抜け出せぬ「中所得国」、マレー系優先が生む頭脳流出

抜け出せぬ「中所得国」、マレー系優先が生む頭脳流出
マレーシア、混迷の先に(上)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM273EZ0X21C22A1000000/

 ※ 今日は、こんな所で…。

『【シンガポール=中野貴司】マレーシアで総選挙後の首相ポストを巡る混迷の末に、アンワル元副首相が新首相に就任した。3日に発足した新内閣は政治の安定とともに、経済の再建を最優先課題に掲げる。米国と中国が経済でも対立を深め、周辺国が台頭する中でどう経済を立て直すのか。アンワル氏の手腕が問われる。

「今の経済状況は『中所得国のわな』の特徴が全てあてはまる。経済を新領域に移行する必要がある」。首相就任前の11月17日、アンワル氏は日本経済新聞のインタビューで、危機感をあらわにした。

「中所得国のわな」とは新興国が一定規模まで経済発展した後、成長が停滞する現象だ。マレーシアは1991年に2020年の先進国入りの目標を掲げた。しかし、11年に1万ドル(約135万円)を突破した1人あたり国内総生産(GDP)は、生産性の伸びが一時マイナスに陥るなどして伸び悩む。21年時点でも約1万1400ドルと先進国の基準のひとつである約1万3000ドルに届かない。

2009~18年のナジブ政権で汚職がまん延した。不正流用額が45億ドルを超える政府系ファンドの汚職事件などもあり、デジタル化をはじめとする必要な分野に十分な資金が行き渡らなかったことが大きな理由だ。

アンワル氏は人工知能(AI)やデジタル分野といった「新領域」に予算を配分し、生産性を再び高める構想を描く。同氏の政党、希望連盟は政権公約で起業家の育成を掲げた。約3300万人の人口の平均年齢は約30歳で、有望なスタートアップを輩出する素地はあるが、大量の頭脳流出が実現を阻んでいる。

地場シンクタンク、EMIRリサーチは国外に移住したマレーシア人は200万人程度に上り、そのうち50万人が25歳以上の高度人材だと推計する。シンガポールの広報会社で幹部として働くジョセフィン・チューさんは「マレーシアにとどまっていたら昇進は遅れ、金融資産も5分の1にとどまっていた」と話す。
配車大手グラブの共同創業者のアンソニー・タン氏はシンガポールに拠点を移した

マレーシアは多数派のマレー系住民を優遇する「ブミプトラ(土地の子)政策」を採っており、チューさんのような華人系は進学や就職、昇進の際に差別を受けることが少なくない。配車大手グラブの共同創業者、アンソニー・タン氏など華人系の起業家も相次ぎ国外に拠点を移しており、それが技術革新や経済の構造転換を遅らせている。

CBインサイツによると、企業価値が10億ドルを超える非上場の「ユニコーン企業」は中古車ネット売買のカーサムのみ。周辺国に水をあけられている。

華人系やインド系国民の支持者も多い希望連盟は前回18年の総選挙で政権交代を実現し、民族融和的な政策の実現を目指した。ただ、内紛によって2年弱で政権は崩壊し、経済や社会構造の改革は進まなかった。

今回のアンワル政権は希望連盟に加え、ナジブ氏に近い汚職勢力がいる国民戦線、地元への利益誘導を重視するボルネオ島の地方政党の連立政権で、前回以上に閣内で利害が対立するリスクが大きい。急進的なイスラム主義を掲げる野党の全マレーシア・イスラム党が改選前に比べ議席を3倍近く増やすなど、マレー系のナショナリズムが一段と強まる懸念も出ている。

シンガポール、インドネシア、タイの周辺国は高度人材を呼び込むため、新たな査証(ビザ)の導入に動く。国境を越えた人材の獲得競争が激しくなる中で、政治の混乱が続けば、マレーシアの人材の空洞化はさらに進む。アンワル氏は成長の担い手である若者が能力を高め、発揮できる政策を早急に打ち出す必要がある。』

https://www.nikkei.com/theme/?dw=22111101

カンボジア動脈、中国が建設・運営 初の高速道路開業

カンボジア動脈、中国が建設・運営 初の高速道路開業
Zoomインフラ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM28COK0Y2A021C2000000/

『カンボジアで初めての有料高速道路が開業した。中国の国有企業が約20億ドル(約2700億円)を投じ、首都プノンペンと南部の港湾都市シアヌークビル間の約190キロメートルを結ぶ。人やモノの円滑な移動ニーズに応えるほか、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の一部も担う。事業としては採算の確保が課題となるが、日本企業なども活用する見通しで、中国の影響力拡大を警戒する向きもある。

移動時間が半分の2時間に

「高速道路は人生で初めて。短時間での移動は思った以上に便利でした」。正式に開業した11月、会社員のラクスメイさん(40)は利用後に笑顔でこう話した。営業の仕事で日常的に両都市を移動するため、業務も円滑に進む。

従来の国道だと約5時間かかった移動が半分以下の約2時間になる。初年度の通行料金は一般車が片道12ドル。大型トラックだと同60ドルで決して安くはない。まずは所要時間と安全性を重視する商用ドライバーを対象に、収益の確保を急ぎたい事業者側の意欲がにじむ。

高速道路の建設と事業運営を担うのが中国路橋工程(CRBC)だ。カンボジア政府が2018年に「建設・運営・譲渡(BOT)方式」の事業として契約し、企業側が50年間にわたって通行料金を徴収する。カンボジア側の費用負担は実質ゼロとされる。

▼BOT方式 事業会社が道路や施設を建設し、一定期間、管理・運営、採算を確保したうえで国などに譲り渡す仕組み。インフラ整備の資金が乏しい発展途上国にとって有効な手段とされる。運営期間が長期にわたるため、政策変更やインフレなどを企業が予測することが難しい点は、投資回収のリスクとなる。

一帯一路の「先兵」

CRBCは道路や鉄道、橋梁建設に強く、北京市の本社のほか約60カ国・地域に支社や事務所を持つ。同社の業績は不明だが、親会社の中国交通建設集団はグループ全体の売上高が21年12月期で8428億元(約16兆円)。米建設調査会社エンジニアリング・ニューズ・レコードによると、中交集団は建設関連企業の海外売上高で世界3位につけ、習近平(シー・ジンピン)指導部が展開する一帯一路の「先兵役」だ。

プノンペン側の高速道路の入り口には「中国交建」と書かれた青や赤ののぼりがはためき、中交集団が主導したインフラとしてアピールされていた。19年の着工時点では道路の敷設場所すら不明確だったが、CRBCが計画を上回るスピードで工事を進めた。

開通式典に参加した中国の李克強首相(左)とカンボジアのフン・セン首相(11月、プノンペン)=フン・セン氏のフェイスブックより

「中国はカンボジアの人々の生活を改善するために最善を尽くす用意がある」。11月9日、プノンペンでの開通式典に出席した中国の李克強(リー・クォーチャン)首相はフン・セン首相との会談で強調した。フン・セン氏は「両国の友好関係は強固だ」と表現し、蜜月を内外に示した。

投資誘致の推進役に

カンボジアにとって今回の高速道路は投資誘致の推進役として期待が大きい。プノンペン―シアヌークビル間は国道4号線が走っているが、片側1車線で年々渋滞が悪化していた。対向車線で追い越しを試みるトラックと「正面衝突のリスクが常にあり、何度も怖い思いをした」(物流業者)との声も聞かれる。

新たに開通した高速道路は片側2車線で整備し、中央分離帯も設置。安全性が高まった。数年前まで投資ラッシュに沸いた近隣国のミャンマーが政情不安で外資企業の投資を大きく減らすなか、カンボジアには追い風が吹いている。カンボジア総合研究所の鈴木博最高経営責任者(CEO)は「カンボジアの潜在力が相対的に高まっている。高速道路の開業と港湾整備は外資が新たに進出する動機になる」と指摘する。

中国にとっても、速く安全に移動できる道路インフラを整えることで、料金収入だけでなく自国の官民の活動を円滑にする狙いがあるとみられる。シアヌークビルには中国が拡張を支援するリアム海軍基地があり、南シナ海の実効支配をめざす中国軍が利用する可能性がある。市内では中国系企業によるホテルやカジノへの投資も加速している。

一段と高まる中国の影響力

中国による海外インフラ支援は近年、相手国の返済能力を考慮しない過度な貸し付けで批判されるケースが多い。そうした視線をBOT方式でかわしながら、カンボジアの主要な道路インフラを中国企業が実質的に押さえることになる。カンボジアへの21年の外国直接投資における中国比率は6割強に達しており、影響力が一段と高まる。

カンボジアにとって基幹インフラの運営を外国企業に任せることには、寸断リスクがついてまわる。今回は道路であるため迂回の選択肢があるが、同様の発注方式を電力などのライフラインにどこまで広げるかは慎重に検討していくとみられる。

