管理社会は、共産国家特有の現象ではない。

管理社会は、共産国家特有の現象ではない。 : 机上空間
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/30320875.html

 ※ 今日は、こんな所で…。

『私は、このブログで、武漢肺炎を発端にした、中国共産党が目指す、高度な管理社会について、いろいろと批判気味に書いてきました。健康バーコードを利用して、都合の悪い人間を強制隔離したり、監視カメラの顔認証システムと紐づいた、個人単位の社会信用システムの活用。デジタル人民元の普及による、個人の資産や購買履歴を丸裸にする試み。特に、社会信用システムで、中国政府が共産党にとって、有用か害かを点数で評価する「信用スコア」は、点数が悪化すれば、その個人は、公共サービスから排除される事で、一生に渡って不利益を被る事になります。例えば、公職から排除。高速鉄道や飛行機での移動禁止。親族の大学進学の取り消し。現在の職から失職。特定の場所への出入りの禁止。共産党にとって、危険分子である人間が、社会に影響を及ぼす手段を排除する事で、将来のトラブルの芽を摘むわけです。そして、立ち寄った場所などの履歴から、反共産党的な集会などに参加していれば、その組織ごと壊滅させる事を狙っています。

とても判り易い例で言うと、冬季・北京オリンピックが開催された時に、人民に交通信号を遵守させる為に行った事例があります。横断歩道で信号を無視すると、近くに設置された大型のモニターに、その人間の個人情報と、顔写真が表示されて、「この人物は、信号を無視しました」と表示されるのですね。そういう罰則を即時に与える事で、交通信号を遵守する習慣を強制的に定着させたのです。全人民の個人情報を管理し、監視カメラの顔認証システムと紐づいているからこそできる事です。

中国共産党の監視社会は、国の治安の安定をかけたガチのシステムなので、欧米の基準では考えられない程に個人のプライバシーに踏み込みます。独裁政権下では、それが許されるのです。

では、民主主義社会では、そのような事が起きないかと言えば、実は人間社会を管理する方法論というのは、思想ごときでは左右されなかったりします。形と程度は違えど、中国のような監視社会というのは、別の必要性から結果として似たような制度として出てきます。このブログの以前の投稿でも、数回取り上げましたが、ロシアとアメリカというのは、まったく社会体制の違う国として認識されていますが、社会に起きている個々の現象を観察すると、原因は違えど、双子のように似ています。つまり、問題に対応する人間の行動・想像力というのは、思想ごときでは変えられないくらい、限界があり、起きている現象だけ見れば、似ているというわけです。

では、アメリカで起きている監視社会制度とは何かと言うと、城塞街と呼ばれる、そこに住むには、一定額以上の年収を得ている富裕層しか許されない、常に警備員と周囲を取り囲む高いフェンスに守られた住宅区画全体が城塞と化した街です。城塞街が出来た原因は、アメリカの全体的な治安の悪化・犯罪の増加です。その為、街の区画全体を高いフェンスで囲み、24時間、専属の警備員が、区画に出入りする人間を監視して治安を保証する住宅地が、全米各地に出現しています。

行政が市民に押し付けたわけではないですが、セキュリティーに多額の出費を容認できる富裕層が、自らの判断で、外界と仕切られた治安の良い区画を作り出し、その中で生活を始めたのです。人によっては、プライベート・ジェットを持っていて、区画内にある飛行場から、出勤する人もいます。つまり、犯罪が存在する外界と、一切の接触なしに生活ができるわけです。

さて、ここまで裕福ではないが、上級階層に属する市民は、市の行政を乗っ取って、自分達で管理する事を始めています。そこそこ上流の人にとって、必要の無い公共サービスというのが存在します。例えば、図書館・公民館・公立病院・・・。上流の人にとって、教育も治療も、プライベートな出費で賄えます。それよりも、重要なのは、自分の財産を犯罪から守る為の警察力です。その為、そこに住む市民全体の福祉を考える市から独立して、自治管理をする新しい行政区画として独立し、そうした福祉の予算配分を思いっきり減らして、警察も民営化する事で効率化し、自分達に住みよい環境を作るというブームが起きています。

こういう行政が行われると、収入の低い層にとって、その行政区画自体が、とても住みにくくなります。安く利用できる施設が閉鎖されたり、貧民向けの救済サービスが廃止されるからです。それに頼る必要の無い、上流層にとって、そういう支出は無駄に過ぎません。結果として、低所得者が区画からの転出を余儀なくされ、残った上級市民にとっては、治安の良い街が自動的に実現できるという仕組みです。治安が良くなれば、その区画の地価も上がり、再開発も進むでしょうから、二度と戻ってこれなくなります。

国家が問答無用で人民に押し付ける監視と、市民が自由意志で創り上げた監視とでは、根本的な意味合いが違いますが、結果で見ると、その気持ち悪さは、とても似ています。アメリカでも、自身の財産と生命を守るという名分の元に、緩やかな個人の監視と、市民の選別が始まっているのです。』

「反撃能力の容認検討」の報に荒れるパヨクを嗤う

「反撃能力の容認検討」の報に荒れるパヨクを嗤う
https://yukokulog.blog.fc2.com/blog-entry-4752.html

『Twitterのトレンドに「立憲民主党」というワードが出ていたので、面白半分にその盛り上がりを調査してみた。どうやらアチラ側の人々が、この記事に脊髄反射しているらしい。

立憲民主党、「反撃能力」容認で検討 維新・国民に続き (日経)

立憲民主党は政府が国家安全保障戦略など防衛3文書を改定するのを前に独自の安保政策をまとめる。日本維新の会や国民民主党に続き、相手のミサイル発射拠点などをたたく「反撃能力」の容認を検討する。責任政党として現実的な政策を示す狙いがある。

政府は日本を取り巻く安保環境の変化を受けて12月中旬に国家安保戦略など防衛3文書を改める。立民や維新、国民民主は3文書に野党の意見を反映させるため党内で議論している。(以下略)

玄葉光一郎
立民党外交・安保戦略プロジェクトチーム会長の玄葉光一郎

 自民党は左右の幅が広すぎる政党だが、立憲民主党もその点は同じだ。自民党崩れもいれば、旧社会党から移籍してきた議員もいて、政府与党の批判では結束するが、こういう国の根幹を議論すると党内の意見はまっぷたつに割れる。どうみたって左足に比重がかかる政党だから、支持者も当然、軸足は左だ。その左側の人たちが、この立民の「反撃能力の容認」という議論の方向性に怒っているのだ。

もしこれをやったら、立憲民主党の支持者は半減すると思います。否、消滅するかもしれません。 https://t.co/i4WsBgCFns
— 前川喜平(右傾化を深く憂慮する一市民) (@brahmslover) December 4, 2022

近く、立憲民主党は瓦解・消滅するでしょうね。創設者の変節ぶりにも目を覆いたくなります。 https://t.co/qURNdTbasc
— 松尾 貴史 (@Kitsch_Matsuo) December 5, 2022

 これらのツイートはほんの一例だ。なかでも立民の支持母体である労組の怒り狂ったツイートが目につく。日経は「台湾有事は絵空事ではない。野党の無責任な政策にはこれまで以上に厳しい目が注がれる。」と書いているが、無責任な言動を繰り返してきた立民党が、コア支持層の猛烈な反対を押し切って、責任野党になることはないだろう。もしかしたら、こういうイシューでまた党が割れ、党名ロンダリングと野合再開となる可能性だってはらむのだ。

 自民党の防衛政策に対し、中共の顔色をうかがいながら反対してきた公明党も、グダグダ言いながらも反撃能力保持については“折れた”。ウクライナ戦争を目の当たりにし、台湾海峡や尖閣沖で威嚇行動を繰り返す中共の真の姿に、国民は気づいてしまった。だからいまの世論は、防衛費の増額や反撃能力の保持を推している。公明党はその世論を無視できなかった。立民も現在は被害者救済法案に注力しているとの宣伝で胡麻化しているが、それがいつまで持つのかどうか。

 保守派も他人のことを言えた義理ではないけれど、仲間割れと分裂を繰り返してきたのが戦後サヨクの歴史だ。立民党は、共産党との共闘という大失敗の経験から、より現実的な路線を模索しているのかもしれないが、いったん左に大きく舵を切ってしまった政党が、少しでもその舵を戻そうとすれば、支持層からの反発を招く。要するに、立民党は自分が蒔いた種で自分の首を絞めているということだろう。これを裏切り行為と認定し、怒り狂うパヨクも嗤いのネタとして面白い。

 立民党には、悪いことは言わないから、分裂でも消滅でも何でも構わないから消えてなくなってもらいたい。今の日本に、立民や共産のようなクレーマーの相手をしている余裕などないのだ。』

米陸軍が過去40年で最大のヘリ機種選定に結論

米陸軍が過去40年で最大のヘリ機種選定に結論:東京の郊外より・・・:SSブログ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-12-08

