中国ゼロコロナ緩和、経済減速に焦り 感染増で修正も

中国ゼロコロナ緩和、経済減速に焦り 感染増で修正も
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『【北京=川手伊織】中国政府が新型コロナウイルスを封じ込める「ゼロコロナ」政策をめぐる新たな緩和策を示したのは、厳しい移動制限が経済に深刻な打撃を与えたことへの焦りがある。人やモノの流れを少しずつ正常化させ需要を回復させる狙いだ。ただ感染が再拡大した場合などの対応は読めず、経済押し上げ効果が速やかに出てくるかは不透明さが残る。

中国共産党は6日、中央政治局会議を開き「防疫措置を合理化する」ことを確認した。党の会議を経て、政府が7日緩和策を公表した。

同会議からは景気停滞への危機感がにじむ。「重大な経済金融リスクを未然に防ぎ取り除かなければいけない」と強調した。これまで重大リスクは金融のみを指してきた。経済も加えたのは、高止まりする若年失業率への警戒感などがうかがえる。

ゼロコロナは経済活動を阻害し、内需を下押ししてきた。中国国家統計局によると、製造業などの設備稼働率は上海市がロックダウン(都市封鎖)に追い込まれた4~6月に75.1%と、コロナ禍初期の2020年4~6月以来の低さだった。22年7~9月も75.6%と、21年平均の77.5%を下回る。

米アップルのスマートフォン「iPhone」の生産を請け負う台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の鄭州工場(河南省鄭州市)は10月からコロナを巡る混乱で稼働率が低迷。11月には重慶市で多くの自動車工場が稼働を一時的に止めた。

消費動向を映す10月の小売売上高は前年同月比0.5%減った。市場予測では11月のマイナス幅は4%近くに拡大する。雇用の悪化で所得不安が強まり、節約志向が広がる。外食などサービス業の打撃も大きい。

コロナ規制の緩和で経済活動が正常化すれば、内需の回復に伴って中国の輸入も持ち直し、世界経済にプラスとなる可能性はある。中国は購買力平価ベースで世界経済の2割を占める。経済成長が1%上振れすれば、世界経済を0.2ポイント押し上げる計算になる。

三井物産戦略研究所の岡野陽二氏は「ビジネスの往来が増え、遅延していた事業の再開も期待できる」と語る。今後の焦点は、省をまたぐ移動や海外との往来をめぐる追加の緩和がいつ出てくるかだ。

第一生命経済研究所の西浜徹氏は「直近は症状がある感染者が増え、規制の緩和を継続できるかは疑問が残る」とみる。緩和で人の移動が活発になると感染も広がりやすい。規制の揺り戻しも否定できない。

感染状況に応じて規制が強まるゼロコロナは、企業や家計の先行き不安を強めてきた。6日の中央政治局会議は来年の経済運営方針をめぐり「市場のマインドを強力に押し上げる」と指摘した。

政策の修正が遅れれば、積極的な財政支出や緩和的な金融政策を続けても心理は改善しにくく経済にも重くのしかかる。

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中空麻奈
BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部 副会長
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ひとこと解説

ゼロコロナ策の緩和は、中国の経済政策にとって重要な意味を持つ。12月中の中央経済工作会議にて、どの程度の成長率を置いてくるか、中国幹部の考えが見えてくる。政策目標の発表は3月全人代を待つことになるものの、強気の見通しを立てるのであれば、ゼロコロナ策の緩和を徹底するはず、だ。中国のゼロコロナ策によって、日本も含め、世界の観光業への悪影響は大きいし、中国の工場が止まれば。それも周辺国を中心にネガティブな影響を与えてきた。一方、中国が景況感を浮揚させてくるということは、それがインフレ要因になることも見ておく必要がある。眠れる獅子が起きた時の影響はネガポジ両サイドに大きいはずだ。
2022年12月8日 10:18
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

政策は状況の変化に応じて少しずつ修正・調整していかないといけないものであるが、権力集中が進んでいる中国の現在の状況において政策調整の柔軟性はまるでない。すなわち、状況がハードランディングして、それから政策が見直される。それに伴うコスト・代償があまりにも大きい。ゼロコロナ政策の転換について、中国の政策当局にとって参考となる指標がたくさんあったが、ポリシーメーカーたちは一人の人をみていない。諸外国での政策転換もまるで目に入らない。結局、経済が犠牲になり、企業が倒産し、労働者が失業してしまっている。それでもゼロコロナ政策が成果を上げているといわれている。
2022年12月8日 8:25 』

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