米政府、ウクライナにロシア攻撃奨励せず 対立回避狙う

米政府、ウクライナにロシア攻撃奨励せず 対立回避狙う
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『【ワシントン=坂口幸裕】米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は7日、米政府はウクライナにロシア攻撃を奨励しないと表明した。ウクライナからドローン(無人機)攻撃を受けたと主張するロシアへの攻撃に米国は関与していないとの立場を示し、紛争が激化するのを避ける狙いがある。

ロシア国防省は5日、同国領内にある空軍基地がドローンによる攻撃を受けたと発表した。爆発などでロシア兵が死傷。6日には石油貯蔵施設でもドローン攻撃による火災が発生した。

ウクライナ側は公式見解を示していないものの、ポドリャク大統領府長官顧問はツイッターで「他国の空域に何かを発射したら、いずれ発射地点に正体不明の飛行物体が戻ってくるものだ」とコメントした。

カービー氏は7日、記者団に「ウクライナの軍事作戦はウクライナが語るべきだ。我々はウクライナにロシアを攻撃するよう促したり、攻撃を可能にしたりしていない」と述べた。米国によるウクライナ支援に関し「ウクライナの自衛のために情報、物資、武器を提供しているが、どう使うかは彼らが決めることだ」と話した。

ブリンケン米国務長官も6日の記者会見で「ウクライナがロシア国内を攻撃するように奨励していない」と言及。「米国の利益はロシアの侵略から自国を守るために戦うウクライナを支援することだ」と語った。

ロシアは米欧の軍事支援を受けるウクライナによる攻勢にいら立ちを強める。ウクライナに武器供与するのは同国の自衛力を高める目的だと説明することで、米国を含む北大西洋条約機構(NATO)がロシアと衝突するのを回避したい意図が透ける。

バイデン米大統領は核保有国である米国とロシアが戦火を交えれば第3次世界大戦に発展すると懸念を示し「NATOとロシアの戦争を求めていない」と繰り返してきた。「米国や同盟国が攻撃されない限り、この戦争に直接関与することはない」とも話す。

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前嶋和弘
上智大学総合グローバル学部 教授
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ひとこと解説

「第三次世界大戦にならないようにロシアを刺激しない範囲でウクライナを支援」というのがアメリカのこれまでの姿勢であり、今後も同じ。ブリンケン国務長官の「奨励をしない」という言葉もこの原則通り。ただそもそもの自衛の権利として「反対もしていない」という形かと思いいます。ウクライナが守勢から攻勢となる中、今後、今回のようなロシア国内への攻撃も増えてくるため、アメリカとしては難しい局面を迎える瞬間も出てくるかもしれません。
2022年12月8日 11:36

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