『 UH-60 Black Hawk 2000機の後継ヘリFLRAA選定
Bell社の「V-280 Valor」に決定
1980年代から計画と中止を繰り返したヘリ選定の末に
もう一つのヘリFARA機種選定は継続実施中

V-280 Bell.jpg12月5日、米陸軍が2021年夏から実施してきた将来長距離攻撃ヘリ(FLRAA:Future Long-Range Assault Aircraft)機種選定において、争った2機種「Bell社のV-280 Valor」と「SikorskyとBoeingのDefiant X」から、オスプレイのようなティルローター式のV-280 Valorを選定しました。

FLRAAは、UH-60 Black Hawk約2000機の後継ヘリと見なされており、1対1で後継機が導入されるわけではないようですが、「米陸軍で過去40年間で最大のヘリ調達案件」と言われる大きなプロジェクトで、海外需要も含めると10兆円近くの巨大プロジェクトになる可能性があると言われている選定でした

V-280 Bell3.jpg2021年夏からのFLRAA機種選定だと冒頭で申しましたが、2つの候補機種は2017年と2019年に初飛行を行い、その後米陸軍による段階的な様々な検証やフライト試験を経て、2021年夏からの最終評価段階を迎えており、米陸軍担当の少将は「米陸軍航空部隊の歴史上、最も大規模で複雑な機種選定であった」と結果発表会見で述べています。
そのようなコメントが米陸軍幹部から出るのも当然で、米陸軍は1980年代から新規ヘリ導入プロジェクトにことごとく失敗しており、最近では約9000億円の開発費を投じた「Boeing-Sikorsky RAH-66 Comanche」ヘリ導入を、最終段階の2004年に断念するなど、退役済みヘリ2機種の後継機を決められないまま、現有機種と無人機で代替してきた「黒歴史」を刻んでいるところだからです

FLRAA2.jpg今回の選定も、全くタイプが異なる、ティルローター型の「V-280」とステルス形状の従来型ヘリ「Defiant X」が候補機で、目指すところがわかりにくい選定となっており、「米陸軍の対中国等の本格紛争での役割の迷走」と陰口をたたかれる事態となっている選定です

敗れたSikorskyとBoeing側は、米陸軍からの選定結果フィードバックを待って「next steps」を考慮すると意味深な声明を出しており、米陸軍航空関係者は気が気ではないところでしょう。

加えて、FLRAAと同じく2030年部隊配備を目指す将来攻撃偵察ヘリFARA(Future Attack Reconnaissance Aircraft)候補機2機種が2023年末までに初飛行を行い、機種選定の山場を迎える予定となっており、1200機保有のApacheヘリの後継検討も絡んで、米陸軍航空関係者の悩みは尽きないところです

ところで今回FLRAAに選ばれた「V-280」は、
V-280 Bell2.jpg●兵装した12~14名の陸軍や海兵隊兵士を輸送できるティルローター機で、UH-60の約2倍の速度「280」ノットを目指して命名され、テスト飛行では300ノットも記録している

●UH-60の航続距離が320nmであったのに対し、400nmの航続距離を目指している・・・との特徴を持つ機体です

一方の「DefiantX」は、初飛行がBell社製より2年遅れ、その後も開発トラブル続きで素人的には印象は良くありませんでした。最高速度247ノットですが、低高度高速で機動性をアピールしていたところでした

//////////////////////////////////////////////////

FARA2.jpg

強固に防御された戦域での戦いを米軍が追求し、米陸軍も、部隊が分散し、機動的に移動して戦う演習に取り組む様子を先日ご紹介しましたが、その構想に「Bell V-280」が合致したのでしょう。でも、米陸軍がどこを目指すのか、対中国でどのような戦い方を追求するのか、未だによくわかりません

順調に機種選定結果が受け入れられ、FARA(Future Attack Reconnaissance Aircraft)の選定も順調に進むことを祈念申し上げます

UH-60後継検討について

「米陸軍UH-60後継の長距離攻撃ヘリの選定開始」→https://holylandtokyo.com/2021/07/16/2009/
「米陸軍ヘリは無人化でなく自動化推進の方向か!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-11
「UH-60後継を意識した候補機開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-06-16

対中国を想定した太平洋陸軍の演習
「対中国で分散作戦演習JPMRC」→https://holylandtokyo.com/2022/11/14/3900/

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

タグ:Black Hawk UH-60 future attack reconnaissance aircraft Future Long-Range Assault Aircraft FARA FLRAA Sikorsky Boeing bell DEFIANT X V-280 』

ドイツで陰謀論グループが国家転覆狙ったクーデターを計画

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:ドイツで陰謀論グループが国家転覆狙ったクーデターを計画
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5394095.html

 ※ 「ハインリヒ13世」とか、いつの時代の話しだよ…。

 ※ 「25人」で、「国家転覆」とか、本気だったのか…。

 ※ 『国内16州中11州に3000人以上を投入し、関係先130か所以上の捜索に入る』…。

 ※ まあ、政府側の対応見ると、それなりに「脅威」だったんだろう…。

『ドイツ連邦検察庁は2022年12月7日、政権転覆を企てたなどとして、貴族の子孫「ハイリヒ13世」など極右勢力メンバーら22人とロシア人1人を含む支援者3人を拘束したと発表した。一部は武装して連邦議会襲撃を準備した疑いがある。独当局は7日、国内16州中11州に3000人以上を投入し、関係先130か所以上の捜索に入るなど強制捜査に踏み切った。

65333063-11511519-image-a-5_1670409280776 

 こい報道によると、二人の主犯格の一人は、かつてドイツ東部の一部を統治したロイス家(Haus Reuß)出身で「ハインリッヒ13世ロイス公(Heinrich XIII Prince Reuss)」を名乗る71歳の男で:右、拘束されたロシア人支援者を通じてロシア政府と接触しようとした疑いがあるという。拘束者は、オーストリアとイタリアでもそれぞれ1人となっている。右は、2019年チューリヒのthe Worldwebforum で講演するハインリッヒ13世。
terrorist-inserts-magazine-into-

メンバーは昨年11月末までにテロ組織を設立。陰謀論を唱え、暴力的手段で独自の国家樹立を目指していた。警察官や軍人の勧誘を試み、クーデターを計画していたという。

また、容疑者グループはアメリカの陰謀論にも感化されており、ドイツ政府がいわゆる「ディープステート」と呼ばれる勢力に支配されていると固く信じて、その暴力的な排除に参加するための具体的な準備を決行していたとのこと。

当局は「ライヒスビュルガー(帝国市民)運動 Reichsbürger movementとQアノンQAnonのイデオロギー的な物語から成る陰謀論神話の集合体」と形容される勢力の関与を疑っている。

この勢力には、戦後の連邦共和国の存在を否定し、なかにはドイツ帝国の継続を信じる人もいる。

ナンシー・フェーザー内相は声明で「摘発された組織は、暴力的な幻想と陰謀論に突き動かされている。転覆計画がどこまで進んでいたのかは、今後の捜査によって明らかにされる」と述べた。参照記事 参照記事 英文記事 』

中国、世界初の無人運転ドローン空母を就航

中国、世界初の無人運転ドローン空母を就航 | BRIDGE(ブリッジ)テクノロジー&スタートアップ情報
https://thebridge.jp/2022/06/ai-maritime-influence-china-launches-worlds-unmanned-drone-carrier

『中国は、AI の活用により海洋での影響力を拡大するため、世界初の自動運転ドローン空母の開発に成功した。
Photo credit: 珠海市

遠隔操作と自動運転の両方が可能なこの船は、ドローンや潜水艇を含む数十台の無人機を搭載することができる。また、それらのドローンを自動運転で発進・回収させることも可能だと、South China Morning Post(南華早報)が報じている。

造船所の黄埔文冲船舶によると、無人機に搭載された機器は、より良い海洋観測と海洋科学研究に役立つという。ドローン群をあるエリアに展開し、ドローンが観測しているものを3次元的に表示することができる。

この装置は、南方海洋科学・工学広東省実験室(珠海)が開発した船のインテリジェント移動式海洋立体観測システム(IMOSOS)の一部で、これも世界初の試みだ。IMSOS は、海洋災害の防止・軽減、海洋環境のモニタリング、洋上風力発電所の維持管理などに有効であると考えられている。
Photo credit: CSSC 中船黄埔文冲船舶

「Zhu Hai Yun(朱海雲)」と名付けられたこの船は、現在海上試運転中で、年内の引き渡しが予定されている。中国船舶工業集団傘下の黄埔文冲船舶は、2021年7月に建造を開始した。本船に搭載される動力、推進、情報、調査運用支援システムの大部分は中国で製造された。

この船は最大18ノット(時速約33キロメートル)とコンテナ船と同程度の速度で移動することができる。

【via Tech in Asia】 @Techinasia

【原文】https://www.techinasia.com/ai-maritime-influence-china-launches-worlds-unmanned-drone-carrier 』