CRBCはアフリカ東部のケニアでもBOT方式で高速道路を建設し、5月に試験運用を始めた。こうした支援を「新・新興国」と呼ばれる市場で広げていく公算が大きいが、中国政府の支援があるとはいえ一定の採算を確保する必要がある。料金設定やサービスエリアの充実などの運営ノウハウの蓄積が求められそうだ。

港湾都市シアヌークビル、日本の官民が整備支援

 シアヌークビルは日本の官民も足場を築いてきた重要都市だ。日本政府はカンボジアで唯一の深海港を運営するシアヌークビル港湾公社(PAS)を長年支援。現在は港湾物流大手の上組が13%の株式を持っている。

 8月には日本政府が最大413億円の円借款を供与し、拡張計画を支援する方針を打ち出した。完工すれば大型コンテナ船の寄港が可能になる。これまで北米や欧州を結ぶ航路はシンガポールで荷物を積み替える必要があった。

 シアヌークビル自治港のコンテナ取扱量は年平均10%以上のペースで増えている。PASのルー・キム・チュン総裁は同港を使うことで「カンボジアに進出する企業は輸送時間やコストで競争力が高まる」と話す。

 イオンモールはPASが運営する経済特区で専用の物流拠点を整備する。23年中に稼働させ、輸入品の保管や通関代行などの業務を始める。保税倉庫では輸入手続きが終わっていない貨物を関税無しで保管できる。メーカーのほか小売企業などの利用も想定している。
(プノンペンで、大西智也、大連=渡辺伸)』

https://nkis.nikkei.com/pub_click/174/VYYu9sfiVq1C0ZW24eX8zuBsU78PAg78pCT2km-Zj_ITxpIIKUklWedaWDWHpLWZk1NhdfnnSUFvkrKQa8Gzm2aGYou_b04ctvu-LpCCawTfk_Ms9PwuE-XX4YcDnrO7g_y7oXVWiFE3xZYS6Gymcjbo93tuJgMpAwRZBH0GVTXy9pzGnwN1JCLe-WVQZB8uhSnkMDOIx53BITdqdDARUXMi0bH5ke_ru-p4OuP0gvy-w5hNpASrK6NecsiS1v5Hcf2xppm-ZSECP4DSeiH6-vFyLdLrt_6c-rqjwXhiKatAvh3VZ9EoMMGBeGZutg3TdrdmLvTLFMrdR5mBoX5WkmLswq7tPyeOw1PPdzZj1QBUV-8hSaOBOs9im1W0qJGmlnVrO3Pa_0urt3qMetFkNqgZAoLd3yPY-FeI9WOGsRntmBEFFcHBtUhFo5nKiz25I5aB7WVw7C2Nf7ji8RJaj9oXYaHyeLeZKWLiMJQKtkgsmNuYjuKBJcC3dW_0//111571/149584/https://ps.nikkei.com/spire/

白紙デモ、習近平政権への打撃は限定的

白紙デモ、習近平政権への打撃は限定的 ラッド元豪首相
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK301RB0Q2A131C2000000/

『オーストラリアのケビン・ラッド元首相は都内で日本経済新聞のインタビューに応じた。中国各地での白紙デモと呼ばれる「ゼロコロナ」政策への抗議活動が「差し迫った習近平(シー・ジンピン)政権の困難になるとみるのは間違いだ」と指摘。当局が監視技術を使って巧みな鎮圧を進めるとの観測を示した。

白紙デモは厳格な新型コロナウイルス対策に抗議する参加者が無言の抵抗を意味する白い紙を掲げたのが由来。中国の各都市や有力大学に及び、一時は習氏本人への批判の声も公然と広がった。中国共産党の指導者が公然と批判されるのは極めて異例の事態だ。

ラッド氏は「抗議活動のレベルに習政権は驚いている」と語る一方で「これは抗議活動で、西側で多く言われる暴動とは違う」と述べ、政権への影響を過大視すべきでないとの姿勢を示した。「この強権国の力は恐ろしい」とも話し、露骨な弾圧でなく、顔認証技術を活用して抗議活動への参加者を特定し、締め付ける可能性を示唆した。

その半面「中国は抗議活動によってカニの横歩きのように(目立たない形で)ゼロコロナ政策の修正を加速している」とも言及した。中国は過去30年間で最も鈍い経済成長の状況にあると指摘し、少子化、民間投資の減退、米欧など世界景気の減速で「もう2~3年は低成長に陥る」との展望を語った。

習指導部が統一をめざす台湾の情勢については「今はおそらく嵐の前の静けさに入っている」と述べた。習国家主席が「当面の経済活動を改善するため、米国や欧州などとの地政学的な発熱をいくぶん下げようとしている」とし、米中首脳会談などで対話継続の意思を示したことを評価。同時に「中長期で台湾を巡り故意の戦争が起きるリスクが低下したわけではない」と警告した。

「中国は2030年代に力ずくでの台湾統一を実現するため、向こう5~7年は国の勢力関係や軍事、金融、経済や技術で自らを有利にしようと準備するかもしれない」との見通しを示した。20年代の戦闘リスクの低減だけでなく、日米欧の同盟国などによる中長期的な抑止の重要性を強調した。

米中関係は8月のペロシ米下院議長による台湾訪問で緊張を高めた。ラッド氏は「ペロシ氏の訪台は台湾の安全保障にとって明らかに助けにならなかった」と明言した。

米中間選挙では野党・共和党が下院の過半数を制した。下院トップのマッカーシー院内総務が議長に就いた場合、訪台するとの観測がある。この点についてラッド氏は「台湾の安定に有益な策は何かということよりも、米国の内政的な必要性から出ている話だ」と述べ、生産的な動きではないとの懸念を示した。

ラッド氏は07~10年と13年に豪首相を務めた。現在は米アジア・ソサエティー政策研究所所長を務める。

(編集委員 菅野幹雄)』

米国、トルコのシリア地上侵攻を警戒 対テロ作戦に緩み

米国、トルコのシリア地上侵攻を警戒 対テロ作戦に緩み
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN042KT0U2A201C2000000/

『【ワシントン=中村亮、イスタンブール=木寺もも子】バイデン米政権がトルコによるシリアへの地上侵攻に警戒を強めている。テロ対策で米軍と協力するクルド系武装勢力を標的にしているからだ。トルコには国内の治安強化に加え、米国から武器調達を進めるための交渉材料にする思惑も見え隠れする。

オースティン米国防長官は11月30日、トルコのアカル国防相と電話し、トルコによるシリアへの地上侵攻に強く反対すると伝えた。アカル氏は12月2日の記者会見で「国土や国民を守るために必要なことはためらわずに何でも行う」と明言。米国に対して「テロリストを支援するな。関係を絶て」と反発し、両国の溝は埋まらない。

トルコは11月13日に最大都市イスタンブールで6人が死亡した爆弾テロをきっかけに地上侵攻の準備を始めた。クルド勢力側は関与を否定したが、トルコは同勢力の犯行だと主張し、報復としてシリアとイラク北部で空爆や砲撃を続けている。アカル氏によると、2日までに491人の「テロリスト」を「無力化」した。

トルコのエルドアン大統領は「戦車と兵士」を用いた地上作戦の実施も示唆し、トルコ高官によると、作戦の準備はほぼ完了しているという。

米国とトルコはシリアを巡って対立してきた。シリア北東部に展開する米軍は、クルド人主体の民兵組織「シリア民主軍」(SDF)と協力し、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦を実施。SDFをテロ組織と同一視するトルコは反発していた。

SDFはトルコの越境攻撃に備えを強化したとみられ、ISに対する圧力が緩んでいる可能性がある。米国防総省のライダー報道官は11月29日の記者会見で「(SDFとの)共同パトロールの回数が減っている」と明らかにした。ロイター通信によると、SDFは12月2日に全ての共同パトロールを一時中断したと発表した。

SDFが米国とテロ対策で協力するのはトルコからの攻撃を抑止する狙いもある。SDFのマズルム・アブディ司令官は12月上旬、米紙ワシントン・ポストに「我々はシリアで米国に最も忠実な協力者だ。我々を忘れるな」と題する寄稿をした。「国際社会はトルコの侵攻を防ぐために具体的な措置を直ちに講じるべきだ」と訴えた。

クルド勢力は米国の政策決定に振り回されてきた。トルコ軍は2019年にシリアへ越境攻撃を実施し、当時のトランプ米大統領は米軍が戦闘に巻き込まれないように北部からの全面撤収を指示した。トルコによる地上侵攻を事実上容認したと受け止められ、SDFは米国が裏切ったとして猛反発した。

