アパレル生産、脱・中国依存 東南アジアシフトを加速

アパレル生産、脱・中国依存 東南アジアシフトを加速
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC052LG0V01C22A2000000/

『アパレル各社が中国から東南アジアへの生産シフトを加速させている。カジュアル衣料大手のアダストリアは東南アジアでの生産比率を現在の22%から2026年2月期までに50%に高める。紳士服大手の青山商事も中国比率を下げる方針。円安や原材料価格の高騰が続く中、1月に発効した東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)を活用し、コストを抑える。

「グローバルワーク」などのブランドを展開するアダストリアは今年から、原材料や物流費高騰に対応する一環として、ブラウスなどの定番商品を中心にカンボジアやベトナムでの生産委託を増やしている。

東南アジアでの生産比率(数量ベース)は8月末時点で22%と前年同月から倍増した。インドネシアやバングラデシュなどにも生産地を広げ、26年2月期までに東南アジア比率を50%に高める方針だ。

日本に輸入される衣料品に占める中国製品の比率は11年の81%から21年には59%に低下した。物価高などを背景に東南アジアへの生産移管が進めば、輸入衣料品に占める中国依存度はさらに下がる可能性がある。

紳士服大手の青山商事はインドネシアやベトナムからの商品調達を拡大している。調達額全体に占める中国比率は21年度に36%と、20年度に比べて7ポイント縮小した。青山理社長は「中長期では中国比率はまだ下がるだろう」との見方を示す。

ファーストリテイリング傘下の「ユニクロ」などから衣料品の製造を受託するマツオカコーポレーションは、22年3月期に売り上げの50%の商品を中国で生産していたが、26年3月期には29%に引き下げる方針だ。一方でバングラデシュは28%から34%に、ベトナムは16%から28%に引き上げる。バングラデシュとベトナムで23年3月期までの2年間で約87億円を投じて新工場を立ち上げ、生産能力を増強する。

アパレルは縫製作業など自動化が難しく、人手に頼る工程が多いため、生地など原材料以外のコストの多くを人件費が占める。1980年代ごろから安価な労働力を求めて日本国内から中国への生産移管が広がってきた。経済発展に伴い中国で人件費が上昇したことを受け、2010年ごろから東南アジアに拠点を分散する「チャイナプラスワン」の動きが活発になっている。

中国の人件費の上昇は続いており、日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、足元では中国・広州市の工員の月給は約670ドル(約9万円)に達する。ベトナム・ホーチミン市の約270ドルやバングラデシュ・ダッカ市の約120ドルを大きく上回る。

また新型コロナウイルス下では、中国のロックダウン(都市封鎖)の影響で生産や物流が停滞した。店頭の商品が品薄になり、中国への生産集中のリスクも意識された。

今年1月にRCEPが発効し、ベトナムやカンボジアなどから繊維製品などを輸入する際は関税の減免が受けられる。円安や原材料価格の高騰が続き、調達コストが膨らむ中、関税を抑えられる効果は大きく、アパレル各社は東南アジアへの生産移管を加速させている。

アパレル以外の業種でも東南アジアでの調達を増やす動きが広がる。

オフィス家具のオカムラも数年前から部品や素材を複数拠点からの調達に順次切り替えている。椅子のクッション部分に使うウレタン材料はこれまで中国からのみ調達していたが、使用する素材の種類などを見直すことで別の国から調達できるようにした。逆に一部の部材は中国からの調達を増やす。ニトリはベトナムの工場で土地を新たに取得し、家具の生産を拡大する方針だ。

もっとも「中国は技術力が高く、生地などの原材料のサプライチェーン(調達網)が充実している」(マツオカコーポレーションの金子浩幸取締役)。日本から近く、海上輸送を使っても2週間程度で商品が届き、生産地としての中国の優位性は下がっていない。アパレル大手のワールドは日本国内への生産移管を進めているが、国産生地を使うことが多い高価格帯の商品などに限られている。

(花田幸典、佐藤優衣)』