アメリカ海軍は将来、艦載機の6割をドローンにする

アメリカ海軍は将来、艦載機の6割をドローンにする…空母搭載の無人機初飛行から80年
https://news.yahoo.co.jp/articles/fda91e50a6135dbbee8d2f7fb8e119affec5dbd2

『アメリカ海軍は空母に搭載するドローンに多額を投じている。

公式の声明でも、空母に搭載する艦載機の60%をドローンにしたいと述べている。

【全画像をみる】アメリカ海軍は将来、艦載機の6割をドローンにする…空母搭載の無人機初飛行から80年

アメリカ海軍が空母に搭載した無人機の運用を初めて試みたのは、80年前のことだ。

アメリカ海軍は空母にドローンを導入するため、懸命な取り組みを行っている。同海軍は公式に、空母に搭載する艦載機に占めるドローンの割合を、これまでは40%を目標にしていたが、大幅に増やして60%を目標にすると述べている。

これをリードするのがボーイングの無人空中給油機「MQ-25スティングレイ」で、最終的には機密情報収集などの新しい役割を担うようになるという。

MQ-25は2025年9月までに初期の運用能力に到達し、2026年には空母に配備される見込みだ。

これは海軍で運用される初の空母を拠点とした専用機になるが、アメリカ海軍が甲板で運用する初の無人機というではない。

空母から始めて飛び立ったアメリカ海軍のドローンは、ネーバル・エアクラフト・ファクトリー(Naval Aircraft Factory:NAF)のTDN‐1で、1943年8月10日に飛行している。
最初のドローン「TDN‐1」

1940年代には、無人の乗り物は新しいコンセプトではなかった。

アメリカ海軍はすでに10年以上、銃撃や爆撃の訓練にラジコン操縦の標的船を使用してきた。ラジオやテレビの技術革新によって、無人航空機も現実的になっていた。

TDN‐1は、第一次大戦中に設立され、海軍専用の航空機を製造していた海軍が所有する企業、NAFが設計した。

1942年1月、アメリカが正式に第二次世界大戦に参戦した直後、NAFは爆弾や魚雷を搭載して空母に搭載できる無人航空機の製造の任務を課された。

1カ月後、NAFのプロトタイプは生産が承認された。

プロトタイプは全長37フィート(約11.3m)、翼幅48フィート(約14.6m)で、地上または、近くを飛行する別の航空機から操縦可能だった(随伴機は複数のTDN‐1を一度に操縦できた)。パイロットが必要な場合に備え、コックピットも設けられていた。

大部分は木製で、先端にはカメラを装着し、コックピット後方の胴体部分にはラジコン操作装置を搭載していた。2000ポンド(約900kg)の爆弾または魚雷を1つ、あるいは小型爆弾を2つ搭載可能だった。

アメリカ海軍は1942年3月に「攻撃ドローン」と呼ぶTDN‐1を100機オーダーした。そして8月10日、3機のTDN‐1がミシガン湖の訓練空母「セーブル」から飛び立ち、歴史にその名刻んだのだ。

最初のTDN‐1は、通常の離陸より急な角度で飛び立ったのち、飛行に成功した。2機目はさらに急な角度で離陸し、失速して海に落ちた。3機目の離陸は完璧に成功した。

その後、1機目と3機目のドローンは近くの基地に着陸した。

1944年10月31日、6機のTDN‐1が特殊空挺部隊とともに空母「チャージャー」から飛び立ち、再び歴史を作った。

最終的にTDN‐1は配備されることはなかった。この技術は大量生産するにはあまりにも複雑で高価なことがわかり、このプロジェクトは中止となったのだ。多くの残されたTDN‐1は、訓練の標的として使われた。

だがTDN‐1が行ったことは、第二次世界大戦の終了間際に太平洋で限定的に使用されたインターステート社の攻撃ドローン「TDR‐1」の設計に生かされた。』

『MQ-25スティングレイ

それから80年が経ち、アメリカ海軍は艦載機に固定翼のドローンを再び取り入れようと試みている。

MQ-25は、1万5000ポンド(約6.8t)の燃料を約500海里(約920km)運べるよう設計され、航続距離が約300マイル(約482km)のF/A-18やその他の航空機の航続距離を延ばし、主に空中給油の任務を担うF/A-18Fを他の用途に使えるようにすることができる。

このドローンは、空中での燃料補給が可能であることを示し、有人と無人のチーム編成テストや空母「ジョージ・H・W・ブッシュ」に搭載してデッキハンドリングテストなどを行ったが、空母からの離着陸はまだ行っていない。

ボーイングは2021年9月、この春に行われたバーチャルデモンストレーションでMQ-25と地上管制ステーションが、戦闘機F/A-18と哨戒機P-8A、早期警戒機E-2Dとともに任務を遂行できる能力を示したことを発表した。

海軍の担当者は、MQ-25のテストは、将来の無人機が戦闘機とどのように連携し、空母でどのように運用されるか、また1人のオペレーターを有するスティングレイの地上管制ステーションがどのように他のドローンを操縦できるのかについて理解するのに役立ったと、9月のテールフック協会のシンポジウムでAviation Weekに語っている。

担当者は艦載機の60%を無人機にするという新しい目標についても説明した。

無人航空機と兵器に関するアメリカ海軍のプログラムエグゼクティブオフィサーを務めるステファン・テッドフォード(Stephen Tedford)准将は9月、Insiderに対して、MQ-25がオンラインになり、兵士がより熟達してくれば、「複数の異なる役割を担うために空母に搭載する無人機の割合を大きく増やす」と語っていた。

[原文:80 years after launching the first drone from an aircraft carrier, the US Navy is planning to fill its flattops with them]

(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)

Benjamin Brimelow 』

日本も参考にするべきウクライナの「長距離ドローン」の運用 ロシア軍の軍用飛行場を攻撃

日本も参考にするべきウクライナの「長距離ドローン」の運用 ロシア軍の軍用飛行場を攻撃
https://news.yahoo.co.jp/articles/1b54335cc8a6e78f50c67e3431ac0032a4297b17?page=1

『ジャーナリストの佐々木俊尚が12月7日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ロシア領内を攻撃したウクライナ軍の長距離ドローンについて解説した。

ウクライナ軍、初めてロシア領内を無人機で攻撃か

【ウクライナ侵攻】記者会見するウクライナのゼレンスキー大統領=2022年4月23日午後、ウクライナ・キーウ 写真提供:産経新聞社

ロシア国防省は、西部リャザン州と南部サラトフ州にあるロシア軍の軍用飛行場が12月5日、ウクライナ軍のドローンで攻撃されたと発表した。ウクライナ政府高官も5日、米紙ニューヨーク・タイムズにウクライナ軍による攻撃だと述べ、ロシアのウクライナ侵略開始後、ウクライナ軍がロシア領内深くに攻撃した初めてのケースとみられる。

飯田)ロシア側は報復として、ウクライナのエネルギー施設など17ヵ所を精密兵器で攻撃したそうです。
モスクワも狙える距離まで届く兵器を手に入れたウクライナ ~敵基地攻撃能力

佐々木)すごいことですよね。ウクライナとの国境から600キロも離れている軍用飛行場が攻撃されたのですが、モスクワとウクライナは500キロくらいしか離れていません。単純計算で、ウクライナはついにモスクワを狙える距離まで届く兵器を手にしたということです。まさに敵基地攻撃能力ですよね。

飯田)おっしゃる通りですね。

佐々木)ここ最近、ロシア側はエネルギー施設を攻撃し、ウクライナは停電したりして大変でした。インフラを狙われたらたまらないということで、とにかく国境からいかにロシア軍を遠ざけるかということに苦心していたわけです。その反撃の一環として行ったのでしょう。ロシア軍が国境から後ろに退いてくれれば、インフラ施設を狙われずに済むだろうという目論見だったのではないかと思います。

このドローンをどこから手に入れたのか

飯田)ドローン(無人機)による攻撃ということですけれども、人も亡くなっており、ロシア国防省は3人が死亡したと発表しています。ドローンはここまで進化しているのですね。

佐々木)現状のドローンは、それほど巨大なものはないはずなので、このドローンをどこから調達したのかはまだわかりません。

飯田)大きな無人機で、日本も入れようとしているようなタイプのものだそうです。

佐々木)ウクライナに供与されているトルコ製のTB2は150キロくらい(の航続距離)ですから、それではないと言われています。何かを改造したのではないかという説など、いろいろ出ているようです。

飯田)海上保安庁が入れようとしているアメリカの「グローバルホーク」は、長距離を飛べますが。』

『中国に対する抑止力として日本も長距離ドローンを持つべき

佐々木)日本でも南西諸島の防衛に、2025年ごろからドローンを導入する計画を立てているようです。

飯田)南西諸島の防衛に。

佐々木)まさに我々の国が「反撃能力をどこまで持つか」という議論と重なってくるわけです。ドローンの利点は、低い高度を目立たずに飛ぶことができるところです。

飯田)低い高度で。

佐々木)しかも無人なので、攻撃する側の被害の心配がない。日本では、反撃能力を持つと「自衛隊の被害がどうなるのか」という議論が起こるのだけれども、ドローンであれば少なくとも、自衛官が被害を受けることはほぼないでしょう。

飯田)そうですね。

佐々木)そういうことを考えると、日本も長距離ドローンを持つことによって、中国に対する抑止になるのです。それをもう少し真面目に考えなくてはいけない時期に来ていると思います。

飯田)中国に対して。

佐々木)いまのところ日本で導入しようとしているのは、アメリカの「スイッチブレード」という距離も滞空時間も短いものです。今回のウクライナの反撃を見て、「もう少し大きいものを導入してもいいのではないか」という議論が高まる可能性はあるでしょうね。
海上保安庁が運用する大型無人航空機「シーガーディアン」

飯田)海上保安庁は、監視や哨戒のための大型無人航空機として、「シーガーディアン」の運用を既に開始しています。昔、シーガーディアンについて取材したことがあり、「ジェネラル・アトミクス社」がドローンの展示会に出していたのです。

佐々木)日本の展示会ですか?

