチン大統領と電話で会談し、ウクライナ情勢を巡り協議した。エルドアン氏はこの中で、ウクライナ穀物輸出合意の対象を他の商品にも拡大するよう呼び掛けた。

穀物合意は今年7月、トルコと国連がロシアとウクライナを仲介する形で成立した。トルコ大統領府の声明によると、エルドアン氏は合意によりこれまでに「1300万トン以上の穀物が(世界各地の)必要とする人々に届けられた」と指摘。4者が引き続き協力を進め、穀物以外の産品の輸出も段階的に始めるべきだと訴えた。

ロシア大統領府によれば、両首脳はウクライナのみならずロシアからの産品輸出も進めることを確認。先に首脳間で議論したロシア産天然ガスの輸出拠点をトルコに設置する計画や、トルコがクルド人勢力に対する新たな地上作戦を検討するシリア北部を巡る状況について意見交換した。

エルドアン氏はこの後、ウクライナのゼレンスキー大統領とも電話で会談。ゼレンスキー氏はツイッターに投稿し、穀物合意の「拡大の可能性」について話したと明らかにした。

一方、ウクライナ南部の港湾都市オデッサでは10日、ロシア軍によるエネルギー関連施設への攻撃で深刻な停電が発生した。攻撃にはイラン製ドローンが使われたとみられる。オデッサは穀物の積み出し港で、混乱が続けば穀物輸出に支障が出るのは避けられない状況だ。

すべての記事が読み放題
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南部オデッサで停電 「イラン供与のドローンで攻撃」

南部オデッサで停電 「イラン供与のドローンで攻撃」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB110C60R11C22A2000000/

『【キーウ=共同】ウクライナのゼレンスキー大統領は10日のビデオ声明で、イランがロシアに供与した無人機(ドローン)による攻撃で、南部オデッサ州内で150万人以上が電気を利用できない状況に陥ったと明らかにした。州都のオデッサ市によると、9日夜に電力インフラが破壊された。

一方、親ロシア派は10日、ロシアが2014年に併合したクリミア半島南東部の集落ソビエツキーにあるロシア軍動員兵の兵舎で火災があり、2人が死亡、約200人が避難したと通信アプリなどを通じて伝えた。同半島で活動するクリミア・タタールのパルチザン部隊を名乗るグループが同日、犯行を認める声明を発表し「ロシア軍を内部から破壊し続ける」と警告した。

ロシアが併合を宣言した南部ザポロジエ州のロシア側「行政府」幹部は10日、ウクライナ軍がメリトポリのロシア軍拠点を米国供与の高機動ロケット砲システム「ハイマース」で攻撃し、2人が死亡したと発表した。ウクライナ側のメリトポリ市長はロシア側に200~300人の犠牲が出たと主張した。

ウクライナでは首都キーウ(キエフ)を含む複数の地域で停電が続いている。ロシアのプーチン大統領は8日、電力インフラへの攻撃について「われわれがやっている」と明言。「誰がクリミア橋を攻撃し、クルスク原発の送電線を爆破したのか」とウクライナの関与が疑われる事件を列挙し、報復攻撃だと正当化していた。

【関連記事】

・プーチン氏会見「予防攻撃の検討も」 米核戦力に対抗
・ウクライナ外相、仏大統領の発言「理解できない」
・ロシア戦死者1万人の名前確認、動員兵は400人 BBC調査

ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 』

メディア王、トランプ氏に絶縁状 試される「岩盤」強度

メディア王、トランプ氏に絶縁状 試される「岩盤」強度
ワシントン支局長 大越匡洋
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN29DIH0Z21C22A1000000/

『「フロリダ男が発表」。保守系の米大衆紙ニューヨーク・ポストは11月16日付の1面の最下段にこんな1行を載せた。トランプ前大統領(76)が事前に「重大発表」と宣伝し、前日に南部フロリダ州の自邸マール・ア・ラーゴで臨んだ2024年次期大統領選への出馬表明というニュースをこれ以上ないほど軽く扱った。

トランプ氏が2024年大統領選に出馬表明した翌日、ニューヨーク・ポストの1面に載ったのはたった1行「フロリダ男が発表」だけ

中間選挙を受けてトランプ前大統領が「勢いよく落ちた」とからかったニューヨーク・ポストの紙面

26ページ目にようやく載った短い記事は「フロリダ州の退職者が大統領選に立候補するという驚きの発表をした」と書き出し、「トランプは第45代大統領も務めた」と結んだ。同紙はメディア王、ルパート・マードック氏(91)の傘下メディアの一つだ。

11月の中間選挙で野党・共和党は期待された「大勝」を逃した。現政権の実績に対して米国民が初めて意思表示する中間選挙は政権与党が負けやすい経験則がある。ところが今回、民主党は議会上院の多数派を維持した。20年大統領選の敗北をいまだ認めない過激なトランプ主義を嫌悪し、無党派層や穏健な保守層が共和党に背を向けた。

マードック氏傘下の保守系メディアは一斉にトランプ批判を始めた。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は投開票日直後の論説記事で「共和党の最大の敗者はトランプ」と断じた。ニューヨーク・ポストは卵を擬人化したハンプティ・ダンプティをトランプ氏の顔にした「トランプティ・ダンプティ」を1面に載せ、トランプ氏が「勢いよく落ちた」とからかった。
ライバルを称賛

マードック氏が1996年につくり、トランプ支持を鮮明にして保守層に圧倒的な人気を誇る「FOXニュース」もトランプ氏から微妙に距離を取り始めた。人気司会者ローラ・イングラム氏は「あなたが自分のエゴや恨みを国益より優先していると有権者が結論付けたら、彼らはほかを探すことになる」とトランプ氏を暗に批判した。
保守系メディア「FOXニュース」を傘下に持つメディア王、ルパート・マードック氏=ロイター

一方で次のリーダーとして持ち上げているのが有力なライバル、フロリダ州のロン・デサンティス知事(44)だ。

トランプ氏は強く反発している。「FOX、WSJ、もはや偉大ではないニューヨーク・ポストはロン・デサンクティモニアス(DeSanctimonious)に全面的に協力している」。聖人顔をした偽善者といった意味の「sanctimonious」を組み合わせたあだ名でデサンティス氏を呼び、保守系メディアもろとも攻撃対象とした。

マイケル・ウォルフ氏の著書「炎と怒り」によると、マードック氏はかつてトランプ氏との電話を終え、「なんてバカだ」と吐き捨てた。それでも両者の蜜月は続いた。両者はこのまま決別するのか。長い大統領選は候補者の浮沈が激しいだけに、世論の動向次第で両者が復縁する可能性は否定できない。

6日のジョージア州の上院選決選投票でもトランプ系候補は敗れた。トランプ氏の求心力が陰るなか、党内予備選をまず勝ち抜かなければならない共和党議員は引き続きトランプ信奉者の動きに目をこらし続ける。トランプ氏は約40%の支持率を保ち、信奉者は「岩盤支持層」と呼ばれるからだ。マードック氏傘下のメディアが強硬な保守層にどれだけ影響力を持つか。メディア王の実力と「岩盤」の強度を試す局面となる。
米中Round Trip

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グローバルViews

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メディア王、トランプ氏に絶縁状 試される「岩盤」強度(0:00)
トルコ与党、21年目の試練 選挙控え若者がそっぽ(5日)

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北米 』

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