トルコは戦闘機F16の調達に向けて米国を揺さぶっている可能性がある。シリアへの侵攻をちらつかせて対米交渉のカードとするシナリオだ。バイデン米大統領は6月にF16の売却に賛成する方針を表明した。米政権内で売却手続きが詰めの作業に入ったとされるが、米議会は売却に慎重論が根強く、実現に不透明さが残っている。

トルコでは武装闘争で過去に計4万人が死亡したとされるクルド系勢力への嫌悪感が強い。23年半ばまでに大統領選と議会選を控えるエルドアン政権としては、強硬な姿勢で国民の支持を集めたい。』

[FT]EU、気候対策の補助金規制見直しへ 米政策に対抗

[FT]EU、気候対策の補助金規制見直しへ 米政策に対抗
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB0616V0W2A201C2000000/

 ※ 「気候変動対策」を表(おもて)に掲げた、「自国産業保護・育成政策」だな…。

 ※ 「自由貿易」体制とは、真逆の「自国産業保護・育成、補助金政策」だ…。

 ※ 日本が、散々叩かれた、「自国産業保護・育成」策だ…。

 ※ 民主党政権は、これがあるからな…。「労組」が支持基盤なんで、そういうことになる…。

 ※ そして、各国はそれへの「対抗策」を、取ることになる…。

 ※ その中身は、同じように、「自国産業保護・育成」策となる…。

 ※ そうやって、どんどんエスカレートして、結局最後は、「ブロック経済」「閉鎖経済」へと、なだれ込んで行きかねない…。

 ※ TPP11とかの重要性が、ますます高まる成り行きの感じだな…。

『欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は4日、3690億ドル(約49兆5800億円)を投じる米国の新たな気候変動対策がEUの競争力に与える影響に対処するため、EU加盟国の国家補助に関する規則を「簡素化および適正化させる」必要があるとの認識を示した。
フォンデアライエン氏は、「競争相手が新たに推進している積極的な産業政策には、構造的な対応が必要だ」と述べた=ロイター

これは、米国がグリーンエネルギー関連事業に補助金を支出しようとしていることに対するフォンデアライエン氏による初の公式コメントで、欧州は「公的資金の支出を容易にするため自らのルールを調整すべきだ」と述べた。EU首脳は米国の動きは欧州企業に米国移転を促すもので、米欧の結束を「分断」しかねないと批判している。

米国の措置は米欧関係の悪化を招いており、EU加盟国からは競争力の強化につながる行動を求める声が高まっている。こうした動きが両者の貿易戦争に発展しかねないとの懸念も広がっている。

フォンデアライエン氏は、「競争相手が新たに推進している積極的な産業政策には、構造的な対応が必要だ」と述べた。
EUレベルでの新たな資金の必要性も検討

フォンデアライエン氏の提案は広範な影響をもたらす可能性があるが、それには米国の歳出・歳入法(インフレ抑制法)に対するEUの強い懸念が反映されている。EUと米国の当局者は5日にこの問題について協議した。

バイデン米大統領はグリーンエネルギーへの補助金が盛り込まれたインフレ抑制法について、気候変動問題に取り組むために米国がこれまでに講じた「最も積極的な行動」だとしている。だが欧州諸国は、電気自動車などに対する税額控除や補助金支出といった措置は米国に拠点を置く企業を不当に優位にし、EU企業に移転を促すことになるとして不満を表明している。

フォンデアライエン氏は4日、EUは米国の措置に対処するため、公的投資に関する規制を見直すとともに、「EUレベルでの新たな追加資金」が必要かどうか再検討する必要があると指摘した。さらに、争点を解消するため、EUは米国にインフレ抑制法の調整を要求し続ける必要があると述べた。

フォンデアライエン氏は「インフレ抑制法は不公正な競争を招き、市場を閉ざし、重要なサプライチェーン(供給網)を分断する恐れがある」とした上で、「競争条件を調整し、国家補助の枠組みを改善するため、EUは行動しなくてはならない」と述べた。

さらに、「我々は、欧州市場にゆがみが生じるのを避けるため非常に慎重に行動している。しかし、クリーンテクノロジーをめぐる世界的な競争激化にも対応しなければならない」と付け加えた。「戦略的分野への投資がEUから流出すれば、それは欧州市場を弱体化させるだけだ。だからこそ、我々は今、国家補助に関する規則の簡素化と適正化について検討している」
EU大統領も対応呼びかけ

他のEU首脳も、米国の措置への集団的な対応を呼びかけている。ミシェルEU大統領はフィナンシャル・タイムズ(FT)紙に対し、共通の資金調達について改めて議論する必要があるとの考えを示した。

EUの競争力は、ロシアのウクライナ侵攻に起因するエネルギー価格の急騰やインフレ抑制法に盛り込まれた補助金制度によって打撃を受けている。ミシェル氏は、一部の加盟国には苦境に陥っている産業を支援する資金力があるが、その余力がない国もあり、EUの新たな資金源に関して議論を求めるのは正当な要求だと指摘した。

また、「一部の加盟国が経済発展を支援するため資金を活用する可能性があるのは好ましいが、それによって欧州市場にゆがみが生じるのを避けることが非常に重要だ」と述べた。

ミシェル氏は、EUの資金を新たに投入すべきかどうかという議論は、異例のコロナ復興基金の創設につながった議論の再現だとした上で、問題になるのは「資金を活用する準備ができているのかいないのか、必要な資金をどのように調達するのか」という点だと付け加えた。

フォンデアライエン氏による国家補助ルールの見直し要求は、新型コロナのパンデミックやエネルギー危機を受けた民間企業への支払い制限緩和など、制度の合理化を目指してEUがここ数年講じてきた一連の緊急措置に続くものだ。

しかし、ドイツをはじめとする資金力のある国が多額の支出をした場合、欧州市場にゆがみが生じかねないとの懸念があることを踏まえれば、ルール緩和に向けたさらなる措置は、加盟国間で大きな論争となりそうだ。加盟国の中には、債務残高の対GDP比率が少なくとも100%に達し、財政的な余力がほとんどない国もある。

フォンデアライエン氏は「補助金競争」に発展するリスクを認めながらも、米国との貿易戦争は誰の利益にもならないとして、「競争と協力はコインの裏表になり得る」と語った。

さらに、「もちろん、欧州は常に欧州にとって正しいことを行う。そのため、(米国の)インフレ抑制法に対して適切かつ十分に調整した方法で対応することになる」との考えを表明した。

「しかし、それは実際に(編集注、ウクライナで)戦争が起きている中、米国とコストがかかる貿易戦争を争うことを意味するわけではない。それは我々の利益にならず、米国民の利益にもならない」と付け加えた。
バイデン大統領もEUの懸念を認識

バイデン米大統領は1日、フランスのマクロン大統領を迎えた際、EUの懸念に前向きに対処する考えを示した。

ホワイトハウスの報道官は4日、「(バイデン)大統領は、欧州の懸念に対処する方法があることを明確にした。これは、欧州側との実質的な協議を通じて取り組んでいる問題だ」と述べた。

「我々は、米欧双方がお互いに犠牲を払うことなく高賃金の雇用を創出し、気候危機に取り組むことができると確信している」

Henry Foy and Sam Fleming

(2022年12月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

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ゲームであなたが挑戦 「カーボンゼロ」実現への道 
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米中首脳会談の舞台裏 「誤解なき対話」は維持されるか

米中首脳会談の舞台裏 「誤解なき対話」は維持されるか
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/28682

『11月15日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、「バイデン・習近平会談は激しい競争を管理する方向への移行を意味」と題する解説記事を掲載し、米中高官からの取材に基づき会談の舞台裏を報じている。
Martin Holverda / iStock / Getty Images Plus

 11月14日の米中首脳会談は3時間を超えた。習は共産党支配を強く擁護し、(中国共産党による)台湾の歴史の説明に力を入れた。米国は、中国が台湾侵攻の差し迫った計画を有していないとの印象を得た。首脳会談により、両国間の厳しい競争を管理し、紛争を予防し、可能なら共通利益を見出すという、米中関係の新段階が始まった。

 米中両国は今や全ての分野で衝突を深めている。バイデンはトランプ時代の関税を維持しつつ、先進半導体対中輸出制限の新措置を導入した。

 しかし、米国はバイデンと習双方が「副」だった時のような広範な対面会談を望んだ。7月の電話会談の際に両首脳は対面会談の可能性を探るよう指示したが、8月に中国は、ペロシ下院議長の訪台に対し、大規模軍事演習と広範な主要連絡ルートの遮断で応じた。この膠着状態は、9月の国連総会時にブリンケン長官が王毅外相に会ってから緩み始めた。その際ローゼンバーグNSC中国上級部長とクリンテンブリンク国務次官補が謝鋒外交副部長と会談した。両者は過去のオンライン会談設定の連絡チャネルを再開した。