飯田)日本です。5~6年以上前なのですけれども、「いまポッドにカメラを付けていますが、これは脱着できて、いろいろなアタッチメントを付けることが可能です」と説明されていました。

佐々木)兵器にもなるのですね。

飯田)「平時にはカメラを付けて災害監視などに使えます。そして有事の際は……」というような説明をしていました。滑走路も短くて済むことを考えると、海上自衛隊が持っているヘリ搭載護衛艦と呼ばれるようなものは……。

佐々木)空母だろうと言われているものですよね。

飯田)戦闘機が発着するには短いかも知れないので、垂直離着陸で対応すると言われていますけれども、いろいろな可能性が出てくるのではないでしょうか。
台湾有事の際、南西諸島を守るためにも長距離ドローンを持つ必要がある

佐々木)中国は、西の中国大陸側からの攻撃では台湾を占領できないので、東側に回り込むだろうという議論があります。

飯田)太平洋側に回り込む。

佐々木)そうすると当然、日本の南西諸島も巻き込まれる可能性が極めて高い。

飯田)本島と宮古島の間で、あそこを通る演習を活発にやっていますよね。

佐々木)ますます南西諸島をどうやって守るのかという議論が重要になります。そのなかで、抑止力として長距離ドローンを持つことは、当然の方向として考えるべきではないかと思います。

飯田)ウクライナの話は、我々の南西の守りとリンクしてきますよね。

佐々木)そうなのですよね。』

最低10年以上の時間が必要、オーストラリアの原潜導入や国内建造が簡単ではない理由

最低10年以上の時間が必要、オーストラリアの原潜導入や国内建造が簡単ではない理由
https://grandfleet.info/us-related/at-least-10-years-required-why-australias-nuclear-submarine-introduction-and-domestic-construction-are-not-easy/

『米メディアのBreaking Defenseは「オーストラリアの原潜導入は大きな疑問と困難な道のりをもたらす」と報じており、中々興味深い視点での考察を披露している。

参考:New Australia Nuclear Sub Deal Brings Big Questions, Hard Road Ahead
オーストラリアの原潜運用能力や国内建造能力の確立は米英の造船業界や原子力関係のインフラを圧迫する

Breaking Defenseの記事は大きく分けて豪州が原潜建造・運用能力をどのように獲得するのか、豪州が必要とする暫定的な原潜をどうやって確保するのか、核兵器の不拡散に関する条約(通称NPT体制)が発効してから50年間誰も試みてこなった抜け穴を使用した影響の3つの要素で構成されている。

原子力関連の技術や人員が0に近い豪州が原潜建造・運用能力をどのように獲得するのかについてBreaking Defenseは「原潜建造には原子力技術者だけでなく放射能に精通した医療スタッフのバックアップ、完成したシステムが安全に作動するのか検査を行う特殊な専門家も必要で、多様な原子力関連のスタッフを1から育成するのは一朝一夕では不可能だ」と指摘、さらに米海軍関係者も「原子炉を扱う技術者の育成には最低でも2年以上、原潜の運用に精通した指揮官や上級幹部を育成するにはもっと長い時間がかかる」と見ており、豪州が単独で原潜の建造や運用を行えるようになるまで10年~20年はかかるらしい。

つまり豪州が国内で原潜を建造できるようになるには最低でも10年以上かかるため、切迫した安全保障上の問題とコリンズ級潜水艦の後継艦問題を解消するには暫定的な原潜を米国や英国から購入するかリースする方式で調達するしかないと言う意味だ。

出典:public domain バージニア級原子力潜水艦ブロックIII ノースダコタ

では豪州が必要とする暫定的な原潜をどうやって確保するのかだが、これも簡単な問題ではないらしい。

仮に豪州が暫定的に8隻のバージニア級原潜を米国から購入もしくはリース方式で調達しようとしても米国の原潜建造能力は米海軍の需要(年1隻~2隻の建造)に合わせた構造に調整されているため、米国と言えども多様な原子力関連のスタッフを直ぐに増員=建造能力の引き上げは不可能(英国も状況は同じ)だと言っており「米海軍向けのバージニア級原潜を豪州に回せば、その分だけ米海軍の能力や戦力構成に影響がでる」と予想している。

さらに米英豪の発表によれば米英は豪の原潜導入や国内での原潜建造を支援することになっているため、米海軍は原潜運用に関する訓練スタッフや原子炉の取り扱いに手慣れた貴重な技術者を、米国の造船企業は余裕のない原子力関連のスタッフをオーストラリアに派遣する必要があるので非常に厳しいと言っているのが印象的だ。

Breaking Defenseは触れていないが米海軍から退役するロサンゼルス級原潜をオーストラリアに与えるにしても核燃料の交換や豪海軍仕様への改装が必要で、1年以上港で修理の順番が来るのを待っているロサンゼルス級が3隻もある状態でこれを強行すれば米海軍の原潜運用に影響を及ぼすことは目に見えている。

出典:Public Domain USSハンプトン

要するに豪州が原潜導入を決断したことで中国に対する米英豪の原潜戦力は短期間でプラスに転じることはなく、逆に米英の造船業界や原子力関係のインフラに負担がかかるため良くて現状維持、最悪マイナスに作用する可能性があるという意味だ。

勿論10年~20年の長期的な視野でみれば確実にプラスへと転じるが、豪が独自に原潜を建造して運用できる能力を確立するまでは緩やかに計画を進めないと米英のインフラはパンクするかもしれない。

最後に核兵器の不拡散に関する条約(通称NPT体制)が発効してから50年間誰も試みてこなった抜け穴=原潜の核燃料(高濃縮ウラン)は核兵器ではないというスキームを利用したオーストラリアの原潜導入は必ず悪い前例となり、仮にイランが同じスキームを使用して高濃縮ウランを使用する原潜を導入すれば米英は到底容認(原子炉に使用されている高濃縮ウランを利用して核兵器を製造できる可能性があるため)できないだろうとBreaking Defenseは指摘している。

そのためオーストラリアに与える原潜は高濃縮ウランではなく低濃縮ウランを使用したタイプにしないと不味いことになると言っているが、米英とも高濃縮ウランを使用した原潜しかないので「低濃縮ウランを使用した原子炉や複数回の核燃料交換に対応した原潜を別途開発する必要がある」と主張しているものの開発費用や開発期間を考えると中々難しい選択になるかもしれない。

結局、低濃縮ウランを使用した原潜技術を世界で唯一保有しているフランスを豪原潜導入の枠組みに残していれば「抜け穴の問題を回避することが出来た」というのは皮肉としか言いようがない。

因みにBreaking Defenseの分析は情報が少ない現段階のものなので、18ヶ月後に発表される豪原潜導入の詳細が判明すれば分析結果は大きく代わると思う。

関連記事:オーストラリア、国内建造の準備が整うまでリース方式による米原潜調達を検討

 ※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo courtesy of General Dynamics Electric Boat 』

米国防長官、オーストラリアの潜水艦能力にギャップを生じさせないと約束

米国防長官、オーストラリアの潜水艦能力にギャップを生じさせないと約束
https://grandfleet.info/indo-pacific-related/us-defense-secretary-promises-no-gaps-in-australias-submarine-capabilities/

『米国とオーストラリアの閣僚協議「AUSMIN」でオースティン国防長官は「コリンズ級潜水艦から原潜への移行にギャップが生じることを許容しない」と約束、これを埋めるための新たな潜水艦取得に注目が集まっている。

参考:SecDef pledges to close Aussie Collins sub gap; Japanese forces to ‘integrate’ with US, Aussies
参考:Will US supply Australia with AUKUS subs? ‘That’s not going to happen,’ key US lawmaker says
コリンズ級潜水艦から原潜に直行するスケジュールで行くのか、通常動力型潜水艦を挟む緩やかなスケジュールで行くのか

