ロシア原油上限で混乱 トルコ沖でタンカー滞留

ロシア原油上限で混乱 トルコ沖でタンカー滞留
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR067950W2A201C2000000/

『【イスタンブール=木寺もも子】主要7カ国(G7)や欧州連合(EU)などがロシア産原油に価格上限を設ける制裁を発動した5日、黒海の出入り口であるトルコ沖で石油タンカーが滞留、混乱が生じている。制裁に伴いトルコ政府が追加の保険内容証明を求めたことが原因とみられる。

船舶の位置情報などを分析した英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、5日時点でトルコのボスポラス、ダーダネルス両海峡付近で石油タンカー19隻が待機していた。石油業界幹部らの話として、トルコ当局が求める保険の証明書が障害になっていると伝えた。

トルコ運輸インフラ省が今回の制裁に備えて11月に発出した通達によると、原油を積んだタンカーが12月1日以降に両海峡を通過する際、保険が適用されることが明記された保険会社の書簡提出が必要になった。

船舶の保険は通常、衝突事故や油の流出などをカバーするが、今回の制裁で価格上限を超えるロシア産原油を積んだタンカーは欧米の保険に加入できなくなる見通しだ。トルコとしては最大都市イスタンブールを含む海峡沿岸に被害が及んだ場合に補償される確約を求めたとみられる。

日本のある外資損保の担当者は「今後はロシアか、ロシア友好国の船籍の船しかロシア産原油を運ばなくなるだろう」とみる。上限価格を超えるロシア産原油は世界の原油タンカー輸送網から締め出される格好だ。

もっとも60ドル(約8200円)の上限価格を下回るロシア産原油のタンカーを巡っては、今後も再保険取引が認められる見通しだ。同損保担当者は「ロシア産原油の生産コストは30~40ドルといわれており、制裁の効果は限られるのでは」と指摘する。

ロシアのウクライナ侵攻後、原油の輸送航路が長距離化し船舶需給が逼迫、原油タンカーの運賃を押し上げてきた。ロシア産の輸入を減らす欧州が米国などからの輸入を増やし、代わりに中国やインドがロシア産の輸入を増やしたためだ。

大型オイルタンカー(VLCC、載荷重量約30万トン)の中東~極東航路の運賃指標であるワールドスケール(WS)は足元で年初の2倍の水準にある。』