 首脳会談は同時通訳で2時間を予定していたが、休憩を挟み3時間続いた。会談後の記者会見でバイデン大統領は、率直な議論をしたと発言した。中国政府は会談を前向きに評価し、両首脳が笑顔で握手するシーンを報じた。王毅外相は、首脳会談は、中米関係が管理不能に陥ることを避ける明確な方向性を打ち出したと述べた。

  • * * * * *  WSJらしい綿密な取材に基づいた「検証記事」であり、中国側のキーパーソンが誰かを含めて大変に参考になる。  今回の米中首脳会談は、両国が相手を唯一の戦略的競争相手と認識し、ある程度長期に亙り厳しい競争が不可避の中で、「競争を対話で管理する」という共通認識に双方が達した点で高く評価されるべきである。米国は、首脳会談の約1か月前の10月13日には、ウクライナ紛争進行中にもかかわらず中国を唯一の競争相手と位置付け、安保・経済両面で米国の優位性死守を宣言した国家安全保障戦略を発表し、それに先立つ10月7日には、その具体化とも言える先進半導体の対中輸出制限を打ち出している。その舞台裏でバイデン大統領にとって初の対面首脳会談の準備が着々と進んでいたのには驚かされるが、トランプ政権の際の「制裁の打ち合い」と異なり、先進半導体規制に対して中国が対抗策を打ち出していないことにも注目すべきだろう。』

『依然変わらぬ台湾問題の構図

 一方、台湾問題については、基本的な構図が変わったとは思わない。会談直後にバイデン大統領が「中国側に台湾に侵攻する差し迫った計画があるとは思わない」と発言したので、具体的にどのようなやり取りがあったのか関心があったのだが、この記事によれば、習主席は「中国は台湾再統一を望んでいるが、そのために力を使わないで済むことを望んでいると伝えようとした」とのことであり良く理解できた。しかし、これら全てのことは、中国側が共産党支配を正当化する究極の根拠である台湾再統一を決して諦めないという事情を変えるものではなく、有事に対する最善の準備をすることで中国側に失敗のリスクがあることを理解させ、唯一の道である抑止を確固たるものにするのは引き続き最優先の課題である。 

 今回のバイデン大統領の「印象」で、例えば米軍近代化の歩みが緩むことなどは有ってはならない。その観点からは、G20に際する米インドネシア首脳会談で、米国がインドネシアの海上保安機構に対してドローン入手他の海上監視能力向上のための支援を打ち出したのは、注目されていないが、大変意義深いことである。台湾海峡、バシー海峡、更にはマラッカ海峡が使用できなくなれば、唯一の代替航路はインドネシアのロンボク・マカッサル海峡であり、同国がその安全確保に貢献できるようになるのは、広い意味では抑止の一環であり、日米欧にとって大きな意味を持つ。米国は、抑止強化に向けた手も着々と打っていると言えるだろう。

 いずれにしても、中国側が失敗の可能性を正確に理解することで抑止が働くためにも、米中間で誤解のない「対話」が維持されていることが必須で、その意味でも、今回の首脳会談の意味は大きい。

 その後の日中首脳会談についても、その準備のための舞台裏での接触は「楊潔?-秋葉」間の7時間の議論でも明白なように、しっかりと行われていたはずであり、首脳会談を受けて同様の誤解のない「対話」が維持されることを期待したい。』

焦点:ゼロコロナで分断進む中国世論、根強い規制緩和への懸念

焦点:ゼロコロナで分断進む中国世論、根強い規制緩和への懸念
https://www.epochtimes.jp/2022/12/127152.html

『[上海 2日 ロイター] ? 中国・上海市に住む20代半ばのサミュエル・レンさんは、ゼロコロナ政策に嫌気が差している。

「オミクロンは脅威じゃない。ただの風邪みたいなものだ」と語り、新型コロナウィルス封じ込めのために続いているロックダウン(封鎖)を「ばかげている」と切って捨てた。
だが、心臓病と高血圧を患う上海市民ツァイ・シーユーさん(70)は、そうした不満を聞いてゼロコロナ政策への支持を変えることはない。1人でも感染者が出るのを黙認すれば「この疫病は必ず盛り返す」と感じており、「しばらくすれば消えてしまう風邪とは違う」と反論した。

新型コロナを徹底的に封じ込めるゼロコロナは習近平国家主席の看板政策だが、国民の間で賛否は大きく分かれている。

ロックダウンに抗議するデモが散発する一方で、死者の少なさがゼロコロナ政策の正しさを証明していると考え、最近始まった規制緩和に不安を覚える国民もいる。

公式発表によると、新型コロナによる累計死亡者数は中国が約5200人なのに対し、米国は100万人、ブラジルは69万人、英国は21万2000人を超えている。米国並みの死亡率を人口14億人の中国に当てはめると、死亡者は400万人を超える計算だ。

中国は高齢者のワクチン接種率が低い上に、医療制度にも不安があるため、新規感染者数が過去最高を更新している中で、制限を緩和することの潜在的リスクはなおさら高い。

上海の広告業界で働くサイラー・サンさんは「新型コロナ感染者をゼロに抑えることはできるが、そうすれば健全な経済は手に入らない。健全な経済を手に入れれば、感染者はゼロにできない」と、葛藤を口にした。

ロイターは中国国家衛生健康委員会にコロナ対策についてコメントを求めたが、今のところ回答はない。

<蚊に高射砲>

ロックダウンなどの制限措置により、中国の若年失業率は過去最悪を記録し、経済成長は落ち込み、工場やサプライチェーン(供給網)が打撃を被っている。

武漢の医師、ワン・ウェイジェンさんはソーシャルメディアの「微博(ウェイボー)」に「このウィルスに感染拡大初期と同じ政策で対処し続けるとすれば、蚊を殺すのに高射砲を用いるような感じだ」と投稿した。

当局は最近、隔離期間の短縮や検査義務の縮小を決めた。これはゼロコロナ政策から撤退する最初の試みだと受け止められている。多くの国民はこの変化を歓迎したが、警戒を解かない国民もいる。

例えば、河北省石家荘市では先月、当局が無料の新型コロナ検査場の閉鎖を決めたが、住民が感染爆発のリスクがあると不満を訴えたため、撤回を余儀なくされた。

米ブラウン大学の研究者がソーシャルメディアのデータと上海市の住民にインタビューし、8月に公表した研究結果では、ゼロコロナ政策が中国で強い支持を得ていることが分かった。人々は、コロナ対策が緩い国々の「陰惨な光景」を目にして、規則を順守しているという。

上海の会社員ワン・ジアンさん(32)は「私は海外に暮らした経験があり、中国の管理方法は海外よりずっと良いと感じている。このウィルスへの対処法は色々ある。中国は自国の状況を踏まえて対処を決めたまでであり、数字を見る限り、これで大丈夫だと思う」と語った。

<ワクチンと医療体制>

医療専門家の間でも、ゼロコロナ政策への賛否は分かれている。

上海市の新型コロナ対策専門家チームを率いるジャン・ウェンホン氏は先月、オミクロン変異株になって毒性が弱まっただけでなく、全体的にはワクチン接種率が高いため、ついにゼロコロナ政策から「抜け出す」道が開けるかもしれない、と述べた。

中国の初期の新型コロナ対策立案に関わった専門家ジョン・ナンシャン氏も、オミクロン株の致死率は比較的低く、「国民はあまり心配し過ぎる必要はない」と語った。

しかし、広西チワン族自治区の疾病管理センター長、ジョウ・ジャトン氏は先月公表した論文で、中国本土が今年の香港と同様に制限を緩和していた場合、感染者数は2億3300万人を超え、200万人余りが死亡していたとの悲観的な推計を示した。

ブラウン大学の研究に携わったキャサリン・メーソン氏は、中国はゼロコロナ政策を廃止する前に、ワクチン接種の強化や医療受け入れ態勢の拡大など、準備が必要だと指摘した。

復旦大学(上海)公衆衛生大学院が昨年公表した論文によると、2021年時点で中国は人口10万人当たりの集中治療室(ICU)の病床数がわずか4.37床だった。米国は15年時点で34.2床だ。

また、中国の疾病予防管理センター(CDC)のデータによると、60歳以上のワクチン接種率は、2回接種が11月時点で86.4%、3回以上の接種が68.2%にとどまっている。米国の60歳以上はこの数字がそれぞれ92%と70%、ドイツは91%と85.9%、日本は92%と90%だ。

<猛虎か、張り子の虎か>

ニュースアプリ「今日頭条」には最近、「かつて、このウィルスは猛虎のようだったが、今では張り子の虎だ」という投稿があった。ロックダウンを支持しているのは年金生活者か、働かなくても生活できる人々だけだと主張している。