アタック級潜水艦から原潜導入に方針を転換したモリソン政権は「コリンズ級潜水艦から原潜への移行」を目指していたが、原潜の国内建造には準備に時間がかかり、米海軍も英海軍にも豪州に売却もしくはリースできるほど原潜に余裕がなく、米英には豪州向けの原潜を新たに建造する余剰能力がないことが濃厚で「コリンズ級潜水艦から原潜への直接移行は無謀だ」と野党から批判を浴びていた。

出典:Royal Australian Navy アタック級潜水艦の完成イメージ

さらに今年5月の総選挙で労働党が勝利、アルバニージー政権は2012年に策定された国防戦略が「急速な中国軍の台頭」や「台湾海峡の軍事的対立」をカバーしていないこと主張して見直しを指示、米国と英国のどちらから原潜の導入するのか、コリンズ級潜水艦から原潜に直行するスケジュールで行くのか、通常動力型潜水艦を挟む緩やかなスケジュールで行くのかについても「2023年に発表する」明かし、既にフランスや韓国が通常導力型潜水艦の売り込み開始している。

米ディフェンスメディアの説明によれば「韓国大使や国防部高官とオーストラリア国防省の関係者が会談した今年7月、韓国側は提案中のRedback、KF-21、潜水艦、低軌道通信システム、高速列車の売り込みについて議論を行った」と報じており、韓国の3,700トン級潜水艦はAIP機関とディーゼルエンジンの組み合わせで従来の通常動力型潜水艦より長距離航行が可能な点、水中発射式の弾道ミサイルを搭載している点、乗組員の士気を保つため居住性が優れている点などをアピールしたらしい。

出典:韓国大統領府 潜水艦「島山安昌浩」進水式

米ディフェンスメディアはオースティン国防長官の発言背景は不明だと言及した上で「通常動力型潜水艦の購入するよう働きかけている国々には歓迎されないだろう」と指摘しているが、米議会では政府が海軍の原潜を豪州に売却するのではないかと警戒しており、シーパワー・戦力投射小委員会(下院軍事委員会)のロブ・ウイットマン議員は「豪州が独自に原潜を建造できるようになるまで米国がロサンゼルス級かバージニア級を提供すればいいという話もあるが、米国の原潜建造に余裕はないので絶対にあり得ない」と主張している。

豪州が原潜を早く手に入れるには「伝統的な主権に基づく考え方を捨てて創造的なアプローチが必要だ」とも述べており、ウイットマン議員は「新たに建造するバージニア級を米海軍と豪海軍の混成クルーに対応した仕様を変更して二重指揮の下で運用すべきだ」と提案しているが、異なる主権国家が同じ軍艦を二重指揮するとなると管轄権や作戦権など法的な問題に直面するため米ディフェンスメディアは議員の提案には懐疑的だ。

出典:U.S. Navy photo courtesy of General Dynamics Electric Boat

ウイットマン議員は「米国がコマンド&コントロールの51%(決定権の優越を米国が握るという意味)を持つことになると思うが、これはオーストラリア海域での活動を妨げることにはならないし、作戦計画や実行についてもオーストラリア人と協議すればいい」と述べて実現可能と力説しているが「緊急事態の際は米国に戻ることになる」とも付け加えており、伝統的な主権に基づく考え方を捨てて創造的なアプローチが必要という割に「米国主権」を優先させる運用方法と言える。

混成クルー対応への改造費用や運用費用を負担するのにコマンド&コントロールが49%では「緊急事態時の確実性に欠ける=オーストラリア側が下した決断が確実に実行できるか怪しい」ため、安全保障上の観点から言えば絶対にオーストラリアは納得しないだろう。
出典:public domain 基地でコリンズ級に搭載されている戦闘システム「AN/BYG-1」のトレーニングを行うオーストラリア海軍将兵

もし豪州が新たな通常動力型潜水艦の導入に踏み切ればフランスと韓国の戦いになり、豪海軍にとって米国製のAN/BYG-1とMk.48の統合が絶対なのでオースティン国防長官の発言は「この辺りの事情」で協力する意思を示している可能性もあるが、仮に政治主導で海軍保有の原潜を豪州に提供するつもりなら議会との衝突は避けられない。

関連記事:大鉈を振るう可能性、豪政府が次期歩兵戦闘車の結果発表を来年に延期
関連記事:韓国、豪海軍のギャップを埋めるため弾道ミサイル搭載の潜水艦を提案
関連記事:豪海軍、アップグレードを行うコリンズ級潜水艦にトマホーク統合を検討
関連記事:豪前国防相が原潜導入計画を暴露、AUKUSのパートナーシップに悪影響か
関連記事:オーストラリアの原潜導入や国内建造が簡単ではない理由

 ※アイキャッチ画像の出典:Public domain コリンズ級潜水艦 』

ウクライナ軍、スバトボとクレミンナを結ぶ幹線道路に迫っている可能性

ウクライナ軍、スバトボとクレミンナを結ぶ幹線道路に迫っている可能性
https://grandfleet.info/european-region/ukrainian-forces-may-be-closing-in-on-svatovo-kreminna-highway/

『ルハンシク州のガイダイ知事は8日「ロシア軍がウクライナ東部戦線に大量の人員と装備を持ち込むのに成功した」と明かし「迅速な前進を期待するな」と釘を指したが、スバトボとクレミンナを結ぶ幹線道路に迫っている可能性が高い。

参考:ВСУ продвигаются на Луганщине: скоро будут хорошие новости – Гайдай
龍の歯や塹壕で構成された防衛ライン、ロシア国境~クレミンナまでの約100kmが完成

ここ数日のウクライナ軍参謀本部が発表する内容が事実なら「タヴィルザンカ」「プロシュチャンカ」「チェルボノポピフカ」で両軍が交戦(砲撃戦なのか、市街戦なのか、郊外での戦闘なのかは不明)していることになり、幹線道路「P66」にウクライナ軍が迫りつつあると言って良いのかもしれないが、飽くまで視覚的な裏付けは無いので推測に過ぎない。

出典:GoogleMap ルハンシク州周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

さらにルハンシク州のガイダイ知事は8日「クレミンナとスバトボに向けてウクライナ軍が少しずつ前進しているものの、この地域には動員された兵士、カディロフツィ、ロシア軍の正規軍、ヘルソン方面からやって来た空挺部隊など大量の人員と装備が持ち込まれている」と明かし、迅速な前進を期待するなと釘を差したが「近い将来に良い知らせが届くことを信じている」と付け加えている。

因みにロシア軍は大量の建築資材を投入してルハンシク州に「龍の歯や塹壕で構成された防衛ライン」を建設している様子が確認されていたが、衛星写真によってロシア国境~クレミンナまでの約100kmが完成していると報告されており、ゴルロフカ方面から伸びていた防衛ラインもリシチャンシク周辺に到達しているらしい。

追記

独フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)紙は「米国がレオパルド2のウクライナ提供を支持している」「提供するかしないかはドイツの決定に委ねられている」と報じていたいたが、ワシントンを訪問した国防委員会のツィマーマン委員長は「国防総省や議会との会談でも(戦車提供への支持が)確認された。米国はドイツが責任を果たすことを期待している。ウクライナを見捨ててはならない。戦車が必要とされている」と明かした。

Das wurde mir auch bei meinem Besuch in #Washington in allen meinen Gesprächen im Außenministerium, im Kongress und im Senat bestätigt. Unsere Partner erwarten, dass Deutschland seiner Verantwortung gerecht wird. Wir dürfen die Ukraine nicht im Stich lassen. Sie brauchen Panzer. https://t.co/Vm1VkS36xF

— Marie-Agnes Strack-Zimmermann (@MAStrackZi) December 7, 2022

果たしてどうなることやら、、、

関連記事:ウクライナ軍とロシア軍の戦い、激戦区はバフムートとマリンカを巡る戦い

 ※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ』

ポーランド最大の防衛産業企業、KF-21プログラムに参加することを希望

ポーランド最大の防衛産業企業、KF-21プログラムに参加することを希望
https://grandfleet.info/european-region/polands-largest-defense-industry-company-wants-to-join-kf-21-program/

『元ポーランド軍人のヤーチ下院議員が「KF-21のアップグレードバージョンがKF-21PLとして共同生産される可能性がある」と発言していたが、同国最大の防衛産業企業PGZの会長まで「KF-21プログラムへの参加」に言及して注目を集めている。

参考:폴란드 최대 방산업체 회장 “한국 KF-21 사업 참여하면 영광”
参考:Korea albo śmierć. Wielki program wymaga zdecydowanych działań w zbrojeniówce

ポーランド防衛産業界の命運は韓国との共同生産に掛かっているため現地メディアは「韓国か死か」と表現している

ワルシャワで韓国メディアの取材に応じたフバワーク会長は「KF-21プログラムに参加できるなら素晴らしいことで、韓国側がポーランドに一定の作業範囲を任してくれれば光栄だ。同機の構成部品を製造する拠点をポーランドに建設してくれればEU加盟国として周辺諸国にKF-21の採用を強く後押しできる」と明かしたため、韓国では「ポーランド側の立場ある人間が初めて『プログラム参加の意思』を公の場で口にした。ポーランドがKF-21の欧州進出における主要パートナーになるかもしれない」と報じている。