だが、ロックダウンへの抗議デモが正しい解決策だと、だれもが思っているわけではない。

食品業界で働くアダム・ヤンさん(26)は「頭を使わずにこうした手段に訴える必要はない。こうした行動は公序を乱す」と語る。「新型コロナの状況は非常に複雑で、次々と新しい問題が持ち上がる。政府を信じ、各々が最善を尽くすのが一番良いと思う」と続けた。

(David Stanway記者)』

武装中立

 ※ むしろ、「重武装中立」と言った方が、いいな…。

 ※ スイス陸軍が公開している、演習の様子を撮った動画から、キャプチャしたものだ。

 ※ 後半は、「車両テロ対策」の演習となっているようだ。

 ※ 今探したが、URLを見つけられんかった…。まあ、ネットに転がっていたということで…。

焦点:永世中立スイスがNATO接近、ウクライナ危機で揺らぐ国是

焦点:永世中立スイスがNATO接近、ウクライナ危機で揺らぐ国是
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-swiss-idJPKCN2N2073

『2022年5月17日1:09 午後 7ヶ月前更新

国防省の安全保障政策責任者、パエルビ・プッリ氏はロイターのインタビューで、NATO加盟国との合同軍事演習や武器弾薬の「補充」などを含め、スイスが今後採択すべき安保政策に関する選択肢を提示する報告書を策定しているところだと語った。こうした議論が行われていることは、今回のインタビューで初めて明らかになった。

プッリ氏は「最終的には中立の解釈方法に変化が生じる可能性がある」と発言。スイスのメディアによると、アムヘルト国防相も今週の米ワシントン訪問に際して、スイスはNATOに加盟しないが、より緊密な関係を築いていくべきだとの考えを明らかにした。

スイスは中立を貫くことで、第1次世界大戦と第2次世界大戦に巻き込まれずに済んだ。しかし、中立政策はそれ自体が目的ではなく、スイスの安全保障強化が狙いだとプッリ氏は主張。スイス、NATO両軍司令部や政治家間のハイレベル定期会合開催も選択肢の1つだと付け加えた。

中立政策の支持者らは、この方針のおかげでスイスは平和的な繁栄を享受し、東西冷戦下などで国際紛争の仲介者という特別な役割を果たすことができたと唱えている。NATOとの連携に大きく踏み出せば、こうした慎重に育んできた外交政策と一線を画することになる。

折しも同じく中立政策を掲げてきたフィンランドとスウェーデンは、NATO加盟に乗り出そうとしている。プッリ氏は、スイスでもNATO正式加盟問題は議論されてきたと認めつつ、報告書が加盟を推奨する公算は乏しいとの見通しを示した。

報告書は9月末までにまとめられ、内閣の検討を経て議会に提出され、将来の安保政策を巡る審議のたたき台となる。この報告書が採決にかけられるわけではない。

スイス外務省は、経済制裁や武器弾薬輸出、NATOとの関係などの問題を幅広く調査する準備を進めており、国防省はこの調査にも協力することになる。

<議論再燃>

スイスは、フランス革命とナポレオン戦争で混乱した欧州の安定を取り戻す目的で1815年に開かれたウィーン会議で中立政策を採択して以来、対外戦争を行っていない。1907年の第2回ハーグ国際平和会議では、国際間の武力紛争に参加せず、戦争当事者への武器や人員の支援、国土提供もしないといった、スイスの中立国としての権利や義務が明記された。

中立政策は、スイス憲法に定められている。ただ、自衛権は否定しておらず、憲法の規定でカバーされない政治的事象を解釈によって運用する余地は残している。

政策の基本方針が最後に修正されたのは、旧ソ連が崩壊した1990年代初め。人道支援や災害救助などの分野で、他国と協力する外交政策が許容された。

そして今、ウクライナ危機によって中立政策を巡る議論が再燃。現時点で焦点となっているのは、ロシアに制裁を科すが、スイス製の武器をウクライナに輸出することは認めないという政府の決定だ。

プッリ氏は「スイスがウクライナ支援で、より大きな貢献ができないことへの大きな不安がある」と語った。そこで従来の政策を転換し、他国がウクライナに届けた武器弾薬をスイスが補充するという選択肢が浮上しているという。ただ、武器の直接供給はハードルが高そうだとプッリ氏は話した。

スイスのカシス大統領は、これまでウクライナを支援している第三国への武器提供を否定している。しかし、中立は「絶対的な教義」ではなく、ロシアに制裁を科さないと「侵略者の思うつぼになるだけだ」と述べ、この問題で視野を広げる可能性も示した。

<世論も一変>

スイスは昨年、一部のNATO加盟国で既に使用されている米ロッキード・マーチン社製の最新鋭ステルス戦闘機・F35の購入を決定し、NATOとの関係を築いている。

アムヘルト国防相は公共放送SRFに対して、スイスは中立政策のためにいかなる軍事同盟にも参加できないが、協力は可能であり、われわれが購入する武器システムがその格好の土台になると語った。

スイス軍当局は、NATOとの協力拡大が国防力強化につながるとして賛成しており、世論もロシアのウクライナ侵攻で劇的に変化した。最近のある調査では、NATOとの関係拡大賛成派は56%と、近年の平均の37%をはるかに上回っている。

NATO加盟支持はなお少数意見とはいえ、その勢いは著しく増大。世論調査会社・ソトモが4月に行った調査でNATO加盟に賛成したのは全体の33%で、別の調査で長期的に見られる比率の21%より高い。ソトモの担当者は「ロシアのウクライナ侵攻が多くのスイス国民の心理を一変させたのは間違いない。これは、西側民主主義の価値への攻撃だとみなされている」と説明した。

連立政権の一翼を担う中道右派の自由民主党を率いるティエリー・ブルカルト氏は、中立に対する国民の感じ方に「激震」が起きたと形容し、ロイターに対して中立政策は「柔軟であるべきだ」と強調。ウクライナ危機前は一部の人々が欧州で新たな通常戦争はもう起きないと想定し、軍備解体を提唱する声さえあったが、同危機が決して甘い考えは持てないことを証明したと指摘した。

ブルカルト氏は、国防費増額やNATOとの連携強化に賛成するとしながらも、NATO正式加盟は支持しないと表明した。

一方、やはり連立政権を担う極右のスイス国民党幹部、ペーター・ケラー氏は、中立政策とNATO接近は相いれないとロイターに断言し「成功を収めてきたこの外交政策を最大限に変更する理由は見当たらない。これは国民に平和と繁栄をもたらしてきたのだ」と訴えた。スイス国民党は、下院で最大の議席を保有している。

しかし、国防省の意見は異なる。アムヘルト氏はワシントン訪問中に、中立政策の法的枠組みでも、NATOや欧州の友好国とより緊密に連携するのは可能だと発言した、とスイス紙ターゲス・アンツァイガーが伝えた。

(John Revill記者)』

(過去の投稿)

焦点:永世中立スイスがNATO接近、ウクライナ危機で揺らぐ国是
https://http476386114.com/2022/05/18/%e7%84%a6%e7%82%b9%ef%bc%9a%e6%b0%b8%e4%b8%96%e4%b8%ad%e7%ab%8b%e3%82%b9%e3%82%a4%e3%82%b9%e3%81%8c%ef%bd%8e%ef%bd%81%ef%bd%94%ef%bd%8f%e6%8e%a5%e8%bf%91%e3%80%81%e3%82%a6%e3%82%af%e3%83%a9%e3%82%a4/ 

中立国スイスが対露制裁 北欧の中立2カ国はウクライナへ武器供与
https://http476386114.com/2022/05/18/%e4%b8%ad%e7%ab%8b%e5%9b%bd%e3%82%b9%e3%82%a4%e3%82%b9%e3%81%8c%e5%af%be%e9%9c%b2%e5%88%b6%e8%a3%81%e3%80%80%e5%8c%97%e6%ac%a7%e3%81%ae%e4%b8%ad%e7%ab%8b%ef%bc%92%e3%82%ab%e5%9b%bd%e3%81%af%e3%82%a6/

スイスが異例のロシア金融資産を凍結

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:スイスが異例のロシア金融資産を凍結
https://nappi11.livedoor.blog/archives/5393386.html

『スイスの経済省経済事務局(SECO)は2022年12月1日、先月25日時点でロシアの金融資産78億9000万ドル(約1兆700億円)を凍結したと発表した。

SECOは1日付の報道発表によると、金融資産のほか、制裁対象のロシア人がスイスSwitzerlandに所有する不動産15物件が差し押さえられた。 ロシア人が所有する総額485億ドル(約6兆5600億円)がSECOの調査対象になっているという。

スイスではロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、連邦会議(内閣に相当)が中立の伝統を破り、欧州連合(EU)の対ロシア制裁を採択した。

また、「防衛力」強化のため、スイスは北大西洋条約機構(NATO)やEUとのより緊密な関係を模索する方針を明らかにしている。参照記事 英文記事』

《荒っぽい人間とビジネスすることは可能だ。しかし…。》

《荒っぽい人間とビジネスすることは可能だ。しかし…。》
https://st2019.site/?p=20681

『Irina Scherbakova & Jonas Walzberg 記者による2022-12-5記事「’No Diplomatic Solution’ to Ukraine War: Nobel Winner」。

 人権活動でノーベル平和賞を与えられたロシアのNGO「メモリアル」の代表の一人が言う。今はウクライナ戦争に「外交的解決」などありえない、と。相手がプーチン体制である限り、そんなのは無意味である。

 ※コンラッド・ヒルトンいわく。《荒っぽい人間とビジネスすることは可能だ。しかし嘘つきと取引をすることは、誰にも不可能だ》。』

金曜日にスイス政府は声明。国道を電気自動車が走ることを禁止するであろう、と。

金曜日にスイス政府は声明。国道を電気自動車が走ることを禁止するであろう、と。
https://st2019.site/?p=20681

『Chris King 記者による2022-12-2記事「Switzerland plans to ban electric cars from its roads」。

   金曜日にスイス政府は声明。冬に向け、電力事情がもっと悪くなるようなら、国道を電気自動車が走ることを禁止するであろう、と。

 不要不急の自動車旅行は、禁止されるであろう。?