出典:KAI 한국항공우주산업

フバワーク会長の発言を韓国側へのリップサービスと見るかどうかは判断に迷うところだが、ポーランドでは韓国と締結した枠組みを活用して防衛産業の活性化を本気で狙っている。

防衛産業の活性化とは「武器で大儲けしよう」という意味ではなく、国防に投資される資金の受け皿=国内の防衛産業基盤がないと一方的に資金が国外へ流失するため、常識なコストで戦力を維持するのに欠かせないエコシステムを手に入れてたいとポーランドは考えており、この願いは韓国との協力に掛かっているため現地のDefence24は「韓国か死か」と表現しているのが興味深い。

出典:Public Domain アフガニスタンで使用されるポーランド軍のRosomak

Defence24の主張を要約するとポーランド過去、海外市場への供給も視野にパトリアAMVの国産化(Rosomak)と独自の派生型開発を進めたが、パトリア側の厳しい制限や我々の認識の甘さから何一つも成功せず、自国軍向けの需要を満たす生産に終わり、Leopard2A4のアップグレード計画もドイツ側がブラックボックス化された技術へのアクセスを拒否したため、2016年に開始され2021年に完了するはずだったレオパルド2PLへの改修作業は2027年にずれ込んでいる。

韓国製装備品の調達費用は決して安くないものの、投資する資金を国内経済に循環させるためのチャンスを提供してくれるためポーランドはこれを活かす必要があり、韓国との協力関係から十分な利益を引き出すためにはポーランド軍向けの生産だけではなく、ポーランドで生産された装備品の輸出機会も得なければならない。

出典:Ministerstwo Obrony Narodowej

韓国が約束した産業協力の範囲は広範囲に及び、しかも韓国側の準備は万端なので次から次へと我々に仕事を課してくる。韓国との合意で両国の防衛産業は運命共同体になり「ポーランドに必ず長期的な投資をしてくれる」と感じるかもしれないが、これは完全に誤解で長期的な投資が維持されるかどうかは全てポーランド側の努力に掛かっている。

現在、韓国製装備品にはノルウェー、ルーマニア、チェコ、スロバキア、フィンランドといった国々が長い列を作っており、これらの国々は防衛産業基盤が充実しているため必要なコンピテンシーを迅速に構築する試練から逃げれば、韓国製装備品の欧州におけるバブになるという構想を他の国に奪われ、ポーランドには自国向けのオーバーホール程度しか仕事が残らないかもしれない。

出典:Ministerstwo Obrony Narodowej ポーランドに到着したK2

そうならないためには韓国との協力関係を可能な限り相互利益の原則に基づいたものに仕上げ、ポーランドが韓国製装備品の欧州におけるバブとして機能するようにならなければならず、他の欧州諸国も韓国との防衛産業協力に関心を持っているため、とにかくポーランドはK2PL、K9PL、Chunmooの製造施設や保守拠点(FA-50は保守拠点のみ)を一刻も早く立ち上げて稼働させる必要があり「産業界は今回のチャンスを絶対に逃してはダメだ」と警告している。

仮に計画が躓いて防衛産業界の活性化に失敗(具体的にはK2PL、K9PL、Chunmooの現地製造に大きな遅れが生じてプログラムコストが高騰するなど)すれば経済的な恩恵はおろか、国防省からの発注も削減される可能性があり、Defence24は「ポーランドの防衛産業界にとって計画の躓きは停滞ではなく衰退に繋がる」と述べているのが印象的だ。

関連記事:米国にとって好都合、韓国と関係強化で合意したベトナムがKF-21を検討か
関連記事:欧州最強の地上部隊を整備するポーランド、天武×288輌の購入契約を締結
関連記事:米国もポーランドにHIMARSの技術移転と現地製造を容認、総費用の40%を還流
※アイキャッチ画像の出典:Ministerstwo Obrony Narodowej ポーランドに到着したK9

スイス「停電時にはEV使用を控えるべき」と緊急時対策の草案に盛り込む

スイス「停電時にはEV使用を控えるべき」と緊急時対策の草案に盛り込む
https://news.yahoo.co.jp/articles/c7b54962909c427ebeda134c803c00acdb0c54ba

『スイスでこのほど、電力不足に起因する停電という緊急事態時の対応策の草案が発表され、注目を集めている。この草案では、緊急事態が第3段階まで進んだ場合、多くの電力利用が制限または禁止される。中でも最も注目されているのは、不要不急の電気自動車(EV)の使用が制限されるという点だ。

注目を集めているのは、ガソリン車からEVへの移行に世界がどれだけ対応できるかが議論されているためだ。欧州ではロシアのウクライナでの戦争でエネルギー供給が混乱し、戦争によって生じる事態に備えていなかった中で、エネルギー不足や停電があり得ると懸念されている。

草案を読んで、人々はEV購入を控えるべきかもしれないと考えている。草案では、通勤、買い物、受診など必要な用事のときはクルマで移動でき、またスイスの優れた鉄道網も使えるが、EVの使用が制限されるかもしれないことを心配している。

幸い、現実はそれほど怖ろしいものではない。1つには、戦争によって石油や天然ガスの供給が停止した場合、ガソリン不足が起こり、ガソリン車の使用も同様に制限される可能性が高いからだ。

さらに、案にある第3段階では暮らしの中で他にも多くのことが制限される。それらは以下のとおりだ。

  1. 店は営業時間を短縮するか、支店を閉鎖しなければならない
  2. 電気乾燥機の使用制限
  3. 電気暖房のある建物は医療施設を除き、サーモスタットを摂氏18度に設定しなければならない
  4. 湯船、サウナなどの使用制限
  5. プール向けの電熱の禁止
  6. 競技場の照明、空気注入式の施設、洗車場、ディスコの照明の使用禁止
  7. ビデオプレイヤー、ゲーム用コンピュータやコンソール、オンラインストリーミング、アイスリンクなどの使用禁止、暗号資産(仮想通貨)のマイニングと高頻度の取引の禁止
  8. 第2段階では屋外広告、イルミネーション、家庭用乾燥機、ミニバー、クーラー、プレートウォーマー、製氷機、エスカレーター、動く歩道が禁止される
  9. 第1段階ではポータブルヒーター、パティオのヒーター、エアコン、駐車場の照明、明るい照明、使用していない空間の照明、公衆トイレの温水、ドア近くの暖房、使っていないパソコンの電源の入れっぱなしなどが禁止される

つまり、日常の暮らしが大幅に制限されることになる。

今回のような戦争の場合以外に、スイスがこの計画を必要とする可能性はあまりない。スイスは電力の62%を水力発電で、29%を原子力発電で賄っている(原子力発電所を段階的に廃止しようとしている)。また、水力発電の普及のおかげで、電力網において割合が拡大している再生可能な電力を揚水発電で貯蔵することもできる。山が多く、雨が多いため、スイスは風力や水力発電に最適な場所だ。

実際、石油や天然ガスが不足すると、EVよりもガソリン車の運転に支障をきたす可能性が高いことは間違いないようだ。ただ、化石燃料を原子力に置き換えた場合、逆の事態となる可能性もないわけではない。

このため、文書はあくまで草案であり、将来のシナリオというよりは、単にスイスの警戒心を表現したものに過ぎないかもしれない。むしろ、ロシアの独裁とウクライナでの残虐行為を可能にしたロシアからの石油と天然ガスの購入・使用を止めることが、欧州にとっていかに重要であるかを示している。

Brad Templeton』

<社説>開戦の日に考える 戦争の足音が聞こえる

<社説>開戦の日に考える 戦争の足音が聞こえる
https://www.tokyo-np.co.jp/article/218651?rct=editorial

『日本が焦土と化した太平洋戦争は一九四一(昭和十六)年のきょう十二月八日に始まりました=写真は、開戦を伝える国民新聞(中日新聞社が発行する東京新聞の前身の一つ)夕刊。あれから八十一年。憲法九条に基づく「専守防衛」が大きく変質しようとしています。耳を澄ませば、戦争の足音が近づいてくるようです。

 戦後日本の防衛政策は、戦争放棄と戦力不保持の憲法九条の下で組み立てられてきました。日本の安全保障を米軍の攻撃力に委ね、日本の自衛隊は専守防衛に徹するという役割分担です。

 自衛隊の装備は自国防衛目的に限られ、「他国に侵略的攻撃的脅威を与える」攻撃的兵器は、あえて保有してきませんでした。

 それは日本人だけで三百十万人というおびただしい数の犠牲者を出し、交戦国だけでなくアジア・太平洋の人々にも大きな犠牲を強いた戦争への反省に基づくものでした。日本は再び軍事大国にならないとの誓いでもあります。

◆平和国家を歩んだ戦後

 安倍晋三内閣当時の二〇一三年に策定された国家安全保障戦略は次のように記します。
 「我が国は、戦後一貫して平和国家としての道を歩んできた。専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を守るとの基本方針を堅持してきた」
 「こうした我が国の平和国家としての歩みは、国際社会において高い評価と尊敬を勝ち得てきており、これをより確固たるものにしなければならない」

 この平和国家としての歩みを大きく踏み外すのが、岸田文雄首相が年内に予定する国家安保戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の三文書改定です。

 その狙いは、他国領域を攻撃できる、政府与党が反撃能力と呼ぶ敵基地攻撃能力の保有と、防衛力強化のための財源確保です。

 歴代内閣は、他国領域にあるミサイル発射基地への攻撃は「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない」と憲法九条が認める自衛の範囲内としつつも、他国を攻撃できる兵器を平素から備えることは「憲法の趣旨ではない」ともしてきました。
 長射程の巡航ミサイルなど、これまで保有してこなかった敵基地攻撃能力を実際に持てば、専守防衛を逸脱することになります。

 政府は、この敵基地攻撃能力を安倍内閣が一転容認した「集団的自衛権の行使」にも使えるとの見解を示しています。日本が攻撃されていないにもかかわらず、他国領域を攻撃することになれば、他国同士の戦争に積極的に参加することにほかなりません。

 岸田政権が敵基地攻撃能力の保有検討に至った背景には、軍備増強を続ける中国や、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮の脅威があります。周辺情勢の変化に応じて安保政策を見直し、防衛力を適切に整備することは必要です。

 しかし、軍事力に軍事力で対抗することが地域情勢の安定につながるとはとても思えません。逆に軍拡競争をあおる「安全保障のジレンマ」に陥るのは必定です。

◆軍拡増税という分岐点

 抑止力の向上が狙いでも、攻撃的兵器をたくさん備え、他国領域も攻撃できると声高に宣言するような国を「平和国家」とはとても呼べない。戦後日本の平和を築いてきた先人への背信です。

 岸田首相は二三年度から五年間の防衛費総額を現行の一・五倍超の約四十三兆円とし、二七年度には関連予算と合わせて国内総生産(GDP)比2%にするよう関係閣僚に指示しました。二二年度の防衛費約五兆四千億円はGDP比約1%ですので倍増になります。
 そのための財源をどう確保するのか。政府の有識者会議は歳出改革とともに「幅広い税目による負担」を求めています。

 物価や光熱費が高騰し、社会保障費負担も増える一方、賃金はなかなか上がらず、国民の暮らしぶりは苦しくなるばかりです。

 いくら防衛のためとはいえ、国民にさらなる増税を強いるのでしょうか。国民を守るための防衛費負担が暮らしを圧迫することになれば本末転倒です。とても「軍拡増税」など認められません。

 戦争はいつも自衛を名目に始まります。そして、突然起こるものではなく、歴史の分岐点が必ずどこかにあるはずです。

 将来振り返ったとき、「軍拡増税」へと舵(かじ)を切ろうとする今年がその分岐点かもしれません。感性を磨いて耳を澄ましてみると、戦争の足音がほら、そこまで…。』

ミンスク合意はウクライナ軍の戦力を強化するための時間稼ぎだったと前独首相

ミンスク合意はウクライナ軍の戦力を強化するための時間稼ぎだったと前独首相 | 《櫻井ジャーナル》 – 楽天ブログ
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202212090001/

『ドイツの首相を2005年11月から21年12月まで務めた​アンゲラ・メルケルはツァイト紙のインタビューでミンスク合意はウクライナの戦力を増強するための時間稼ぎに過ぎなかったと語った​が、これは当時から指摘されていたこと。アメリカの元政府高官や退役将校も「時間稼ぎにすにない」と指摘していた。交渉に応じたロシア政府を愚かだと言う人も西側にはいた。

 この合意とはドンバス(ドネツクとルガンスク)における戦闘の停戦に関するもので、キエフのクーデター政権、ロシア、OSCEの代表で構成された連絡グループが作成、2014年9月にこの3者のほかドネツクとルガンスクの代表が署名した協定書に定められている。

 戦闘が始まった直接的な原因は2014年2月にバラク・オバマ政権を後ろ盾とするネオ・ナチがウクライナの東部や南部を地盤とするビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒し、オデッサで反クーデター派の住民を虐殺し、ドンバスへ戦車部隊を突入させたところから始まる。オバマ政権がクーデターを実行したのは、それ以外にヤヌコビッチ大統領を排除する手段がないと判断したからだ。

 アメリカは2004年から05年にかけてもヤヌコビッチの大統領就任を「オレンジ革命」で阻止されている。これを仕掛けたのはオバマと同じアメリカのジョージ・W・ブッシュ政権。そして新自由主義者のビクトル・ユシチェンコを大統領に据えた。

 この政権の政策によって国の富は欧米の巨大資本へ流れて行き、その手先になった一握りのウクライナ人が「オリガルヒ」と呼ばれる富豪になり、その一方で大多数の庶民は貧困化。新自由主義の現実を知ったウクライナ人はそこで2010年の1月から2月にかけて行われた大統領選挙でヤヌコビッチを選んだのだ。

 そこで7月にヒラリー・クリントン国務長官(当時)がキエフへ乗り込み、ヤヌコビッチに対してロシアとの関係を断ち切ってアメリカへ従属するように求めたが、拒否された。そしてオバマ政権のクーデター計画が始まるわけだ。

 キエフでのクーデターでヤヌコビッチ大統領を排除することには成功したものの、東部や南部の住民だけでなく軍や治安機関の中にもネオ・ナチ体制を拒否するメンバーは多く、ドンバス軍へ合流したと言われている。そこで新兵主体のクーデター軍とベテランの反クーデター軍という構図になり、戦況はドンバス側が有利だった。

 そこでアメリカ/NATOは兵器を供給して兵士を訓練するだけでなく内務省にネオ・ナチを主体とする親衛隊を組織、その一方で少年を集めて訓練、同時にナチズムを叩き込んだ。そうした少年はクーデターから8年を経て戦闘員になっているはずだ。そのための時間を稼ぐためのミンスク合意だったとメルケルは確認したのだ。

 西側を民主主義体制だと錯覚、その約束を真に受けたミハイル・ゴルバチョフとその西側の手先だったボリス・エリツィンによってソ連は消滅、ロシアは米英巨大資本に征服されたのだが、ウラジミル・プーチン政権の中にもアメリカとつながっている勢力が存在していたようだ。そうした勢力はドンバスの問題でも「バランスの取れた取り組み」を主張し、西側に戦争の準備をする余裕を与えて事態を悪化させた。

 ウラジミル・プーチン大統領は9月21日に部分的な動員を実施すると発表、西部軍管区司令官の司令官をロマン・ベルドニコフ中将へ交代、10月にはドンバス、ヘルソン、ザポリージャの統合司令官としてセルゲイ・スロビキン大将をすえたほか、チェチェン軍を率いているラムザン・カディロフは上級大将の称号を与えた。指揮体制を大きく変えたわけだ。

 ​プーチン露大統領は11月25日、ウクライナでの戦闘に参加している兵士の母親と会談した際、「ドンバス(ドネツクやルガンスク)をもっと早くロシアへ復帰させるべきだった」と語っている。​ミンスク合意は間違いだったと認めたわけだ。クレムリンの内部で権力バランスが変化した可能性がある。今後、口先でロシア政府を騙すことは難しくなりそうだ。それを見てのメルケル発言だったのかもしれない。』

人びとの意識が統一教会へ導かれている間に日米支配層は中露との戦争を準備する

人びとの意識が統一教会へ導かれている間に日米支配層は中露との戦争を準備する | 《櫻井ジャーナル》 – 楽天ブログ
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202212090000/

『岸田文雄政権は統一教会(世界基督教統一神霊協会、1997年から世界平和統一家庭連合)の問題で追及されているが、自由民主党と統一教会との関係は昔から知られ、問題視する人もいたのだが、無視されてきただけだ。この問題へ人びとの目が誘導されている間に日本はアメリカの戦争マシーンの一部として戦争の準備を進めている。

 第2次世界大戦後、アメリカは買収、恫喝、暗殺、クーデター、軍事侵攻などあらゆる手段を講じて世界征服に向かってきた。途中、ライバルとの平和共存を訴える大統領も現れたが、第1期目の途中で暗殺されている。

 そうしたアメリカによる侵略が始まる背景にはイギリスの首相だったウィンストン・チャーチルが存在していた。1945年4月に反ファシストのフランクリン・ルーズベルトが急死、その翌月にドイツが降伏するが、その直後にチャーチル英首相はソ連を奇襲攻撃するための作戦を立てるようJPS(合同作戦本部)に命令、5月22日には「アンシンカブル作戦」が提出された。