 スイスの電力の60%は水力発電でまかなわれている。
 30%は原子力であるがこれは閉鎖する。
 あとは輸入化石燃料頼みの火力発電か、風力発電しかない。

 冬は河川の水量が減るので、水力発電量も減る。その分、輸入しなければならない。

 さいわいスイスはロシア産のガスには依存していない。』

ロシアの航空基地×2箇所が同時に巡航ミサイルで攻撃された。

ロシアの航空基地×2箇所が同時に巡航ミサイルで攻撃された。
https://st2019.site/?p=20681

『Thomas Newdick 記者による2022-10-5記事「Ukraine Modified Soviet-Era Jet Drones To Hit Bomber Bases, Russia Claims」。

  ロシアの航空基地×2箇所が同時に巡航ミサイルで攻撃された。エンゲルス基地とデャギレヴォ基地。

 ロシア側は認める。ウクライナが使ったのはソ連時代のジェットエンジン付きの無人機だと。
 例によって、《それをすべて撃墜したのだが落ちてきた破片で人が死んだのだ》と嘘宣伝している。

 ウクライナ内務相は、2箇所の航空基地のうち1箇所については、われわれがやったと認めた。

 注意。エンゲルス基地は、「エンゲルス2」とも表記される。まぎらわしいが、同じ飛行場のことである
 この基地は、ウクライナ国境から300マイル離れている。

 爆発音は、月曜日の早朝に、数マイルの半径で聞かれた。現地の朝6時過ぎに。ブラストを遠くから撮影したビデオ証言もあり。

 もうひとつの地元民証言ビデオ。エンゲルス空港のあるサラトフ地区で、爆発音がする少し前に、ジェット・エンジンの航過音が、同時に録音されている。これは特攻自爆ドローンのエンジンだろう。

 ロシア・メディアは、エンゲルス空港で2機の「ツポレフ95MS-H」重爆撃機が損壊したと伝えている。
 直後の「センチネル2」衛星の画像を見たが、解像度が低いせいもあって、大破している飛行機は確認ができなかった。小破なのかもしれない。

 エンゲルス基地には「ツポレフ95MSベア」と「ツポレフ160ブラックジャック」が展開しており、専ら、対宇の空対地巡航ミサイル発射に使われている。

 デャギレフ航空基地は、別名リャザン空港。ウクライナ国境からは280マイル。
 ここでも死傷者が発生していることを露国防省は認めている。

 ここでは「ツポレフ22M3」(バックファイアーC)の水平尾翼とエンジンノズルが損壊したようである。

 ディヤギレフ基地は戦略爆撃機など大型機のクルーを育てるセンターである。
 空中給油機の部隊も所在。

 ウクライナの大統領補佐官はSNSに書き込んだ。ロシアがじぶんが発射したミサイルが地球を一周して落ちたんだろ、と。

 どうも特攻機は「ツポレフ141」無人偵察機を改造したものらしい。この謎の機体は3月にクロアチアのザグレブに墜落している。そこはウクライナ国境から350マイル離れていた。

 ※『WSJ』によると米国はウクライナに与えたHIMARSのソフトを書き換えて、長射程のATACMSを発射しようとしてもできないようにしているという。ATACMSのレンジは190マイルだ。米国が供与してくれないなら、自国で工夫するしかない。それを半年強でなんとかやりとげた。

 ソ連時代に製造された「ツポレフ141」は、全長47フィート強、幅12フィート強。エンジンはターボジェット。

 6月には、ウクライナ軍の「ツポレフ143」がロシア領内で撃墜されている。これは「ツポレフ141」の親類の無人ジェット偵察機。ただし小型なのでレンジは125マイルしかない。「ツポレフ141」は650マイルだが。

 ※毎度、しつこく繰り返して恐縮なのだが、正しいことなので繰り返す。わが海自が「拡大しらね型」を保有していたならば、退役戦闘機や練習機をこのような「改造巡航ミサイル」に仕立てたものを随意随時に格納し、、それを洋上からロケットアシストで打ち出して、敵基地を内陸奥深くまで攻撃できるのである。ウクライナはたった半年の時間で今回の改造をやりとげている。日本にそれができないはずがあるか? 日本の防衛体制に足りないのは、カネでもなければ技術でもない。物事を「早くやる」という「機転の利いた人材」が致命的に不在なのだ。核戦争が1年以内に起きるかもしれないのに、10年後の話をしていることがそもそも「無責任」だとは思わないのだろうか?』

未知の無人機による攻撃か、Tu-95が配備されたロシア軍基地で爆発

未知の無人機による攻撃か、Tu-95が配備されたロシア軍基地で爆発
https://grandfleet.info/russia-related/attack-by-unknown-drone-or-explosion-at-russian-military-base-where-tu-95-is-deployed/

『Tu-95やTu-160を装備したロシア空軍の第121親衛重爆撃機航空連隊が駐留するエンゲリス基地で爆発が発生、未知の無人機による攻撃で2機のTu-95が損傷したという未確認の情報もあるが、この爆発に関する正確な詳細は分かっていない。

果たしてエンゲリス基地で発生した爆発の正体はなんだったのだろうか?

動画に登場する爆発は4日夜~5日未明の間に発生したもので、Tu-95やTu-160を装備したロシア空軍の第121親衛重爆撃機航空連隊が駐留するエンゲリス基地で爆発が発生したと報告されているが、ウクライナ東部のハルキウから直線距離で700km以上離れた拠点を襲ったとされる「未知の無人機」が何なのかは謎だ。

???Russian Engels Airbase in Saratov Region was reportedly targeted by an unknown drone last night. The airbase is a home for Russian Tu-95 strategic bombers.#UkraineRussiaWar pic.twitter.com/m0dkYATpg0

? MilitaryLand.net (@Militarylandnet) December 5, 2022

Неизвестный беспилотник атаковал аэродром в Саратовской области. Пострадали два человека, ? Baza.
По предварительным данным, утром 5 декабря беспилотник упал на ВПП местного аэродрома. В итоге оказались повреждены два самолета(возм. ракетоносцы). Ранения получили два человека . pic.twitter.com/mY5I5ffiEB

? Serg Wысоцкий (@SergAibertich) December 5, 2022

仮に報告されているように未知の無人機がエンゲリス基地を攻撃したのなら、、、ウクライナのウクロボロンプロムが開発を進めている最大1,000kmの作動範囲を備えた自爆型無人機である可能性が高いが、飛来した物体はジェットエンジンの作動音に似た音を発しているため、ウクロボロンプロムの自爆型無人機はジェットエンジン駆動なのかもしれない。

ただウクロボロンプロムの広報担当者は「現在EWの影響下で無人機が設計通り作動するかテストしている。これをパスすれば実戦テストに移る予定で『今年中』にと約束したので、これを守るため取り組んでいる」と述べたばかりなので、いきなりエンゲリス基地への攻撃に投入されたと仮定するには少々疑問が残る。

出典:GoogleMap

果たしてエンゲリス基地で発生した爆発の正体はなんだったのだろうか、、、もしかするとタバコの不始末かもしれない。

追記:ロシアの報道によれば「5日早朝(午前6時頃)に無人機がエンゲリス基地の滑走路に着弾、2機のTu-95が損傷、2名の軍人が負傷した」と報じているので、ウクライナ軍の攻撃だった可能性が高い。

関連記事:ウクライナが開発中の自爆型の無人航空機、早ければ年明けにも実戦投入
関連記事:ウクライナ、1,000kmの作動範囲と75kgの弾頭重量を備えたUAVを開発