 その作戦によると、攻撃を始めるのは1945年7月1日。アメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で「第3次世界大戦」を始める想定になっていた。この作戦は発動しなかったのは、参謀本部が5月31日に計画を拒否したからである。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000)

 チャーチルは1945年7月に退陣するが、大戦後の46年3月にアメリカのフルトンで「鉄のカーテン演説」を行い、「冷戦」の幕開けを宣言した。そのチャーチルはFBIの文書によると、1947年にアメリカのスタイルズ・ブリッジス上院議員に対し、ソ連を核攻撃するようハリー・トルーマン大統領を説得してほしいと求めている。(Daniel Bates, “Winston Churchill’s ‘bid to nuke Russia’ to win Cold War – uncovered in secret FBI files,” Daily Mail, 8 November 2014)

 チャーチル自身はイギリスの貴族を父に、またアメリカの富豪を母に持つ人物。父親のランドルフはジョン・スペンサー-チャーチル公爵の3男で、素行の評判は良くない。カネ使いが荒く、親しくしていたネイサン・ロスチャイルド男爵から多額のカネを借りていたという。ランドルフは1895年に死亡しているが、死因は梅毒。ネイサンは19世紀のイギリスを支配していたグループの中心的な存在で、セシル・ローズのスポンサーだ。

 第2次世界大戦中、アメリカとイギリスは核兵器を開発していたが、7月16日にニューメキシコ州のトリニティ実験場でプルトニウム原爆の爆発実験が行われて成功、7月24日にハリー・トルーマン米大統領は原子爆弾の投下を許可した。そして7月26日にポツダム宣言が発表される。

 アメリカ軍は1945年8月6日にウラン型原爆「リトル・ボーイ」を広島へ投下、9日に長崎へプルトニウム型「ファット・マン」が落とされた。これ以降、アメリカは核戦争が軍事戦略の中心に据えられる。

 大戦後、1949年4月にアメリカ、カナダ、イギリス、フランス、イタリア、ポルトガル、デンマーク、ノルウェー、アイスランド、ベルギー、オランダ、そしてルクセンブルクによってNATO(北大西洋条約機構)が創設された。

 この軍事同盟を組織した目的はソ連の侵略に備えるためだとされているが、当時のソ連には西ヨーロッパへ攻め込む能力はなかった。ドイツとの戦闘でソ連の国民は2000万人以上が殺され、工業地帯の3分の2を含む全国土の3分の1が破壊され、惨憺たる状態だったのである。結局、この痛手から立ち直ることはできなかった。NATOはヨーロッパを支配する仕組みとして組織されたと言うべきだろう。

 大戦中、レジスタンスに加わっていたシャルル・ド・ゴールも米英の支配層は敵視していた。フランスでは1961年にOAS(秘密軍事機構)が組織された。その背後にはフランスの情報機関SDECE(防諜外国資料局)や第11ショック・パラシュート大隊がいて、その後ろにはイギリスやアメリカの情報機関が存在していた。

 OASはその年の4月12日にスペインのマドリッドで秘密会議を開き、アルジェリアでのクーデター計画について討議している。会議にはCIAの人間も参加していた。

 アルジェリアの主要都市の支配を宣言した後でパリを制圧するという計画で、その中心には直前まで中央欧州連合軍司令官(CINCENT)を務めていたモーリス・シャレをはじめとする4名の将軍がいて、1961年4月22日にクーデターは実行に移される。

 それに対し、アメリカ大統領だったジョン・F・ケネディはジェームズ・ガビン駐仏大使に対し、必要なあらゆる支援をする用意があるとド・ゴールへ伝えるように命じている。クーデターを進めるとCIAとアメリカ軍が衝突する可能性が高まる。結局、クーデターは4日間で崩壊してしまう。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015)

 フランスのクーデターを失敗させたとも言えるケネディ大統領は1963年11月22日にテキサス州ダラスで暗殺された。その葬儀にド・ゴール自身も出席している。帰国したフランス大統領は情報大臣だったアラン・ペールフィットに対し、ケネディに起こったことは自分に起こりかけたことだと語ったという。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015)

 ケネディ大統領が暗殺されてから3年後にフランス軍はNATOの軍事機構から離脱、翌年にはSHAPE(欧州連合軍最高司令部)をパリから追い出す。その司令部はベルギーのモンス近郊へ移動した。それほどNATOがフランスにとって危険な存在だとド・ゴールは認識していた。

 しかし、ド・ゴールは1968年5月の「五月革命」で追い詰められ、翌年に辞任。後任大統領のジョルジュ・ポンピドゥーはアメリカとの関係強化を推進、SDECEの局長に親米派のアレクサンドル・ド・マレンシェを据えた。この新局長はポンピドゥに従い、アメリカとの関係強化に邪魔だと見なされるメンバー815名を解雇した。

 その一方、アメリカ軍の好戦派はソ連に対する先制核攻撃を計画している。1949年に出されたJCS(統合参謀本部)の研究報告にはソ連の70都市へ133発の原爆を落とすという記載がある。1952年11月にアメリカは初の水爆実験を成功させ、1954年にSAC(戦略空軍総司令部)は600から750発の核爆弾をソ連に投下、118都市に住む住民の80%、つまり約60000万人を殺すという計画を立てる。

 1957年に作成された「ドロップショット作戦」は実戦を想定していたようだが、それでは300発の核爆弾をソ連の100都市で使い、工業生産能力の85%を破壊することになっていた。沖縄の軍事基地化はこの作戦と無縁でないだろう。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012)
 アメリカが必要なICBMを準備でき、しかもソ連が準備できていないタイミングで先制核攻撃をすると考えた好戦派の中には統合参謀本部議長だったライマン・レムニッツァーや空軍参謀長だったカーティス・ルメイが含まれる。​彼らは1963年後半に先制攻撃する計画を立てた​が、邪魔者がいた。大統領だったジョン・F・ケネディだ。ケネディは1963年11月22日に暗殺される。

 ケネディを暗殺したのはソ連やキューバだという作り話が流れたが、その「偽旗作戦」をFBIがつかんでいたことから先制核攻撃は実現しなかった。そのプランが再び浮上してくるのは21世紀に入り、ロシアが再独立してからだ。

 ​フォーリン・アフェアーズ誌の2006年3/4月号に掲載されたキアー・リーバーとダリル・プレスの論文​では、アメリカは近いうちにロシアと中国の長距離核兵器を先制第1撃で破壊する能力を持てるとされている。この雑誌は外交問題評議会(CFR)が発行している定期刊行物で、記事には支配層内部の雰囲気が影響する。

 その後、ロシア経済が速いスピードで回復、軍事力も復活する。アメリカの統合参謀本部はそれを認識しているようだが、ネオコンはロシアの経済力や軍事力を大したことないと信じている。その結果、彼らは苦境に陥り、核戦争の可能性が高まった。

 そうした中、自衛隊は中距離ミサイルや長距離ミサイルで中国やロシアを攻撃する準備、つまり戦争の準備を進めている。本ブログでは繰り返し書いているが、準備が始まるのは1995年。昔から知られている統一教会と政界とのつながりで騒いでいる間に事態は急速に悪化しているのだ。』

「ウクライナに開戦責任」 追加動員の観測否定 ロシア大統領

「ウクライナに開戦責任」 追加動員の観測否定 ロシア大統領
https://news.yahoo.co.jp/articles/3b893bb571dd80ad5fc112bc8ec880d6a3f682e8

 ※ もはや、「特別軍事作戦」は、言わなくなったのか…。

『ロシアのプーチン大統領は7日、ウクライナ侵攻について「戦争はわれわれが火ぶたを切ったのではなく、2014年にウクライナで権力を握った(親欧米派)政権が開始した」と主張した。

 「特別軍事作戦」と位置付ける侵攻の目的達成まで、道のりは長いという認識も示した。人権関係の会合で語った。

 親ロシア政権が倒れた8年前のウクライナ政変に関し、プーチン氏はかねて欧米による旧ソ連圏での「カラー革命」と見なしている。今年2月に始まった侵攻も、北大西洋条約機構(NATO)東方拡大を背景とした「自衛戦争」だとする持論を展開した形だ。

 最近ではロシアが「被害国」という印象を自国民に植え付けた上で、長期戦も視野に愛国心高揚を狙って「戦争」という言葉を多用している。反体制派が「侵攻」や「戦争」と呼ぶと刑事罰に問われるが、政権側は問題視されないという二重基準も浮かび上がっている。

 また、予備役30万人を招集した動員令を巡り、プーチン氏は15万人を作戦地域に投入し、うち7万人以上が前線に展開したと説明。「追加動員の話はナンセンスだ」と述べた。

 動員のための9月の大統領令は、招集人数が公開されていない。「100万人」とも報じられ、独立系メディアは最近、政権が来年1月に追加動員を始める見通しだと伝えた。プーチン氏は火消しを図った格好だが、動員終了を宣言する大統領令は出しておらず、国民の間には懸念がくすぶっている。』