?※アイキャッチ画像の出典:Alex Beltyukov/CC BY-SA 3.0 』

米国、HIMARSからATACMS運用能力を削除してウクライナに提供か

米国、HIMARSからATACMS運用能力を削除してウクライナに提供か
https://grandfleet.info/us-related/us-removes-atacms-operational-capability-from-himars-and-offers-it-to-ukraine/

『HIMARSで使用可能なATACMSはクリミア大橋を直接攻撃できるため「ウクライナ供与」が再三噂されてきたが、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「ATACMSが使用できないよう改造したHIMARSをウクライナに提供している」と報じている。

参考:U.S. Altered Himars Rocket Launchers to Keep Ukraine From Firing Missiles Into Russia

クリミア大橋への攻撃にHIMARSを使用することは可能=GMLRS弾が届く範囲までクリミアを解放できたならという意味になる

HIMARSやMLRSで使用するGMLRS弾は最大80km先の目標を精密攻撃できるため「榴弾砲では手が届かない目標(前線の後方に設置された弾薬庫、物資集積地、司令部等)」への攻撃で活躍中だが、同じランチャーで射程300kmのATACMSも使用することができ、ウクライナは再三「ATACMS供与」を要請してきたが米国はこれを拒否し続けている。

出典:U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. William Chockey

しかしGMLRS弾では到底届かないロシア軍の拠点で爆発が発生すると必ず「米国がATACMSを供与しているのではないか?」と噂されてきたが、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「バイデン政権は戦いのエスカレーションを未然に防ぐためATACMSが使用できないよう改造したHIMARSをウクライナに提供している」と報じており、これが事実なら英国、ドイツ、フランスが提供しているMLRSもATACMSの運用能力が削除されているだろう。

米政府高官は7月「クリミア大橋への攻撃にHIMARSを使用することは可能で、ウクライナ人が自国の主権が及ぶ範囲でロシア軍と戦うことに何の制約もない」と明かしていたが、これはATACMS供与を示唆しているのではなく「GMLRS弾が届く範囲までクリミアを解放できたならクリミア大橋の攻撃に使用してもよい」という意味になるため非常に興味深い。
出典:Rosavtodor.ru / CC BY 4.0

つまりATACMSの供与が「戦いのエスカレーションを招く」という理由でウクライナ支援の選択肢から外れるなら、西側製戦闘機の供与など期待するだけ無駄だ。

関連記事:米国、ウクライナ軍がクリミア大橋攻撃にHIMARSを使用してもOK
関連記事:ウクライナ国防相、最終的に西側は射程300kmのATACMS提供に応じる

?※アイキャッチ画像の出典:Photo by John Hamilton M270から発射されたATACMS 』

ユーロコミュニズム

ユーロコミュニズム
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%82%BA%E3%83%A0

『ユーロコミュニズム(Eurocommunism)または欧州共産主義(おうしゅうきょうさんしゅぎ)は、中ソ対立などにより国際共産主義運動が多様化する中で1970年代に西欧(主にフランス、イタリア、スペイン)の共産党で趨勢となった共産主義の一潮流。暴力革命・プロレタリア独裁・民主集中制・分派禁止などの路線を放棄し、ソ連型共産主義と違う路線を選んだ[1]。 』

『概要

ソ連共産党とは距離を置き、プロレタリア独裁の放棄や複数政党制の容認、自由と民主主義の擁護などを公然と宣言した。

フランス共産党は、1968年12月、〈先進的民主主義〉の理念を発表し、〈社会主義への道をきりひらく〉ための〈一貫した先進的民主主義の政治〉をうちだした。そして、1972年、フランス社会党と、〈共同政府綱領〉を締結し、1974年の大統領選挙で、フランソワ・ミッテランを統一候補としてたて、当選まであと一歩のところに迫った。

しかし、1977年、共産党は〈共同政府綱領〉の改定交渉で、国有化の範囲を広げるなどの提案をだし、結果的に交渉は決裂、社会党との共同綱領は流産した。さらに、1985年の党大会で、これまでの方針を撤回、〈社会変革そのものを直接の目標とする闘争〉へと切り替えた。

イタリア共産党では、1975年の党大会で、エンリコ・ベルリンゲル書記長により歴史的妥協(Historic Compromise)の方策が提案された。この大会で、〈民主主義的、反ファシズム革命の第二段階〉と現状を位置づけ、当時の与党であったキリスト教民主党との提携によって政権を獲得しようと試みた。それは、イタリア共産党がそれまで掲げていた、北大西洋条約機構(NATO)体制からの離脱という方針を放棄するものでもあった。1976年の総選挙で得票率34%を獲得したが、政権入りはならず、1977年にキリスト教民主党との協定も成立したが、やはり政権には加われなかった。そして、1991年2月、党名を〈左翼民主党〉と改め、社会民主主義の潮流に加わることになった。このとき、その方針に従わないグループは共産主義再建党を結成した。

スペイン共産党では、モンクロア協定(Pactos de la Moncloa)などが特徴的な事件であった。

1955年の六全協以降の日本共産党も、準綱領の自由と民主主義の宣言などに示された路線はユーロコミュニズムの一種とみさなれることがある。1970年代後半の一時期には、〈ユーロ・ニッポ・コミュニズム〉などと発言していた時期もあった。しかし、日本共産党は、西欧諸国(特にイタリア)の共産党がNATOを容認する姿勢を示したことを激しく批判した経緯もあって、ユーロコミュニズムとは一線を画していると主張しており、その立場を現時点でも撤回しておらず非同盟諸国首脳会議への加盟を綱領に明記している[2]。また、西ヨーロッパのユーロコミュニズム諸党は党の内部に多様な思想の存在を認めているが、日本共産党は冷戦以降も多様な意見が同時に存在することを党の規則で禁止している[3]。日本共産党は冷戦後に旧西側諸国で派閥の禁止と民主集中制を維持している政党であり、戦後に日本共産党における著名人および古参活動家も戦前からの者も時代ごとの執行部の方針に賛同しない者は除名、除籍されている。 民主集中制廃止・派閥禁止の廃止が基本であるユーロコミュニズムとは完全に異なる。日本共産党内で党内に多様な潮流・分派の存在する権利を求めた学者党員などは、党と社会とを混同するものとして徹底的に批判され、自己批判に追い込まれ除名されるか、離党させられた[4][2][3]。』

[FT]マクロン大統領、プーチン氏の主張「容認」に批判

[FT]マクロン大統領、プーチン氏の主張「容認」に批判
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB0542Z0V01C22A2000000/

『フランスのマクロン大統領が4日、ロシアに関する発言でウクライナ政府とバルト諸国から厳しい批判を浴びた。ウクライナでの戦争を終結させるための将来の交渉の一環として、ロシアに安全保障面での確約を与える必要があると述べたためだ。

プーチン大統領の主張に沿ったようなマクロン大統領の発言に批判が集まっている(1日、米ホワイトハウス)=ロイター

仏テレビTF1のインタビューでの発言は、マクロン氏が公式訪問したワシントンでバイデン米大統領と会談し、ロシアによるウクライナ侵攻と米仏両国によるウクライナ支援の継続について協議した後に出たものだ。マクロン氏は米国と欧州が地域の「あすに向けた安全保障構造」を準備する必要性についてバイデン氏と話し合ったと述べた。

「これは、我々が対処しなければならない重大事項の1つが、(ロシアの)プーチン大統領が常々語っているように北大西洋条約機構(NATO)がロシアの玄関先まで迫ってくるという不安とロシアを脅かしかねない兵器の配備であることを意味している」とマクロン氏は語った。

「このトピックは和平に向けた議題の一部となる。このため我々はやる用意があることや同盟国と加盟国を守る方法、ロシアが交渉のテーブルに戻ってきた時に保障を与える方法について準備する必要がある」と同氏は話した。

マクロン氏の発言は4日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)で強い批判を招いた。

ウクライナ国家安全保障・国防会議のダニロフ書記はツイッターで「誰かがテロリストで殺人者の国家に安全の保障を与えたいと思っているのか」と問いかけた。さらに第2次世界大戦後の戦争裁判に触れて「ニュルンベルクの代わりに、ロシアとの合意に署名して握手したいのか」と疑問を投げかけた。

ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は、むしろ世界がロシアからの安全の保障を必要としており、ロシアに責任を果たさせるべきだと語った。「文明世界はプーチン後のロシアの野蛮な意図からの『安全の保障』が必要だ」と同氏はツイートした。
以前もロシアに甘いとの批判

戦後の自国の安全保障について欧米諸国からの確約を求めているウクライナ政府は侵攻したのはロシアであることを理由に、紛争後にプーチン氏に譲歩する提案を一切拒絶してきた。

マクロン氏は以前、紛争が終わってもロシアは隣国であることに変わりはなく、欧米は戦争を巡って「ロシアに屈辱を与えるべきではない」との考えを表明し、ロシアに甘いと批判された。

ロシアによるウクライナ侵攻を受けてNATOに加盟申請したフィンランドのストゥブ元首相は、マクロン氏の意見に根本的に反対だと語った。「我々が重点的に取り組むべき唯一の安全保障の確約は、基本的にロシア以外だ」とツイッターに投稿した。「ロシアがまず他国を攻撃しないことを保障する必要がある。それではじめて我々は(欧州の安全保障について)議論を始めることができる」という。

ラトビアのパブリクス副首相はフィナンシャル・タイムズ(FT)紙に対し、「欧米がロシアに安全保障を確約することによってロシアのウクライナ侵攻を終結できるという考えは、この戦争の責任は欧米とウクライナにあり、ロシアは罪なき犠牲者だというプーチン氏の言説に惑わされている」と語った。

リトアニアのリンケビチュス前外相はツイッターで「近隣諸国を攻撃したり、併合や占領をしたりしなければ、ロシアはあらゆる安全保障が確約される。テロ国家が威嚇行為を継続するのを許す新しい安全保障構造を築きたい人がいるのなら考え直すべきだ」とコメントした。

NATOは「門戸開放」を堅持

マクロン氏の発言は、NATOが旧ソ連各国を迎え入れることでロシア国境に向かって「拡大」し、それが侵攻の正当な理由になるというプーチン氏の主張に信認を与えたようにも受け取れる。

NATOはこの主張を断固否定するとともに、地理的な場所を問わずいかなる国も加盟を申請する主権的判断を下すことができ、ロシアには申請国に拒否権を発動する権利がないという「門戸開放」政策を事あるごとに確認してきた。

フランスのある政府高官は4日、同国の優先事項は依然、ウクライナがロシアの攻撃に抵抗するのを支援することとロシア軍の撤収でウクライナの主権が回復されるようにすることだと述べた。

この高官はマクロン氏がロシアに甘いとの見方を否定し、大統領はロシア軍が犯したとされる残虐行為を非難し、戦争犯罪の調査に加わるためにフランスの調査員を送り込んだと指摘した。だが、将来の戦争を回避するには欧州の「新たな安全保障構造」が必要になるとし、「ロシアはどこへも行かないし、こうした協議に参加する必要がある」と語った。
戦争が始まって10カ月になるなか、欧米政府高官は紛争の終結に向けた正式な協議は開かれていないと話す。米国やフランスを含むウクライナの同盟国は繰り返し、ウクライナが受け入れる条件について決めるのは同国のゼレンスキー大統領だとの考えを示してきた。
バイデン氏は1日、もしプーチン氏が本気で戦争の終結を探るなら同氏と話す用意があると語る一方、現時点ではそうではないと述べた。

ロシア政府高官はその後、ロシア側も「我々の利益を守るために交渉に臨む用意はある」が、欧米諸国が一定の要求を認めた場合に限られると語った。

By Leila Abboud, Henry Foy, Roman Olearchyk and Richard Milne

(2022年12月5日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.』

防衛費、関連経費を拡大 研究開発やインフラを総合的に

防衛費、関連経費を拡大 研究開発やインフラを総合的に
防衛費・財源の焦点③
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA050B80V01C22A2000000/

『2027年度に防衛費を国内総生産(GDP)比で2%まで増やす際、何をどこまで含むのか。政府は従来の防衛省の予算に加え、科学技術やインフラなど安全保障に資する他省庁の関連経費を算入する方針だ。縦割りだった予算編成の仕組みも改革が必要になる。

【前回記事】防衛費「幅広い税目」探る 湾岸・復興「付加税」の経験

政府の有識者会議が11月に公表した報告書は「縦割りを打破し、政策資源の最大限の有効活用を図る」と明記した。研究開発や公共インフラ、サイバー、国際協力を列挙し、防衛関連経費として計上するよう求めた。

たとえば研究開発は防衛省だけでみると22年度に1657億円とGDP比で0.1%に届かない。防衛関係の研究開発予算が0.38%(20年)に達する米国をはるかに下回る。

日本の政府全体の科学技術関係予算は約4.2兆円で、GDP比でみても米欧に遜色ない。民生向けと区分してきた予算を防衛力の底上げに活用できる余地は大きいとみられる。たとえば人工知能(AI)など民間で広がる先端技術は安全保障でも有用だ。

公共インフラの予算も同様の傾向がある。空港や港湾も有事には自衛隊が拠点として使えるよう平時からの整備が欠かせない。報告書は「あらゆる能力を国力としての防衛力という観点で総合的・一体的に利活用すべきだ」と求めた。

広く防衛にかかわる様々な要素をまとめて積み上げるのは海外でも標準的な考え方だ。北大西洋条約機構(NATO)が加盟国に求めるGDP比2%の支出は、退役軍人の年金など国防省以外の支出も含む。

日本もNATO基準を参考に恩給費や国連平和維持活動(PKO)関連経費を織り込んだ「安全保障に関連する経費」を公表してきた。この指標で21年度の当初予算と補正予算を合わせるとGDP比1.24%に達する。

有識者会議は関連経費の範囲を広げて「総合的な防衛体制の強化に資する経費として計上・把握する」ことを提起した。公共インフラなどの関連省庁が事前に自衛隊のニーズをくみ取り、毎夏の概算要求基準に特別枠を設けて予算要求する仕組みを想定する。

自民党内には「対象経費の範囲が拡散すれば、防衛省本体の予算の伸びが抑制されるのではないか」との懸念もある。防衛費の範囲を巡る政府・与党の協議は難航も予想される。』

https://nkis.nikkei.com/pub_click/174/WhXwGcYBkASGsXWw-nC4XBaVcFIkd0EbJ1TvXcpI-3TDADSjD_Tn4tqS3lG5SWynywFsCIChNXKaTLTKEF2Yls8wKpjuFFAl5ITPG3wUJfe23sKhzFjUx9iSUCDYw1SjWpc4GtU0Ni0Khp10SOxYus10YQZBP8Md1ZqYG_R7TO35gWa5amGy4X_phiy2SgSd1aVvfN6-IF1IXrOLqUuD5ciJ5DlgMPdsU8xOyQmIr4tkhRun1O2HLhFMQmQVGzY9qOaW3sAKeHeRodpJ_rluLYsN1tTRiqjmWqbKgLMsDykmKheiyLCyhm5j6QyKo9nx4lqiZzr_iJKu8SyVWqeU5LZy54k8SJAktVjGV1vpyy9uYgQfgep_co1xXqbbPOSnG_zvVt8F0zflLps2ev8_SEWd1EpT5EzOKe00yVidOfHb_VpNWlIfP3wZNGVulhBLxprH_YOzAZs8cS0hQSCdPxRQNKu2Ahj2cL44usmy0JcelvuBCtqT9HehuFxG//111571/149584/https://ps.nikkei.com/spire/

防衛費財源「まずは歳出改革」 経済・財政も安保の基盤

防衛費財源「まずは歳出改革」 経済・財政も安保の基盤
防衛を考える・有識者報告書(4)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA259DU0V21C22A1000000/

『政府の「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」がまとめた報告書は防衛力強化に充てる財源を提言した。「まずは歳出改革で捻出すべきだ」と求めた。経済力や財政状況も安全保障の基盤になるとの認識を強調した。

「経済財政のあり方」という章を設け、冒頭に「国力としての防衛力を強化するためにも経済力を強化する必要がある」と言及した。「有事に経済・金融システムにどのようなリスクが発生するのか、いかに最小化し守るのか検討しておくことが重要だ」と説いた。

財源に関しては「国債発行が前提となってはならない」と負担を将来に先送りすることを否定した。「今を生きる世代全体で分かちあうべきだ」と訴えた。増税する際には負担が偏らないよう幅広い税目が必要だと主張した。

具体的な税目には触れなかったものの、「2023年度予算編成・税制改正で成案を得て具体的な措置を速やかに実行に移すべきだ」と提起した。

「幅広い税目」の実現した例として2011年の東日本大震災がある。

歳出改革と増税を組み合わせて復興費用19兆円を賄った。復興債の発行に加え、償還財源に充てるため所得税を25年にわたって2.1%上乗せするなどして増税でおよそ10兆5000億円を確保した。歳出改革でも8兆5000億円程度を捻出した。

赤字国債への依存には慎重な考えを示した。有識者会議座長の佐々江賢一郎元外務次官は復興債のように将来の増税を前提に発行する「つなぎ国債」は「検討の対象になり得る」と言明した。

防衛力の拡大は経済への波及効果があるとの見解を示した。「先端技術開発や防衛産業の振興など経済力強化につなげられる糸口が複数ある」と指摘した。

米国ではインターネットや全地球測位システム(GPS)など安全保障分野の先端技術研究からイノベーションを生み出している。

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